結論
SOSiLA物流リートは、住友商事が開発した先進的な物流施設 17 物件を持つ REIT だ。取得価格の合計は 1,420 億円、鑑定評価額は 1,672 億円。筆者の結論は、適正の範囲にあるということである。価値の計算は今の値段より 1% ほど低く、差は誤差の内にある。
強みは契約の長さと稼働だ。平均の契約期間は 10.5 年、残りは 6.3 年。期末の稼働率は上場以来 100% を続け、直近の賃料の改定は平均 10.6% の増額だった。次の期の改定は 20.0% の増額が決まっている。借入の 90.8% が固定で、格付けは JCR の AA−だ。
弱みは三つある。借入の平均の残りは 2.7 年と短く、37% が 2 年内に満期を迎える。平均金利は 0.92% で、10 年たてばほぼ全部が 3% 台に替わる。ふたつめは、運用会社が 2025 年 12 月に金融庁から業務改善命令を受けたことだ。みっつめは、住友商事の出資が 3.36% と薄いことである。
投資口は NAV を 3 割以上下回り、会社は 2026 年 9 月に 10 億円を上限とする自己投資口の取得を始めた。ただ NAV は、清算されない限り手にできない。筆者は、割安の根拠として使わない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、物件の質と契約の長さは REIT の中で上位だ。稼働 100%、残り 6 年超の契約、固定 9 割の借入は、守りの堅い組み合わせだ。
ただ、値段に安全域はない。今の分配は、利益超過分配で底上げされている。純利益は年 35 億円だ。借入の 37% が 2 年内に借り換わり、10 年金利 3% の世界では平均金利が 0.92% から 3.4% に上がる。利払いだけで年 15 億円ほど増え、純利益は 2 割ほど減る見通しだ。
好材料は賃料の改定だ。次の期の 20% の増額が示すように、契約が長いぶん、市場との差が大きく開いている。更新のたびに大きな増額が続けば、NOI は物価並みに近づく。
運用会社への行政処分は気になる。この REIT の取得ではないが、スポンサーからの取得の手続きに不備があった事実は軽くない。10 年の分配と物件の価値を今に引き直すと、今の値段をわずかに下回る。割安とは言えず、筆者は値段が 1 割下がれば買ってよい水準と見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、物流施設を物流会社・メーカー・小売に貸す賃料だ。2026 年 5 月期の半年で賃貸事業収益は約 42 億円、償却を除く費用を引いた NOI は約 33 億円。年にならすと NOI は 67 億円で、帳簿価額 1,362 億円に対する利回りは 4.9% になる。経費が収入の 2 割強と軽く、賃料の伸びがほぼそのまま NOI に乗る。
物件は 17 か所で、平均築年は 8.3 年と浅い。住友商事が開発した「SOSiLA」ブランドの大型施設が柱で、延床 1 万㎡以上、柱の間隔 10m 以上、床荷重 1.5t/㎡以上、高い環境性能という基準を満たす。関東と関西の消費地に近い立地が中心だ。稼働率は上場以来、期末で 100% を続けている。
契約は定期借家で、平均の期間は 10.5 年と業界でも長い。残りは 6.3 年ある。契約の更新や入れ替えの際は市場の賃料に合わせ、第 13 期は平均 10.6% の増額、第 14 期は 20.0% の増額が決まった。上場以来の平均の増額率は 5.0% だ。
成長の道具は、住友商事の開発物件を優先して買う権利に加え、住友商事グループの既存物件を買う道だ。足元は外部成長を絞り、2026 年 3 月に新しい SOSiLA ファンドへ 15 億円の匿名組合出資をした。手元資金は約 50 億円残り、次の物件取得にも使える。
優良さと弱いところ
物件の質は物流 REIT の中で上位だ。新しい大型施設が中心で、築は平均 8.3 年、契約は長く、稼働は 100%。第 13 期に出た解約も、空室の期間なしで次のテナントを決めた。資本的支出は年 0.7 億円と軽い。
強みは三つある。一つめは契約の長さで、更新の機会は少ないが、そのぶん賃料の下落の危険も遠い。二つめは財務で、鑑定ベースの借入比率は 39%、固定は 90.8%、格付けは AA−だ。三つめは、取得の優先順位を決めたルールで、物件の候補は住友商事の私募 REIT より先に本投資法人へ回る。
弱みも三つある。ひとつは、運用会社が 2025 年 12 月に金融庁から業務改善命令を受けたこと。理由は、運用会社が運用する別の私募 REIT が住友商事から物件を取得した際の、鑑定評価の依頼の手続きが不適切だったことだ。この REIT の取得ではないが、スポンサー取引の信頼に関わる。ふたつめは、運用報酬が NOI の 12% と軽くないこと。みっつめは、住友商事の出資が 3.36% と薄いことだ。
運用会社は人事も見直し、スポンサー出向者を減らしてプロパー職員を増やした。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
