結論
セントラル・リートは、東京の中小のオフィスビル、スーパーなどが入る生活密着型の商業施設、仙台と札幌のホテルなど 20 物件、取得価格で 506 億円を持つ小型の REIT だ。旧ザイマックス・リートで、2025 年に名鉄都市開発がスポンサーに加わった。筆者の結論は、今の値段はやや割高ということだ。価値の計算は今の値段を 1 割強下回る。
よい所は、借入が軽いことだ。借入は鑑定の 39% で、J-REIT の中でも低い。名鉄という新しい後ろ盾もでき、名古屋の物件を買う道が開けた。
弱いのは、稼ぎの伸びが利払いの増加に追いつかないことだ。平均の金利は 1.38%、残りの期間は 2.3 年で、1 年内に借入の 3 割が返済を迎える。格付けは A- で、借り換えは 4% 前後になる。会社の予想でも、分配は次の 2 期で 16% 減る。10 年後の純利益は今の 16 億円から 12 億円ほどに縮む。今の値段は、10 年金利が今より低く戻る前提の値段だと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この REIT は借入が軽く、物件の値段も無理がない。一方で、稼ぎが利払いの増加に追いつかない。純利益は今の 16 億円から 12 億円ほどに減り、分配も同じだけ細る。
オフィスの賃料は市場を 13% 下回り、更新で上げる余地はある。それでも、中小のビルの賃料の上げ幅は大型ビルより小さく、費用は物価で増える。NOI の伸びは 10 年で 1 割強にとどまる。
名鉄の参画は前向きだが、規模の拡大を急ぐ目標は気になる。NAV を下回る値段で増資を重ねれば、物件の割安さは投資主の手に残らない。2026 年の割当がその始まりにならないかを見たい。
筆者が評価を上げるのは、名古屋の物件が NAV を上回る値段の増資で入ってくる時だ。それまでは、今の値段に安全域はないと見る。値段が 1 割強下がれば、話は変わる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、東京の中小オフィスの賃料だ。2026 年 8 月期の半年で営業収益は 19.7 億円、償却を除く費用を引いた NOI は 14.6 億円だった。NOI の 55% をオフィス、30% を商業施設、15% をホテルが稼ぐ。
オフィスは、西新橋・岩本町・新宿御苑・神谷町・東麻布など都心の周辺にある中小のビルが中心だ。ザイマックスグループが運営し、中小企業が借り手になる。市場の賃料が上がり、今の賃料は市場を 13% 下回る。契約の更新のたびに賃料を上げる余地がある。期末の稼働率は 99.6% と高い。
商業施設は、スーパーやドラッグストアなどが入る生活密着型で、売上は堅い。ホテルは仙台と札幌の 2 物件で、運営会社の業績に連動する変動賃料が伸びている。
2026 年 3 月には名鉄都市開発に新しい投資口を割り当て、その資金と借入で物件を買った。資産規模を 1,000 億円に倍増する目標を掲げる。運用会社は名鉄が 51%、ザイマックスが 49% を持つ。物件の運営と管理はザイマックスが引き続き担い、名鉄は名古屋での物件の供給を受け持つ。
優良さと弱いところ
物件の質は J-REIT の中で下の方だ。オフィスは都心の周辺の中小ビルで、大型ビルとの競争では弱い。建物も古いものが多く、修繕の費用は先で膨らむ。それでも、取得の値段が低いので、鑑定の含み益は帳簿の 27% ある。
強みは二つある。一つめは、借入の軽さだ。鑑定に対して 39% で、物件の価値が下がっても投資主の取り分は残りやすい。二つめは、名鉄とザイマックスの 2 社の後ろ盾だ。名鉄は名古屋の物件を、ザイマックスはオフィスの運営の力を持ち込む。
弱みは三つある。ひとつは、借入の期間が短く、固定の比率が 55% に下がったこと。ふたつめは、規模が小さく、1 物件の退去が全体に響くことだ。みっつめは、2026 年の名鉄への割当が NAV の 4 分の 3 の値段で、既存の投資主の取り分を薄めたことだ。名鉄とザイマックスの持分は合わせて 1 割弱にとどまる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東京のオフィスは、空室が 3% 前後まで締まり、賃料は上げの局面にある。中小のビルも、建築費の高騰で新しい供給が細り、賃料を上げやすい。ただ、大型の新築ビルは 2027 年以降も続き、中小企業が大型ビルへ移る流れもある。筆者は、この REIT のオフィスの賃料は中立で年 2% と見る。
生活密着型の商業施設は、景気に強いが賃料は伸びにくい。固定賃料が基本で、年 1.5% ほどと見る。ホテルは訪日客と国内の出張で客室単価が上がり、年 2% と見る。用途を混ぜると賃料の伸びは年 1.85% になる。
