結論
積水ハウス・リート投資法人は、積水ハウスが運用する賃貸住宅中心の J-REIT だ。取得価格の 85% が住宅(国内 61%、米国 24%)、15% がオフィス。139 物件で資産は 5,653 億円、鑑定評価額は 6,668 億円。筆者の結論は、今の値段はやや割高ということだ。10 年の価値は、今の時価総額を 25% 下回る。
強みは、物件の新しさと賃料の増額だ。平均築年数は 11 年で、国内住宅は東京圏が 87%。新規契約の賃料は 14.4%、更新は 3.6% 上がり、過去最高になった。含み益は 1,156 億円ある。
弱みは三つある。ひとつは、有利子負債 2,840 億円が総資産に対し 48.4% と、巡航の目安 45〜50% の上限に近いこと。ふたつめは、借入の平均金利が 1.03% と低く、借り換えで利払いが 3 倍以上に増えること。みっつめは、米国の住宅が為替と現地の稼働(94%)に左右されることだ。
今の値段は NAV の 0.74 倍で安く見えるが、NAV は低い金利の上の鑑定で、割安の根拠にしない。スポンサーの点数は 2.1 で、悲観の確率は基本のままにした。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この投資法人は、築浅の住宅に絞り、スポンサーの開発物件を取り込みながら分配を伸ばす、堅実な運用者だ。自己投資口の取得を 3 回行い、投資主と同じ船に乗る姿勢も見える。堀と呼べるほどの強みはないが、物件の質は高い。
問題は、今の低い金利を前提にした利益と、簿価の LTV の高さだ。借入の平均金利は 1.03% で、3.4% 前後に借り換わると、年の利払いは 28 億円から 93 億円に増える。純利益は 109 億円から 90 億円へ 2 割弱削られる。
鑑定評価額に対する稼ぎは、資本的支出を引くと 2.9% だ。キャップが 3.88% まで上がれば、物件の価値は鑑定を 2 割台半ば下回る。含み益 1,156 億円は、その分だけ薄くなる。
今の値段は NAV の 0.74 倍で安く見える。だが NAV は低い金利の上の鑑定で、筆者は割安の根拠にしない。10 年の分配と、10 年後の物件の価値を今に引き直すと、今の値段を 25% 下回る。
米国の住宅が 24% あり、為替と現地の稼働が分配を動かす点も見ておく。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、賃貸住宅の賃料と、米国の住宅を持つ LLC からの配当だ。直近 1 年の賃貸事業収益は国内で 258 億円、償却を除く費用を引いた NOI(賃貸の稼ぎ)は 189 億円。これに米国 LLC からの受取配当 30 億円が加わる。
物件は 139 ある。取得価格の内訳は、国内の住宅 61%(134 物件ほど)、米国の住宅 24%(シアトルのザ アイビー オン ボーレンとワシントン DC のシティ リッジの 2 物件)、オフィス 15%(5 物件)。国内の住宅は東京圏が 87%。
国内の住宅は、2 年の契約の更新と入れ替えで、賃料が物価に追随する。2026 年 4 月期は、新規契約で 14.4%、更新で 3.6% 賃料が上がった。米国は定期建物賃貸借で、稼働率は 94.2%。配当利回り 3.5% 以上を目標にする。
オフィスの御殿山 SH ビル(譲渡価格 700 億円)は、10 回に分けて譲渡中で、6 回が済んだ(60%)。売却益は 2026 年 10 月期と 2027 年 4 月期に各 21〜22 億円を見込み、住居の取得に回す。
運用報酬は年 22 億円(売却益に連動する分を除く)で、NOI の約 10% だ。
優良さと弱いところ
物件の質は、築年の新しさと立地が強みで、米国分が弱みだ。平均築年数は 11.1 年と J-REIT の中でも若く、国内住宅の東京圏比率は 87.3% まで上がった。国内の住宅は稼働率 96.4% で、動きが小さい。
強みは三つある。ひとつめは、賃料の増額で、新規契約 +14.4%、更新 +3.6%。ふたつめは、含み益 1,156 億円(含み益率 21%)。みっつめは、スポンサーが開発する築浅の住宅を取り込める点で、2026 年 4 月期は 12 物件 252 億円を売り、7 物件 300 億円を取得した。
