結論
クラウン・ホールディングスは、世界第2位の飲料缶メーカーを中心とする金属包装会社である。筆者の結論は、事業の持続性と株主還元力は評価できるが、現在の時価総額は本質価値に近く、十分な安全域があるとは言えないというものだ。
2025年の売上は約124億ドル、純利益は7.4億ドルだった。39か国に179の製造拠点を持ち、飲料缶が売上の約7割を占める。主な顧客はコカ・コーラ、ペプシコ、アンハイザー・ブッシュ・インベブ、ハイネケンなどである。アルミ缶は保存性、輸送効率、リサイクルのしやすさに優れ、10年後も飲料容器として必要とされる可能性が高い。
2026年9月期の決算では、世界の飲料缶出荷数量が前年同期比6%増えた。北米と欧州が堅調で、アジアでも数量が回復している。ただし原材料費の上昇が利益を圧迫し、第3四半期のセグメント利益は前年を下回った。売上の増加がそのまま株主利益の増加につながらないことを示している。
競争上の強みは、顧客の飲料充填工場に近い製造拠点と、大量生産を安定して続ける技術にある。工場の移転や製缶設備の変更には費用がかかるため、顧客は供給先を簡単には変えられない。しかし顧客自身が巨大企業であり、缶の単価を自由に上げられるほどの支配力はない。
中立では2035年の売上を約212億ドル、純利益を16.2億ドルと見る。10年間の正味株主還元は90億ドルを見込む。悲観では顧客の内製化と供給過剰によって利益が大幅に減る可能性も残る。5つの筋書きの確率加重価値は現在の約131億ドルとなり、添付の時価総額126億ドルを約4%上回る。結論は適正である。長く保有できる事業だが、買い値に慎重であるべき株だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、クラウンは理解しやすい事業である。飲料メーカーが缶を必要とする限り、製缶工場には仕事がある。しかも缶の製造には規模、技術、物流の調整が必要であり、顧客は品質の安定した供給先を簡単には変えない。世界的な販売網を持つ会社が、この地位を短期間で失う可能性は低い。
しかし本当に強い堀であれば、数量が増えると利益率も安定して上がるはずだ。クラウンは2026年に出荷数量を増やしたが、原材料高によって利益の伸びが抑えられた。アルミ缶の需要が増えることと、製缶会社の利益が増えることは同じではない。長期の価値は需要の伸びよりも、追加投資の利益率と顧客に対する価格交渉力で決まる。
2025年の自由キャッシュフローは約11億ドルで、純利益7.4億ドルを上回った。2026年も強い現金創出が続いている。ただし設備投資の少ない年の現金収支を永続するオーナー利益とは見なせない。工場は更新が必要であり、将来の販売数量を増やすには新しいラインも要る。維持投資と成長投資を差し引いて残る現金だけが、長期的に株主へ戻せる。
資本配分の評価は分かれる。欧州食品缶の売却と借金削減はよかったが、シグノード買収では投じた資本に見合う利益が十分か確信できない。今後の工場増設は、顧客の長期契約と稼働率を確かめてから行うべきだ。株主にとって最も価値があるのは、成長を急ぐことではなく、資本コストを上回る投資だけを選び、余った現金を適切な価格で還元することである。
何で稼ぐ会社か
クラウンの事業は、飲料缶を製造する3つの地域部門、輸送包装、食品缶などのその他事業に分かれる。2025年の売上の約73%は飲料缶関連であり、会社の価値を左右するのは飲料缶の販売数量と1缶当たりの利益である。
最大の事業は米州飲料缶である。2025年の売上は56.15億ドル、セグメント利益は10.30億ドルだった。米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、コロンビアで飲料缶や蓋を製造する。北米ではエナジードリンク、炭酸水、缶入りカクテルなどが成長を支え、ブラジルとメキシコではビールの瓶から缶への移行が需要を生む。ブラジルのポンタ・グロッサでは生産ラインの増設を進めている。
欧州飲料缶は売上23.25億ドル、セグメント利益3.34億ドルである。欧州だけでなく中東と北アフリカも含む。ビールの瓶から缶への切り替えや、持ち運びやすい飲料容器への需要が成長を支えている。2025年は出荷数量が10%増加し、2026年も増加が続いた。ギリシャやスペインでの設備更新が今後の供給力を高める。
アジア太平洋は売上10.96億ドル、セグメント利益1.83億ドルである。ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、中国などで飲料缶を製造する。2025年の出荷数量は10%減少したが、2026年には回復した。2026年9月にはインドで最初の飲料缶工場の建設が始まり、年約22億缶の能力を持つ予定である。最新の決算発表では2028年第1四半期の商業稼働を見込んでいる。
輸送包装は2018年に買収したシグノードを中心とする。2025年の売上は20.26億ドル、セグメント利益2.58億ドルだった。鉄鋼やプラスチックの結束バンド、保護材、梱包機械を工場や物流会社へ販売する。装置を納入した後も結束材や保守の需要が続くが、鉄鋼、建設、物流などの景気に影響される。
その他事業は北米の食品缶、エアゾール缶、蓋、製缶設備などで、売上13.03億ドル、セグメント利益1.48億ドルである。食品缶は日常消費に支えられるが、軽量化や樹脂包装との競争がある。全社では飲料缶の成長性と食品缶の安定性、輸送包装の景気敏感性が組み合わさっている。
優良さと弱いところ
クラウンには規模と顧客との結びつきによる堀がある。飲料メーカーの充填設備に合わせた缶を大量に作り、決められた時間に安定して納入するには、設備、品質管理、物流の経験が必要だ。顧客の工場に近い場所で生産するため、新規参入者が同じ供給網を築くには多額の投資を要する。世界第2位という規模は、この参入障壁を支える。
ただし値決め力は限定的である。アルミや鋼材の価格変動は契約に基づいて顧客へ転嫁するが、これは原材料費を回収する仕組みであり、加工利益を自由に引き上げる力とは異なる。2026年第3四半期には出荷数量が6%増えても、原材料高によってセグメント利益が前年を下回った。競合のボール、アーダー、キャンパックも価格と品質で競争している。
顧客の集中も弱点である。2025年の上位10顧客で売上の約48%を占め、最大の2顧客はそれぞれ約12%と11%だった。巨大飲料会社は発注数量をまとめ、価格交渉力を強められる。製缶会社を変更するのは簡単ではないが、顧客の購買力が大きいため、堀の利益は供給側だけに残らない。
資本効率は改善している。2025年のROEは24.6%で、税引き後営業利益を自己資本と純負債の合計で割る簡易ROICは約14%となる。資本コストを上回るが、ROEの高さには借金と自社株買いで自己資本が薄くなっている影響もある。新工場への投資が価値を生むかは、増分のROICを見なければ分からない。
