結論
マリモ地方創生リートは、広島の不動産会社マリモをスポンサーとし、地方の住宅、スーパーや家電量販店などの商業施設、ホテル、オフィス、物流施設など 61 物件、取得価格で 623 億円を持つ総合型の REIT だ。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正ということだ。価値の計算は今の値段をわずかに上回るだけで、安全域と呼べる幅はない。
よい所は、物件が安く値付けされていることだ。投資口の値段は 1 口の NAV の 65% で、市場は物件に 6.6% の利回りを求めている。鑑定の利回りより 1.5 ポイント以上高い。地方の物件でも、住宅は賃料の改定が進み、ホテルは変動賃料が伸びている。
弱いのは、借入の金利だ。2026 年 8 月の借り換えで、借入はすべて変動金利になった。借入は鑑定の 46% で、平均の残りの期間は 2 年しかない。会社の予想でも、1 口の純利益は次の 2 期で 26% 減る。10 年後の純利益は今の 16 億円から 10 億円ほどに縮む。地方の物件は売りにくく、景気が崩れた時の値下がりも深い。安く見える値段は、この二つへの値引きだと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この REIT は物件の値段が安い。NAV の 3 分の 2 の値段で、地方とはいえ稼働 99% の物件の束が買える。ただ、安さの理由も見える。借入はすべて変動金利で、利払いは 10 年で今の 2 倍に増える。純利益は今の 16 億円から 10 億円ほどに減り、分配も細る。
地方の住宅と商業施設は、人口が減る中で賃料を上げにくい。賃料の伸びは年 1.6% と物価に届かず、NOI は 10 年で 1 割しか伸びない。マリモが収入の 8 割を受け止める形は空室の振れを小さくするが、スポンサーの体力に頼る形でもある。
筆者が評価を上げるのは、借入の一部が固定金利に戻り、含み益のある物件の売却が NAV の割引を縮める時だ。それまでは、今の値段は安全域のない適正な値段だと見る。値段が 2 割下がれば、話は変わる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、地方の物件の賃料だ。2026 年 6 月期の半年で賃貸の収入は 26.0 億円、償却を除く費用を引いた NOI は 19.7 億円だった。鑑定の NOI の比で、商業施設が 46%、住宅が 30%、ホテルが 9%、オフィスが 8%、物流施設が 6%、ヘルスケアが 2% を稼ぐ。物件の 8 割以上は東京圏の外にある。
住宅は、スポンサーのマリモが開発した賃貸マンション「アルティザ」が中心で、名古屋・福岡・仙台・熊本・高松などの政令市と地方の中核都市にある。商業施設は、スーパー、ドラッグストア、家電量販店などの生活密着型で、底地も含む。ホテルは飛騨高山と浜松などの 4 物件で、変動賃料が取得時の予想の 2 倍を超えた。
賃貸の収入の 8 割は、マリモがまとめて借りて転貸するマスターリースを通る。多くは入居者の賃料をそのまま渡す形だが、一部は賃料を固定する形で、マリモが空室の振れを引き受ける。期末の稼働率は 99.0% と高い。
分配は、利益の全額に、減価償却の 2 割弱を利益超過分配として上乗せする。含み益のある物件を売り、その益も分配に回す。
優良さと弱いところ
物件の質は J-REIT の中で下の方だ。地方の中核都市の物件が多く、人口が減る地域では、住宅の入居者も店の客も先細りになる。郊外の商業施設は、大型店の撤退や賃料の減額の交渉に弱い。家電量販店の 1 物件では、店から 3 割の賃料の減額を求める訴訟を起こされている。
強みは二つある。一つめは、取得の値段の低さだ。帳簿に対して鑑定の含み益は 20% あり、取得時の NOI 利回りも 6% 台と高い。二つめは、マリモのマスターリースと物件の供給だ。マリモは地方での開発と管理の経験が長く、空室を早く埋める。
弱みは三つある。ひとつは、借入がすべて変動金利になったことだ。短期の金利が上がるたびに利払いが増える。ふたつめは、規模が小さく、1 物件の退去が全体に響くことだ。みっつめは、スポンサーとの取引の多さだ。収入の 8 割がマリモを通り、物件の売買もマリモが相手のことが多い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方の賃貸住宅は、単身の世帯と賃貸に住む世帯が増え、需要は安定している。この REIT の住宅の賃料の改定は直近で 3.5% の上げと強い。ただ、物価にほぼ追いつく東京の住宅と違い、地方は人口が減り、上げの幅は細る。筆者は、住宅の賃料は中立で年 2.0% と見る。
