結論
日本ホテル&レジデンシャルは、大江戸温泉物語の温泉旅館、アパホテル、首都圏と大阪の賃貸住宅など 31 物件、取得価格で 690 億円を持つ REIT だ。2024 年からアパグループがスポンサーにつく。筆者の結論は、今の値段は適正の範囲にあるということだ。価値の計算は今の値段を 9% ほど上回るが、割安と言い切るほどの差ではない。
よい所は、物件が高い利回りで値付けされていることだ。今の鑑定の NCF 利回りは 4.8% あり、10 年金利が 3% の世界でも、物件の価値は鑑定から崩れにくい。そのうえ投資口は NAV の 6 割の値段で、物件の価値に対する割引が大きい。
弱いのは、稼ぎが温泉旅館の運営会社 1 社に偏ることだ。収入の 3 分の 1 を GENSEN が払い、景気や旅行の需要が落ちれば変動賃料はすぐ消える。借入の残りの期間は 1.8 年と短く、金利は変動が中心だ。直近 2 回の公募は NAV の 6〜7 割の値段で、既存の投資主の取り分を大きく薄めた。今の値段は、この二つの弱みを織り込んだ値段だと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この REIT は物件の値段に安全域があるが、運用の資本の使い方には疑問が残る。物件は高い利回りで値付けされ、投資口は NAV の 6 割の値段だ。10 年金利が 3% の世界でも、物件の価値は大きく崩れない。
一方で、NAV の 6〜7 割の値段で 2 年続けて公募をしたことは、既存の投資主のお金を安く売ったのと同じだ。規模を追う増資が続くなら、物件の割安さは投資主の手に残らない。
温泉旅館は、景気と旅行の需要に左右される。運営会社 1 社に収入の 3 分の 1 を頼る形は、10 年持つには重い。
今の値段は、こうした弱みを織り込んでなお、価値をわずかに下回る。筆者は割安とまでは言わない。評価を上げるのは、NAV を下回る値段での増資をやめると約束した時と、アパの持分が 1 割を超えた時だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、温泉旅館とホテルの賃料だ。2026 年 5 月期の半年で賃貸事業収入は 23 億円、償却を除く費用を引いた NOI は 20 億円だった。収入の 7 割をホテル等、3 割を賃貸住宅が稼ぐ。ホテルは運営会社が建物の費用の多くを持つ契約で、費用は収入の 1 割強と軽い。
ホテル等の柱は、熱海・鬼怒川・あわら・伊勢志摩などの大江戸温泉物語の旅館だ。取得価格の 42% を占め、賃借人の GENSEN HOLDINGS が収入の約 3 分の 1 を払う。賃料は固定に、旅館の業績に連動する変動を足した形で、直近の半年の変動賃料は 1.4 億円だった。熱海では業績が好調で、固定を減らして変動を増やす新しい賃料の形に移る。
2025 年 12 月の公募では、アパホテル 3 物件とホテルビスタ厚木、首都圏と大阪の住宅 4 物件を買った。ビジネスホテルの RevPAR、つまり販売できる客室 1 室あたりの売上は前年より 3% 下がったが、温泉旅館は 18% 上がった。住宅の稼働は 97.6% で、新しい契約の 8 割で賃料を上げた。
借入は 330 億円で、2026 年 5 月にアパグループの債務保証が外れた。
優良さと弱いところ
物件の質はホテル REIT の中で下の方だが、値段は質に見合っている。温泉旅館は地方のリゾートにあり、建物は古い。一方で、取得の値段が低く、鑑定の NOI 利回りは 5% を超える。
強みは二つある。一つめは、アパグループという大きなホテル会社がスポンサーについたことだ。アパホテルの物件が入り、ポートフォリオの温泉旅館への偏りは薄まりつつある。借入の条件もアパの信用で改善した。二つめは、住宅で賃料を上げる力だ。新しい契約の 8 割で増額を実現している。
弱みは三つある。ひとつは、GENSEN 1 社への依存で、収入の 3 分の 1 を占める。ふたつめは、直近 2 回の公募がどちらも NAV の 6〜7 割の値段で、1 口の NAV が下がったことだ。みっつめは、借入の残りの期間が 1.8 年と短く、金利が変動中心なことだ。アパの持分は 5% にとどまる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ホテルは、訪日客と国内旅行の回復で客室単価が上がった。温泉旅館は、国内の家族客と訪日客の両方を取り込み、2026 年も業績が伸びた。一方、ビジネスホテルは供給が増え、客室単価がやや下がっている。
ホテルの賃料は、固定に業績連動の変動を足す形が多い。客室単価は毎日つけ替えられ、物価に強い。ただ、需要の振れが収入にそのまま出る。景気が崩れれば、旅館の稼働と単価は同時に落ち、変動賃料はほぼ消える。筆者は、ホテルの賃料は中立で年 2% 伸びると見る。住宅は 2 年の更新と入替で物価に追いつき、年 2.5% と見る。用途を混ぜると年 2.1% だ。
