結論
ロイヤル・ゴールドは、自分では鉱山を掘らず、他社の鉱山から生まれる金属や売上の一部を受け取る会社である。事業の質は普通の産金会社より高い。しかし、鉱山の寿命と金価格の循環を織り込むと、現在の株価は割高だと考える。
2025年の売上は10.3億ドル、営業利益6.6億ドル、純利益4.7億ドルだった。ストリーミング契約とロイヤルティ契約が収益の両輪であり、鉱山会社が負担する採掘設備、燃料、人件費、環境修復費の大部分を直接負わない。そのため金属価格の上昇が利益に伝わりやすく、資本集約的な鉱山会社とは経済性が大きく異なる。2025年10月にはサンドストーム・ゴールドとホライズン・カッパーを買収し、権益の数と地域分散を一気に広げた。
この拡大は2026年の数字に現れた。上期売上は9.2億ドル、GAAP純利益は5.2億ドルとなり、10月20日に公表された第3四半期の速報でもストリーム売上3.18億ドル、ロイヤルティ売上見込み1.43〜1.49億ドルを確保した。借入金の返済も進み、9月末の借入残高は1.5億ドルとなった。ただし、2026年の強い利益には、買収資産の通年寄与に加えて高い金属価格が含まれる。
10年後も事業は必要とされる。鉱山開発には巨額の資金が必要で、採掘会社にとって、将来の金属販売権を渡して資金を調達する仕組みには存在意義がある。既存の契約を他社が奪うことは難しく、権益を持つ側に有利な条件が長く続く。しかし鉱床は有限であり、永遠に同じ数量が入ってくるわけではない。新しい権益を適正価格で獲得し続ける能力が、長期の株主価値を決める。
2035年の中立では、金属価格が長期の物価上昇に沿って推移し、金換算販売量が年間約50万オンスまで増えると考える。営業利益は約15.9億ドル、純利益は11.7億ドルとなる。それでも、権益の残存寿命を考慮した評価と将来の還元を現在価値に直すと、確率加重した本質価値は約82億ドルで、現在の時価総額193億ドルを約57%下回る。優れた事業を保有することと、優れた投資価格で買うことは別の問題である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ロイヤル・ゴールドは普通の鉱山会社より所有したい事業に近い。鉱山を掘るための設備を自社で更新し続ける必要がなく、他社が負担する採掘費用の増加からある程度切り離されている。採掘会社が高い資本コストと操業リスクを引き受ける一方、ロイヤル・ゴールドは長期契約から金属の取り分を受け取る。この非対称性に価値がある。
しかし、既存契約の収益率と、会社全体の将来の増分投資利回りは同じではない。過去に安く取得できたストリームは、金価格の上昇で大きな利益を生んでいる。現在、同じ権利を買うなら取得対価も高くなる。金価格の高値に合わせて高額な買収を繰り返せば、既存資産が生む優れた利回りを、新規取得資産の低い利回りが薄めてしまう。
オーナー利益を考えるとき、会計上の減耗費をすべて足し戻すのは危険である。金属を受け取る権利は有限であり、鉱床が減れば契約の将来収益も減る。権益を補充する新しい投資は、一般の製造業でいう維持設備投資と似た役割を持つ。したがって、成長のために必要な権益取得費用と、既存収益を維持するための投資を区別する必要がある。
2025年末の権益の幅と、その後の借入返済は長期保有の安心材料である。大きな破綻リスクを抱える鉱山会社とは違い、単一の事故で会社全体が立ち行かなくなる可能性は比較的小さい。それでも金の価格を自社で決められず、鉱山の生産量も契約相手に依存する。筆者が重視するのは、金価格が現在より実質で下がっても利益が残り、新規投資を抑えて株主へ現金を返せるかどうかだ。
現状の価格では、長期の成長と権益の再取得が相当うまく進むことを期待している。会社の仕組みが優れていることは認めるが、先の読めない金属価格と買収採算に大きな金額を払うことには慎重でありたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、鉱山会社に先に資金を渡し、その鉱山が将来生産する金属の一部を受け取る権利を得ることである。事業はストリームとロイヤルティの二つに分かれる。2025年の売上構成はストリームが約67%、ロイヤルティが約33%だった。どちらも金を中心に、銀、銅、亜鉛などの生産に結び付いている。
ストリームは、契約で決めた数量の金属を市場価格より安く買い取る権利である。例えばカナダのマウント・ミリガンでは、金の生産量の35%と銅の18.75%を受け取る契約を持つ。金の購入代金は原則として一定額に抑えられ、金価格が上がれば売却価格との差が広がる。ザンビアのカンサンシでは、2025年に10億ドルを投じて金のストリームを獲得した。銅生産量に連動して金を受け取り、受取量の累計が一定の水準を超えると契約上の交付率が段階的に下がる。初期の契約条件を永久に延ばして考えてはいけない。
ロイヤルティは鉱山の売上や生産量に対する取り分である。ネバダ州のコルテス鉱区などでは、採掘会社が生産した金の価値に応じて収入を得る。通常の売上連動型契約では、ロイヤル・ゴールドが金属を購入する必要もない。鉱山の操業費が増えても、契約に規定された取り分が直接減るとは限らない。2025年のロイヤルティ売上は3.44億ドルで、セグメント粗利益は約2.72億ドルだった。
