結論
アルベマール(ALB)は、世界最大級のリチウム化合物メーカー。2025 年の売上は 51 億ドルで、リチウム(炭酸リチウム換算 LCE の出荷 約 23.5 万トン)が半分、臭素などの Specialties が 13 億ドル台、残りが 2026 年 3 月に 51% を売った製油触媒(ケトジェン)。2024・2025 年はリチウムが 1 キロ 10 ドル前後に落ち、営業利益率は 2024 年に −11.8%、2025 年に 1.8% と、設備の休止(ケンマートン)と減損を伴う赤字・薄利だった。ところが 2026 年は蓄電の需要が急伸して価格が戻り、第 2 四半期の実現価格は 1 キロ 19.5 ドル、純利益は 4.8 億ドルと、前年(0.2 億ドル)から跳ね上がった。
バリュー投資の観点では、この利益は価格の循環の山に近い。価格が決めるのは鉱山と化学工場の持ち主に残る差額で、アルベマール自身は価格を決められない。そこで中立は「世界で最も高い費用の供給者が採算に乗る水準」、つまり実質 1 キロ 13 ドル(名目で 10 年後 18.3 ドル)に置き、山や谷の年の利益に倍率を掛けることはしない。この価格で 10 年後の純利益は約 16.9 億ドル(2026 年の見込み約 16.9 億ドルと名目で同じ)。資本コストは 10.5%(循環 +1.0%・値決め +0.5%・寿命 +0.5%)、10 年後の倍率は利益ベースの正当化 PER(堀は弱い・資源を掘り減らすので寿命 20 年の年金で頭を押さえる)の上限の 9 割、約 7.7 倍。
確率で加重した価値は、強制転換優先株を株数で数えた今の時価総額(約 132 億ドル)より約 35% 低く出る。上振れの大半は、実質 16 ドル以上の価格が長く続く 2 つの筋書き(合計 22%)から来る一方、安値が続く 2 つの筋書き(合計 42%)では、10 年後の時価総額が約 67 億ドル(やや悲観)・約 32 億ドル(悲観)と、今の半分以下にとどまる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。リチウムは電池の主原料で、蓄電と電動化の長期の需要は強く、事業そのものは存続し量も増える。ただし、「強くなる」とは言いにくい。堀は資源の質(グリーンブッシュとアタカマ)にあり、ブランドや価格決定力ではない。価格は中国の増産が決め、2022 年のピークから 2025 年までに価格が 8 割以上落ちたことが示すとおり、10 年の予想が難しい事業である。確信度を下げ、確率は慎重な側にも厚くした。
オーナー利益(株主に残る利益)は、純利益から、伸びに要る設備投資(1 万トンの新能力で約 2 億ドル。推定)を引いたもの。中立の 10 年後(純利益 16.9 億ドル)では、伸びに要る投資を引いても毎年 3〜5 億ドルが残り、PER 14 倍・時価総額 257 億ドルと評価した。今の時価総額(優先株込み約 132 億ドル)は、山に近い 2026 年の利益(約 16.9 億ドル)の 8 倍にあたる。
資本配分は 2022 年に拡張へ傾きすぎたが、2026 年は守りに戻った。安全域の面では、悲観(実質 7.5 ドルが続く)でも純現金と自己資本で時価総額の約 3 割が残るが、ここに入る確率が 16% ある。バリュー投資家なら、この株は「安いが、確実に安いとは言えない」。価格の山の利益に倍率を掛けず、限界費用に置いた価格で評価した分だけ安全域がある。
何で稼ぐ会社か
売上の構成は、リチウム(エネルギー・ストレージ)が約半分、Specialties(臭素・難燃剤・触媒)が約 4 分の 1 強、2026 年 3 月に 51% を売ったケトジェン(製油触媒)が残り。リチウムの原料は 3 つの柱で、(1) チリのアタカマ塩湖のかん水(チリ経済開発公社 CORFO に売上に連動した手数料を払う)、(2) 豪州のグリーンブッシュ鉱山(スポジュメン。運営会社 Talison の持ち分 49%、残りは天斉鋰業側)と、ミネラル・リソーシズ(MinRes)との合弁で持つウォジナ鉱山(50%)、(3) 米国ノースカロライナのキングスマウンテン(未着工)。精製は中国(眉山・欽州ほか)・チリ・米国で、電池用の炭酸リチウム・水酸化リチウムにする。
収益の仕組みは、費用の大部分が固定的なうえ、売上の約 3 割弱(チリの手数料・ロイヤルティー)が価格に連動して動くので、価格が 1 キロ上がると利益が約 0.7 ドル分増える営業レバレッジである。2026 年の会社の見通しも、価格を 10・20・30 ドルと置いた 3 つで調整後 EBITDA が 9〜10・24〜26・42〜44 億ドルと、価格の差が利益を何倍にも広げる形で示されている。2026 年の販売量は 22.5〜23.5 万トン LCE(グリーンブッシュ第 3 工場の 6 月の火災の影響を、ウォジナの好調が一部補う)で、2027 年は 24〜26 万トンを示唆する。
