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PPGインダストリーズ PPG

工業・補修・海外建築の塗料に厚みがあり、利益は 10 年で伸び、PER 15 倍台は利益ベースの正当化 PER(10 年の中立 14.7 倍)とほぼ同じで、利益の伸びの分だけやや割安

適正
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)117.70 ドル267 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)113.1 ドル257 億ドル差 +4.1%
10 年後から見ると 適正 価値 117.70 ドル267 億ドル · 差 +4.1% · 期待の年率 +7.6%
期待の年率リターン(10 年)+7.6%資本コスト比 −0.9 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

PPG は売上 159 億ドル(2025 年)の世界有数の塗料会社で、米国外が約 7 割を占める。構成は、自動車補修・保護・船舶・航空宇宙の性能塗料(PC、売上 55 億ドル、利益率 21%)、自動車の新車向け・包装・一般工業の工業用塗料(IC、65 億ドル、13%)、メキシコ・中南米・欧州などの建築用塗料(GA、38 億ドル、16%)の 3 つ。2024 年 12 月に米国・カナダの建築用塗料を売り、北米の住宅への依存を外した。

事業の質は高いが、成長は鈍い。売上は 2021 年の 168 億ドルから 2025 年の 159 億ドルへむしろ縮み、2026 年 4〜6 月も有機成長は +4%(PC +3%・IC +5%・GA +2%)、調整後の 1 株利益は前年並みだった。経営陣の通期見通しは調整後 1 株利益が前年比 +2〜7%。自動車補修は前年の在庫積み増しの反動で数量が 2 桁減り、PC の利益率が下がった。さらに 2026 年 8 月に株主が承認したアクゾノーベルとアクサルタの合併で、補修と工業用の両方に規模の大きい競合が生まれる。

バリュー投資の観点では、塗料は 10 年後も世界中で消耗品として売れ、PPG は補修・航空宇宙・自動車の新車向けで技術と顧客の囲い込みがある。数量 年 +1.4%・価格は物価並み・利益率 13.3% から 14.9% への改善を置いた中立の筋書きは、10 年後の純利益が今の 1.8 倍(年 +6.3%)。資本コスト 8.5%・成長 4.0%・自己資本 ROE 18.6%・堀は普通の利益ベースの正当化 PER の 9 割で 10 年目の利益に対し 14.7 倍となり、今の 15.5 倍とほぼ同じ。割り引いた価値は今の時価総額 244 億ドルを上回り、やや割安(+10%)に出る。ただし競合の再編で利益率の改善が止まる筋書き(10 年で確率 37%)も厚く置いた。

バリュー投資の観点から

バリュー投資家なら、まず「10 年後もあるか」を問う。答えは、ある。塗料は建物・車・橋・機体の維持に必ず要り、使う量に比べて費用が小さい消耗品で、10 年後も世界中で売れる。PPG は補修・航空宇宙・自動車の新車向けで技術と顧客の囲い込みを持ち、堀は狭まるより維持される方向。ただし、広がるとまでは言えない。売上が 4 年間縮んだこと、IC の利益率が低いこと、アクゾノーベルとアクサルタの合併で競合の規模が増すことが、堀の幅を試す。

次にオーナー利益。純利益は 15.7 億ドル、設備投資は減価償却を上回るのでフリー・キャッシュフローは純利益の 75% 前後(12 億ドル)にとどまる。時価総額 244 億ドルに対する純利益の利回りは約 6.4%、フリー・キャッシュフローの利回りは約 5%。国債(5%)と並ぶ水準で、成長が年 5〜6% 続けば株主のリターンは 10% 台に届く。ROE 19.8% はのれんの厚い自己資本に対する値で、見かけ通りに高いわけではないが、のれんを除いても事業の資本利益率は 2 桁ある。

安全域の議論では、中立の筋書きで 10 年後の時価総額と還元の合計は今の 2.3 倍(年率 8.9%)で、資本コスト 8.5% を上回る。悲観の時価総額は今の約 0.5 倍(補修・工業のシェアを失い利益率 9.5% に落ちる筋書きで、1÷k の 92% の PER 10.9 倍で測る)で、還元を足しても今の約 0.8 倍と元本を割り、毀損は深い。わかりやすい事業という点では上位で確信度は高いが、成長の鈍さと競合再編という不確実さがあるので、確率は楽観に寄せすぎず、中立と慎重の側を厚く置いた。