生活密着型の商業施設は、スーパーとドラッグストアの売上が物価高で伸びている。ただ賃料は固定が基本で、上げは交渉に限られる。郊外の家電量販店は、店の統廃合で賃料の減額を求められやすい。商業の賃料は年 1.25% と見る。ホテルは年 2.0%、オフィスは 1.5%、物流は 1.75% と見て、NOI の比で混ぜると年 1.6% になる。
金利の 10 年は、物件の利回りを押し上げる。10 年国債が 3% なら、地方の物件の期待キャップは用途の表に 0.25% を上乗せし、混ぜて 4.75% になる。この REIT の今の鑑定の NCF 利回りは 4.9% で、表より高い。物件の価値は鑑定並みと見る。
費用は物価で年 3% 増え、経費率は 24% ある。NOI の伸びは賃料より遅い。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、規模の拡大と含み益の還元だ。会社は物件の入れ替えで含み益を分配に回し、1 口の分配を今より 1 割強上げる目標を掲げる。2026 年 7 月には住宅の持分を鑑定を 1 割上回る値段で売った。
新しい投資口は、2024 年に公募で 4.4 万口を出した。投資口は長く NAV を 3 割前後下回っており、公募はそのたびに既存の投資主の取り分を薄める。今の値段では、増資による規模の拡大は割に合わない。
借入は鑑定の 46% で、追加の借入の余地は小さい。全部が変動金利なので、金利が上がれば利払いが先に増える。減価償却の 2 割弱を利益超過分配として配るのも、修繕と返済の財源を削る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
物件が安い。投資口の値段は 1 口の NAV の 65% で、市場は物件に 6.6% の利回りを求めている。鑑定の利回りより 1.5 ポイント以上高い。会社は含み益のある物件を鑑定を上回る値段で売り、その益を分配に回している。売るたびに、NAV と値段の差は投資主の手に戻る。
地方の物件の稼ぎは強い。住宅の賃料の改定は 3.5% の上げで、ホテルの変動賃料は取得時の予想の 2 倍を超えた。稼働は 99% で、マリモのマスターリースが空室の振れを吸収する。商業施設はスーパーとドラッグストアが中心で、景気が崩れても客は減りにくい。
金利の上げは、地方の銀行の融資の姿勢を変えない。18 の金融機関が貸しており、借り換えに困ることはない。利払いの増加は、賃料の改定と物件の入れ替えで埋められる。地方の物件は東京の物件より利回りが高く、金利が上がっても借入の金利との差は残る。今の値段は、この差を見落としている。
慎重な見方
借入がすべて変動金利だ。2026 年 8 月の借り換えで固定の分がなくなり、短期の金利が上がるたびに利払いが増える。会社の予想でも、支払利息などは半期で 3.5 億円から 4.7 億円に増え、1 口の純利益は次の 2 期で 26% 減る。借入は鑑定の 46% で、増資なしに借入を減らす手は物件の売却しかない。
地方の物件は売りにくい。景気が崩れれば、買い手は東京の物件に移り、地方の物件の利回りは大きく上がる。人口が減る地域の住宅と郊外の商業施設は、賃料も稼働も下がる。家電量販店からは 3 割の賃料の減額を求める訴訟を起こされている。
スポンサーとの取引が多すぎる。収入の 8 割はマリモを通り、物件の多くはマリモから買う。2026 年 8 月には、第三者を挟んだ取引もスポンサー取引とみなす規程の改定をした。それまでは、その抜け道が開いていたということだ。スポンサーの持分は 6% にとどまり、投資主と同じ船に乗っているとは言いにくい。
どちらに重みを置いたか
物件の安さという強気の見方の論点は正しいが、変動金利と地方の売りにくさという慎重な見方の論点は数字に出ている。中立を最も厚く置き、スポンサーの点数が 3 を超えるので悲観に 15% を置いた。借入の一部が固定金利に戻れば、見方を上げる。含み益のある物件の売却が NAV の割引を縮める時も、見方を上げる。反対に、短期の金利が 2% を超えれば、見方を下げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 160,689 円452 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 48,754 円137 億円)。 今の値に割り戻すと 96,770 円272 億円、今との差 +5.0%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 9.4%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 241,568 円680 億円 | 62,524 円176 億円 | +229.8% | +12.7% | 24,327 円68 億円 |
