結論
フューチャーは、大企業の経営改革とシステム作りを一体で請け負うITコンサル会社だ。営業利益率は2割を超え、同業の受託開発の倍近い。筆者の結論は割高で、その高い利益率が「技術者の時間に高い単価を付ける」仕組みの上に立ち、AIエージェントが真っ先に置き換える位置にあることが理由だ。
売上の89%を占めるITコンサルティング&サービスは、設計・要件整理・開発・運用を一貫して売る人月型で、数量は今の0.66倍、利益率は今の25%から22%へ下げた。高い単価は、顧客が内製や安いAIサービスに移れば守れない。自社事業のビジネスイノベーションは小さく、席・製品販売型で数量0.85倍とした。
中立の売上は今の0.85倍の649億円、純利益は86億円。現金は厚いが、事業ほど稼がないので資本効率は下がる。資本コストは7.5%、本質価値は2,154億円に対して605億円で、差は-72%。やや悲観と悲観の確率は45%と、人月の高利益率型として厚く置いた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を長く持ちたいかと問うことになる。答えは条件つきだ。経営改革から入る営業利益率2割超の事業は魅力的で、実質無借金という安全域もある。
しかし、10年先を見通せるかというと自信が持てない。稼ぎの源が人月で、生成AIがその前提を直撃するからだ。バリュー投資家は、読めない事業には確信を下げ、値段に余裕を求める。
次に、オーナー利益、つまり再投資の後に株主の手に残る利益を考える。人で稼ぐ会社は設備投資が小さく、利益の質は良い。ところが利益の6割強を社内に置き、その現金は2%前後でしか回らない。ためた利益が額面以上の価値を生むとは言いにくい。
経営者が資本を上手に配分するかも問う。創業者が約5割を持つので、方針は一貫する。半面、買収で広げたビジネスイノベーション事業の稼ぎは弱く、資本配分の腕は満点とは言えない。
結論として、事業の質は高いが、10年後の価値は人の稼ぎ方にかかっている。人月商売の先行きに分からない部分が残るので、確率は悲観寄りに置き、値段に余裕を求める。
何で稼ぐ会社か
フューチャーは持株会社で、事業の大半はフューチャーアーキテクトが担うITコンサルティング&サービス事業だ。売上の約9割を占める。顧客は銀行・流通・製造・物流などの大企業で、経営改革の構想づくりから基幹システムの設計・開発・運用までを一貫して請け負う。
特徴は、案件で得た業務の知識を自社の部品(知的財産)として蓄え、他の顧客に横展開する点にある。アパレル向けの「FutureApparel」、物流向けの「GlyphFeeds」などがその例で、保守料が積み上がるストック収益になっている。直近は、SBI新生銀行の次世代バンキングシステムのような大型案件が売上を押し上げている。
もう1つの柱がビジネスイノベーション事業だ。EC・メディア・スポーツなどの自社事業を持ち、売上は全体の1割ほどである。長く利益が薄く、2026年上期は構造改革で赤字から黒字へ戻った段階にある。
グループにはセキュリティのフューチャーセキュアウェイブ、店舗再生のリヴァンプ、フューチャーインスペースなどがある。連結の従業員は約3,600人で、売上を人数で割ると1人あたり約2,100万円になる。人を増やすほど売上が増える構造だ。
利益は案件の大きさと技術者の稼働率で決まる。採用費は2026年上期に大きく増えた。人を先に採り、案件で埋めていく運営である。
優良さと弱いところ
筆者が評価するのは、この会社の入り口にある。経営改革の構想段階から関わるので、顧客の業務を深く知ったまま開発に入れる。価格競争になりにくく、営業利益率は直近で21%に達する。受託開発が中心の同業は1割強が多く、差ははっきりしている。
堀、つまり他社がまねできない強みは、強いとまでは言えないと筆者は見る。知的財産の横展開は効いているが、売上の大半は今もプロジェクトの人月だ。顧客が切り替えにくい共同利用型システムを持つ野村総合研究所とは、守りの厚さが違う。大型案件が終われば売上が反落する波も避けられない。
資本の面では、実質で借金がなく、自己資本比率は6割を超える。財務の安全度は高い。ただし利益の多くを現金のまま持ち、自己資本利益率は2022年の20%台から18〜19%へ下がってきた。現金は事業ほど稼がないので、厚みは安全域として効く一方、成長の栄養にはなっていない。