何で稼ぐ会社か

PPG の売上は 3 つのセグメントに分かれる(2025 年)。①性能塗料 PC(売上 55 億ドル、セグメント利益率 約 21%):自動車補修(修理工場向けの塗料と色合わせ。PPG は世界の最大手の 1 つ)、保護・船舶(橋・プラント・船舶の防食塗料)、航空宇宙(機体の塗装・シーラント・窓材。PPG が強い)、交通標示(路面標示)などで、高い利益率と技術の差別化が特徴。②工業用塗料 IC(65 億ドル、約 13%):自動車の新車の塗装、包装(缶の内面)、コイル(鋼板)、一般工業、木工、特殊コーティングと素材(光学素材など)。自動車の生産台数と工業生産の景気に連動し、利益率は低い。③建築用塗料 GA(38 億ドル、約 16%):メキシコ(コメックス(Comex))・中南米・欧州(フィンランドのティックリラ(Tikkurila)など)・中国・豪州などの建築用。2024 年 12 月に米国・カナダの建築用事業を約 5.5 億ドルで売却し、今は北米の住宅の取引に直接はさらされない。

塗料の売上は「出荷量 × 1 単位あたりの価格」で決まる。価格は原料(酸化チタン・樹脂・溶剤)と人件費の転嫁で、補修と建築は店頭・流通の価格改定、工業用は原料指数に連動した契約で動く(工業用は指数の遅れで価格が 1〜2 四半期ずれる)。数量は自動車の生産と修理の台数、建築の改装、工業生産、航空機の生産に左右される。売上の約 7 割が米国外で、為替の影響を受ける。

稼いだ利益は、設備投資が売上の約 5%(2025 年 7.8 億ドル)、フリー・キャッシュフローは純利益を下回る 12 億ドル前後。2025 年は配当 6.3 億ドルと自社株買い 7.9 億ドルを払い、純負債はほぼ横ばいの 57 億ドル。のれんは 61.5 億ドルと自己資本(79 億ドル)の 8 割にのぼり、買収で伸びてきた会社である。

優良さと弱いところ

堀は 3 つある。第 1 は技術と色合わせの囲い込み:自動車補修では、修理工場が使う塗料・調色システム・車種の色の配合データに慣れており、切り替えると仕上がりと生産性が落ちるので、補修の売上は景気より事故の台数と価格改定で動く。航空宇宙は認証と長期の承認がいる塗料・シーラントで、新規の参入が難しい。第 2 は顧客との関係の深さ:自動車の新車向けは車種ごとの数年契約で、塗装ラインの設計に入り込んでおり、2025〜2026 年にはシェア獲得で IC の数量が +5% 伸びた。第 3 は地域のブランドと流通:メキシコのコメックスは自前の約 4,000 の専売店網を持つ(推定)建築用の大手で、価格を決める力がある。

弱みも明確。IC は自動車と工業の景気で利益率が 13% 台と低く、原料指数に連動するので価格で稼ぎにくい。売上は 2021 年の 168 億ドルから 2025 年の 159 億ドルへ縮み、数量が伸びていない。資本効率は自己資本 ROE 19.8% だが、のれん 61.5 億ドルが自己資本の 8 割を占め、事業そのものの資本利益率は見かけほど高くない。補修は自動車の修理の台数(事故の減少・車両の安全装置による)の構造的な弱さに直面する。

経営はティム・ナビッシュ氏が率い、2024 年の再編(年 1.75 億ドルの削減)と建築用事業の売却で、利益率を 2022 年の 9.6% から 2025 年の 13.3% まで戻した。ただし 2024 年の 14.2% からは下がっており、改善は一直線ではない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

世界の塗料市場は約 1,700〜2,000 億ドル(推定)で、建築用が約 45〜50%、残りが工業用・自動車・補修・保護・船舶・粉体・包装など。名目で年 4〜5% の成長(数量 1〜2%+価格)とされる。上位は世界の寡占で、シャーウィン・ウィリアムズ(Sherwin-Williams、売上 236 億ドル)、PPG、アクゾノーベル(AkzoNobel)、日本ペイント、ヨトゥン(Jotun)、アクサルタ(Axalta)、関西ペイントなど。

PPG が属する領域ごとの競争は違う。補修はアクサルタ(Cromax・Spies Hecker・Standox)と PPG の 2 強で、BASF、シャーウィン、アクゾノーベルが続く。航空宇宙は PPG が強く競争は少ない。自動車の新車向けは PPG・アクサルタ・BASF が主要で、車種ごとの契約。一般工業・包装はシャーウィンとアクゾノーベル、日本ペイントなどが競り合い、価格が最も動く。建築は地域ごとで、メキシコはコメックスが首位級、欧州は PPG が中位、アクゾノーベルが首位。

循環では、自動車補修が 2025 年の前倒し発注の反動で 2026 年に数量が落ち、欧州は需要がまちまち、工業用は PPG のシェア獲得で +5%。経営陣は米国の補修の在庫調整は終わったと言う。2026 年は中東の紛争で石油系の原料が上がり、価格改定で埋める局面。最大の構造変化は、2025 年 11 月に発表され 2026 年 8 月に株主が承認したアクゾノーベルとアクサルタの合併(完了は 2026 年末〜2027 年初を目標)で、補修・工業・航空・船舶・建築を合わせた世界最大級の塗料会社ができる。分かれ目は、①補修の数量の戻り、②欧州と自動車生産の景気、③合併後の競合の価格行動と顧客の取り合い、④中国系の塗料メーカーの成長、である。

