結論
オーウェンス・コーニングは、米国の住宅を風雨から守る屋根材と断熱材、住宅用ドアを製造する建材大手である。筆者の結論は割安だ。ドア事業の買収失敗が株主価値を傷つけたものの、屋根材と断熱材には今後も長く利益を生む力があり、現在の時価総額はその価値を十分に映していない。
2025年の売上は101億ドル、営業利益は添付factsの基準で17億ドル、最終損益は5億ドルの赤字だった。ただし、この赤字には2024年に買収したメゾナイトのドア事業に対する11億ドル超ののれん減損が含まれる。現金を失ったわけではなく、2025年には約10億ドルのフリーキャッシュフローを生んでいる。赤字だけを見て事業全体が弱くなったと判断するのは誤りだ。
最も価値があるのは屋根材である。米国の住宅は古くなれば屋根を張り替えなければならず、多少景気が悪くても需要は消えない。販売網と施工業者との関係が強く、2025年も出荷数量が減るなかで値上げを実現した。断熱材も省エネルギー規制と既存建物の改修に支えられる。一方、ドア事業は競争が激しく、買収後の収益率は期待を下回っている。
2026年4〜6月期の継続事業は売上28億ドル、純利益約3億ドルと黒字を維持したが、ドアの需要低迷と製造コスト上昇が続いている。10年後の中立では、屋根材の数量が緩やかに増え、価格改定が定着し、断熱材とドアの収益性が改善する姿を想定した。中立の純利益は19億ドル程度に達する。ただし、純負債54億ドルと買収の失敗を軽視せず、悲観側にも十分な重みを持たせた。
5つの筋書きの確率を加味し、資本コスト8.5%で現在価値に直した本質価値は約150億ドルとなる。基準時点の時価総額約92億ドルを約63%上回り、判定は割安である。安全域は大きいが、その実現には屋根材の値決め力が続き、ドア事業で再び大きな資本損失を出さないことが必要になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、屋根材は長く持ちたい事業である。屋根は住宅が存在する限り必要であり、一定の年数が経てば交換しなければならない。ブランド、施工業者との関係、流通網、製造規模が組み合わさり、低価格だけの競争になりにくい。10年後も利益を生む姿を比較的想像しやすい。
断熱材にも長寿命の需要がある。住宅の断熱性能を改善すると冷暖房費を減らせるため、エネルギー価格や建築規制が需要を支える。しかし、工場への再投資が必要で、原材料とエネルギー費の変動も大きい。屋根材のように高い利益率を長期間確保できるとまでは考えない。
難しいのはドア事業だ。買収後に11億ドル超の減損が必要になったことは、購入時に想定した将来利益が実現しなかった証拠である。今後は工場の統廃合と生産性改善によって利益が戻る可能性があるが、値上げだけで解決できる問題ではない。新たに稼いだ現金を別の高額買収に使えば、同じ過ちを繰り返しかねない。
オーナー利益を見ると、2025年は最終赤字でも営業キャッシュフローが約18億ドルあり、設備投資を引いたFCFは約10億ドルだった。住宅建材として十分に現金を生む一方、工場の維持と増産には資金を要するため、会計上の償却を無条件に利益へ足し戻すことはしない。株式報酬も株主の費用である。
筆者が重視する安全域は、屋根材の強さだけでなく、ドアの失敗と純負債54億ドルを引いてなお残るかである。現在の値段にはその余地がある。ただし、この会社を最高品質の独占企業と扱うことはできない。買収への規律を失った瞬間に、割安さのかなりの部分が消える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は屋根材、断熱材、ドアの3事業である。2025年のセグメント売上は屋根材44億ドル、断熱材37億ドル、ドア21億ドルで、内部取引を消去した全社売上は101億ドルだった。かつてのガラス繊維補強材事業は2026年4月に売却が完了し、今は住宅建材に集中した会社になっている。
屋根材は、アスファルトシングルと呼ばれる屋根を覆う板状の材料が主力である。防水用の下葺き材、棟部材、換気部材なども売り、屋根全体を一式で提供する。顧客は建材卸売業者やホームセンターで、実際の製品選定には屋根施工業者が強い影響力を持つ。主力ブランドのDurationは、屋根を長持ちさせる性能と施工のしやすさを訴求している。2025年の屋根材事業のEBITDA利益率は32%と、3事業で最も高い。
断熱材は、住宅の壁や屋根裏に入れるグラスウール、吹込み材、硬質断熱ボードに加え、商業施設や工場で使うロックウール、発泡ガラスなどを製造する。PINK FIBERGLAS、FOAMULAR、FOAMGLAS、Parocなどのブランドを持つ。北米では新築住宅、欧州では改修工事や産業用途の需要が重要になる。工場はエネルギーを多く使うため、稼働率と天然ガス価格が利益を左右する。
ドア事業は2024年に買収したメゾナイトが母体で、室内用の成形ドア、玄関用の木製・金属製・ガラス繊維製ドア、枠や金具を一体化したドアシステムを扱う。北米では大型ホームセンターと住宅建設会社への販路が重要である。買収価格は約32億ドルだったが、2025年には巨額ののれん減損を計上した。製品に需要はあるものの、屋根材ほど強い値決め力はない。
この会社は材料を売って終わりではない。施工業者が慣れた製品を繰り返し指定し、流通業者が在庫を持ち、住宅所有者がブランドで選ぶ仕組みを作っている。とくに屋根材では、この販売網が商品の品質と並ぶ大きな財産である。
優良さと弱いところ
最も強い堀、つまり競争相手が容易に奪えない利益の源泉は、屋根材のブランドと施工業者のネットワークである。屋根の施工品質は家全体の寿命に関わる。施工業者は扱い慣れた材料と保証制度を重視し、材料費だけを見て頻繁にメーカーを変えるわけではない。オーウェンス・コーニングは米国シングル市場で第2位の規模を持ち、約2万6000社を超える施工業者ネットワークを築いてきた。