経営は創業者の金丸恭文氏が会長兼社長を務める。買収で事業を広げてきた歴史があり、ビジネスイノベーション事業の収益性の低さは、その選別の甘さを映す。一方で採用と教育に費用をかけ続ける姿勢は、人で稼ぐ会社として筋が通っている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のITサービス市場は7兆円台半ばで、2030年まで年6%前後の成長が見込まれる。基幹システムの刷新、データ活用、AI実装が需要を支える。技術者は足りず、人月単価は物価を超えて上がりやすい。フューチャーの追い風はここにある。
競合は大手のNRI・TIS・SCSKなどと、中堅の電通総研・NSD・シンプレクスなどだ。経営コンサルを兼ねる点ではNRIやシンプレクスと近い。大手会計系コンサルとも案件で競る。市場は分散しており、フューチャーの国内シェアは1%に届かない。伸びしろは大きいが、突出した地位を築いたわけではない。
最大の変数は生成AIだ。コードを書く工程はAIで大きく減る可能性がある。単価が下がるのか、人員が減るのか、それとも高度な案件へ移って単価が上がるのか。10年後の答えは誰にも分からない。筆者は、上流の構想に強い会社ほど耐えると見るが、工数で請け負う部分は確実に削られると考える。
景気には緩やかに左右される。不況ではIT予算の先送りで新規開発が止まり、稼働率が落ちる。過去の大きな谷(2008〜2009年)では、同業の利益は3〜5割落ちた。フューチャーは2020年に営業利益が2割ほど減った実績がある。
金利が上がる中でも顧客企業の投資余力は保たれており、足元の需要は強い。採用競争は激しく、技術者の確保が成長の天井を決める。
【AIエージェント代替】高単価のコンサルほどAIの影響が大きい。フューチャーは中立で売上が今の0.85倍とみた。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、連結配当性向35%を目安に増配を続けている。2025年12月期の性向は約35%だった。自社株買いの実績は確認できていない。利益の65%近くが会社に残るため、現金が積み上がり、自己資本利益率を押し下げる。
買収は事業を広げる手段として使ってきた。メディア・教育・製造業向け・セキュリティ・戦略コンサルなどを取り込み、リヴァンプも連結に加えた。ただ、ビジネスイノベーション事業は長く利益が薄い。
株主は、創業者の資産管理会社である合同会社キーウェスト・ネットワークが約34%、金丸氏本人が約12.5%を持つ。合わせて半数近くが創業者側に集まる。経営は安定するが、少数株主への還元を強める力は働きにくい。上場子会社や持ち合いの大型売却は見当たらず、TOBによる再編は創業者の意向次第になる。
筆者は、現金を事業の拡大や還元に回す方針が出るかどうかを、最も重要な変化の兆しと考える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AIで開発が楽になる時代は、上流の構想を持つ会社に有利に働く。顧客が欲しいのはコードではなく、業務を変える答えだ。フューチャーは経営改革から入り、業務知識を知的財産として蓄えてきた。AIはその知的財産の横展開を速め、人を増やさずに案件をこなす余地を広げる。単価の高い案件が増え、営業利益率は2割台半ばを保てる。
需要も強い。基幹システムの刷新は10年単位で続き、人手不足で単価は物価以上に上がる。SBI新生銀行の次世代バンキングのような大型案件は、金融分野への足がかりになる。国内シェアは1%に届かず、同業の大手に比べて伸びしろが大きい。技術者を毎年3%ほど増やせば、売上は10年で倍近くになる。
資本にも上振れがある。現金は実質でほとんど借金のない水準に積み上がり、金丸氏が大型の買収か大幅な増配・自社株買いへ動けば、自己資本利益率は戻る。ビジネスイノベーション事業が構造改革で黒字になった点も前向きだ。
強気の見方では、売上1,700億円超・営業利益390億円前後・純利益290億円弱が射程に入る。この規模の利益が続くなら、倍率は16〜17倍が妥当で、時価総額は5,000億円近くへ向かう。
慎重な見方
最大の問題は、稼ぎ方そのものが標的になることだ。人月で値段が決まる商売は、AIが開発工数を3割、5割と削るほど売上が縮む。顧客は同じ成果を少ない人月で求め、単価は物価に追いつかなくなる。営業利益率が2割を超える会社は、値下がりの余地も大きい。
同業の大手には、顧客が切り替えにくい共同利用型システムがある。フューチャーにはそれがなく、プロジェクトが終われば売上は消える。2020年には営業利益が2割ほど減り、案件の波が利益を揺らすことを示した。2026年上期は営業利益の伸びが4%にとどまり、採用費が先に増えている。人を増やした分が案件で埋まらなければ、利益率は急に下がる。