| やや楽観 | 20% | 211,727 円596 億円 | 57,905 円163 億円 | +192.4% | +11.3% | 53,927 円152 億円 |
| 中立 | 37% | 179,045 円504 億円 | 52,577 円148 億円 | +151.2% | +9.6% | 85,700 円241 億円 |
| やや悲観 | 20% | 123,626 円348 億円 | 40,143 円113 億円 | +77.6% | +5.9% | 32,754 円92 億円 |
| 悲観 | 15% | 53,642 円151 億円 | 31,262 円88 億円 | −7.9% | −0.8% | 12,736 円36 億円 |
| 加重平均 | 100% | 160,689 円452 億円 | 48,754 円137 億円 | +127.2% | +8.6% | 209,443 円590 億円 |
今の株価時価総額 92,200 円260 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.4% を下回るほど割高。
楽観 8% 含み益の還元が進み、地方の物件の値付けが上がる 利益 16 億円 · PBR 2.4 倍 · 株価時価総額 241,568 円680 億円
10 年金利は 3% を下回って落ち着き、短期の金利も 1% 台にとどまる。借り換えは 3.6% で済む。住宅の賃料は改定のたびに上がり、ホテルの変動賃料も伸びる。賃料全体は年 2.2% で伸び、稼働は 99% を保つ。
会社は含み益のある物件を鑑定を上回る値段で売り、その益を分配に回す。投資口の値段は NAV に近づき、物件の利回りは 4.6% に下がる。
利払いは今の 2 倍に増えるが、賃料の伸びがそれを埋め、純利益は今とほぼ同じになる。物件の価値は鑑定を上回り、投資主の取り分は大きく増える。
- 複合(住宅・商業・ホテル・オフィス・物流)の賃貸:数量 602(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 10.7%(稼働した規模に対する賃貸の収入の比(今 8.6%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 65 億円・営業利益 38 億円。稼働 99%・賃料 年 +2.2%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 48 − 資本的支出 4.2) ÷ キャップ 4.60% − 純負債 265 = 680 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り 4.93% より低く、用途の下限を混ぜた値より高い。
確率:物件の入れ替えで NAV の割引が縮み、金利も落ち着く筋書き。地方の物件で利回りが大きく下がるのは難しいので 8%。
やや楽観 20% 住宅の賃料の改定が続き、利払いの増加を埋める 利益 13 億円 · PBR 2.1 倍 · 株価時価総額 211,727 円596 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借り換えは 3.8% になる。住宅の賃料は年 2.5% 近く上がり、ホテルの変動賃料も伸びる。商業施設は固定賃料が基本で伸びは小さい。賃料全体は年 1.9% で伸び、稼働は 98.5% を保つ。
経費は年 3% で増え、NOI は 10 年で 15% 伸びる。利払いは今の 7 億円から 14 億円に増え、純利益は今の 8 割ほどになる。
物件の利回りは 4.75% で、今の鑑定よりやや低い。物件の価値は鑑定並みを保ち、含み益の還元で分配は今の水準に近い所で落ち着く。
- 複合(住宅・商業・ホテル・オフィス・物流)の賃貸:数量 599(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 10.4%(稼働した規模に対する賃貸の収入の比(今 8.6%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 62 億円・営業利益 36 億円。稼働 98%・賃料 年 +1.9%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 46 − 資本的支出 4.4) ÷ キャップ 4.75% − 純負債 269 = 596 億円。キャップは用途の表を加重した 4.75%。
確率:住宅とホテルの稼ぎが想定より伸びる筋書き。20% とした。
