結論
平和不動産リートは、オフィスと賃貸住宅を半々で持つ中堅の J-REIT だ。スポンサーは東証を生んだ平和不動産で、東京 23 区に加え、首都圏の郊外と札幌などの地方にも物件がある。2026 年 6 月の増資後で、資産規模は取得価格で約 2,780 億円になった。
筆者の結論は、今の値段はやや割高というものだ。ただ、同じ複合型の中では差が小さい。賃料の伸びが速く、10 年後の物件の売値を高めに見られるためだ。
腕の見せ所は住宅の改装だ。専有部を直すと賃料が 3 割近く上がり、投資の回収率は 15% に達する。物件の入替でも、18 期続けて売却益を出してきた。
弱点は二つある。一つは、毎年 6 月の公募増資だ。6 回続けて行い、直近は純資産の 8 割余りの値段で新しい投資口を出した。もう一つは、分配の中身だ。売却益と積立金に頼る部分が大きい。
借入の平均金利は 1.44% と低いが、3.4% に借り換わると利払いは倍以上になる。それでも賃料の伸びが利払いの増加をかなり吸収する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この法人は「腕のいい中型のオーナー」が運用する器だ。住宅の改装で賃料を上げ、物件を売って含み益を出し、増資で買い替える。この三つの回転が、上場以来 NAV を 9 万円台から 16 万円近くまで押し上げた。
ただし、回転には燃料がいる。増資は毎年の純資産の 8 割余りの値段で新しい口を出し、売却益は物件が尽きれば止まる。分配は今、本業の利益の 1.5 倍を払っている。
借入の金利は 1.44% から 3.4% へ上がる。ただ、この法人は賃料の伸びが速く、NOI が 10 年で 2 割伸びる。利払いの増加の多くは吸収できる。
10 年の分配と 10 年後の売値を今に引き直すと、今の値段は 2 割弱高い。筆者は、燃料切れの怖さを割り引けば、適正な値段にはまだ遠いと見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は賃料だ。直近の年間の賃貸収入は約 190 億円(増資後の予想ベース)。運営費を引いた NOI(純収益)は約 138 億円になる。物件の売却益は毎期あるが、繰り返せる収益ではないので除いて見る。
資産は、オフィスとレジデンス(賃貸住宅)がほぼ半分ずつ。NOI で見ても、オフィスが 5 割、住宅が 5 割だ。投資エリアは、東京 23 区、首都圏の主要都市、地方の大都市圏の三つに分け、中型の物件を多数持つ。
稼働率は、オフィスが 99% 超、住宅が 96% 台。賃料の改定額は 1 期あたり 1.75 億円と過去最高で、賃料収入は年 4.5% の割合で伸びている。
資産の入れ替えも毎年行う。2026 年 6 月の公募増資では、オフィス 3 物件を 134 億円で取得した。取得時の平均賃料は相場より 17% 低く、増額の余地がある。8 月には住宅 2 物件、9 月にはオフィス 1 物件(昭島、22 億円)の取得も決めた。
資本的支出(資産価値を保つ工事費)は、年 25 億円ほど。減価償却の 25 億円と同水準だ。
優良さと弱いところ
この法人の優良さは、運用の腕と、スポンサーの近さにある。平和不動産は投資口の 13.0% を持ち、物件の取得や管理を支える。増資で買う物件は、スポンサーの在庫を含め、鑑定評価額の 8〜9 割の値段で入ってくる。
強みの一つ目は、住宅の改装だ。専有部の工事で賃料が 28% 上がり、回収率は 15%。工事は 30〜40 戸の小口だが、積み上げると効く。二つ目は、含み益 702 億円と、18 期連続の売却益。物件を高く売って、安く買い替えてきた。
弱みは三つある。一つ目は、小型物件が多く、地方と郊外を含むため、需要の弱い局面で稼働が落ちやすいこと。二つ目は、運用報酬に取得報酬があり、規模拡大へ向かいやすい形であること。三つ目は、毎年の増資で、投資主の持ち分が薄まり続けることだ。
筆者は、事業の質を「並の上」と見る。強い堀、つまり他社がまねできない強みは、スポンサーと運用会社の機動力に限られる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東京のオフィス市場は、空室率が 3% 前後まで締まり、賃料は上げ局面にある。ただし、この法人が持つのは中型・小型のビルで、大型の新築供給の直接の影響は受けにくい一方、需要が弱ると真っ先に空室が増える。
賃貸住宅は、2 年の更新と入替で、賃料が物価にほぼ追随する。東京の単身・小家族向けの需要は底堅く、この法人の改装物件の賃料増額率は 28% に達している。
業種の表では、オフィスのキャップレート(NCF ÷ 物件価値の利回り)は 4.25%。この法人は中型・郊外型を含むので、0.25 ポイント上乗せして 4.5%、住宅は 3.75%。NOI の比で加重すると 4.13% になる。
今の鑑定の利回りは、NOI から資本的支出を引いて鑑定評価額で割ると 3.3%。J-REIT 全体では、上場の値段から逆算したキャップレートの中央は 4.2% 前後。この法人の NAV 倍率 0.79 は、その中央と同程度の評価だ。