金利の 10 年は、物件の利回りを押し上げる。10 年国債が 3% なら、都心の周辺の中小オフィスの期待キャップは 4.5% 前後、商業とホテルは 5.0% で、用途を混ぜると 4.7% になる。この REIT の今の鑑定の NCF 利回りは 4.2% で、物件の価値は鑑定を 1 割ほど下回る。
費用は物価で年 3% 増え、経費率は 26% ある。NOI の伸びは賃料より遅い。修繕費と固定資産税も物価とともに増えると筆者は見る。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、名鉄の参画をてこにした規模の拡大だ。2026 年 3 月に名鉄都市開発へ新しい投資口を割り当て、名古屋の物件などを買った。割当の値段は 1 口の NAV の 4 分の 3 ほどで、既存の投資主の取り分を薄めた。
会社は資産規模を 1,000 億円、さらに 2,000 億円に増やす目標を掲げる。投資口は NAV を 3 割下回り、公募で規模を増やすには値段が低すぎる。規模を急げば、NAV を下回る増資が続く恐れがある。
借入は鑑定の 39% と低く、借入で物件を買う余地はある。ただ、新しい借入の金利は物件の利回りに近く、借りて買っても利ざやは薄い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
借入が軽い。鑑定に対して 39% で、金利が上がっても物件の価値が下がっても、投資主の取り分は厚く残る。含み益は帳簿の 27% あり、投資口は NAV の 3 分の 2 の値段だ。物件を鑑定どおりに売れれば、その差は投資主に戻る。
オフィスの賃料は市場を 13% 下回る。東京の空室は締まり、契約の更新のたびに賃料を上げられる。ホテルの変動賃料も伸びている。名鉄は名古屋の再開発の物件を持ち、ザイマックスはオフィスの運営に強い。2 社の後ろ盾は、小型の REIT としては厚い。名鉄は鉄道の沿線と名古屋の駅前で物件を多く持ち、その一部がこの REIT に回ってくる見込みがある。
借入の余力を使えば、物件を増やして 1 口の分配を守れる。名鉄の物件の情報は、ほかの REIT には入らない。規模が 1,000 億円に近づけば、借入の金利も下がり、投資口の値段は NAV に近づく。NAV との差の 3 割が縮むだけでも、投資主の取り分は大きく増える。分配の減少は一時のもので、賃料の改定が進めば戻る。
慎重な見方
稼ぎが利払いの増加に負ける。平均の金利は 1.38% で、1 年内に借入の 3 割が返済を迎える。格付けは A- で、借り換えは 4% 前後になる。会社の予想でも、分配は次の 2 期で 16% 減る。賃料の改定でこれを埋めるのは難しい。
オフィスは都心の周辺の中小ビルで、大型の新築ビルとの競争に弱い。建物も古く、今の資本的支出は減価償却の 4 分の 1 しかない。修繕を先送りしているなら、先で費用が膨らむ。
規模の拡大の目標は、スポンサーと運用会社のためのものだ。名鉄への割当は NAV の 4 分の 3 の値段で、既存の投資主の取り分を薄めた。規模に連動する報酬を受け取る運用会社は、NAV を下回る値段でも増資を続ける動機を持つ。NAV の割引は、この構造への値引きだ。名鉄とザイマックスの持分は合わせて 1 割弱で、分配が減っても 2 社の痛みは小さい。報酬は規模で増えるので、投資主と同じ船に乗っているとは言いにくい。
どちらに重みを置いたか
借入の軽さという強気の見方の論点は正しいが、分配の減少という慎重な見方の論点は会社の予想そのものに出ている。中立を最も厚く置き、スポンサーの点数が 3 を超えるので悲観に 15% を置いた。確率はやや悲観側に寄せた。名古屋の物件が NAV を上回る値段の増資で入れば、見方を変える。借り換えの金利が 3% 台前半で済む時も、見方を上げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した株価時価総額 143,811 円378 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 49,697 円131 億円)。 今の値に割り戻すと 91,927 円242 億円、今との差 −12.3%、 期待の年率 +6.3%(資本コスト 9.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 228,319 円600 億円 | 62,407 円164 億円 | +177.4% | +10.7% | 23,258 円61 億円 |