金利の 10 年は、物件の利回りを押し上げる。10 年国債が 3% なら、ホテルの期待キャップは 5.0%、地方の温泉旅館は 5.5% 前後、住宅は 3.75% だ。用途を混ぜると 4.85% になる。この REIT の今の鑑定の NCF 利回りは 4.8% で、ほぼ同じ水準にある。物件の値段に金利の上昇の分がすでに入っている。
温泉旅館の取引は買い手が限られ、売る時の値段は読みにくい。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、アパグループの物件を使った規模の拡大だ。2024 年 12 月と 2025 年 12 月に公募をし、資産規模を大きく増やした。ただ、2025 年の公募の値段は NAV の 67% で、1 口の NAV は 109,107 から 103,272 に下がった。既存の投資主の取り分は大きく薄まった。
2026 年 9 月には、アパホールディングスが 4,000 口まで市場で買い増すと伝えてきた。買い終えれば持分は 6% になる。スポンサーが自ら買うことは前向きだが、規模はまだ小さい。
借入は鑑定の 44% で、会社は 45% 程度を巡航の水準とする。残りの期間が短く、借り換えの金利がすぐに効く。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
物件の値付けに無理がない。今の鑑定の NCF 利回りは 4.8% で、10 年金利が 3% の世界の期待キャップとほぼ同じだ。都心の REIT のように、利回り 3% 台の鑑定で物件を抱えているわけではない。そのうえ投資口は NAV の 6 割の値段で、物件の価値に対して 4 割の割引がある。
温泉旅館は国内の家族客と訪日客の両方に強く、2026 年の RevPAR は 18% 伸びた。熱海は業績連動の賃料に移り、上振れが賃料に乗る。ホテルの客室単価は物価に連れて上がる。住宅でも新しい契約の 8 割で賃料を上げた。
アパグループは日本最大級のホテル会社で、物件の供給と運営の知恵を持つ。スポンサーが投資口を買い増し、借入の条件も改善した。規模が大きくなれば、借入の金利も下がり、投資口の値段は NAV に近づく。今の値段は、物件を鑑定の 6 割で買えるのと同じで、10 年の間に割引が縮むだけでも投資主の取り分は大きく増える。
慎重な見方
稼ぎが 1 社に偏る。GENSEN が収入の 3 分の 1 を払い、温泉旅館は地方のリゾートにある。景気が崩れれば、旅館の稼働と単価は同時に落ち、変動賃料は消える。賃料の減額を求められる恐れもある。コロナの時、温泉旅館の業績は大きく落ちた。
資本の使い方が投資主の側を向いていない。2 年続けて NAV の 6〜7 割の値段で公募をし、1 口の NAV は下がった。アパの持分は 5% で、規模に連動する報酬を受け取る運用会社には、規模を追う動機がある。NAV の割引は、この構造への値引きだ。
借入の残りの期間は 1.8 年で、金利は変動が中心だ。格付けは A- で、借り換えは 4% 前後になる。アパの保証が外れた今、借入の条件はこの REIT 自身の信用で決まる。温泉旅館は建物が古く、修繕の費用も膨らむ。旅館の取引は買い手が少なく、借入を返すために売る局面では、鑑定を大きく下回る値段しか付かない。
どちらに重みを置いたか
物件の値段の安全域という強気の見方の論点は数字で確かめられる。一方、テナントの偏りと NAV 割れの公募という慎重な見方の論点も重い。ホテルは悲観で最も深く落ちる用途で、スポンサーの点数も 3 を超えるので、悲観に 18% を置いた。それでも価値は今の値段をわずかに上回り、適正の範囲に収まる。割安と呼ぶには、資本の使い方が投資主の側を向く証拠が要る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 124,784 円539 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 36,102 円156 億円)。 今の値に割り戻すと 72,166 円312 億円、今との差 +8.8%、 期待の年率 +9.3%(資本コスト 9.7%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 195,463 円845 億円 | 46,495 円201 億円 | +264.9% | +13.8% | 16,937 円73 億円 |
| やや楽観 | 18% | 168,630 円729 億円 | 43,719 円189 億円 | +220.3% | +12.3% | 38,223 円165 億円 |