資本の使い方にも弱さがある。利益の6割強を社内に置き、現金は運用が2%前後にとどまる。創業者側が半数近くを握り、少数株主へ還元を強める圧力が働かない。買収で広げたビジネスイノベーション事業は長く利益が薄い。
これらが重なると、営業利益率は10年で1割台前半まで下がりうる。慎重な見方では、純利益は今から1割ほど減り、倍率は12倍台にとどまる。時価総額は今を下回り、割高と評価される。
どちらに重みを置いたか
強気は高い利益率と純現金、大企業との深い関係を言い、慎重は人月の単価そのものがAIエージェントで崩れることを言う。高い単価は他社に取って代わられやすい弱みでもあるので、慎重の言い分を重く取った。やや悲観と悲観の確率は45%、差は-72%。堀の浅い高利益の人月型として、重く出た。強気が当たるのはAI関連の売上が金額で出た時だけだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,337 円1,186 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 411 円365 億円)。 今の値に割り戻すと 935 円830 億円、今との差 −61.5%、 期待の年率 −3.2%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 2,366 円2,099 億円 | 545 円484 億円 | +19.9% | +1.8% | 146 円129 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,968 円1,746 億円 | 483 円429 億円 | +1.0% | +0.1% | 417 円370 億円 |
| 中立 | 33% | 1,681 円1,492 億円 | 447 円397 億円 | −12.3% | −1.3% | 702 円623 億円 |
| やや悲観 | 28% | 999 円886 億円 | 369 円327 億円 | −43.7% | −5.6% | 383 円340 億円 |
| 悲観 | 17% | 290 円257 億円 | 300 円266 億円 | −75.7% | −13.2% | 100 円89 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,337 円1,186 億円 | 411 円365 億円 | −28.0% | −3.2% | 1,748 円1,551 億円 |
今の株価時価総額 2,428 円2,154 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 高単価のコンサルが守られ、減りが小さい 利益 131 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 2,366 円2,099 億円
大企業の基幹刷新が続き、AIエージェントを組み込んだコンサルを成果報酬で受ける筋書き。ITコンサルは数量が今の0.86倍、価格が1.36倍、利益率24%。AIを自社の売り物にして金額が出ている開示は確かめられないので、数量は今以上には置かない。 内訳はITコンサルティング&サービス=数量0.86倍・価格1.36倍・利益率23.7%、ビジネスイノベーション=数量1.00倍・価格1.23倍・利益率1.2%。 この筋書きの確率は5%。結果は、売上が今の1.17倍の892億円、営業利益178億円、純利益131億円、自己資本1,383億円、10年の還元484億円、時価総額1,742億円(PER13.33倍)。
- ITコンサルティング&サービス:数量 2,574(技術者数(人))× 価格 3,058(技術者1人あたり年間売上(万円))→ 売上 787 億円・営業利益 186 億円。数量0.86倍・価格1.36倍・営業利益率23.6%(人月型)
- ビジネスイノベーション:数量 600(従業員数(人))× 価格 1,740(従業員1人あたり年間売上(万円))→ 売上 104 億円・営業利益 1 億円。数量1.00倍・価格1.23倍・営業利益率1.3%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 131 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 1,742 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIを自社の売り物にした金額の開示は無く、楽観でも数量は今以下。5%。
