結論
パッケージング・コーポレーション・オブ・アメリカ(PKG)は、米国の段ボール原紙(コンテナボード)と段ボール箱を一貫生産する会社で、売上の約 93% を占める包装事業と、約 7% の紙事業(非塗工上質紙)からなる。2025 年の売上は 89.9 億ドル、EBITDA は 18.8 億ドル、GAAP の純利益は 7.7 億ドル。2025 年 9 月にグライフの原紙事業(18 億ドル)を買収し、2026 年 Q2 の売上は 24.9 億ドル、包装の EBITDA 率は 21.1%、段ボール箱の出荷は前年比 +24.3%(既存分 +4.1%)。
強みは、競合(スマーフィット・ウェストロック北米 14%、インターナショナル・ペーパー北米 12%)より高い利益率と、自己資本比率 42%・純負債 EBITDA 比 2 倍弱という軽い財務。弱みは、原紙が商品で価格を決める力は供給の規律次第なこと、のれんと買収の統合、需要が横ばいなこと。
数量 × シェア × 価格で積んだ中立は、10 年後の包装の EBITDA 率 24%・純利益 約 15 億ドル、倍率は利益ベースの正当化 PER(k 8.5%、堀は普通・上限の 8 割)で 12.8 倍。割り引いた価値は今の時価総額(約 212 億ドル)を約 31% 下回り、割高に入る。悲観の下げ(時価総額で今から約 −55〜−85%)は深い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、10 年後も段ボールは存在し、通販・食品・日用品の出荷が続くかぎり需要は底堅い。堀は広がらないが、PKG は競合より安いコストで作り、閉鎖を主導し、買収を高値で買わない。商品事業の中では最も「ならした利益」が読みやすい会社である。
オーナー利益を見ると、2026 年の EBITDA 約 20 億ドルから設備投資 7〜8 億ドル、利息 1.3 億ドル、税を引いて、残りは純利益 8〜10 億ドルで、配当 5.4 億ドルの 1.5〜2 倍。再投資が要る成長は小さく、稼いだ利益の 7〜8 割を株主に返せる事業である。
安全域:今の時価総額は EBITDA の約 11 倍(企業価値で約 12.8 倍)で、2008 年の谷(PER 10 倍)や 2018 年(同 11 倍)に比べて高い。式どおりの倍率(k 8.5%・g 3.8%・ROE 約 19% で約 15 倍)の 8 割にあたる 12.8 倍を 2035 年の純利益 15 億ドルに掛けた中立の時価総額 約 192 億ドルは、今の 0.9 倍で、還元を足した年率は 3% 前後。割り引くと今の価格を下回り、将来の利益が少しでも下がると価値はさらに減る。商品の波が利益を振らせるため、確信度を下げて見る。
何で稼ぐ会社か
PKG は①包装事業(売上の約 93%)と②紙事業(約 7%)の 2 本で稼ぐ。
①包装:米国内の原紙工場(2025 年に買収したグライフの 2 工場、約 80 万トンを含む)で段ボール原紙を作り、自社の加工工場(グライフの 8 工場を含む)で箱にする垂直統合型。原紙の自社の箱への使い切り率が高く、残りを外販・輸出に回す。2026 年上期の包装は売上 45.0 億ドル、EBITDA 9.7 億ドル(21.6%)。顧客は食品・飲料・日用品・電子商取引・耐久財の包装で、1 社で売上を左右する顧客は少ない。
②紙:ミネソタ州インターナショナル・フォールズなどの工場で非塗工上質紙を作る。売上 約 6 億ドルで、市場は年に 2〜3% 縮む。利益の貢献は小さい(EBITDA 年約 1.5 億ドル)。
稼ぎ方の核は三つ。(1) 原紙の価格と稼働率(業界誌の指数に連動する価格改定が 6 か月ごとに入る)、(2) 段ボール箱の価格を原紙の変動へ数か月遅れで転嫁すること、(3) 工場の統廃合と費用削減(2025 年末にワシントン州ウォラ・ウォラの原紙の 25 万トンを閉鎖、トン当たり費用 −125 ドル、リストラ費 約 2 億ドル。ジャクソン工場に軽量ライナー 14 万トンを足す)。設備投資は年 7〜8 億ドル、減価償却は年 7 億ドル強、配当は年 5.4 億ドル前後。2025 年のセグメント別の数字は、2026 年上期の開示と全社の通期から推定した。
優良さと弱いところ
堀は広くはないが、競合の中では最も深い。原紙は商品で、価格は業界誌の指数で決まる。ただし北米の原紙は PKG・インターナショナル・ペーパー(IP)・ジョージア・パシフィック・スマーフィット・ウェストロック(SW)の少数が大半を占め、2025 年 2 月〜2026 年 3 月に約 390 万トンの能力が閉鎖された(Fastmarkets の推定)。この規律を維持することで価格を守る力が生まれる。PKG は閉鎖の主役の 1 つで、自社の費用の低い工場に生産を寄せる。
資本効率は競合を上回る。包装の EBITDA 率は PKG 21.1%(2026 年 Q2)、SW の北米 14.1%(上期)、IP の北米 12.2%。2006〜2025 年の自己資本 ROE の中央値は 20% 前後、営業利益率は最悪でも 7.6%(2010 年)。原因は、(a) 古い工場を閉じて新しい工場に集める、(b) 箱の工場が原紙工場の近くにある、(c) 経営が一貫して買収を高値で買わない。