財務上の弱点は純有利子負債53億ドルである。2025年のEBITDA約21億ドルに対して約2.5倍あり、金利の高い環境では利払いが株主利益を削る。全社の堀は強固な独占ではなく、長い取引関係と設備の効率によって守られた通常の競争優位と考える。食品缶と輸送包装まで含めた全社の利益には景気の波も残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の飲料缶市場は長期的な拡大が見込まれる。クラウンと国際アルミニウム協会が紹介した調査では、世界のアルミ飲料缶消費は2020年の約4200億缶から2030年には約6300億缶に増える見通しである。単純に途中をならせば2025年前後は約5200億缶となる。ただしこの数字は市場の見通しであり、実績の販売数量ではない。
クラウンは世界第2位の飲料缶メーカーである。会社は2023年に世界の生産能力が年約1000億缶へ達する見通しを示した。実際の2025年出荷数量は開示されていないため、地域別売上と推定販売単価から合計約920億缶を試算した。この場合の世界シェアは約18%となる。競合ボールは2025年に1119億個の包装製品を出荷しており、クラウンを上回る規模を持つ。両社にアーダー、キャンパックなどが続く。
米州では北米の飲料缶市場が成熟している一方、ブラジルやメキシコには成長余地がある。ブラジルの業界団体は2024年のアルミ缶販売を348億缶と報告した。北米、ブラジル、メキシコなどを合わせた米州の対象市場を約1850億缶と推定すると、クラウンの試算出荷550億缶は約30%に相当する。新工場の建設と競合の能力増設によって、このシェアがどの程度変わるかが重要だ。
欧州、中東、北アフリカでは、瓶や樹脂容器からアルミ缶への移行が数量を支える。対象市場を約1050億缶と推定すると、クラウンの試算出荷240億缶は約23%に当たる。アジアでは中国を含む対象市場を約850億缶、クラウンを約130億缶と推定する。ただし東南アジアと中国では市場構造が異なり、地域全体のシェアだけで競争力を判断できない。インド進出は将来の成長余地を広げるが、現地での収益性はまだ証明されていない。
包装材の競争も続く。アルミ缶は軽量でリサイクルしやすいが、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器との比較では価格や使い勝手が重視される。欧州の包装規則は再利用とリサイクルを促す一方、製造工程の負担を高める可能性もある。輸送包装では電子商取引や自動化が需要を支えるが、結束材の使用量削減や包装の簡素化が数量を抑える。長期的には市場の数量拡大とシェアの維持が利益成長の基本となる。
資本政策と M&A
クラウンの資本配分は、過去10年で大きく変化した。2018年には輸送包装のシグノードを約39億ドルで買収し、飲料缶に偏った事業構成を広げた。しかし2025年の輸送包装セグメント利益は2.58億ドルであり、買収時の投資額に対する利益率だけを見ると資本コストを十分に上回っているとは言い切れない。事業の安定性には寄与したものの、買収価格の妥当性には疑問が残る。
2021年には欧州の食品缶事業の80%を売却し、2024年には残りの持ち分も売却した。売却資金は借金の削減と飲料缶設備への投資に回された。純負債は2018年の約80億ドルから2025年には53億ドルへ減少した。事業を整理して成長分野へ資本を集中させた判断は評価できる。
株主還元は積極的である。2021年には約9.5億ドル、2022年には約7.2億ドルの自社株買いを行い、2025年は約5.05億ドルを買い戻した。配当は2025年に約1.2億ドルを支払った。2024年7月には2027年末までに最大20億ドルの自社株買い枠を承認した。2026年9月までの9か月にも約5.98億ドルを買い戻している。
2026年の会社見通しは、調整後自由キャッシュフローが少なくとも9.5億ドル、設備投資が約5.5億ドルである。ブラジル、ギリシャ、スペインの増強とインドの新工場が成長投資の中心となる。長期の純負債目標は調整後EBITDAの2.5倍である。大型買収への新たな数字の約束はなく、当面は既存事業の成長と株主還元を両立する方針だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アルミ飲料缶の世界需要は構造的に増える。炭酸水、エナジードリンク、缶入りカクテルなどの新商品では缶が選ばれやすく、ビールの瓶から缶への移行も続いている。クラウンはこの変化に対応する工場網を既に持つ。北米では2019年から2024年にかけて出荷数量を約38%増やし、欧州でも2025年に10%増加した。短期間の好況だけではなく、顧客との関係を通じて数量を伸ばした実績である。
2026年にも世界の出荷数量が伸びている。特にアジアの回復は強く、インドへの進出も始まった。インドは人口が多く、飲料の缶入り比率も高くない。新工場を顧客の需要に合わせて増設できれば、東南アジアに続く成長市場になる。欧州ではギリシャとスペインの設備更新が能力と効率を高める。米州でもブラジルのライン増設によって瓶から缶への移行を取り込める。
生産能力を増やした後の増分ROICが資本コストを上回れば、利益は売上より速く伸びる可能性がある。顧客の工場に近い立地、専用の金型、品質管理、配送体制が参入障壁となり、新規参入者は価格だけでは競争できない。アルミの価格が高くても、契約上の転嫁が機能すれば加工利益は守られる。工場の稼働率が上がれば固定費も薄まる。
株主還元も大きな魅力である。欧州食品缶の売却後、借金は減り、自由キャッシュフローが改善した。2025年と2026年には自社株買いが続いている。大型買収を避けて既存の工場を磨き、余剰資金を株主へ返すなら、利益の成長と還元が同時に価値を生む。10年後には利益が現在の3倍以上となり、強い現金創出力を保つ道筋が描ける。
慎重な見方
飲料缶は成長市場でも、製缶は商品の製造業である。アルミの価格が上がっても、その分の売上増は材料費の転嫁にすぎない。2026年第3四半期は世界の缶数量が6%増えたのに、セグメント利益は前年を下回った。製缶会社の利益は販売数量だけでは決まらず、原材料費、稼働率、工場の効率、顧客との価格交渉に左右される。
クラウンの顧客は巨大である。上位10顧客が売上の約半分を占める。コカ・コーラ、ペプシコ、世界的なビール会社は複数の製缶会社を競わせられる。製造技術が標準化され、競合の工場能力が増えれば、顧客は価格の引き下げを要求する。飲料会社による容器製造の内製化も一部では存在する。品質や物流の切り替えは難しくても、供給能力が余れば交渉力は顧客側へ移る。