やや楽観 17% 基幹刷新の案件が続き、一部が成果報酬へ 利益 103 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,968 円1,746 億円
案件の大型化が続き、一部が成果報酬へ移る。ITコンサルは数量0.74倍・価格1.31倍。技術者の数は緩やかに減るが、残る案件の単価は物価並みに上がる。創業者のもとで資本配分も大きく崩れない。 内訳はITコンサルティング&サービス=数量0.74倍・価格1.31倍・利益率22.5%、ビジネスイノベーション=数量0.95倍・価格1.18倍・利益率1.3%。 この筋書きの確率は17%。結果は、売上が今の0.98倍の748億円、営業利益140億円、純利益103億円、自己資本1,297億円、10年の還元429億円、時価総額1,369億円(PER13.33倍)。
- ITコンサルティング&サービス:数量 2,218(技術者数(人))× 価格 2,944(技術者1人あたり年間売上(万円))→ 売上 653 億円・営業利益 147 億円。数量0.74倍・価格1.31倍・営業利益率22.6%(人月型)
- ビジネスイノベーション:数量 571(従業員数(人))× 価格 1,675(従業員1人あたり年間売上(万円))→ 売上 96 億円・営業利益 1 億円。数量0.95倍・価格1.18倍・営業利益率1.2%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 103 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 1,369 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:大型案件が続き一部が成果報酬へ移る筋書き。17%。
中立 33% 設計や要件整理の一部をAIが肩代わりする 利益 86 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,681 円1,492 億円
設計や要件整理の一部をAIエージェントが肩代わりし、技術者の数が減る。ITコンサルは数量0.66倍・価格1.27倍、利益率は21.9%。高い単価は保てず、同業並みに近づく。現金はたまるが、事業ほど稼がない。 内訳はITコンサルティング&サービス=数量0.66倍・価格1.27倍・利益率21.9%、ビジネスイノベーション=数量0.85倍・価格1.15倍・利益率1.2%。 この筋書きの確率は33%。結果は、売上が今の0.85倍の649億円、営業利益117億円、純利益86億円、自己資本1,245億円、10年の還元397億円、時価総額1,144億円(PER13.33倍)。
- ITコンサルティング&サービス:数量 1,980(技術者数(人))× 価格 2,858(技術者1人あたり年間売上(万円))→ 売上 566 億円・営業利益 124 億円。数量0.66倍・価格1.27倍・営業利益率21.9%(人月型)
- ビジネスイノベーション:数量 510(従業員数(人))× 価格 1,626(従業員1人あたり年間売上(万円))→ 売上 83 億円・営業利益 1 億円。数量0.85倍・価格1.15倍・営業利益率1.2%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 86 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 1,144 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:設計や要件整理の一部が置き換わる中心の筋書き。33%。
やや悲観 28% 顧客の内製と安いAIサービスで案件が減る 利益 50 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 999 円886 億円
顧客が内製と安いAIサービスへ移り、案件の数と単価が同時に下がる。ITコンサルの数量は0.56倍、価格は1.21倍、利益率は16.4%。高い固定の人件費が利益を削る。 内訳はITコンサルティング&サービス=数量0.56倍・価格1.21倍・利益率16.4%、ビジネスイノベーション=数量0.72倍・価格1.09倍・利益率0.9%。 この筋書きの確率は28%。結果は、売上が今の0.69倍の524億円、営業利益69億円、純利益50億円、自己資本1,138億円、10年の還元327億円、時価総額671億円(PER13.34倍)。
