結論
コンフォリア・レジデンシャルは、東京 23 区を中心に 170 余りの賃貸住宅を持つ、住宅特化の J-REIT だ。取得価格で 3,400 億円ほど、平均築年は 14.9 年と若い。運用会社は東急不動産グループである。筆者の結論は、今の値段はやや割高ということだ。価値の計算は今の時価総額を 15% ほど下回る。
強みは賃料と若さだ。入居者が替わる時の賃料は 12% 上がり、更新時も 2.7% 上がった。稼働は 96.7%。東京 23 区は 9 割を超え、築年は過去 3 年で 0.5 年若返った。
弱みは借金の重さである。帳簿の総資産に対する借入比率は 52.5% と高い。鑑定評価額に対しても 40% を超える。この負担を軽くするため、会社は 2026 年 8 月に NAV を下回る値段で公募増資をした。1 口の価値は薄まった。
さらに、今の平均金利 1.09% は借り換えのたびに 3% 台へ上がる。賃料の伸びで吸収できるかが焦点だ。投資口は NAV を 2 割ほど下回るが、筆者は割安の根拠にしない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、東京の若い住宅という事業は持ち続けられる。立地が強く、築年が若く、入替え時の賃料の増額も続く。
ただ、財務の余力が薄い。借入比率は帳簿で 52.5%、鑑定で見ても 40% を超える。売却益を除く純利益は年 91 億円ほどで、借入の平均金利 1.09% が 3% 台へ上がると、年の利払いは 20 億円から 63 億円まで増える。
増資の使い方にも注文がつく。NAV を下回る値段で資金を集めて財務を直すのは、既存の投資主から見て痛みを伴う。ただ、規模を追う拡大ではなく、築年を若返らせる狙いは理解できる。
10 年の分配と 10 年後の物件の価値を今に引き直すと、今の値段を 15% ほど下回る。値段が 2 割下がれば、筆者は買ってよい水準と見る。
経営の資本の使い方は、築年を若返らせる狙いに筋はあるが、増資の頻度は気になる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、賃貸住宅の賃料だ。2026 年 7 月期の半年で不動産賃貸事業収益は 122 億円。償却を除く費用を引いた NOI は 85 億円だった。年にならすと NOI は 171 億円、帳簿価額 3,352 億円に対する利回りは 5.1% になる。経費率は 30% と、住宅 REIT の中では重い。借地の賃料が年 15 億円ほど固定でかかるためだ。
物件は東京 23 区のシングル・コンパクト向けが中心で、「コンフォリア」ブランドを展開する。賃貸住宅の 91% が東京 23 区、残りは東京圏、関西圏、札幌だ。学生寮や社宅などの運営型の住宅が 1 割ある。
契約は 2 年の普通借家で、入れ替わる時に市場の賃料へ合わせ直す。2026 年 7 月期は入替え時で 12% 台、更新時で 2.7% の増額だった。会社は更新時にも、市場との差額をそのまま提示する方針に改めた。
外部成長は、過去 3 年で 400 億円を取得し、71 億円を売った。取得の 55% は東急不動産グループからである。2026 年 8 月には公募増資で 110 億円を集め、8 物件 151 億円を取得した。
優良さと弱いところ
物件の質は、住宅 REIT の中で上位にある。東京 23 区が 9 割を超え、平均築年は 14.9 年と若い。古い物件を売り、新しい物件を買う入れ替えで、23 区の比率を上げ、築年を下げてきた。
強みは三つある。一つめは、入替え時の賃料の強さだ。築 20 年を超える物件でも 14% 上がる。二つめは、東急不動産グループが開発した物件を、優先して取得できる点。三つめは、売却益を使って、工事を前倒しし、将来の修繕費を先取りする資金運用の柔軟さである。
弱みも三つある。ひとつは、借入が重いこと。総資産の 52.5% が借金で、財務の余力は小さい。ふたつめは、増資を重ねてきたこと。直近 5 年に増資を 5 回行い、最新は NAV を下回る値段だった。みっつめは、借地の賃料が毎年 15 億円ほどかかり、固定費になっていることだ。
分配は売却益と積立金の取り崩しで厚く見える。売却益を除く純利益は年 91 億円ほどで、これが実力である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
賃貸住宅の需要は、東京への人口の流入で堅い。社会動態の転入超過は、東京 23 区が 11.4 万人で、ほかの大都市を圧倒する。新築は建築費の高騰で供給が絞られ、東京 23 区の賃貸市場は貸し手に有利だ。
住宅は、2 年の更新で賃料が市場に追随する。オフィスや物流のように長い契約に縛られない。そのぶん上がるのも下がるのも早い。筆者は、中立で賃料は名目年 2.5% と見る。物価の 3% に届かないのは、更新時の増額が小さいからだ。