弱い所は、グライフの買収(EBITDA の 8.5 倍)の統合がまだ途中で、2026 年は費用(運賃)が上がっていること、純負債が 2024 年の 20 億ドルから 38 億ドルへ増えたこと、2026 年の配当 20% 増が示す「還元の約束」が利益の波を受けること。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
北米の段ボール原紙は 2023〜25 年に不況だった。2025 年に約 10% の能力が閉じ、2026 年は需給が逆転した。2026 年に 2 回の値上げが入り、Fastmarkets の指数は 100 ドル/トンを認定済み。PKG は 9 月 1 日にさらに +140 ドル/トン(業界の通常の倍)を発表し、IP は +80、SW は +100、カスケードは +110〜140。ただし Truist は 50〜70 ドルの認定ならありうると見て、IP は北米の下期の需要を横ばい、箱の団体 AICC は値上げに反対している。需要は横ばいか小幅増にとどまり、値上げは供給の締まりに頼っている。
競合は北米で IP・SW・ジョージア・パシフィック・クラフト、加えて箱の工場だけを持つ中小。業界は寡占へ向かうが、能力が戻れば価格はすぐ崩れる。2025 年に IP・SW・PKG の 3 社が大型の買収・統合(IP の DS スミス、SW のウェストロック、PKG のグライフ)を済ませ、新設の能力は小さい。
10 年の見方:業界ノートの前提は数量 年 +1%(電子商取引の箱は伸びるが軽量化・薄肉化で食う)、価格は物価並み。この分析は市場の実質成長を年 0.5〜0.85% に置き、価格は 2025 年が谷のため中立で物価に 3〜4% を上乗せした。EU の包装規則(PPWR)は米国には直接かからないが、軽量化の流れとして数量の逆風になる。
資本政策と M&A
資本配分は規律型。借金を使った大型の買収は、2013 年のボイズ・パッケージング(約 20 億ドル)と、2025 年のグライフ(18 億ドル、EBITDA の 8.5 倍、シナジー込みで 6.6 倍)の 2 件で、どちらも PKG の既存の原紙・箱のネットワークに足す形で、買収後に利益率を上げてきた。配当は 2026 年 6 月から年 20% 増に引き上げ、年 5.4 億ドル前後。自社株買いは 2025 年 1.5 億ドルと少額で、2022 年のような大規模な買い戻しは借金が重い今は止まっている。
2026 年 6 月末の現金等は 6.7 億ドル、上期の設備投資は 3.7 億ドル、純利息は 0.66 億ドル(平均の利率が低い社債が中心)。2025 年末の純負債 38 億ドルは EBITDA の約 2.0 倍で、2026 年の利益で約 1.8 倍へ下がる見込み。新たな大型買収の予定は公表されていない。人についての事実(経営者の続柄など)は確認が取れないため書かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
北米の原紙は 2025〜26 年に約 390 万トンの能力が閉じて締まり、2026 年に値上げが 2 回通って、Fastmarkets の指数は 100 ドル/トンを認定した。9 月 1 日の +140 ドルは前例がなく、半分でも通れば 1 回目と合わせて 2 年で約 200 ドル/トンの上昇になる。PKG は包装の EBITDA 率が 21.1% でも、2022 年の山(約 23%)に届いておらず、値上げの実現と Wallula の費用削減(−125 ドル/トン)、ジャクソンの軽量ライナー(14 万トン)で、2027〜28 年に 23〜24% まで戻る。
グライフの 2 工場と 8 つの箱の工場は買収の 8.5 倍で入り、統合後は 6.6 倍。運賃・エネルギーの費用が出ても、PKG は価格を転嫁できる位置にいる。純負債は EBITDA の 2 倍を切り、2027 年以降は配当(年 5.4 億ドル)の余りで自社株買いも再開できる。式どおりに倍率を測ると、ROE 約 19%・g 4% で 16 倍前後になり、中立の 2035 年の時価総額は今とほぼ同じ。
慎重な見方
2026 年の締まりは、能力の閉鎖と在庫の薄さが生んだ一時の現象かもしれない。IP は北米の下期の需要を横ばいと見直し、AICC は値上げの理由を疑う。Truist は PKG の +140 ドルを「実現は 50〜70 ドル」と見る。SW の北米の箱の数量は前年比 −4.5% で、値上げが顧客を逃がす局面に入っている。PKG の既存の箱の出荷は +4.1% と堅いが、グライフの買収で伸びた 24.3% のうち 20 ポイント分は買収の効果で、需要の伸びではない。
収益の質も気になる。2026 年 Q2 の既存事業の利益は前年を下回り、運賃・本社費・価格と構成が押し下げ(運賃が最大)、EBITDA 率は 2022 年の山に届かない。今の PER は 27.5 倍(GAAP の 2025 年)、企業価値は EBITDA の 12.8 倍で、2008 年の谷の 10 倍、2018 年の 11 倍より高く、リーマンの山から谷の下げは −64%。10 年で見ると、軽量化・薄肉化・再利用で箱の数量は伸びにくい。
