結論
コルテバ(CTVA)は 2026 年 10 月 1 日に種子事業を別会社ヴァイラー(Vylor、NYSE: VYLR)として切り離し、今は作物保護(農薬)だけの会社になった。筆者は分離後の会社で見る。2025 年の売上は 75.9 億ドル、営業 EBITDA 13.0 億ドル(17.1%)、純利益 5.2 億ドル。時価総額は約 88 億ドルで、分離でヴァイラーから受け取った現金により純現金は約 20 億ドル(時価総額の 23%)。
伸びは、世界の農薬市場(実質で年 1〜1.5%、バイオは 6%)× シェア(約 10%)× 価格で置く。価格は後発品がブラジルとアジアで特許切れの商品を値下げさせるため、物価 3.5% に届かず、中立で 10 年 1.10 倍(年 1%)。新しい有効成分(アリレックス・リンスコル・Haviza・Varpelgo)が数量を増やし、生産性の費用減(約 5 億ドル)が費用の上昇を吸収する。
中立の 10 年後は、売上 102 億ドル、純利益 10 億ドル、時価総額 112 億ドル。k は基本の 8.0% に、市況の振れと値決めの弱さで 1.0% を足した 9.0%。のれん込みの自己資本で測ると中立の ROE は 8% 台で k を下回り、PER は 1÷k の 11 倍が上限になる。悲観を厚く置き(やや悲観と悲観で 40%)、確率で加重した本質価値は今の時価総額の 98% ほどで、筆者は適正と見る。純現金の分は割安だが、事業の分に安全域は薄い。分かれ目は、後発品の価格がどこで止まるかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず「10 年後もこの事業はあるか」を問う。答えはある。農薬は食料の生産に欠かせず、新しい有効成分を出し続ける大手 4 社の寡占は参入が難しい。ただし価格を決める力は強くなく、10 年後に今より強いかは、後発品の圧力を新商品が上回れるかにかかる。堀は研究開発・登録・販売網で、広がりはしないが、すぐには狭まらない。
オーナー利益は、純利益 5〜10 億ドルのうち、設備投資は減価償却より小さく、伸びに要るのは運転資本(売上の約 6 割と重い)で、利益の 7 割ほどは株主のものになる。資本配分は、分離で現金と配当を得たが、新しい経営陣の実績はまだ無い。会社が示す枠(売上年 3%・EBITDA 年 6%)は達成できれば十分だが、中立はその 9 割しか届かない前提で、のれん込みの ROE は 8% 台と k 9.0% を下回る。この水準では、ためた利益 1 ドルは 1 ドル未満の価値しかなく、倍率は低いままだ。
安全域は純現金の分だけで、事業そのものには厚くない。時価総額 88 億ドルのうち純現金が 20 億ドルあり、事業は残りの 68 億ドルで買える。悲観を 4 割置くと、確率で加重した価値は今の値段とほぼ同じで、割安とは言えない。予測のしやすさの確信は中程度。後発品の価格がどこで止まるかが、いちばん読みにくい。
何で稼ぐ会社か
コルテバの作物保護事業は、農家が使う除草剤・殺虫剤・殺菌剤、バイオ(生物農薬・バイオ刺激剤)、種子処理剤をつくり、農業小売・流通を通じて売る。2025 年の売上は 75.9 億ドル(Vylor との商業契約による調整後。種子処理剤などを Vylor に売る分を含む)で、売上の構成はおおよそ除草剤 38%、殺虫剤 26%、殺菌剤 24%、バイオ・その他 12%(推定)。大手 4 社(シンジェンタ・バイエル・BASF・コルテバ)のひとつで、ここに FMC・ユーピーエル(UPL)・アダマ(Adama)が続く。
商品の特徴は、特許で守られた有効成分に、遺伝子形質(エンリスト)との組み合わせ・混合・使い方の助言を重ねて価格を保つことで、差別化商品は 2020 年の売上の 45% から今は 65%。売上の約 35% は特許が切れ、後発品と競合する。主な市場は米国・ブラジル・ヨーロッパ・アジア。ブラジルの大豆・トウモロコシの農家向けが最も大きく、価格が最も動きやすい。
費用の構造は、売上原価 47 億ドル、販売・管理費 13.8 億ドル、研究開発費 4.8 億ドル(売上の 6〜7%)。減価償却・償却は 4.2 億ドル(うち買収の無形資産の償却 1.6 億ドル)。分離の後は「本社費の残り(EBITDA で約 1 億ドル)」と、Vylor との種子処理剤の取引(売上 +約 1 億ドル)が調整として入る。資産は売掛金・棚卸資産が大きく、運転資本が売上の約 6 割と重い。のれんは過去の合併(デュポン・ダウ)の 51.6 億ドル。
優良さと弱いところ
優良さは「寡占の中位で、技術は上位、価格を決める力は弱い」。堀は 3 つある。第 1 は研究開発:パイプラインの価値は 110 億ドル(2023 年から 20 億ドル増)、新しい有効成分 12 を今後 10 年で出す計画で、過去 10 年に出した 7 つの有効成分が 2026 年の売上 14 億ドルを占める。研究開発の効率(パイプライン価値 ÷ 研究開発費)は同業の約 2 倍と会社は言う。第 2 は規制の登録と販売網:新しい有効成分の登録に何年もかかり、農家への助言と流通網が模倣しにくい。第 3 は種子・形質との組み合わせ(エンリスト)で、今後は Vylor との契約に頼る形になる。