値上げの実績もある。2025年の屋根材は数量が約7%減ったが、販売価格の改善が売上を約1.3億ドル押し上げた。原材料価格に左右される部分はあるものの、需要が弱い年にも価格を上げられたことは重要だ。2026年4〜6月期も屋根材のEBITDA利益率は34%を維持しており、単なる景気の山だけでは説明しにくい。
断熱材の堀はブランド、工場の規模、流通網、建築基準への適合力である。北米最大級のグラスウールメーカーとして安定供給できる点は強い。ただし、サンゴバン、ジョンズ・マンビル、クナウフ、ロックウールなどが競争し、価格だけで勝ち続けることは難しい。ドアはさらに競争が厳しく、施工業者や小売業者の乗り換えも屋根材ほど難しくない。
資本効率は評価を分ける。屋根材への設備投資や値上げは高い収益率を生んできたが、メゾナイト買収では資本コストを超える利益を得られなかった。2025年の減損は、経営陣による過去の買収価格の判断が甘かったことを示している。全社を一律に強い堀と評価せず、屋根材の強さとドアの弱さを分けて考える必要がある。
AIエージェント代替の指定型には該当しない。売っているのは人月、席課金、操作画面ではなく、住宅に実際に施工する物理的な建材である。AIは設計や在庫管理の効率を高めても、屋根や断熱材そのものを不要にはしない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国住宅建材の需要は、住宅の新築、既存住宅の修繕、建物の省エネルギー化という3つの流れから生まれる。2026年は住宅ローン金利の高さが新築と裁量的な改装を抑えているが、既存住宅の屋根や断熱材の更新は止まらない。屋根材は需要の大部分が張り替えであり、新築住宅の着工件数だけでは将来を測れない。暴風雨や雹の被害は年ごとの販売数量を大きく動かす。
米国のアスファルトシングル出荷は、業界団体ARMAによれば2025年に約1億5450万スクエアだった。前年から約10%減少している。2026年前半も出荷は前年を下回り、住宅市場は回復途上にある。1スクエアは屋根面積100平方フィートを表す。シングル自体の米国メーカー出荷額は年100億〜120億ドル程度と推定されるが、屋根材事業には下葺き材やアスファルト販売なども含まれる。
競争相手は、米国最大手のGAF、サンゴバン傘下のサータンティード、IKO、アトラス、タムコなどである。業界推定ではシングルの数量シェアはGAFが約30%、オーウェンス・コーニングが約20%、サータンティードが約15%となる。メーカーの集中度は高いが、GAFが首位を保つため、オーウェンス・コーニングが自由に値上げできる独占市場ではない。
断熱材は、光熱費と建築基準の厳格化が長期需要を支える。北米に加え、欧州では既存建物の断熱改修と防火性能の改善が重要になる。天然ガス価格、工場稼働率、発泡樹脂やセルロースなどの代替材との競争が利益を左右する。大手メーカーが各地域で工場を持つため、輸送距離の長い製品ほど地元供給網が競争力になる。
ドア市場は構造が異なる。米国住宅用ドアでは2025年の上位4社の売上シェアが約65%だったが、上位2社の合計は2020年の約50%から約40%へ低下した。メゾナイトとジェルドウェンなど伝統的大手は、新興の全国メーカーや地域メーカーに市場を奪われている。2025年の減損は単なる住宅不況ではなく、この競争構造の変化も反映している。
10年後には住宅の老朽化と省エネルギー規制が需要を支える一方、人口増加だけで大幅な数量増を期待することはできない。屋根材は緩やかな数量成長と価格改定、断熱材は省エネルギー需要、ドアはシェア維持の成否がそれぞれの中心になる。骨材会社のような採石場の地域独占は持たないため、同じ建設資材でも堀の性質は異なる。
資本政策と M&A
過去10年の資本配分は、株主還元では優秀だったが、大型買収で失点した。2016〜2025年の自社株買いは累計約44億ドル、配当は約13億ドルで、株式報酬を差し引いた正味還元は約52億ドルに達する。株数は継続的に減少し、利益が好調だった2021〜2023年には自社株買いが大きな株主価値を生んだ。
一方、2024年のメゾナイト買収には約32億ドルを投じ、純負債は大きく増えた。2025年にはドア事業で約11.35億ドルののれん減損を計上した。2026年には当初約1.25億ドルと約束していたドアの年間費用相乗効果を1.35億ドルまで実現し、さらに0.75億ドルの改善を進めている。ただし、費用削減によって買収価格の失敗が帳消しになるわけではない。
事業の整理も進めた。中国・韓国の建材事業を売却し、2026年4月にはガラス繊維補強材事業の売却を完了した。取引の企業価値は6.45億ドルで、手取り現金は約2.8億ドルとなる見込みだった。会社はこれを成長投資と株主還元に充て、資本集約的な事業から撤退する方針である。
2025年の投資家説明会では、2028年の売上125億ドル、全社EBITDA利益率20%台半ば、2025〜2028年の累計FCF50億ドル超、投下資本利益率10%台半ばを目標とした。また2025〜2026年に合計20億ドルを配当と自社株買いで還元する方針を示した。2026年6月末の自社株買い残枠は1080万株だった。2026年の設備投資は約8億ドル、純利息負担は約2.6億ドルを見込んでいる。
経営陣が次に示すべきなのは、さらに大きな買収ではない。高い資本コストを上回る新規投資だけを実行し、負債を減らしながら株主の手に現金を戻す規律である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社の中核である屋根材は、住宅建材のなかでも特に長寿命の利益源である。米国には膨大な既存住宅があり、屋根は風雨や紫外線で傷む。補修を先延ばしにできても、交換を永久に避けることはできない。住宅新築が低迷しても、屋根の張り替え需要が会社を支える。