物流施設の需要は、通販の拡大と在庫を持つ倉庫の自動化で長く伸びてきた。ただ 2022〜23 年は、首都圏で大量の新築が重なり、空室が上がった。2024 年から供給は減り、空室率はピークを越えた。建築費の高騰で新築の供給は細り続ける見通しだ。
供給が細ると、新しい施設の賃料は高くなり、既存の施設の賃料もそれに寄る。この REIT は契約が長く、賃料の改定の機会は少ない。ただ、改定のときの増額率は大きい。筆者は、中立で賃料は名目年 2% と見る。物価の 3% に届かないのは、契約の長さが賃料の追随を遅らせるからだ。
物流施設の取引市場では、スポンサーと REIT の取引が多い。REIT の投資口が NAV を下回る間は、外から物件を買う成長は進みにくい。自己投資口の取得か、手元資金を使った小さな取得が先になる。この REIT の動きも、その形だ。
金利の 10 年は、物流不動産の利回りを押し上げる。10 年国債が 3% なら、物流の期待キャップは 4.25% まで上がる。今の鑑定の NCF 利回りは 3.9% だ。この差が、物件の価値を鑑定より下げる。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、手元資金の活用と自己投資口の取得だ。2026 年 9 月 28 日に、上限 10 億円・12,000 口の自己投資口の取得を決めた。9 月末までに 1,432 口、約 1.4 億円を買っている。NAV を大きく下回る値段で買い戻す使い方で、1 口の価値を増やす。
増資は、上場後 2022 年までに公募で 4 回行った。2023 年以降は増資をしていない。2026 年 3 月には手元資金で 15 億円の匿名組合出資をした。利回りの良い物件の取得を、増資なしで進める形だ。
借入は簿価で 43.9%、鑑定ベースでは 39% だ。平均の金利は 0.92%、残りの期間は 2.7 年。上限は簿価 49.9% を目途にしている。当期は借入を 91 億円返し、手元資金を借入の返済に使った。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
契約が長く、稼働が堅い。平均の残りは 6.3 年で、稼働は上場以来 100% を続ける。次の期の賃料の改定は 20% の増額が決まり、市場より低い賃料を引き上げる余地が大きい。経費が軽いので、増収がほぼそのまま利益に残る。
財務が堅い。借入の 90.8% が固定で、格付けは AA−。鑑定ベースの借入比率は 39% で、金利が上がっても投資主の取り分は大きく残る。含み益は 310 億円あり、鑑定評価額は簿価を 23% 上回る。
NAV に対する割引が大きい。投資口は NAV を 3 割以上下回り、会社は 2026 年 9 月に買い戻しを始めた。手元資金も約 50 億円ある。値段が戻れば、買い戻しの効果は大きい。
取得の優先権がある。住友商事の開発物件は、私募 REIT より先に本投資法人へ回る。運用会社は人員と手続きを見直し、再発防止の報告を済ませた。スポンサーの出向者を減らしてプロパー職員を増やし、独立性を高める方向に動いている。契約が長いことは、金利が上がる局面での守りにもなる。賃料の下落が起きても、満了までの数年は今の水準が続く。借入の期間は 6.3 年と長く、返済の時期は 2031 年ごろまで分けてある。
慎重な見方
借り換えが早い。借入の 37% が 2 年内に満期を迎え、平均の残りは 2.7 年しかない。平均 0.92% の金利が 3.4% に替われば、年の利払いは 6 億円から 22 億円へ増える。純利益は 2 割ほど減る。
運用会社に行政処分があった。2025 年 12 月に金融庁から業務改善命令を受け、理由は住友商事からの物件取得時の鑑定評価の依頼手続きだった。この REIT の取得ではないが、スポンサー取引の信頼に関わる。取得の値段の確かさは、数字だけでは測れない。
運用報酬は総資産・NOI・1 口利益に連動して NOI の 12%。物件はほぼ全部が住友商事の開発で、買う値段の交渉は不利になりやすい。住友商事の出資は 3.36% と薄く、同じ船に乗る度合いは弱い。
稼働が 100% なのは、契約が長いからでもある。2030 年代に契約の満了が重なれば、供給が戻った市場での更新になる。賃料の下落は、満了のときに一度に表れる。
どちらに重みを置いたか