工場の固定費も重い。クラウンは2019年以降、飲料缶の生産能力を大きく増やした。2025年のアジア太平洋では数量が10%減少し、ミャンマーでは減損を計上した。新工場を建てた後に顧客の需要が想定より少なければ、投下資本は十分な利益を生まない。インドへの進出も市場が大きいというだけで成功するわけではない。
輸送包装には別の問題がある。シグノードを約39億ドルで取得したが、現在の売上と利益は買収価格に比べて大きくない。景気が悪い時には結束材と機械の販売が減り、のれんの減損も起こり得る。食品缶も樹脂包装や軽量包装との競争が続く。飲料缶以外の事業をすべて安定的な利益源と見るのは危険だ。
純有利子負債は53億ドルあり、借り換え金利が高くなれば利益が削られる。自社株買いが多くても、設備投資と借金の管理を怠れば株主の安全域は薄くなる。10年後に売上が増えていても、低い加工利益率と高い固定費が残り、株主利益だけが減る展開は否定できない。
どちらに重みを置いたか
飲料缶の長期需要と会社の生産技術には強い根拠があり、事業の存続については前向きに評価する。ただし大口顧客の交渉力、材料費の転嫁の遅れ、設備投資の重さを考えると、長期の株主利益は需要ほど確実ではない。
確率は楽観側27%、中立38%、悲観側35%とした。足元の出荷増加とキャッシュフローを評価する一方、借金と設備の固定費を考慮して悲観側をやや厚くした。確率加重した現在価値は約131億ドルとなり、現在の時価総額を約4%上回る。結論は適正である。成長投資の収益性が確認されれば評価は上がるが、今の時点では大きな安全域を認めない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 179.41 ドル193 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 70.21 ドル76 億ドル)。 今の値に割り戻すと 121.42 ドル131 億ドル、今との差 +1.8%、 期待の年率 +9.2%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 395.84 ドル427 億ドル | 115.97 ドル125 億ドル | +329.2% | +18.9% | 35.83 ドル39 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 289.10 ドル312 億ドル | 97.42 ドル105 億ドル | +224.1% | +15.1% | 77.30 ドル83 億ドル |
| 中立 | 38% | 210.87 ドル227 億ドル | 83.50 ドル90 億ドル | +146.9% | +11.5% | 111.86 ドル121 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 49.45 ドル53 億ドル | 38.97 ドル42 億ドル | −25.8% | −3.7% | 21.22 ドル23 億ドル |
| 悲観 | 11% | 17.07 ドル18 億ドル | 13.92 ドル15 億ドル | −74.0% | −15.1% | 3.41 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 179.41 ドル193 億ドル | 70.21 ドル76 億ドル | +109.3% | +9.2% | 249.62 ドル269 億ドル |
今の株価時価総額 119.24 ドル129 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 楽観:飲料缶への転換が世界で進み、新工場が高い稼働率を維持する 利益 27 億ドル · PER 16.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 395.84 ドル427 億ドル
2035年にはアルミ缶への転換が世界的に進み、クラウンは顧客の需要に合わせて新工場と製造ラインを増やしている。米州は北米の新飲料商品に加え、ブラジルとメキシコの成長を取り込む。欧州はビールや炭酸水の缶入り比率が上がり、中東でも需要が増える。アジアではインドの工場が成功し、東南アジアの需要回復も定着する。
飲料缶の年間換算出荷数量は世界で約1475億缶に達する。現時点の設備能力を大きく超えるため、追加の設備投資が必要になる。顧客の長期契約に裏づけられた増設が進み、工場の稼働率は高い。米州の営業利益率は20%に近づき、欧州とアジアも効率を高める。ボールやアーダーとの競争は続くが、新市場でのシェア獲得が価格競争の影響を上回る。
輸送包装も世界の工業生産と自動化によって伸びる。結束材の消耗品需要が増え、2025年に弱かった機械の販売も回復する。全社の営業利益は47.2億ドル、純利益は26.5億ドルとなる。10年間の純利益累計は約169.5億ドルで、配当と自社株買いから株式報酬を控除した正味還元は125億ドルに達する。
自己資本は約74.5億ドルとなる。増分投資が資本コストを上回り、借金の比率も管理される。2035年以降は市場の実質成長と物価によって成長するが、これまでの能力増設による高成長は徐々に落ち着く。
- 米州飲料缶:数量 860(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.15(1缶当たり平均売上(ドル、蓋や付帯製品を含む換算))→ 売上 132 億ドル・営業利益 26 億ドル。米州市場の実質拡大とシェア上昇で数量は1.56倍。価格は1.51倍となり、稼働率改善で利益率20%を実現する。
- 欧州・中東・北アフリカ飲料缶:数量 390(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.15(1缶当たり平均売上(ドル、蓋などを含む換算))→ 売上 57 億ドル・営業利益 10 億ドル。欧州・中東の市場成長とシェア獲得で数量1.63倍。価格は1.50倍となる。
- アジア太平洋:数量 225(飲料缶などの年間缶換算出荷数量(億缶、推定))× 価格 0.13(1缶換算当たり平均売上(ドル))→ 売上 29 億ドル・営業利益 5 億ドル。インド進出と東南アジアの需要増により数量1.73倍。価格は1.52倍となる。
- 輸送包装・シグノード:数量 34.0(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.50(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 51 億ドル・営業利益 8 億ドル。世界の実質工業生産と梱包自動化の普及で数量相当額1.68倍、価格指数1.50倍となる。