どちらに重みを置いたか
北米の需給が締まっているのは事実で、PKG の自助(Wallula、ジャクソン、グライフ)も実績があるため、強気の見方は 2〜3 年の利益について強い。10 年では、能力閉鎖の効果の半分が残るという中立が落としどころで、慎重な見方は倍率の高さと商品の波を突く。確率は 10 年で楽観側 30%・悲観側 32% と、ほぼ対称に置いた(財務が軽い分、悲観を SW より薄くした)。利益ベースの倍率で割り引いた価値は、今の時価総額を約 3 割下回る。悲観の下げは深い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 220.54 ドル198 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 96.41 ドル86 億ドル)。 今の値に割り戻すと 161.66 ドル145 億ドル、今との差 −32.4%、 期待の年率 +2.9%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 489.06 ドル438 億ドル | 168.53 ドル151 億ドル | +175.1% | +10.7% | 52.61 ドル47 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 335.94 ドル301 億ドル | 128.35 ドル115 億ドル | +94.3% | +6.9% | 102.14 ドル92 億ドル |
| 中立 | 38% | 213.95 ドル192 億ドル | 95.98 ドル86 億ドル | +29.7% | +2.6% | 117.77 ドル106 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 109.49 ドル98 億ドル | 66.96 ドル60 億ドル | −26.2% | −3.0% | 35.29 ドル32 億ドル |
| 悲観 | 12% | 35.94 ドル32 億ドル | 40.18 ドル36 億ドル | −68.2% | −10.8% | 9.13 ドル8 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 220.54 ドル198 億ドル | 96.41 ドル86 億ドル | +32.6% | +2.9% | 316.95 ドル284 億ドル |
今の株価時価総額 239.00 ドル214 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:原紙の規律が 10 年続き、PKG の利益率が 27% で定着 利益 26 億ドル · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 489.06 ドル438 億ドル
2035 年、能力の増設が止まり、北米の原紙の規律が 10 年続く。市場は 14% 増、PKG のシェアはグライフの原紙の取り込みと軽量ライナーで 12.6%、価格は 10 年で 1.62 倍(物価 1.41 倍に 15% 上乗せ)。包装の EBITDA 率は 27%(49.0 億ドル。2022 年の山を超える)、売上は 189 億ドル、純利益 26.3 億ドル。純負債は約 3 億ドルになるまで自社株買い 85 億ドルと増配(年 7%)を続け、10 年の還元は正味 151 億ドル。競合では IP の北米(12%)や SW(14%)の 2 倍に近い利益率で、ジョージア・パシフィックも追いつけない。自社株買いで自己資本が薄くなる分、ROE が 3 割台に膨らむ点に注意。
- 包装(段ボール原紙・段ボール箱):数量 889(北米の段ボール・原紙・紙器の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質。推定。SW と同じ定義))× 価格 20.4%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 182 億ドル・営業利益 37 億ドル。市場 889 億ドル × シェア 12.6% × 価格 1.62 倍(EBITDA 率 27.0%、減価償却 11.8 億ドル)
- 紙(非塗工上質紙):数量 70.2(米国の非塗工上質紙の市場(億ドル。実質。推定))× 価格 10.2%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 70.2 億ドル × シェア 6.8% × 価格 1.50 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 31.7%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 20.1%、g 4.0%(市場の数量(段ボールの実質 年 +0.5〜1%)× シェア × 価格(物価並み。需給が締まる間はやや上)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.8 倍(来年の利益に対して)。商品の波と高い式の値に頼らないよう、上限の 9 割(16.0 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.7 倍。時価総額 = 純利益 26 × 16.7 倍 = 438 億ドル。
