結論
ダナハーは、バイオ医薬の製造向け(サイティバ・ポール)、研究機器・研究用試薬(サイエックス・ライカ・アブカム)、臨床診断(ベックマン・コールター・セフィード・ラジオメーター)の 3 部門を持つ世界有数のライフサイエンス・診断の会社である。2025 年は売上 246 億ドル(+3%、自然増 +2%)、営業利益 52 億ドル(営業利益率 21.4%)、純利益 36 億ドル、調整後の営業利益率は 28%。買収で積み上がったのれんと無形資産の償却のため、会計上の ROE は 7% 前後と低い。
2026 年は回復の年にあたる。4〜6 月期は売上 63 億ドル(+5.5%、自然増 +3%)で、バイオプロセスの受注は消耗品・装置とも 10% 台半ばで伸びたが、顧客の都合で 1 億ドル強の出荷が翌年にずれた。通期の自然増は 3〜4%、年末には 1 桁半ばに戻す計画である。6 月には診断部門に患者モニタリングのマシモを約 99 億ドルの現金で加え、純有利子負債は 151 億ドルから推定 250 億ドル前後へ増えた。
市場 × シェア(価格は物価より遅れて年 +2.5〜3%、残りが数量)で 4 事業を積み上げると、10 年後の中立は売上 432 億ドル・純利益 89 億ドルと、今の約 2 倍になる。資本コストは 7.75%(基本 8.0% から −0.25%)、成熟後の PER は利益ベースの正当化 PER 16.4 倍(GAAP の純利益に掛け、帳簿の ROE 12.9%・RONIC 10.3%・g 4%)の 8 割の 13.1 倍に置き、10 年後の時価総額は 1,162 億ドル(今の 0.7 倍)。割り引くと今の 1,640 億ドルの約 5 割にとどまる。バリュー投資の観点では、事業の質は高いが、今の値段は成長の回復を織り込みすぎた「割高」と結論する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後を問う。バイオ医薬の製造と病院の検査は、この先 10 年も必要で、事業が消える心配は小さい。堀も、切り替えの費用と DBS が支えており、広がるというより、強い現状を保つ形である。ただし診断(売上の約 4 割)は成長が低く、バイオプロセスの 2 強構造だけがこの会社の価値の核になっている。
オーナー利益を見る。2025 年の純利益は 36 億ドルで、償却を戻した FCF は 53 億ドル。時価総額 1,640 億ドルに対しては 3.2% で、5% の無リスク金利を下回る。償却を戻した調整後の利益は 60 億ドル前後(2026 年予想)で 3.7%。この差は成長の回復と DBS の利益率の改善への前払いである。ROE が低いのは、買って積み上げたのれんが利益を薄めるからで、本業の資本効率ではなく買収の収益率が株主の収益を決める。
安全域では、中立の 10 年後の時価総額(1,433 億ドル)は今の 0.9 倍で、割り引くと今の約 6 割。楽観なら 2,919 億ドルで今の 1.8 倍(割り引いても今の値段を上回る)、悲観は 359 億ドルで今の 2 割強。確率で加重すると価値は今の約 5 割で、事業への確信は高いが、安全域は無い。買う側としての値段は、今の 6 割前後まで下げた所が安全域になる。
何で稼ぐ会社か
3 つの部門で成り立つ。バイオテクノロジー(2025 年 73 億ドル、営業利益率は償却前で 34% 前後)は、バイオ医薬の製造工程で抗体・ワクチン・遺伝子治療薬を作る時に使う培養・精製・ろ過の装置と使い捨て部材を売るサイティバ(2019 年に GE ヘルスケアのバイオ事業を 210 億ドルで取得)とポール(2015 年に 136 億ドル)が中心で、遺伝子の合成を担う IDT と抗体試薬のアブカム(2023 年に 57 億ドルで取得)も入る。売上の約 6 割は消耗品で、使うたびに繰り返し売れる。
ライフサイエンス(73 億ドル)は、質量分析のサイエックス、病理用顕微鏡のライカ、細胞解析のベックマン・コールター・ライフサイエンス、モレキュラー・デバイス、ポールの応用ろ過(食品・半導体・航空)を束ねる。景気と大学・政府の予算、中国の需要に左右される部門で、2025 年は自然増がマイナス 1.5% に沈み、減損のため会計上の営業利益率は 7% に落ちた。調整後では 23% 前後とみる。
診断(99 億ドル、調整後の営業利益率 31% 前後)は、病院の検査室に免疫・化学の分析機を売り試薬を継続して売るベックマン・コールター、感染症の分子検査のセフィード(結核・性感染症・呼吸器)、血液ガスのラジオメーター、病理のライカ・バイオシステムズから成る。2026 年 6 月にマシモ(パルスオキシメータなどの患者モニタリング、医療向けの売上は約 15 億ドルと推定)が加わった。診断の売上の多くは分析機の設置と試薬の組み合わせで、一度設置されると切り替えに時間がかかる。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は切り替えの費用で、バイオ医薬の工程は規制当局に届けた工程の中に部材が組み込まれており、サイティバ・ポールの部材を変えるには再承認が要る。診断の分析機と試薬も、検査室の運用・認証・ソフトと結びつく。第 2 はダナハー・ビジネス・システム(DBS)で、改善を数字で回し、買収した会社の利益率を数年で引き上げる。ベックマンやポールの利益率の底上げが実例である。第 3 は規模で、バイオプロセスの精製・ろ過で世界の上位 2 社(サーモフィッシャー・サイエンティフィックとの 2 強)に入り、競合はメルク KGaA(ミリポアシグマ)、ザルトリウス、レプリジェンなど。
資本効率は表面上は低い。会計上の ROE は 6.9%、ROIC も買収ののれんで薄い。だが償却の約 19 億ドルは現金を伴わず、フリーキャッシュフロー 53 億ドルは純利益 36 億ドルの 1.5 倍で、償却前で見る事業の収益率は 12〜13% ある。2021 年にはコロナの検査・ワクチン需要で営業利益率が 28% まで上がり、その後は検査の反動とバイオプロセスの在庫調整で 21% 台に戻った。
