結論
大和ハウスリート投資法人は、大和ハウス工業をスポンサーとする総合型の J-REIT だ。物流施設が取得価格の 51%、居住施設が 26%、商業施設が 13%を占める。232 物件で、鑑定評価額は 1 兆 1,344 億円。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正ということだ。10 年の価値は、今の時価総額を 5% ほど上回る。
強みは、借入の軽さと含み益の厚さだ。有利子負債は鑑定評価額の 36% にとどまる。含み益は 2,907 億円あり、1 口あたりの NAV(鑑定ベースの純資産)は 16 万円を超える。賃料の増額が通っていて、売却益と自己投資口の取得で投資主に返す方針も明確だ。
弱みは二つある。ひとつは、借入の平均金利が 1.03% と低く、2 年のうちに 27% が満期を迎えること。借り換えで利払いは 3 倍近くに膨らむ。もうひとつは、物流の新規供給が続き、賃料の伸びが頭打ちになりうることだ。
それでも、NAV の 6 割台という値段には、金利の正常化がかなり入っている。スポンサーの点数は 1.8 で、悲観の確率は基本のままにした。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この投資法人は、物流と居住という手堅い賃貸を持ち、借入が軽い。堀と呼べるほどの強みはないが、スポンサーの開発力と、資産を入れ替えて含み益を実現する運用に筋が通っている。
問題は、今の低い金利を前提にした利益だ。借入の平均金利は 1.03% で、3.4% 前後に借り換わると、年の利払いは 43 億円から 130 億円ほどに増える。ただし LTV が低いので、満期が重なっても耐える余力は大きい。
鑑定評価額に対する稼ぎは、資本的支出を引くと 3.7% だ。キャップが 4.24% まで上がれば、物件の価値は鑑定を 1 割強下回る。含み益 2,907 億円は、その分だけ薄くなる。
今の値段は NAV の 0.64 倍で、割安に見える。だが NAV は低い金利の上の鑑定で、筆者は割安の根拠にしない。それでも、金利の正常化を織り込んだ 10 年の価値が、今の値段をわずかに上回った。
自己投資口の取得は、NAV 割れの今は投資主に良い使い方だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、物流施設・居住施設・商業施設・ホテルの賃料だ。投資法人は建物と土地を持ち、テナントに貸して賃料を受け取る。直近 1 年の賃貸事業収益は 603 億円で、そこから償却を除く費用を引いた NOI(賃貸の稼ぎ)は 455 億円だった。
物件は 232 ある。取得価格の内訳は、物流施設が 4,709 億円(51%)、居住施設が 2,446 億円(26%)、商業施設が 1,220 億円(13%)、ホテルが 490 億円(5%)、その他が 386 億円(4%)。首都圏が 68%、近畿圏が 8%、中部圏が 3%で、その他の地方が 21%だ。平均の築年数は 15.0 年。
物流は、大手テナントに一棟貸しする BTS 型(特定の借り手のために建てた物件)が中心で、賃料は固定。居住は 9,855 戸で、更新と入替のたびに賃料を上げる。ホテルは固定賃料に変動賃料を足す形で、訪日客の増減が収入に響く。稼働率は全体で 99.1%、居住施設は 97.0%だ。
資産の入れ替えを毎期行う。2026 年 9 月には、池袋のホテル(115 億円)と浦和の商業施設(95 億円)を買う一方、BTS 型物流などを売る。今後は年 200 億円ほどの売却を見込む。
運用会社の運用報酬は年 38 億円で、NOI の 8% だ。のれんが 396 億円残っており、毎年 40 億円ほどを費用に落としている。
優良さと弱いところ
物件の質は、物流の新しさと、居住施設の分散に強みがある。物流は築 12.7 年で、湾岸と内陸に広く持つ。居住は 9,855 戸と数が多く、1 戸あたりの金額が小さいので、空室の影響が薄まる。
強みは三つある。ひとつめは、借入が軽いこと。有利子負債は鑑定評価額の 36%で、格付けは JCR が AA、R&I が AA-。ふたつめは、含み益が 2,907 億円あり、物流と居住で 1,290 億円ずつ出ていること。みっつめは、賃料の増額が続いていることだ。2026 年 8 月期は居住施設の月額賃料が 2,210 万円増えた。
弱みも三つある。ひとつは、鑑定評価額に対する稼ぎの低さ。NOI から資本的支出を引くと 3.7%で、10 年国債が 3% の世界では物件の価値を保ちにくい。ふたつめは、居住施設の稼働が 97.0%と、予想の 97.5%に届かなかったこと。みっつめは、ホテルのうち地方の物件が半分を占め、需要の振れが大きいことだ。
一方で、修繕費を毎期きちんと費用に落とすため、資本的支出は NOI の 8%と軽い。会計の利益に、見かけの水ぶくれは少ない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