住宅は景気の波が小さい。稼働は 95〜97% で動きが小さく、悲観でも 90% までと見る。ただ、10 年国債が 3% の世界では、住宅の期待キャップは 3.75% に上がる。今の鑑定の利回りは 3.3% 台で、この差が物件の価値を鑑定より下げる。
金利の上昇は、利回りの低い住宅に強く効く。この投資法人は、平均金利が 1.09% と低く、これから 3% 台へ上がる。会社は変動金利の比率を 3 割まで上げて、金利の上昇を抑える方針だ。
人口は東京 23 区で横ばい、政令指定都市は減る地域がある。この投資法人は、東京 23 区に集中するぶん、地方の人口減の影響は小さい。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、物件の入れ替えと、売却益の使い方だ。売却益は、一部を内部留保し、一部を分配に回し、一部を工事の前倒しに使う。2025 年 12 月には、NAV に対する割安を受けて、自己投資口を消却した。
増資は多い。2022 年から 2026 年までの 5 年で 5 回行った。2026 年 8 月の第 13 回は、NAV の 0.93 倍の値段だった。5 億円の第三者割当を含めて、110 億円を集め、総資産の借入比率を 52.5% から 50% 台前半に下げた。NAV 割れの増資は 1 口の価値を薄める。ただ会社は、金利の上昇に備えて財務を強くするためと説明する。
借入は 1,871 億円。長期固定が 8 割で、平均の残りは 3.9 年。格付けは JCR の AA で安定的だ。報酬は、総資産に連動する部分、経常キャッシュフローに連動する部分、売買の 1% からなる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東京 23 区の需要は強い。人口の転入超過は 11.4 万人で、賃貸市場は貸し手に有利だ。入替え時の賃料は 12% 上がり、更新時の増額も、市場との差額を提示する方針に変えて伸びる。東京 23 区のレントギャップは 10.6% と、まだ余地がある。
若いポートフォリオは、資本的支出の増え方が緩やかだ。会社は、工事を減価償却の範囲に収める方針で、余るキャッシュは物件の取得か借入の返済に回す。増資で財務の余力ができ、築古を売って築浅を買う入れ替えを進められる。
投資口は NAV を 2 割ほど下回る。会社は NAV 倍率が 0.9 を下回れば、自己投資口の取得を判断する。2025 年 12 月には実際に消却した。
金利の上昇は、変動比率の引き上げと借り換えの分散で緩やかに受ける。
運用会社は、独自ルートからの取得を 213 億円まで広げ、スポンサーだけに頼らない物件の仕入れ先を持つ。取得の値段が鑑定評価額を下回る例も多い。
慎重な見方
借金が重い。帳簿の総資産に対する借入比率は 52.5% で、増資後も 50% 台だ。鑑定評価額に対しても 40% を超える。平均金利 1.09% が借り換えで 3% 台に上がると、年の利払いは 20 億円から 63 億円へ増え、今の純利益の 3 割以上が消える。2 年内に返済期限が来る借入が 4 分の 1 ある。
増資が多い。直近 5 年で 5 回行い、最新は NAV の 0.93 倍の値段だった。NAV 割れの増資は 1 口の価値を薄める。今の値段は増資の値段をさらに下回っている。
分配は見かけより厚い。売却益と積立金の取り崩しが混じり、売却益が減る来期の予想では、1 口の純利益が下がる。
借地の賃料が年 15 億円ほどの固定費で、経費率は 30% と重い。東急不動産グループからの取得が 55% を占め、運用報酬は総資産に連動する。
賃料の追随が早いことは、景気が悪くなれば下がるのも早いということだ。不況で入替えが増え、増額が止まれば、稼働と賃料が同時に落ち、重い借入の利払いだけが残る。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分は、立地と若さだ。ただ、借入の重さと増資による薄まりも現実だ。中立は今の値段を 1 割以上下回った。スポンサーの点数は 3 を下回ったので、悲観の確率は 10% に据えた。楽観側は合わせて 32%、中立は 38% を置いた。筆者は、財務の余力が薄い分だけ、値段に安全域はないと見る。やや割高だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した株価時価総額 118,225 円2,890 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 34,487 円843 億円)。 今の値に割り戻すと 76,711 円1,875 億円、今との差 −13.2%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 204,107 円4,990 億円 | 43,889 円1,073 億円 | +180.5% | +10.9% | 24,800 円606 億円 |