| やや楽観 | 20% | 189,885 円499 億円 | 57,460 円151 億円 | +136.0% | +9.0% | 49,469 円130 億円 |
| 中立 | 37% | 156,399 円411 億円 | 52,894 円139 億円 | +99.7% | +7.2% | 77,438 円204 億円 |
| やや悲観 | 20% | 106,549 円280 億円 | 43,381 円114 億円 | +43.1% | +3.6% | 29,986 円79 億円 |
| 悲観 | 15% | 55,938 円147 億円 | 33,106 円87 億円 | −15.0% | −1.6% | 13,357 円35 億円 |
| 加重平均 | 100% | 143,811 円378 億円 | 49,697 円131 億円 | +84.6% | +6.3% | 193,508 円509 億円 |
今の株価時価総額 104,800 円275 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.2% を下回るほど割高。
楽観 8% オフィスの賃料が市場に追いつき、名古屋で規模が増える 利益 17 億円 · PBR 2.1 倍 · 株価時価総額 228,319 円600 億円
10 年金利は 3% を下回って落ち着き、借り換えは 3.6% で済む。東京のオフィスの賃料は上がり続け、市場との差 13% が更新のたびに埋まる。ホテルの変動賃料も伸び、賃料全体は年 2.6% で伸びる。稼働は 99.5% を保つ。
投資口の値段が NAV に近づき、名鉄の名古屋の物件を NAV を上回る値段の増資で買えるようになる。物件の利回りは 4.2% に下がる。
利払いは今の 3 倍に増えるが、賃料の伸びがそれを上回り、純利益は今を少し上回る。物件の価値は鑑定並みを保ち、投資主の取り分は大きく増える。
- 複合(オフィス・商業・ホテル)の賃貸:数量 509(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.9%(稼働した規模に対する営業収益の比(今 7.7%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 50 億円・営業利益 32 億円。稼働 100%・賃料 年 +2.6%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 36 − 資本的支出 2.6) ÷ キャップ 4.20% − 純負債 208 = 600 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り 4.23% 近く、用途の下限を混ぜた 3.7% より高い。
確率:オフィスの賃料の差が埋まり、NAV を上回る増資で規模が増える筋書き。今の値段が NAV を大きく下回るので 8%。
やや楽観 20% 賃料の改定が進み、利回りは少し上がる 利益 15 億円 · PBR 1.8 倍 · 株価時価総額 189,885 円499 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借り換えは 3.8% になる。オフィスの賃料は更新のたびに上がり、年 2.5% 近く伸びる。商業とホテルを混ぜた賃料全体は年 2.2% で伸び、稼働は 99% を保つ。
経費は年 3% で増え、NOI は 10 年で 2 割伸びる。利払いは今の 3.5 億円から 11 億円に増え、純利益は今の 9 割ほどになる。
物件の利回りは 4.45% で、今の鑑定よりやや高い。物件の価値は鑑定を少し下回る。借入の余力を使った取得で、規模は少しずつ増える。分配は今より少し低い水準で落ち着く。
- 複合(オフィス・商業・ホテル)の賃貸:数量 507(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.5%(稼働した規模に対する営業収益の比(今 7.7%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 48 億円・営業利益 30 億円。稼働 99%・賃料 年 +2.2%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 34 − 資本的支出 2.8) ÷ キャップ 4.45% − 純負債 210 = 499 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り 4.23% と中立 4.7% の間。
確率:オフィスの賃料の改定が想定より進む筋書き。20% とした。