弱みも三つある。ひとつは、鑑定評価額に対する稼ぎが低いこと。NOI と配当から改修費を引くと 2.9% で、キャップが上がれば物件の価値が大きく縮む。ふたつめは、簿価 LTV の高さで、総資産 LTV は 48.4%。みっつめは、米国 2 物件が円安で評価額と配当を押し上げられていること。為替が 1 割動くと、年の分配金が数 % 動く。
国内の住宅の取得利回りは NOI で 3.5% 前後と低く、市場の水準(鑑定の還元利回り 3.3% 台)に沿った値段だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅は、契約が 2 年の更新と入れ替えで、賃料が物価にほぼ追随する。中立の名目の伸びは年 2.5%(物価の 5/6)。稼働は 95〜96% で動きが小さく、悲観でも 90%。経費率は 24% で、NOI は賃料にほぼ連れて伸びる。大きいのは資本的支出(専有部の改装)で、今の 1.3 倍以上で置く。数量(人口)は東京 23 区で横ばい、地方の大都市は減る。
オフィスは、東京都心の空室率が 3% 前後に締まり、賃料は上げ局面。ただし新築供給が続き、中立の賃料は名目年 2%。
業種の表では、住宅の期待キャップが 3.75%、都心の大型オフィスが 4.25%。この投資法人は、国内住宅が約 62%、米国住宅が約 23%、オフィスが約 15%。米国は表の住宅に為替・現地税の不確かさとして 0.25% を乗せて 4.0%。加重した中立のキャップは 3.88% になる。
今の鑑定の利回りは、NOI と配当から改修費を引いて鑑定評価額で割ると 2.9% で、表より 1 ポイントほど低い。これは 10 年金利が 2% 前後の世界の値段で、3% に上がれば表に近づく。
賃料の伸びは、住宅が年 2.5%、オフィスが年 2.0% で、加重した中立は年 2.4%。経費は物価で年 3% 伸びる。
資本政策と M&A
借入は 2,840 億円。有利子負債を鑑定評価額で割った LTV は 42.6%。総資産に対する LTV は 48.4% で、会社は 45〜50% を巡航の目安にしており、今期末の予想は 49.0% と上限に近い。平均金利は 1.03%、固定金利の比率は 83.2%、平均の残りは 3.5 年。
2028 年 4 月期までの 2 年に、約 785 億円(28%)の満期が来る。2026 年 4 月期の調達金利は 1.41%、返済分は 0.68% で、0.7 ポイント高い。業績予想には年内 2 回の利上げが織り込まれ、変動金利の借入で増加を抑える。
増資は、直近 5 年で 1 回(2021 年 11 月)。そのあとは、自己投資口の取得と消却を 3 回行った(2022 年 9 月、2025 年 3 月、2025 年 10 月)。
運用報酬は、総資産に年 0.5% を上限とする料率、1 口当たり分配可能金額に営業利益を掛けた項、取得報酬(0.5% 以下)、譲渡報酬(0.5% 以下)に分かれる。積水ハウスは投資口の 4.66% を持つ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
物件が新しい。平均築年数は 11.1 年で、国内住宅の東京圏比率は 87.3%。新規契約の賃料は +14.4%、更新は +3.6% と過去最高で、国内住宅の増額余地はまだ続く。リノベーションの投資収益率は 43% と高い。
含み益は 1,156 億円で、含み益率は 21%。2026 年 4 月期は築古の 12 物件(252 億円)を売り、築浅の 7 物件(300 億円)を取得した。スポンサーの積水ハウスの開発物件を取り込める。
自己投資口の取得を 3 回行い、投資主と同じ船に乗る。積水ハウスは投資口の 4.66% を持つ。借入の格付けは JCR の AA と R&I の AA-。
御殿山 SH ビルの分割売却で売却益 21〜22 億円が 2 期続けて入り、分配を支える。米国の住宅は稼働が 94% まで回復し、配当利回り 3.5% 以上を目指す。
楽観の筋書きでは、賃料が年 3.3% で伸び、キャップが 3.4% に下がり、時価総額は 5,596 億円と今の 1.9 倍になる。
慎重な見方
鑑定評価額に対する稼ぎが低い。NOI と配当から改修費を引くと 2.9% で、10 年国債が 3% の世界では、キャップが 3.88% まで上がる。物件の価値は鑑定を 2 割台半ば下回り、含み益 1,156 億円は薄くなる。