Specialties は臭素(米アーカンソー・ヨルダン)が中心で、2026 年の売上見通し 14〜16 億ドル・EBITDA 2.75〜3.25 億ドル。臭素の価格が持ち直した分が利益を押し上げているが、会社は下期に臭素市況の落ち着きを見込む。ケトジェンの売却後、残る製油触媒の利益は小さい(会社は軽微と説明)。設備投資は 2026 年に約 5 億ドルへ絞り(前年比 −15%)、豪州ケンマートンの第 1 系列は休止(care and maintenance)、新規の大型投資(アタカマの DLE・キングスマウンテン)は未決定のままである。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第一に資源の質:グリーンブッシュは世界で最も品位が高く費用の低いリチウム鉱山で、その持ち分 49% が、会社の利益の中でも費用が最も安い部分を占める(2026 年の持分法利益の見通しは価格 20 ドルで 6〜7 億ドル)。アタカマのかん水も世界の低費用側に入る。第二に、電池メーカーの認定を受けた品質と顧客の関係(長期契約は出荷の約 3 分の 1 だが、固定の下限・上限付きの契約は減り、市況連動が増えている)。第三に、スポジュメン・かん水・化学工場を一貫して持つ規模で、世界の需要(2025 年 約 160 万トン LCE)の約 15% を出荷する。
弱みは大きい。価格は中国の増産(天斉鋰業・贛鋒鋰業・CATL の鉱山・雲母(レピドライト)からの抽出)が決め、アルベマールには価格を決める力がない。競合の SQM(チリ)、リオ・ティント(2025 年にアーカディアムを買収)、ピルバラ・ミネラルズも増産できる。2023〜2025 年の下落で、会社は大型の拡張(ケンマートンの第 2 系列、キングスマウンテン)を止め、減損と再編費用を重ね、2025 年までの自己資本利益率は −12%(2024 年)・−5%(2025 年)だった。資本効率の悪さは、2022 年に買収・拡張へ傾いた時期の判断の代償でもある。
経営は、2026 年に入って設備投資を絞り、コスト削減(年 1〜1.5 億ドル)、ケトジェン売却による借金の圧縮(総負債 19 億ドル・現金 16 億ドル)と堅実に動いている。2023 年に出した強制転換優先株(23 億ドル)は 2027 年 3 月に普通株に転換され、株数が約 2 割増える(希薄化)。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要は電気自動車と、いま最も速く伸びている定置型蓄電(データセンター・送電網向け)で決まる。会社は 2026 年の世界の需要を 180〜220 万トン LCE(2025 年は約 160 万トン)、2030 年を 280〜360 万トン(下限を引き上げ)と見る。蓄電は 2026 年の需要の約 3 割に達し、電池生産は 2026 年に 900〜1,100GWh と見られている。2026 年 5 月までの消費は前年比 +45%(会社の推計)で、炭酸塩の在庫は 3 週間未満と薄い。
供給側は割れている。S&P は 2026 年を約 11 万トンの余り、モルガン・スタンレーは 8 万トンの不足、UBS は 2.2 万トンの不足と見る。価格が高いと中国の雲母とアフリカ(ジンバブエ・マリ)の鉱石が追加で出るので、価格は「高くなるほど供給が戻る」天井を持つ。2026 年のスポジュメン価格は第 2 四半期に平均約 2,500 ドル/t、8 月には約 2,000 ドル/t へ下がり、炭酸リチウムは中国で 4 月の 16 万元超から 8 月に約 14 万元/t(約 2 万ドル)へ落ちた。
価格の長期の水準は、世界で最も高い費用の供給者が採算に乗る価格で決まる。2025 年に 1 キロ 9〜10 ドルで中国の雲母・アフリカの一部とケンマートンが止まったことから、現金費用の上端は実質 10〜11 ドル、償却と最低限の利益を含めて新規の供給が採算に乗るのは 13 ドル前後と見る。これが中立の価格(実質 13 ドル、名目で 10 年 18.3 ドル)。新技術(ナトリウムイオン電池・直接リチウム抽出 DLE)は費用曲線を下げる方向に働く。
循環のどこにいるか:2026 年の実現価格は約 19〜20 ドルで、中立(実質 13 ドル)を 5 割上回る山に近い。ただし 2026 年は在庫が薄く投機の動きも大きい。
資本政策と M&A
資本配分は、2023〜2025 年の拡張から、守りへ明確に転じた。2026 年の設備投資は約 5 億ドル(前年比 −15%)、新規の大型案件は未決定、ケンマートン第 1 系列は休止。2026 年 3 月にケトジェン(製油触媒)の 51% を売り、総負債が 33 億ドルから 19 億ドルに減って、会社の言う純負債は EBITDA の約 0.5 倍まで下がった。配当は普通株で年約 1.9 億ドルのまま据え置き、自社株買いは再開していない。
資本政策の最大の論点は強制転換優先株である。2023 年に発行した 230 万株(額面 23 億ドル、配当 7.25%)が 2027 年 3 月 1 日に、1 株あたり 7.618〜9.140 株の普通株へ自動で転換される(株価が低いほど上限の 9.140 株に近づく)。約 1,750〜2,100 万株が加わる。本分析は優先株を株数で一度だけ数え、純利益は優先株配当を引く前で見て、転換までの配当は還元に含めた。
