結論
東急不動産HDは、渋谷を中心に貸すビルを持ち、マンション分譲・管理・ホテル・仲介・再生可能エネルギーまで手がける総合デベロッパーだ。筆者の結論は「やや割安」(本質価値は今の時価総額を1割強上回る)。ただし割安の幅は、書き直す前よりずっと小さい。
利益の質を洗い直したのが、今回の最大の変更点だ。決算短信を開くと、仲介セグメントの営業利益561億円は、手数料の稼ぎだけではない。売上2,574億円のうち、売買仲介は1,063億円で、買取再販や開発案件の販売が1,419億円ある。後者は、分譲や資産売却に近い、一回ごとの稼ぎだ。
投資家向けの売却を加えると、取引頼みの利益は営業利益1,669億円の約4割にのぼる。売買市場が良い今は大きく出るが、毎年同じだけ積み上がるものではない。筆者は、賃貸・管理・仲介手数料の「毎年入る分」と、売却益の「市況しだいの分」を分けて10年を見た。
財務は薄い。自己資本比率は26%で、純有利子負債は時価総額の約1.9倍ある。借り換えのたびに利払いが重くなり、10年で税前の利払いが約410億円増える。一方、賃貸ビルには含み益がある。時価と簿価の差は約5,000億円で、税引き後の約3,500億円のうち半分を価値に足した。
資本コスト8.5%で測ると、5つの筋書きの加重平均は今の時価総額を1割強上回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社の本質価値をどう見るかを書く。
まず、事業の中身を分けて見る必要がある。賃貸・管理・仲介手数料は、長く続き、物価に連れて上がる収益で、オーナーとして持ち続けたい部分だ。ここは、10年後も事業が残り、堀はやや強まると見る。
一方、売却等の利益は違う。今は売買市場が良く、営業利益の約4割をこれが占める。バリュー投資家は、こういう利益に高い倍率を付けない。筆者は10年の中立で、売却量を今の9割、利益率を16%まで落とした。
借金の重さも気になる。純有利子負債は時価総額の1.9倍で、金利が上がれば利益の削られ方が大きい。ただし賃貸ビルの含み益は約5,000億円あり、これが安全域を作っている。帳簿の外にある価値だが、半分だけ足して数えた。
全体として、今の値段には少し安全域がある。ただ、仲介の利益率57%のような高い数字は、売却の稼ぎが混ざった結果で、持続しない前提で見るのが妥当だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は7つに分けて見るのがわかりやすい。
第1は賃貸。広域渋谷圏を中心にオフィス59棟・商業施設32棟を持ち、年に1,073億円の賃料を得る。空室率は0.7%と低く、改定はほぼ増額だ。渋谷駅前の東急百貨店本店跡地では「Shibuya Upper West Project」が2029年度の完成をめざす。
第2は分譲。「ブランズ」ブランドで年に899戸を引き渡し、売上は804億円だ。第3は売却等。自社で開発した物件を投資家に売る、買い取って直した住宅を売るといった事業で、売上は3,543億円に達する。売るたびに稼ぎが出るが、市況が冷えれば止まる。
第4は管理。東急コミュニティーが約83万戸のマンションを管理し、東急リバブルの賃貸住宅管理が約15万戸を加える。毎年決まった手数料が入る。第5はウェルネス。東急ハーヴェストクラブやニセコのスキー場などで、インバウンドの追い風を受ける。
第6は売買仲介。東急リバブルの2026/03期の取扱件数は33,922件、取扱高は2.56兆円で、業界首位になった。第7は戦略投資。再エネ「リエネ」は稼働済みの容量が約2,077MWあり、2025年にリニューアブル・ジャパンを子会社にした。筆頭株主は東急(9005、15.90%)で、渋谷の街づくりで組む。
優良さと弱いところ
強みは、貸す・管理する・仲介するという、毎年入る収益を何本も持つことだ。三菱地所や住友不動産のように一つの街への集中は少ないが、渋谷という自社が囲い込める街がある。
東急リバブルの実力は本物だ。取扱件数は5年で大きく伸び、仲介事業の営業利益は5年前の約4倍になった。ただし、この利益の全部が手数料というわけではない。買取再販や開発案件の計上が入っており、その分は市況に左右される。
弱みは財務の薄さだ。自己資本比率は26.3%、純有利子負債は自己資本の1.8倍ある。同業の三井不動産や三菱地所と比べても見劣りする。会社は自社株買いより成長投資を優先すると明言していて、借金で資産を積む姿勢は金利上昇期に安全域を削る。
値決めの力は強くない。賃料は市況に従い、分譲も市場価格だ。仲介は三井のリハウスとの競争が激しく、手数料を上げにくい。
資本の使い方は、全体としては合理的だ。賃貸ビルの含み益は大きく、時価は簿価を約5,000億円上回る。資産を入れ替えて回す運営は、含み益を使う手段にもなる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東証の不動産業のうち、大手の総合デベロッパーに入る会社だ。都心のオフィスは空室率が低く、賃料は上がり続けている。分譲マンションは、発売戸数が減る一方で、価格が上がる。売買仲介は、金利が上がっても取引が増え、業界上位3社が伸びている。
良い面は、物価が年3%で上がる世界では、賃料・管理料・仲介手数料が物価に連れて上がることだ。10年で物価は約1.34倍になる。
悪い面は、金利が上がって借り換えが重くなることと、売買市場の波だ。投資家向けの売却は、金利が上がって不動産の利回りが切り上がれば、売れる量も価格も落ちる。今の営業利益の約4割が、このような売却や買取再販の稼ぎだ。