弱い所:後発品の価格圧力が 2023 年から続き、売上の約 35% が特許切れ。ブラジルと中国の後発品メーカー(大手の特許切れ品を安くつくる)に対して価格を決められない。殺菌剤はシンジェンタ・バイエル・BASF より弱い。売上 75.9 億ドルでシンジェンタ(約 137 億ドル)の半分強の規模で、規模の利益は劣る。会社は新しい経営陣・財務チームで、分離直後は標準化していない費用がある。運転資本が重く、売掛金(農家の支払い)の回収リスクがある。分離前の全社の営業利益率は 2021 年の 8.5% から 2025 年の 16% へ上がり、費用の削減と価格の混合が効いた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の農薬市場は、調査会社で 700〜1,100 億ドルと幅が大きい(定義の違い)。年 3% 前後の成長(実質 1〜1.5%)で、バイオが 6〜8%、種子処理が 3〜5%。農薬の需要は農家の収入と作付けで決まるが、穀物価格が安い年でも病害虫の防除は削りにくく、景気より農業の循環の影響が大きい。2020〜22 年は在庫の積み増しで価格が上がり、2023 年から流通在庫の調整と後発品の増産で価格が年 1〜2% 下がり始めた。
競合は、シンジェンタグループ(ケムチャイナ傘下、約 137 億ドル)、バイエル(約 95 億ユーロ)、BASF(約 76 億ユーロ)、コルテバ(約 76 億ドル)、FMC(約 35 億ドル)、ユーピーエル(UPL)・アダマ(Adama)・中国メーカー。2026 年にコルテバのシアントラニリプロール(FMC・シンジェンタも)とスルホキサフロル、シンジェンタのピノキサデンが特許切れを迎える。ブラジルでは 2026 年の下期にも、後発品の除草剤が値下げを主導し、会社は価格が低〜中 1 桁下がると見る。中国では販売地域を 60% 縮めた。
分かれ目は、①後発品の増産と価格、②新しい有効成分の立ち上がり(アリレックス・リンスコル・Haviza・Varpelgo・Utrisha N)、③農家の収入と穀物価格、④ブラジルの農家の支払い、⑤米国の関税・規制(有効成分の登録・環境規制)、⑥バイオの市場が本物になるか。農薬の特許切れは繰り返し来る構造で、新しい有効成分を出し続けられる会社だけが利益率を保てる。
資本政策と M&A
分離で、ヴァイラーが新コルテバ(今の CTVA)に約 35 億ドルを払い、新コルテバは借金を 10 億ドル程度に減らして現金 30.6 億ドルを得た(2026 年 6 月末の pro forma)。純現金は約 20.5 億ドル。2036 年満期の 6.0% 債 7 億ドルを発行した。年金負債(1.5 億ドル)と税務契約の負債(約 1.6 億ドル)を引き継ぐ。
Investor Day(2026-09-15)の資金配分:2029 年までの営業キャッシュフロー累計 22〜26 億ドルから、維持の設備投資(売上の 2〜3%)、増やしていく配当を払い、残る 12〜14 億ドルを限定的な M&A と自社株買いへ。配当の額は未発表(分離前の配当水準は維持されない見込み)。投資適格を維持する。バリュー投資の観点では、時価総額の 23% が純現金で、株を 6 倍の EBITDA で買える今の価格での自社株買いは価値を増やすが、新しい経営陣が山の価格で買わない規律を守れるかが問われる。
M&A は「限定的」。大型の買収の可能性は低く、買われる側になる可能性は、時価総額 88 億ドル・純現金 20 億ドルの農薬専業なので、BASF・シンジェンタ・バイエルの規制上の制約を考えても無視できない(FMC のように売却の話が出る会社もある)。分離は税務上は非課税の想定。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 5.0 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(127.0 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
分離が価値を表に出す。種子(成長・高い利益率)と作物保護(循環・後発品)が一つの会社だったため、市場は農薬を種子の評価に引きずっていた。分離後の CTVA は時価総額 88 億ドルで、純現金 20 億ドルを引くと事業は 68 億ドル、2026 年の営業 EBITDA 13 億ドルの 5 倍強で買える。
会社の枠は具体的で、新商品(アリレックス・リンスコルで 2029 年に 10 億ドル超、Haviza のピーク 5 億ドル超、Varpelgo のピーク 7 億ドル超)で売上が約 8 億ドル増え、生産性で 5 億ドルの費用が減り、EBITDA は 2026 年の 13 億ドルから 2029 年に 14.5〜16.5 億ドル(年 6%)。後発品の価格圧力は 2023 年から続いたが「一部で和らぐ」兆しがあり、会社は後発品中心の市場から撤退して利益率を守る。バイオは 2026 年に売上 5 億ドルを超え、年 6〜8% 伸びる。
純現金 20 億ドルと営業キャッシュフロー(4 年で 22〜26 億ドル)で、時価総額の 14〜17% の自社株買いができる。のれんの 51.6 億ドルは過去の合併の値で、新商品を伸ばすのに追加で要る元手は小さい。のれんを除いた事業の ROE は帳簿よりずっと高く、買える値段は稼ぐ力に比べて低いと読める。
慎重な見方
今の安さには理由がある。作物保護は 2023 年から価格が下がり続け、売上の約 35% が特許切れで、コルテバは 2026 年に主力のシアントラニリプロールとスルホキサフロルの特許が切れる。ブラジルの後発品は 2026 年の下期にも価格を下げ、会社は価格が低〜中 1 桁下がると見る。会社の枠も「価格は年 1% の逆風」を前提にしており、2029 年の EBITDA 率 18% も、費用の 5 億ドル削減が全部当たる前提だ。