オーウェンス・コーニングはGAFに次ぐ規模を持ち、施工業者ネットワークと主力ブランドを通じて高付加価値のシングルを販売している。2025年は数量が約7%落ちても価格改定が売上を支え、2026年4〜6月期の屋根材EBITDA利益率は34%だった。値上げが数量減を補うことを実績で示している。耐候性能の高い製品への移行も単価を引き上げる。
断熱材も、住宅のエネルギー効率向上という長期の追い風がある。北米での工場規模とブランドは強く、欧州での建物改修需要も続く。2026年は住宅需要が弱いが、工場稼働率が正常化すれば固定費を吸収し、営業利益率が改善する余地は大きい。新たな工場を大量に買収しなくても、既存設備の増強と商品構成の改善で利益を伸ばせる。
ドア事業の失敗も、2025年の減損によって帳簿の過大な期待が整理された。経営陣は既に1.35億ドルの年間費用相乗効果を実現している。さらに工場を統廃合し、住宅需要が回復すれば、ドアの利益率は今の11%のEBITDA水準から改善できる。屋根材ほど強くはないが、無価値な事業でもない。
2026年のガラス繊維補強材売却で会社は3事業に集中した。高資本集約事業から撤退し、現金を成長投資と還元に向ける判断は合理的である。今後は買収を抑え、屋根材と断熱材で稼いだ資金を負債削減と自社株買いに振り向けられる。中立を上回る数量成長と値上げが続けば、10年後の純利益は25億ドルを超える。屋根材の強さを中心に考えると、現在の企業価値はその長期利益を低く見積もりすぎている。
慎重な見方
屋根材の高い利益率が10年後まで残るとは限らない。アスファルトシングル市場ではGAFが首位で、サータンティード、IKO、アトラスなども競争力を持つ。メーカーの集中度が高くても、卸売業者や施工業者が価格改定を受け入れ続ける保証はない。2025年の屋根材出荷数量は約7%減少し、2026年前半の売上も弱かった。値上げに頼る成長には限界がある。
断熱材も競争優位が絶対ではない。サンゴバン、クナウフ、ジョンズ・マンビル、ロックウールは大規模な製造設備と販路を持つ。グラスウールや発泡樹脂の性能差が小さくなれば価格競争は強まる。天然ガスと電力価格が上がる一方で値上げが通らなければ、利益率は大きく縮む。断熱規制が厳しくなっても、その利益を既存メーカーが独占できるわけではない。
最も深刻なのはドア事業である。メゾナイトは約32億ドルで買収されたが、2025年には11億ドル超ののれん減損が発生した。ドアの出荷数量は2025年に約8%減り、2026年前半の売上も約10%減少した。費用削減によって一時的に利益を戻しても、競合に奪われた販売網や市場シェアは簡単には戻らない。業界調査では米国住宅用ドアの上位2社の合計シェアが近年大きく低下している。
財務面の余裕も十分ではない。2025年末の純負債は約54億ドルで、時価総額の半分以上に当たる。買収前より負債は大幅に増え、借り換え金利が高止まりすれば利払いが利益を圧迫する。2025年の配当と自社株買いの合計はFCFをわずかに上回った。これを続けながら負債を減らすのは難しい。
2026年4〜6月期の3事業は前年よりEBITDAが低下し、会社は次の四半期にも原材料価格上昇による追加費用を見込んだ。2028年の会社目標には住宅市場の回復とドアの改善が必要である。買収で失った資本を再び取り戻す保証はなく、屋根材までシェアを落とせば、長期の企業価値は大きく縮む。
どちらに重みを置いたか
屋根材の長期需要と値上げ実績は強い根拠を持つ。断熱材にも持続的な需要があり、2025年の最終赤字を事業の恒常的な稼ぐ力と同一視するべきではない。一方、ドア事業では実際に巨額の減損が起き、純負債も厚い。将来の買収失敗を無視した強気の評価にはできない。
確率は楽観側27%に対し、悲観側38%と慎重側へ寄せた。これは住宅市場の循環を資本コストでもう一度罰するためではなく、ドアの市場シェア低下と経営陣の資本配分に独立した不確実性があるためだ。それでも、屋根材と断熱材の長期利益と株主還元の現在価値が大きく、結論は割安となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 300.13 ドル241 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 80.90 ドル65 億ドル)。 今の値に割り戻すと 186.55 ドル150 億ドル、今との差 +54.0%、 期待の年率 +14.2%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 745.21 ドル598 億ドル | 151.93 ドル122 億ドル | +640.5% | +26.1% | 71.77 ドル58 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 522.03 ドル419 億ドル | 114.57 ドル92 億ドル | +425.5% | +21.1% | 120.95 ドル97 億ドル |
| 中立 | 35% | 335.82 ドル270 億ドル | 87.17 ドル70 億ドル | +249.1% | +15.6% | 148.05 ドル119 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 90.51 ドル73 億ドル | 54.79 ドル44 億ドル | +19.9% | +2.3% | 34.87 ドル28 億ドル |
| 悲観 | 14% | 14.82 ドル12 億ドル | 23.66 ドル19 億ドル | −68.2% | −14.4% | 5.39 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 300.13 ドル241 億ドル | 80.90 ドル65 億ドル | +214.5% | +14.2% | 381.03 ドル306 億ドル |