中立 37% 借り換えで純利益が 2 割強細り、利回りは用途なりに戻る 利益 12 億円 · PBR 1.5 倍 · 株価時価総額 156,399 円411 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借入は 2〜3 年のうちに 4.0% へ借り換わる。年の利払いは今の約 3.5 億円から 11 億円に増える。賃料はオフィスとホテルが年 2%、商業が年 1.5% で伸び、稼働は 98% へ少し下がる。
経費は年 3% で増え、NOI は 10 年で 12% しか伸びない。純利益は今の 15.8 億円から 12 億円ほどに減り、分配も同じだけ細る。
物件の利回りは用途を混ぜて 4.7% に上がり、物件の価値は鑑定を 1 割ほど下回る。古い建物の修繕で資本的支出は今の 3 倍近くに増える。増資は NAV を下回る間は控え、規模は今のまま据え置く。
- 複合(オフィス・商業・ホテル)の賃貸:数量 502(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.2%(稼働した規模に対する営業収益の比(今 7.7%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 46 億円・営業利益 28 億円。稼働 98%・賃料 年 +1.8%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 32 − 資本的支出 3.0) ÷ キャップ 4.70% − 純負債 212 = 411 億円。キャップは用途の表を加重した 4.7%(都心の周辺の中小オフィス 55%×4.5%、商業 30%×4.9%、ホテル 15%×5.0%)。今の鑑定の NCF 利回り 4.23% より高い。
確率:前提どおり 10 年金利 3% に落ち着き、賃料が年 1.85% で伸びる筋書き。最もありうるので 37%。
やや悲観 20% 中小オフィスが大型ビルに客を取られる 利益 7 億円 · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 106,549 円280 億円
10 年金利は 3% を少し上回り、借り換えは 4.3% になる。大型の新築ビルの供給が続き、中小企業が大型ビルへ移る。中小オフィスの賃料は止まり、空室も出る。賃料全体は年 1% しか伸びず、稼働は 96% に下がる。
経費は年 3% で増え、NOI は今とほぼ同じだ。利払いは 12 億円に増え、純利益は今の半分を下回る。
物件の利回りは 5.0% に上がり、物件の価値は鑑定を 2 割ほど下回る。規模の拡大の目標は遠のき、名鉄の物件の取得も止まる。古いビルの修繕も重なり、資本的支出が分配をさらに削る。投資口の値段は NAV を大きく下回ったままになる。
- 複合(オフィス・商業・ホテル)の賃貸:数量 492(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.5%(稼働した規模に対する営業収益の比(今 7.7%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 42 億円・営業利益 23 億円。稼働 96%・賃料 年 +1.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 28 − 資本的支出 2.8) ÷ キャップ 5.00% − 純負債 218 = 280 億円。キャップは中立 +0.3%。
確率:大型の新築ビルの供給で中小オフィスの賃料が止まる筋書き。20% とした。
悲観 15% 金利の上振れと空室で、分配がほぼ消える 利益 2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 55,938 円147 億円
金利が上振れし、借り換えは 4.7% になる。景気が崩れ、中小企業が借り手のオフィスで退去が続く。ホテルの変動賃料も消え、商業施設でも店の撤退が出る。稼働は 92% まで下がり、賃料は 10 年で伸びない。
NOI は今より 2 割減り、利払いが純利益のほとんどを食う。分配は今の 1 割ほどに細り、物件を売って借入を返す。
物件の利回りは 5.5% に上がり、物件の価値は鑑定を 3 割下回る。それでも借入が軽かった分、物件の価値は純負債を上回り、投資主の取り分は残る。ただ、物件を安値で売るたびに、その取り分も少しずつ削られる。