確率:10 年にわたり供給の規律が続く展開。2025〜26 年に約 390 万トンの能力が閉じたが、10 年この規律が続く確率は低く、SW(6%)より財務と実績で上の PKG を 8% に置いた。
やや楽観 22% やや楽観:規律がおおむね続き、包装の EBITDA 率は 25.5% 利益 20 億ドル · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 335.94 ドル301 億ドル
2035 年、規律がおおむね続き、PKG の利益率が 10 年かけて 25.5% へ上がる。市場は 12% 増、シェア 12.0%、価格 1.53 倍(物価に 8% 上乗せ)。売上 167 億ドル、包装の EBITDA 40.9 億ドル、純利益 20.2 億ドル。純負債は約 3 億ドルで、自社株買い 52 億ドルと年 6% の増配、10 年の還元は正味 115 億ドル。競合の SW は北米の利益率を PKG に近づけるが、供給の規律が PKG に有利に働くかぎり差は 3〜5 ポイント残る。ジョージア・パシフィックとの価格競争は続き、箱の数量の伸びは電子商取引の効率化に抑えられる。式どおりの伸びと倍率で、10 年の価値は中立より約 5 割上に付く。
- 包装(段ボール原紙・段ボール箱):数量 874(北米の段ボール・原紙・紙器の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質。推定。SW と同じ定義))× 価格 18.4%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 161 億ドル・営業利益 30 億ドル。市場 874 億ドル × シェア 12.0% × 価格 1.53 倍(EBITDA 率 25.5%、減価償却 11.4 億ドル)
- 紙(非塗工上質紙):数量 70.2(米国の非塗工上質紙の市場(億ドル。実質。推定))× 価格 9.8%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 70.2 億ドル × シェア 6.8% × 価格 1.45 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 24.6%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 16.6%、g 4.0%(市場の数量(段ボールの実質 年 +0.5〜1%)× シェア × 価格(物価並み。需給が締まる間はやや上)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.9 倍(来年の利益に対して)。商品の波と高い式の値に頼らないよう、上限の 8.5 割(14.3 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.9 倍。時価総額 = 純利益 20 × 14.9 倍 = 301 億ドル。
確率:PKG の自助(Wallula の費用 −125 ドル/トン、ジャクソンの増強、グライフのシナジー)が計画どおり進み、規律もおおむね続く展開。22%。
中立 38% 中立:能力閉鎖の効果が半分残り、包装の EBITDA 率は 24% 利益 15 億ドル · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 213.95 ドル192 億ドル
2035 年、能力閉鎖の効果は半分ほど残るが、供給は物価並みの価格に収まる。市場は 9% 増(年 0.85%)、PKG のシェアは 11.5%(グライフ後の 11.3% から微増)、価格は物価 1.41 倍に 3% 強上乗せした 1.45 倍。包装の EBITDA 率は 24%(34.0 億ドル。2019 年の約 20% と 2022 年の約 23% の上)、売上 148 億ドル、純利益 15.0 億ドル(2025 年の約 2 倍。売上は 1.6 倍、うち物価 1.41 倍)。純負債は約 5 億ドルで、配当は年 5% 増、自社株買い 26 億ドルを合わせて 10 年の還元は正味 86 億ドル。競合の SW・IP が利益率を 18〜20% まで改善して追う中、PKG は 24% を保つ。
- 包装(段ボール原紙・段ボール箱):数量 850(北米の段ボール・原紙・紙器の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質。推定。SW と同じ定義))× 価格 16.7%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 142 億ドル・営業利益 23 億ドル。市場 850 億ドル × シェア 11.5% × 価格 1.45 倍(EBITDA 率 24.0%、減価償却 11.0 億ドル)