物件の質と契約の長さで強気に分があるが、借り換えの早さと運用会社の行政処分が重い。中立は今の値段をわずかに下回った。スポンサーの点数は 3.1 と、3 を超えたので、悲観の確率を基本の 10% から 15% に上げた。楽観側は合わせて 28%、中立は 37% を置いた。筆者は、適正の範囲にあり、値段が 1 割下がれば魅力が出る位置にあると見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 146,070 円1,063 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 45,509 円331 億円)。 今の値に割り戻すと 95,832 円697 億円、今との差 +0.8%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 8.4%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 254,570 円1,852 億円 | 59,107 円430 億円 | +229.8% | +12.7% | 25,094 円183 億円 |
| やや楽観 | 20% | 208,797 円1,519 億円 | 54,296 円395 億円 | +176.6% | +10.7% | 52,619 円383 億円 |
| 中立 | 37% | 158,763 円1,155 億円 | 49,347 円359 億円 | +118.8% | +8.1% | 77,001 円560 億円 |
| やや悲観 | 20% | 94,570 円688 億円 | 37,801 円275 億円 | +39.2% | +3.4% | 26,474 円193 億円 |
| 悲観 | 15% | 41,924 円305 億円 | 27,354 円199 億円 | −27.2% | −3.1% | 10,392 円76 億円 |
| 加重平均 | 100% | 146,070 円1,063 億円 | 45,509 円331 億円 | +101.5% | +7.3% | 191,579 円1,394 億円 |
今の株価時価総額 95,100 円692 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.4% を下回るほど割高。
楽観 8% 契約の更新で大きな増額が続き、金利は 3% 以下 利益 42 億円 · PBR 2.5 倍 · 株価時価総額 254,570 円1,852 億円
10 年金利は 3% を下回って落ち着き、借り換えは 3.1% で済む。契約の更新のたびに大きな増額が続き、賃料は年 3% で上がる。稼働は 99.5% を保つ。
経費は物価並みに増えるが軽く、NOI は 10 年で 3 割強伸びる。純利益は今から 2 割ほど増える。自己投資口の取得で 1 口の価値が増え、この筋書きでは規模を据え置いて質を上げる。住友商事の物件を NAV 以上の値段で買える状況が戻れば、外部成長の再開も視野に入るが、ここでは織り込まない。
物件の利回りは 3.6% まで下がり、物件の価値は鑑定を上回る。運用会社の行政処分は過去の話になり、投資口の NAV 割れも縮む。投資主の取り分は今の値段を大きく上回る。
- 物流施設の賃貸:数量 1,355(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.4%(稼働した規模に対する賃貸事業収益の比(今 6.2%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 114 億円・営業利益 74 億円。稼働 100%・賃料 年 +3.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 89 − 資本的支出 1) ÷ キャップ 3.60% − 純負債 580 = 1852 億円。キャップは物流の下限 3.5% に近い 3.6%。
確率:更新時の増額が続き、金利も 3% 以下で収まる筋書き。行政処分の影響を考え、他の銘柄より少なめの 8% とした。
やや楽観 20% 賃料は年 2.5% で伸び、借り換えは 3.25% 利益 35 億円 · PBR 2.1 倍 · 株価時価総額 208,797 円1,519 億円
金利はやや低めに落ち着き、借り換えは 3.25% になる。賃料は更新ごとに年 2.5% で上がる。稼働は 99% を保つ。
利払いは年 22 億円ほどまで増えるが、NOI の伸びが吸収し、純利益は今の水準を少し上回る。利益超過分配は減価償却の 3 割の方針どおり続く。資本的支出は築が進むにつれ年 1.8 億円まで増える。次の期の 20% の増額のような大きな改定が、数年おきに入る形だ。
物件の利回りは 3.85% に上がる。物件の価値は鑑定よりやや高く、借入があっても投資主の取り分は今の値段を上回って残る。
- 物流施設の賃貸:数量 1,348(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.0%(稼働した規模に対する賃貸事業収益の比(今 6.2%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 108 億円・営業利益 68 億円。稼働 99%・賃料 年 +2.5%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 83 − 資本的支出 1) ÷ キャップ 3.85% − 純負債 595 = 1519 億円。キャップは物流の中立 4.25% より 0.4% 低い 3.85%(賃料の伸びが強い筋書き)。