分離後の決算はまだ出ていない。新しい経営陣(キッサム CEO)と財務チームで、本社費の残り(約 1 億ドル)や標準化の費用は読めない。2025 年のリストラ等は 1.4 億ドル、純利益 5.2 億ドルのうち一時の費用が大きく、2026 年上期の税率 43% のように歪みもある。運転資本が売上の 6 割と重く、ブラジルの農家の支払いが遅れると現金が減る。分離前の全社の ROE 4.5% は全社の値で、作物保護の ROE は示さない。
配当は未発表で、純現金 20 億ドルは時価総額の 23%。使い方次第で価値を壊す。シンジェンタ・バイエル・BASF の規模に劣り、後発品に負ける局面では利益が 1 桁台の億ドルに落ちる。アナリストの平均目標は今の株価に近く、今の値付けは大きく外れていないとも読める。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方は価格の逆風と新経営陣の未知数を警戒する点で強く、中立を会社の枠の 9 割に割り引き、価格を物価(1.41 倍)より大きく低い 1.10 倍に置き、やや悲観と悲観に 40% を置いた。一方、強気の見方の「分離で事業が見えるようになった」「純現金が時価総額の 23%」は事実で、中立の確率を最も厚くし(34%)、楽観側を 26% にした。結論は「今の時価総額は確率で加重した本質価値の約 102%」でほぼ適正。純現金の分は割安だが、k 9.0% に対して事業の ROE が届かないため、事業の分に割安は無い。
点検済み:起点の自己資本 127 億ドルは 2026 年 6 月末の分離後 pro forma で、1〜6 月の自社株買い 5.0 億ドル(10-Q)は既に反映済み。起点は触らず、10 年の還元(中立以上)から同額を外した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 15.62 ドル106 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 8.68 ドル59 億ドル)。 今の値に割り戻すと 12.24 ドル83 億ドル、今との差 −4.8%、 期待の年率 +6.6%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 25.04 ドル171 億ドル | 10.82 ドル74 億ドル | +178.8% | +10.8% | 2.15 ドル15 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 21.37 ドル146 億ドル | 10.36 ドル71 億ドル | +146.7% | +9.5% | 6.35 ドル43 億ドル |
| 中立 | 34% | 16.47 ドル112 億ドル | 9.45 ドル64 億ドル | +101.5% | +7.3% | 8.81 ドル60 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 12.12 ドル83 億ドル | 8.59 ドル59 億ドル | +61.0% | +4.9% | 5.38 ドル37 億ドル |
| 悲観 | 14% | 7.81 ドル53 億ドル | 3.67 ドル25 億ドル | −10.8% | −1.1% | 1.61 ドル11 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 15.62 ドル106 億ドル | 8.68 ドル59 億ドル | +89.0% | +6.6% | 24.30 ドル166 億ドル |
今の株価時価総額 12.86 ドル88 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:新しい有効成分が当たり、価格が物価の半分で上がる 利益 15 億ドル · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 25.04 ドル171 億ドル
2035 年。パイプラインの新しい有効成分 12(従来型 7・バイオ 5、ピーク売上の合計 約 40 億ドル)のうち半分以上が計画どおり大きくなり、アリレックスとリンスコルは 2029 年に 10 億ドルを超えたあとも伸び、Haviza(ピーク 5 億ドル超)と Varpelgo(ピーク 7 億ドル超)も加わる。バイオは市場より早く年 7% 伸び、価格は 2025 年比 1.20 倍(年 1.8%、物価 3.5% の半分。新商品の高い価格が後発品の値下げを上回る)。シェアは除草剤 11.3%、殺虫剤 11.1%、バイオ 12.5% まで上がる。売上 129・営業利益 19.3・純利益 14.9 億ドル(EBITDA 率 約 19%)。純現金は 20 億ドル台を保ち、10 年累計の正味の還元は約 74 億ドル。 自己資本の起点は分離後の約 127 億ドル(2026 年 6 月末の pro forma。台帳の 241 億ドルは種子事業を含む分離前の値)で、これに純利益の累計を足し、還元を引いて置いた。
- 除草剤:数量 3,766(世界の除草剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.20(価格指数(2025 年=1.00、名目。商品の混合を含む))→ 売上 45 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 333 億ドル(実質)× シェア 11.3%、価格 1.20 倍
- 殺虫剤:数量 2,360(世界の殺虫剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.20(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 28 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 213 億ドル(実質)× シェア 11.1%、価格 1.20 倍