競合は、三井不動産・三菱地所・住友不動産・野村不動産HDだ。三菱地所は丸の内、住友不動産は新宿に集中するが、東急不動産HDは渋谷と、仲介・再エネに広げた形で差をつけている。ただ、その分、自己資本は同業で最も薄い。
10年を見ると、東京一極集中が続くかが分かれ目になる。人口は減るが、都心の働く人は減りにくい。住宅の数量は減る方向で、価格で補う構図だ。
資本政策と M&A
株主還元は、連結配当性向35%以上を目安にした累進配当だ。2026/03期は増配し、自社株買いは94億円と小さい。「自社株買いより成長投資」と明言していて、再エネ・海外・都心の再開発にお金を回す。
買収では、2024年にリニューアブル・ジャパンを約300億円で子会社にした。経営者のMBO(経営陣による買収)を支える形で、社長が15%を持って残った。
筆頭株主の東急(15.90%)とは、渋谷の街づくりで組むが、東急不動産HDは東急の子会社ではない。大株主による買収や再編は想定しにくい。
賃貸ビルの含み益が大きい分、売却で資金を作る手段はある。資産を入れ替えて資本効率を上げる余地も大きいが、これまでは売却益を事業の利益として使い、株主に戻した実績は乏しい。含み益は悲観の床にだけ使い、中立〜楽観には賃料・売却益が純利益に入っているので足していない。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の686億円が10年後に約 807億円。更新投資は価格の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
渋谷の空室率は0.7%で、賃料改定はほぼ増額だ。大規模再開発が2029年度まで続き、街の価値はさらに上がる。東急リバブルは取扱高2.56兆円で業界首位になり、仲介手数料は物価に連れて上がる。売却も好調で、買取再販や投資家向け売却は市場に求められている。戦略投資は、再エネが2,693MWまで伸びる計画で、中計2030の営業利益595億円に向けて進む。管理は約86万戸に伸び、毎年の収益として積み上がる。中計の財務目標は2年前倒しで達成済みで、実行力は高い。借り換えコストが増えても、事業の拡大で吸収できる。累進配当と、含み益5,000億円という安全域があり、10年で見れば今の評価は割安だ。
仲介の利益の伸びは、取扱高の増加だけでなく、買取再販や開発案件の計上が増えたことにもよる。これは不動産の再生という事業が育っている証拠でもある。東急グループとの連携で、渋谷の街全体の価値を高める力は他社にない。
慎重な見方
利益の質が高くない。営業利益1,669億円のうち、約4割は投資家向けの売却と買取再販の稼ぎだ。売買市場が良い今は大きく出るが、金利が上がって利回りが切り上がれば、売れる量も価格も落ちる。仲介セグメントの営業利益561億円も、手数料だけの稼ぎではなく、不動産販売の利益が混ざっている。自己資本比率は26%、純有利子負債は時価総額の1.9倍で、借り換えのたびに利払いが重くなる。10年で税前の利払いが約410億円増える。再エネは電力価格や制度の変更に弱く、海外投資は為替と金利に弱い。マンション分譲は人口減の中にあり、戸数は減る方向だ。自社株買いより成長投資を優先する方針は、借金を積んで拡大することでもある。
仲介の営業利益率が高く見えるのは、手数料の稼ぎに売却の利益が混ざっているからだ。ここを見誤ると、利益の持続性を過大に見積もる。さらに、東急不動産HDは同業に比べて自己資本が最も薄く、悪い局面での耐久力が低い。
どちらに重みを置いたか
賃貸・管理・仲介手数料の強さは強気の見方が優勢だが、売却益の持続性と財務の薄さについては慎重な見方が当たっている。確率は、中立をもっとも厚く置き、やや悲観を同業よりやや厚くした。中立の10年後のROEは8%台にとどまり、利益の約4割を占める売却等は今の9割の量に落ち着くとみた。それでも確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を1割あまり上回り、結論は「適正」にとどまる。割安に出る理由は、賃貸ビルの含み益を足した分ではなく(含み益は足していない)、賃貸と管理の土台が売却の好調に頼らず残る分である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,747 円1.96 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 726 円5,181 億円)。 今の値に割り戻すと 1,698 円1.21 兆円、今との差 +40.9%、 期待の年率 +11.2%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 14% | 5,073 円3.62 兆円 | 1,083 円7,726 億円 | +410.9% | +17.7% | 862 円6,147 億円 |
| やや楽観 | 26% | 3,691 円2.63 兆円 | 894 円6,373 億円 | +280.5% | +14.3% | 1,192 円8,502 億円 |
| 中立 | 32% | 2,530 円1.80 兆円 | 711 円5,072 億円 | +169.0% | +10.4% | 1,037 円7,397 億円 |