- 北米食品缶・特殊缶・製缶設備:数量 17.5(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.48(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 3 億ドル。食品缶のシェアを維持し、特殊缶と製缶設備が成長する。数量相当額1.34倍、価格1.48倍。
倍率:2035年の自己資本ROEは26.5÷74.5=35.6%。k9.0%、通常の堀の残存割合1/2からRONICは22.3%となる。g4.0%は2035年以降の飲料缶市場の実質数量成長約1%、シェアの小幅拡大と物価3.5%に近い価格上昇から決め、成長の成熟を考慮した。正当化PERは(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)で約17.1倍。高い工場稼働率と資本効率を評価するが、原材料と顧客の交渉力のリスクが残るため上限の約94%に当たる16.1倍とした。純利益はGAAPを基礎とし、株式報酬や償却を戻していない。
確率:北米、欧州、中南米、アジアで需要とシェアの拡大が同時に進み、インドも成功する展開である。2026年の数量増と既存工場の強さは根拠になるが、大規模な能力増設を高い投資利回りで続ける必要があるため7%とした。
やや楽観 20% やや楽観:北米と欧州の成長が続き、アジアの回復も定着する 利益 21 億ドル · PER 15.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 289.10 ドル312 億ドル
2035年には飲料缶市場が順調に拡大し、クラウンは既存地域でシェアを維持しながら新しい市場でも販売を増やしている。米州の数量は現在より約35%増え、欧州では瓶から缶への切り替えが続く。アジアでは2025年の落ち込みから回復し、インドの新工場が利益に貢献する。
原材料価格は物価に沿って上昇するが、契約による転嫁が機能する。2026年に見られた材料費の転嫁の遅れは解消し、工場の効率化によって利益率が小幅に改善する。米州の営業利益率は19.5%、欧州は17%となる。ボールなどとの競争はあるものの、顧客の長期的な需要を支える工場配置が利益を守る。
輸送包装は工業生産の回復と設備更新で伸び、食品缶も安定した需要を保つ。全社売上は約244億ドル、営業利益は36.8億ドル、純利益は20.5億ドルとなる。10年間の純利益累計は約139.5億ドルとなり、そのうち105億ドルを正味の株主還元に回す。
自己資本は約64.5億ドルとなる。借金の比率は管理され、大型買収には頼らない。新工場への投資が利益に結びつき、株主還元も増える。ただし2035年以降は世界の飲料缶市場が成熟し、成長は物価と緩やかな実質需要の増加に近づく。
- 米州飲料缶:数量 740(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.15(1缶当たり平均売上(ドル、蓋や付帯製品を含む換算))→ 売上 109 億ドル・営業利益 21 億ドル。数量1.35倍。価格1.44倍。米州の成長と稼働率改善で利益率19.5%。
- 欧州・中東・北アフリカ飲料缶:数量 340(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.14(1缶当たり平均売上(ドル、蓋などを含む換算))→ 売上 47 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量1.42倍。欧州と中東で缶への転換が続き、価格は1.44倍。
- アジア太平洋:数量 190(飲料缶などの年間缶換算出荷数量(億缶、推定))× 価格 0.12(1缶換算当たり平均売上(ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量1.46倍。インドと東南アジアが成長し、価格は1.42倍。
- 輸送包装・シグノード:数量 29.0(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.45(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 42 億ドル・営業利益 6 億ドル。実質数量相当額1.43倍。価格1.45倍。設備と消耗材の販売が増える。
- 北米食品缶・特殊缶・製缶設備:数量 16.0(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.43(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 23 億ドル・営業利益 3 億ドル。実質数量相当額1.23倍。価格1.43倍。食品缶と製缶設備が安定的に成長する。
倍率:2035年のROEは20.5÷64.5=31.8%。k9.0%、通常の堀の残存割合1/2からRONICは20.4%となる。g3.8%は市場の実質数量成長、シェアの小幅な上昇、物価に沿った単価上昇から説明する。10年目の利益に対する正当化PERは約16.2倍。事業の質は高いが設備投資の負担があるため、上限の約94%に当たる15.2倍とした。
確率:北米での供給力、欧州の数量成長、2026年のアジア回復を評価した。高い設備稼働率を維持できれば実現可能だが、世界各地でシェアを増やす必要があるため20%とした。
中立 38% 中立:飲料缶の需要は伸びるが、加工利益率は大きく改善しない 利益 16 億ドル · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 210.87 ドル227 億ドル
2035年には世界の飲料缶市場が現在より大きくなり、クラウンの出荷数量も増えている。米州は北米で緩やかな成長を続け、ブラジルとメキシコの需要増を取り込む。欧州では瓶から缶への移行が続き、アジアは2025年の落ち込みから回復する。インドの新工場も稼働するが、すぐに大きな利益源になるとは考えない。
飲料缶の年間換算出荷数量は世界で約1125億缶となる。2025年の推定920億缶から約22%増える。市場の実質数量拡大を取り込み、全体のシェアは大きく変わらない。単価は物価3.5%の世界で10年間に約1.41倍になる。アルミと鋼材の価格上昇は大部分を転嫁できるが、加工利益率は競合との価格競争でほぼ横ばいとなる。
