結論
日本プロロジスリートは、世界最大の物流不動産会社プロロジスが後ろ盾の物流 REIT だ。首都圏と近畿圏を中心に 60 棟の大型物流施設を持ち、平均の築年数は 11 年と若い。筆者の結論はやや割高である。ただし同じ金利の前提で見たオフィス REIT よりは、ずっと傷が浅い。
傷が浅い理由は三つある。物件が生む賃料の利回りが高く、帳簿価額に対して 5% 台後半ある。借入が軽く、鑑定で見た LTV は 3 割に届かない。経費が収入の 2 割強しかなく、賃料の伸びがそのまま NOI に乗る。
それでも割高に傾くのは、金利の正常化から逃げられないからだ。平均 0.92% の借入は 10 年でほぼ全部 3.5% 前後へ借り換わり、利益の 3 割強が金利に消える。物流施設の利回りも 4% 台前半へ上がる。今の値段は NAV を 2 割ほど下回るが、清算されない限り投資主は NAV を受け取れない。NAV 割れは割安の根拠にならない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、物件の質、借入の軽さ、スポンサーの出資の 3 点で、日本プロロジスリートは REIT の中で持ちたい部類に入る。プロロジスが投資口の 15% を持ち続けていることは、スポンサーと投資主の利害がそろっている証拠だ。
それでも値段に安全域は無い。今の値段は、借入の金利が 1% に届かず、物流施設が 3% 台の利回りで売買される世界の値段だ。10 年金利 3% の世界では、利払いが利益の 3 割強を削り、施設の利回りが上がる。10 年の分配と 10 年後の施設の価値を合わせて今に引き直すと、今の値段を 1 割強下回る。
この会社の強みは、その差が小さいことだ。値段がもう 1〜2 割下がれば、良い物件を軽い借入で持つ事業を、適正な値段で買えるようになる。筆者は、待つ価値のある銘柄だと見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、大型の物流施設を通販・小売・物流会社に貸す賃料だ。2026 年 5 月期の半年で賃料などの収入は約 318 億円、経費を引いた NOI は約 244 億円だった。経費が軽いのは、テナントが施設の運営を自ら担う一棟貸しや大型の区画貸しが多いからだ。
物件はプロロジスが自ら開発した A クラスの施設だけで、首都圏の圏央道・湾岸と、近畿圏の大阪湾岸に集まる。契約はすべて定期借家で、平均の残りは約 4 年。契約が切れるたびに賃料を市場の水準へ合わせ直すので、物価の上昇は 3〜5 年遅れで賃料に乗る。
物件はすべてプロロジスから買う。プロロジスは開発中の施設に優先交渉権を付けて REIT に渡し、REIT は投資口を発行して買う。この仕組みで資産は 9,600 億円まで育った。プロロジスは投資口の 15% を持ち続けており、投資主と同じ船に乗っている。
分配金には、会計の利益に加えて減価償却の一部(利益超過分配)が入る。会社はこの割合を減価償却の 40% へ上げる方針だ。手元の現金で自己投資口を買うことも選択肢にしている。
優良さと弱いところ
物件の質は物流 REIT で最上位だ。新しい大型の施設は、自動化の設備を入れる通販や小売に選ばれやすい。稼働は 98% と高く、定期借家で賃料の見直しの機会も多い。ただし賃料を決める力は無い。首都圏の湾岸では 2024〜26 年に大量の新築が出て、空室は 1 割近くまで上がった。供給が細るまでは、賃料の上げ幅は抑えられる。
資本の使い方は規律がある。会社は、投資口の値段から逆算した利回りと物件の利回りを比べ、物件を買うか自己投資口を買うかを決めると明言している。NAV を下回る値段で増資を急がない姿勢は、投資主の取り分を守る。
弱いのは、物件がすべてスポンサーから来ることだ。買う値段の交渉はスポンサーの側に寄りやすい。運用報酬も NOI の約 11% と、オフィス REIT より重い。報酬の形が規模に連動するなら、規模を追う誘因が残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
物流施設の需要は、通販の伸びと、在庫を持つ倉庫の自動化で長く伸びてきた。ただ 2024〜26 年は首都圏で大量の新築が重なり、空室は上がった。供給は 2027 年に約 52 万㎡へ細るが、2028 年に約 147 万㎡へ戻る見通しだ。筆者は、床の需要は実質でわずかに伸び、供給の波で賃料の上げ幅が抑えられると見る。
物価 3% の世界では、定期借家の更新ごとに賃料が市場へ寄る。中立で名目年 2% 前後が妥当だ。経費は収入の 2 割強しかないので、賃料の伸びがほぼそのまま NOI の伸びになる。建物が新しいので今の修繕の費用は小さいが、築 20 年に向けて倍に膨らむ。