| やや悲観 | 19% | 1,047 円7,469 億円 | 500 円3,568 億円 | +28.4% | +2.5% | 294 円2,097 億円 |
| 悲観 | 9% | 756 円5,389 億円 | 220 円1,571 億円 | −19.0% | −2.1% | 88 円626 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,747 円1.96 兆円 | 726 円5,181 億円 | +188.2% | +11.2% | 3,473 円2.48 兆円 |
今の株価時価総額 1,205 円8,594 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 14% 渋谷・仲介・再エネが同時に伸びる 利益 2,392 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 5,073 円3.62 兆円
渋谷の再開発が2029年度の完成後も続き、賃貸面積と賃料の両方が伸びる。東急リバブルは取扱件数を増やし、手数料は物価を上回る。売却等は、売買市場の活況が続いて量も価格も伸び、買取再販が育つ。戦略投資は再エネの容量が計画を上回り、物流施設とあわせて都市開発に次ぐ収益源になる。管理は管理戸数の増加と単価の上昇で、毎年の収益として積み上がる。マンション分譲の戸数は横ばいで、高価格帯が支える。自己資本比率は改善し、ROEは10年で12%台になる。借り換えコストは事業の拡大で吸収できる。賃貸ビルの含み益も、売却による資金づくりの手段として生きる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の686億円が10年後に約 807億円(物価で一律に増やすと約 621億円)。営業利益は +186億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 賃貸(オフィス・商業施設):数量 60.3(賃貸面積(万坪・推定))× 価格 29,000(平均賃料(円/坪・月))→ 売上 2,100 億円・営業利益 774 億円。数量 x1.35・価格 x1.45・利益率36.9%・償却は物価で増やさず按分(10年後 807億円)
- 分譲(ブランズ):数量 899(年間計上戸数(戸))× 価格 1.39(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 1,246 億円・営業利益 174 億円。数量 x1.00・価格 x1.55・利益率 14.0%
- 売却等(投資家向け売却・買取再販・開発案件):数量 27.1(売却する不動産の延べ床面積(万㎡・推定))× 価格 218(1㎡当たり売却単価(万円/㎡・推定))→ 売上 5,903 億円・営業利益 1,092 億円。数量 x1.15・価格 x1.45・利益率 18.5%
- 管理(マンション・ビル管理・賃貸住宅サービス):数量 120(管理戸数(マンション・賃貸住宅・学生マンションの換算・万戸))× 価格 46(1戸当たり年間売上(万円/戸・ビル管理等を含む換算))→ 売上 5,526 億円・営業利益 414 億円。数量 x1.15・価格 x1.40・利益率 7.5%
- ウェルネス(ホテル・レジャー・ヘルスケア):数量 9.1(延べ利用者数(百万人・宿泊・来場・入居の換算・推定))× 価格 28,855(1人当たり売上(円))→ 売上 2,626 億円・営業利益 315 億円。数量 x1.40・価格 x1.45・利益率 12.0%
- 売買仲介(東急リバブル):数量 42,403(仲介の取扱件数(件))× 価格 511(1件当たり手数料等収入(万円/件))→ 売上 2,166 億円・営業利益 650 億円。数量 x1.25・価格 x1.50・利益率 30.0%
- 戦略投資(再生可能エネルギー・物流・海外):数量 1.4(戦略投資事業の投資資産残高(兆円・実質))× 価格 47.3%(資産に対する収益比率(%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 6,382 億円・営業利益 1,021 億円。数量 x3.00・価格 x1.45・利益率 16.0%
倍率:事業の純利益 2,392 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.3% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 14.05 倍、時価総額 33,608 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:渋谷の賃料上昇・仲介の件数増加・再エネの拡大・売却市場の好調が10年続く姿は、条件が重なる必要がある。
やや楽観 26% 賃貸と管理が育ち、売却は高めを保つ 利益 1,804 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 3,691 円2.63 兆円