- ITコンサルティング&サービス:数量 1,683(技術者数(人))× 価格 2,715(技術者1人あたり年間売上(万円))→ 売上 457 億円・営業利益 75 億円。数量0.56倍・価格1.21倍・営業利益率16.4%(人月型)
- ビジネスイノベーション:数量 434(従業員数(人))× 価格 1,545(従業員1人あたり年間売上(万円))→ 売上 67 億円・営業利益 1 億円。数量0.72倍・価格1.09倍・営業利益率0.9%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg0.00%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+-0.00%)=13.34倍(事業のROE4.4%、RONICは使わない)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:顧客の内製と値下げの筋書き。28%。
悲観 17% AIエージェントがコンサルの中核を置き換える 利益 19 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 290 円257 億円
AIエージェントがコンサルの中核を置き換え、売上は今の半分前後に縮む。高い利益率は崩れて9.9%となり、最後は純現金が価値の中心になる。創業者への偏りもあり、現金の戻りは限られる。 内訳はITコンサルティング&サービス=数量0.43倍・価格1.12倍・利益率9.9%、ビジネスイノベーション=数量0.55倍・価格1.01倍・利益率0.6%。 この筋書きの確率は17%。結果は、売上が今の0.49倍の371億円、営業利益26億円、純利益19億円、自己資本1,043億円、10年の還元266億円、時価総額257億円(PER13.33倍)。
- ITコンサルティング&サービス:数量 1,287(技術者数(人))× 価格 2,515(技術者1人あたり年間売上(万円))→ 売上 324 億円・営業利益 32 億円。数量0.43倍・価格1.12倍・営業利益率9.9%(人月型)
- ビジネスイノベーション:数量 332(従業員数(人))× 価格 1,431(従業員1人あたり年間売上(万円))→ 売上 47 億円・営業利益 0 億円。数量0.55倍・価格1.01倍・営業利益率0.5%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg0.00%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+-0.00%)=13.33倍(事業のROE1.8%、RONICは使わない)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:高単価のコンサルが崩れる筋書き。最も狙われる位置なので17%、合わせて45%と厚く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ITコンサルティング&サービス
大企業の経営改革と基幹システムの設計・開発・運用を一貫して請け負う中核事業。
| 数量技術者数(人) | 価格技術者1人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,000 | 2,251 | 675 | 168 |
| 10 年後 中立 | 1,980 | 2,858 | 566 | 124 |
取り方:2025年12月期のセグメント売上675億円(第三者の要約)を、連結従業員3,624人のうちこの事業の技術者を約3,000人と置いて割り、1人あたり約2,250万円とした。営業利益は開示を確認できず、全社162億円からビジネスイノベーションの小幅黒字と本社費を引いた推定。 【AIエージェント代替の見直し】ITコンサルティング&サービス(売上675億円、89%)は設計から運用までの人月型。高い単価がAIエージェントの標的で、中立で数量0.66倍・価格1.27倍、利益率は25%から22%へ。
ビジネスイノベーション
EC・メディア・スポーツなどの自社事業とリヴァンプなどを含む事業。
| 数量従業員数(人) | 価格従業員1人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 1,414 | 85 | 1 |
| 10 年後 中立 | 510 | 1,626 | 83 | 1 |