金利の世界が変われば、物流施設の利回りも上がる。今の鑑定の利回りは 3% 台後半で、10 年国債 3% との差が 1% も無い。不動産に求める利回りを 6% 前後、NOI の長い伸びを 1.75% とすれば、利回りは 4.25% 前後に落ち着く。上がり幅はオフィスより小さい。
筆者は、物流は REIT の用途の中で、物価の転嫁と経費の軽さの両面で中位よりやや強いと見る。ただ供給の波があるので、オフィスより安全とまでは言えない。
資本政策と M&A
利益のほぼ全部を配り、成長はスポンサーの開発物件を増資で買う形でしか起きない。今の値段は NAV の約 8 割で、この水準では増資が既存の投資主の取り分を削る。会社は増資を急がず、手元の現金を自己投資口の取得に回す選択肢を示している。
利益超過分配を減価償却の 40% へ上げる方針は、投資主へ現金を戻す一方で、修繕の財源を薄くする。築年が進む 10 年先には、修繕の費用が今の倍になる。筆者は、利益超過分配の拡大は今の値段の下支えにはなるが、10 年の価値は増やさないと見る。
借入は鑑定 LTV 28.5% と軽く、上限の目途を 35% に置く。軽い借入は金利の上昇への耐性になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
物流施設は物価に強い。建築費が上がれば新しい施設の賃料は高くなり、定期借家の更新ごとに既存の施設の賃料もそれに寄る。2027 年は新築の供給が細り、空室は下がる。賃料が物価並みに上がれば、経費の軽さから NOI は 10 年で 4 割近く伸びる。
借入は鑑定 LTV 28.5% と軽く、固定金利の比率は 93% ある。金利の上昇は 4 年かけてゆっくり効く。その間に賃料の改定が先に進む。格付けは AA+ で、借り換えの上乗せも小さい。
プロロジスは世界最大の物流不動産会社で、開発の機会に困らない。投資口の値段が NAV を上回れば、良い物件を増資で買い、1 口の価値を増やせる。自己投資口の取得で NAV 割れを埋める手もある。
修繕の費用が膨らむと言っても、築 11 年の施設は大きな更新の時期がまだ先だ。償却の現金は修繕を十分にまかなえ、余った分は分配か自己投資口の取得に回せる。値段が NAV を 2 割下回る今は、自己投資口を買うだけで 1 口の価値が増える。
慎重な見方
供給の波はまた来る。2028 年に新築が戻り、首都圏の湾岸の空室は高止まりする。テナントは通販と物流会社に偏り、景気が悪くなれば床を一気に返す。定期借家は賃料を上げる機会でもあるが、下げる機会でもある。
利払いの増加は避けられない。平均 0.92% の借入が 3.5% へ借り換われば、年の利払いは 90 億円以上増える。今の年の利益の 3 割強だ。物流施設の利回りが 4.25% に上がれば、施設の価値は鑑定より 1 割強下がる。
運用報酬は NOI の約 11% と重い。物件はすべてスポンサーから買い、買う値段はスポンサーの側に寄る。利益超過分配を増やせば、築年が進んだ時の修繕の財源が細る。
加えて、物流施設は土地の比率がオフィスより低く、建物の陳腐化が早い。自動化の設備に合わない古い施設は、10 年後に賃料を下げないと埋まらない。今の若い施設群も、10 年たてば築 20 年を超える。
今の値段が NAV を下回るのは、市場がこうした重しを先に見ているからでもある。
どちらに重みを置いたか
物件の質と借入の軽さで強気の見方に分があり、オフィス REIT より楽観側に確率を寄せた。ただ金利の前提は動かせず、利払いと利回りの上昇で中立は今の値段をやや下回る。中立を 38%、楽観側を合わせて 32%、悲観側を 30% に置いた。筆者は、この銘柄の割高の度合いは小さく、値段しだいで魅力が出る位置にあると見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 104,344 円8,754 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 33,904 円2,844 億円)。 今の値に割り戻すと 72,075 円6,046 億円、今との差 −9.8%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 7.9%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 168,838 円1.42 兆円 | 41,315 円3,466 億円 | +163.0% | +10.2% | 21,015 円1,763 億円 |