渋谷の賃貸面積は再開発でゆるやかに増え、賃料は物価を少し上回る。仲介は件数がやや増え、手数料は物価に連れて上がる。売却等は市場の活況がほぼ続くが、ピークの量には届かず、利益率も少し下がる。戦略投資は再エネ・物流が計画の線に沿って育つが、電力市場の変動で一部は遅れる。管理とウェルネスは、インバウンドと管理戸数の増加で伸びる。借り換えコストは増えるが、増益の範囲で吸収し、ROEは10%台に乗る。渋谷の再開発が完了に近づくと、新しい大型案件への投資余地は少し狭まるが、管理と仲介の積み上げが補う。含み益は時価と簿価の差として、自己資本の外で価値を支える。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の686億円が10年後に約 807億円(物価で一律に増やすと約 662億円)。営業利益は +145億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 賃貸(オフィス・商業施設):数量 54.5(賃貸面積(万坪・推定))× 価格 27,600(平均賃料(円/坪・月))→ 売上 1,806 億円・営業利益 633 億円。数量 x1.22・価格 x1.38・利益率35%・償却は物価で増やさず按分(10年後 807億円)
- 分譲(ブランズ):数量 854(年間計上戸数(戸))× 価格 1.30(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 1,107 億円・営業利益 150 億円。数量 x0.95・価格 x1.45・利益率 13.5%
- 売却等(投資家向け売却・買取再販・開発案件):数量 24.8(売却する不動産の延べ床面積(万㎡・推定))× 価格 207(1㎡当たり売却単価(万円/㎡・推定))→ 売上 5,130 億円・営業利益 898 億円。数量 x1.05・価格 x1.38・利益率 17.5%
- 管理(マンション・ビル管理・賃貸住宅サービス):数量 112(管理戸数(マンション・賃貸住宅・学生マンションの換算・万戸))× 価格 45(1戸当たり年間売上(万円/戸・ビル管理等を含む換算))→ 売上 5,078 億円・営業利益 356 億円。数量 x1.08・価格 x1.37・利益率 7.0%
- ウェルネス(ホテル・レジャー・ヘルスケア):数量 8.5(延べ利用者数(百万人・宿泊・来場・入居の換算・推定))× 価格 27,860(1人当たり売上(円))→ 売上 2,354 億円・営業利益 259 億円。数量 x1.30・価格 x1.40・利益率 11.0%
- 売買仲介(東急リバブル):数量 37,993(仲介の取扱件数(件))× 価格 477(1件当たり手数料等収入(万円/件))→ 売上 1,811 億円・営業利益 525 億円。数量 x1.12・価格 x1.40・利益率 29.0%
- 戦略投資(再生可能エネルギー・物流・海外):数量 1.1(戦略投資事業の投資資産残高(兆円・実質))× 価格 45.6%(資産に対する収益比率(%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 4,929 億円・営業利益 715 億円。数量 x2.40・価格 x1.40・利益率 14.5%
倍率:事業の純利益 1,804 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.09 倍、時価総額 23,614 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:賃貸・管理・仲介は今の延長で伸び、売却等も高めを保つ姿で、現在の決算トレンドに近い。
中立 32% 賃貸と管理が土台、売却は正常化して利益は横ばい 利益 1,287 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,530 円1.80 兆円
東京の需要は底堅く、渋谷の賃貸面積は再開発で15%ほど増え、賃料は物価並みに上がる。仲介は件数がほぼ横ばいで、手数料が物価に連れて上がる。売却等は、今の好況から正常な水準に戻り、売却の量は今の9割、利益率は16%になる。マンション分譲の戸数は人口減で15%ほど減るが、価格が補う。戦略投資は再エネ・物流が計画を少し下回るペースで拡大する。借り換えの利払いが10年で税前約410億円増え、営業利益の伸びの多くを吸収するため、純利益は今より2割ほど増えるにとどまる。広域渋谷圏の賃貸収益という土台は崩れず、含み益は下値を支える。10年で見ると、売却益頼みの増益ではなく、賃貸・管理・仲介の積み上げと、利払いの重さが拮抗する姿だ。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の686億円が10年後に約 807億円(物価で一律に増やすと約 695億円)。営業利益は +112億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。
- 賃貸(オフィス・商業施設):数量 51.4(賃貸面積(万坪・推定))× 価格 26,800(平均賃料(円/坪・月))→ 売上 1,653 億円・営業利益 542 億円。数量 x1.15・価格 x1.34・利益率32.8%・償却は物価で増やさず按分(10年後 807億円)
- 分譲(ブランズ):数量 764(年間計上戸数(戸))× 価格 1.20(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 915 億円・営業利益 114 億円。数量 x0.85・価格 x1.34・利益率 12.5%