- 複合(オフィス・商業・ホテル)の賃貸:数量 471(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 7.7%(稼働した規模に対する営業収益の比(今 7.7%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値)→ 売上 36 億円・営業利益 18 億円。稼働 92%・賃料 年 +0.0%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 23 − 資本的支出 2.4) ÷ キャップ 5.50% − 純負債 225 = 147 億円。キャップは中立 +0.8%。
確率:スポンサーの点数が 3.3 で 3 以上(+5 ポイント)。規模が小さく、1 物件の退去が全体に響くので 15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
複合(オフィス・商業・ホテル)の賃貸
東京の都心の周辺の中小オフィス、スーパーなどが入る生活密着型の商業施設、仙台と札幌のホテル、名古屋の物件など 20 物件を貸す。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模) | 価格稼働した規模に対する営業収益の比(今 7.7%)。用途ごとの賃料の伸びを NOI の比で混ぜた値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 510 | 7.7% | 39 | 24 |
| 10 年後 中立 | 502 | 9.2% | 46 | 28 |
取り方:2026 年 3 月の取得で新物件の固定資産税が 2027 年 8 月期から費用になるため、会社の予想(2027 年 2 月期と 8 月期)の営業収益の合計 39.03 億円を今の値とした(筆者の推定。直近の半期 ×2 の 39.35 億円とほぼ同じ)。帳簿価額 512 億円 × 期末の稼働率 99.6% で数量、収入 ÷ 数量で価格。NOI は年 28.7 億円、セグメントの利益はそこから減価償却 4.5 億円を引いた額。中立の賃料の伸びは年 1.85%(オフィス 55%×2.0%、ホテル 15%×2.0%、商業 30%×1.5%)で、価格は 10 年で 1.20 倍と物価の 1.34 倍に届かない。オフィスは契約が 2〜5 年で物価に遅れ、商業は固定賃料が基本のため(業種ノート)。
リスクと懸念
借り換えによる利払いの増加
平均の金利は 1.38%、残りの期間は 2.3 年。1 年内に 81.5 億円が返済を迎え、固定の比率は 55% に下がった。10 年後の年の利払いは今の約 3.5 億円から 11 億円ほどに増える。
中小オフィスの競争
オフィスは都心の周辺の中小ビルで、大型の新築ビルとの競争に弱い。中小企業が大型ビルへ移れば、賃料が止まり空室が出る。
規模を追う増資
資産規模を 1,000 億円に倍増する目標を掲げる。2026 年の名鉄への割当は NAV の 4 分の 3 の値段だった。NAV を下回る増資が続けば、1 口の価値が薄まる。
修繕の先送り
今の資本的支出は減価償却の 4 分の 1 しかない。古い建物の修繕を先送りしているなら、先で費用が膨らむ。
今後の分かれ目
- 名古屋の物件が NAV を上回る値段の増資で入る
- 1 口の価値が増え、スポンサーの点数を下げる。価値は上に振れる。
- オフィスの賃料の改定で市場との差が埋まる
- NOI の伸びが利払いの増加を埋め、やや楽観に近づく。
- 10 年金利が 2% 台前半に戻る
- 利払いの増加も利回りの上昇も小さく、今の値段は適正に近づく。
- NAV を下回る値段で増資を重ねる
- 1 口の価値が薄まり、悲観の確率を上げる。
- 大型の修繕が重なる
- 資本的支出が膨らみ、物件の価値と分配が削られる。
見ておくもの
- 借り換えの金利と固定の比率
- オフィスの賃料の改定率と市場との差
- 1 口当たり分配金の会社予想
- 増資の値段と NAV の比
- 資本的支出と修繕費の推移
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップで割り、負債を引いて出した。中立のキャップは用途の表を加重した 4.7% で、今の鑑定の NCF 利回り 4.23% より高い。NAV 割れを割安の根拠にしていない。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は変わらない。
資本コスト 9.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.66% を足した 9.16%。事業は傾いていないので extra は置かない。