物流は、首都圏の大型マルチテナント型で空室率が 7.8% まで下がった。ただし 2028 年にかけて新規供給が戻る。BTS 型は長期契約で賃料が固く、増額は一部の契約更新に限られる。居住は、東京 23 区の需要が強く、更新・入替で賃料が上がる。商業は、駅前の新築と郊外の生活密着型で差が出る。ホテルは訪日客が 2026 年上半期に 2,108 万人と、需要の勢いが続く。
業種の表では、物流の期待キャップが 4.25%、住宅が 3.75%、商業とホテルが 5.0%、その他が 4.5% だ。NOI の比(物流 49%、住宅 30%、商業 13%、ホテル 4%、その他 4%)で加重すると、中立のキャップは 4.24% になる。
今の鑑定の利回りは、NOI から資本的支出を引くと 3.7% で、表より低い。これは 10 年金利が 2% 前後の世界の値段で、3% に上がれば表に近づく。
賃料の伸びは、居住が年 2.5%、物流が年 2.0%、商業が年 1.5% で、加重した中立は年 2.1% とした。経費は物価で年 3% 伸びるので、NOI の伸びは賃料より遅い。
資本政策と M&A
借入は 4,080 億円で、有利子負債を鑑定評価額で割った比率(LTV)は 36.0%。のれんを除く帳簿ベースでは 45.6% で、会社は 45% 前後に保つ方針だ。固定金利の比率は 89%、平均金利は 1.03%、平均の残りは 3.6 年。
2028 年 8 月期までの 2 年に、約 1,120 億円(27%)の満期が来る。2026 年 9 月の借り換えは 3.03%、10 月の投資法人債は 2.49% で、今の平均より 1.5〜2 ポイント高い。
増資は、2021 年 9 月の公募を最後に行っていない。自己投資口は 70 億円を取得して消却済みで、2026 年 10 月にさらに 10 億円の取得を決めた。2028 年 8 月期までに、売却益の還元と自己投資口で、合わせて 300 億円以上を返す目標を掲げる。
運用報酬は年 38 億円で、NOI の 8%。大和ハウスは 5.8% を保有する。分配には、のれんの償却に対応する利益超過分配(一時差異等調整引当額)が毎期 20 億円ほど入る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
借入が軽く、金利上昇に強い。有利子負債は鑑定評価額の 36% で、格付けは AA。満期が重なっても、物件を売って返せる余力が大きい。
賃料の増額が通っている。居住施設は更新と入替で月額 2,210 万円の増額があり、物流は 2027 年 2 月期に満期を迎える契約の多くが増額再契約の予定だ。会社は 5% 以上の増額を狙う。ホテルや商業でも、変動賃料を持つ新しい物件を買い、物価に連動する収入を増やしている。
含み益は 2,907 億円ある。会社は、成長余地の乏しい物件を年 200 億円ほど売って含み益を実現し、分配と自己投資口の取得で返す。1 口の分配は 2027 年 8 月期に今期より 17% 増える見込みだ。
今の値段は NAV の 0.64 倍だ。増資は 2021 年を最後にしておらず、1 口の価値を薄めていない。
楽観の筋書きでは、賃料が年 3% で伸び、キャップが 3.75% に下がり、時価総額は 1 兆 1,743 億円と今の 2.4 倍になる。
慎重な見方
物流の新規供給が戻る。首都圏の大型物流の空室率は 7.8% まで下がったが、2028 年に向けて新しい供給が増える。BTS 型は賃料が固く、増額の余地は限られる。
借入の平均金利は 1.03%。2028 年 8 月期までに 27% の満期が来て、3% 台に借り換わる。年の利払いは 3 倍近くになり、純利益の 1 割強が消える。
鑑定評価額に対する稼ぎは、資本的支出を引くと 3.7% と低い。10 年国債が 3% の世界でキャップが 4.24% まで上がれば、物件の価値は鑑定を 1 割強下回る。
のれん 396 億円は、毎年 40 億円ずつ利益を削る。会社の巡航の分配は、デットコストの増加で年 2.6% ずつ押し下げられると、会社自身が見ている。
やや悲観の筋書きでは、賃料の伸びが年 1% にとどまり、時価総額は 5,518 億円と中立の 7 割になる。悲観では、賃料が縮み、投資主の取り分は 3,339 億円まで減る。
どちらに重みを置いたか
借入の軽さ、物流と居住の賃料増額、含み益の実現と還元の方針には、はっきりした根拠がある。反対に、鑑定評価額に対する稼ぎは低く、借り換えで利払いは 3 倍近くに増え、キャップの上昇が物件の価値を削る。中立の 10 年の価値は、今の時価総額をわずかに上回った。筆者は、今の値段は、金利が上がる前提をほぼ織り込んだ水準で、割安とまでは言えないと見る。スポンサーの点数は 1.8 で、悲観の確率は基本のままにした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した株価時価総額 172,237 円7,820 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 51,530 円2,339 億円)。 今の値に割り戻すと 114,759 円5,210 億円、今との差 +6.0%、 期待の年率 +7.5%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 265,858 円1.21 兆円 | 62,599 円2,842 億円 | +203.3% | +11.7% | 32,846 円1,491 億円 |