2025年末の保有権益は合計364件で、そのうち81件が生産段階、29件が開発段階にあった。中核となる鉱山はマウント・ミリガン、プエブロ・ビエホ、アンデコジョ、コルテス、カンサンシである。契約相手にはセンテラ・ゴールド、バリック、ファースト・クォンタムなどがいる。鉱山の操業そのものは相手企業が担うため、ロイヤル・ゴールドの従業員数や維持設備投資は小さい。
ただし、資金を渡す側だから無条件に安全というわけではない。契約相手の鉱山が停止すれば金属は届かず、鉱床が枯渇すれば収入は終わる。契約によっては累計交付量に達した後に取り分が下がる。買収による権益の追加は成長投資であり、収益を維持するために必要な再投資という側面もある。したがって、会計上の利益をすべて配当に回せる永久事業とは見ない。
優良さと弱いところ
最大の強みは、既に取得した権利の置き換えが難しいことである。ストリーミング契約は鉱山と長期間結び付いており、採掘会社が金属価格の上昇を見て一方的に契約を取り消すことはできない。ロイヤルティも鉱業権と結び付く場合が多い。競合が同じ鉱山へ後から資金を持ち込んでも、既存の取り分を簡単に奪えるわけではない。契約の強制力と長い存続期間が、売上の繰り返しを支えている。
もう一つの強みは費用の構造だ。ニューモントやバリックのような採掘会社は、鉱石の品位低下、燃料、労務費、設備更新で利益を削られる。ロイヤル・ゴールドはそうした費用の大部分を直接負わず、主に契約上の金属購入費用と権益の減耗費を負担する。2025年のストリーム売上6.86億ドルに対する現金購入費用は1.31億ドルだった。この仕組みは金属価格の上昇を受け取りながら、鉱山運営の費用上昇を限定する。
ただし、値決め力を取り違えてはいけない。既存契約の条件が有利であることと、新規契約を自社の希望価格で獲得できることは違う。金や銅の価格は市場が決め、新しい権益の取得ではフランコ・ネバダやウィートン・プレシャス・メタルズと競争する。鉱山会社は銀行借入や増資も選べる。資金が豊富な競合が高い対価を提示すれば、将来の投資利回りは下がる。
2025年の大型買収によって自己資本は約72億ドルへ増えたが、同年のROEは6.5%だった。これは取得資産が年度末近くに加わり、通年の収益がまだ反映されていないためでもある。2026年には収益力の改善が見えている一方、取得した権益の帳簿価額も大きい。筆者は既存契約の堀を強いと評価するが、新規資金の増分ROICが資本コストを上回るかは、買収の成果を数年間追う必要があると考える。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の金の鉱山生産量は2025年に約3672トンで、前年比の伸びは約1%だった。新しい鉱床の発見、許認可、開発資金の調達には長い年月がかかるため、数量が急増する市場ではない。一方で中央銀行の金購入、投資需要、地政学への不安が価格を支える。金は産業用途だけで価値が決まらず、実質金利、ドルへの信認、投資家の資産選択によって大きく振れる。
ロイヤルティとストリーミングの市場は、金属そのものの市場とは別である。対象は鉱山会社が外部に売る将来の生産権であり、世界全体の取引額や残高を網羅した統一統計はない。市場規模の代理として大手3社の2025年売上を見ると、ウィートンが約23.1億ドル、フランコ・ネバダが約18.2億ドル、ロイヤル・ゴールドが約10.3億ドルだった。ロイヤル・ゴールドはこの3社合計の約20%を占めるが、これは世界シェアではない。小規模な権益会社や鉱山会社の直接保有分は含まれていない。
競争の姿も鉱山会社とは異なる。フランコ・ネバダは2026年3月時点で約119件の生産段階権益を持ち、分散の広さが強い。ウィートンは2025年に約69万金換算オンスを販売し、規模とストリームへの集中で優位に立つ。ロイヤル・ゴールドは2025年に約30万金換算オンスを販売したが、サンドストームとホライズンの統合後は資産数で大きくなった。新しい鉱山開発資金をどの会社が有利な条件で提供できるかが、今後のシェアを決める。
会社が示す5年先の金換算販売量は43万〜48万オンスである。コエマカウやプラットリーフの拡張、グレートベア、ワリンツァ、ロバートソンなどの新規案件が寄与する予定だ。ただし、この数字は開発時期の遅れを個別に確率調整したものではない。筆者は2035年の中立を年間50万オンスと考える。今後数年の増加の相当部分は2025年に取得した権益の通年寄与と既存開発案件によるもので、世界の金生産全体が同じ速さで伸びるわけではない。
長期では世界の金属生産量が年0〜1%程度しか増えない中で、鉱山開発の資金調達に占めるストリーム・ロイヤルティの比率が増える余地がある。ただし競合との投資競争によって、新規契約の利回りが低下する危険もある。AIエージェント代替はこの事業に直接当てはまらない。価値の中心は人の作業時間や操作画面ではなく、鉱山の生産に結び付いた契約上の権利だからである。
資本政策と M&A
資本配分では、長く続けてきた配当と、近年の大型買収の成果を分けて評価する必要がある。ロイヤル・ゴールドは2000年から現金配当を続けており、2026年の年間配当総額は現在の株数で約1.6億ドルとなる水準に引き上げられた。2026年5月には5億ドルの自社株買い枠も承認した。第2四半期に0.30億ドル、第3四半期に0.49億ドルを買い戻したが、枠全額の実行を約束したわけではない。