今の株価時価総額 121.15 ドル97 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:屋根材がシェアを伸ばし、断熱材とドアも高収益化する 利益 35 億ドル · PER 17.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 745.21 ドル598 億ドル
2035年、米国の老朽住宅の修繕と異常気象への備えが屋根材需要を押し上げる。シングル市場は年間2億スクエアに増え、オーウェンス・コーニングは施工業者との結び付きを強めてシェアを23%へ伸ばす。価格は2025年の1.55倍となり、屋根材売上は100億ドルを超える。GAFの強さは残るものの、高機能シングルと屋根システムの販売で利益率が高まる。
断熱材は北米の住宅建設回復と欧州の断熱改修が重なり、対象市場の実質規模が約3割増える。サンゴバンやクナウフとの競争でも販路を広げ、換算シェアは10%を超える。ドアは工場統廃合と高付加価値製品への移行が成功し、ジェルドウェンなどからシェアを取り戻す。
2024年の大型買収の反省から経営陣は買収規律を強め、増分投資の収益率は資本コストを十分に上回る。純負債を管理しつつ累計122億ドルを正味で株主に戻す。10年間のGAAP純利益累計は210億ドルとなり、自己資本は約127億ドルまで増える。屋根材の高収益と断熱材の効率化が続き、10年目の純利益は35億ドルとなる。
- 屋根材:数量 46.0(シングル換算出荷数量(百万スクエア。米国市場出荷数量×当社推定シェア))× 価格 223(ドル/スクエア(屋根付属品・アスファルト等を含むセグメント売上換算単価))→ 売上 102 億ドル・営業利益 29 億ドル。米国シングル市場200百万スクエア×当社シェア23.0%。換算単価は2025年の1.55倍。GAFとの差を縮める。
- 断熱材:数量 57.1(北米・欧州・中南米の断熱材市場×当社シェア(2025年価格換算の実質需要、億ドル相当))× 価格 1.50(名目販売単価指数(2025年=1))→ 売上 86 億ドル・営業利益 18 億ドル。対象市場560億ドル×換算シェア10.2%。価格指数1.50。高付加価値製品と稼働率改善が進む。
- ドア・ドアシステム:数量 33.2(ドア換算販売数量(百万枚。米国・カナダ・英国の対象市場数量×当社推定シェア))× 価格 133(ドル/枚(ドア枠・部材・システムを含むセグメント換算単価))→ 売上 44 億ドル・営業利益 6 億ドル。対象市場151百万枚×換算シェア22%。価格は1.50倍。ドアシステムの拡販と相乗効果が定着。
倍率:事業のROEは35.2÷126.5=27.8%。kは8.5%、moatはnormalで超過収益の残存割合は1/2、RONICは18.2%。10年目以降のgは4.0%で、住宅修繕・断熱改修市場の実質数量+0.8%、シェア+0.2%、価格+3.0%から出す。正当化PERの10年目利益基準の上限は約18.0倍。屋根材のブランドと流通網が強く残るため上限の約94%に当たる17.0倍を採用する。純利益はGAAPで償却と株式報酬を費用とし、余剰現金の別加算はない。
確率:米国の屋根張り替え市場が拡大し、当社の数量シェアが20%から23%まで上がる。同時に断熱材の規模と収益性が改善し、メゾナイト買収も十分な利益を生む展開である。GAFなどの競合に勝ち続け、3事業とも改善する必要があるため8%とした。
やや楽観 19% やや楽観:住宅需要が回復し、屋根材の値上げと断熱材の改善が続く 利益 27 億ドル · PER 15.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 522.03 ドル419 億ドル
2035年、米国の住宅修繕市場は緩やかな成長を続け、屋根材の年間出荷市場は1億8200万スクエアとなる。オーウェンス・コーニングはGAFとの競争を維持しながら、施工業者ネットワークを通じて高機能製品の販売を伸ばす。数量シェアは22%に達し、換算単価は2025年の1.49倍となる。
断熱材は建築基準の厳格化と住宅・非住宅の更新需要に支えられる。サンゴバン、クナウフ、ロックウールとの競争は続くが、北米の製造規模と高付加価値製品の比率改善によって営業利益率が20%近くまで上がる。ドアでは工場統廃合の費用削減が定着し、値上げと住宅需要の回復が利益を支える。
大型買収を繰り返さず、成長設備と製品開発への投資を優先する。純負債の削減と株主還元を両立し、10年間の正味還元は92億ドルとなる。期間中のGAAP純利益累計は156億ドル、期末自己資本は約103億ドルに増える。屋根材の優良さは維持され、10年目には純利益27億ドル弱を稼ぐ。
- 屋根材:数量 40.0(シングル換算出荷数量(百万スクエア。米国市場出荷数量×当社推定シェア))× 価格 214(ドル/スクエア(屋根付属品・アスファルト等を含むセグメント売上換算単価))→ 売上 86 億ドル・営業利益 23 億ドル。米国市場182百万スクエア×シェア22.0%。価格1.49倍。GAFとの競争に耐え、付属品販売が増える。
- 断熱材:数量 48.9(北米・欧州・中南米の断熱材市場×当社シェア(2025年価格換算の実質需要、億ドル相当))× 価格 1.46(名目販売単価指数(2025年=1))→ 売上 71 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場515億ドル×換算シェア9.5%。価格1.46倍。住宅回復と欧州改修が支える。
- ドア・ドアシステム:数量 29.6(ドア換算販売数量(百万枚。米国・カナダ・英国の対象市場数量×当社推定シェア))× 価格 128(ドル/枚(ドア枠・部材・システムを含むセグメント換算単価))→ 売上 38 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場141百万枚×シェア21.0%。価格1.45倍。工場合理化と製品構成改善が成功する。