弱点は、診断の成長が低く(2025 年の自然増 +1.5%)、呼吸器検査(コロナ・インフルエンザ)の落ち込みが続くこと、ライフサイエンスが中国・大学向けで弱いこと、買収に使う現金で借金が増えることである。経営は 2020 年からのブレア氏の下で、買収と DBS を回す方針を変えておらず、資本配分の実績は高い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
主な市場は 3 つ。バイオプロセスの市場は世界で約 300 億ドルで、バイオ医薬(抗体・GLP-1・細胞遺伝子治療)の製造規模に比例して年 +8〜10% 伸びる。分析機器・研究機器は競争が激しく、製薬・大学・政府の研究費に連動して年 +4〜5%。臨床診断(免疫・分子・病理)は世界で 1,000 億ドル台の市場で、検査の件数が増えても保険の償還価格が据え置かれるため、年 +3〜4% にとどまる。
循環でいえば、2021 年のコロナ需要の山のあと、2022〜23 年にバイオプロセスの在庫調整で売上が減り、2024〜25 年は大学・政府の予算と中国の逆風で横ばいが続いた。2026 年は底から回復に入る局面で、バイオプロセスの受注は 2 四半期連続で伸び、ライフサイエンスは 4〜6 月期に数年ぶりの自然増 +5.5% に戻った。会社は 2026 年末に 1 桁半ばの自然増へ戻し、2027 年は約 6%(RBC の見方)を見込む。
構造の変化は 3 つ。バイオ医薬の製造の新設(米国への生産回帰を含む)が部材の使用量を押し上げる一方、連続生産や 1 回あたりの製造効率の向上が使用量を抑える。診断では、コロナで膨らんだ呼吸器検査が縮み、病院が検査室を統合して大手に集約している。関税と米中の分断は、中国での売上と機器の部材調達に効く。競争はバイオプロセスでサーモ・メルク・ザルトリウス、診断でロシュ・アボット・シーメンス・ヘルシニアーズ、分析機器でウォーターズ・アジレント・サーモ。分かれ目は、製薬・バイオの設備投資、中国、診断の償還価格である。
資本政策と M&A
還元は自社株買いが中心で、配当は年 9 億ドル前後。2024 年に 60 億ドル、2025 年に 31 億ドルの自社株買いをして株数は年 -2.5% で減ったが、2026 年は 99 億ドルの買収に現金を回し、買い戻しは控える見込み。フリーキャッシュフローは年 53 億ドル、2026 年 4〜6 月期は 12.7 億ドルで +15.5%。
M&A はこの会社の中心の戦略で、ポール(2015)、サイティバ(2019)、アブカム(2023)、マシモ(2026)と、買って DBS で利益率を上げる型を繰り返す。マシモの買収価格は約 99 億ドルで、費用の相乗効果 1.25 億ドルを見込み、初年度から利益を増やすと会社は説明する。ただ、買収の収益率は資本コストを少し超える程度とみて、価値はほぼ中立と置く。ライカ・バイオシステムズによる StatLab の買収(売上約 2.5 億ドル)は小さく数字に入れない。
今後の鍵は、買収を続けるか自社株買いへ戻すか、純有利子負債(推定 250 億ドル前後、時価総額の約 15%)を FCF で返すか、診断の成長を高められるかである。借り換えの金利は約 5.75% に上がる。ダナハーが買われる側になる可能性は時価総額 1,640 億ドルでは現実的でない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
バイオプロセスは底を打った。2026 年 4〜6 月期の受注は消耗品・装置とも 10% 台半ばで伸び、1 億ドル強の出荷が 2027 年にずれただけで、需要は戻っている。抗体・GLP-1・細胞遺伝子治療の新設工場と、米国への生産回帰で、部材の使用量は増える。サイティバとポールは顧客の工程に組み込まれ、切り替えの費用が高い。ライフサイエンスも 4〜6 月期に自然増 +5.5% に戻り、アブカムは買収後で最良の四半期だった。
診断では、呼吸器検査の落ち込みが一巡すれば、呼吸器を除く自然増は +5% で、セフィードの新しい多項目の検査が伸びる。マシモは患者モニタリングで高 1 桁の成長を持ち、DBS で利益率が上がる。会社は 2026 年末に 1 桁半ばの自然増、調整後の営業利益率は年 0.4〜0.5 ポイントの改善、自社株買いの再開で、純利益が年 +10% 台で伸びる。今の PER 45 倍は、償却を戻した調整後の利益で見れば 27 倍で、質の高さに見合う。
慎重な見方
今の PER 45 倍・PBR 3.1 倍は、過去 20 期の中央値(PER 25 倍・PBR 2.8 倍)の約 1.8 倍と 1.1 倍で、成長の回復をすでに織り込んでいる。ROE は 6.9% にすぎず、買収ののれんが利益を薄める。2026 年はバイオプロセスの売上がずれ、通期の自然増は 3〜4% にとどまる。診断は呼吸器の落ち込みで全体を引き下げ、ライフサイエンスは 2025 年の減損で会計上の営業利益率が 7% に落ちた。
マシモは約 99 億ドルを現金で払い、純有利子負債は推定 250 億ドルへ増えた。金利 5% の世界では、買収の収益率が資本コストを超えなければ価値は増えない。マシモは創業者との経営権争いを経た会社で、統合には文化の摩擦のリスクがある。バイオプロセスは 2022〜23 年のように在庫調整で反転する前歴があり、サーモ・ザルトリウス・レプリジェンの攻勢と、連続生産による部材の使用量の減少も重い。成熟後の倍率は今の 45 倍から利益ベースの 13 倍前後へ縮み、割り引けば今の時価総額の約 5 割にとどまる。
どちらに重みを置いたか