確率:中立より賃料の伸びが良く、キャップの上昇が小さい筋書き。20% とした。
中立 37% 金利の正常化で利払いと利回りが上がる 利益 28 億円 · PBR 1.6 倍 · 株価時価総額 158,763 円1,155 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借入は 2〜6 年のうちに 3.4% へ借り換わる。年の利払いは今の約 6 億円から 22 億円へ増える。賃料は年 2% で上がり、稼働は 98% へ少し下がる。
経費は物価並みに増えるので、NOI は 10 年で 15% ほどしか伸びない。減価償却は取得原価のままで、修繕を積んだ分だけ少し増える。純利益は今の 2 割弱減り、分配は今の水準から 1 割強下がる。
物件の利回りは 4.25% に上がり、物件の価値は鑑定より 1 割ほど低い。借入があるぶん、投資主の取り分は物件の価値の変動に敏感で、今の自己資本を上回って残る。
- 物流施設の賃貸:数量 1,334(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 7.6%(稼働した規模に対する賃貸事業収益の比(今 6.2%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 102 億円・営業利益 61 億円。稼働 98%・賃料 年 +2.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 77 − 資本的支出 2) ÷ キャップ 4.25% − 純負債 610 = 1155 億円。キャップは物流の中立 4.25%(要求利回り 6.0% − NOI の伸び 1.75%)。今の鑑定の利回り約 3.9% より高い。
確率:前提どおり 10 年金利が 3% に落ち着き、賃料は物価の 3 分の 2 で上がる筋書き。最もありうるので 37%。
やや悲観 20% 供給が戻り、稼働と賃料が頭打ちになる 利益 16 億円 · PBR 0.9 倍 · 株価時価総額 94,570 円688 億円
金利は高めに落ち着き、借り換えは 3.65% になる。2028 年以降に新築が戻り、賃料は年 1% しか伸びず、稼働は 96% に落ちる。契約の満了で一部の区画が空く。築が進み、資本的支出は年 2.8 億円に増える。
利払いは年 25 億円になり、純利益は今の 4 割台に細る。利益超過分配は止まり、分配は純利益だけになる。借入の返済に現金を回し、新しい物件は買えない。更新時の増額は止まり、改定は据え置きに近い水準になる。
物件の利回りは 4.75% に上がる。物件の価値から借入を引くと、投資主の取り分は今の自己資本より 1 割ほど低い水準まで縮む。
- 物流施設の賃貸:数量 1,307(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 6.9%(稼働した規模に対する賃貸事業収益の比(今 6.2%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 90 億円・営業利益 50 億円。稼働 96%・賃料 年 +1.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 65 − 資本的支出 2) ÷ キャップ 4.75% − 純負債 635 = 688 億円。キャップは中立 +0.5%。借入があるぶん、物件の価値が下がると投資主の取り分は大きく縮む。
確率:2028 年以降の新築の戻りで稼働が下がり、借り換えが重くなる筋書き。20% とした。
悲観 15% 金利の上振れと不況で稼働が落ちる 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 41,924 円305 億円
金利は 3% を超えて上がり、借り換えは 4.3% になる。不況で物流会社と小売が床を返し、契約の満了と解約が重なって稼働は 90% へ落ちる。賃料は 10 年たっても今と同じ名目にとどまる。NOI は 2 割減る。
利払いは年 29 億円になり、純利益はほぼ消える。分配は純利益の水準まで下がり、利益超過分配も止める。資本的支出を絞り、借入の返済と空室の手当てに現金を回す。物件の利回りは 5% に上がり、物件の価値は鑑定の 6 割ほどになる。
物件の価値は借入を上回って残るが、投資主の取り分は今の自己資本の半分以下だ。清算されない限り、施設を売って NAV を受け取ることはできない。