- 売却等(投資家向け売却・買取再販・開発案件):数量 21.2(売却する不動産の延べ床面積(万㎡・推定))× 価格 201(1㎡当たり売却単価(万円/㎡・推定))→ 売上 4,269 億円・営業利益 683 億円。数量 x0.90・価格 x1.34・利益率 16.0%
- 管理(マンション・ビル管理・賃貸住宅サービス):数量 104(管理戸数(マンション・賃貸住宅・学生マンションの換算・万戸))× 価格 44(1戸当たり年間売上(万円/戸・ビル管理等を含む換算))→ 売上 4,599 億円・営業利益 294 億円。数量 x1.00・価格 x1.34・利益率 6.4%
- ウェルネス(ホテル・レジャー・ヘルスケア):数量 7.5(延べ利用者数(百万人・宿泊・来場・入居の換算・推定))× 価格 26,666(1人当たり売上(円))→ 売上 1,993 億円・営業利益 201 億円。数量 x1.15・価格 x1.34・利益率 10.1%
- 売買仲介(東急リバブル):数量 35,618(仲介の取扱件数(件))× 価格 456(1件当たり手数料等収入(万円/件))→ 売上 1,625 億円・営業利益 447 億円。数量 x1.05・価格 x1.34・利益率 27.5%
- 戦略投資(再生可能エネルギー・物流・海外):数量 0.8(戦略投資事業の投資資産残高(兆円・実質))× 価格 43.7%(資産に対する収益比率(%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 3,538 億円・営業利益 460 億円。数量 x1.80・価格 x1.34・利益率 13.0%
倍率:事業の純利益 1,287 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 15,135 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:東京一極集中が続き、賃貸・管理・仲介が物価に連れて伸び、売却だけが正常な水準に戻る姿を、もっとも厚く置く。
やや悲観 19% 売却が冷え、金利が高止まりする 利益 460 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 1,047 円7,469 億円
金利が高止まりし、不動産の利回りが切り上がって、投資家向けの売却や買取再販の量が今の7割に減る。利益率も下がる。渋谷の賃料は実質で伸びず、面積も増えない。マンション分譲の戸数は大きく減る。仲介は件数が1割減り、手数料も下がる。戦略投資は電力価格の下落と海外の高金利で拡大が鈍る。借り換えの利払いが重く、自己資本比率の改善は足踏みする。それでも、賃貸と管理の収益は崩れず、ROEは3%台にとどまる。東急不動産HDは、渋谷という場所の価値自体は失わない。だから賃貸の底割れまでは起きない。マンション分譲は建設費と金利の両方に押され、利益率が一桁に落ちる。ウェルネスはインバウンドが一服し、伸びが止まる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の686億円が10年後に約 807億円(物価で一律に増やすと約 812億円)。営業利益は −5億円。建築費の上昇で膨らむ更新・再開発の投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 2億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 賃貸(オフィス・商業施設):数量 44.7(賃貸面積(万坪・推定))× 価格 20,000(平均賃料(円/坪・月))→ 売上 1,073 億円・営業利益 210 億円。数量 x1.00・価格 x1.00・利益率19.5%・償却は物価で増やさず按分(10年後 807億円)
- 分譲(ブランズ):数量 584(年間計上戸数(戸))× 価格 1.03(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 601 億円・営業利益 54 億円。数量 x0.65・価格 x1.15・利益率 9.0%
- 売却等(投資家向け売却・買取再販・開発案件):数量 16.5(売却する不動産の延べ床面積(万㎡・推定))× 価格 173(1㎡当たり売却単価(万円/㎡・推定))→ 売上 2,850 億円・営業利益 342 億円。数量 x0.70・価格 x1.15・利益率 12.0%
- 管理(マンション・ビル管理・賃貸住宅サービス):数量 98.8(管理戸数(マンション・賃貸住宅・学生マンションの換算・万戸))× 価格 41(1戸当たり年間売上(万円/戸・ビル管理等を含む換算))→ 売上 4,076 億円・営業利益 224 億円。数量 x0.95・価格 x1.25・利益率 5.5%
- ウェルネス(ホテル・レジャー・ヘルスケア):数量 6.5(延べ利用者数(百万人・宿泊・来場・入居の換算・推定))× 価格 23,880(1人当たり売上(円))→ 売上 1,552 億円・営業利益 124 億円。数量 x1.00・価格 x1.20・利益率 8.0%
- 売買仲介(東急リバブル):数量 30,530(仲介の取扱件数(件))× 価格 409(1件当たり手数料等収入(万円/件))→ 売上 1,247 億円・営業利益 299 億円。数量 x0.90・価格 x1.20・利益率 24.0%