借入 2,840 億円の平均金利は 1.03%。3.4% 前後に借り換わると、年の利払いは 28 億円から 93 億円へ 3.3 倍になる。約 785 億円(28%)が 2 年で満期を迎える。総資産 LTV は 48.4% で、上限の 50% まで余力が小さい。
米国の住宅が 24% ある。為替の円高、現地の稼働の低下、現地の税や金利で、配当が減りやすい。
やや悲観の筋書きでは、賃料の伸びが年 1.3% にとどまり、稼働が 94.5% に落ち、時価総額は 2,380 億円と今の 8 割になる。悲観では、賃料が下がり稼働が 90% に落ち、時価総額は 315 億円まで縮む。
どちらに重みを置いたか
築年の新しさ、賃料の増額、スポンサーの開発物件、自己投資口の取得には、はっきりした根拠がある。ただ、鑑定評価額に対する稼ぎは 2.9% と低く、総資産 LTV は 48% と高い。借り換えで利払いは 3 倍以上に増え、キャップも上がる。米国の 24% が為替と現地の稼働に左右される点も重い。中立の価値は今の時価総額を 25% 下回った。筆者は、NAV に対する安さは値段に入っているが、金利の正常化は入っていないと見る。スポンサーの点数は 2.1 で、悲観の確率は基本のままにした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 84,314 円3,629 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 21,978 円946 億円)。 今の値に割り戻すと 51,743 円2,227 億円、今との差 −23.0%、 期待の年率 +4.7%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 160,588 円6,911 億円 | 27,419 円1,180 億円 | +179.8% | +10.8% | 18,801 円809 億円 |
| やや楽観 | 22% | 109,188 円4,699 億円 | 25,490 円1,097 億円 | +100.4% | +7.2% | 29,629 円1,275 億円 |
| 中立 | 38% | 85,371 円3,674 億円 | 23,027 円991 億円 | +61.3% | +4.9% | 41,191 円1,773 億円 |
| やや悲観 | 20% | 55,303 円2,380 億円 | 18,078 円778 億円 | +9.2% | +0.9% | 14,676 円632 億円 |
| 悲観 | 10% | 7,320 円315 億円 | 12,617 円543 億円 | −70.3% | −11.4% | 1,994 円86 億円 |
| 加重平均 | 100% | 84,314 円3,629 億円 | 21,978 円946 億円 | +58.2% | +4.7% | 106,291 円4,574 億円 |
今の株価時価総額 67,200 円2,892 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 賃料が年 3.3% で伸び、キャップが今の 2.92% のまま 利益 127 億円 · PBR 2.4 倍 · 株価時価総額 160,588 円6,911 億円
東京圏の住宅の増額が続き、更新でも物価並みの賃料を取れる。賃料は年 3.3% で伸び、稼働は 97% を保つ。
借り換えは 3.3% で済む。年の利払いは 91 億円と今の 3.3 倍になる。それでも NOI は 218 億円から 308 億円へ 41% 増え、純利益は 127 億円と今の 1.2 倍になる。
不動産の買い手は今の利回りで買い続け、物件の利回り(キャップ)は今の鑑定の 2.92% のまま変わらない。時価総額は 6,911 億円と今の 2.4 倍になる。
スポンサーの築浅の住宅を取得し続け、築年を若く保つ。
米国の住宅も稼働が 97% 近くまで戻り、配当が分配を押し上げる。御殿山 SH ビルの売却益は、築浅の住宅の取得に回る。