- 紙(非塗工上質紙):数量 70.2(米国の非塗工上質紙の市場(億ドル。実質。推定))× 価格 9.6%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 70.2 億ドル × シェア 6.8% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 19.0%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.7%、g 3.8%(市場の数量(段ボールの実質 年 +0.5〜1%)× シェア × 価格(物価並み。需給が締まる間はやや上)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.4 倍(来年の利益に対して)。商品の波と高い式の値に頼らないよう、上限の 8 割(12.3 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.8 倍。時価総額 = 純利益 15 × 12.8 倍 = 192 億ドル。
確率:議論の落としどころで最大。能力閉鎖の効果の半分が残り、利益率は 2022 年の山の少し上にとどまる。38%。
やや悲観 20% やや悲観:能力が戻り、価格は物価に届かず利益率は 21.5% 利益 9 億ドル · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 109.49 ドル98 億ドル
2035 年、能力が戻り、箱の電子商取引分も伸びが鈍って、価格は物価に届かない 1.38 倍。市場は 3% 増にとどまり、PKG のシェアは SW・IP の値引きで 11.0% へ 0.3 ポイント下がる。包装の EBITDA 率は 21.5%(26.2 億ドル)、売上 128 億ドル、純利益 8.8 億ドル。純負債は約 16 億ドル。配当は年 3% 増、自社株買い 4 億ドルで、10 年の還元は正味 60 億ドル。競合の SW がコスト削減を終えて利益率 18% 前後に並び、ジョージア・パシフィックが能力を足して、PKG の「価格を守る」優位が薄れる。
- 包装(段ボール原紙・段ボール箱):数量 803(北米の段ボール・原紙・紙器の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質。推定。SW と同じ定義))× 価格 15.2%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 122 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 803 億ドル × シェア 11.0% × 価格 1.38 倍(EBITDA 率 21.5%、減価償却 10.8 億ドル)
- 紙(非塗工上質紙):数量 67.5(米国の非塗工上質紙の市場(億ドル。実質。推定))× 価格 9.2%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 67.5 億ドル × シェア 6.8% × 価格 1.35 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 12.9%、k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)、残る割合 0.50(普通の堀)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.7%、g 3.5%(市場の数量(段ボールの実質 年 +0.5〜1%)× シェア × 価格(物価並み。需給が締まる間はやや上)から出した値。ROE から出していない)、正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.5 倍(来年の利益に対して)。能力が戻り競合の値引きで優良でなくなる分、上限の 8 割(10.8 倍)に置き、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.2 倍。時価総額 = 純利益 9 × 11.2 倍 = 98 億ドル。
確率:10 年のうちに能力が戻り、競合の値引きで利益率が戻る展開。20%。
悲観 12% 悲観:構造的に負ける。数量が減り、配当も半分になる 利益 4 億ドル · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 35.94 ドル32 億ドル
2035 年、構造的に負ける。軽量化・薄肉化・再利用の流れで市場は 3% 縮み、PKG のシェアも SW・IP とのコスト競争で 10.2% へ下がる。価格は物価 1.41 倍に届かない 1.32 倍。包装の EBITDA 率は 20.5%(20.9 億ドル)、営業利益率は約 10%、売上 107 億ドル、純利益 4.4 億ドル。純負債は約 19 億ドルで、配当は 2030 年から半分にして、自社株買いは止める。10 年の還元は正味 36 億ドル。もう優良ではなくなっている状態で、自己資本 × 式の PBR で測る。リーマンで同業のインターナショナル・ペーパーは −84% まで下げた。