事業の回復は強気の見方が強く、確率は中立に最大を置いたうえで、10 年は楽観とやや楽観の合計を 34% とした。値段の議論は慎重な見方が勝つ:今の PER 45 倍は利益ベースの成熟後の倍率(上限 16.4 倍、中立で 13.1 倍)の 2 倍以上で、2025 年の利益が減損と在庫調整で落ち込んだ値でも、回復後の利益で測って中立の 10 年後は割り引いて今の約 5 割。中立 36%、やや悲観 20%、悲観 10% とした。結論は「優れた事業だが、値段は割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 168.22 ドル1,205 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 61.30 ドル439 億ドル)。 今の値に割り戻すと 121.96 ドル873 億ドル、今との差 −46.9%、 期待の年率 0.0%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 320.47 ドル2,295 億ドル | 78.20 ドル560 億ドル | +73.5% | +5.7% | 39.87 ドル285 億ドル |
| やや楽観 | 24% | 235.93 ドル1,690 億ドル | 69.82 ドル500 億ドル | +33.1% | +2.9% | 73.38 ドル525 億ドル |
| 中立 | 36% | 162.31 ドル1,162 億ドル | 62.84 ドル450 億ドル | −2.0% | −0.2% | 81.05 ドル580 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 84.53 ドル605 億ドル | 53.07 ドル380 億ドル | −40.1% | −5.0% | 27.52 ドル197 億ドル |
| 悲観 | 10% | 42.16 ドル302 億ドル | 34.91 ドル250 億ドル | −66.5% | −10.3% | 7.71 ドル55 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 168.22 ドル1,205 億ドル | 61.30 ドル439 億ドル | −0.1% | 0.0% | 229.53 ドル1,644 億ドル |
今の株価時価総額 229.75 ドル1,645 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:バイオ医薬の製造基盤の拡大と診断の再成長で、10 年間自然増 7〜8% 利益 139 億ドル · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 320.47 ドル2,295 億ドル
2035 年の売上は 561 億ドル(2025 年の 2.1 倍、年 +8.0%)。バイオテクノロジーは 209 億ドル(市場 年 +10%・シェア 15.5%:抗体・GLP-1・細胞遺伝子治療の工場新設が続き、サイティバが一括提案で取る)、ライフサイエンスは 146 億ドル、診断は 171 億ドル、マシモは 35 億ドル。DBS と AI・自動化で調整後営業利益率は 34% 近く、GAAP でも 30.5%。純利益は 139 億ドル(2025 年の 3.9 倍)。純有利子負債は返済で小さくなる。成長が落ち着いた後の PER は利益ベースの正当化 PER 18.3 倍(ROE 17.8%・RONIC 12.8%・g 4%・k 7.75%)の 9 割の 16.5 倍。
- バイオテクノロジー:数量 1,349(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 15.5%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 209 億ドル・営業利益 84 億ドル。市場 年 +10.0%(数量 2.03 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 15.5%
- ライフサイエンス:数量 1,126(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 13.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 146 億ドル・営業利益 42 億ドル。市場 年 +6.5%(数量 1.40 倍 × 価格 1.34 倍)・シェア 13.0%
- 診断(マシモを除く):数量 1,629(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 10.5%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 171 億ドル・営業利益 58 億ドル。市場 年 +5.0%(数量 1.27 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 10.5%
- マシモ(患者モニタリング):数量 824(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 4.2%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 35 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 年 +7.5%(数量 1.61 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 4.2%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 17.8%(この筋書きの純利益 139.0 ÷ 自己資本 781 億ドル。帳簿の自己資本に対する利益率。