中立 37% 変動金利で純利益が 4 割細り、利回りは今の鑑定なりに戻る 利益 10 億円 · PBR 1.8 倍 · 株価時価総額 179,045 円504 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、短期の金利も上がる。借入はすべて変動金利なので、借入の金利は早いうちに 4.0% に上がる。年の利払いは今の約 7 億円から 15 億円に増える。賃料は住宅とホテルが年 2%、商業が年 1.25% で伸び、稼働は 97.5% へ少し下がる。
経費は年 3% で増え、NOI は 10 年で 9% しか伸びない。純利益は今の 15.8 億円から 10 億円ほどに減り、分配も同じだけ細る。利益超過分配は年 2 億円ほどで続く。
物件の利回りは今の鑑定の NCF 利回りに近い 4.95% で、物件の価値は鑑定並みにとどまる。古い住宅の修繕で資本的支出は今の 1.3 倍に増える。増資は NAV を下回る間は控え、規模は今のまま据え置く。
- 複合(住宅・商業・ホテル・オフィス・物流)の賃貸:数量 593(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 10.1%(稼働した規模に対する賃貸の収入の比(今 8.6%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 60 億円・営業利益 33 億円。稼働 98%・賃料 年 +1.6%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 43 − 資本的支出 4.6) ÷ キャップ 4.95% − 純負債 273 = 504 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り 4.93% で、用途の表を加重した 4.75%(地方の住宅 30%×4.0%、商業 46%×5.25%、ホテル 9%×5.25%、オフィス 8%×4.75%、物流 6%×4.5%、ヘルスケア 2%×4.5%)より高い。
確率:前提どおり 10 年金利 3% に落ち着き、賃料が年 1.6% で伸びる筋書き。最もありうるので 37%。
やや悲観 20% 地方の人口減で住宅と店の賃料が止まる 利益 4 億円 · PBR 1.2 倍 · 株価時価総額 123,626 円348 億円
10 年金利は 3% を少し上回り、借入の金利は 4.3% になる。地方の人口の減少が進み、住宅の入居者が細る。郊外の家電量販店とスーパーで撤退と減額が出る。賃料全体は年 0.8% しか伸びず、稼働は 95.5% に下がる。
経費は年 3% で増え、NOI は今とほぼ同じだ。利払いは 16 億円に増え、純利益は今の 4 分の 1 ほどに細る。利益超過分配も半分に減らす。
物件の利回りは 5.25% に上がり、物件の価値は鑑定を 1 割ほど下回る。投資口の値段は NAV を大きく下回ったままで、物件の入れ替えも進まない。
- 複合(住宅・商業・ホテル・オフィス・物流)の賃貸:数量 581(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.3%(稼働した規模に対する賃貸の収入の比(今 8.6%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 54 億円・営業利益 28 億円。稼働 96%・賃料 年 +0.8%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 37 − 資本的支出 4.4) ÷ キャップ 5.25% − 純負債 280 = 348 億円。キャップは中立 +0.3%。
確率:人口の減少と郊外の店の撤退で賃料が止まる筋書き。20% とした。
悲観 15% 金利の上振れと地方の売りで、分配がなくなる 利益 −4 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 53,642 円151 億円
金利が上振れし、借入の金利は 4.7% になる。全部が変動金利なので、利払いはすぐに増える。景気が崩れ、地方の店の撤退と住宅の空室が続く。ホテルの変動賃料も消える。稼働は 92% まで下がり、賃料は 10 年で 5% 下がる。
NOI は今より 2 割減り、利払いが営業利益を上回る。純利益は赤字になり、分配は止まる。借入を返すために物件を売るが、地方の物件は買い手が細り、安値でしか売れない。
物件の利回りは 5.9% に上がり、物件の価値は鑑定を 3 割下回る。それでも物件の価値は純負債を上回り、投資主の取り分はわずかに残る。