輸送包装は工業生産の伸びに沿って販売が増える。食品缶は安定するが、軽量化と樹脂への代替が数量成長を抑える。全社売上は約212億ドル、営業利益は29.6億ドル、純利益は16.2億ドルとなる。利益の増加は主に数量と価格の成長によるもので、利益率の大幅な改善には頼らない。
10年間の純利益累計は約118億ドルと見込み、配当と自社株買いから株式報酬を控除した正味還元は90億ドルとなる。自己資本は約58億ドルへ増える。借金は借り換えを進めながら管理されるが、純負債を完全になくすことは想定しない。大型買収を行わず、既存の工場網と製造技術を磨くことが株主利益を支える。
- 米州飲料缶:数量 660(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.14(1缶当たり平均売上(ドル、蓋や付帯製品を含む換算))→ 売上 95 億ドル・営業利益 17 億ドル。数量1.20倍。米州市場の成長に沿って販売を増やし、価格は物価並みの1.41倍となる。
- 欧州・中東・北アフリカ飲料缶:数量 300(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.14(1缶当たり平均売上(ドル、蓋などを含む換算))→ 売上 41 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量1.25倍。瓶から缶への移行を取り込み、価格は物価並みの1.41倍。
- アジア太平洋:数量 165(飲料缶などの年間缶換算出荷数量(億缶、推定))× 価格 0.12(1缶換算当たり平均売上(ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量1.27倍。東南アジアの回復とインドの寄与を含み、価格は1.41倍。
- 輸送包装・シグノード:数量 25.3(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.41(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 36 億ドル・営業利益 4 億ドル。実質数量相当額1.25倍。工業生産と物流の伸びに沿い、価格は物価並み。
- 北米食品缶・特殊缶・製缶設備:数量 14.5(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.41(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 20 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質数量相当額1.11倍。食品缶の市場は成熟し、価格は物価並み。
倍率:2035年のROEは16.2÷58.0=27.9%。k9.0%、通常の堀の残存割合1/2からRONICは18.5%となる。g3.5%は2035年以降の飲料缶市場の実質数量成長約1%、シェアの緩やかな低下約1%、物価に沿った価格上昇約3.5%から算出した。成長率をROEから求めていない。10年目の利益に対する正当化PERは約15.3倍である。加工利益の競争、設備更新と純負債を考慮し、上限の約92%となる14.03倍を採用した。GAAPを基礎とする純利益を使い、株式報酬と買収償却を倍率で二重に戻さない。時価総額は16.2×14.03=約227.29億ドルとなる。
確率:飲料缶の世界市場が成長し、クラウンが既存の競争力を維持する展開を中心とした。2026年の数量成長を評価しながら、材料費と大口顧客の価格交渉力を織り込み、38%で最大の確率とした。
やや悲観 24% やや悲観:設備能力が余り、価格競争で加工利益が縮む 利益 7 億ドル · PER 8.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 49.45 ドル53 億ドル
2035年には飲料缶市場が緩やかに拡大しているが、製缶会社の設備能力が需要を上回る。ボール、アーダー、キャンパックなどが生産能力を増やし、巨大飲料メーカーは複数の供給先に値下げを求める。クラウンは市場全体の数量増を十分に取り込めず、新しい工場の稼働率も上がらない。
米州の年間出荷相当数量は現在とほぼ変わらない。欧州では瓶から缶への移行が続くものの、価格競争で加工利益が縮む。アジアは新工場の立ち上がりが遅れ、東南アジアでも顧客の生産拠点変更が影響する。価格は物価を下回る伸びにとどまる。
輸送包装では工業生産の伸びが弱く、梱包機械の需要が減る。食品缶は樹脂包装との競争で利益率が下がる。全社売上は約159億ドルとなるが、営業利益は15.8億ドル、純利益は6.5億ドルにとどまる。売上は名目で増えても、利益は2025年を下回る。
経営は設備投資を抑え、借金を優先して管理する。10年間の純利益累計は約69.5億ドルで、正味の株主還元は42億ドルに減る。自己資本は約57.5億ドルとなる。大型買収で利益を補うことは想定しない。事業は存続するが、価格を決める力と増分投資の利回りが弱くなり、以前の優良さは薄れている。
- 米州飲料缶:数量 550(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.13(1缶当たり平均売上(ドル、蓋や付帯製品を含む換算))→ 売上 72 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量は現在並み。価格の伸びは物価に届かず、加工利益率が低下する。
- 欧州・中東・北アフリカ飲料缶:数量 252(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.13(1缶当たり平均売上(ドル、蓋などを含む換算))→ 売上 32 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量1.05倍。市場は伸びるが、競争でシェアが下がる。価格は1.29倍。
- アジア太平洋:数量 125(飲料缶などの年間缶換算出荷数量(億缶、推定))× 価格 0.11(1缶換算当たり平均売上(ドル))→ 売上 14 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量は現在をわずかに下回る。インドの採算が低く、価格は1.29倍。
- 輸送包装・シグノード:数量 19.0(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.33(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 25 億ドル・営業利益 2 億ドル。実質数量相当額は現在より減少。価格は1.33倍でも利益率は9%へ下がる。