資本政策と M&A

還元は積極的だが、2025 年は配当 6.3 億ドルと自社株買い 7.9 億ドルの合計 14.2 億ドルが、フリー・キャッシュフロー 12 億ドルを上回り、純負債は 57 億ドルで横ばい。2026 年上期は配当 3.2 億ドルと自社株買い 1.75 億ドルで、買い戻しは前年より控えめ。配当は 50 年以上連続で増配している(推定)。株数は 2025 年に約 3% 減った。株式報酬で年 0.4 億ドル前後の株が増えるので、正味の還元はそれを引いて見る。

M&A は、2022 年のティックリラ(フィンランド、建築)、メキシコのコメックス(2013 年)、交通標示のエニス・フリント、2025 年の補修・航空宇宙の小型買収など補完が中心で、売却は 2021 年のシリカ事業、2024 年の米国・カナダの建築用事業。事業の入れ替えで利益率を上げる方針。大型買収で価値を壊した例は見当たらないが、のれんは 61.5 億ドルと大きい。

PPG 自身が買われる可能性は時価総額 244 億ドルでは小さく、むしろアクゾノーベル・アクサルタの合併で業界の再編が進み、PPG が工業用や補修で事業の組み替え(売却・買収)に動く可能性がある。バリュー投資の観点では、割安なときに自社株買いを増やし、割高なときは借金の返済に回す規律が鍵。純負債は 57 億ドル(EBITDA の約 2 倍)で、借り換えのたびに金利が上がる。環境の引当は 2.06 億ドルで、追加で 1〜2 億ドルの可能性が 10-K に書かれている。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 1.8 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

PPG の利益率はまだ上がる途中にある。再編(年 1.75 億ドルの削減)と、利益率の低い米国・カナダの建築用事業の売却で、営業利益率は 2022 年の 9.6% から 2025 年の 13.3% へ戻り、2024 年には 14.2% だった。2026 年 4〜6 月は、GA のセグメント利益が +16%(利益率 19.4% の EBITDA)、IC の数量が +5%(自動車の新車向けと包装でのシェア獲得)と、成長の芽が出ている。自動車補修の数量減は、2025 年上期に顧客が在庫を積み増した反動で、経営陣は米国の在庫調整は終わったと言い、補修は事故の台数と価格改定という強い下支えを持つ。

航空宇宙は機体の生産の増加で有機成長が最も強く、PC の高い利益率を支える。メキシコのコメックスは専売店網で価格を決める力があり、中南米・欧州でも建築の改装が戻れば利益が伸びる。アクゾノーベルとアクサルタの合併は、統合の 2〜3 年は営業の集中が乱れ、顧客と人材の一部が PPG へ流れる好機でもある。工業用の約 1 億ドルのシェア獲得(2026 年)が毎年続けば、IC の利益率は固定費の吸収で 13% から 16% 台へ上がる。

10 年後に売上は今の 2 倍、営業利益率は 17〜18% に届き、純利益は今の 2.8 倍。成熟した PER 17 倍が付き、時価総額は約 734 億ドルと今の 3 倍になる。

慎重な見方

PPG の売上は 2021 年の 168 億ドルから 2025 年の 159 億ドルへ、物価が 4 年で 15% 以上上がったのに名目でも縮んだ。つまり数量が減っている。2026 年 4〜6 月も、PC のセグメント利益は −8%(利益率は 3 ポイント下がった)、調整後の 1 株利益は前年並み、有機成長 +4% のうち IC の +5% は数量の押し込み(価格 0%)で、利益率は 15.9% と前年の 16.6% より下がった。通期の調整後の 1 株利益の見通しは +2〜7% で、経営陣の予想も鈍い。2025 年以降の「利益率の改善」は、再編と売却で作った面が大きく、売上の伸びに支えられていない。

IC は自動車の新車と一般工業で、価格が原料指数に連動するので、原料高の局面は利益率が遅れて削られる。補修は事故の台数が車両の安全装置で構造的に減り、アクサルタと競り合う。そこへアクゾノーベルとアクサルタの合併で、補修から工業用・建築まで揃う世界最大級の相手が現れ、価格と顧客の取り合いが激しくなる。日本ペイント・関西ペイントや中国系の塗料メーカーも工業用・建築で価格を下げる。のれん 61.5 億ドルは自己資本の 8 割で、買収で伸びる会社の資本効率は見かけより低く、純負債 57 億ドルは借り換えで利払いが増える。

数量が伸びず、シェアを失い、利益率が 13% で止まれば、純利益の伸びは物価並みの年 3% 以下、成熟後の PER は 12 倍前後で、10 年の時価総額は今の 1.1 倍にとどまる。