2025年は資本配分が大きく変わった年だった。サンドストーム・ゴールドとホライズン・カッパーを合計約41.5億ドルの対価で取得し、その過程で約1860万株を新たに発行した。さらにファースト・クォンタムが運営するカンサンシ鉱山の金ストリームへ10億ドルを投じた。収益源と開発案件は増えたが、買収に伴う株式発行は既存株主の持ち分を薄め、権益取得価格の高さは将来の利回りを左右する。
2026年には新しく取得した権益からの資金回収が進み、9月末までに借入残高を1.5億ドルへ減らした。これは評価できる。一方、2025年の負のフリーキャッシュフローは大型権益取得の影響が大きく、将来も同じ規模の買収を繰り返すなら、利益のすべてを還元に充てることはできない。
支配株主や複数議決権株による構造的な少数株主の不利は確認されない。しかし投資家にとって本質的な問題は、経営陣が金相場の高値で権益を高く買わないかという点である。今後の新規投資には案件別の採算が重要で、配当、自社株買い、買収のどれを選ぶかについて、株主価値を増やすという原則以外の固定的な10年総額の約束はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社の最大の魅力は、鉱山の操業コストを直接引き受けず、金属価格の上昇を享受できる点である。例えばマウント・ミリガンの金ストリームは長期にわたり有利な購入条件が残る。採掘会社の燃料費や労務費が上昇しても、ロイヤル・ゴールドの金属購入費は契約に従う。通常の鉱山会社より費用の予測がしやすく、高い現金収益率を維持できる。
2025年の買収は企業の規模を変えた。権益数は364件に達し、生産中の資産に加えて多数の開発案件を確保した。サンドストームが持っていた鉱山の権利は、一部がまだ収益化していないため、今後の生産開始が追加収入になる。カンサンシの新しいストリームも2026年から通年で稼ぐ。これは単なる金価格上昇ではない。会社が確保した取り分の数量そのものが増えるという強みである。
会社の5年見通しは43万〜48万金換算オンスであり、2025年の約30万オンスを大きく上回る。開発中の案件が順調に稼働し、新しい資金調達案件をフランコ・ネバダやウィートンと競いながらも適正な条件で獲得できれば、2035年には70万オンスを超える水準も考えられる。中央銀行による金購入と新規鉱山の供給制約が長引けば、金属価格も物価を大きく上回るだろう。
収益の増加は借入返済を容易にする。実際に2026年9月末の借入残高は1.5億ドルまで減った。将来の大型投資を内部資金で賄う余力が生まれれば、株式発行による希薄化を抑えながら成長できる。配当と自社株買いも続けやすい。契約上の権利が長く続くことを考えれば、現在の大きな権益ポートフォリオには、鉱山会社より高い質の利益を生む可能性がある。
慎重な見方
既存契約の条件が有利でも、それだけで将来の株主利益が保証されるわけではない。金価格の上昇によって2025年の売上は大きく増えたが、金換算販売量は2024年の約30.2万オンスから2025年の約30.0万オンスへ、ほとんど増えていない。既存の収益力が伸びた主因は価格だった。2026年も金属価格は高く、好業績をそのまま10年先へ延ばすのは危険である。
権益は鉱山の生産と不可分だ。採掘会社の都合で増産計画が遅れることも、鉱石の品位が下がることもある。契約の取り分が大きくても、鉱山そのものが停止すれば売上は入らない。プエブロ・ビエホやカンサンシのように、一定の累計納入量に達すると交付率が下がる契約もある。取得時に有利だった条件が将来も同じ数量を生むとは限らない。
さらに危ういのは資本配分である。2025年のサンドストームとホライズンの買収は約41.5億ドルで、株式発行も伴った。権益数は大幅に増えたが、買収時の取得価額と今後の収益を比べなければ、株主に得だったかは判断できない。会計上の自己資本が増えたからといって、増分ROICが高まったわけではない。
競争相手のフランコ・ネバダは収益源が広く、ウィートンは大きな資金を投じられる。鉱山会社が資金不足に陥ったときこそ有利なストリームを取得できるが、競合も同じ機会を狙う。価格競争で新規契約の利回りが下がれば、会社の規模だけが拡大し、株主の利益率は低下する。
最大の問題は金属の高値と権益の有限性が重なることである。金の実質価格が下がり、資源開発が遅れ、買収価格だけが高いままだと、ロイヤル・ゴールドの利益は縮む。生産量が確保できても金属価格が下がる場合を考えれば、現在の時価総額に十分な安全域があるとは言いにくい。
どちらに重みを置いたか
既存のストリームとロイヤルティ契約には確かな堀がある。鉱山会社より低い操業リスクで金属の取り分を受け取れるため、長期にわたり事業そのものが必要とされる可能性は高い。この強みを認め、財務の存続危機を中心にした悲観にはしていない。
一方、2025〜2026年の利益には高い金属価格と買収の通年寄与が重なっている。今後の成長を維持するには、権益の枯渇を補う新規投資も必要だ。既存契約の利益率が高いことと、将来の買収利回りが高いことは別である。