M&A は買う側になる可能性は小さい(キングスマウンテンなどの有機的な拡張が優先)。買われる側としては、リオ・ティントのアーカディアム買収のように大手が資源を集めており、アルベマールの規模と資源は魅力的だが、時価総額 132 億ドル・チリの CORFO 契約の承継などの壁があり、筋書きには買収プレミアムを置かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
リチウムは電池の主原料で、蓄電とデータセンターの電力需要が加わり、2030 年の需要は会社の言う 280〜360 万トン(下限を引き上げ)に向かう。2026 年 5 月までの消費は前年比 +45%、炭酸塩の在庫は 3 週間未満、スポジュメンの供給は鉱山の許認可・アフリカの出荷の混乱・雲母の立ち上がりの遅れで需要に追いつかない。価格が実質 1 キロ 16〜21 ドルで居座る世界が来れば、アルベマールの利益は 2026 年の水準(純利益 約 17 億ドル)を名目でも超える。
同社は営業レバレッジが大きい。2026 年の見通しは、価格 10 ドルの EBITDA 9〜10 億ドルから 30 ドルの 42〜44 億ドルまで、価格 1 ドルあたり約 1.7 億ドル動く。グリーンブッシュ第 3 工場が 2027 年第 1 四半期に満稼働し、持分法の利益(会社の中で最も費用が安い部分)が価格 20 ドルで 6〜7 億ドルに増える。2027 年の販売は 24〜26 万トンと会社が示す。Specialties の臭素も好調で 2026 年の見通しを引き上げた。
さらに会社は設備投資を絞って借金を減らし、2027 年 3 月に優先株が普通株に転換されて、財務は軽くなる。成長案件(アタカマの DLE:パイロットの回収率 90% 超、従来のため池方式は 30〜40%)を実行すれば、キングスマウンテンと合わせて 10 年で出荷が 4〜4.5 倍に近づく。電池メーカーとの契約は市況連動が増えており、価格が上がる局面の利益を取りやすい。
慎重な見方
2026 年の価格は、中国の先物取引の投機と在庫の薄さが押し上げた山で、実質で見て 2024〜25 年の 1 キロ 10 ドル前後(現金費用の上端)へ戻る力が強い。2026 年 4 月の 16 万元超から 8 月の約 14 万元へ、すでに落ちている。スポジュメンも 2,500 ドルから 2,000 ドルへ下がった。価格が高いほど、中国の雲母・アフリカ・ジンバブエの鉱石が戻る。アルベマールの実現価格は市場より約 15% 低く(スポジュメン売りと 3 か月遅れの契約)、利益の取り分は薄い。
同社には構造の弱点がある。2022〜2025 年に価格が 8 割以上落ち、営業利益率は −11.8%(2024 年)まで悪化し、大型の拡張(ケンマートン)を休止し減損を重ねた。固定費が重く、価格が 10 ドルに戻ると利益はほぼ消える。チリ政府(CORFO)への手数料は価格に連動し、価格が上がっても取り分が増えにくい。リオ・ティント(アーカディアム)、SQM、天斉鋰業・贛鋒鋰業が増産し、新しい技術(ナトリウムイオン電池)も蓄電の用途から価格の上限を作る。
さらに 2027 年に優先株が転換され、株数が約 2 割増える。2026 年第 2 四半期の純利益 4.8 億ドルは一時の山で、価格が中立(実質 13 ドル)に戻れば純利益は 9〜10 億ドルにとどまる。今の時価総額(優先株込み 132 億ドル)は、中立の純利益に PER 14 倍を掛けた値と現金を足すだけでほぼ到達する。
どちらに重みを置いたか
強気の見方が正しい点は、蓄電を中心とする需要の長期の伸びと、グリーンブッシュ・アタカマという資源の質、2026 年に守りへ転じた財務である。慎重な見方が正しい点は、価格が山にあること、価格を決める力がないこと、中国の供給が戻ることである。中立の価格は両者の落としどころとして、世界で最も高い費用の供給者が採算に乗る実質 13 ドルに置いた。
確率は、価格が 13 ドルより上の筋書き(楽観・やや楽観)に 10 年で合計 22%、下の筋書き(やや悲観・悲観)に 42% と、慎重な側に寄せた。理由は、2022〜2025 年に価格が 8 割以上落ちた直近の経験と、中国の供給が価格の天井を作る構造。ただし悲観・やや悲観の合計 42% でも、純現金と資源の質で自己資本を割り込みにくいので、悲観の時価総額は自己資本に床の PBR(ROE から出した式の値)を掛けて測り、二重に下げていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 100.64 ドル140 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 36.94 ドル51 億ドル)。 今の値に割り戻すと 61.74 ドル86 億ドル、今との差 −33.3%、 期待の年率 +4.0%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 349.03 ドル484 億ドル | 112.11 ドル156 億ドル | +398.3% | +17.4% | 27.67 ドル38 億ドル |