倍率:ROEは26.7÷102.5=26.0%。k8.5%、moat normalの残存割合1/2からRONICは17.3%。長期g3.9%は対象市場の実質数量+0.7%、シェア横ばい、価格+3.2%の組み合わせ。正当化PERの10年目利益基準上限は約17.5倍。屋根材の高収益が続く一方、ドアと断熱材は競争にさらされるため、上限の約90%で15.7倍とする。GAAP純利益に掛け、償却は二重に戻さない。
確率:屋根材の数量シェアが約22%へ上がり、断熱材とドアの改善も進むが、楽観ほど大幅な市場拡大は起きない。施工業者の信頼とブランドが競争を支え、欧州の改修需要も増える。会社の長期目標に近い利益成長が実現する可能性として19%とした。
中立 35% 中立:屋根材の堀は残り、断熱材は伸びるが、ドアの回復は限定的 利益 19 億ドル · PER 13.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 335.82 ドル270 億ドル
2035年、米国の住宅は老朽化に伴う屋根交換が続き、シングル市場は年間1億6800万スクエアとなる。オーウェンス・コーニングのシェアは20.5%で、GAFの首位は変わらない。価格は物価上昇に沿って2025年の1.41倍となり、屋根材事業は高い収益性を維持する。ただし、競合との競争や原材料費の上昇もあり、利益率は過去最高の水準からやや抑えられる。
断熱材は北米と欧州の建築規制、既存住宅の改修需要に支えられ、市場数量が緩やかに増える。換算シェアは9%にとどまり、サンゴバンやクナウフとの競争が続く。ドアは工場合理化によって利益率を回復するが、競争力が買収前の期待まで戻るわけではない。売上は約33億ドルとなるものの、営業利益率は7.5%にとどまる。
経営陣は大型買収を抑え、設備投資、負債削減、株主還元に資本を配分する。2026年は住宅需要とドアの低迷で利益が伸び悩み、その後徐々に持ち直す。10年間のGAAP純利益累計は130億ドル、配当と株式報酬控除後の自社株買いの合計は70億ドルとなる。期末自己資本は約99億ドルとなり、10年目の純利益は19.4億ドルに達する。
- 屋根材:数量 34.4(シングル換算出荷数量(百万スクエア。米国市場出荷数量×当社推定シェア))× 価格 203(ドル/スクエア(屋根付属品・アスファルト等を含むセグメント売上換算単価))→ 売上 70 億ドル・営業利益 18 億ドル。米国市場168百万スクエア×シェア20.5%。価格1.41倍。GAFは首位を維持し、当社のシェア増加は小幅。
- 断熱材:数量 43.4(北米・欧州・中南米の断熱材市場×当社シェア(2025年価格換算の実質需要、億ドル相当))× 価格 1.41(名目販売単価指数(2025年=1))→ 売上 61 億ドル・営業利益 11 億ドル。対象市場482億ドル×換算シェア9.0%。価格1.41倍。省エネ規制により数量が緩やかに増える。
- ドア・ドアシステム:数量 26.4(ドア換算販売数量(百万枚。米国・カナダ・英国の対象市場数量×当社推定シェア))× 価格 125(ドル/枚(ドア枠・部材・システムを含むセグメント換算単価))→ 売上 33 億ドル・営業利益 2 億ドル。対象市場132百万枚×換算シェア20%。価格1.41倍。工場合理化は進むが競争により利益率改善は限定的。
倍率:帳簿の自己資本に対する事業ROEは19.4÷98.5=19.7%。買収によって伸びた事業であるため、のれんを恣意的に分母から除外しない。k8.5%、moat normalの残存割合1/2でRONICは14.1%。g3.7%は成熟後の市場実質数量+0.5%、シェア横ばい、名目価格+3.2%から出す。正当化PERの10年目利益基準上限は約15.9倍。屋根材の強さは評価するが、ドアの競争と買収の実績を考慮し、上限の約87%で13.9倍とする。純利益はGAAPであり、買収償却や株式報酬を倍率側で追加しない。
確率:屋根材の交換需要と値上げ力が続く一方、GAFとの競争があるためシェア拡大は小さい。断熱材は省エネルギー需要で緩やかに伸びるが、ドアの利益率改善は時間がかかる。会社の2028年目標を全面的に達成するとは限らない姿を中心とし、35%とした。
やや悲観 24% やや悲観:屋根材の値決め力が弱まり、ドアが低収益のまま残る 利益 8 億ドル · PER 9.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 90.51 ドル73 億ドル
2035年、米国の住宅更新需要は続くものの、保険会社の屋根修繕費用への対応が厳しくなり、施工業者は材料費を重視する。GAF、サータンティード、IKOとの競争が強まり、オーウェンス・コーニングのシングル市場シェアは18%まで低下する。価格は2025年の1.31倍で物価上昇に届かず、屋根材の営業利益率は19%へ落ちる。
断熱材でもクナウフやサンゴバンとの競争が強まる。市場数量はわずかに増えるが、換算シェアは8.2%に下がる。ドアの売上は名目で増えても、価格改定が弱く、工場の固定費と競争によって営業利益率は2%にとどまる。利益が悪化したドアに追加投資しても、資本コストを超える収益は得られない。
2026〜2032年には過去の屋根材の利益と費用削減が一定の現金を生むが、その後に競争力の低下が明らかになる。10年間の純利益累計は86億ドルで、正味還元は44億ドルまで抑える。自己資本は約81億ドルに増えるものの、最終年のROEは10%未満となる。借り換えによる利払い負担も残り、10年目の純利益は7.9億ドルにとどまる。
- 屋根材:数量 26.1(シングル換算出荷数量(百万スクエア。米国市場出荷数量×当社推定シェア))× 価格 188(ドル/スクエア(屋根付属品・アスファルト等を含むセグメント売上換算単価))→ 売上 49 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場145百万スクエア×シェア18.0%。価格1.31倍。GAFなどにシェアを奪われ値上げが鈍る。