確率は楽観側28%、中立34%、悲観側38%とした。破綻リスクよりも金属価格の平準化と買収採算の悪化を重く見るためである。資本コストは鉱山会社より低い9.0%としたが、有限の権益収益に永久成長の価値を与えない。結果として、本質価値は現在の時価総額を大きく下回り、割高と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 127.12 ドル108 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 66.69 ドル57 億ドル)。 今の値に割り戻すと 97.04 ドル82 億ドル、今との差 −57.6%、 期待の年率 −2.0%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 339.70 ドル288 億ドル | 141.54 ドル120 億ドル | +110.4% | +9.4% | 43.31 ドル37 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 222.68 ドル189 億ドル | 106.15 ドル90 億ドル | +43.7% | +4.5% | 62.48 ドル53 億ドル |
| 中立 | 34% | 122.82 ドル104 億ドル | 70.77 ドル60 億ドル | −15.4% | −2.0% | 65.82 ドル56 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 37.57 ドル32 億ドル | 29.49 ドル25 億ドル | −70.7% | −13.8% | 16.09 ドル14 億ドル |
| 悲観 | 14% | 24.77 ドル21 億ドル | 18.87 ドル16 億ドル | −80.9% | −17.9% | 6.11 ドル5 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 127.12 ドル108 億ドル | 66.69 ドル57 億ドル | −15.3% | −2.0% | 193.81 ドル164 億ドル |
今の株価時価総額 228.77 ドル194 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:金の実質高値が続き、取得した権益の開発が広く成功する 利益 30 億ドル · PER 9.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 339.70 ドル288 億ドル
世界の中央銀行による金購入が長期的に続き、供給制約とドルへの不信も金価格を支える。2035年には金換算実効価格が7800ドルに達する。既存権益の増産に加え、カンサンシ、プラットリーフ、グレートベア、ワリンツァなどの開発が進み、ロイヤルティ契約から得られる数量が増える。
サンドストームから取得した資産群も想定以上に稼ぎ、ストリームの金換算数量は43万オンス、ロイヤルティは28万オンスに増える。ウィートンやフランコ・ネバダとの資金調達競争は続くが、資本配分の規律が保たれ、既存契約と同程度の高い利回りを持つ新規案件を取得できる。ストリームでは有利な購入条件が収益率を支え、ロイヤルティの高い利益率も維持される。
営業利益は約40.3億ドル、純利益は30億ドルに成長する。10年間のGAAP純利益累計は190億ドルと見込み、配当と自社株買いで正味120億ドルを還元する。残る利益は新しい権益の取得と財務の強化に使う。株式発行を繰り返す必要がなくなり、契約の分散と事業規模が株主の利益を押し上げる。金属価格の好条件だけでなく、権益投資の質も維持された筋書きである。
- 金属ストリーム:数量 430,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 7,800(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 34 億ドル・営業利益 23 億ドル。既存契約の拡張と大型案件の成功で実質数量が増える。価格は2025年比2.27倍で、物価を大きく超える金属高を含む。
- 鉱山ロイヤルティ:数量 280,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 7,800(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 22 億ドル・営業利益 18 億ドル。サンドストーム由来の開発権益が広く収益化し、新しいロイヤルティ取得にも成功。減耗費を含めて83%の利益率。
倍率:資本コストk9.0%、10年目の帳簿ROE21.19%。堀はstrongで超過収益の残存割合2/3、RONICは17.12%。gは鉱山権益の有限性を考え1.0%。利益ベースの正当化PERは翌年利益基準から10年目利益基準へ直して約11.89倍となるが、有限の権益の20年年金倍率は9.78倍。金属価格の高値と開発成功が維持される場合でも年金の制約を優先し、上限の約98%である9.6倍とした。純利益はGAAPで、減耗費と株式報酬を戻さない。
確率:2025年に取得した多数の開発権益が順調に生産を開始し、金属価格も物価を大きく上回って上昇する必要がある。既存契約は高収益だが、金属価格と開発時期の両方が好転する確率は高くないため9%。
やや楽観 19% やや楽観:既存開発案件が順調に稼働し、金属価格も強い 利益 20 億ドル · PER 9.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 222.68 ドル189 億ドル
金属価格は2035年に金換算6500ドルとなり、2025年を実質でも上回る。2025年に取得したサンドストームとホライズンの権益は順調に生産段階へ進む。カンサンシの稼働に加え、鉱山寿命の延長や既存鉱区の拡張も数量を支える。