| やや楽観 | 16% | 186.88 ドル259 億ドル | 64.31 ドル89 億ドル | +171.4% | +10.5% | 40.19 ドル56 億ドル |
| 中立 | 36% | 93.37 ドル130 億ドル | 36.48 ドル51 億ドル | +40.3% | +3.4% | 46.75 ドル65 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 48.09 ドル67 億ドル | 19.61 ドル27 億ドル | −26.8% | −3.1% | 17.60 ドル24 億ドル |
| 悲観 | 16% | 23.00 ドル32 億ドル | 10.60 ドル15 億ドル | −63.7% | −9.6% | 5.38 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 100.64 ドル140 億ドル | 36.94 ドル51 億ドル | +48.7% | +4.0% | 137.58 ドル191 億ドル |
今の株価時価総額 92.54 ドル128 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:実質 21 ドルが 10 年続き、出荷が 2 倍に近づく 利益 53 億ドル · PER 9.1 倍 · 株価時価総額 349.03 ドル484 億ドル
2035 年の実現価格は名目 29.6 ドル/kg(実質 21 ドル)。世界の需要は 520 万トンで、アルベマールは 46 万トン(シェア 8.8%。約 15% から下がるが、アタカマの DLE とキングスマウンテンが稼働し出荷は 2025 年の約 2 倍)。リチウムの売上 136 億ドル、持分法を除く営業利益 49 億ドル、グリーンブッシュ持ち分の利益が 16 億ドル、Specialties の営業利益 4.9 億ドルで、純利益は 53 億ドル。ROE は 32% と高く、10 年で積み上がる現金 164 億ドルと還元 155 億ドルを含む。ただし価格が高ければ中国・アフリカの供給が戻るので、実質価格は年 2% 程度ずつ下がると見て、長期の g は 4.5%。
- リチウム(エネルギー・ストレージ):数量 460(LCE の出荷(千トン))× 価格 30(実現価格(ドル/kg LCE))→ 売上 136 億ドル・営業利益 49 億ドル。LCE の出荷×実現価格。持分法の利益は調整に
- Specialties(臭素・特殊化学品):数量 205(出荷(千トン、推定))× 価格 14(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 29 億ドル・営業利益 5 億ドル。臭素・難燃剤・特殊化学品
- ケトジェンの残りと PCS:数量 8.0(触媒の出荷(千トン、推定))× 価格 30(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。ケトジェンの残り(49%・持分法)と PCS
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 16.8%(純利益 ÷ 自己資本)、k 10.00%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.3%。長期の g 1.0%(先細りの資源は 1% まで) で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 9.1 倍、寿命 20 年の年金で頭を押さえた値。実質 21 ドルの山が続く姿。寿命 20 年の年金の値は終わりのある利益の価値そのものなので、上限に置いた、上限の 10.0 割の 9.1 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:実質 21 ドル(2026 年の実現価格に近い)が 2035 年まで続くのは、蓄電と電池の需要が 520 万トンに達し、新規供給の遅れとアフリカ・中国の政策リスクが重なる必要がある。2022 年のピークから 8 割落ちた経験と、中国の供給が価格の天井を作る構造から 6%。
やや楽観 16% やや楽観:実質 16 ドル、出荷は 1.8 倍 利益 30 億ドル · PER 8.6 倍 · 株価時価総額 186.88 ドル259 億ドル
2035 年の実現価格は名目 22.6 ドル/kg(実質 16 ドル)。世界の需要は 480 万トン、アルベマールは 43 万トン(シェア 9.0%)を出荷し、アタカマの DLE が稼働する。リチウムの売上 97 億ドル、持分法を除く営業利益 25 億ドル、グリーンブッシュ持ち分 10 億ドル、Specialties の営業利益 4 億ドル(売上 27 億ドル)で、純利益は 30 億ドル。競合の SQM・リオ・ティント(アーカディアム)・天斉鋰業は同じ価格で拡張するが、需要が強いので価格を壊さない。還元は 10 年で 89 億ドル、現金も 84 億ドル積む。