地方の物件は、札幌などで住宅の稼働が高い一方、売却時の流動性が低い。大型のオフィスが少ないため、機関投資家の買い需要が細ると、値が付きにくい点にも注意がいる。
資本政策と M&A
借入は約 1,380 億円(増資後の見込み)。総資産に対する比率(LTV)は 46%、鑑定評価額で割ると 40% 弱だ。平均金利は 1.44%、固定比率は 70.7%、平均残存は 4.1 年。格付けは JCR の AA−。
2 年内に満期が来る借入は、全体の 2 割強にのぼる。借り換えの金利は、直近の長期借入で 2.8〜3.3% の固定が出ている。
投資口は、毎年 6 月に公募増資を行い、6 年連続になった。2026 年は 8 万 7,700 口を純資産の 83% の値段で発行し、第三者割当と合わせて 9 万 2,000 口(発行済みの 7%)増やした。
運用報酬は直近 1 年で約 16 億円、NOI の 13%。取得・譲渡に連動する報酬がある。分配は、売却益と内部留保(67 億円)の取り崩しで支えられ、次の 2 期は、本業の利益を上回る分配になる計画だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この法人は、賃料の伸びが J-REIT の中でも速い。賃料収入は年 4.5% の割合で増え、1 期の改定額は過去最高の 1.75 億円。改装した住宅の賃料は 28% 上がり、投資の回収率は 15% に達する。
物件の入れ替えも巧みだ。18 期連続で売却益を出し、増資では、鑑定の 8〜9 割の値段で物件を買った。取得時の平均賃料は相場より 17% 低く、更新時の増額が見込める。
NAV は上場以来 9 万円台から 16 万円近くへ上がり、過去 10 年のトータルリターンは年 9.6%。増資しても 1 口あたりの価値を高めてきた。
スポンサーの平和不動産は 13.0% を保有し、物件を預かって供給する。含み益 702 億円、借入余力も 330 億円ある。
楽観の筋書きでは、賃料が年 3.2% 伸び、キャップは今の鑑定の利回りに近い 3.25% で止まる。時価総額は 3,645 億円と今の 2 倍を超える。
慎重な見方
分配の中身が弱い。2026 年 11 月期の分配は、本業の利益の 1.5 倍。差の 3 分の 1 以上は、過去の売却益を積んだ内部留保の取り崩しだ。積立金は 67 億円で、2 年ほどで尽きる計算になる。
増資は毎年だ。6 年連続で、純資産の 8 割余りの値段で投資口を出す。1 口あたりの価値は、物件を安く買えた分だけ守られるが、鑑定が下がれば一気に逆回転する。
運用報酬には取得報酬がある。規模の拡大が運用会社の収益になるため、買う理由がつねにある。小型・郊外・地方の物件を積み上げる形は、売却時の流動性も低い。
借入の金利は 1.44% から 3.4% に上がる。年の利払いは 20 億円から 47 億円に増え、改装や賃料増額で稼ぐ分の大部分を持っていく。
悲観の筋書きでは、稼働が 93% に下がり、借り換えが 4.3% になる。純利益は 5 億円に縮み、分配は止まる。時価総額は 479 億円に落ちる。
どちらに重みを置いたか
どちらも事実を言っているが、運用の腕は本物で、悲観の確率は基本の 10% のままにした。ただ、分配が本業の利益を上回っている点と、増資が前提の成長は、価格が先に織り込んでいる。スポンサーの点数は 2.9 で、悲観を 3 点未満の扱いに留めた。筆者は、腕に払う値段が少し高いと見る。
増資を続けて口数を増やす戦略は、NAV を上回る値段で出せるなら価値を生む。今の投資口価格は NAV を下回るため、この戦略の追い風は弱まっている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 140,078 円1,882 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 60,966 円819 億円)。 今の値に割り戻すと 102,273 円1,374 億円、今との差 −17.6%、 期待の年率 +4.9%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 271,300 円3,645 億円 | 72,942 円980 億円 | +177.4% | +10.7% | 27,539 円370 億円 |
| やや楽観 | 20% | 202,823 円2,725 億円 | 68,030 円914 億円 | +118.3% | +8.1% | 54,171 円728 億円 |
| 中立 | 40% | 142,014 円1,908 億円 | 64,010 円860 億円 | +66.0% | +5.2% | 82,410 円1,107 億円 |
| やや悲観 | 22% | 79,269 円1,065 億円 | 53,218 円715 億円 | +6.8% | +0.7% | 29,147 円392 億円 |