- 複合(住宅・商業・ホテル・オフィス・物流)の賃貸:数量 560(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.2%(稼働した規模に対する賃貸の収入の比(今 8.6%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 46 億円・営業利益 20 億円。稼働 92%・賃料 年 -0.5%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 30 − 資本的支出 3.8) ÷ キャップ 5.90% − 純負債 290 = 151 億円。キャップは中立 +0.95%(地方の物件の売りにくさを入れた)。
確率:スポンサーの点数が 3.1 で 3 以上(+5 ポイント)。借入がすべて変動金利で、地方の物件は売りにくいので 15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
複合(住宅・商業・ホテル・オフィス・物流)の賃貸
地方の中核都市の賃貸住宅、スーパーや家電量販店などの商業施設、ホテル、オフィス、物流施設、ヘルスケア施設など 61 物件を貸す。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模) | 価格稼働した規模に対する賃貸の収入の比(今 8.6%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 602 | 8.6% | 52 | 30 |
| 10 年後 中立 | 593 | 10.1% | 60 | 33 |
取り方:2026 年 6 月期の半期 ×2 で今の値を組んだ。物件の売却益 1.1 億円は除いた。賃貸の収入は 51.9 億円、NOI は 39.4 億円、減価償却は 9.2 億円。帳簿価額 608.5 億円 × 期末の稼働率 99% で数量、収入 ÷ 数量で価格。中立の賃料の伸びは年 1.6%(住宅 30%×2.0%、商業 46%×1.25%、ホテル 9%×2.0%、オフィス 8%×1.5%、物流 6%×1.75%、ヘルスケア 2%×1.0%)で、価格は 10 年で 1.17 倍と物価の 1.34 倍に届かない。地方は人口が減り、商業は固定賃料が基本のため(業種ノート)。稼働は 97.5% へ少し下がる。
リスクと懸念
変動金利による利払いの増加
2026 年 8 月の借り換えで、借入はすべて変動金利になった。平均の調達金利は 1.63%、残りの期間は 2 年。短期の金利が上がるたびに利払いが増え、会社の予想でも 1 口の純利益は次の 2 期で 26% 減る。
地方の人口減と郊外の店
物件の 8 割以上は東京圏の外にある。人口が減る地域では、住宅の入居者も店の客も細る。家電量販店の 1 物件では、店から 3 割の賃料の減額を求める訴訟が続いている。
スポンサーへの依存
収入の 8 割はマリモのマスターリースを通り、物件の多くはマリモから買う。マリモの体力が落ちれば、空室の振れの受け皿がなくなる。
地方の物件の売りにくさ
景気が崩れた時、地方の物件は買い手が細る。借入を返すための売却は安値になりやすい。
今後の分かれ目
- 借入の一部を固定金利に戻す
- 利払いの振れが小さくなり、debt の上乗せを下げる。価値は上に振れる。
- 含み益のある物件を鑑定を上回る値段で売り続ける
- NAV と値段の差が投資主に戻り、やや楽観に近づく。
- 短期の金利が 2% を超える
- 利払いが今の 3 倍に近づき、やや悲観に近づく。
- NAV を下回る値段で増資をする
- 1 口の価値が薄まり、悲観の確率を上げる。
- 家電量販店の賃料の減額が認められる
- 商業施設の賃料の下げが他の店にも広がり、商業の伸びを下げる。
見ておくもの
- 短期の金利と借入の平均の金利
- 固定金利の比率
- 住宅の賃料の改定率と稼働
- 物件の売却の値段と鑑定の比
- 1 口当たり分配金の会社予想
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップで割り、負債を引いて出した。中立のキャップは今の鑑定の NCF 利回り 4.93% で、用途の表を加重した 4.75% より高い。NAV 割れを割安の根拠にしていない。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は変わらない。
資本コスト 9.4% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.87% を足した 9.37%。事業は傾いていないので extra は置かない。