- 殺菌剤:数量 2,443(世界の殺菌剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.20(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 29 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 254 億ドル(実質)× シェア 9.6%、価格 1.20 倍
- バイオ・種子処理・その他:数量 2,213(世界のバイオ・種子処理・補助剤などの市場(2025 年価格の百万ドル)× シェア)× 価格 1.20(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 27 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 177 億ドル(実質)× シェア 12.5%、価格 1.20 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の純利益は現金の利息(20.5 億ドル × 1.4%)を除いた 14.6 億ドル、自己資本は現金を除いた 130.5 億ドルで ROE 11.2%。k 9.0%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = 9.0% + 0.50 ×(11.2% − 9.0%)= 10.1%。g 4.0%(上限)の正当化 PER は 12.1 倍。価格が物価に届かず市場も実質年 1〜1.5% の事業なので、上限の 8.5 割の 10.27 倍に置いた。余った現金 20.5 億ドルは戻す前提(戻り方 1.0)で額面どおり足す:14.6 × 10.27 + 20.5 = 171 億ドル。純利益は GAAP。
確率:新商品の当たり、後発品の価格圧力の鎮静、生産性の効果が同時に出る確率。農薬の新しい有効成分の成功率は低く(12 のうち 5 つ当たれば成功)、6% と薄く置く。
やや楽観 20% やや楽観:新商品が成功し、価格は年 1.5% で上がる 利益 13 億ドル · PER 9.9 倍 · 株価時価総額 21.37 ドル146 億ドル
2035 年。新しい有効成分の半数が成功し、アリレックス・リンスコルが 10 億ドル級で定着。価格は 2025 年比 1.16 倍(年 1.5%)、シェアは除草剤 10.9%、殺虫剤 10.6%、バイオ 11.8%。EBITDA 率は 約 18.5% で、生産性の効果 5 億ドルが後発品の値下げをほぼ吸収する。売上 117・営業利益 16.6・純利益 12.9 億ドル。10 年累計の正味の還元は約 71 億ドル(配当と自社株買い − 株式報酬で増えた株)。純現金は 20 億ドル台のまま。利益率は後発品の値下げを生産性と新商品の混合で埋める形で、2029 年以降も毎年 0.2 ポイントほど上がる。市場は後発品を含めて年 1.6% 伸び、シェアは新商品でわずかに上がる。 自己資本の起点は分離後の約 127 億ドル(2026 年 6 月末の pro forma。台帳の 241 億ドルは種子事業を含む分離前の値)で、これに純利益の累計を足し、還元を引いて置いた。
- 除草剤:数量 3,597(世界の除草剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.16(価格指数(2025 年=1.00、名目。商品の混合を含む))→ 売上 42 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 330 億ドル(実質)× シェア 10.9%、価格 1.16 倍
- 殺虫剤:数量 2,231(世界の殺虫剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.16(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 26 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 211 億ドル(実質)× シェア 10.6%、価格 1.16 倍
- 殺菌剤:数量 2,268(世界の殺菌剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.16(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 26 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 252 億ドル(実質)× シェア 9.0%、価格 1.16 倍
- バイオ・種子処理・その他:数量 1,994(世界のバイオ・種子処理・補助剤などの市場(2025 年価格の百万ドル)× シェア)× 価格 1.16(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 23 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 169 億ドル(実質)× シェア 11.8%、価格 1.16 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の純利益 12.6 億ドル(現金の利息を除く)、自己資本 123.5 億ドル(現金を除く)で ROE 10.2%。k 9.0%、堀は普通(残る割合 0.50)で RONIC = 9.0% + 0.50 ×(10.2% − 9.0%)= 9.6%。g 4.0%(上限)の正当化 PER は 11.7 倍。後発品の価格圧力で g は上限に届かないので、上限の 8.5 割の 9.92 倍に置いた。余った現金 20.5 億ドルは額面どおり足す:12.6 × 9.92 + 20.5 = 146 億ドル。純利益は GAAP。