| 中立 | 37% | 142,954 円618 億円 | 40,249 円174 億円 | +176.3% | +10.7% | 67,785 円293 億円 |
| やや悲観 | 20% | 99,929 円432 億円 | 31,690 円137 億円 | +98.5% | +7.1% | 26,324 円114 億円 |
| 悲観 | 18% | 43,719 円189 億円 | 20,819 円90 億円 | −2.7% | −0.3% | 11,617 円50 億円 |
| 加重平均 | 100% | 124,784 円539 億円 | 36,102 円156 億円 | +142.7% | +9.3% | 160,886 円696 億円 |
今の株価時価総額 66,300 円287 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.7% を下回るほど割高。
楽観 7% 温泉旅館とアパホテルが伸び、賃料が物価並みに上がる 利益 22 億円 · PBR 2.4 倍 · 株価時価総額 195,463 円845 億円
10 年金利は 3% を下回って落ち着き、借り換えは 3.7% で済む。訪日客は増え続け、温泉旅館とアパホテルの客室単価は物価を上回って上がる。熱海に続いてほかの旅館も業績連動の賃料に移り、賃料全体は年 2.8% で伸びる。
ホテルの取引が活発になり、物件の利回りは 4.4% に下がる。投資口の値段が NAV に近づき、NAV を上回る値段での増資もできるようになる。
利払いは今の 2 倍になるが、賃料の伸びがそれを上回り、純利益は今の 1.25 倍になる。物件の価値は鑑定を上回り、投資主の取り分は大きく増える。
- 複合(温泉旅館・ホテル・賃貸住宅)の賃貸:数量 660(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.3%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.0%)。ホテルの客室単価と住宅の賃料の伸びを混ぜた値)→ 売上 61 億円・営業利益 43 億円。稼働 100%・賃料 年 +2.8%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 54 − 資本的支出 5.2) ÷ キャップ 4.40% − 純負債 255 = 845 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り 4.79% より低く、用途の下限を混ぜた 3.8% より高い。
確率:訪日客と国内旅行が伸び続け、変動賃料が厚くなる筋書き。テナントの偏りと公募の実績から 7%。
やや楽観 18% ホテルの単価が上がり、利回りは今の鑑定を下回る 利益 20 億円 · PBR 2.1 倍 · 株価時価総額 168,630 円729 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借り換えは 3.85% になる。温泉旅館とホテルの客室単価は物価並みに上がり、住宅の賃料も年 2.5% で伸びる。賃料全体は年 2.5% で伸び、稼働の係数は 0.99 を保つ。
経費は年 3% で増えるが軽く、NOI は 10 年で 27% 伸びる。利払いは 15 億円に増え、純利益は今の 1.1 倍になる。
物件の利回りは 4.65% で、今の鑑定をやや下回る。アパの買い増しが続き、公募は NAV に近い値段に戻る。投資口の値段も NAV の 8 割ほどまで戻る。
- 複合(温泉旅館・ホテル・賃貸住宅)の賃貸:数量 653(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.0%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.0%)。ホテルの客室単価と住宅の賃料の伸びを混ぜた値)→ 売上 59 億円・営業利益 41 億円。稼働 99%・賃料 年 +2.5%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 51 − 資本的支出 5.4) ÷ キャップ 4.65% − 純負債 257 = 729 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り 4.79% より少し低い。
確率:ホテルの単価と住宅の賃料が想定より強い筋書き。18% とした。