どちらに重みを置いたか

事業の質と、利益率を戻した実績、IC のシェア獲得、航空宇宙・メキシコの建築の強さは強気の見方が強い。一方で、売上が 4 年間縮み、数量が伸びていない事実と、アクゾノーベル・アクサルタの合併という構造の変化は慎重な見方が強い。中立の筋書きは数量 年 +1.4%・価格は物価並みの 5.2% の売上成長に 1.6 ポイントの利益率改善で、純利益が年 +6.3%。確率は 10 年で楽観 9%・やや楽観 21%・中立 33%・やや悲観 23%・悲観 14% と、同じ領域の塗料会社(シャーウィン・エコラボは 12/25/…)より悲観側を厚く置いた。結論は、今の PER 15.5 倍は利益ベースの倍率(14.7 倍)とほぼ同じで、利益の伸びの分だけやや割安、というもの。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 174.66 ドル397 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 60.83 ドル138 億ドル)。 今の値に割り戻すと 117.70 ドル267 億ドル、今との差 +4.1%、 期待の年率 +7.6%(資本コスト 8.5%)→ 適正

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 9% 323.16 ドル734 億ドル 87.54 ドル199 億ドル +263.2% +13.8% 36.96 ドル84 億ドル
やや楽観 21% 241.35 ドル548 億ドル 74.24 ドル169 億ドル +179.1% +10.8% 66.27 ドル151 億ドル
中立 33% 186.70 ドル424 億ドル 64.07 ドル146 億ドル +121.7% +8.3% 82.75 ドル188 億ドル
やや悲観 23% 114.13 ドル259 億ドル 50.02 ドル114 億ドル +45.2% +3.8% 37.76 ドル86 億ドル
悲観 14% 50.24 ドル114 億ドル 33.64 ドル76 億ドル −25.8% −2.9% 11.74 ドル27 億ドル
加重平均100% 174.66 ドル397 億ドル60.83 ドル138 億ドル +108.2% +7.6% 235.49 ドル535 億ドル

今の株価時価総額 113.09 ドル257 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 9% 楽観:シェアを取り続け、利益率が 17% 台へ 利益 43 億ドル · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 323.16 ドル734 億ドル

2035 年、市場は年 +2.3%(10 年 1.25 倍)、価格は物価より少し高く 1.43 倍、PC のシェアは 15.8% から 17.2%、IC は 10.0% から 11.5%、GA は 6.4% から 7.6%。PC は売上 108 億ドル・利益率 23.5%(営業利益 25.3 億ドル)、IC は売上 134 億ドル・利益率 17.0%(営業利益 22.7 億ドル)、GA は売上 82 億ドル・利益率 19.0%(営業利益 15.5 億ドル)。IC は自動車の新車向け・包装・航空で固定費を吸収し利益率が 13.4% から 17.0% へ、PC は 23.5%、GA は 19.0%。全社の売上は 322.7 億ドル(年 +7.3%)、営業利益 57.5 億ドル(利益率 17.8%)、純利息 1.5 億ドル、純利益 43.4 億ドル(今の 2.8 倍、年 +10.7%)。アクゾノーベル・アクサルタの合併は統合に手間取り、PPG が顧客を取る。正味の還元は 10 年で約 199 億ドル。

  • 性能塗料(PC):数量 438(補修・保護・船舶・航空宇宙・交通標示の塗料の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 24.6%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 108 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 438 億ドル × シェア 17.2% × 価格 1.43 倍
  • 工業用塗料(IC):数量 812(工業用・自動車新車向け・包装・コイルの塗料の世界市場(億ドル。実質))× 価格 16.5%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 134 億ドル・営業利益 23 億ドル。市場 812 億ドル × シェア 11.5% × 価格 1.43 倍
  • 建築用塗料(GA):数量 750(PPG が売る地域(米国・カナダを除く)の建築用塗料の市場(億ドル。実質))× 価格 10.9%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 82 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 750 億ドル × シェア 7.6% × 価格 1.43 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 26.3%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 17.4%、g 4.0%(3 セグメントの市場(数量 年 +1.4%)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.1 倍(来年の利益に対して)。補修・航空宇宙の技術で利益率が戻る分、上限の 9.5 割(16.3 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.9 倍。時価総額 = 純利益 43 × 16.9 倍 = 734 億ドル。

確率:IC のシェア獲得が 10 年続き、補修・航空宇宙が伸び、利益率が上がる強い場合。楽観として 9% を置く。

やや楽観 21% やや楽観:補修・航空宇宙が伸び、利益率が 16% 台へ 利益 35 億ドル · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 241.35 ドル548 億ドル