| やや楽観 | 22% | 139,359 円1.17 兆円 | 38,455 円3,226 億円 | +122.5% | +8.3% | 39,119 円3,282 億円 |
| 中立 | 38% | 105,351 円8,838 億円 | 35,749 円2,999 億円 | +76.6% | +5.9% | 53,618 円4,498 億円 |
| やや悲観 | 20% | 65,740 円5,515 億円 | 28,835 円2,419 億円 | +18.4% | +1.7% | 18,915 円1,587 億円 |
| 悲観 | 10% | 36,202 円3,037 億円 | 19,609 円1,645 億円 | −30.1% | −3.5% | 5,581 円468 億円 |
| 加重平均 | 100% | 104,344 円8,754 億円 | 33,904 円2,844 億円 | +73.0% | +5.6% | 138,248 円1.16 兆円 |
今の株価時価総額 79,900 円6,703 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.9% を下回るほど割高。
楽観 10% 供給が細り、賃料が物価並みに上がる 利益 304 億円 · PBR 3.2 倍 · 株価時価総額 168,838 円1.42 兆円
2027 年以降に新築の供給が細り、首都圏の空室は下がる。自動化を進める通販と小売が A クラスの施設を取り合い、賃料は物価並みの年 3% で上がる。稼働は 99% を保ち、経費の軽さから NOI は 10 年で約 4 割伸びる。
借入は格付けの高さで 3.3% へ借り換わる。利益超過分配を続けても、NOI の伸びで分配は今より増える。施設の利回りは 3.5% と今よりわずかに高い水準で止まり、投資主の取り分は今の値段の 2 倍に近づく。投資口の値段が NAV を上回り、スポンサーの開発物件を増資で買って 1 口の価値を増やせる。
- 物流施設の賃貸:数量 8,525(稼働している物件の規模(帳簿価額=取得原価 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 10.1%(稼働した規模に対する賃料などの収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 863 億円・営業利益 498 億円。稼働 99%・賃料 年 +3.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 663 − 資本的支出 55) ÷ キャップ 3.50% − 純負債 3213 = 14164 億円。キャップは物流の下限 3.5%(10 年金利 3% + 最小の上乗せ)。
確率:新築の供給が細って賃料が物価並みに上がり、金利の上昇が小さい筋書き。物件の質と借入の軽さから 10% と置いた。
やや楽観 22% 賃料が物価に近く伸び、利回りの上昇は小さい 利益 257 億円 · PBR 2.6 倍 · 株価時価総額 139,359 円1.17 兆円
供給の波は 2028 年に戻るが、需要がそれを吸収する。賃料は年 2.5% で上がり、稼働は 98% を保つ。NOI は 10 年で約 26% 伸びる。
借入は 3.4% へ借り換わり、利払いは今の約 4 倍になる。純利益は今より細るが、利益超過分配で分配は大きくは減らない。施設の利回りは 3.75% に上がり、施設の価値は鑑定に近い水準を保つ。手元の現金は修繕と自己投資口の取得に回り、投資主の取り分は今の値段を大きく上回る。
筆者は、この筋書きを物流の需要の底堅さから十分ありうると見る。自己投資口の取得が進めば、1 口あたりの価値はさらに増える。
- 物流施設の賃貸:数量 8,439(稼働している物件の規模(帳簿価額=取得原価 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.6%(稼働した規模に対する賃料などの収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 814 億円・営業利益 451 億円。稼働 98%・賃料 年 +2.5%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 614 − 資本的支出 55) ÷ キャップ 3.75% − 純負債 3213 = 11691 億円。キャップは中立 4.25% から 0.5% 下げた。
確率:供給の波を越えて賃料が年 2.5% で伸びる筋書き。2027 年の供給の細りが見えているので 22% と厚めに置いた。