- 包装(段ボール原紙・段ボール箱):数量 757(北米の段ボール・原紙・紙器の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質。推定。SW と同じ定義))× 価格 13.5%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 102 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 757 億ドル × シェア 10.2% × 価格 1.32 倍(EBITDA 率 20.5%、減価償却 10.5 億ドル)
- 紙(非塗工上質紙):数量 63.0(米国の非塗工上質紙の市場(億ドル。実質。推定))× 価格 8.5%(PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 63.0 億ドル × シェア 6.8% × 価格 1.25 倍
倍率:構造的に負けて自己資本 ROE は 6.7%(10 年目の純利益 ÷ 自己資本 66 億ドル)。長期の g 2.5%(市場 実質 −1%(軽量化・薄肉化・再利用の流れ)× シェア 0 × 価格は物価並み。伸びに要る元手も減る)・k 8.5% を式 PBR = (ROE − g)/(k − g) に入れた値 0.70 倍を、今の自己資本 46 億ドルに掛けた。ROE が k を下回るので帳簿は床にならない。企業価値は EBITDA の約 4 倍の安値圏で、衰退する紙事業の水準。
確率:構造的な数量の減少と競合の台頭で優良でなくなる展開。商品事業で 10 年のうちに深い不況が一度は来る確率も含め、PKG は財務が軽いので SW(15%)より低い 12% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
包装(段ボール原紙・段ボール箱)
原紙工場(グライフ 2 工場を含む)から自社の箱の工場へ回す垂直統合型。余った原紙は外販・輸出。売上の約 93%、利益のほぼ全部。
| 数量北米の段ボール・原紙・紙器の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質。推定。SW と同じ定義) | 価格PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 780 | 10.7% | 84 | 13 |
| 10 年後 中立 | 850 | 16.7% | 142 | 23 |
取り方:北米の対象市場を約 780 億ドルと置いた(SW の分析と同じ。段ボール製品 約 430 億ドル(Mordor の 2025 年の北米推計)に、原紙の外販・紙器などを足した推定で、調査会社の幅が大きい)。売上 83.7 億ドルからシェアは約 10.7%(グライフは 9 月に成立したので通年だと 2026 年は約 11.3%)。売上 = 市場 × シェア × 価格。EBITDA は約 19.7 億ドル(23.5%。2025 年は旧事業が約 24%)、減価償却 約 6.5 億ドルを引いた営業利益は 13.2 億ドル。2026 年 Q2 の包装 EBITDA 率は 21.1%(グライフの低い利益率が入り、運賃が上がったため)。競合と照らすと SW 北米 14%、IP 北米 12%。価格は中立で物価 3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍が基本で、2025 年が谷なので 2026 年の値上げが残る分だけ物価より上に置く。
紙(非塗工上質紙)
アイダホ州・ミネソタ州などの非塗工上質紙。需要は年に 2〜3% 縮む。売上の約 7%、利益の約 5%。
| 数量米国の非塗工上質紙の市場(億ドル。実質。推定) | 価格PKG のシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 90.0 | 6.8% | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 70.2 | 9.6% | 7 | 1 |
取り方:市場を約 90 億ドル(推定。電子書類化で縮む)と置き、売上 6.1 億ドルからシェア約 6.8%。2026 年 Q2 の EBITDA は 0.39 億ドル(年約 1.5 億ドル)、減価償却 約 0.5 億ドルを引いた営業利益 0.7 億ドル(11.5%)。市場は実質で年 2〜3% 縮み、価格は物価並みに上げる(値上げ継続)。本社費(−1.6 億ドル)は調整に入れ、合計で 2025 年の営業利益 12.3 億ドルになる。
リスクと懸念
原紙価格の反落
2026 年の値上げ(Fastmarkets の指数で 100 ドル認定済み、PKG の +140 ドルは 9 月 1 日)が定着するかは供給の規律次第。IP は北米の下期の需要を横ばいと見直し、AICC は値上げに反対している。能力が戻れば価格が崩れ、包装の EBITDA 率は 2025 年の水準の 20% 前後へ戻る。中立でも値上げの約半分が戻ると置いた。