| やや楽観 | 22% | 213,193 円9,679 億円 | 58,238 円2,644 億円 | +150.6% | +9.6% | 59,715 円2,711 億円 |
| 中立 | 38% | 176,541 円8,015 億円 | 54,185 円2,460 億円 | +113.0% | +7.9% | 87,676 円3,981 億円 |
| やや悲観 | 20% | 121,541 円5,518 億円 | 44,559 円2,023 億円 | +53.4% | +4.4% | 33,220 円1,508 億円 |
| 悲観 | 10% | 73,546 円3,339 億円 | 29,559 円1,342 億円 | −4.8% | −0.5% | 10,311 円468 億円 |
| 加重平均 | 100% | 172,237 円7,820 億円 | 51,530 円2,339 億円 | +106.6% | +7.5% | 223,767 円1.02 兆円 |
今の株価時価総額 108,300 円4,917 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 賃料が年 3% で伸び、キャップが今の 3.67% のまま 利益 261 億円 · PBR 2.7 倍 · 株価時価総額 265,858 円1.21 兆円
居住は更新と入替で上がり、物流は契約満了のたびに増額が通る。賃料は年 3% で伸び、稼働は 99% を保つ。
借り換えは 3.3% で済む。減価償却の現金で借入を返すので、年の利払いは 117 億円と今の 3 倍弱にとどまる。NOI は 455 億円から 611 億円へ 34% 増え、純利益は 261 億円と今より 2 割増える。
不動産の買い手は今の利回りで買い続け、物件の利回り(キャップ)は今の鑑定の 3.67% のまま変わらない。時価総額は 1 兆 2,070 億円と今の 2.4 倍になる。
売却益の還元と自己投資口の取得が進み、1 口の分配も伸びる。ただし賃料が物価を上回る年 3% で伸びるには、居住の増額が 10 年続く必要があり、物流の供給が戻る 2028 年以降も増額を通せるかが分かれ目になる。
- 物流・居住・商業等の賃貸:数量 8,353(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.7%(規模に対する賃貸事業収益の比(今 7.2%)。賃料の増額と、変動賃料の増減を合わせた値)→ 売上 810 億円・営業利益 483 億円。稼働 99%・賃料 年 +3.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 611 − 資本的支出 50) ÷ キャップ 3.67% − 純負債 3216 = 12070 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り((NOI − 資本的支出) ÷ 鑑定評価額)の 3.67% で、今の値付けが 10 年続く所(複合の下限 3.25% より低い。楽観だけはここまで下げてよい)。
確率:居住と物流の賃料増額が続き、金利が落ち着く筋書き。総合型は用途の分散で上振れの幅が大きいので 10% とした。
やや楽観 22% 賃料は年 2.5% で伸び、借り換えは 3.35% 利益 221 億円 · PBR 2.2 倍 · 株価時価総額 213,193 円9,679 億円
居住の増額が続き、物流も更新ごとに上がる。賃料は年 2.5% で伸び、稼働の係数は 0.985 になる。借り換えは 3.35% で、年の利払いは 120 億円になる。
NOI は 569 億円と 25% 増え、純利益は 221 億円と今をわずかに上回る。資本的支出は年 52 億円と今の 1.35 倍に増える。
物件の利回りは 4.0% に上がる。時価総額は 9,679 億円で、今の 2 倍になる。
ただし、賃料の伸びは物価の 3% に届かず、実質の収益は緩やかに目減りする。のれんの償却は毎年 40 億円続き、会計の利益を押し下げる。
- 物流・居住・商業等の賃貸:数量 8,311(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.2%(規模に対する賃貸事業収益の比(今 7.2%)。賃料の増額と、変動賃料の増減を合わせた値)→ 売上 767 億円・営業利益 443 億円。稼働 98%・賃料 年 +2.5%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 569 − 資本的支出 52) ÷ キャップ 4.00% − 純負債 3236 = 9679 億円。キャップは中立 4.24% より 0.24% 低い 4.0% (賃料の伸びが強い筋書き)。