2035 年、市場は年 +1.8%(10 年 1.20 倍)、価格は物価並みよりやや高く 1.42 倍、PC のシェアは 16.5%、IC は 10.7%、GA は 7.05% に上がる。PC は売上 98 億ドル・利益率 22.4%(営業利益 22.0 億ドル)、IC は売上 118 億ドル・利益率 15.5%(営業利益 18.4 億ドル)、GA は売上 72 億ドル・利益率 17.6%(営業利益 12.7 億ドル)。再編の削減と補修・航空宇宙の組み合わせで PC の利益率は 22.4%、IC は 15.5%、GA は 17.6%。全社の売上は 289.0 億ドル(年 +6.2%)、営業利益 46.9 億ドル(利益率 16.2%)、純利息 1.7 億ドル、純利益 35.0 億ドル(今の 2.2 倍、年 +8.4%)。アクゾノーベル・アクサルタは合併後も価格を壊さない。正味の還元は 10 年で約 169 億ドル。

  • 性能塗料(PC):数量 420(補修・保護・船舶・航空宇宙・交通標示の塗料の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 23.4%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 98 億ドル・営業利益 22 億ドル。市場 420 億ドル × シェア 16.5% × 価格 1.42 倍
  • 工業用塗料(IC):数量 780(工業用・自動車新車向け・包装・コイルの塗料の世界市場(億ドル。実質))× 価格 15.2%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 119 億ドル・営業利益 18 億ドル。市場 780 億ドル × シェア 10.7% × 価格 1.42 倍
  • 建築用塗料(GA):数量 720(PPG が売る地域(米国・カナダを除く)の建築用塗料の市場(億ドル。実質))× 価格 10.0%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 72 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 720 億ドル × シェア 7.0% × 価格 1.42 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 21.9%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.2%、g 4.0%(3 セグメントの市場(数量 年 +1.4%)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.4 倍(来年の利益に対して)。補修・航空宇宙の技術で利益率が戻る分、上限の 9.2 割(15.1 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 15.7 倍。時価総額 = 純利益 35 × 15.7 倍 = 548 億ドル。

確率:補修と航空宇宙が伸び、IC のシェア獲得が続く場合。やや楽観として 21% を置く。

中立 33% 中立:数量 年 +1.4%・価格は物価並み、利益率は 14.9% へ 利益 29 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 186.70 ドル424 億ドル

2035 年、市場は年 +1.4%(10 年 1.15 倍。補修・欧州の回復を含む)、価格は物価並み(10 年 1.41 倍)、シェアは PC 16.0%・IC 10.3%・GA 6.6% と横ばいに近い。PC は売上 91 億ドル・利益率 21.5%(営業利益 19.5 億ドル)、IC は売上 108 億ドル・利益率 14.5%(営業利益 15.7 億ドル)、GA は売上 64 億ドル・利益率 16.5%(営業利益 10.6 億ドル)。再編の効果と航空宇宙・IC のシェア獲得で全社の営業利益率は 13.3% から 14.9% へ。全社の売上は 263.4 億ドル(年 +5.2%)、営業利益 39.3 億ドル、純利息 2.0 億ドル(借り換えで今の 0.9 億ドルから増える)、純利益 28.9 億ドル(今の 1.8 倍、年 +6.3%)。アクゾノーベル・アクサルタの統合会社とは価格を壊さず競り合う。倍率は ROE 18.6%・g 4%・k 8.5% の式の 9 割で、10 年目の利益に対し 14.7 倍。正味の還元は 10 年で約 146 億ドル。

  • 性能塗料(PC):数量 402(補修・保護・船舶・航空宇宙・交通標示の塗料の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 22.6%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 91 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場 402 億ドル × シェア 16.0% × 価格 1.41 倍
  • 工業用塗料(IC):数量 747(工業用・自動車新車向け・包装・コイルの塗料の世界市場(億ドル。実質))× 価格 14.5%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 109 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 747 億ドル × シェア 10.3% × 価格 1.41 倍
  • 建築用塗料(GA):数量 690(PPG が売る地域(米国・カナダを除く)の建築用塗料の市場(億ドル。実質))× 価格 9.3%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 64 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 690 億ドル × シェア 6.6% × 価格 1.41 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 18.6%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.6%、g 4.0%(3 セグメントの市場(数量 年 +1.4%)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.7 倍(来年の利益に対して)。補修・航空宇宙の技術で利益率が戻る分、上限の 9 割(14.1 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.7 倍。時価総額 = 純利益 29 × 14.7 倍 = 424 億ドル。

確率:業界ノートの中立(数量 年 +1.5%、価格は物価並み、利益率 13→16%)に沿い、PPG の売上が 4 年縮んだ実績からシェアは横ばいに近く、利益率は 14.9% に置いた。議論の落としどころ。

やや悲観 23% やや悲観:数量が伸びず、利益率が 13% で止まる 利益 21 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 114.13 ドル259 億ドル