- 住宅(国内・米国)とオフィスの賃貸:数量 5,347(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。米国 LLC への出資の帳簿価額を含む。今の値段の実質の規模))× 価格 7.5%(規模に対する収入(賃貸事業収益+受取配当)の比(今 5.4%)。賃料の増額と、受取配当の増減を合わせた値)→ 売上 401 億円・営業利益 258 億円。稼働 97%・賃料 年 +3.3%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 308 − 資本的支出 36) ÷ キャップ 2.92% − 純負債 2411 = 6911 億円。キャップは今の鑑定の NCF 利回り((NOI − 資本的支出) ÷ 鑑定評価額)の 2.92% で、今の値付けが 10 年続く所(複合の下限 3.25% より低い。楽観だけはここまで下げてよい)。
確率:国内住宅の増額が続き、金利が落ち着く筋書き。住宅は動きが小さいが、増額の勢いが続けば上振れの幅が大きいので 10% とした。
やや楽観 22% 賃料は年 2.9% で伸び、借り換えは 3.35% 利益 111 億円 · PBR 1.6 倍 · 株価時価総額 109,188 円4,699 億円
国内の住宅の増額が数年続き、その後は物価並みに落ち着く。賃料は年 2.9% で伸び、稼働の係数は 0.965 になる。借り換えは 3.35% で、年の利払いは 92 億円になる。
NOI は 291 億円と 33% 増え、純利益は 111 億円と今とほぼ同じになる。資本的支出は年 35 億円と今の 1.5 倍に増える。
物件の利回りは 3.6% に上がる。時価総額は 4,699 億円で、今の 1.6 倍になる。
ただし、増額は物価の 3% にほぼ届き、実質の収益は横ばいにとどまる。
米国の住宅は稼働が回復するが、円高に振れると配当の円換算額が目減りする。総資産 LTV は 48〜49% で推移し、50% の上限には届かない。
- 住宅(国内・米国)とオフィスの賃貸:数量 5,320(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。米国 LLC への出資の帳簿価額を含む。今の値段の実質の規模))× 価格 7.2%(規模に対する収入(賃貸事業収益+受取配当)の比(今 5.4%)。賃料の増額と、受取配当の増減を合わせた値)→ 売上 384 億円・営業利益 242 億円。稼働 96%・賃料 年 +2.9%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 291 − 資本的支出 35) ÷ キャップ 3.60% − 純負債 2411 = 4699 億円。キャップは中立 3.88% より 0.28% 低い 3.6% (賃料の伸びが強い筋書き)。
確率:中立より賃料の伸びが良く、キャップの上昇が小さい筋書き。22% とした。
中立 38% 賃料は物価に届かず、利払いが 3.3 倍になる 利益 90 億円 · PBR 1.3 倍 · 株価時価総額 85,371 円3,674 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借入は数年で 3.4% へ借り換わる。年の利払いは今の 28 億円から 93 億円へ増える。賃料は年 2.4% で伸び、稼働の係数は 0.955 に落ちる。
経費は物価並みの年 3% で増え、NOI は 218 億円から 269 億円へ 23% 増える。それでも利払いの増加を吸収しきれず、純利益は今の 109 億円から 90 億円へ 2 割弱減る。
物件の利回りは 3.88% に上がる。資本的支出は年 33 億円と、今の 1.4 倍に増える。
時価総額は 3,674 億円で、今を 3 割弱上回る。10 年の長さに割り引くと、今の値段を 25% 下回る。
- 住宅(国内・米国)とオフィスの賃貸:数量 5,265(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。米国 LLC への出資の帳簿価額を含む。今の値段の実質の規模))× 価格 6.9%(規模に対する収入(賃貸事業収益+受取配当)の比(今 5.4%)。賃料の増額と、受取配当の増減を合わせた値)→ 売上 362 億円・営業利益 221 億円。稼働 96%・賃料 年 +2.4%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 269 − 資本的支出 33) ÷ キャップ 3.88% − 純負債 2406 = 3674 億円。キャップは業種の表を NOI の比で加重した 3.88% (国内住宅 3.75%、米国住宅 4.0%、オフィス 4.25%)。今の NCF 利回り(NOI と配当から資本的支出を引いて鑑定評価額で割った 2.9%)より高い。