取り方:2025年12月期のセグメント売上85億円を従業員約600人で割り1人あたり約1,400万円とした。営業利益は2026年上期に黒字へ戻った段階であり、2025年は損益トントンと推定。 【AIエージェント代替の見直し】ビジネスイノベーション(売上85億円、11%)はEC・メディア・スポーツなど自社事業で、席・製品販売型。利益はほぼゼロ。中立で数量0.85倍・価格1.15倍。
リスクと懸念
AIエージェント代替(高単価コンサルの置き換え)
フューチャーの稼ぎは技術者の時間に高い単価を付ける人月型で、設計・要件整理・開発の多くはAIエージェントの得意な仕事だ。顧客が内製や安いAIサービスへ移ると、数量も単価も下がる。高利益率ほど落差が大きく、中立の売上は今の0.85倍、悲観では0.49倍とした。
大型案件への依存と波
SBI新生銀行の次世代バンキングのような大型案件が売上と利益を押し上げている。案件が終われば同じ規模の穴が空く。2020年12月期には営業利益が約2割減った実績があり、案件の切れ目が利益の振れになる。
採用費と稼働率
人を先に採って案件で埋める運営だ。2026年上期は採用費が大きく増え、営業利益の伸びは4%にとどまった。景気が悪化して案件が止まると、増やした人員が負担になり、利益率が急に落ちる。
ビジネスイノベーション事業の低収益
EC・メディア・スポーツなどの自社事業は売上の1割ほどで、長く利益が薄い。2026年上期に黒字へ戻ったが、構造改革が定着するかは未確認だ。資本を食う事業が残れば、全体の資本効率を下げる。
現金の積み上がりと資本効率
利益の6割強を社内に残すため、現金が増えて自己資本利益率が下がる。現金の運用は2%前後で、事業の稼ぎより低い。創業者側が約5割を持つので、還元を強める圧力も働きにくい。
創業者への依存と少数株主
金丸恭文氏が会長兼社長として経営を握る。創業者の資産管理会社と合わせて半数近くを持ち、方針は一貫するが、後継や資本政策の判断が1人の意向に左右される。TOBや非公開化が起きれば、価格は創業者の意向次第だ。
技術者の確保
IT人材は不足しており、採用競争が激しい。確保できなければ売上は伸びず、確保すれば人件費が上がる。成長の天井が技術者の数で決まる事業だ。
今後の分かれ目
- 2027年12月期に営業利益率が22%近辺を保ったまま売上が2桁増になったら
- 中立よりやや楽観に重みを移してよい。AIで単価が崩れるという見方が、足元では当たっていないことになる。
- 人月単価が実質で下がり始めたら(受注の単価が前年を下回る)
- やや悲観・悲観に重みを移す。工数で請け負う売上が縮む最初のしるしになる。
- 金丸氏が自社株買いか大幅な増配を決めたら
- 現金のたまりが止まり、自己資本利益率の低下が和らぐ。中立の倍率をやや上げてよい。
- ビジネスイノベーション事業が再び赤字に戻ったら
- 資本配分の甘さが続く証拠になり、倍率を下げる。撤退や売却なら逆に前向きに見る。
- 大型案件の終了後に売上が前年を割り込んだら
- 案件の波が利益を揺らす構造が強く出ている。やや悲観の確率を上げる。
- 創業者側が非公開化を提案したら
- 価格は創業者の意向で決まる。少数株主には、事業の本質価値との差が焦点になる。
- AIを組み込んだコンサルの受注が金額つきで開示されたら
- 楽観の数量を今より上で見直す。
- 大型案件の単価が下がり、稼働率が落ちたら
- やや悲観と悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 人月単価と受注残の変化(AIの影響が単価に出るか)
- 営業利益率が21〜22%を保てるか
- 採用費の伸びと稼働率
- ビジネスイノベーション事業の損益
- 現金の積み上がりと還元方針(自社株買いの有無)
- SBI新生銀行など大型案件の進み具合
- ITコンサルの人月単価と稼働率、受注残
倍率と資本コストの決め方
倍率は10年先の名目の伸びg=0%の式 1÷(k−g) で出し、過去のPERや同業の値付けは使っていない。kは基本7.5%に寿命+1.0%(人月の下限)を足した8.50%。AI代替は数量・利益率に主に入れ、確率とgで重ねなかった。悲観の床は純現金×0.7。今の株価との差は狙っていない。リース会計の形は今と同じ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.76→13.33 倍・やや楽観 PER 11.76→13.33 倍・中立 PER 11.76→13.33 倍・やや悲観 PER 11.76→13.34 倍・悲観 PER 11.76→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。