- 断熱材:数量 35.9(北米・欧州・中南米の断熱材市場×当社シェア(2025年価格換算の実質需要、億ドル相当))× 価格 1.31(名目販売単価指数(2025年=1))→ 売上 47 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場438億ドル×換算シェア8.2%。価格1.31倍。稼働率と競争の悪化で利益率が下がる。
- ドア・ドアシステム:数量 20.7(ドア換算販売数量(百万枚。米国・カナダ・英国の対象市場数量×当社推定シェア))× 価格 116(ドル/枚(ドア枠・部材・システムを含むセグメント換算単価))→ 売上 24 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場115百万枚×シェア18%。価格1.31倍。買収後の合理化が競争悪化を補えない。
倍率:ROEは7.9÷80.5=9.8%、k8.5%、moat normalの残存割合1/2でRONICは約9.2%。長期gは3.0%で、市場数量横ばい、シェア年-0.4%、価格年+3.4%を想定。正当化PERの10年目利益基準上限は約12.6倍。しかし競争力低下で超過収益の維持が難しくなっているため約73%の9.2倍を採用する。純利益7.9億ドルから見た稼ぐ力の上限92.9億ドルを下回る。
確率:住宅新築と改装の回復が弱く、屋根材ではGAFなどとの競争によってシェアが18%まで低下する。断熱材は価格競争で利益率が下がり、ドアの合理化効果も十分に残らない。複数の事業が同時に伸び悩む可能性として24%を与える。
悲観 14% 悲観:屋根材まで競争力を失い、買収失敗と負債が株主価値を削る 利益 1 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 14.82 ドル12 億ドル
2035年、米国の住宅修繕市場では価格競争が強まり、屋根材のメーカー集中度が低下する。オーウェンス・コーニングは施工業者との結び付きが弱まり、シングル市場シェアを15.5%まで落とす。市場全体の出荷数量も1億1500万スクエアへ縮み、販売価格は物価上昇を十分に転嫁できない。屋根材はなお黒字だが、高収益ブランドという地位を失う。
断熱材では安価な代替材料と大手競合の増産が価格を圧迫し、換算シェアは6.8%へ低下する。ドアはジェルドウェンや地域メーカーとの競争に敗れ、設備の統廃合を続けても営業黒字をほぼ生まない。過去の高額買収が回収できず、追加の設備減損や事業整理が発生する。
2026年にはまだ利益と現金が残るが、2028〜2032年にかけて競争悪化と減損が進む。10年間のGAAP純利益累計は、約15億ドルの追加減損を含めて23億ドルにとどまる。正味株主還元は19億ドルまで縮み、自己資本は約43億ドルとなる。金利負担は残り、10年目の純利益は1.4億ドルしかない。ROEは資本コストを大きく下回り、建材を保有するだけでは十分な価値を生まない。
- 屋根材:数量 17.8(シングル換算出荷数量(百万スクエア。米国市場出荷数量×当社推定シェア))× 価格 172(ドル/スクエア(屋根付属品・アスファルト等を含むセグメント売上換算単価))→ 売上 31 億ドル・営業利益 5 億ドル。米国市場115百万スクエア×シェア15.5%。価格1.20倍。競合に販路を奪われ、値上げ力が崩れる。
- 断熱材:数量 25.2(北米・欧州・中南米の断熱材市場×当社シェア(2025年価格換算の実質需要、億ドル相当))× 価格 1.18(名目販売単価指数(2025年=1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場370億ドル×換算シェア6.8%。価格1.18倍。低価格競争と工場稼働率の低下が進む。
- ドア・ドアシステム:数量 14.0(ドア換算販売数量(百万枚。米国・カナダ・英国の対象市場数量×当社推定シェア))× 価格 104(ドル/枚(ドア枠・部材・システムを含むセグメント換算単価))→ 売上 15 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場100百万枚×シェア14%。価格1.17倍。ドア製造は固定費を賄う程度にとどまる。
倍率:ROEは1.4÷42.5=3.3%でk8.5%を下回る。したがって正当化PERの上限は1÷k=11.76倍であり、それを超える価値は認めない。市場の実質数量減少、シェア低下、残存製品の価格上昇から長期gは1%程度と見るが、低収益の再投資では資本コストを回収できないため、構造的な低収益に対して8.5倍を採用する。事業の稼ぐ力は純利益1.4÷8.5%=16.5億ドル、税後売却資産の床は8億ドルであり、時価総額11.9億ドルは両者の大きい方を超えない。
確率:屋根材のシェア低下、断熱材の価格競争、ドアの追加損失が重なり、会社が優良建材メーカーではなくなる構造的な失敗の筋書き。2025年に実際に大きな減損が発生したことから、経営陣の資本配分失敗は無視できない。ただし屋根の交換需要そのものは消えないため、完全な事業消滅は想定せず14%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
屋根材
米国を中心に、住宅用アスファルトシングル、屋根用下葺き材、防水部材、換気部材、アスファルト、関連建築材料を販売する。屋根の張り替え需要と施工業者ネットワークが利益の中心となる。
| 数量シングル換算出荷数量(百万スクエア。米国市場出荷数量×当社推定シェア) | 価格ドル/スクエア(屋根付属品・アスファルト等を含むセグメント売上換算単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.9 | 144 | 44 | 13 |