ストリーム数量は36万オンス、ロイヤルティは23.5万オンスとなる。世界の金の生産量そのものは大きく増えないが、ロイヤル・ゴールドが取り分を持つ鉱山の数と、その中の生産段階の比率は高まる。新規契約の競争は強まるものの、過度な対価を払わずに資金を投じられる。
営業利益は約27.4億ドル、純利益は20.3億ドルに達する。ストリームは有利な金属購入価格によって高い利幅を維持し、ロイヤルティは減耗費を負担しても80%の粗利益率を確保する。10年間の純利益累計は140億ドル、正味還元90億ドルとする。配当の継続と自社株買いに加え、残った資金で権益を補充する。金属価格の強さと開発案件の成功が、保有資産の寿命延長と株主の取り分の増加につながる。
- 金属ストリーム:数量 360,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 6,500(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 16 億ドル。カンサンシ、プラットリーフなどが順調に稼働。金属価格は物価を上回り、固定購入価格の契約が利益率を支える。
- 鉱山ロイヤルティ:数量 235,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 6,500(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 12 億ドル。開発段階の契約が生産へ移り、金換算数量が増える。競合との取得競争を考えて利益率の上昇は限定する。
倍率:ROE16.69%、k9.0%、強い契約の堀による残存割合2/3でRONIC14.13%。長期gは鉱山権益の有限性から1.0%。利益ベースの正当化PERは10年目利益基準で11.73倍となるが、20年年金の上限は9.78倍である。開発案件の成功率と新規権益取得の対価を考え、年金上限の約95%となる9.3倍を使用する。
確率:既存の開発案件が予定どおり動き、金属価格が長期物価上昇を上回る筋書き。会社の資産基盤から十分考えられるが、競合との新規投資競争と資源開発の遅れを考えて19%。
中立 34% 中立:買収権益が通年で稼ぎ、金属価格は物価並みに推移する 利益 12 億ドル · PER 8.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 122.82 ドル104 億ドル
金価格が2026年の高値からさらに実質で上がるとは考えない。2035年の金換算実効価格は4850ドルとなる。2025年の平均3432ドルからは物価3.5%の10年分にほぼ相当する上昇だが、2026年の高い金属価格と比較すれば実質での調整になる。
既存のストリームは、マウント・ミリガン、プエブロ・ビエホ、カンサンシなどが収益の柱となる。一方、累計交付量に応じて取り分が下がる契約や、品位低下で販売量が減る鉱山もある。これを新しい権益の生産開始と適度な追加投資が補い、ストリームの実質数量は30.5万オンス、ロイヤルティは19.5万オンスとなる。合計50万オンスは会社の5年見通しをやや上回るが、今後の開発遅延と契約上の減少を考慮した水準である。
営業利益は約15.9億ドル、純利益は11.7億ドルとなる。鉱山運営費を負わない事業の優位性は残るが、価格の上振れを永続させず、取得資産の減耗費もGAAPの費用に含める。2026年から買収権益が通年寄与するため、10年間の純利益累計は110億ドルとなる。正味還元は60億ドルで、残りは権益の取得と財務の維持に使う。契約の堀は維持されるものの、金属価格と買収採算の両面で過度な成功を見込まない筋書きである。
- 金属ストリーム:数量 305,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 4,850(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 9 億ドル。2025年取得権益の通年寄与と開発案件の稼働を反映する。価格は2025年比約1.41倍で物価並み。契約上の交付率低下と減耗費で利益率は63%。
- 鉱山ロイヤルティ:数量 195,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 4,850(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 7 億ドル。取得済みロイヤルティの一部が生産段階へ進み数量が増える。新規契約の取得競争と鉱山の品位低下を考慮して78%の利益率。
倍率:10年後の帳簿ROEは11.7÷121.6=9.62%。k9.0%、moatはstrong、RONICは9.41%。2035年以降のgは世界の金属生産の緩やかな伸び、既存契約の枯渇と補充投資、物価の影響を考慮し、先細り資源の制約で1.0%とする。利益ベースの正当化PERは10年目利益基準で11.28倍だが、20年年金の上限は9.78倍。資源の寿命と買収による再投資の必要性を考慮し、その約91%である8.9倍を採用する。純利益は減耗費と株式報酬を控除したGAAPであり、倍率で償却を二重に足さない。
確率:2025年の買収によって確保した開発案件の一部が稼働し、既存契約の減少を補う一方、金属価格は長期の物価上昇に沿って推移する筋書き。会社の5年見通しと鉱山開発の不確実性を両方考慮し、最も高い34%とする。