- リチウム(エネルギー・ストレージ):数量 430(LCE の出荷(千トン))× 価格 23(実現価格(ドル/kg LCE))→ 売上 97 億ドル・営業利益 25 億ドル。LCE の出荷×実現価格。持分法の利益は調整に
- Specialties(臭素・特殊化学品):数量 198(出荷(千トン、推定))× 価格 14(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 27 億ドル・営業利益 4 億ドル。臭素・難燃剤・特殊化学品
- ケトジェンの残りと PCS:数量 8.0(触媒の出荷(千トン、推定))× 価格 30(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。ケトジェンの残り(49%・持分法)と PCS
倍率:利益ベースの正当化 PER:事業の ROE 13.0%(純利益 ÷ 自己資本)、k 10.00%、堀は弱い(残る割合 0.33)で RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.0%。長期の g 1.0%(先細りの資源は 1% まで) で (1 − g÷RONIC)÷(k − g) = 上限 9.1 倍、寿命 20 年の年金で頭を押さえた値。価格が限界費用を 2 割上回る姿。寿命 20 年の年金の値は終わりのある利益の価値そのものなので、割り引き過ぎず、上限の 9.5 割の 8.6 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:実質 16 ドル(2026 年の実現価格の 8 割強)が 10 年続く筋書き。限界費用(13 ドル)より 2 割ほど高い水準が、蓄電の伸びで維持される。起こりやすいので 16%。
中立 36% 中立:実質 13 ドル(限界費用)が続き、出荷は 1.7 倍 利益 17 億ドル · PER 7.7 倍 · 株価時価総額 93.37 ドル130 億ドル
2035 年の実現価格は名目 18.3 ドル/kg(実質 13 ドル)。世界の需要は 440 万トン(2025 年の 2.8 倍)、アルベマールは 40 万トン(シェア 9.1%)を出荷し、2025 年の約 1.7 倍。ただし拡張はグリーンブッシュ第 3 工場とウォジナの稼働が中心で、アタカマの DLE は段階的。リチウムの費用は 1 キロ 13.4 ドルで、持分法を除く営業利益は 12 億ドル、グリーンブッシュ持ち分が約 7 億ドル、Specialties が営業利益 3.3 億ドル(売上 25 億ドル、臭素は物価並み)で、純利益は 16.9 億ドル。2026 年の見込みと名目で同じなので、実質では目減りする。競合に負ける場面(ナトリウムイオン電池が蓄電で 15% 置き換え)は悲観側で見る。還元は 10 年で 51 億ドル、現金は 39 億ドル積む。
- リチウム(エネルギー・ストレージ):数量 400(LCE の出荷(千トン))× 価格 18(実現価格(ドル/kg LCE))→ 売上 73 億ドル・営業利益 12 億ドル。LCE の出荷×実現価格。持分法の利益は調整に
- Specialties(臭素・特殊化学品):数量 190(出荷(千トン、推定))× 価格 13(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 25 億ドル・営業利益 3 億ドル。臭素・難燃剤・特殊化学品
- ケトジェンの残りと PCS:数量 8.0(触媒の出荷(千トン、推定))× 価格 30(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。ケトジェンの残り(49%・持分法)と PCS
倍率:事業の ROE 9.4% が k 10.00% 以下なので、ためた利益の価値は額面未満で PER は 1÷k = 8.5 倍まで。寿命 20 年の年金の値は終わりのある利益の価値そのもので、市況の振れは k の循環で入れてあるので、割り引き過ぎず、上限の 9.0 割の 7.7 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:価格は世界で最も高い費用の供給者が採算に乗る水準(実質 13 ドル)で、供給が需要に追従する。期待の中心だが、2022〜25 年の経験から確信は高くない。確率は最も厚く 36%。
やや悲観 26% やや悲観:実質 11.5 ドル、出荷は 1.5 倍にとどまる 利益 10 億ドル · PER 6.8 倍 · 株価時価総額 48.09 ドル67 億ドル
2035 年の実現価格は名目 16.2 ドル/kg(実質 11.5 ドル)。世界の需要は 380 万トンにとどまり(蓄電の伸びが鈍る)、アルベマールは 35 万トン(シェア 9.2%)。費用は 1 キロ 12.5 ドルで、持分法を除く営業利益は 6 億ドル、グリーンブッシュ持ち分は 5 億ドル、Specialties は中国の臭素との競争で営業利益 2 億ドル(売上 22 億ドル)に縮む。純利益は 9.8 億ドル。拡張は半分に絞り、ケンマートンは減損 8 億ドル。長期の g は 3.5%、ROE は 8.4% と資本コストの 9% を下回る(成長が価値を作らない)。還元は 10 年で 27 億ドル。