| 10 年後 中立 | 34.4 | 203 | 70 | 18 |
取り方:ARMAの2025年第4四半期出荷統計による米国シングル市場約1億5446万スクエアを基準とする。The Roofing Briefの2026年ブランド比較と会社の10-Kが示す第2位の地位から、当社数量シェアを約20%と推定し、30.89百万スクエアとした。2025年売上44.37億ドルをこの数量で割り、屋根材部品やアスファルトの売上も含む換算単価143.64ドルを得た。これはシングル単品の販売価格ではなく、会社が正確な出荷数量を開示しないための推計である。2025年のセグメントEBITDAは14.11億ドルで、推定償却費1.36億ドルを引いた営業利益を12.75億ドルとした。市場シェアはGAF約30%、当社約20%、サータンティード約15%、IKO約12%、アトラス約10%が業界推定であり、監査済みの数量シェアではない。2025年は会社開示で数量約7%減、価格効果+1.29億ドル。
断熱材
北米、欧州、中南米向けのグラスウール、硬質発泡断熱材、ロックウール、発泡ガラス、産業用断熱材を製造する。住宅新築に加え、商業建築、既存建物の改修、省エネルギー規制が需要を支える。
| 数量北米・欧州・中南米の断熱材市場×当社シェア(2025年価格換算の実質需要、億ドル相当) | 価格名目販売単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 37.0 | 1.00 | 37 | 6 |
| 10 年後 中立 | 43.4 | 1.41 | 61 | 11 |
取り方:Grand View Researchの2025年広義断熱材市場は北米約166.9億ドル、欧州約202.4億ドル、中南米約49.6億ドルで、合計約419億ドルとなる。この市場には当社が扱わない断熱材料も含まれるため、シェアは同一商品だけの市場シェアではなく、広い市場全体に対する売上の比率である。2025年売上37.00億ドルから対象地域での換算シェア約8.83%を求めた。会社の10-Kでは北米のグラスウール断熱材で最大手とされ、主な競合はジョンズ・マンビル、サンゴバン、クナウフ、ロックウール、キングスパンである。地域別・製品別の統一定義の競合シェアは確認できない。2025年セグメントEBITDA8.48億ドルから推定償却費2.56億ドルを引き、営業利益5.92億ドルとした。2025年は数量約5%減、価格効果+0.27億ドル。
ドア・ドアシステム
メゾナイトを母体とする室内ドア、玄関ドア、ドア枠、部材、住宅用ドアシステムを製造する。米国、カナダ、英国の住宅新築と既存住宅改修が主な需要源である。
| 数量ドア換算販売数量(百万枚。米国・カナダ・英国の対象市場数量×当社推定シェア) | 価格ドル/枚(ドア枠・部材・システムを含むセグメント換算単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 24.0 | 89 | 21 | 0 |
| 10 年後 中立 | 26.4 | 125 | 33 | 2 |
取り方:メゾナイトの2023年Investor Dayでは2022年のドア出荷を約3100万枚と開示していた。ただし当時の数字には現在売却済みの事業が含まれ、2025年の同一範囲の販売数量は非開示である。旧事業の除外、2025年の数量約8%減、製品構成の変化を考慮し、現行ドア事業を年間2400万枚相当と推定する。2025年売上21.25億ドルから、部材やドア枠を含む換算単価88.54ドルとした。対象市場の総数量は約1億2000万枚相当、当社の換算シェアは約20%と仮定するが、実測市場数量ではなく検証余地の大きい推計である。Principiaの2026年10月調査では米国住宅用ドアの上位2社の合計シェアは2025年約40%、上位4社は約65%。メゾナイトとジェルドウェンが主な伝統的大手であり、他にサーマトゥルー、プロヴィアなどが競う。2025年のセグメントEBITDA2.32億ドルから推定償却費2.17億ドルを引き、営業利益0.15億ドルとした。
リスクと懸念
住宅市場の長期低迷と改装需要の減少
米国の住宅ローン金利が高止まりすると、新築住宅と裁量的な住宅改装の数量が伸びない。屋根の張り替えは必要性が高いが、断熱材とドアの需要は住宅着工や改装予算に強く左右される。2025年には屋根材の数量が約7%、断熱材が約5%、ドアが約8%減った。3事業が同時に低迷すれば固定費を吸収できず、売上の減少以上に利益が落ちる。
屋根材のシェア低下と値上げ力の喪失
屋根材は最も利益率が高く、全社価値の中心である。GAF、サータンティード、IKO、アトラスなどが価格や保証、耐候性能で競争を強めれば、施工業者が他社へ移る可能性がある。2025年は数量減を値上げで補えたが、この状態が永久に続くとは限らない。市場シェアが現在推定の約20%から数ポイント落ちるだけでも、高利益率の屋根材事業への影響は大きい。
メゾナイト買収の失敗と追加減損
2024年のメゾナイト買収価格は約32億ドルだったが、2025年にはドア事業で約11.35億ドルののれん減損が発生した。残存のれんは2025年末時点で約3.8億ドルあり、無形資産の価値も将来利益に依存する。米国住宅用ドア市場では大手上位2社のシェアが低下しており、費用削減が終わっても販売数量や価格が回復しなければ再び損失が出る。
断熱材の価格競争とエネルギーコスト
断熱材には省エネルギー需要という追い風があるが、大手メーカーも供給能力を増やす。ジョンズ・マンビル、サンゴバン、クナウフ、ロックウールなどとの競争が強まり、価格改定が物価に追いつかなければ利益率が下がる。グラスウールやロックウールの製造はエネルギーを多く使い、特に欧州では天然ガス価格が重要である。2026年の価格上昇による費用増も無視できない。