確率:会社の枠が 2029 年以降も続く確率。20%。
中立 34% 中立:シェアを守り、価格は年 1%、利益率は今より少し上 利益 10 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 16.47 ドル112 億ドル
2035 年。市場は実質で年 1.2〜1.5%(バイオは 6%)伸び、コルテバはシェアを守る。新商品が特許切れ品の減少を埋め、除草剤のシェアは 10.3%、殺虫剤 9.8%、殺菌剤 8.4%、バイオ 11.0%。価格は 2025 年比 1.10 倍(年 1.0%。物価 3.5% より実質で年 2.5% の低下。後発品が価格の天井を決める)。コストの上昇は生産性で相殺し、EBITDA 率は 17.5% 前後。売上 102・営業利益 12.7・純利益 10.0 億ドル(2025 年の 1.9 倍)。純現金は 20 億ドルのまま、10 年累計の正味の還元は約 64 億ドル。 自己資本の起点は分離後の約 127 億ドル(2026 年 6 月末の pro forma。台帳の 241 億ドルは種子事業を含む分離前の値)で、これに純利益の累計を足し、還元を引いて置いた。
- 除草剤:数量 3,365(世界の除草剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.10(価格指数(2025 年=1.00、名目。商品の混合を含む))→ 売上 37 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 327 億ドル(実質)× シェア 10.3%、価格 1.10 倍
- 殺虫剤:数量 2,043(世界の殺虫剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.10(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 23 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 208 億ドル(実質)× シェア 9.8%、価格 1.10 倍
- 殺菌剤:数量 2,096(世界の殺菌剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.10(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 23 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 250 億ドル(実質)× シェア 8.4%、価格 1.10 倍
- バイオ・種子処理・その他:数量 1,773(世界のバイオ・種子処理・補助剤などの市場(2025 年価格の百万ドル)× シェア)× 価格 1.10(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 20 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 161 億ドル(実質)× シェア 11.0%、価格 1.10 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の純利益 9.7 億ドル(現金の利息を除く)、自己資本 115.5 億ドル(現金を除く)で ROE 8.4%。k 9.0% に届かないので、ためた利益は 1 ドル未満の価値で、PER の上限は 1÷k = 11.1 倍。堀は普通で、価格が物価に届かない事業なので、上限の 8.5 割の 9.44 倍に置いた。余った現金 20.5 億ドルは戻す前提で額面どおり足す:9.7 × 9.44 + 20.5 = 112 億ドル。純利益は GAAP。
確率:議論の落としどころで最も厚く 34%。
やや悲観 26% やや悲観:後発品が価格を決め、名目の価格が 10 年変わらない 利益 7 億ドル · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 12.12 ドル83 億ドル
2035 年。新しい有効成分は半分しか成功せず、特許が切れた主力(アリレックス・スピノシン系・シアントラニリプロール・スルホキサフロル)が後発品に奪われ、価格は 2025 年と同じ(物価 3.5% に対して実質 −29%)。会社が後発品中心の市場から撤退するため、シェアは除草剤 9.4%、殺虫剤 8.8%、殺菌剤 7.6% に下がる。EBITDA 率は 15% 台。売上 82・営業利益 8.1・純利益 6.5 億ドル。純現金は 20 億ドル台のまま、還元は約 63 億ドル。分離前の全社の 2023〜25 年の価格下落が 10 年続く姿で、研究開発費を売上の 6〜7% に保っても新しい有効成分の収益が追いつかない。バイオは育つが売上全体の 2 割に届かない。 自己資本の起点は分離後の約 127 億ドル(2026 年 6 月末の pro forma。台帳の 241 億ドルは種子事業を含む分離前の値)で、これに純利益の累計を足し、還元を引いて置いた。