- 北米食品缶・特殊缶・製缶設備:数量 12.6(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.32(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 17 億ドル・営業利益 1 億ドル。食品缶の数量は緩やかに減り、価格も物価を下回る。
倍率:2035年のROEは6.5÷57.5=11.3%で、k9.0%を上回るものの差は小さい。長期g2.0%は市場数量の伸びが弱く、シェアが低下し、価格も物価を下回る展開から求めた。通常の堀での正当化PER上限は約11.7倍だが、設備能力の余剰と低い増分投資利回りを織り込み8.2倍とした。中立の14.03倍より明確に低い。稼ぐ力の単純な上限は純利益6.5億ドル÷k9.0%=約72.2億ドルであり、時価総額53.3億ドルはこれを下回る。
確率:飲料缶の市場は伸びても、競合の能力増設と大口顧客の交渉力によって利益率が低下する可能性がある。2025年のアジアでの数量減、2026年の材料費による利益圧迫を重く見て、やや楽観より高い24%とした。
悲観 11% 悲観:顧客との関係が崩れ、工場の減損と借金負担が株主価値を削る 利益 2 億ドル · PER 8.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 17.07 ドル18 億ドル
2035年、クラウンは飲料缶市場の成長を十分に取り込めず、主要顧客との関係も弱くなっている。巨大飲料メーカーが容器を内製化し、複数の製缶会社へ発注を分散する。ボールやアーダーとの競争は価格中心になり、工場の稼働率が低下する。アルミ缶そのものの需要は残るが、クラウンがその利益を取れなくなる。
米州の出荷相当数量は現在より約20%減少する。欧州では競合にシェアを奪われ、アジアでは新工場の投資回収が進まない。価格は10年間で物価を大きく下回る上昇にとどまる。輸送包装も工業生産の停滞と競合の値下げで販売が減る。食品缶は樹脂容器への代替が進み、利益率が低下する。
全社売上は約114億ドルで、2025年より名目でも少ない。営業利益は7.5億ドル、純利益は2.3億ドルに縮む。借金の利払いが利益を削り、工場の閉鎖と資産の減損も発生する。もはや以前のように高い資本効率を持つ会社ではない。
10年間の通常利益の推移から得られる累計は約48.5億ドルだが、途中の工場閉鎖と買収関連資産の減損約17億ドルを差し引き、純利益累計を約31.5億ドルとする。自社株買いはほぼ止まり、正味還元は15億ドルに減る。自己資本は約46.5億ドルとなるが、設備の売却価値が帳簿どおり残るとは考えない。
企業は存続するものの、投下資本の稼ぐ力は資本コストを下回る。株主価値は過去の株価倍率や帳簿の自己資本ではなく、縮んだ利益と実際に売れる資産から評価される。
- 米州飲料缶:数量 440(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.12(1缶当たり平均売上(ドル、蓋や付帯製品を含む換算))→ 売上 52 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量は現在の80%。顧客の内製化とシェア喪失で稼働率が低下し、価格は物価を大きく下回る。
- 欧州・中東・北アフリカ飲料缶:数量 190(飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定))× 価格 0.12(1缶当たり平均売上(ドル、蓋などを含む換算))→ 売上 22 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量は現在の79%。競合の能力増設でシェアを失い、価格は1.19倍にとどまる。
- アジア太平洋:数量 90.0(飲料缶などの年間缶換算出荷数量(億缶、推定))× 価格 0.10(1缶換算当たり平均売上(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量は現在の69%。投資失敗と地域競争により利益率9%まで低下する。
- 輸送包装・シグノード:数量 14.3(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.22(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 17 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質数量相当額は現在の71%。工業生産の停滞と結束材の競争で利益率が下がる。
- 北米食品缶・特殊缶・製缶設備:数量 11.0(2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル))× 価格 1.19(販売単価指数(2025年=1))→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。実質数量相当額は現在の84%。食品缶の代替と価格競争で利益率8%となる。
倍率:2035年のROEは2.3÷46.5=約4.9%で、k9.0%を下回る。成長率は市場の数量が増えてもシェアを失い、価格も物価に届かないため長期g0%とした。ROEが資本コスト以下なのでPER上限は1÷k=11.1倍である。競争力を失った事業の利益には8.0倍を適用した。時価総額は2.3×8.0=18.4億ドル。稼ぐ力の上限2.3÷9.0%=約25.6億ドルと、税後の売却可能資産の床0億ドルの大きい方を超えない。
確率:主要顧客の内製化、競合の過剰能力、地域事業の失敗、のれん減損が重なる構造的な負けを想定する。現在は利益と現金創出があるため倒産を中心には置かず、11%とした。ただし負債の固定負担が大きいため、起きた時の株主価値の毀損は深い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米州飲料缶
米国、カナダ、ブラジル、メキシコ、コロンビアでアルミ飲料缶と蓋を製造する。北米の新飲料商品と中南米の瓶から缶への移行が成長の源になる。
| 数量飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定) | 価格1缶当たり平均売上(ドル、蓋や付帯製品を含む換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 550 | 0.10 | 56 | 10 |
| 10 年後 中立 | 660 | 0.14 | 95 | 17 |