中立 38% 金利の正常化で利払いと利回りが上がる 利益 212 億円 · PBR 2.0 倍 · 株価時価総額 105,351 円8,838 億円
10 年金利は 3% に落ち着き、借入は 4〜5 年で 3.5% へ借り換わる。年の利払いは今の約 30 億円から 130 億円へ増える。賃料は年 2% で上がり、稼働は 97% へ少し下がる。経費は物価並みに増えるが軽いので、NOI は 10 年で 2 割弱伸びる。
減価償却は昔の取得原価のままで、会計の利益は利払いの増加ほどは減らない。それでも純利益は今の 7 割ほどになる。利益超過分配を続け、分配は 15% ほど減る。修繕の費用は築年と建築費で今の 2 倍に膨らむが、償却の現金でまかなえる。
施設の利回りは 4.25% に上がり、施設の価値は鑑定より 1 割強低い。借入が軽いので、投資主の取り分は今の値段を上回って残る。
- 物流施設の賃貸:数量 8,353(稼働している物件の規模(帳簿価額=取得原価 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 9.2%(稼働した規模に対する賃料などの収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 767 億円・営業利益 407 億円。稼働 97%・賃料 年 +2.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 567 − 資本的支出 55) ÷ キャップ 4.25% − 純負債 3213 = 8838 億円。キャップは物流の中立 4.25%(要求利回り 6.0% − NOI の伸び 1.75%)。今の鑑定の利回り約 3.8% より高い。
確率:前提どおり 10 年金利が 3% に落ち着き、賃料は物価の 3 分の 2 で上がる筋書き。最もありうるので 38%。
やや悲観 20% 供給過多が長引き、賃料が伸びない 利益 120 億円 · PBR 1.2 倍 · 株価時価総額 65,740 円5,515 億円
2028 年に新築が戻り、首都圏の湾岸の空室は 1 割前後で高止まりする。契約の更新で賃料は上げられず、平均で年 1% しか伸びない。稼働は 94% へ落ちる。NOI は今とほぼ同じ名目にとどまる。
借入は 3.6% へ借り換わり、純利益は今の 4 割ほどに細る。利益超過分配も絞り、分配は半分近くまで減る。施設の利回りは 4.75% へ上がり、施設の価値は鑑定の 7 割ほどになる。それでも借入が軽いので、投資主の取り分は今の値段の 8 割ほど残る。
筆者は、この筋書きでも借入の軽さが下値を支えると見る。
- 物流施設の賃貸:数量 8,094(稼働している物件の規模(帳簿価額=取得原価 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 8.3%(稼働した規模に対する賃料などの収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 674 億円・営業利益 314 億円。稼働 94%・賃料 年 +1.0%・経費 年 3.0%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 474 − 資本的支出 55) ÷ キャップ 4.75% − 純負債 3300 = 5515 億円。キャップは中立 +0.5%。
確率:2028 年の供給の戻りで空室が高止まりする筋書き。湾岸の供給の波から十分ありうるので 20%。
悲観 10% 金利の上振れと不況で、利回りが上がり稼働が落ちる 利益 5 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 36,202 円3,037 億円
金利は 3% を超えて上がり、不動産の売りが重なる。借り換えの金利は 4.5% になる。不況で通販と物流会社が床を返し、稼働は 88% へ落ちる。賃料は 10 年たっても今と同じ名目にとどまる。NOI は 2 割強減る。
純利益はほぼゼロになり、利益超過分配も止める。分配はほぼ止まり、残した現金は借入の返済と空室の手当てに回る。施設の利回りは 5% へ上がり、施設の価値は鑑定の半分ほどになる。それでも借入が軽いので、投資主の取り分は今の値段の半分近く残る。清算されない限り、施設を売って NAV を受け取ることはできない。
- 物流施設の賃貸:数量 7,578(稼働している物件の規模(帳簿価額=取得原価 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模))× 価格 7.5%(稼働した規模に対する賃料などの収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる)→ 売上 571 億円・営業利益 226 億円。稼働 88%・賃料 年 +0.0%・経費 年 2.5%