2035 年、市場は年 +0.7%(10 年 1.07 倍)、価格は物価の 9 割(10 年 1.38 倍)、シェアは PC 15.5%・IC 9.6%・GA 6.2% と下がる。PC は売上 80 億ドル・利益率 20.0%(営業利益 16.0 億ドル)、IC は売上 92 億ドル・利益率 13.2%(営業利益 12.2 億ドル)、GA は売上 55 億ドル・利益率 15.2%(営業利益 8.3 億ドル)。補修・工業の競争で利益率は PC 20.0%・IC 13.2%・GA 15.2% に止まり、全社の営業利益率は 13.1%(今と同じ水準)。全社の売上は 227.1 億ドル(年 +3.7%)、営業利益 29.7 億ドル、純利息 2.3 億ドル、純利益 21.3 億ドル(今の 1.4 倍、年 +3.1%)。成熟後の g は物価並みの 3.5%、ROE 14.2%。倍率は式の 8 割強で 12.2 倍。正味の還元は 10 年で約 114 億ドル。

  • 性能塗料(PC):数量 374(補修・保護・船舶・航空宇宙・交通標示の塗料の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 21.4%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 80 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 374 億ドル × シェア 15.5% × 価格 1.38 倍
  • 工業用塗料(IC):数量 696(工業用・自動車新車向け・包装・コイルの塗料の世界市場(億ドル。実質))× 価格 13.3%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 92 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 696 億ドル × シェア 9.6% × 価格 1.38 倍
  • 建築用塗料(GA):数量 642(PPG が売る地域(米国・カナダを除く)の建築用塗料の市場(億ドル。実質))× 価格 8.6%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 55 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 642 億ドル × シェア 6.2% × 価格 1.38 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 14.2%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.4%、g 3.5%(3 セグメントの市場(数量 年 +1.4%)× シェア × 価格(物価並み)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.8 倍(来年の利益に対して)。競合の再編と数量の低迷の分、上限の 8.5 割(11.8 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.2 倍。時価総額 = 純利益 21 × 12.2 倍 = 259 億ドル。

確率:補修の数量減とアクゾノーベル・アクサルタの合併の影響で、売上が物価並みの成長に届かない場合。やや悲観として 23% を置く。

悲観 14% 悲観:補修と工業でシェアを失い、普通の工業会社の評価へ 利益 11 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 50.24 ドル114 億ドル

2035 年、構造的に負ける。アクゾノーベル・アクサルタの統合会社が補修・工業用・建築で価格と顧客を押さえ、日本ペイント・関西ペイント・中国系の塗料メーカーが工業用・建築で価格を下げ、PPG のシェアは PC 13.5%・IC 8.3%・GA 5.6% に下がる。価格上昇は物価の 7 割(10 年 1.30 倍)、リーマン級の不況が重なり市場は横ばい。利益率は PC 17.0%・IC 10.0%・GA 12.5%。PC は売上 58 億ドル・利益率 17.0%(営業利益 9.9 億ドル)、IC は売上 67 億ドル・利益率 10.0%(営業利益 6.7 億ドル)、GA は売上 45 億ドル・利益率 12.5%(営業利益 5.6 億ドル)。全社の売上は 169.6 億ドル、営業利益 16.1 億ドル(利益率 9.5%)、純利息 2.6 億ドル、純利益 10.5 億ドル。構造的に負けた後の利益なので、ROE 8.2% は k 8.5% と同じ水準なので PER 10.9 倍(1÷k の 92%)で時価総額 114 億ドル(今の約 5 割、自己資本 128 億ドルの PBR 0.89 倍)。もう優良な塗料会社ではなく、普通の工業会社の評価に落ちる。

  • 性能塗料(PC):数量 332(補修・保護・船舶・航空宇宙・交通標示の塗料の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 17.5%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 58 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 332 億ドル × シェア 13.5% × 価格 1.30 倍
  • 工業用塗料(IC):数量 618(工業用・自動車新車向け・包装・コイルの塗料の世界市場(億ドル。実質))× 価格 10.8%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 67 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 618 億ドル × シェア 8.3% × 価格 1.30 倍
  • 建築用塗料(GA):数量 612(PPG が売る地域(米国・カナダを除く)の建築用塗料の市場(億ドル。実質))× 価格 7.3%(PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 45 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 612 億ドル × シェア 5.6% × 価格 1.30 倍

倍率:利益ベースの正当化 PER(2026-10-18 の決まりで引き直し):事業の ROE 8.2%(純利益 ÷ 自己資本)、k 8.05%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 8.1%。g 2.5%(前の置き方の市場・シェア・価格の内訳)で (1 − g/RONIC)/(k − g) = 12.5 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.8 倍。上限(g 4.5% の正当化 PER 12.6 倍)に対し、堀は普通で景気の振れもあるので上限の 8.5 割の 10.9 倍に置いた。前は ROE を薄めずに入れた式の値(実効 12.8 倍)。純利益は GAAP。