数量の伸びが鈍い
既存の箱の出荷は 2026 年 Q2 で +4.1% と堅いが、SW の北米は −4.5%。値上げが顧客の離れを呼ぶ局面がある。軽量化・薄肉化・電子商取引の箱の効率化は、数量の逆風になる。需要の伸びを年 0.5〜0.85% と低く置き、悲観では市場が縮む筋書きも置いた。
グライフの統合
買収は EBITDA の 8.5 倍で、18 億ドルの大半を借金で賄い、純負債は 20 億ドルから 38 億ドルへ増えた。2026 年 Q2 の一部に減価償却の見直し(買収した固定資産の評価の調整)の押し上げがあり、実力の利益は見かけより小さい。統合費用は特別項目で出続ける。
費用の上昇
2026 年は運賃(最大の押し下げ)、再生繊維・化学品、購入電力が上がる。第 3 四半期の見通しでも運賃は 5〜6 月の水準以上で、木材繊維と天然ガスは横ばい。値上げの転嫁が遅れると、包装の EBITDA 率が 21% 台から戻らず、中立の 23% に届かない。
倍率が高い
今の PER は GAAP で 27.5 倍、企業価値は EBITDA の約 12.8 倍で、2008 年の谷(PER 10 倍・PBR 2.0 倍)と比べて高い。この分析の式の倍率は 10 年目の利益に 13 倍前後で、利益が想定より 2 割下がれば価値もその分だけ動く。
設備投資と費用削減の期待外れ
Wallula の改組(−125 ドル/トン、リストラ費 約 2 億ドル)とジャクソンの軽量ライナー(14 万トン)の稼働が遅れると、2026〜27 年の利益率の改善が先送りになる。設備投資は年 7〜8 億ドルで物価と共に上がる。
のれん・買収の高値づかみ
バリュー投資の観点で、市況が悪化した後の買収や、高値の自社株買いは価値を壊す。PKG の過去の買収(ボイズ、グライフ)は既存のネットワークに足す規律型だが、次の大型買収が価格の山の近くで高い倍率で行われる危険は消えない。
今後の分かれ目
- 9 月 1 日の +140 ドル/トンと IP・SW の値上げが、業界誌の指数に半分以上反映されたら
- 原紙の需給が構造的に締まったとみて、楽観・やや楽観の確率を上げる。包装の EBITDA 率が 23% 台へ戻り、2027 年の純利益が 12 億ドルを超える。
- 既存の箱の出荷が 2027 年も前年比 +2% 以上で、SW の北米の数量が戻ったら
- 値上げで顧客を失っていないとみて、中立の市場の伸びを上げる。
- 2027 年の純負債が EBITDA の 1.5 倍を切り、自社株買いが再開したら
- 資本配分の質が確認でき、確信度が上がる。還元が増える分だけ中立の価値が上がる。
- 原紙の指数が 2 四半期続けて下がり、IP・ジョージア・パシフィックが能力を再稼働したら
- 2026 年の締まりが一時とわかり、やや悲観・悲観の確率を上げる。包装の EBITDA 率は 20% 前後へ戻る。
- 運賃・エネルギーの費用が下がり、Q3・Q4 の EBITDA 率が 22% を超えたら
- 2026 年が回復の入口であることを裏づけ、10 年の筋書きを上寄りに見直す。
- 大型の買収(IP や SW の北米事業など)が公表されたら
- 買い値と借金次第で、のれんと負債が増えて筋書きの確率が悲観側へ動く。
見ておくもの
- 北米の原紙の価格指数(Fastmarkets RISI など)と、9 月 1 日の +140 ドルの認定額
- 包装の EBITDA 率(2026 年 Q2 は 21.1%)と、第 3 四半期の利益見通しの達成度
- 既存の箱の出荷(2026 年 Q2 は前年比 +4.1%)と SW・IP の数量
- 純負債(2025 年末 38 億ドル)の EBITDA 倍率と、自社株買いの再開
- 運賃・再生繊維・電力の費用と、転嫁の速さ
- Wallula の改組の効果(−125 ドル/トン)とジャクソンの軽量ライナーの稼働
- 競合の能力の閉鎖・新設と、SW・IP の北米の利益率
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(約 212 億ドル)や PER(27.5 倍)を見る前に、包装を市場 × シェア × 価格指数、紙を市場 × シェア × 価格で積み上げ、EBITDA 率と減価償却から営業利益・純利益を出した。倍率は k 8.5%(基本 8.0% + 商品相場 0.5%)・g(市場の実質伸び × シェア × 価格。ROE からは出していない)・自己資本 ROE の式の 8〜9 割に置いた(堀は普通、10 年目の利益に ×(1+g))。悲観は ROE が k を下回るので、式の PBR 0.70 倍を今の自己資本に掛けた。結果は今の PER が高いぶん割高に出た。確率は楽観側 30%・悲観側 32% とほぼ対称で、結果に合わせて動かしていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。
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