やや悲観 24% やや悲観:金属価格が実質で下落し、鉱山の開発も遅れる 利益 5 億ドル · PER 6.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 37.57 ドル32 億ドル
中央銀行による金の購入が弱まり、金融資産への投資資金の移動が続く。金属価格は2035年に金換算3900ドルとなり、名目では2025年を上回るものの、10年間の物価上昇を下回る。鉱山会社は採掘費用を減らしにくく、低い品位の鉱区の生産を削減するため、ロイヤル・ゴールドに届く金属も減る。
ストリームの金換算数量は23万オンスにとどまり、ロイヤルティは13万オンスへ減る。カンサンシなど一部の資産は生産を続けるが、開発中の鉱山には着工遅延や事業計画の縮小が生じる。買収した権益の収益化も予定を下回り、フランコ・ネバダやウィートンとの新規取得競争に勝てなくなる。
営業利益は約7.2億ドル、純利益は4.9億ドルに縮む。現金収益そのものは残るが、権益取得に投じた資本に対する利回りは資本コストを下回る。高い金属価格が残る初期数年を含む10年間のGAAP純利益累計は67億ドルとし、その後の減速を反映する。正味還元は25億ドルまで抑え、配当を守ることを優先して自社株買いを縮小する。存続はできるが、増分投資で高い利益を得られなくなった姿である。
- 金属ストリーム:数量 230,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 3,900(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 4 億ドル。金属価格の実質下落、既存鉱山の減産、契約上の交付率低下が重なる。減耗費と金属購入費が利益率を削る。
- 鉱山ロイヤルティ:数量 130,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 3,900(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 3 億ドル。開発案件の生産開始が遅れ、既存鉱山の生産も減る。ロイヤルティの利益率は高いままだが、減耗費と固定的な本社費が重い。
倍率:ROEは4.31%でk9.0%を下回る。事業が資本コストを稼げず、取得権益の経済的な価値も減るため、中立の8.9倍より大きく下げる。長期g1.0%、残る割合2/3で機械的に計算した利益ベースの正当化PERは10.48倍、有限資源の20年年金上限は9.78倍だが、構造的な収益力低下を考慮して6.5倍とする。悲観側には中立以上の倍率を適用しない。
確率:金価格が長期の物価上昇に追いつかず、主要鉱山の増産も予定を下回る筋書き。価格が2025年比で実質約2割下がることは過去の金相場の循環から十分考えられ、10年の期間では24%とする。
悲観 14% 悲観:主要権益の価値が傷み、鉱山金融でも競争力を失う 利益 1 億ドル · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 24.77 ドル21 億ドル
金属価格が長期の物価上昇に追いつかず、2035年の金換算価格は3000ドルとなる。新しい金鉱山の供給や資産選好の変化によって金の実質価格が大幅に下がる。同時に重要な鉱山で品位の低下、操業停止、開発中止が生じ、既存契約から届く金属が減る。保有契約の数は多いが、収益を生む一部の資産への依存は解消されない。
ストリーム数量は15万オンス、ロイヤルティは7.5万オンスとなる。鉱山の採掘費用が高くなり、契約相手が資金不足に陥るため、将来の生産計画は縮小する。ロイヤル・ゴールドも新しいストリームを有利な条件で獲得できず、低収益の権益を減損する。営業利益は1.27億ドル、純利益は0.6億ドルに落ち込み、もはや以前のような優良な資本配分会社ではなくなる。
初期の2026〜2028年にはまだ利益があるが、その後の長い低迷と約22.6億ドルの減損を含め、10年間のGAAP純利益累計は4.4億ドルにとどまる。配当と限定的な還元の合計は16億ドルとなり、自己資本は2025年末の71.6億ドルから60億ドルへ減少する。評価は積み上げた自己資本に高い倍率を掛けるのではなく、なお売却できる中核のストリームとロイヤルティの税後価値を下限として考える。採掘会社の破綻を受けても契約資産の一部が残るものの、再成長する力は失われている。
- 金属ストリーム:数量 150,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 3,000(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。重要鉱山の閉鎖と交付量減少が重なる。金属価格の低迷で固定的な減耗費が重くなり、営業寄与利益率が大幅に縮む。
- 鉱山ロイヤルティ:数量 75,000(2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス))× 価格 3,000(金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。鉱山の閉鎖、権益の減損、開発中止により実質数量が減少。残った優良鉱山のロイヤルティから収入は続く。