| やや楽観 | 22% | 157,109 円3,841 億円 | 39,922 円976 億円 | +122.9% | +8.3% | 43,347 円1,060 億円 |
| 中立 | 38% | 126,309 円3,088 億円 | 36,158 円884 億円 | +83.8% | +6.3% | 61,738 円1,509 億円 |
| やや悲観 | 20% | 65,322 円1,597 億円 | 28,223 円690 億円 | +5.8% | +0.6% | 18,709 円457 億円 |
| 悲観 | 10% | 21,883 円535 億円 | 19,306 円472 億円 | −53.4% | −7.4% | 4,119 円101 億円 |
| 加重平均 | 100% | 118,225 円2,890 億円 | 34,487 円843 億円 | +72.8% | +5.6% | 152,712 円3,734 億円 |
今の株価時価総額 88,400 円2,161 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 入替え賃料の増額が続き、金利も 3% 以下 利益 120 億円 · PBR 2.9 倍 · 株価時価総額 204,107 円4,990 億円
10 年金利は 3% を下回って落ち着き、借り換えは 3.1% で済む。入替え時の増額が続き、更新時にも市場との差額を提示できて、賃料は年 3.5% で上がる。稼働は 96.5% を保つ。
経費は物価並みに増えるが、NOI は 10 年で 4 割強伸びる。純利益は今から 3 割弱増える。築 15 年の若い物件は、資本的支出が償却の範囲に収まり、余るキャッシュは借入の返済に回る。増資は行わない。
不動産の買い手は今の利回りで買い続け、物件の利回り(キャップ)は今の鑑定の 3.28% のまま変わらない。時価総額は 4,990 億円と今の 2.3 倍になる。借入が重いぶん、物件の価値の上昇は投資主の取り分に大きく効く。
- 賃貸住宅の賃貸:数量 3,384(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 10.5%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 356 億円・営業利益 212 億円。稼働 96%・賃料 年 +3.5%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 253 − 資本的支出 33) ÷ キャップ 3.28% − 純負債 1730 = 4990 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り((NOI − 資本的支出) ÷ 鑑定評価額)の 3.28% で、今の値付けが 10 年続く所(住宅の下限 3.25% より低い。楽観だけはここまで下げてよい)。
確率:入替えの増額が続き、金利も 3% 以下で収まる筋書き。東京 23 区は賃料の追随が早い一方、借入が重いので 10% とした。
やや楽観 22% 賃料は年 3% で伸び、借り換えは 3.25% 利益 101 億円 · PBR 2.2 倍 · 株価時価総額 157,109 円3,841 億円
金利はやや低めに落ち着き、借り換えは 3.25% になる。賃料は入替えごとに年 3% で上がる。稼働は 96% を保つ。
利払いは年 65 億円ほどまで増えるが、NOI の伸びが吸収し、純利益は今の 7% 増に収まる。資本的支出は築が進むにつれ年 34 億円に増える。会社の方針どおり、償却の範囲に収まる。
物件の利回りは 3.6% に上がる。物件の価値は鑑定をやや下回る。売却益の内部留保は細り、分配は純利益の水準になる。投資口が NAV に近づくまで増資はしない。
東京 23 区の需要が堅い限り、入替え時の増額が工事費を回収する形は続く。
- 賃貸住宅の賃貸:数量 3,366(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 10.0%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 338 億円・営業利益 194 億円。稼働 96%・賃料 年 +3.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 235 − 資本的支出 34) ÷ キャップ 3.60% − 純負債 1735 = 3841 億円。キャップは住宅の中立 3.75% より 0.15% 低い 3.6%(賃料の伸びが強い筋書き)。