のれんを除かない)は先で薄れ、RONIC = k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 12.8%(堀は普通:ライフサイエンス・診断・バイオ医薬の消耗品は規制に届けた工程と切り替えの難しさで守られるが、のれん(約 430 億ドル)が自己資本の大半で帳簿の ROE は k 付近にとどまり、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.5%(検査の上限)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.3 倍 に対し、90% の 16.5 倍に置いた(事業の幅と消耗品の収入の質は高いが、買収で積んだのれんで ROE が低く、バイオ医薬と診断の需要の循環に振れる、業種共通の物差しどおり)。時価総額 = 純利益 139.0 億ドル × 16.5 倍 = 2294.9 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:10 年間、バイオ医薬の製造設備への投資が年 +10% で続き、サイティバ・ポールのシェアが上がる展開。診断でセフィードとマシモが成長を引き上げる。会社の 2027 年の道筋(約 6%)をやや上回る期間が長く続くので 10%。
やや楽観 24% やや楽観:バイオプロセスが年 +9%、利益率は年 0.3 ポイント改善 利益 114 億ドル · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 235.93 ドル1,690 億ドル
2035 年の売上は 495 億ドル(年 +6.6%)。バイオテクノロジーは 182 億ドル、ライフサイエンスは 129 億ドル、診断は 154 億ドル、マシモは 30 億ドル。償却前の営業利益率は 33.3%、GAAP は 28.9%。マシモの相乗効果(1.25 億ドル)は 2031 年までに出きり、診断の利益率が上がる。純利益は 114 億ドル。成熟した倍率は成長が 5% 台へ落ち着く局面で、正当化 PER 17.4 倍の 8.5 割の PER 14.8 倍。バイオテクノロジーは年 +9% の市場でサイティバがシェア 14.8% へやや伸ばし、受注の増加がそのまま売上に出る。ライフサイエンスは大学・政府が戻り年 +5.5%。診断は呼吸器の縮小が終わり、セフィードとマシモの伸びで年 +4.2%。自社株買いが 2027 年から再開し、10 年に 500 億ドルを還元する。
- バイオテクノロジー:数量 1,231(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 14.8%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 182 億ドル・営業利益 70 億ドル。市場 年 +9.0%(数量 1.85 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 14.8%
- ライフサイエンス:数量 1,025(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 12.6%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 129 億ドル・営業利益 36 億ドル。市場 年 +5.5%(数量 1.27 倍 × 価格 1.34 倍)・シェア 12.6%
- 診断(マシモを除く):数量 1,509(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 10.2%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 154 億ドル・営業利益 51 億ドル。市場 年 +4.2%(数量 1.18 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 10.2%
- マシモ(患者モニタリング):数量 751(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 4.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 30 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 年 +6.5%(数量 1.47 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 4.0%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 15.4%(この筋書きの純利益 114.0 ÷ 自己資本 742 億ドル。帳簿の自己資本に対する利益率。のれんを除かない)は先で薄れ、RONIC = k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 11.6%(堀は普通:ライフサイエンス・診断・バイオ医薬の消耗品は規制に届けた工程と切り替えの難しさで守られるが、のれん(約 430 億ドル)が自己資本の大半で帳簿の ROE は k 付近にとどまり、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.5%(検査の上限)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.4 倍 に対し、85% の 14.8 倍に置いた(事業の幅と消耗品の収入の質は高いが、買収で積んだのれんで ROE が低く、バイオ医薬と診断の需要の循環に振れる、業種共通の物差しどおり)。時価総額 = 純利益 114.0 億ドル × 14.8 倍 = 1689.5 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:バイオ医薬の製造が年 +9% で伸び、サイティバがシェアをやや伸ばす展開。診断は 4% 台。会社の長期の見通し(バイオ高 1 桁成長)に近い。