- リチウム(エネルギー・ストレージ):数量 350(LCE の出荷(千トン))× 価格 16(実現価格(ドル/kg LCE))→ 売上 57 億ドル・営業利益 6 億ドル。LCE の出荷×実現価格。持分法の利益は調整に
- Specialties(臭素・特殊化学品):数量 175(出荷(千トン、推定))× 価格 13(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 22 億ドル・営業利益 2 億ドル。臭素・難燃剤・特殊化学品
- ケトジェンの残りと PCS:数量 8.0(触媒の出荷(千トン、推定))× 価格 30(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。ケトジェンの残り(49%・持分法)と PCS
倍率:事業の ROE 7.1% が k 10.00% 以下なので、ためた利益の価値は額面未満で PER は 1÷k = 8.5 倍まで。ROE が k に届かず資源を掘り減らす姿で、年金の値を割り引き過ぎず、上限の 8.0 割の 6.8 倍に置いた。純利益は GAAP。
確率:中立より 1 割強低い実質 11.5 ドルが続く形。中国の雲母・アフリカの供給が増産して需要の伸びを吸収し、価格が現金費用の上端近くに貼り付く。起こりやすいので 26%。
悲観 16% 悲観:実質 7.5 ドルに張り付く構造の負け 利益 −4 億ドル · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 23.00 ドル32 億ドル
2035 年の実現価格は名目 10.6 ドル/kg(実質 7.5 ドル)。ナトリウムイオン電池が蓄電の一部を置き換え、世界の需要は 320 万トン、中国の雲母・アフリカ・SQM・リオ・ティント(アーカディアム)が価格を現金費用の下まで押し下げる。アルベマールは 29 万トン(シェア 9.1%)を出荷するが、費用(1 キロ約 10.4 ドル)が価格を上回り、リチウムは約 6 億ドルの営業赤字。グリーンブッシュ持ち分の利益は 1 億ドル未満に縮み、純損益は 3.9 億ドルの赤字。減損 25 億ドルで自己資本は 54 億ドル。配当は半分に減らし、手元の現金と非中核資産の売却・設備投資の削減で払う。優良な資源会社から、費用に追われる資源会社になる。
- リチウム(エネルギー・ストレージ):数量 290(LCE の出荷(千トン))× 価格 11(実現価格(ドル/kg LCE))→ 売上 31 億ドル・営業利益 −6 億ドル。LCE の出荷×実現価格。持分法の利益は調整に
- Specialties(臭素・特殊化学品):数量 160(出荷(千トン、推定))× 価格 11(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 18 億ドル・営業利益 1 億ドル。臭素・難燃剤・特殊化学品
- ケトジェンの残りと PCS:数量 8.0(触媒の出荷(千トン、推定))× 価格 30(平均単価(ドル/kg、推定))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。ケトジェンの残り(49%・持分法)と PCS
倍率:10 年目の損益は赤字(-3.9 億ドル)で、その年に PER を当てると二重に下げるので、床は自己資本で見る。自己資本 約 54 億ドルは減損 25 億ドルと 2029〜35 年の赤字・配当を引いた後で、グリーンブッシュ持分と費用の低い資産が残る。PBR 0.59 倍=(ROE − g)/(k − g):ならした ROE 7%(費用曲線の上位の供給者が閉まり、実質価格が下げ止まる前提)・g 2.0%・k 10.5%。ROE が k を割り続ける構造の悲観なので式の値のまま置いた。
確率:ナトリウムイオン電池と中国の増産で実質 7.5 ドルに張り付き、アルベマールが「もう優良ではない」状態になる筋書き。2022 年から 2025 年に 8 割以上落ちた経験があり、16% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
リチウム(エネルギー・ストレージ)
炭酸リチウム・水酸化リチウムの製造販売。原料はチリのかん水・豪州のスポジュメン(グリーンブッシュ持分 49%・ウォジナ 50%)。グリーンブッシュの持分法利益は調整に入れる。
| 数量LCE の出荷(千トン) | 価格実現価格(ドル/kg LCE) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 235 | 11 | 25 | −1 |
| 10 年後 中立 | 400 | 18 | 73 | 12 |