確率:合併後の競合と中国系・日本系が補修・工業用で攻め、構造的に負ける筋書き。リーマン級の不況も重なる。14% を置く(今の PER の低さと、2021〜2025 年の売上の縮みから、悲観を厚めに置いた)。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

性能塗料(PC)

自動車補修・保護(防食)・船舶・航空宇宙・交通標示の塗料。技術と顧客の囲い込みで利益率が最も高い中核。

数量補修・保護・船舶・航空宇宙・交通標示の塗料の世界市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質)価格PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 350 15.8% 55 12
10 年後 中立 402 22.6% 91 20

取り方:世界の自動車補修(約 100 億ドル)・保護と船舶(約 150 億)・航空宇宙(約 30 億)・交通標示ほかを合わせ 350 億ドル(推定)と置き、売上 55.1 億ドル(10-K)からシェア約 15.8% を逆算した。セグメント利益 11.5 億ドル(利益率 20.8%)。2026 年 4〜6 月は売上 16.2 億ドル(+7%、有機 +3%=数量 0・価格 +3)、利益率は補修の数量減で下がった(EBITDA 率 22.7%、前年 25.7%)。競合と照らすと、補修ではアクサルタが同格、BASF・シャーウィン・アクゾノーベルが続く。保護・船舶はヨトゥン・ヘンペル・アクゾノーベル・シャーウィンと競り合い、航空宇宙は PPG が首位級で競争が少ない。

工業用塗料(IC)

自動車の新車向け・包装(缶の内面)・コイル・一般工業・木工・特殊コーティングと素材。景気に敏感で利益率は PC より低い。

数量工業用・自動車新車向け・包装・コイルの塗料の世界市場(億ドル。実質)価格PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 650 10.0% 65 9
10 年後 中立 747 14.5% 109 16

取り方:自動車の新車向け(約 110 億ドル)・コイル・包装・一般工業・木工・特殊を合わせ世界で 650 億ドル(推定)と置き、売上 65.2 億ドル(10-K)からシェア約 10.0% を逆算した。セグメント利益 8.75 億ドル(利益率 13.4%)。2026 年 4〜6 月は売上 17.8 億ドル(+7%、有機 +5%=数量 +5・価格 0)、EBITDA 率 15.9%(前年 16.6%)。価格は原料指数に連動する契約で遅れて動く。競合と照らすと、自動車の新車向けは PPG・アクサルタ・BASF の 3 社が主要で、一般工業・包装はシャーウィン・アクゾノーベル・日本ペイント・関西ペイントが分け合い、PPG は中位から上位。

建築用塗料(GA)

メキシコ(コメックス)・中南米・欧州(ティックリラなど)・中国・豪州の建築用塗料。2024 年 12 月に米国・カナダの事業は売却済み。

数量PPG が売る地域(米国・カナダを除く)の建築用塗料の市場(億ドル。実質)価格PPG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1)売上営業利益
今 2025/12 600 6.4% 38 6
10 年後 中立 690 9.3% 64 11

取り方:世界の建築用塗料は約 890〜940 億ドル(調査会社の幅、素材の業界ノート)で、そのうち PPG が売る地域(メキシコ・中南米・欧州・中国・豪州など)を 600 億ドル(推定)と置き、売上 38.4 億ドル(10-K)からシェア約 6.4% を逆算した。セグメント利益 5.99 億ドル(利益率 15.6%)。2026 年 4〜6 月は売上 11.0 億ドル(+8%、有機 +2%=価格 +3・数量 −1)、利益 1.85 億ドル(+16%)。競合と照らすと、欧州はアクゾノーベルが首位で、メキシコはコメックスが首位級、中南米・中国は日本ペイントやアクゾノーベル、地元の会社が分け合う。

リスクと懸念

自動車補修の数量減

補修は PC の利益の柱。2026 年 4〜6 月は前年の在庫積み増しの反動で有機売上が 2 桁減り、PC の利益率が 3 ポイント下がった。経営陣は米国の在庫調整は終わったと言うが、車両の安全装置による事故の減少と修理の先送りは構造的な数量の下押しで、補修の利益率の回復が遅れると全社の営業利益が 3〜5% 減る。

アクゾノーベルとアクサルタの合併

2026 年 8 月に株主が承認した合併(完了は 2026 年末〜2027 年初の目標)で、補修(アクサルタ)・工業・航空・船舶・建築(アクゾノーベル)を併せた世界最大級の塗料会社ができる。調達力と価格交渉力で PPG の補修・工業用の顧客を取りに来る。統合の混乱で逆に PPG に顧客が流れる可能性もあるが、中期では競争が強まる側のリスク。