中立 37% 賃料の伸びが利払いの増加を埋め、利回りは今の鑑定並み 利益 17 億円 · PBR 1.8 倍 · 株価時価総額 142,954 円618 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借入は 1〜2 年のうちに 4.0% へ借り換わる。年の利払いは今の約 5 億円から 15 億円に増える。ホテルの賃料は年 2%、住宅は年 2.5% で伸び、稼働の係数は 0.98 に下がる。
経費は軽いので、NOI は 10 年で 2 割伸びる。純利益は今の 17.8 億円とほぼ同じで、分配も保たれる。
物件の利回りは 4.9% で、今の鑑定とほぼ同じだ。物件の価値は鑑定並みを保つ。減価償却が資本的支出を上回る分の現金で借入を返し、純負債は 1 割強減る。増資は NAV を下回る間は控える。
- 複合(温泉旅館・ホテル・賃貸住宅)の賃貸:数量 647(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.7%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.0%)。ホテルの客室単価と住宅の賃料の伸びを混ぜた値)→ 売上 56 億円・営業利益 38 億円。稼働 98%・賃料 年 +2.1%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 49 − 資本的支出 5.6) ÷ キャップ 4.90% − 純負債 260 = 618 億円。キャップは用途の表を加重した 4.85%(地方の温泉旅館 42%×5.5%、ビジネスホテル 30%×5.0%、住宅 28%×3.75%)と今の鑑定の NCF 利回り 4.79% の高い方に近い 4.9%。
確率:前提どおり 10 年金利 3% に落ち着き、賃料が年 2.1% で伸びる筋書き。最もありうるので 37%。
やや悲観 20% ビジネスホテルの供給過多と旅館の伸び悩み 利益 10 億円 · PBR 1.2 倍 · 株価時価総額 99,929 円432 億円
10 年金利は 3% を少し上回り、借り換えは 4.3% になる。ビジネスホテルは供給が増えて客室単価が下がり、温泉旅館の変動賃料も伸びない。賃料全体は年 1% しか伸びず、稼働の係数は 0.96 に下がる。
経費は年 3% で増え、NOI は今とほぼ同じだ。利払いは 16 億円に増え、純利益は今の半分ほどになる。
物件の利回りは 5.2% に上がり、物件の価値は鑑定を 1 割ほど下回る。分配が細り、投資口の値段は NAV の割引を保ったままになる。規模を追う公募も止まり、アパの関心が薄れる。借入の条件も改善しない。
- 複合(温泉旅館・ホテル・賃貸住宅)の賃貸:数量 633(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 7.8%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.0%)。ホテルの客室単価と住宅の賃料の伸びを混ぜた値)→ 売上 49 億円・営業利益 31 億円。稼働 96%・賃料 年 +1.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 42 − 資本的支出 5.4) ÷ キャップ 5.20% − 純負債 265 = 432 億円。キャップは中立 +0.3%。
確率:ビジネスホテルの客室単価が下がり、温泉旅館の変動賃料も伸びない筋書き。20% とした。
悲観 18% 旅行の需要が崩れ、温泉旅館の賃料が下がる 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 43,719 円189 億円
景気が崩れ、旅行の需要が落ちる。温泉旅館は稼働と単価が同時に下がり、GENSEN は賃料の減額を求める。変動賃料は消え、ビジネスホテルも単価が下がる。ホテルの賃料は年 2% ずつ減り、住宅は年 1% 弱しか伸びない。稼働の係数は 0.93 に下がり、10 年後の収入は今より 2 割近く低い。
金利も上振れし、借り換えは 4.7% になる。NOI は今より 2 割強減り、利払いが純利益を食い尽くす。分配は止まり、物件を売って借入を返す。
物件の利回りは 5.8% に上がり、物件の価値は鑑定を 3 割下回る。それでも鑑定の利回りが高かった分、物件の価値は純負債を上回り、投資主の取り分は少し残る。
- 複合(温泉旅館・ホテル・賃貸住宅)の賃貸:数量 614(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 6.2%(稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.0%)。ホテルの客室単価と住宅の賃料の伸びを混ぜた値)→ 売上 38 億円・営業利益 21 億円。稼働 93%・賃料 年 -1.2%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 31 − 資本的支出 4.6) ÷ キャップ 5.80% − 純負債 268 = 189 億円。キャップは中立 +0.9%。ホテルは需要の振れが大きく、売りの局面で買い手が減る。