| 悲観 | 10% | 35,652 円479 億円 | 42,128 円566 億円 | −37.3% | −4.6% | 7,778 円105 億円 |
| 加重平均 | 100% | 140,078 円1,882 億円 | 60,966 円819 億円 | +62.0% | +4.9% | 201,045 円2,701 億円 |
今の株価時価総額 124,100 円1,667 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 賃料が年 3.2% 伸び、キャップが 3.25% で止まる 利益 88 億円 · PBR 2.9 倍 · 株価時価総額 271,300 円3,645 億円
オフィスの空室は締まり続け、住宅は改装による増額が積み上がる。賃料は年 3.2% 伸び、稼働率は 98.5% に近づく。
借り換えは AA− 格のおかげで 3.2% で収まり、年の利払いは 47 億円。NOI は 138 億円から 193 億円へ 4 割伸び、純利益は 88 億円と今を上回る。
不動産の売買市場は低金利の値付けを続け、キャップは 3.25% まで下がる。物件の価値が 4,900 億円を超え、時価総額は 3,645 億円と今の 2 倍を超える。
増資を続ける場合の希薄化は、計算に入れていない。
- オフィス・賃貸住宅の賃貸:数量 2,707(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.7%(規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.1%)。賃料の改定と、礼金・更新料などを合わせた値)→ 売上 264 億円・営業利益 163 億円。稼働 98%・賃料 年 +3.2%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から純負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 193 − 資本的支出 32) ÷ キャップ 3.25% − 純負債 1300 = 3645 億円。キャップは用途の下限 3.25% にあたり、今の鑑定の NCF 利回り(NOI から資本的支出を引き、鑑定評価額で割った 3.28%)とほぼ同じ。今の値付けが 10 年続く筋書きで、楽観はここまで下げてよい。
確率:住宅の改装と入替の増額が続き、キャップが 3.25% まで下がる筋書き。借り換えが 3.2% で済む前提も含む。スポンサーの点数 2.9 のため、基本どおり 8% とした。
やや楽観 20% 賃料は年 2.7%、キャップは 3.6% まで下がる 利益 74 億円 · PBR 2.1 倍 · 株価時価総額 202,823 円2,725 億円
住宅の改装で賃料が積み上がり、オフィスも更新時に増額できる。賃料は年 2.7% の伸びになる。稼働率は 97.8% を保つ。
借り換えは 3.3%。年の利払いは 48 億円に増えるが、NOI は 178 億円と 29% 増え、純利益は 74 億円で踏みとどまる。
売買市場は、10 年金利 3% との差を 0.6 ポイントまで保つ。キャップは 3.6% に下がり、物件の価値は 4,000 億円を超える。時価総額は 2,725 億円。
ただし賃料の伸びは物価の 3% に届かず、資本的支出も建築費の上昇で年 33 億円に膨らむ。
- オフィス・賃貸住宅の賃貸:数量 2,688(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.3%(規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.1%)。賃料の改定と、礼金・更新料などを合わせた値)→ 売上 249 億円・営業利益 149 億円。稼働 98%・賃料 年 +2.7%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から純負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 178 − 資本的支出 33) ÷ キャップ 3.60% − 純負債 1315 = 2725 億円。キャップは用途の下限 3.25% より高い 3.6%。今の鑑定の NCF 利回り(3.28%)を超え、10 年金利との差が 0.6 ポイント残る前提。
確率:賃料が物価の 9 割ほど追随し、キャップが 3.6% まで下がる筋書き。ありうる上振れとして 20% とした。
中立 40% 賃料は年 2.3% で伸び、利払いが倍以上になる 利益 64 億円 · PBR 1.5 倍 · 株価時価総額 142,014 円1,908 億円
借入が 3.4% に借り換わり、年の利払いは 20 億円から 50 億円に増える。稼働率は供給の増加で 97.2% に下がる。