IC の低い利益率と原料の遅れ

IC の利益率は 13〜16% と低く、価格は原料指数に連動する契約で 1〜2 四半期遅れる。2026 年は中東の紛争で石油系の原料が上がり、経営陣は 7〜9 月の調整後 EBITDA 率が前年比 横ばい〜−1 ポイントと予想している。原料高が長引くと IC の利益率が 1 ポイント下がり、全社の営業利益が約 3% 減る。

欧州と世界の工業需要

売上の約 7 割は米国外で、欧州の建築・工業・自動車の需要は国ごとにまちまち。経営陣は 2026 年の欧州と工業の需要を厳しいと見ている。ユーロやペソの為替でも売上と利益が動く(このモデルは為替を動かさない)。

買収で膨らんだのれんと借金の借り換え

のれんは 61.5 億ドルで自己資本の 8 割。買収の価値が下がれば減損で自己資本と純利益が削られる。純負債 57 億ドルは借り換えで金利が約 3% から 5.75% へ上がり、利払いが年 1 億ドル前後増える。環境の引当 2.06 億ドルに加え、追加で 1〜2 億ドルの可能性が 10-K にある。

中国系・日系の価格攻勢

日本ペイント・関西ペイントと中国系の塗料メーカーが、工業用・建築の中位品で価格を下げて攻めている。PPG の IC と GA は価格競争の影響を受けやすく、シェアが 1 ポイント下がると IC の営業利益は約 8% 減る。

今後の分かれ目

補修の有機成長が 2026 年 10〜12 月以降も 2 桁減のままで、PC の EBITDA 率が 22% を下回り続けたら
補修の数量の戻りを見直し、中立の PC の利益率を 21.1% から 20% へ、やや悲観の確率を上げる。在庫調整の終了という経営陣の説明が外れたことになる。
IC の数量が +3% 以上で伸び続け、IC の利益率が 16% 台へ戻ったら
シェア獲得が続くと見て、IC の利益率を 14.5% から 16% へ、楽観とやや楽観の確率を上げる。
アクゾノーベルとアクサルタの合併が規制で補修の売却などの条件を付けられる、または中止になったら
統合会社の補修での支配力が弱まる、または統合が止まるので、PC の価格の下押しを小さく見て、やや悲観の確率を下げる。条件付きの売却先が PPG なら補修のシェアが上がる。
原料(酸化チタン・樹脂・溶剤)が 2027 年も高止まりし、工業用の価格改定が遅れたら
IC の利益率を 1〜2 ポイント下げ、中立の純利益を 5〜8% 下げる。やや悲観の確率を上げる。
自社株買いが再び年 10 億ドルを超え、純負債が減る方向に戻ったら
経営陣が割安と見ている証拠で、1 株あたりの価値が上がる。時価総額への影響は小さいが、資本配分の評価を上げる。
PPG が再び米国の建築用塗料に参入・買収すると表明したら
のれんと借金が増え、成熟後の利益の安定性が変わる。買収の価格しだいで評価を見直す。

見ておくもの

  • 自動車補修(PC)の有機成長と PC の EBITDA 率(22〜25% への戻り)
  • IC の数量の伸び(+5% の継続)と EBITDA 率(15.9% の推移)、約 1 億ドルのシェア獲得の達成
  • アクゾノーベル・アクサルタの合併の規制の判断(2026 年末〜2027 年初)と統合後の価格行動
  • GA のメキシコ・欧州の数量(−1% からの戻り)と価格 +3% の維持
  • 純負債の水準(57 億ドル。EBITDA の約 2 倍)と自社株買いの再開、調整後 1 株利益の通期見通し(+2〜7%)

倍率と資本コストの決め方

今の PER 15.5 倍・過去 20 期の中央値 20 倍を見る前に、3 つのセグメントで「市場 × シェア × 価格」を積み上げ、利益率から純利益を出した。倍率は k 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%:自動車・工業向けの景気の振れ +0.5%)・g 4%(市場・シェア・価格から出し、ROE からは出していない)・自己資本 ROE(のれんを除かない)の式(堀は普通)の 8〜9.5 割に置き、10 年の中立は 14.7 倍。今の 15.5 倍にも、過去の中央値 20 倍にも寄せていない。悲観は ROE が k と同じ水準なので 1÷k の 92% で測った。割安に出たのは、事業の質を高く見たためだけでなく、今の PER が成長の鈍さをすでに織り込んでいるため。確率は同じ領域の会社より悲観側に寄せて慎重にした。中立の純利益 年 +6.3% は、2026 年の見通し(調整後の 1 株利益 +2〜7%)より少し上で、再編・売却による利益率の回復の続きを織り込んでいる。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。

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  3. PPG 2025 年度 アニュアルレポート(SEC)
  4. アクゾノーベルの株主がアクサルタとの合併を承認(TipRanks)
  5. PPG が補修の既存店の連続減を説明(Repairer Driven News)
  6. PPG の米国・カナダ建築用事業の売却と自社株買い(autobound 10-K 要約)

分析日 2026-10-16