倍率:ROEは1.0%まで低下し、資本コスト9.0%を大きく下回る。利益の継続価値だけなら純利益0.6億ドルの資本コストによる現在価値は小さいため、契約資産の税後換金価値を重視する。2025年末の自己資本71.6億ドルを超えない2035年の自己資本60億ドルに0.35倍を掛け、時価総額21億ドルとする。これは過去のPBRの谷から取った数字ではなく、個別資産の売却可能価値から計算した床と一致する。
確率:金属価格の実質的な大幅下落に、重要な鉱山の停止、開発遅延、買収資産の減損が重なる筋書き。契約資産が多数に分散しているため全面的な破綻の可能性は低いが、価値が大きく毀損する可能性は残るため14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
金属ストリーム
鉱山会社へ資金を提供し、将来の金・銀・銅などを契約価格で買い取る権利を取得する。マウント・ミリガン、プエブロ・ビエホ、アンデコジョ、カンサンシなどが中核で、既存契約の条件は鉱山ごとに異なる。
| 数量2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス) | 価格金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200,000 | 3,432 | 7 | 4 |
| 10 年後 中立 | 305,000 | 4,850 | 15 | 9 |
取り方:2025年10-Kのストリーム売上6.86472億ドルを使用。会社開示の2025年平均金価格3432ドルで割ると約20.0万金換算オンスとなる。金換算は銀・銅の売上も2025年の価格関係で換算した数量の代理であり、実際の金だけの販売数量ではない。将来のvolumeは2025年の金属構成と相対価格を固定した実質数量とし、金・銀・銅の相場変化はpriceへ入れる。実際の金属別2026年ガイダンスは金29万〜32万オンス、銀300万〜350万オンス、銅2100万〜2500万ポンドで、ストリームとロイヤルティの合算。2025年のストリーム営業寄与は、会社が開示する売上6.86472億ドルから金属購入費1.30926億ドルと減耗費1.12858億ドルを差し引いたセグメント粗利益4.42688億ドルを使う。本社費等は全社調整で控除する。
鉱山ロイヤルティ
鉱山の生産量や売上に連動する契約上の取り分を受け取る。米国コルテス鉱区などが主要資産で、採掘費用を原則として直接負担しない。サンドストーム買収によって開発・探鉱段階の権益も大きく増えた。
| 数量2025年の金属構成と価格で固定換算した金換算販売数量(オンス) | 価格金換算1オンス当たりの実効金属販売価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100,233 | 3,432 | 3 | 3 |
| 10 年後 中立 | 195,000 | 4,850 | 9 | 7 |
取り方:2025年10-Kのロイヤルティ売上3.43999億ドルを平均金価格3432ドルで割ると約10.02万金換算オンスとなる。ロイヤルティは契約ごとに金属、売上連動率、計算上の控除項目が違うため、会社全体に共通する鉱山生産トン数を直接使えない。鉱山生産量×契約率×2025年固定価格で得られる金換算数量の代理として用いる。将来は新規稼働、既存鉱山の生産変化、契約満期、シェア獲得をvolumeで、金属の名目価格をpriceで表す。2025年のセグメント粗利益は、売上3.43999億ドルから生産税0.08605億ドルと減耗費0.63752億ドルを差し引いた2.71642億ドルである。世界全体のロイヤルティ市場について契約を網羅した公的統計はなく、世界シェアの数値は推定しない。
リスクと懸念
金属価格の実質下落
収益の大部分は金と銀の価格に結び付いている。2025年の売上が大きく増えた一方、金換算販売量は前年からほぼ横ばいだった。2026年の高い金属価格が長期に続くとは限らない。金が物価上昇に追いつかなければ、契約の数量が変わらなくても収益力は弱まる。物価が上がれば必ず金価格も同じように上がるという保証はない。
鉱山の寿命と契約上の取り分の減少
ストリームやロイヤルティは長期契約でも、対象となる鉱床は有限である。品位の低下、閉山、累計交付量の達成による交付率の低下が重なると、将来の金換算数量は減る。マウント・ミリガンなどには寿命延長計画があるが、計画通りの許認可と投資が必要だ。会社が資産を補充するための権益取得費用を、実質的な維持投資として考えなければ利益を過大評価する。
2025年の大型買収の採算
サンドストームとホライズンの買収は約41.5億ドルの対価を要し、株式発行によって既存株主の持ち分も希薄化した。権益の数と地域分散は増えたが、増えた資産から長期的にどれだけの利益が出るかはこれから確かめる必要がある。鉱山開発が遅れれば、買収時に見込んだ収益は後ろ倒しになり、取得価額に対するROICが資本コストを下回る可能性がある。
競争による新規権益の利回り低下
フランコ・ネバダとウィートン・プレシャス・メタルズは資金力が大きく、有望な鉱山への融資や権益取得を巡って競争する。鉱山会社にも銀行借入、社債、増資という代替手段がある。資金調達環境が改善すれば、ストリームの条件が鉱山会社に有利になる可能性がある。既存契約の利益率が高くても、新しい契約の利回りが低くなれば長期の成長は株主価値を増やさない。