- 物流施設の賃貸:数量 1,225(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 6.2%(稼働した規模に対する賃貸事業収益の比(今 6.2%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 77 億円・営業利益 38 億円。稼働 90%・賃料 年 +0.0%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 53 − 資本的支出 2) ÷ キャップ 5.00% − 純負債 710 = 305 億円。キャップは中立 +0.75%。NAV は床にしない(清算されない限り投資主は受け取れない)。
確率:スポンサーの点数が 3 を超えたので、悲観の確率は基本の 10% から 15% に上げた。金利の上振れと不況が重なる筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物流施設の賃貸
関東・関西の消費地に近い大型物流施設「SOSiLA」を、物流会社・メーカー・小売に長期の定期借家で貸す。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模) | 価格稼働した規模に対する賃貸事業収益の比(今 6.2%)。物価の転嫁で伸びる | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 1,362 | 6.2% | 85 | 52 |
| 10 年後 中立 | 1,334 | 7.6% | 102 | 61 |
取り方:2026 年 5 月期の半期の賃貸事業収益 42.5 億円(売却益と匿名組合分配金を除く)を 2 倍して年額 85.0 億円。帳簿価額 1,362 億円(貸借対照表の賃貸等不動産)× 期末の稼働 100% で数量、収入 ÷ 数量で価格。NOI は収入 − 償却を除く賃貸事業費用で年 66.8 億円、セグメントの利益はそこから減価償却 15.1 億円を引いた額。中立の価格が 1.22 倍で物価の 1.34 倍に届かないのは、契約が 10 年超と長く更新が少ないため、転嫁が物価の 2/3 にとどまると見るため(業種ノート)。
リスクと懸念
借り換えの金利と早さ
借入の 37% が 2 年内に満期を迎え、平均の残りは 2.7 年。平均 0.92% の借入が 3.4% へ借り換わると、年の利払いは 15 億円ほど増え、今の純利益の 4 割強が消える。固定は 90.8% と高いが、固定の期間が短い借入もある。
運用会社への行政処分
2025 年 12 月に金融庁から業務改善命令を受けた。運用会社が運用する別の私募 REIT が住友商事から物件を取得した際の、鑑定評価の依頼が不適切だった。再発防止の報告は済んだが、スポンサー取引の信頼が傷ついた。
契約満了の集中
平均 6.3 年の残りの契約が、2030 年代に重なって満了する。供給が戻った市場での更新になれば、賃料が下がる可能性がある。稼働 100% は、契約の長さに支えられた面がある。
物流施設の利回りの上昇
今の鑑定の NCF 利回りは 3.9% で、10 年国債 3% との差が小さい。利回りが 1 ポイント上がると、施設の価値は 2 割強下がる。
スポンサー開発物件への偏り
物件のほぼ全部が住友商事の開発で、買う値段の交渉はスポンサーに寄る。住友商事の出資は 3.36%。運用報酬は NOI の 12% と軽くない。
NAV 割れの値段での取引
投資口は NAV を 3 割以上下回る。増資は事実上できず、外部成長は匿名組合出資のような小さな形に限られる。
今後の分かれ目
- 10 年金利が 2% 前後で止まる
- 利払いの増加もキャップの上昇も小さく、やや楽観に近づく。今の値段は割安の側に入る。
- 次の期の賃料改定が 20% の増額で着地する
- 賃料の水準が上がり、楽観側の確率を上げる。
- NAV 割れで公募増資を行う
- 1 口の価値が薄まる。スポンサーの点数を上げ、悲観の確率を上げる。
- 自己投資口の取得を上限まで続ける
- NAV 割れの値段で 1 口の価値を増やす使い方で、スポンサーの点数を下げる。
- 金融庁が追加の処分を出す、またはスポンサーが出資を減らす
- スポンサーの点数を上げ、悲観の確率をさらに上げる。
見ておくもの
- 更新時の賃料改定率と稼働率
- 平均調達金利と 2 年内の返済額
- 自己投資口の取得の進み具合
- 住友商事の出資比率と取得の利回り
- 運用会社の再発防止策の実施状況
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップレートで割り、負債を引いて出した。キャップは 10 年金利 3% に用途の上乗せを足した業種ノートの表で、今の鑑定の利回り 3.9% より高い。NAV 割れを割安の根拠にしていない。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は動かない。
資本コスト 8.4% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.87% を足した 8.37%。事業は傾いていないので extra は置かない。