倍率:PBR は物件の価値から負債を引いた額を自己資本で割った値。(NOI 380 − 資本的支出 50) ÷ キャップ 5.00% − 純負債 3573 = 3037 億円。キャップは中立 +0.75%。NAV は床にしない(清算されない限り投資主は受け取れない)。
確率:リーマン級の不況と金利の上振れが重なる筋書き。借入の軽さで深さは浅いが、確率は 10% 置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物流施設の賃貸
首都圏・近畿圏を中心とする 60 棟の大型物流施設を、通販・小売・物流会社に定期借家で貸す。
| 数量稼働している物件の規模(帳簿価額=取得原価 × 稼働率、億円。今の値段の実質の規模) | 価格稼働した規模に対する賃料などの収入の比(今 7.5%)。物価の転嫁で伸びる | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 8,439 | 7.5% | 636 | 337 |
| 10 年後 中立 | 8,353 | 9.2% | 767 | 407 |
取り方:2026 年 5 月期の半期の賃貸事業収入とその他の収入 318 億円を 2 倍して年額 636 億円。帳簿価額 8,611 億円(含み益 3,763 億円・含み益率 43.7% から逆算)× 稼働 98% で数量、収入 ÷ 数量で価格。セグメントの利益は NOI 487 億円から減価償却 150 億円を引いた額。中立の価格が 1.22 倍で物価の 1.34 倍に届かないのは、定期借家の更新が 3〜5 年ごとで、湾岸の供給過多の間は転嫁が物価の 2/3 にとどまると見るため(業種ノート)。
リスクと懸念
借り換えの金利
平均 0.92% の借入が 3.5% へ借り換わると、年の利払いは 90 億円以上増える。今の年の利益の 3 割強だ。固定の比率は 93% と高いが、残りの期間は 4.1 年で、10 年でほぼ全部が新しい金利になる。
物流施設の供給の波
首都圏の新築は 2026 年に約 173 万㎡、2028 年に約 147 万㎡と波がある。湾岸の空室が高止まりすれば、定期借家の更新で賃料を上げられない。
施設の利回りの上昇
今の鑑定の利回りは 3% 台後半で、10 年国債 3% との差が小さい。利回りが 1 ポイント上がると施設の価値は約 2 割下がる。
スポンサーとの取引
物件はすべてプロロジスから買う。買う値段の交渉はスポンサーの側に寄りやすい。運用報酬は NOI の約 11% と重い。
修繕の財源
利益超過分配を減価償却の 40% へ上げる方針は、修繕に使える現金を減らす。築年が進む 10 年先には修繕の費用が今の倍になり、借入で埋めれば利払いが増える。
テナントの偏り
上位 20 社で契約面積の約半分を占める。通販・物流会社の業況が悪くなれば、まとめて床を返されるおそれがある。
今後の分かれ目
- 10 年金利が 2% 前後で止まる
- 施設の利回りの上昇も借り換えの金利も小さく、やや楽観に近づく。今の値段は適正の範囲に入る。
- 2027 年の供給の細りで湾岸の空室が 5% を切る
- 賃料の改定が進み、楽観側の確率を上げる。
- 自己投資口の取得を続ける
- NAV 割れの値段で 1 口の価値を増やす使い方で、スポンサーの点数を下げる。
- NAV 割れで公募増資を行う
- 1 口の価値が薄まる。スポンサーの点数を上げ、悲観の確率を上げる。
- プロロジスが出資比率を下げる
- 同じ船に乗る度合いが下がり、スポンサーの点数を上げる。
見ておくもの
- 首都圏の物流施設の空室率と新築の供給
- 平均の負債コストと固定比率
- 継続鑑定の利回り
- 自己投資口の取得と増資の値段 ÷ NAV
- 利益超過分配と資本的支出の額
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段や過去の値段から置いていない。10 年後の時価総額は、NOI から資本的支出を引いた額をキャップレートで割り、負債を引いて出した。キャップは 10 年金利 3% に用途の上乗せを足した業種ノートの表で、今の鑑定の利回りより高い。NAV 割れを割安の根拠にしていない。今の値段が倍でも半分でも、価値の数字は動かない。
資本コスト 7.9% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.38% を足した 7.88%。事業は傾いていないので extra は置かない。