中立 36% 中立:バイオは年 +7.5%、診断は年 +3.7%、成熟した高品質の会社として評価 利益 89 億ドル · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 162.31 ドル1,162 億ドル
2035 年の売上は 432 億ドル(2025 年の 1.65 倍、年 +5.2%)。バイオテクノロジーは 150 億ドル(市場 年 +7.5%・シェア 14.0% を保つ。サーモ・ザルトリウス・レプリジェンの追い上げをサイティバの工程への組み込みが受け止める)、ライフサイエンスは 112 億ドル、診断は 144 億ドル、マシモは 26 億ドル。償却前の営業利益率は 32%、GAAP は 26.6%(償却が名目で横ばいなので比率は下がる)。純利益は 89 億ドルと 2025 年の 2.5 倍、年 +9%(利益率の改善と、金利負担の低下による)。自社株買いと配当で 10 年に 450 億ドルを正味で還元し、残りは返済と買収に回る。成熟後の PER は利益ベースの正当化 PER 16.4 倍(ROE 12.9%・RONIC 10.3%・g 4%・k 7.75%)の 8 割の 13.1 倍。
- バイオテクノロジー:数量 1,072(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 14.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 150 億ドル・営業利益 56 億ドル。市場 年 +7.5%(数量 1.61 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 14.0%
- ライフサイエンス:数量 932(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 12.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 112 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 年 +4.5%(数量 1.16 倍 × 価格 1.34 倍)・シェア 12.0%
- 診断(マシモを除く):数量 1,438(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 10.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 144 億ドル・営業利益 46 億ドル。市場 年 +3.7%(数量 1.12 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 10.0%
- マシモ(患者モニタリング):数量 683(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 3.8%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 26 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 年 +5.5%(数量 1.33 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 3.8%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 12.9%(この筋書きの純利益 89.0 ÷ 自己資本 688 億ドル。帳簿の自己資本に対する利益率。のれんを除かない)は先で薄れ、RONIC = k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 10.3%(堀は普通:ライフサイエンス・診断・バイオ医薬の消耗品は規制に届けた工程と切り替えの難しさで守られるが、のれん(約 430 億ドル)が自己資本の大半で帳簿の ROE は k 付近にとどまり、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.5%(検査の上限)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.4 倍 に対し、80% の 13.1 倍に置いた(事業の幅と消耗品の収入の質は高いが、買収で積んだのれんで ROE が低く、バイオ医薬と診断の需要の循環に振れる、業種共通の物差しどおり)。時価総額 = 純利益 89.0 億ドル × 13.1 倍 = 1162.3 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:議論の落としどころ。業界ノートの中立(業界全体で年 +6%)に沿い、バイオは +7.5%、分析機器 +4.5%、診断 +3.7%。M&A は価値中立(買収の収益率 ≒ 資本コスト)とし、利益には入れても倍率には入れない。市場の伸びは名目で、価格は物価 3.5%(10 年で 1.41 倍)に対し年 +2.5%(1.28 倍)にとどまる前提(大口契約・競争・技術進歩、診断は償還価格の据え置き)。
やや悲観 20% やや悲観:自然増 3〜4%、診断と研究機器が伸びず、買収の収益が資本コストに届かない 利益 57 億ドル · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 84.53 ドル605 億ドル
2035 年の売上は 347 億ドル(年 +2.9%)。バイオテクノロジーは 115 億ドル、ライフサイエンスは 92 億ドル、診断は 119 億ドル、マシモは 21 億ドル。償却前の営業利益率は 29.5% で伸びず、GAAP は 22.2%。買収で成長を補うが、収益率は資本コストに届かず、償却と金利負担が重い。純利益は 57 億ドル。正味の還元は 380 億ドル。PER は成長の鈍化を入れても、正当化 PER の上限 14.2 倍(ROE 9.3%・RONIC 8.5%)の 7.5 割の 10.6 倍。バイオテクノロジーは連続生産への移行と、ザルトリウス・中国勢の攻勢でシェアが 13% へ下がり、価格も実質で毎年 1% 下がる。診断は病院の集約で値引きを迫られる。DBS で費用を削っても、売上の伸びの鈍さが利益率の改善を相殺する。