確率:前提どおり 10 年金利が 3% に落ち着き、賃料は年 2.4% で伸びる筋書き。最もありうるので 38%(スポンサーの点数が 2.1 で、悲観の確率は基本のまま 10%)。
やや悲観 20% 賃料の伸びが鈍り、金利が高めに落ち着く 利益 47 億円 · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 55,303 円2,380 億円
金利は高めに落ち着き、借り換えは 3.6% になる。国内の住宅の増額が一巡し、米国の稼働が弱く、賃料は 10 年で年 1.3% の伸びにとどまる。稼働の係数は 0.945 に落ちる。
経費は物価で伸び、NOI は 228 億円と今の 5% 増にとどまる。年の利払いは 99 億円で、純利益は 47 億円と今の 4 割強に縮む。資本的支出は年 31 億円に抑える。
物件の利回りは 4.13% に上がる。時価総額は 2,380 億円で、今の 8 割になる。
総資産 LTV が 50% 近くにあるため、借入の負担が早く効く。
- 住宅(国内・米国)とオフィスの賃貸:数量 5,210(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。米国 LLC への出資の帳簿価額を含む。今の値段の実質の規模))× 価格 6.2%(規模に対する収入(賃貸事業収益+受取配当)の比(今 5.4%)。賃料の増額と、受取配当の増減を合わせた値)→ 売上 322 億円・営業利益 181 億円。稼働 94%・賃料 年 +1.3%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 228 − 資本的支出 31) ÷ キャップ 4.13% − 純負債 2401 = 2380 億円。キャップは中立 +0.25%。賃料の頭打ちと利払いの増加で、物件の価値から借入を引いた額が縮む。
確率:住宅の増額が一巡して賃料が伸びず、金利が高めに落ち着く筋書き。20% とした。
悲観 10% 賃料の下落と稼働の低下、円高と金利の上振れ 利益 −48 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 7,320 円315 億円
不況で住宅の稼働が 90% に落ち、賃料は年 1% ずつ縮む。米国の配当は、円高と現地の稼働低下で減る。
金利は 3% を超えて上がり、借り換えは 4.25% になる。年の利払いは 125 億円で、NOI は 155 億円と今の 7 割に減る。純利益は 48 億円の赤字となり、分配は止まる。資本的支出は 26 億円に絞る。
物件の価値は、借入と預り敷金を引くとわずかしか残らず、投資主の取り分は 315 億円まで減る。
清算されない限り、物件を売って NAV を受け取ることはできない。
総資産 LTV が 50% を超えれば、増資か売却で借入を減らす圧力がかかる。
- 住宅(国内・米国)とオフィスの賃貸:数量 4,962(稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。米国 LLC への出資の帳簿価額を含む。今の値段の実質の規模))× 価格 4.9%(規模に対する収入(賃貸事業収益+受取配当)の比(今 5.4%)。賃料の増額と、受取配当の増減を合わせた値)→ 売上 243 億円・営業利益 109 億円。稼働 90%・賃料 年 -1.0%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 155 − 資本的支出 26) ÷ キャップ 4.38% − 純負債 2623 = 315 億円。キャップは中立 +0.5%。賃料の下落と稼働の低下で NOI が 3 割減り、物件の価値から借入を引いた額が大きく縮む。NAV は床にしない(清算されない限り投資主は受け取れない)。
確率:スポンサーの点数が 2.1 なので、悲観の確率は基本の 10%。不況で稼働が落ち、円高で米国の配当が減り、金利が上振れする筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住宅(国内・米国)とオフィスの賃貸