- 除草剤:数量 3,041(世界の除草剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.00(価格指数(2025 年=1.00、名目。商品の混合を含む))→ 売上 30 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 324 億ドル(実質)× シェア 9.4%、価格 1.00 倍
- 殺虫剤:数量 1,816(世界の殺虫剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.00(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 18 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 206 億ドル(実質)× シェア 8.8%、価格 1.00 倍
- 殺菌剤:数量 1,859(世界の殺菌剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 1.00(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 19 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 245 億ドル(実質)× シェア 7.6%、価格 1.00 倍
- バイオ・種子処理・その他:数量 1,466(世界のバイオ・種子処理・補助剤などの市場(2025 年価格の百万ドル)× シェア)× 価格 1.00(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 15 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 147 億ドル(実質)× シェア 10.0%、価格 1.00 倍
倍率:事業の純利益 6.2 億ドル(現金の利息を除く)、自己資本 103.5 億ドル(現金を除く)で ROE 6.0%。k 9.0% を大きく下回るので PER の上限は 1÷k = 11.1 倍。名目の価格が 10 年変わらずシェアも落ちるので、上限の 9 割の 10.0 倍に置いた。余った現金 20.5 億ドルは額面どおり足す:6.2 × 10.0 + 20.5 = 83 億ドル。純利益は GAAP。
確率:35% の特許切れ品の侵食が、新商品を上回って進む確率。分離前の 2023〜25 年の価格下落(年 1〜2%)が続く姿で、慎重な見方が強い点を反映して 26%。
悲観 14% 悲観:構造的に負け、優良な作物保護会社ではなくなる 利益 3 億ドル · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 7.81 ドル53 億ドル
2035 年。中国・インドの後発品メーカーが技術を上げて価格が 2025 年比 0.88 倍に下がり、新しい有効成分の失敗が重なる。大手 4 社寡占のうちコルテバだけシェアを落とし、売上は 2025 年より 2 割小さい 61 億ドル、EBITDA 率は 10% 台前半、営業利益は 3.2 億ドルまで縮む。リストラを重ねても固定費が重く、純利益 3.1 億ドル。純現金を積み上げて 29 億ドル。配当は年 2〜3 億ドルに絞り(10 年累計 25 億ドル)、自社株買いは止める。のれん 51.6 億ドルのうち約 12 億ドルを減損し、自己資本は 125 億ドルにとどまる。まだ黒字で生き延びるが、成長はなく、倍率も下がる。会社は研究開発費を削って利益を守ろうとするが、それが新しい有効成分の枯渇を早める。大手との規模の差で販売網の効率も落ち、売却や統合の対象にもなりうる。 自己資本の起点は分離後の約 127 億ドル(2026 年 6 月末の pro forma。台帳の 241 億ドルは種子事業を含む分離前の値)で、これに純利益の累計を足し、還元を引いて置いた。
- 除草剤:数量 2,633(世界の除草剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 0.88(価格指数(2025 年=1.00、名目。商品の混合を含む))→ 売上 23 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 317 億ドル(実質)× シェア 8.3%、価格 0.88 倍
- 殺虫剤:数量 1,518(世界の殺虫剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 0.88(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 202 億ドル(実質)× シェア 7.5%、価格 0.88 倍
- 殺菌剤:数量 1,559(世界の殺菌剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア)× 価格 0.88(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 240 億ドル(実質)× シェア 6.5%、価格 0.88 倍
- バイオ・種子処理・その他:数量 1,172(世界のバイオ・種子処理・補助剤などの市場(2025 年価格の百万ドル)× シェア)× 価格 0.88(価格指数(2025 年=1.00))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 133 億ドル(実質)× シェア 8.8%、価格 0.88 倍