- 戦略投資(再生可能エネルギー・物流・海外):数量 0.6(戦略投資事業の投資資産残高(兆円・実質))× 価格 35.9%(資産に対する収益比率(%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 2,098 億円・営業利益 147 億円。数量 x1.30・価格 x1.10・利益率 7.0%
倍率:稼ぐ力だけなら事業の純利益464億円×PER10.0倍で約4,644億円にとどまり、悲観の床(約5,400億円)を下回る。床は「稼ぐ力」と「売れる資産の税後」の大きい方なので、この筋書きでも売れる資産を拠り所に、今の自己資本8,981億円に0.60倍を掛けた約5,389億円に置いた。含み益は余り資産として足すのではなく、床として使う。
確率:利益の約4割が売却等で、自己資本比率も薄いため、市況の悪化と高金利が重なる姿は10年では現実味がある。同業よりやや厚めに置く。
悲観 9% 売却が止まり、賃貸の価値が下がる 利益 −184 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 756 円5,389 億円
東京一極集中が止まり、オフィス需要が構造的に細る。渋谷の賃料は名目でも3割以上下がり、面積も減る。売買市場は止まり、売却等は量が半分以下になり、利益率も大きく落ちる。マンション分譲は戸数が3分の1に落ち込む。仲介は件数が3割減る。戦略投資は海外投資の縮小と再エネの供給過剰で、利益がほぼ消える。借り換えは厳しくなるが、資産を売って借金を返すため、利払いの増加は小さい。配当は資産の売却で維持する。純利益は赤字になる。それでも渋谷の保有資産は含み益の厚みで自己資本を支え、含み益込みの純資産の半分ほどが床になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の686億円が10年後に約 807億円(物価で一律に増やすと約 940億円)。営業利益は −133億円。建築費の上昇で膨らむ更新・再開発の投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 33億円(3.5%)を純利益から引いた。
- 賃貸(オフィス・商業施設):数量 41.1(賃貸面積(万坪・推定))× 価格 13,000(平均賃料(円/坪・月))→ 売上 642 億円・営業利益 −69 億円。数量 x0.92・価格 x0.65・利益率-10.7%・償却は物価で増やさず按分(10年後 807億円)
- 分譲(ブランズ):数量 315(年間計上戸数(戸))× 価格 0.85(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 267 億円・営業利益 8 億円。数量 x0.35・価格 x0.95・利益率 3.0%
- 売却等(投資家向け売却・買取再販・開発案件):数量 10.6(売却する不動産の延べ床面積(万㎡・推定))× 価格 143(1㎡当たり売却単価(万円/㎡・推定))→ 売上 1,513 億円・営業利益 91 億円。数量 x0.45・価格 x0.95・利益率 6.0%
- 管理(マンション・ビル管理・賃貸住宅サービス):数量 88.4(管理戸数(マンション・賃貸住宅・学生マンションの換算・万戸))× 価格 38(1戸当たり年間売上(万円/戸・ビル管理等を含む換算))→ 売上 3,355 億円・営業利益 134 億円。数量 x0.85・価格 x1.15・利益率 4.0%
- ウェルネス(ホテル・レジャー・ヘルスケア):数量 5.2(延べ利用者数(百万人・宿泊・来場・入居の換算・推定))× 価格 19,900(1人当たり売上(円))→ 売上 1,035 億円・営業利益 31 億円。数量 x0.80・価格 x1.00・利益率 3.0%
- 売買仲介(東急リバブル):数量 23,745(仲介の取扱件数(件))× 価格 341(1件当たり手数料等収入(万円/件))→ 売上 809 億円・営業利益 121 億円。数量 x0.70・価格 x1.00・利益率 15.0%
- 戦略投資(再生可能エネルギー・物流・海外):数量 0.4(戦略投資事業の投資資産残高(兆円・実質))× 価格 29.3%(資産に対する収益比率(%)× 物価の指数(今=1))→ 売上 1,056 億円・営業利益 11 億円。数量 x0.80・価格 x0.90・利益率 1.0%
倍率:赤字で稼ぐ力は0とみる。株主に残るのは、含み益込みの純資産から、地価・賃料の下落と開発・分譲の評価損、処分値引きで半分を失った残り。今の自己資本8,981億円に0.60倍を掛けた。EV÷営業利益は谷の年の小さな利益で66倍と高く出るが、谷の1年の利益で測る数字ではないので、純資産の床で測った。
確率:東京の需要が構造的に弱まり、金利が大きく上がり、売却の市場が止まる姿は起こりうるが、渋谷の資産と含み益を考えると確率は低く置く。自己資本比率の薄さを踏まえ、ゼロにはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
賃貸(オフィス・商業施設)
広域渋谷圏を中心に、オフィス59棟・商業施設32棟を持って貸す事業。景気が悪くても収入が落ちにくい、会社の土台。
| 数量賃貸面積(万坪・推定) | 価格平均賃料(円/坪・月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 44.7 | 20,000 | 1,073 | 270 |
| 10 年後 中立 | 51.4 | 26,800 | 1,653 | 542 |