- バイオテクノロジー:数量 888(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 13.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 115 億ドル・営業利益 39 億ドル。市場 年 +5.5%(数量 1.33 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 13.0%
- ライフサイエンス:数量 822(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 11.2%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 92 億ドル・営業利益 22 億ドル。市場 年 +3.2%(数量 1.02 倍 × 価格 1.34 倍)・シェア 11.2%
- 診断(マシモを除く):数量 1,280(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 9.3%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 119 億ドル・営業利益 36 億ドル。市場 年 +2.5%(数量 1.00 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 9.3%
- マシモ(患者モニタリング):数量 592(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 3.5%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 21 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 年 +4.0%(数量 1.16 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 3.5%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 9.3%(この筋書きの純利益 57.0 ÷ 自己資本 613 億ドル。帳簿の自己資本に対する利益率。のれんを除かない)は先で薄れ、RONIC = k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 8.5%(堀は普通:ライフサイエンス・診断・バイオ医薬の消耗品は規制に届けた工程と切り替えの難しさで守られるが、のれん(約 430 億ドル)が自己資本の大半で帳簿の ROE は k 付近にとどまり、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.5%(検査の上限)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.2 倍 に対し、75% の 10.6 倍に置いた(買収の統合の遅れとバイオ医薬・診断の需要の鈍りで ROE が k を少し上回る程度に下がる。中立の 8 割より低く置く)。時価総額 = 純利益 57.0 億ドル × 10.6 倍 = 605.3 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:NIH の恒常的な縮小・中国の国産化・米中の関税が続き、診断の償還価格も下がる展開。バイオ医薬の製造も連続生産で使用量が減り、年 +5.5% に落ちる。2023〜25 年の停滞が続く姿。
悲観 10% 悲観:構造的に負ける(連続生産・中国の国産化・診断の価格競争・買収の失敗) 利益 26 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 42.16 ドル302 億ドル
2035 年の売上は 260 億ドル(2025 年とほぼ同じ、名目で年 +0.0%)。バイオテクノロジーは 84 億ドル(シェア 11.5%)、ライフサイエンスは 70 億ドル、診断は 91 億ドル、マシモは 15 億ドル。償却前の営業利益率は 25% 台へ下がり、GAAP は 16.5%。のれんの減損と金利負担で純利益は 26 億ドルにとどまる。バイオプロセスの利益率は 32% へ下がり、診断も値下げを強いられる。自己資本は減損後で約 565 億ドル、優良企業ではなく普通の機器・診断会社として、この筋書きの ROE 4.6% は k 以下で正当化 PER は 1 ÷ k = 12.9 倍が上限のため、その 9 割の 11.6 倍に置いた(自己資本の約 0.5 倍)。
- バイオテクノロジー:数量 734(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 11.5%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 84 億ドル・営業利益 27 億ドル。市場 年 +3.5%(数量 1.10 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 11.5%
- ライフサイエンス:数量 696(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 10.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 70 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 年 +1.5%(数量 0.86 倍 × 価格 1.34 倍)・シェア 10.0%