倍率:事業の純利益 2.7 億ドル(現金 29 億ドルの利息を除く)、自己資本 96 億ドル(現金を除く)で ROE 2.8%。k 9.0% を大きく下回るので PER の上限は 1÷k = 11.1 倍。シェアと価格を落として縮む事業なので、上限の 8 割の 9.0 倍に置いた。積み上げた純現金 29 億ドルを額面どおり足す:2.7 × 9.0 + 29 = 53 億ドル。10 年の還元 25 億ドルを足しても 78 億ドルで、今の時価総額 88 億ドルを割る。純利益は GAAP。
確率:価格と新商品の両方で負ける確率。作物保護は独立の中位会社になり、大手の後発品が加わる。14% と他の素材会社よりやや厚く置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
除草剤
雑草を枯らす剤。エンリスト(Enlist)の大豆・トウモロコシ・綿の形質と組になった 2,4-D 系、アリレックス(Arylex)・リンスコル(Rinskor)など。
| 数量世界の除草剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア | 価格価格指数(2025 年=1.00、名目。商品の混合を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,900 | 1.00 | 29 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3,365 | 1.10 | 37 | 6 |
取り方:世界の除草剤市場 約 290 億ドル(農薬全体を約 780 億ドルとし、除草剤を 37% と置いた推定。調査会社の幅は 700〜1,100 億ドル)× シェア 約 10.0%。分離後の売上 75.9 億ドルを、製品群の構成(除草剤約 38%・殺虫剤約 26%・殺菌剤約 24%・その他約 12%、推定)で配分。営業利益は EBITDA から D&A を引いた値で、本社費とリストラは adjust に置いた。競合:シンジェンタ・バイエル・BASF・FMC・ユーピーエル(UPL)。開示が無いので数量は市場 × シェアの推定。 数量は市場 × シェアを 2025 年価格の百万ドルで置き、億ドルへ直す係数を rev_factor(0.01)に入れた。
殺虫剤
害虫を防ぐ剤。スピノシン系(スピノサド・スピネトラム)、スルホキサフロル(特許切れ 2026)、シアントラニリプロール(特許切れ 2026)、Isoclast。
| 数量世界の殺虫剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア | 価格価格指数(2025 年=1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,945 | 1.00 | 19 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,043 | 1.10 | 23 | 4 |
取り方:世界の殺虫剤市場 約 185 億ドル × シェア 約 10.5%(推定)。分離後の売上の約 26% を配分。特許切れの 2 剤が今後の価格の逆風になる。数量は市場 × シェアの推定。 数量は市場 × シェアを 2025 年価格の百万ドルで置き、億ドルへ直す係数を rev_factor(0.01)に入れた。
殺菌剤
病害を防ぐ剤。コルテバは大手 4 社の中では殺菌剤が弱く、Haviza・Varpelgo で補う。
| 数量世界の殺菌剤市場(2025 年価格の百万ドル)× コルテバのシェア | 価格価格指数(2025 年=1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,830 | 1.00 | 18 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,096 | 1.10 | 23 | 3 |
取り方:世界の殺菌剤市場 約 215 億ドル × シェア 約 8.5%(推定)。分離後の売上の約 24% を配分。Haviza(2028 年発売、ピーク 5 億ドル超)と Varpelgo(2030 年代前半、ピーク 7 億ドル超)が加わる予定。数量は市場 × シェアの推定。 数量は市場 × シェアを 2025 年価格の百万ドルで置き、億ドルへ直す係数を rev_factor(0.01)に入れた。
バイオ・種子処理・その他
生物農薬・バイオ刺激剤(Utrisha N など)・種子処理・窒素安定剤・補助剤。バイオは 2026 年に売上 5 億ドル超。
| 数量世界のバイオ・種子処理・補助剤などの市場(2025 年価格の百万ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年=1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 920 | 1.00 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,773 | 1.10 | 20 | 2 |
取り方:世界のバイオ・種子処理・補助剤などの市場 約 90 億ドル(バイオ 6〜8%・種子処理 3〜5% 成長、年 6% と置いた)× シェア 約 10.2%(推定)。売上の約 12% を配分。数量は市場 × シェアの推定。 数量は市場 × シェアを 2025 年価格の百万ドルで置き、億ドルへ直す係数を rev_factor(0.01)に入れた。
リスクと懸念