賃料は年 2.3% で伸びる。住宅の改装による増額が、オフィスの鈍さを補う。経費は物価で年 3%。NOI は 138 億円から 167 億円へ、10 年で 21% 伸びる。そこから資本的支出 33.5 億円が出る。
減価償却は 29 億円、運用報酬などは 25 億円。純利益は 70 億円から 64 億円へ、1 割ほど減る。分配は、積立金の取り崩しがなくなり、今より 4 割ほど下がる。
物件の売値は、キャップ 4.13% で 3,200 億円強。そこから純負債 1,335 億円を引くと、時価総額は 1,908 億円になる。
- オフィス・賃貸住宅の賃貸:数量 2,671(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.9%(規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.1%)。賃料の改定と、礼金・更新料などを合わせた値)→ 売上 238 億円・営業利益 138 億円。稼働 97%・賃料 年 +2.3%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から純負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 167 − 資本的支出 34) ÷ キャップ 4.13% − 純負債 1335 = 1908 億円。キャップは業種の表を NOI で加重した 4.13%(オフィス 4.5%、住宅 3.75%)。今の NCF 利回り(3.28%)より高い。
確率:10 年金利が 3% 前後に落ち着き、賃料は年 2.3% で伸びる筋書き。最も起こりやすい。スポンサーの点数 2.9 で、悲観の確率は基本の 10%。
やや悲観 22% 賃料の伸びが鈍り、キャップが 4.4% に上がる 利益 35 億円 · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 79,269 円1,065 億円
小型・郊外のオフィスは需要が細り、賃料は年 1.2% の伸びにとどまる。住宅の改装の増額も、競争で縮む。稼働率は 95.5% に下がる。
借り換えは 3.6%。年の利払いは 53 億円。NOI は 139 億円と今とほぼ同じで、純利益は 35 億円に半減する。
分配は借入の返済を優先して絞り、内部留保も使い切る。増資が通らなくなる可能性もあり、取得を続ける前提は崩れる。そのとき資産の質が、地方や郊外の物件から先に問われる。
キャップは 4.40% に上がる。物件の価値は 2,400 億円ほどで、純負債 1,350 億円を引くと、時価総額は 1,065 億円だ。
- オフィス・賃貸住宅の賃貸:数量 2,624(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.0%(規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.1%)。賃料の改定と、礼金・更新料などを合わせた値)→ 売上 210 億円・営業利益 111 億円。稼働 96%・賃料 年 +1.2%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から純負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 139 − 資本的支出 33) ÷ キャップ 4.40% − 純負債 1350 = 1065 億円。キャップは中立 4.13% に 0.27 ポイント上乗せして 4.40% (金利の上振れと、中型物件の売り)。
確率:小型・郊外のオフィスで需要が弱まり、住宅の増額も頭打ちになる筋書き。借り換えの上乗せも重なる。22% とした。
悲観 10% 空室の増加と金利上昇で、増資も止まる 利益 5 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 35,652 円479 億円
景気の後退でオフィスの空室が増え、住宅の稼働も落ちる。全体の稼働率は 93% に下がり、賃料は据え置きだ。
借り換えは A 格並みの 4.3% になり、年の利払いは 62 億円。NOI は 114 億円と今の 8 割に減り、純利益は 5 億円まで縮む。
増資が通らなくなり、物件の入替も止まる。分配は止まり、借入の返済に回る。売却益を出す回転が止まるので、積立金の取り崩しも続けられない。小型の物件は買い手が細り、売却は難しくなる。
キャップは 4.70% まで上がり、物件の価値は 1,850 億円ほど。純負債 1,375 億円を引くと、時価総額は 479 億円にとどまる。