取り方:2026/03期の賃貸オフィス626億円と賃貸商業施設447億円(決算短信)の合計1,073億円を、平均賃料2万円/坪・月(渋谷圏の築新旧と商業・地方を混ぜた推定)で割り、面積を約45万坪と逆算した。営業利益270億円は、賃貸等不動産の賃貸損益282億円(決算短信注記)から販売管理費を引いた推定。オフィス・商業施設の営業利益530億円のうち、残る260億円は投資家向け売却等(下の売却等の区分)に置く。賃貸は中立で物価並み(10年で1.34倍)に上がり、面積は再開発の竣工で実質に増える。
分譲(ブランズ)
「ブランズ」ブランドのマンション分譲。引き渡しの戸数で利益が振れる。
| 数量年間計上戸数(戸) | 価格1戸当たり平均価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 899 | 0.89 | 804 | 100 |
| 10 年後 中立 | 764 | 1.20 | 915 | 114 |
取り方:2026/03期の住宅分譲の売上804億円・計上899戸(決算短信)から1戸0.894億円。営業利益は開示がなく、住宅の営業利益222億円のうち分譲を12.5%(約100億円)、残りを投資家向け売却等とみる推定。価格は中立で物価並み(10年で1.34倍)。
売却等(投資家向け売却・買取再販・開発案件)
自分で開発・保有した物件や買い取って直した物件を、投資家や個人に売って稼ぐ事業。売買市場が良いほど利益が出る。賃貸と違って毎年の利益が積み上がらない。
| 数量売却する不動産の延べ床面積(万㎡・推定) | 価格1㎡当たり売却単価(万円/㎡・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 23.6 | 150 | 3,543 | 627 |
| 10 年後 中立 | 21.2 | 201 | 4,269 | 683 |
取り方:2026/03期の次の3つを合わせた。(1)オフィス・商業施設の「その他」956億円(投資家向け売却等)、(2)住宅の「その他」1,168億円(投資家向け売却等)、(3)東急リバブルの仲介セグメントのうち不動産販売1,419億円(買取再販・開発案件の計上)。合計3,543億円。開示は金額だけで面積・単価は無いので、都心の事業用・居住用の売却単価を1㎡150万円と推定し、面積を約24万㎡と逆算した。営業利益627億円は、開示のない部分で、全社の営業利益1,669億円から他の区分の推定を引いた残り(利益率17.7%)。これが営業利益の約4割を占め、取引の多い今の好況の利益であることが、書き直しの最大の変更点。
管理(マンション・ビル管理・賃貸住宅サービス)
東急コミュニティーによるマンション・ビルの管理、東急リバブルの賃貸住宅・学生マンションの管理運営。毎年決まって入る手数料の事業。
| 数量管理戸数(マンション・賃貸住宅・学生マンションの換算・万戸) | 価格1戸当たり年間売上(万円/戸・ビル管理等を含む換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 104 | 33 | 3,432 | 220 |
| 10 年後 中立 | 104 | 44 | 4,599 | 294 |
取り方:管理(売上2,262億円・利益138億円)、賃貸住宅サービス(売上1,081億円・利益78億円)、環境緑化等(売上137億円・利益4億円)を合わせた約3,480億円から、重なりを引いて3,432億円とした。マンション管理83.2万戸、賃貸住宅15.1万戸、学生マンション等5.7万戸の計約104万戸に、ビル管理や改修工事を含めた換算の売上33万円/戸。単価は物価に連れて上がり、戸数は人口減で伸びにくい。
ウェルネス(ホテル・レジャー・ヘルスケア)
ハーヴェストクラブ・東急ステイなどのホテル、ゴルフ場・スキー場、シニア住宅の運営。インバウンドで強い。
| 数量延べ利用者数(百万人・宿泊・来場・入居の換算・推定) | 価格1人当たり売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.5 | 19,900 | 1,293 | 131 |
| 10 年後 中立 | 7.5 | 26,666 | 1,993 | 201 |
取り方:2026/03期のウェルネスの売上1,293億円(ホテル759・レジャー179・ヘルスケア148・その他208)と営業利益131億円(決算短信)。利用者数は開示がないので、1人当たり売上を約2万円と推定して逆算した。
売買仲介(東急リバブル)
不動産の売買の仲介で手数料を稼ぐ事業。資産を使わない。件数は人口と市況に左右される。
| 数量仲介の取扱件数(件) | 価格1件当たり手数料等収入(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 33,922 | 341 | 1,155 | 321 |
| 10 年後 中立 | 35,618 | 456 | 1,625 | 447 |
取り方:売買仲介の売上1,063億円と販売受託等92億円の合計1,155億円(決算短信)を、取扱件数33,922件で割った1件340万円。取扱高は2.56兆円で、手数料率は取扱高の約4%。仲介セグメントの営業利益561億円のうち、売買仲介と販売受託の分は開示がない。売買仲介を利益率28%、販売受託を25%と推定して約321億円とし、残る約240億円は不動産販売(売却等の区分)にみる。件数は人口減と中古市場の拡大が相殺して中立でほぼ横ばい、手数料は物価並みに上がる。