純負債と借り換え金利の上昇
2025年末の純有利子負債は約53.5億ドルで、時価総額の約58%に相当する。2024年の買収以降、以前ほど財務に余裕はない。2026年6月末にも約52億ドルの総負債があり、2026〜2027年に償還を迎える社債が存在した。借り換え金利が5.75%前後になる前提では、利払いが過去の低金利時代より増える。業績が弱い時ほど自社株買いと成長設備投資の両立は難しくなる。
原材料・保険・建築規制の変化
屋根材はアスファルト、断熱材はエネルギー、ドアは木材や樹脂の価格に左右される。2026年4〜6月期の会社発表では、次の四半期に国際情勢に伴う原材料費上昇で約0.4億ドルの追加費用を見込んだ。また、住宅保険会社が屋根修繕の補償を厳しくすれば、交換時期の先延ばしや低価格製品への移行が起こる。省エネルギー規制の変更も、断熱材の需要と製品構成を変えうる。
経営陣の資本配分と自社株買いの持続性
屋根材で稼いだ資金を収益率の低い買収に投じれば、事業の強さが株主利益へ結び付かない。過去10年は配当と自社株買いが株主価値を支えたが、メゾナイトでは高い買収価格を払った後に大きな減損が必要になった。2025年の総還元はFCFをわずかに上回っている。今後の株主還元は、負債削減と維持設備投資を行った後の現金で賄う必要がある。
今後の分かれ目
- 米国シングル出荷が回復し、当社の数量シェアが22%以上に上がったら
- 屋根材の堀が広がっている証拠となる。やや楽観と楽観の確率を高め、屋根材の10年後数量と営業利益を上方修正する。ただし競争相手のGAFも成長しているかを確認する。
- 屋根材の値上げ率が物価を継続的に上回り、数量シェアも維持できたら
- 価格決定力が実証される。中立の価格指数を1.41倍から引き上げ、営業利益率も改善方向に見直す。数量が落ちるなかの値上げだけなら、同じ評価はしない。
- ドア事業のEBITDA利益率が18%に達し、出荷数量も増加に転じたら
- メゾナイト買収の相乗効果が費用削減だけでなく販売競争力にも現れたと判断する。中立のドア営業利益率を上げ、買収失敗が続く悲観側の確率を減らす。
- ドアのEBITDA利益率が10%を下回る状態が続き、追加減損が発生したら
- 買収した事業の経済価値がさらに低下したと判断する。ドアの将来シェアと利益率を下げ、やや悲観と悲観の確率を引き上げる。負債削減を株主還元より優先する必要が高まる。
- 純負債がEBITDAの1.5倍以下に下がり、FCFが年間12億ドル以上で安定したら
- 借り換えリスクが薄まり、株主還元と成長投資を両立する力が高まる。資本コストのdebt部分を再検討し、中立の累計還元を増やす方向で見直す。
- 断熱材の実質販売数量が増え、値上げも物価並みに維持できたら
- 省エネルギー規制と工場規模による優位性が続いていると判断する。中立の数量と営業利益率を引き上げる。反対にシェア低下が続けば、長期成長率を下げる。
- 経営陣が再び大型買収を発表し、買収後の純負債がEBITDAの3倍を超えたら
- 過去の資本配分失敗を繰り返す危険が増す。買収対象の利益を成立前に加算せず、悲観側の確率と将来の金利負担を引き上げる。
見ておくもの
- 米国ARMAのアスファルトシングル出荷数量。2025年は約1億5450万スクエア、2026年前半も前年を下回った。
- 屋根材の数量増減と価格効果。2025年は数量約7%減、価格効果約+1.29億ドル。
- 屋根材のEBITDA利益率。2025年32%、2026年4〜6月期34%。
- 断熱材の実質販売数量、価格改定、工場稼働率、天然ガスと電力のコスト。
- ドアの売上とEBITDA利益率。2026年4〜6月期は売上約5.13億ドル、利益率11%。
- メゾナイト買収の年間相乗効果。2026年半ば時点で約1.35億ドルを実現し、追加改善約0.75億ドルを計画。
- 純負債、社債償還、借り換え金利、格付け、FCFからの負債削減額。
- 2028年の会社目標である売上125億ドル、全社EBITDA利益率20%台半ば、投下資本利益率10%台半ばへの進捗。
- 配当と自社株買いから株式報酬を差し引いた正味還元。2025〜2026年の総還元20億ドル方針の進捗。
- 米国住宅着工件数、住宅ローン金利、住宅所有者の改装支出、住宅保険の屋根修繕補償。
- 2026年11月4日発表予定の第3四半期決算。10月28日時点では未公表であり、会社が示した売上26〜27億ドル、調整後EBITDA利益率20〜22%の見通しと照合する。
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額や過去のPER・PBRから将来価値を逆算していない。米国シングル出荷数量と推定シェア、断熱材の地域別対象市場、ドアの推定販売枚数をそれぞれ実質数量として扱い、価格は別に置いた。倍率は資本コスト8.5%、事業ROE、超過収益の残存割合1/2、数量・シェア・価格から導いた長期gに基づく正当化PERの範囲で決めた。2025年のGAAP継続事業営業利益は減損などで低下しており、添付factsの営業利益17.2億ドルとは計上範囲が異なるため、セグメント基準の利益との比較には注意が必要である。将来純利益はGAAPで、償却と株式報酬を費用とする。米国のASC842によるリース負債は既に財務諸表に含まれる。純負債は余剰現金として足さず、悲観の床は売れる資産から優先負債を引いて検証した。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に事業の質による+0.5%を加え、8.5%。同じ建設資材でもCRHの8.0%より高いのは住宅関連需要への集中、メゾナイト買収後の負債、ドア事業の弱さによる。一方、屋根材には修繕需要と価格決定力があり、LPXやEXPと同じ8.5%に収める。ドアの買収失敗は別途、悲観の利益と確率で表す。