- オフィス・賃貸住宅の賃貸:数量 2,556(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 7.1%(規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.1%)。賃料の改定と、礼金・更新料などを合わせた値)→ 売上 182 億円・営業利益 87 億円。稼働 93%・賃料 年 +0.0%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から純負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 114 − 資本的支出 27) ÷ キャップ 4.70% − 純負債 1375 = 479 億円。キャップは中立 4.13% に 0.57 ポイント上乗せして 4.70%。物件の価値が純負債に近づき、時価総額は自己資本の 3 分の 1 まで縮む。
確率:スポンサーの点数 2.9 なので悲観の確率は基本の 10%。オフィスと住宅の需要の弱まりと、借り換え金利の上昇が同時に来る筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
オフィス・賃貸住宅の賃貸
首都圏を中心にオフィスと賃貸住宅を多数持ち、定期借家と普通借家で貸して賃料を受ける。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。今の値段の実質の規模) | 価格規模に対する賃貸事業収入の比(今 7.1%)。賃料の改定と、礼金・更新料などを合わせた値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 2,690 | 7.1% | 191 | 114 |
| 10 年後 中立 | 2,671 | 8.9% | 238 | 138 |
取り方:2026 年 6 月の公募増資・物件取得後の姿(50 期の会社予想の年率)で組んだ。賃貸事業収入 191 億円を数量・価格に分けた。売却益は繰り返せないので除く。数量は増資後の帳簿価額(2026 年 5 月末 2,611 億円+6 月の取得 134 億円ほど)に稼働率 97.9% を掛けた規模、価格は収入 ÷ 数量。NOI は運営費 53 億円を引いて 138 億円、セグメントの利益は減価償却 25 億円を引いた額。中立の価格は 10 年で 1.26 倍にとどまり、物価の 1.34 倍に届かないのは、賃料の転嫁がオフィスの契約更新で遅れるためで、住宅の改装による増額は含む(業種ノート)。
リスクと懸念
分配が本業の利益を上回る
2026 年 11 月期の分配は、本業の利益の 1.5 倍。過去の売却益の積立金(67 億円)の取り崩しで支えており、2 年ほどで尽きる。
毎年の公募増資
6 年連続で、純資産の 8 割余りの値段で投資口を出している。鑑定が下がれば、1 口の価値が薄まる逆回転が起こる。
借り換えによる利払いの増加
平均金利は 1.44%、増資後の借入は約 1,380 億円。3.4% に借り換わると、年の利払いは 20 億円から 47 億円になる。2 年内の満期は全体の 2 割強。
小型・郊外・地方物件の流動性
中型・小型の物件が多く、郊外と地方を含む。需要の弱い局面では、稼働の低下と売却の難しさが同時に来る。
取得報酬のある運用報酬の形
報酬は NOI の 13%。取得・譲渡に連動する報酬があり、規模の拡大へ向かう動機が働きやすい。
改装工事の費用の膨らみ
住宅の専有部の改装は年 1.8 億円ほど。建築費は物価より速く上がり、回収率(ROI)が下がると、増額のうまみが減る。
今後の分かれ目
- 10 年国債の利回りが 2% 台前半へ戻り、借り換えが 2.5% 前後で済む
- 利払いの増加が小さくなり、純利益が 80 億円台を保つ。楽観側の確率を上げる。
- 住宅の改装の増額率が 30% を超えて続く
- 賃料の伸びが物価に近づく。中立の見方を上げる。
- 積立金の取り崩しが終わり、分配が本業の利益に合わせて下がる
- 分配の減額が避けられない。慎重側の確率を上げる。
- NAV を大きく割った値段で増資を続ける
- 1 口の価値が薄まる。スポンサーの点数を上げ、悲観の確率を上げる。
- スポンサーが投資口の保有比率を引き上げる
- 同じ船の度合いが上がり、スポンサーの点数を下げる。
見ておくもの
- 住宅の改装による賃料の増額率と、投資の回収率
- 借り換えの金利と、2 年内の満期
- 内部留保の残高と、分配の中身
- 増資の値段と NAV の比
- オフィス・住宅の稼働率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や NAV 倍率から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップレートで割り、純負債を引いて出した。中立のキャップは用途の表を NOI で加重した 4.13% で、今の鑑定の NCF 利回り 3.28% より高い。NAV(含み益)は床に使っていない。増資後の姿を前提としたため、増資の分だけ口数・資産・自己資本を同時に増やしてある。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.03% を足して 8.53%。用途の分散は cycle に入れたので extra は置かない。