- 診断(マシモを除く):数量 1,105(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 8.2%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 91 億ドル・営業利益 24 億ドル。市場 年 +1.0%(数量 0.86 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 8.2%
- マシモ(患者モニタリング):数量 488(該当する市場の規模(億ドル))× 価格 3.0%(シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格)→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 年 +2.0%(数量 0.95 倍 × 価格 1.28 倍)・シェア 3.0%
倍率:悲観側の利益ベースの上限の内側に置く。この筋書きの ROE 4.6%(純利益 26.0 ÷ 自己資本 565 億ドル)は k 7.75% 以下なので、ためた利益は元の額より小さい価値で、正当化 PER は 1 ÷ k = 12.9 倍が上限。その 90% の 11.6 倍に置いた(構造的に負けた会社:のれんの減損と診断の値下げで ROE が k 以下。式の上限(1 ÷ k)の 9 割に置き、稼ぐ力(純利益 ÷ k)を超えない)。時価総額 = 純利益 26.0 億ドル × 11.6 倍 = 301.9 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:10 年の間に、バイオ医薬の製造が連続生産などで部材の使用量を減らし、ザルトリウスや中国勢にバイオプロセスのシェアを奪われ、診断で大病院の集約と償還価格の引き下げが進み、マシモなどの買収でのれんの減損が出る展開。優良の地位を失う姿で、確率は 1 割。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
バイオテクノロジー
バイオ医薬の製造向けの培養・精製・ろ過の装置と使い捨て部材(サイティバ・ポール)、遺伝子合成(IDT)、抗体試薬(アブカム)。最も利益率が高い。
| 数量該当する市場の規模(億ドル) | 価格シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 520 | 14.0% | 73 | 25 |
| 10 年後 中立 | 1,072 | 14.0% | 150 | 56 |
取り方:2025 年のセグメント売上 72.9 億ドルを、バイオプロセスの市場(約 300 億ドル)と研究用試薬・遺伝子合成(約 220 億ドル)を合わせた推計市場 520 億ドルで割った約 14% のシェア。会計上の営業利益率は 25.6%、償却を除く調整後で約 34%(償却は調整欄に入れた)。市場は名目で、価格は物価(3.5%)より遅れて年 +2.5%(消耗品は大口の長期契約、機器は競争で、実質は年 -1%)、残りを数量の伸びとした。競合はサーモフィッシャー・サイエンティフィック、メルク KGaA(ミリポアシグマ)、ザルトリウス、レプリジェンで、精製・ろ過では上位 4 社の寡占。
ライフサイエンス
質量分析(サイエックス)、病理用顕微鏡(ライカ)、細胞解析(ベックマン・コールター・ライフサイエンス)、ポールの応用ろ過。景気・大学・政府・中国に左右される。
| 数量該当する市場の規模(億ドル) | 価格シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 12.2% | 73 | 17 |
| 10 年後 中立 | 932 | 12.0% | 112 | 29 |
取り方:2025 年のセグメント売上 73.3 億ドル(自然増 -1.5%)÷ 推計市場 600 億ドル。会計上の営業利益率は 7.1%(減損を含む)、減損・償却を除く調整後で約 23%。市場は名目で、価格は物価より遅れて年 +3%、残りを数量とした。競合はサーモフィッシャー・サイエンティフィック、アジレント・テクノロジー、ウォーターズ、ブルカー、日本の島津製作所。質量分析ではサーモ・ウォーターズと 3 強。
診断(マシモを除く)
病院の検査室向けの免疫・化学の分析機と試薬(ベックマン・コールター)、感染症の分子検査(セフィード)、血液ガス(ラジオメーター)、病理(ライカ・バイオシステムズ)。
| 数量該当する市場の規模(億ドル) | 価格シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 10.0% | 100 | 31 |
| 10 年後 中立 | 1,438 | 10.0% | 144 | 46 |
取り方:2025 年のセグメント売上 99.4 億ドル(自然増 +1.5%)÷ 推計市場 1,000 億ドル(臨床診断の世界市場の推定)で約 10%。会計上の営業利益率は 26.7%、償却を除く調整後で約 31%。市場は名目で、価格は償還価格が据え置かれるため物価より遅れて年 +2.5%。競合はロシュ(Roche)、アボット、シーメンス・ヘルシニアーズ、ビオメリュー。呼吸器検査(コロナ・インフルエンザ)が縮小中で、これを除くと +5%。
マシモ(患者モニタリング)
2026 年 6 月に買収したパルスオキシメータなどの患者モニタリング。診断部門の中の独立会社として運営される。
| 数量該当する市場の規模(億ドル) | 価格シェア(売上 ÷ 市場規模)。市場は名目=数量 × 価格 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 400 | 3.8% | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 683 | 3.8% | 26 | 7 |
