結論
エヌビディアは AI 向け GPU(演算チップ)と、それをつなぐネットワーク(NVLink・InfiniBand・イーサネット)、さらに CUDA というソフトの束で、データセンター向け AI 計算の大半を握る会社である。2026 年 7 月期の四半期売上は 962 億ドル(前年比 2.1 倍)、粗利益率は 75%、次の四半期の見通しは 1,080 億ドルと、年率 4,000 億ドルを超える規模に達した。顧客の上位 5 社(マイクロソフト・アマゾン・グーグル・メタ・オラクルなど)が事業の約 6 割を占め、その設備投資が続く限り伸びる構造になっている。
売上は「AI 演算チップの市場(実質)× シェア × 価格(物価並みで 10 年 1.41 倍)」で積んだ。10 年後は市場が実質 7,500 億ドルまで伸びる一方、グーグルの TPU(ブロードコム設計)・アマゾンの Trainium など顧客自身のチップと AMD にシェアを譲って 55% へ下がり、売上 8,800 億ドル・営業利益率 48% で落ち着く、というのが中立の見立てである。
バリュー投資の観点では、事業の質(ROE 76%・営業利益率 60%・純現金)は歴史的な水準にある。資本コスト 8.5%(基本 8% + 循環 0.75%・値決め −0.5%・寿命 0.25%)で割り引き、倍率を利益ベースの正当化 PER(余った現金を除いた事業の ROE 100% 超・堀は強い・g は AI の計算量の伸びを見て 4.5%)の 8.5 割に置くと、10 年後の中立は純利益の約 20.8 倍(積み上がる純現金 約 7,000 億ドルを 1 ドルで足した値)。確率で加重した本質価値は今の値段を 4% ほど下回り(適正)、今の時価総額は中立の筋書きの少し先に行っている。悲観の側(10 年でやや悲観・悲観に 33%)の下げは深く、安全域は無い。事業は素晴らしいが、値段は割安ではない会社と見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。AI 計算の需要は 10 年後も存在する可能性が高い。ただし今より強いかは分からない。CUDA と NVLink の堀は当面広がるが、顧客が自社チップを持つことで、価格を決める力は 10 年のうちに削られる方向にある。堀は「広い」が「永続的に独占」ではない。
次にオーナー利益。工場を持たず設備投資が小さいため、純利益のほとんどが株主のものになるが、株式報酬(年 70〜100 億ドル級)は本物の費用として引く。2025 年度のオーナー利益は純利益 1,200 億ドルから株式報酬を引いた 1,130 億ドル前後。これを今の時価総額 5 兆 2,000 億ドルで割ると 2% に届かない。10 年国債が 5% の世界では、成長で埋める部分があまりに大きい。
資本配分は、本業への投資が極めて高い収益を生んできたが、直近は顧客への出資や資産取得が増えている。安全域は、悲観の筋書き(需要が半減する)で現金が厚く底を支える点にあるが、それでも時価総額は今の 1 割台(約 8,500 億ドル)まで下がる。
結論として、事業の質は最高級だが、予測の確実性は中程度(顧客の設備投資の持続という外部要因に依存)で、資本コストは 8.5% に置く。今の値段は確率で加重した価値を 4% ほど上回るだけだが、悲観の側の下げが深いので安全域は薄い。こういう時は、値段が下がるのを待つのが正しい。
何で稼ぐ会社か
売上の 9 割超がデータセンター事業で、その中身は大きく 2 つある。1 つは演算(ブラックウェル・ベラ・ルービンの GPU と、ラック単位のシステム〔NVL72 など〕、ArmベースのCPU「ベラ」)、もう 1 つはネットワーク(NVLink スイッチ、InfiniBand、Spectrum-X イーサネット、光接続)である。演算が売上の約 75%、ネットワークが約 15% を占め、ネットワークは GPU に付随して伸びるため、2025 年度(2026 年 1 月期)に 300 億ドル台から急拡大している。