契約相手の操業と地政学
ロイヤル・ゴールドは操業費を負わない代わりに、鉱山会社の操業を直接支配できない。ザンビア、ドミニカ共和国、チリ、トルコなどでは、許認可、資源税、労使関係、環境規制が鉱山の生産に影響する。契約上の権利が残っても、鉱山の稼働が止まれば金属は届かない。複数の資産への分散は有効だが、重要な鉱山の問題が同時に起きる危険までは消せない。
会計上の利益とオーナー利益のずれ
ストリームやロイヤルティの取得費用は資産計上され、その後に減耗費として利益から引かれる。過去の権益取得が大きい会社では、会計上の利益、営業キャッシュフロー、将来の資産補充投資を別々に確認する必要がある。減耗費を無条件に足し戻せば、鉱床が有限であるという経済的な負担を無視してしまう。また、調整後利益には買収費用などの足し戻しがあるため、GAAP利益との違いを見落とさない。
資本還元の価格とタイミング
2026年には5億ドルの自社株買い枠が承認されたが、買い戻しが常に株主の得になるわけではない。金価格が高く、株価も将来の成長を大きく織り込んでいる時期に買えば、同じ資金で取得できる持ち分は少ない。一方、権益を高値で買収することも同じ問題を持つ。配当、買い戻し、新規投資のいずれも、支払う対価と得られる将来利益を比較する規律が欠かせない。
今後の分かれ目
- 2030年前後の金換算販売量が会社の5年見通し43万〜48万オンスの上限に近づき、その後も増産計画が具体化する
- 開発権益の収益化が順調な証拠となる。ストリームとロイヤルティの数量を中立より増やし、やや楽観の確率を上げる。ただし新規投資額に対する利回りも確認する。
- 金価格が2026年の高値から実質で大きく下がり、鉱山会社が増産と開発計画を削減する
- 金属の実効単価と契約上の受取数量が同時に下がる。中立からやや悲観へ寄せ、減耗費を含む営業利益率を引き下げる。
- サンドストームとホライズンから取得した権益の利益が増えず、買収価額の減損が続く
- 買収による規模の拡大が株主価値の増加につながっていないと判断する。増分ROICを引き下げ、新規権益への追加投資をより厳しく評価する。
- カンサンシ、プラットリーフ、グレートベア、ワリンツァなどが予定どおり生産を開始し、追加の資金負担も限定的に収まる
- 既に支払った取得費用から得られる将来の金属数量が増える。新規投資を増やさずに収益が拡大するため、事業の資本効率は改善し、やや楽観へ近づく。
- 借入金の返済が完了し、利益の大部分を高額な新規買収ではなく配当と合理的な自社株買いに回す
- 資本配分の不確実性が下がる。期間の正味還元を増やせるが、同じ利益を還元と期末純資産の両方に重複して数えないようにする。
- フランコ・ネバダやウィートンとの競争で新規ストリームの取得対価が上昇し、投資回収期間が長くなる
- 権益の数が増えても増分ROICが資本コストに届かなくなる可能性が高まる。新規投資による数量成長を抑え、成熟した契約からの現金還元を重視する。
- 主要な鉱山で閉山や長期停止が重なり、収益性の高い権益も売却しなければならなくなる
- 悲観の確率を引き上げる。将来の利益よりも現金、市場性証券、第三者へ譲渡できる権益の税後価値を中心に安全域を評価する。
見ておくもの
- 四半期ごとのストリーム販売量、ロイヤルティ売上、固定価格基準の金換算販売量
- 金・銀・銅の名目価格と、物価を除いた実質価格の推移
- 2026年11月4日予定の第3四半期正式決算と、売上速報からGAAP純利益への転換率
- 2027年初めに更新予定の5年先販売量見通しと、43万〜48万オンスの達成見込み
- カンサンシ、マウント・ミリガン、プエブロ・ビエホ、コルテスの生産計画と契約上の交付率
- サンドストーム・ホライズン買収資産の営業寄与と減損の有無
- 新規ストリーム・ロイヤルティの取得額、契約条件、期待投資利回り
- 借入残高、営業キャッシュフロー、配当、自社株買いの実行額
- フランコ・ネバダとウィートンの権益取得条件、数量成長、資本配分
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額193億ドルから将来の利益を逆算していない。先に2025年10-Kのストリーム売上6.8647億ドルとロイヤルティ売上3.4400億ドルを、固定価格基準の金換算数量と単価に分けた。そのうえで会社の5年販売量見通し、既存権益の開発状況、競合の資金調達力を確認して2035年の数量を決めた。中立の金属価格は2025年の平均価格に物価3.5%を10年分反映し、金属価格が2026年の高値からさらに実質上昇することを前提にしていない。倍率はk9.0%、事業ROE、RONIC、契約の堀から計算した正当化PERを、有限資源の20年年金で制約した。現金は2025年末に純負債であるため余剰純現金を別建てしていない。悲観では将来の積み上がった自己資本を床にせず、税後売却可能資産を使った。現在や過去の市場PER・PBRに評価額を合わせる調整はしていない。結果の割高さをそのまま受け入れる。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に事業の質による+1.0%を加えた9.0%。同領域のニューモント9.5%、フリーポート9.5%より低いのは、鉱山運営の固定費と維持設備投資を直接負わず、複数の鉱山の権益へ分散しているため。価格の循環と新規買収の失敗は各筋書きと確率で表す。βと市場PERは使わない。