取り方:買収が成立済みなので、医療向けの 2025 年の推定売上 約 15 億ドル(消費者向けの売却後。出典で確認できず推定)を足した pro forma。÷ 推計市場 400 億ドル(患者モニタリング)で約 3.75%。営業利益率は約 23%(相乗効果 1.25 億ドルは成熟後の利益率に入れた)。価格は年 +2.5%。競合はフィリップス、メドトロニック、GE ヘルスケア。
リスクと懸念
バイオプロセスの在庫調整・出荷のずれ
2022〜23 年にコロナ関連の在庫が反転して売上が減った前歴がある。2026 年 4〜6 月期は顧客の都合で樹脂の出荷が 1 億ドル強ずれた。受注が伸びても売上に出るまでの時間は読みにくく、製薬・バイオの資金調達が悪化すれば数量が 10% 以上落ちる。
競合の攻勢と連続生産への技術変化
サーモフィッシャー・サイエンティフィック・ザルトリウス・メルク KGaA・レプリジェンがバイオプロセスで価格と機能を競う。連続生産や 1 回あたり収量の向上で、使い捨て部材の使用量が減れば、長期の数量が下がる。サイティバは工程への組み込みで守られているが、新しい工程では選ばれ直す。
診断の低成長と呼吸器検査の縮小
診断は売上の約 4 割だが 2025 年の自然増は +1.5% にとどまり、コロナ・インフルエンザの検査の縮小が続く(呼吸器を除くと +5%)。病院の検査室の統合と保険の償還価格の据え置きで価格が伸びず、全社の成長を引き下げる。
マシモの統合と買収の回収
マシモを約 99 億ドルの現金で買い、純有利子負債は推定 250 億ドル前後に増えた。創業者との争いを経た会社で、統合の摩擦や診断部門との相乗効果の遅れがありうる。収益率が資本コスト(7.75%)を超えなければ価値は増えない。金利 5% の世界では利払いが利益を食う。
大学・政府・中国
ライフサイエンスは 2025 年に自然増 -1.5% まで沈み、2026 年 4〜6 月期に +5.5% へ戻った。NIH の予算の恒常的な縮小や中国の国産化・関税が起きれば、分析機器と研究用試薬が再び落ちる。
倍率の縮み
今の PER 45 倍・PBR 3.1 倍は、過去 20 期の中央値(PER 25 倍・PBR 2.8 倍)より高く、成長の回復と DBS の利益率の改善を先取りしている。計画どおり進んでも、成熟後の倍率が利益ベースの 13 倍前後(上限 16 倍)へ縮めば、時価総額は今を下回る。
関税とサプライチェーン
分析機器と診断の機器は国際的な部材調達に依存し、関税・輸出規制・為替で費用が増える。価格転嫁が間に合わなければ、利益率の改善(年 0.4〜0.5 ポイント)が止まる。中国向けの売上は全社の 1 割強で、関税の報復や輸出規制が強まると、機器の出荷と試薬の調達の両方に影響する。
今後の分かれ目
- バイオプロセスの受注が 2027 年に売上へ変わり、自然増が 6% を超えて続いたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。10 年の確率を楽観側へ 5〜10 ポイント動かし、成熟後の倍率を 1〜2 倍上げて見る。
- 出荷のずれが解消せず、バイオプロセスの受注も 2 四半期続けて鈍ったら
- 在庫調整の再来とみて、やや悲観・悲観の確率を上げる。10 年の中立の純利益が 1 割下がる。
- 診断の呼吸器を除く自然増が 5% を保ち、マシモの相乗効果が計画より早く出たら
- 診断の利益率が上がり、中立の純利益が 3〜5% 増える。
- 診断の自然増が 2 年続けて 1% を下回り、償還価格の引き下げが重なったら
- 全社の成長が 1 ポイント下がり、倍率を 2 倍下げる。やや悲観へ確率を動かす。
- 大学・政府・中国の売上が 2 年続けて減ったら
- ライフサイエンスの利益率が 2〜3 ポイント下がり、中立の純利益が 5% 下がる。
- 大型買収を続けて純有利子負債が時価総額の 20% を超えたら
- 金利負担で純利益の伸びが鈍り、倍率を 1〜2 倍下げて見る。自社株買いへの回帰は倍率を支える。
見ておくもの
- バイオテクノロジーの受注(消耗品・装置)と売上のずれの戻り
- 部門別の自然増(バイオ・ライフサイエンス・診断・呼吸器を除く診断)
- マシモの売上と相乗効果の進み
- 調整後営業利益率の改善幅(年 0.4〜0.5 ポイント)
- 純有利子負債と自社株買いの再開
- NIH 予算・中国の売上
- サーモフィッシャー・サイエンティフィック・ザルトリウスの受注とシェア
倍率と資本コストの決め方
今の PER 45 倍・時価総額 1,640 億ドルを見る前に、バイオ・ライフサイエンス・診断・マシモの市場 × シェアで 10 年後の売上と利益を積み、償却と本社費・金利を引いてから倍率を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)、g 4% で止める、k は基本 8.0% に quality −0.25% で 7.75%)の 7.5〜9 割で GAAP の純利益に掛ける。ROE は帳簿の値でのれんを除かない(買収で伸びる会社)。10 年の中立は上限 16.4 倍の 8 割で 13.1 倍。悲観は ROE が k 以下なので上限(1 ÷ k)の 9 割に置き、稼ぐ力(純利益 ÷ k)を超えない。前の版の「適正」から結論は「割高」に変わったが、計算の結果で、最後に今の値段と比べた。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 5% + β 0.85 × 5%。基本 8.0% に quality −0.25% を足して 7.75%。売上の約 6 割が消耗品・試薬・サービスで、物価についていける事業なので 8% を少し下回る水準が妥当。マシモの買収で純有利子負債は増えるが、返済は速い。診断の低成長・買収の統合・中国は k に足さず、確率(悲観とやや悲観の合計 10 年 30%)で表した。存続は危うくないので上乗せ 0。