国内住宅 61%、米国住宅 24%、オフィス 15% の 139 物件を、2 年の更新などで貸す。米国は LLC を通じて保有し、受取配当として収入になる。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額 × 稼働の係数、億円。米国 LLC への出資の帳簿価額を含む。今の値段の実質の規模) | 価格規模に対する収入(賃貸事業収益+受取配当)の比(今 5.4%)。賃料の増額と、受取配当の増減を合わせた値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 5,303 | 5.4% | 288 | 172 |
| 10 年後 中立 | 5,265 | 6.9% | 362 | 221 |
取り方:過去 1 年(2025 年 10 月期+2026 年 4 月期)の賃貸事業収益 258 億円に、米国 LLC の受取配当 30 億円を足した 288 億円(売却益 130 億円を除く)を数量・価格に分けた。簿価 5,513 億円(国内の不動産 4,133 億円+米国 LLC 出資 1,379 億円)× 稼働率 96.2% が数量、収入 ÷ 数量が価格。NOI は収入から償却を除く費用 69 億円を引いて 218 億円、セグメントの利益は減価償却 46 億円を引いた額。中立の価格は 10 年で 1.27 倍で、物価の 1.34 倍に届かないのは、米国分とオフィス分の増額が物価に届かないため(業種ノート)。
リスクと懸念
鑑定の利回りの低さと金利
鑑定評価額に対する稼ぎは、資本的支出を引くと 2.9%。10 年国債が 3% の世界でキャップが 3.88% まで上がると、物件の価値が 2 割台半ば縮み、含み益 1,156 億円が薄くなる。
借り換えによる利払いの増加
平均金利は 1.03%。3.4% 前後へ上がると、年の利払いは 28 億円から 93 億円へ増える。2028 年 4 月期までに約 785 億円(28%)の満期が来る。
簿価 LTV の高さ
総資産 LTV は 48.4%、今期末の予想は 49.0%。巡航の目安は 45〜50% で、上限まで余力が小さい。
米国住宅の為替と現地の稼働
米国の 2 物件は取得価格の 24%。受取配当は米ドル建てで、為替と現地の稼働・税に左右される。円安の分だけ評価額も押し上げられている。
売却益と積立金への依存
直近 1 年の売却益は 130 億円。分配は売却益と税会不一致の分配で支えられ、売れる物件が減ると分配の伸びが鈍る。
スポンサー依存の取得
取得は積水ハウスのルートが多い。取得価格が鑑定評価額を上回っていないかは、取得の都度見る必要がある。
今後の分かれ目
- 国内住宅の新規・更新の賃料増額が、年 4% 以上で続く
- NOI が上振れし、中立と楽観の確率を上げる。今の値段は割高の度合いが縮む。
- 10 年金利が 2% 前後で止まり、借り換えが 2% 台で済む
- 利払いの増加もキャップの上昇も小さく、価値は上に振れる。
- 米国住宅の稼働が 90% を割り、円高が進む
- 受取配当が減り、悲観側の確率を上げる。
- NAV 割れで公募増資を行う
- 1 口の価値が薄まる。分配と NAV が減れば、スポンサーの点数を上げ、悲観の確率を上げる。
- 総資産 LTV が 50% を超える
- 増資か売却が要り、同じ船の点と報酬の形を見直す。
見ておくもの
- 国内住宅の新規・更新の賃料変動率と稼働
- 借り換えの金利と 2028 年 4 月期までの満期
- 総資産 LTV と取得・売却の実績
- 米国住宅の稼働・配当利回りと為替
- 積水ハウスからの取得の値段と、自己投資口・増資の判断
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI と配当から資本的支出を引いた額をキャップレートで割り、負債を引いて出した。キャップは用途ごとの表を NOI の比で加重した 3.88% で、今の NCF 利回り 2.9% より高い。NAV 割れを割安の根拠にしていない。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は動かない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.04% を足した 8.54%。米国住宅の為替・現地税の分は cycle に含めたので extra は置かない。