戦略投資(再生可能エネルギー・物流・海外)
再生可能エネルギー(リエネ)、物流施設、ファンド運用、米国・アジアの投資。育てる事業。
| 数量戦略投資事業の投資資産残高(兆円・実質) | 価格資産に対する収益比率(%)× 物価の指数(今=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.5 | 32.6% | 1,466 | 132 |
| 10 年後 中立 | 0.8 | 43.7% | 3,538 | 460 |
取り方:2026/03期の売上1,466億円・営業利益132億円(決算短信)。投資資産は再エネ2,077MW、海外約2,000億円、物流等で約0.45兆円と推定した。内訳は、インフラ・インダストリー利益166億円(うち物流施設等の投資家向け売却136億円)、投資運用66億円、海外は赤字98億円。投資家向け売却の利益が入るため、毎年の利益は売買市場にも左右される。
リスクと懸念
売却等の利益が市況で消える
営業利益の約4割は、投資家向けの売却と買取再販・開発案件の販売から出ている。金利が上がって不動産の利回りが切り上がると、売れる量も価格も落ちる。10年の悲観では、この区分の利益が今の1割ほどに縮む。
自己資本比率の薄さと借り換えコスト
自己資本比率26.3%、純有利子負債は時価総額の約1.9倍。借り換えのたびに新しい金利がかかり、10年で税前の利払いが約410億円増える。増益の大きな部分が利払いに消える。
キャップレートの上昇と渋谷の資産価値
賃料上昇は長く続いている。金利が想定より上がり、キャップレート(不動産の利回り)が切り上がれば、含み益が縮む。含み益は約5,000億円で下値を支えているが、この前提が崩れると安全域が狭まる。
再エネの電力市場リスク
稼働済み容量は約2,077MW。FIT(固定価格買取制度)からFIP(市場価格に上乗せする制度)への移行や電力価格の下落に弱い。2030年度に営業利益595億円という計画に届かない場合は、成長の柱が弱まる。
海外投資の為替・金利リスク
米国・アジアへの優先出資は、現在も営業赤字(2026/03期は約98億円の赤字)だ。為替は150円で固定して見ているが、現地の金利と不動産市況に左右される。
分譲の需要縮小と建設費
人口減で住宅需要の裾野は細る。建設費の高騰で価格は高く、これ以上の値上げに限界がある。都心の高価格帯が持ちこたえる間は問題ないが、郊外・地方が先に効いてくる。
成長投資優先の資本配分
自社株買いより成長投資を優先し、借金を積んで拡大する。金利上昇期は自己資本比率の改善が遅れる。同業が政策保有株を売って資本効率を上げるのとは対照的だ。
今後の分かれ目
- 売買市場が冷え、投資家向けの売却や買取再販の件数が減る
- 営業利益の約4割を占める売却等が縮み、本質価値は中立よりやや悲観の筋書きに近づく。
- 10年国債が想定の3%を大きく超えて上がる
- 借り換えコストが増え、自己資本比率の薄さも重なって、悲観側の確率を上げる必要が出る。
- 戦略投資事業が中計2030の営業利益595億円を前倒しで達成する
- 再エネと物流が都市開発に次ぐ収益源になり、楽観側の筋書きに近づく。
- 渋谷の大規模再開発が計画どおり完成し、満室で稼働する
- 賃貸面積と賃料の両方が押し上げられ、賃貸の利益が積み上がる。
- 東京一極集中が止まり、企業の地方分散・リモートワークが定着する
- 渋谷の賃料上昇が頭打ちになり、やや悲観・悲観の確率を引き上げる必要が出る。
- 自己資本比率が中期的に30%台へ改善する
- 借り換えへの耐性が強まり、悲観の床を上げる余地が出る。
見ておくもの
- 投資家向け売却等・不動産販売の計上額(決算説明資料。仲介セグメントの内訳)
- 広域渋谷圏のオフィス・商業施設の空室率と賃料改定率
- 自己資本比率・純有利子負債と借り換え金利
- 東急リバブルの取扱件数と取扱高
- リエネ発電容量と戦略投資事業の営業利益
- 首都圏マンションの発売戸数と平均価格(ブランズの計上戸数)
- 10年国債利回りと政策金利
倍率と資本コストの決め方
今の株価や倍率から筋書きを作らず、7つの区分(賃貸・分譲・売却等・管理・ウェルネス・売買仲介・戦略投資)を数量×価格で積んだ。仲介セグメントの561億円は、決算短信の内訳(売買仲介・不動産販売・販売受託)に分け、売却に近い部分は売却等に置いた。借り換えの利払いの増加(10年で税前約412億円)は純利益から引いた。倍率は資本コスト8.5%から正当化PERを出し、上限の9割に置いた(中立はROEがk以下なので上限は1÷k)。悲観は稼ぐ力と、含み益込みの純資産から評価損を見込んだ売れる資産で置いた。含み益は悲観の床にだけ使い、中立〜楽観には賃料・売却益が純利益に入っているので足していない。過去のPBRの底は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.9→14.05 倍・やや楽観 PER 11.1→13.09 倍・中立 PER 10.3→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.25%(循環+0.25・借金+1.0)を足した 8.75%。事業は傾いていないので extra は置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。