確率:中立より賃料の伸びが良く、キャップの上昇が小さい筋書き。22% とした。
中立 38% 賃料は物価に負け、利払いが 3 倍弱になる 利益 184 億円 · PBR 1.8 倍 · 株価時価総額 176,541 円8,015 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借入は数年で 3.4% へ借り換わる。減価償却の現金で借入を 640 億円ほど返し、年の利払いは今の 43 億円から 122 億円へ増える。賃料は年 2.1% で伸び、稼働の係数は 0.975 に落ちる。
経費は物価並みの年 3% で増え、NOI は 455 億円から 532 億円へ 17% 増える。それでも利払いの増加を吸収しきれず、純利益は今の 214 億円から 184 億円へ 14% 減る。
物件の利回りは 4.24% に上がる。資本的支出は年 54 億円と、今の 1.4 倍に増える。
時価総額は 8,015 億円で、今を 6 割ほど上回る。10 年の長さに割り引くと、今の値段とほぼ同じになる。
- 物流・居住・商業等の賃貸:数量 8,227(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.9%(規模に対する賃貸事業収益の比(今 7.2%)。賃料の増額と、変動賃料の増減を合わせた値)→ 売上 730 億円・営業利益 407 億円。稼働 98%・賃料 年 +2.1%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 532 − 資本的支出 54) ÷ キャップ 4.24% − 純負債 3251 = 8015 億円。キャップは業種の表を NOI で加重した 4.24% (物流 4.25%、住宅 3.75%、商業 5.0% など)。今の NCF 利回り(NOI から資本的支出を引いて鑑定評価額で割った 3.7%)より高い。
確率:前提どおり 10 年金利が 3% に落ち着き、賃料は年 2.1% で伸びる筋書き。最もありうるので 38%(スポンサーの点数が 1.8 で、悲観の確率は基本のまま 10%)。
やや悲観 20% 物流の供給過多で賃料が伸びず、金利が高め 利益 97 億円 · PBR 1.2 倍 · 株価時価総額 121,541 円5,518 億円
金利は高めに落ち着き、借り換えは 3.6% になる。物流の新規供給で増額が止まり、賃料は 10 年で年 1.0% の伸びにとどまる。稼働の係数は 0.96 に落ちる。
経費は物価で伸び、NOI は 447 億円と今の 2% 減る。年の利払いは 129 億円で、純利益は 97 億円と今の半分以下に縮む。資本的支出は年 52 億円に抑える。
物件の利回りは 4.5% に上がる。時価総額は 5,518 億円で、中立の 7 割になる。
分配は利益超過分配に頼れず、増配は止まる。含み益の実現のための売却も、買い手が減れば思うように進まない。借入は 3 年から 4 年で組み替え続けるため、金利の高止まりがそのまま利益に響く。
- 物流・居住・商業等の賃貸:数量 8,100(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.0%(規模に対する賃貸事業収益の比(今 7.2%)。賃料の増額と、変動賃料の増減を合わせた値)→ 売上 645 億円・営業利益 324 億円。稼働 96%・賃料 年 +1.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 447 − 資本的支出 52) ÷ キャップ 4.50% − 純負債 3251 = 5518 億円。キャップは中立 +0.26%。賃料の頭打ちと利払いの増加で、物件の価値から借入を引いた額が縮む。
確率:物流の新規供給が重なり、居住以外の賃料が伸びず、金利が高めに落ち着く筋書き。20% とした。
悲観 10% 賃料の下落と金利の上振れ 利益 −7 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 73,546 円3,339 億円
物流の供給過多が長引き、居住も空室が増える。賃料は年 0.5% ずつ縮み、稼働の係数は 0.92 に落ちる。
金利は 3% を超えて上がり、借り換えは 4.25% になる。年の利払いは 143 億円で、NOI は 343 億円と今の 4 分の 3 に減る。純利益は 7 億円の赤字となり、分配は止まる。資本的支出は 40 億円に絞る。
物件の価値は借入と預り敷金を引くと小さくなり、投資主の取り分は 3,339 億円にとどまる。
清算されない限り、物件を売って NAV を受け取ることはできない。
自己投資口の取得も続けられなくなる。