取り方:数量は 2026 年の見通し 22.5〜23.5 万トンが前年から横ばい〜−4% という説明から逆算した 2025 年の約 23.5 万トン(世界の需要約 160 万トンの 14.7%)。価格は 2025 年の見通しの前提(市場 1 キロ約 10 ドル・リチウムの売上 25〜26 億ドル)から約 10.8 ドル(遅れた契約の分が市場より少し高い)。2026 年第 2 四半期は 65 千トン・19.53 ドル。費用は 1 キロ 5.7 ドル(2026 年のドル)+価格の 29%(チリの手数料・ロイヤルティー):2026 年の見通しの 3 つの価格(10・20・30 ドル)の売上と EBITDA から逆算した。持分法の利益(グリーンブッシュ)は含めず(調整に)。営業利益は償却 5.2 億ドルを引いた値(推定)。競合は SQM(約 20 万トン超)・天斉鋰業・贛鋒鋰業・リオ・ティント(アーカディアム)・中国の雲母業者。
Specialties(臭素・特殊化学品)
臭素・難燃剤・精製触媒・電池材料の原料など。米アーカンソーとヨルダンの臭素が中心。
| 数量出荷(千トン、推定) | 価格平均単価(ドル/kg、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 150 | 9.00 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 190 | 13 | 25 | 3 |
取り方:2025 年の売上は 2026 年の見通し(14〜16 億ドル。第 2 四半期は +20%:数量 +8%・価格 +11%)から逆算した約 13.5 億ドル。出荷量は開示がなく、数量 150 千トン換算×平均単価 9 ドルの推定。EBITDA は約 2.1 億ドル、償却約 0.95 億ドルを引いて営業利益 1.15 億ドル(推定)。競合は ICL(イスラエル)・ランクセス・中国の臭素業者(中国の臭素指数は同社の出荷の 3 分の 1 未満をカバー)。
ケトジェンの残りと PCS
製油触媒の事業(ケトジェン)。51% を 2026 年 3 月に売却し、残りは持分法に。2026 年以降はごく小さい。
| 数量触媒の出荷(千トン、推定) | 価格平均単価(ドル/kg、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 20 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 30 | 2 | 0 |
取り方:2025 年の全社の売上 51 億ドルからリチウムと Specialties を引いた残りの約 12 億ドルがケトジェンなど。触媒の出荷量は推定(60 千トン×平均単価 20 ドル/kg)。2026 年 3 月 2 日に 51% を売り、第 2 四半期の「その他」の売上は 0.43 億ドル。以降の筋書きは、残りの持ち分と PCS の小さな売上(8 千トン×21 ドルの物価上昇)だけを置く。
リスクと懸念
リチウム価格が山から実質の限界費用へ戻る
2026 年の実現価格(第 2 四半期 19.5 ドル)は中立(実質 13 ドル)を 5 割上回る山に近い。会社の見通しは価格 1 ドルあたり EBITDA が約 1.7 億ドル動き、10 ドルなら調整後 EBITDA 9〜10 億ドル、20 ドルなら 24〜26 億ドル。中国の先物の投機が大きく、2026 年 4 月の 16 万元超から 8 月に約 14 万元へ既に下がった。
中国の供給(雲母・アフリカ・天斉鋰業など)が価格の天井を作る
価格が上がると中国の雲母とジンバブエ・マリの鉱石が追加で出る。ガンフォン・天斉鋰業・CATL の鉱山は費用が低く、アルベマールには価格を決める力がない。リオ・ティントがアーカディアムを買収し、SQM とともに増産できる。需給の予測も割れ(S&P は余り、モルガン・スタンレーは不足)、2027 年の余りを見る声がある。
グリーンブッシュ・ウォジナの操業事故
グリーンブッシュ第 3 工場は 2026 年 6 月 9 日の火災で止まり、8 月 1 日に再開、満稼働は 2027 年第 1 四半期に延びた。持分法の利益(価格 20 ドルで年 6〜7 億ドル)は会社の利益の中で最も費用が安い部分で、ここが遅れると 2027〜28 年の利益が数億ドル動く。
強制転換優先株による株数の増加(約 2 割)
2027 年 3 月 1 日に優先株 230 万株が 7.618〜9.140 株の普通株に転換される。約 1,750〜2,100 万株が加わり、1 株あたりの価値は約 15% 薄まる。本分析は株数で一度だけ数えている。株価が転換の基準価格を上回るほど転換株数が減り、薄まりは小さくなる。
チリ(CORFO)の手数料・契約と資源ナショナリズム
アタカマの契約はチリ経済開発公社(CORFO)に売上に連動した手数料を払う。2026 年は価格上昇で手数料が売上原価を押し上げた。コデルコ・SQM の提携を含めチリのリチウム政策が変われば、利益の取り分が下がる。ジンバブエ・豪州・中国の政策リスクもある。
新規の拡張の失敗と新技術(ナトリウムイオン電池)