取り方:2025年10-Kの米州飲料缶売上5615百万ドル、セグメント利益1030百万ドルを使用した。会社は地域別の実際の缶数と平均単価を開示していない。2023年の会社資料では世界の成熟生産能力は年約1000億缶であり、2025年の各地域の売上規模と一般的な缶単価を参考に、米州を550億缶相当、平均約0.102ドルと推定した。対象地域の缶市場を北米約1200億缶、ブラジル約350億缶、メキシコなど約300億缶の合計1850億缶と試算するとシェアは約29.7%。ブラジルの2024年348億缶はAbralatasの統計を参考にした。実際の米州売上には蓋、瓶、キャップも含むため、550億缶は開示された実缶数ではなく缶換算数量である。2025年の米州数量は北米がおおむね横ばいで、2026年は北米が増加している。セグメント利益は無形資産償却などを除く会社開示値である。
欧州・中東・北アフリカ飲料缶
欧州、中東、北アフリカでアルミ飲料缶と蓋を製造する。ビールの瓶から缶への移行と、飲料ブランドの新商品が数量を支える。
| 数量飲料缶の年間出荷相当数量(億缶、推定) | 価格1缶当たり平均売上(ドル、蓋などを含む換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 240 | 0.10 | 23 | 3 |
| 10 年後 中立 | 300 | 0.14 | 41 | 6 |
取り方:2025年10-Kの欧州飲料缶売上2325百万ドル、セグメント利益334百万ドルを使用した。会社は2025年の欧州飲料缶数量が10%増加したと開示するが、絶対数は開示していない。欧州、中東、北アフリカの対象市場を約1050億缶と推定し、クラウンのシェアを約22.9%とした。この市場には国別統計の定義差があり、会社の工場配置と売上規模を参考にした推定である。会社の出荷を240億缶、平均売上を約0.0969ドルとすれば公表売上に一致する。ギリシャとスペインの設備増強、2025年の数量10%増を将来の市場シェアの判断材料とした。
アジア太平洋
東南アジアと中国の飲料缶を中心に、食品缶や特殊包装も扱う。2026年にはインドで最初の工場建設を始めた。
| 数量飲料缶などの年間缶換算出荷数量(億缶、推定) | 価格1缶換算当たり平均売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 130 | 0.08 | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 165 | 0.12 | 20 | 3 |
取り方:2025年10-Kのアジア太平洋売上1096百万ドル、セグメント利益183百万ドルを使用した。2025年の飲料缶数量は前年比10%減であり、2026年第3四半期にはアジアで2桁の数量増加が確認された。会社は缶数を開示していないため、2025年の130億缶相当と平均約0.0843ドルを推定した。中国を含む対象市場を約850億缶と仮定すると、地域全体のシェアは約15.3%。ただしクラウンは東南アジアで強く、中国では相対的に小さいため、地域全体の数字は競争力の正確な尺度ではない。2026年に建設を始めたインド工場の年22億缶の能力は会社発表であり、2025年の数量には含めない。食品缶なども含むため、数量は缶換算である。
輸送包装・シグノード
鉄鋼とプラスチックの結束材、保護材、梱包機械、工具などを製造する。製造業と物流の稼働量が需要を決め、装置納入後の消耗材需要もある。
| 数量2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル) | 価格販売単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.3 | 1.00 | 20 | 3 |
| 10 年後 中立 | 25.3 | 1.41 | 36 | 4 |
取り方:2025年10-Kの輸送包装売上2026百万ドル、セグメント利益258百万ドルを使用した。結束材のトン数、保護材の面積、梱包機械の台数は統一して開示されないため、2025年固定価格での実質売上額を数量の代理変数とした。世界の結束材市場は約98億ドル、保護包装市場は約404億ドルという調査があるが、製品範囲が異なり一部重複する。会社は機械と消耗材を組み合わせて売るため、両市場を単純に足してシェアを計算しない。広い二次包装・保護包装市場に対するシェアは小さいが、結束材と関連機械の狭い市場では有力企業である。競合はモスカ、インターテープなどである。数量の長期成長は製造業の実質生産量と物流の伸び、シェアの変化から推定する。
北米食品缶・特殊缶・製缶設備
食品缶、エアゾール缶、金属蓋、製缶設備などを扱う。食品缶は安定した需要を持つが、包装の軽量化や樹脂への代替にさらされる。
| 数量2025年固定価格で測った実質販売数量相当額(億ドル) | 価格販売単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 13.0 | 1.00 | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 14.5 | 1.41 | 20 | 2 |
取り方:2025年10-KのOther売上1303百万ドル、セグメント利益148百万ドルを使用した。会社の製品別開示では金属食品缶と蓋の全社売上は943百万ドルである。北米の食品缶市場は2025年に約92億ドルと推定されるが、943百万ドルには地域間の違いがあるため、単純な全社シェアとはしない。食品缶部分だけなら北米市場の約1割に相当する規模である。その他部門にはエアゾール缶と製缶設備も含まれ、共通する物理数量は開示されていない。そのため2025年の実質売上相当額を数量とし、価格指数を別にして将来の売上を組み立てる。2025年の北米食品缶数量は約5%増加した。
リスクと懸念
原材料価格の転嫁と加工利益率
アルミと鋼材は売上原価の大きな部分を占める。会社は契約で価格を転嫁するが、転嫁には時差があり、すべての費用を回収できるとは限らない。2026年第3四半期には数量が6%増えても、原材料高でセグメント利益が前年を下回った。売上の増加が加工利益の成長を示すとは限らず、数量と原材料の転嫁額を分けて見る必要がある。
大口顧客の交渉力と内製化
2025年の上位10顧客は売上の約48%を占め、最大の2顧客だけで約23%となる。飲料会社が統合を進めれば発注数量が集中し、製缶メーカーへの値下げ要求が強まる。顧客の一部は容器を内製化できる。長期契約と品質管理は切り替えの障壁だが、工場の能力が余ると価格競争が起こる。主要顧客の発注数量と契約条件が重要である。