後発品の価格圧力が止まらない
売上の約 35% が特許切れで、ブラジルとアジアの後発品が 2023 年から価格を下げている。2026 年の下期も会社は価格が低〜中 1 桁下がると見る。2026 年にシアントラニリプロールとスルホキサフロルの特許も切れる。価格が年 1% でなく 3% 下がり続ければ、2028 年の EBITDA は会社の枠より 3 億ドル以上少なく、中立の利益の 4 割が消える。
新しい有効成分が計画どおり立ち上がらない
Investor Day の 2029 年の枠は、新商品の売上 +約 8 億ドル(年 16%)と、新商品・バイオによる EBITDA +約 4.5 億ドルに依存する。農薬の新しい有効成分は登録の遅れ・効果・環境規制で計画が崩れやすい。Haviza(2028 年発売)と Varpelgo(2030 年代前半)は未発売で、遅れや規模の下振れが利益の伸びを削る。
分離後の費用と新経営陣の実行
分離前の全社の費用配分で作物保護は有利だった可能性があり、標準化の費用(会社の見積りでは本社費の残りが EBITDA で約 1 億ドル、種子処理の取引で売上 +約 1 億ドル)が読み切れない。キッサム CEO と財務チームは新しく、分離後の最初の決算(2026 年 11 月)まで実績が無い。リストラ等が 2025 年に 1.4 億ドルかかっており、生産性の約 5 億ドルの削減が予定どおり出るかも確かめる必要がある。
運転資本・ブラジルの農家の支払い
売掛金(45.5 億ドル)と棚卸資産(25.8 億ドル)が売上の約 9 割で、買掛金(25.1 億ドル)を引いても運転資本は売上の約 6 割と重い。ブラジルの農家の支払い遅れ・破産(司法再生)が増えると、貸倒れと在庫の積み上がりで現金が減る。穀物価格の下落が重なると、悲観の筋書きの需要減(7%)が現実になる。
純現金 20 億ドルの使い方
純現金は時価総額の 23% で、会社は M&A と自社株買いに 12〜14 億ドルを配る方針だが、額は示していない。山の値段での買収・自社株買いは価値を壊す。逆に現金を持ち続ければ ROE が薄まる。配当は未発表で、分離前の水準は維持されない可能性が高い(Investor Day の配分からは年 1.5〜2 億ドル程度と逆算される。推定)。
規制・関税・環境
農薬は有効成分の登録・残留基準・環境規制(ネオニコチノイド系・除草剤の訴訟)で突然に使えなくなる。米国・EU の規制、輸入関税(中国から原料を調達)、中国での販売地域の縮小(60% 減、2026 年)が利益に影響する。会社が抱える環境・訴訟の負債は分離で引き継ぎが分かれる(税務契約で約 1.6 億ドルの負債増)。
今後の分かれ目
- 2026 年 11 月の分離後の最初の決算で、EBITDA 率が 17% 未満で、本社費の残りが 1 億ドルを超えたら
- 中立の利益率を 0.5〜1 ポイント下げ、やや悲観の確率を 5 ポイント上げる。純利益は 10 年後で 1 億ドルほど下振れる。
- ブラジルの価格の下落が 2027 年も 3% 以上続いたら
- 中立の価格を 10 年で 1.10 倍から 1.00 倍に下げ、やや悲観の確率を上げる。EBITDA は 2028 年で 1.5〜2 億ドル下振れる。
- アリレックス・リンスコルが 2029 年までに合計 10 億ドルを超えて定着し、Haviza が 2028 年に発売されたら
- 除草剤・殺菌剤のシェアを上方修正し、楽観・やや楽観の確率を 5 ポイント上げる。
- 配当と自社株買いの合計が営業キャッシュフローを大きく超えて純現金を取り崩し始めたら
- 純現金の価値(時価総額の 23%)を割り引き、バリュー投資の観点では資本配分の評価を下げる。
- シアントラニリプロール・スルホキサフロルの後継(Isoclast や新しい殺虫剤)が遅れ、殺虫剤の売上が 2 割以上減ったら
- 殺虫剤のシェアを 10.5% から 8% 台に下げ、やや悲観の筋書きを中立に近づける。
- BASF・シンジェンタ・FMC のどれかが農薬事業の売却・統合に動いたら
- 業界の再編で価格の規律が変わる。買われる側・買う側のどちらにも選択肢が出て、確率と倍率を見直す。
見ておくもの
- 分離後の最初の決算(2026 年 11 月)の EBITDA 率・本社費・配当の額
- ブラジルの農薬の価格と後発品の動き(アグロペイジス・四半期の価格の変化)
- 新しい有効成分の売上(アリレックス・リンスコル・Utrisha N)と Haviza の発売時期
- 純現金・自社株買いの額と配当の方針
- 売掛金の回収期間・ブラジルの農家の破産
- 穀物価格・米国のトウモロコシ・大豆の作付面積
- シンジェンタ・バイエル・BASF・FMC の農薬の価格と再編
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 88 億ドルや、アナリストの目標を見て筋書きを作らなかった。世界の農薬市場(約 780 億ドル、推定)を除草剤・殺虫剤・殺菌剤・バイオに分け、市場 × シェア × 価格指数で売上を積んだ。価格は物価 1.41 倍よりずっと低い 1.10 倍(後発品の圧力)、利益率は会社の目標より低く置いた。k は基本の 8.0% に循環 +0.5%・値決め +0.5% を足した 9.0%。倍率は利益ベースの正当化 PER の上限の 8.5 割(中立は事業の ROE 8.4% が k 未満なので上限は 1÷k)。10 年の悲観は構造的に負ける筋書きで、時価総額と還元の合計は今の時価総額を下回る。今の株価からは逆算していない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。