2022〜23 年にケンマートンなどの拡張に傾き、2024〜25 年に休止と減損に追い込まれた。成長案件(アタカマ DLE・キングスマウンテン)は未決定で、実行するなら価格が低い局面の投資になる危険がある。ナトリウムイオン電池が定置型蓄電を置き換えれば、長期の需要の伸びが鈍る。
Specialties の臭素市況の落ち着きと中東の供給網
2026 年は臭素の価格上昇で Specialties の見通しを引き上げたが、会社自身が下期に市況の落ち着きを見込む。ヨルダンの臭素(JBC)の操業は中東の緊張の影響を受け、中東関連の供給網の費用は対策前で 0.7〜0.9 億ドルと見られる。
今後の分かれ目
- リチウムの実現価格が実質 1 キロ 16 ドル以上(名目 2035 年で 22 ドル台)を 2030 年代も保つ
- 楽観〜やや楽観に移る。2035 年の純利益は 30 億ドル以上で、現金の積み上がりと還元も増える。ただし費用も物価で上がり、中国の供給が戻って価格が下がる力が働く。
- 価格が実質 1 キロ 10 ドル台前半(2025 年の水準)に 2 年以上戻る
- やや悲観に移る。持分法を除くリチウムの営業利益はほぼゼロ、純利益は 3〜4 億ドル台に落ち、成長案件は見送られる。
- グリーンブッシュ第 3 工場が 2027 年第 1 四半期までに満稼働し、2027 年の出荷が 24〜26 万トンに乗る
- 中立の見方(出荷が需要に追従する形)が現実味を帯びる。遅れが 2028 年にずれ込めば 2028 年の出荷が約 1 割減り、やや悲観に近づく。
- アタカマの DLE(回収率 90% 超)の最終投資判断が出て、キングスマウンテンも動き出す
- 10 年後の出荷が 45 万トン超に近づき楽観寄りの数量になるが、価格が低い局面の投資なら ROE が k を下回り、価値は増えない。
- ナトリウムイオン電池が定置型蓄電で 2〜3 割を置き換える
- 需要の伸びが年 2〜3% 下がり、悲観(実質 7.5 ドル)に移る。アルベマールの出荷は 29 万トン前後にとどまる。
- 優先株の転換(2027 年 3 月)の前に株価が転換株数の下限になる水準(額面を 7.618 株で割った値)を上回る
- 転換株数が 7.618 株に減り(約 1,750 万株)、株数の増加が 2 割弱から約 15% に縮む。株価が基準価格以下なら 9.140 株(約 2,100 万株)が上限。
見ておくもの
- リチウムの実現価格と中国の炭酸リチウム価格(1 トン 14 万元前後が支えられるか。16 万元超の再来か)
- グリーンブッシュ第 3 工場の満稼働(2027 年第 1 四半期の見込み)とウォジナの出荷
- 2026 年第 3・第 4 四半期の決算(リチウム売上・利益率の前期比低下の幅。会社は第 3 四半期の低下を予告)
- アタカマの DLE・キングスマウンテンの最終投資判断と設備投資(2026 年約 5 億ドル)
- S&P・モルガン・スタンレー・UBS の 2026〜27 年の需給の見方の収れん(余りか不足か)
- SQM・リオ・ティント(アーカディアム)・天斉鋰業・贛鋒鋰業の増産と、ナトリウムイオン電池の蓄電での採用
- Specialties の臭素価格(会社は下期の落ち着きを見込む)とヨルダンの操業
- 優先株の転換株数(2027 年 3 月)と、普通株の配当・自社株買いの再開
倍率と資本コストの決め方
今の株価・今の時価総額・2026 年の実現価格 19.5 ドルは見ずに、3 つのセグメント(リチウム・Specialties・ケトジェンの残り)の数量×価格を積み上げた。リチウムは価格の山や谷の年の利益に倍率を掛けず、限界費用の水準(実質 13 ドル)を中立にして 5 つの価格の筋書きで置き、悲観に確率 16%・やや悲観に 26% を置いた。倍率は k 10.5%・g(資源を掘り減らすので 1%)・ROE の式どおりの上限の 8〜10 割で置いた(悲観だけは赤字の年なので自己資本に PBR)。優先株は株数で一度だけ数え、配当は還元にだけ入れた。結果は今より 35% 低い(割高)。中立の 10 年の時価総額は 130 億ドルで、価格が実質 16 ドル以上の筋書き(22%)が上振れを作り、安値の筋書き(42%)は今を大きく下回る。結論は価格の見方に強く依存する。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β 1.22 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 2.5% = 10.5%。リチウム価格が実質で大きく振れ、営業利益率が −12% から大きな黒字まで動くので循環に +1.0%、価格は市場に決められるので値決めに +0.5%。純負債は時価総額の 15% で借金は 0。ナトリウムイオン電池など電池の技術の置き換えで需要の伸びが読みにくいので寿命に +0.5%。価格の山と谷・中国の増産・チリ政府との契約などの個別の事情は k に足さず、筋書きの価格と確率(やや悲観・悲観に 10 年で合計 42%)で表した。上乗せは 0。