確率:ホテルは悲観で最も深く落ちる用途で、スポンサーの点数が 3.5(3 以上で +5 ポイント)。運営会社 1 社への偏りもあり 18%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
複合(温泉旅館・ホテル・賃貸住宅)の賃貸
大江戸温泉物語の温泉旅館、アパホテルなどのビジネスホテル、首都圏と大阪の賃貸住宅など 31 物件を、運営会社と入居者に貸す。旅館とホテルは固定に業績連動の変動を足した賃料。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模) | 価格稼働した規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.0%)。ホテルの客室単価と住宅の賃料の伸びを混ぜた値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 655 | 7.0% | 46 | 31 |
| 10 年後 中立 | 647 | 8.7% | 56 | 38 |
取り方:2026 年 5 月期の半年の賃貸事業収入 23.0 億円を 2 倍して年 46.0 億円(2025 年 12 月の取得 8 物件はほぼ期の全部に寄与)。帳簿価額 659.7 億円 × 稼働率 99.3%(ホテルは一括の賃貸で 100%、住宅は 97.6%)で数量、収入 ÷ 数量で価格。NOI は収入 − 償却を除く賃貸事業費用で年 40.45 億円、セグメントの利益はそこから減価償却 9.6 億円を引いた額。中立の賃料の伸びは年 2.14%(ホテル等 72%×2.0%、住宅 28%×2.5%)で、価格は 10 年で 1.24 倍と物価の 1.34 倍に届かない。旅館とホテルの賃料は固定部分が大きく、変動部分も需要の振れで相殺されるため(業種ノート)。
リスクと懸念
運営会社 1 社への偏り
温泉旅館を運営する GENSEN が収入の約 3 分の 1 を払う。旅行の需要が落ちれば、変動賃料が消え、固定賃料の減額を求められる恐れもある。
NAV を下回る公募の続き
2024 年と 2025 年の公募は NAV の 6〜7 割の値段で、1 口の NAV が下がった。規模を追う増資が続けば、物件の割安さは投資主に残らない。
借入の期間と変動金利
借入の残りの期間は 1.8 年で、新しい借入は変動金利。アパの債務保証は 2026 年 5 月に外れた。10 年後の年の利払いは今の約 5 億円から 15 億円ほどに増える。
温泉旅館の建物の古さ
地方のリゾートの旅館は建物が古く、大きな修繕が要る。運営会社が費用を負う部分もあるが、建物の更新は持ち主の負担になる。
今後の分かれ目
- NAV を下回る値段での増資をしないと会社が約束する
- スポンサーの点数を下げ、悲観の確率を減らす。価値は上に振れる。
- アパの持分が 1 割を超える
- 同じ船に乗る度合いが強まり、スポンサーの点数を下げる。
- 温泉旅館の業績連動の賃料がほかの施設にも広がる
- 物価と需要の伸びが賃料に乗り、やや楽観に近づく。
- 旅行の需要が崩れ、GENSEN が賃料の減額を求める
- NOI が下がり、悲観の確率を上げる。
- 短期金利が 2% を超えて上がる
- 変動金利の利払いが早く増え、やや悲観に寄る。
見ておくもの
- 温泉旅館とビジネスホテルの RevPAR(月次)
- 変動賃料の額
- 借り換えの金利と残りの期間
- 公募の値段と 1 口の NAV
- アパの持分
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップで割り、負債を引いて出した。中立のキャップは用途の表を加重した 4.85% と今の鑑定の NCF 利回り 4.79% の高い方に近い 4.9%。投資口が NAV の 6 割であることを割安の根拠にしていない。価値が今の値段を上回るのは、鑑定の利回りが高く、物件の価値が金利の上昇で崩れにくいからだ。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は変わらない。
資本コスト 9.7% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +2.20% を足した 9.70%。ホテルの景気の振れは cycle と悲観の確率に入れたので extra は置かない。