確率:中立より賃料の伸びが良く、キャップの上昇が小さい筋書き。22% とした。
中立 38% 金利の正常化で利払いと利回りが上がる 利益 82 億円 · PBR 1.8 倍 · 株価時価総額 126,309 円3,088 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借入は 4 年のうちに 3.4% へ借り換わる。年の利払いは今の約 23 億円から 68 億円へ増える。賃料は年 2.5% で上がり、稼働は 95.5% を保つ。
経費は物価並みに増える。借地の賃料が固定なのでやや軽く、NOI は 10 年で 23% ほど伸びる。純利益は今の 1 割強減る。分配は売却益と積立金の取り崩しが終わり、純利益の水準まで下がる。
物件の利回りは 3.75% に上がり、物件の価値は鑑定より 2 割ほど低い。借入が重いので、投資主の取り分は物件の価値の変動に敏感だ。
- 賃貸住宅の賃貸:数量 3,349(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.6%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 320 億円・営業利益 177 億円。稼働 96%・賃料 年 +2.5%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 217 − 資本的支出 36) ÷ キャップ 3.75% − 純負債 1740 = 3088 億円。キャップは住宅の中立 3.75%(要求利回り 5.75% − NOI の伸び 2.0%)。今の鑑定の利回り約 3.3% より高い。
確率:前提どおり 10 年金利が 3% に落ち着き、賃料は物価の 5 分の 6 で上がる筋書き。最もありうるので 38%。
やや悲観 20% 金利が高めに落ち着き、賃料が頭打ちになる 利益 44 億円 · PBR 0.9 倍 · 株価時価総額 65,322 円1,597 億円
金利は高めに落ち着き、借り換えは 3.65% になる。入替えの増額が縮み、賃料は年 1.5% しか伸びず、稼働は 93.5% に落ちる。関西圏と札幌の物件は人口の減少で空室が増える。築が進み、資本的支出は年 38 億円に増える。
利払いは年 72 億円になり、純利益は今の半分に細る。売却益の内部留保は終わり、分配は純利益だけになる。借入の返済に現金を回し、新しい物件は買えない。
物件の利回りは 4.25% に上がる。物件の価値から借入を引くと、投資主の取り分は今の自己資本を 1 割ほど下回る水準まで縮む。
- 賃貸住宅の賃貸:数量 3,278(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.7%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 284 億円・営業利益 142 億円。稼働 94%・賃料 年 +1.5%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 181 − 資本的支出 38) ÷ キャップ 4.25% − 純負債 1770 = 1597 億円。キャップは中立 +0.5%。借入が重いので、物件の価値が下がると投資主の取り分は大きく縮む。
確率:金利が高めに落ち着き、入替えの増額が縮む筋書き。20% とした。
悲観 10% 金利の上振れと不況で稼働が落ちる 利益 −8 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 21,883 円535 億円
金利は 3% を超えて上がり、借り換えは 4.3% になる。不況で入居者が減り、稼働は 90% へ落ちる。賃料は 10 年たっても今と同じ名目にとどまる。NOI は 2 割ほど減る。
利払いは年 85 億円になり、純利益は赤字に沈む。分配は止まる。資本的支出を絞り、借入の返済と空室の手当てに現金を回す。借地の賃料が固定で残り、利益をさらに削る。物件の利回りは 4.5% に上がり、物件の価値は鑑定の 5 割ほどになる。
物件の価値は借入を上回って残るが、投資主の取り分は今の自己資本の 3 割に縮む。清算されない限り、物件を売って NAV を受け取ることはできない。
- 賃貸住宅の賃貸:数量 3,156(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 7.5%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 236 億円・営業利益 99 億円。稼働 90%・賃料 年 +0.0%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 138 − 資本的支出 32) ÷ キャップ 4.50% − 純負債 1810 = 535 億円。キャップは中立 +0.75%。NAV は床にしない(清算されない限り投資主は受け取れない)。