- 物流・居住・商業等の賃貸:数量 7,763(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 6.9%(規模に対する賃貸事業収益の比(今 7.2%)。賃料の増額と、変動賃料の増減を合わせた値)→ 売上 533 億円・営業利益 223 億円。稼働 92%・賃料 年 -0.5%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 343 − 資本的支出 40) ÷ キャップ 4.75% − 純負債 3044 = 3339 億円。キャップは中立 +0.51%。賃料の下落と稼働の低下で NOI が 3 割近く減り、物件の価値から借入を引いた額が縮む。NAV は床にしない(清算されない限り投資主は受け取れない)。
確率:スポンサーの点数が 1.8 なので、悲観の確率は基本の 10%。物流の供給過多と居住の空室が同時に来る筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物流・居住・商業等の賃貸
物流・居住・商業・ホテル・その他の 232 物件を、定期借家や一棟貸しでテナントに貸す。ホテルは固定賃料に変動賃料を足す。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模) | 価格規模に対する賃貸事業収益の比(今 7.2%)。賃料の増額と、変動賃料の増減を合わせた値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 8,362 | 7.2% | 603 | 345 |
| 10 年後 中立 | 8,227 | 8.9% | 730 | 407 |
取り方:過去 1 年(2026 年 2 月期+8 月期)の賃貸事業収益 603 億円(売却益を除く)を数量・価格に分けた。簿価(用途別の帳簿価格の合計)8,438 億円 × 稼働率 99.1% が数量、収入 ÷ 数量が価格。NOI は収入から償却を除く費用 148 億円を引いて 455 億円、セグメントの利益は減価償却 110 億円を引いた額。中立の価格は 10 年で 1.23 倍にとどまり、物価の 1.34 倍に届かないのは、居住以外は固定賃料が多く、増額は契約更新に限られるため(業種ノート)。
リスクと懸念
鑑定の利回りの低さと金利
鑑定評価額に対する稼ぎは、資本的支出を引くと 3.7%。10 年国債が 3% の世界でキャップが 4.24% まで上がると、物件の価値が 1 割強縮み、含み益 2,907 億円が薄くなる。
借り換えによる利払いの増加
平均金利は 1.03%。3.4% 前後へ上がると、年の利払いは 43 億円から 100 億円台へ増える。2028 年 8 月期までに約 1,120 億円(27%)の満期が来る。
物流の新規供給
首都圏の大型物流は空室率が 7.8% まで下がったが、2028 年に向けて新しい供給が戻る。BTS 型は賃料が固定で増額が限られ、供給が増えると更新時の増額が細る。
のれんの償却と分配
のれん 396 億円が毎年 40 億円ずつ利益を削る。分配は、それに対応する利益超過分配(一時差異等調整引当額)で支えている。資産を売ったり、制度が変わったりすれば、水準が下がる。
居住施設の稼働
居住施設の稼働は 97.0% で、予想の 97.5% に届かなかった。賃料の増額を強気に狙うほど、空室期間が延びる。
ホテルと地方物件
ホテルは固定賃料に変動賃料を足す形で、需要が落ちると収入が減る。ホテルの 5 割強は首都圏の外にあり、地方の物件は築年と需要の差が出やすい。
今後の分かれ目
- 居住と物流の賃料の増額が想定を上回り、年 4% 以上伸びる
- NOI が上振れし、中立と楽観の確率を上げる。今の値段は割安に寄る。
- 10 年金利が 2% 前後で止まり、借り換えが 2% 台で済む
- 利払いの増加もキャップの上昇も小さく、価値は上に振れる。
- 物流の空室率が 10% を超えて上がる
- BTS 型の更新時の増額が止まり、悲観側の確率を上げる。
- NAV 割れで公募増資を行う
- 1 口の価値が薄まる。スポンサーの点数を上げ、悲観の確率を上げる。
- 自己投資口の取得と物件売却益の還元が、目標の 300 億円を超えて進む
- 1 口の分配と NAV が増え、同じ船の度合いが上がる。スポンサーの点数が下がる。
見ておくもの
- 物流・居住の契約更改・入替の賃料増減率
- 借り換えの金利と 2028 年 8 月期までの満期
- 資本的支出と、減価償却との比
- 売却益の還元と自己投資口の取得の実績
- 物流の空室率と新規供給
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップレートで割り、負債を引いて出した。キャップは用途ごとの表を NOI で加重した 4.24% で、今の NCF 利回り 3.7% より高い。NAV 割れを割安の根拠にしていない。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は動かない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.51% を足した 8.01%。用途の分散は cycle に反映したので extra は置かない。