生産能力の過剰と新工場の採算
飲料缶は固定費の重い設備産業である。クラウンは2019年以降に世界の製造能力を大きく増やし、現在もブラジル、欧州、インドで投資を続ける。需要が計画より弱ければ、新しい設備は十分な稼働率に達しない。2025年にはアジアで数量が10%減り、ミャンマーの工場では減損が発生した。増分ROICが資本コストを上回るかを確認する必要がある。
純負債と借り換え金利
2025年末の純有利子負債は約53億ドルで、EBITDAの約2.5倍である。2025年の利払いは約4億ドルだった。借金の借り換え金利が5.75%前後に上がると、今の低金利負債を維持できず、純利益が削られる。2025年には新しい社債で古い社債を借り換えており、金利上昇は既に一部現れている。利益が減る局面では返済余力と株主還元が同時に弱まる。
輸送包装の景気循環と買収価値
シグノードを約39億ドルで買収したが、2025年の輸送包装セグメント利益は2.58億ドルだった。工場の梱包機械や結束材は工業生産と物流に左右され、建設や鉄鋼の不況時には需要が落ちる。2025年は機械の販売数量減少で売上と利益が下がった。事業の成長が買収時の価格に届かなければ、のれんの減損が起こる可能性もある。
包装材の代替と環境規制
アルミ缶はリサイクル性に優れるが、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器との競争はなくならない。欧州の包装規則は再利用とリサイクルを促す一方、包装材全体の削減も求める。缶の軽量化が進めば、金属の使用量や販売単価に影響する場合もある。食品缶では樹脂包装や柔軟な容器への移行が進む可能性があり、数量と加工利益を別に考える必要がある。
地政学、少数株主持ち分、AI
アジア、中東、中南米には合弁事業があり、事業利益のすべてが普通株主に帰属するわけではない。2025年には非支配持ち分への純利益が約1.45億ドルあった。為替規制や貿易摩擦による工場停止も起こり得る。AIエージェント代替については、クラウンの主力事業は実物の缶と包装材の製造であり、人月サービスや席課金ソフトには該当しない。ただしAIによる工場自動化と顧客の購買最適化は、費用と価格交渉力の両方に影響する。
今後の分かれ目
- 北米の飲料缶数量が今後3年も年3%以上増え、加工利益率が下がらなければ
- 成長市場でのシェアと生産効率が確認できる。米州の数量と利益率を上方修正し、やや楽観と楽観の確率を引き上げる。
- インドの新工場が予定どおり稼働し、数年で高い設備稼働率に達したら
- 新市場への投資が資本コストを上回る可能性が高まる。アジアの数量見通しと増分ROICを引き上げ、中立の事業価値を増やす。
- 欧州の飲料缶出荷数量が年5%以上伸び続け、競合より高い利益率を維持したら
- 瓶から缶への移行と顧客関係の強さが確認できる。欧州の市場シェアと利益率を上方修正し、長期の稼ぐ力を高く見る。
- 世界の缶数量が増えているのにセグメント利益が2年連続で減少したら
- 原材料費の転嫁だけでなく、加工利益の競争力が弱まっていると判断する。中立の営業利益率を下げ、やや悲観の確率を増やす。
- 輸送包装の利益が回復せず、のれんの減損が発生したら
- シグノード買収の資本配分が十分な成果を出していないと判断する。輸送包装の利益率と増分投資利回りを下げ、資本配分への評価を厳しくする。
- 純負債が調整後EBITDAの2倍未満となり、自由キャッシュフローが年間10億ドル以上で安定したら
- 財務の安全性と株主還元余力が改善したと判断する。借り換えの負担を見直し、中立の正味還元を増やす。ただし事業自体の成長率を借金減少だけで上げない。
- 主要飲料顧客の内製化や供給先変更でクラウンの数量シェアが大きく下がったら
- 顧客との長期関係という堀が弱くなったと判断する。地域別の数量と利益率を下げ、悲観側の確率を厚くする。
見ておくもの
- 世界の飲料缶出荷数量成長率。2026年第3四半期は前年同期比約6%増
- 北米の飲料缶数量と米州飲料缶セグメント利益率
- 欧州の出荷数量と利益率。2025年の数量は前年比10%増
- アジア太平洋の数量回復とインド工場の稼働開始、稼働率
- ブラジルのポンタ・グロッサ、ギリシャ、スペインの設備増強の進捗
- アルミ・鋼材価格の転嫁額と、転嫁後の加工利益率
- 輸送包装の機械販売数量と、シグノードの利益率
- 北米食品缶の数量と製缶設備の受注
- 純有利子負債約53億ドルと、調整後EBITDAに対する倍率
- 2026年の調整後自由キャッシュフロー9.5億ドル以上、設備投資約5.5億ドルの見通し
- 2027年末までの20億ドル自社株買い枠の利用状況と株式報酬控除後の正味還元
- コカ・コーラ、ペプシコ、ビール大手の発注数量と供給契約の変化
- ボール、アーダー、キャンパックの新工場稼働と市場シェア
- のれんの減損、合弁事業の非支配持ち分への利益配分
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や市場のPERを使って10年後の利益を逆算していない。米州、欧州、アジアは2025年のセグメント売上と会社が公表した製造能力、地域市場の数量から缶換算の出荷数量を推定し、価格と分けて売上を組み立てた。輸送包装とその他は統一した物理数量が開示されていないため、2025年固定価格の実質売上相当額を数量の代理とした。
2025年のセグメント利益合計は19.53億ドルだが、これは無形資産償却や再編費用を除いた会社の管理利益である。添付factsの営業利益16.3億ドルを正とし、差額3.23億ドルを本社費や調整費用として解釈した。SECのGAAP営業利益15.53億ドルとは0.77億ドルの定義差が残るため、財務の基準値は依頼に従いfactsを優先した。
倍率はk9.0%、数量と価格から求めたg、自己資本ROE、通常の堀によるRONICで計算した。中立の14.03倍は正当化PER上限の約92%である。悲観側は過去の谷のPBRではなく、利益の稼ぐ力と売れる資産の税後価値を用いた。自己資本は純利益累計から正味還元を差し引いて検算した。現在の時価総額126.42億ドルに対し、確率加重した現在価値は約130.87億ドルで差は約+3.5%、評価は適正となる。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本資本コスト8.0%にqualityの+1.0%を加え、9.0%とした。β、現在の株価、過去のPER、同業の市場倍率は使用していない。同じ包装領域ではボールの8.5%より高いが、輸送包装の景気敏感性、純負債、巨大顧客への交渉力の弱さを反映した。事業存続が危険な状態ではないためextraは0とした。