確率:スポンサーの点数が 3 を下回ったので、悲観の確率は基本の 10% のまま。金利の上振れと不況が重なる筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
賃貸住宅の賃貸
東京 23 区を中心とする賃貸住宅 180 余りの物件を、主に単身・小家族向けに 2 年の普通借家で貸す。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模) | 価格稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 3,391 | 7.5% | 253 | 141 |
| 10 年後 中立 | 3,349 | 9.6% | 320 | 177 |
取り方:2026 年 7 月期の半期の不動産賃貸事業収益 122.4 億円(売却益を除く)を 2 倍し、決算後に取得した 8 物件(151 億円、利回り 3.9% と置いた)を足した年額 253.1 億円。帳簿価額は賃貸等不動産 3,352 億円に取得分 154 億円を足した 3,506 億円、期中の平均稼働 96.7% で数量、収入 ÷ 数量で価格。NOI は収入 − 償却を除く賃貸事業費用で年 176.5 億円、セグメントの利益はそこから減価償却 35.2 億円を引いた額。中立の価格が 1.28 倍で物価の 1.34 倍に届かないのは、更新時の増額が小さく、転嫁が物価の 5/6 にとどまると見るため(業種ノート)。
リスクと懸念
帳簿ベースの借入の重さ
総資産に対する借入比率は 52.5% で、増資後も 50% 台。鑑定評価額に対しても 40% を超える。上限 55% までの余力は 200 億円ほどで、物件の価値が下がると余力は急に細る。
借り換えの金利
今の平均金利は 1.09% で、会社の想定でも 2027 年 7 月期に 1.32% へ上がる。10 年金利 3% の世界で 3.4% へ借り換わると、年の利払いは 23 億円から 68 億円まで増え、今の純利益の 5 割が消える。
NAV 割れの増資
直近 5 年に増資を 5 回行った。2026 年 8 月は NAV の 0.93 倍の値段で、110 億円を集めた。再び NAV を下回る値段で増資すれば、1 口の価値がさらに薄まる。
借地の賃料と経費率
借地の賃料が年 15 億円ほど固定でかかり、経費率は 30% と住宅 REIT の中で重い。賃料が下がる局面では、固定費が利益を削る。
分配に混じる売却益
今の分配には売却益と積立金の取り崩しが混じる。売却益を除く純利益は年 91 億円ほどで、売却益が尽きれば分配はその水準に戻る。
住宅の利回りの上昇
今の鑑定の NCF 利回りは 3.3% 台と低く、10 年国債 3% との差が小さい。利回りが 1 ポイント上がると、物件の価値は 2 割強下がる。
今後の分かれ目
- 10 年金利が 2% 前後で止まる
- 利払いの増加もキャップの上昇も小さく、やや楽観に近づく。今の値段は割安の側に入る。
- 入替え時の賃料の増額が 10% を割る
- NOI の伸びが物価を下回り、悲観側の確率を上げる。
- NAV 割れで再び公募増資を行う
- 1 口の価値が薄まる。スポンサーの点数を上げ、悲観の確率を上げる。
- NAV 倍率が 0.9 を下回り、自己投資口の取得を再開する
- NAV 割れの値段で 1 口の価値を増やす使い方で、スポンサーの点数を下げる。
- 売却益の内部留保が尽き、分配が純利益の水準へ下がる
- 見かけの低下で投資口が売られても、価値の数字は動かない。
見ておくもの
- 入替え時と更新時の賃料の増額率
- 新規調達の金利と変動金利の比率
- 総資産の借入比率と取得の余力
- 増資の値段と NAV の比
- 東急不動産グループからの取得の割合
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップレートで割り、負債を引いて出した。キャップは 10 年金利 3% に用途の上乗せを足した業種ノートの表で、今の鑑定の利回り 3.3% 台より高い。NAV 割れを割安の根拠にしていない。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は動かない。2026 年 8 月の増資と取得は、決算後の事実として今の数字に織り込んだ。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.75% を足した 8.25%。事業は傾いていないので extra は置かない。