残りはゲーム用 GPU(GeForce)、プロ向けの描画(RTX Pro)、自動車・ロボット(Drive・Jetson)、ソフトの購読(NVIDIA AI Enterprise)である。ゲームは 160 億ドル前後と、いまや全体の 1 割に満たない。2026 年には AI 推論専用のグロック(Groq)の資産を約 200 億ドルで取得し、LPU という低遅延の推論チップを製品に加えた。
顧客はマイクロソフト・アマゾン・グーグル・メタ・オラクルの 5 社が 6 割、残りがオープン AI・アンソロピック・xAI などの AI 企業と、各国のソブリン AI、企業向けである。売上は「GPU 1 個の単価(現在は 3 万ドル前後、ラック単位では数百万ドル)× 出荷個数」で決まり、製造はすべて TSMC(台湾)、HBM メモリは SK ハイニックス・サムスン・マイクロンから調達する。工場を持たないため、設備投資は小さく、利益のほとんどが現金になる。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は CUDA。20 年かけて積み上げたライブラリと開発者(数百万人)の資産で、AI の研究・学習の標準になっており、他社の GPU やASICへ移すには書き換えの費用と時間がかかる。第 2 は NVLink を中心とした「ラック全体を 1 つの計算機として売る」設計で、GPU 単体の性能比較では測れない。第 3 は供給力で、TSMC の先端パッケージ(CoWoS)と HBM を、他社より先に大量に確保できる購買力である。
結果として、粗利益率 75%・営業利益率 60% という半導体としては異例の価格決定力を持つ。ROE は 2024 年度に 92%、2025 年度に 76%(自己資本が急に厚くなった分を含む)で、純現金が 500 億ドルを超える。経営者のジェンセン・ファン(創業者)は 30 年以上経営を続け、研究開発への投資姿勢は一貫している。
弱点は 3 つある。上位 5 社に売上の 6 割が集中すること、その顧客が自社チップ(TPU・Trainium・MTIA)を内製して交渉力を高めていること、そして需要が顧客の AI 収益化ではなく設備投資の借入・期待で支えられている部分があることだ。加えて 2022 年に営業利益が前年比 −44% になったように、利益は循環に弱い。堀は広いが、「顧客が自分で作れる」というタイプの堀であり、独占の堀ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
AI データセンター向けの演算半導体は、2026 年に GPU とカスタムチップ(ASIC)を合わせて 4,500 億ドル規模と推定されるが、エヌビディアの 2026 年 7 月期の年率売上だけで 4,000 億ドルを超えており、市場の推計は実績に追い越されている。需要を押し上げているのは、大規模言語モデルの学習から、推論(エージェント・動画生成・コード生成)への広がりである。設備投資は上位 5 社だけで年 6,000〜7,000 億ドル規模に膨らみ、供給(TSMC の CoWoS・HBM・電力)が制約になっている。
構造の変化は 3 つある。第 1 に ASIC:グーグル TPU(ブロードコム設計)はアンソロピックやメタへ外販され、アマゾンの Trainium はマーベルとの設計で拡大しており、顧客の自社チップが数量で 2〜4 割に達する見込みである。第 2 に推論専用チップ:グロックの買収はこの領域への対応で、GPU の汎用性が仇になる局面への備えである。第 3 に輸出規制:中国向けは実質ゼロに近く、ファーウェイの昇騰が国内市場を埋めている。
循環の位置は「山へ向かう途中」と見る。2027 年末までの受注見通し(約 1 兆ドル)は会社が示すが、累計のパイプラインであり、確定した売上ではない。ネットワークや電力の制約が緩むと、2028〜29 年に供給過剰と減価償却の負担が顧客の設備投資の抑制につながる局面がありうる。競合は AMD(MI400 とラック設計)、ブロードコム、マーベル、インテル(再建中)。
資本政策と M&A
還元は急速に厚くなった。2025 年度の自社株買いは約 400 億ドル、配当は 10 億ドル弱だったが、2026 年 5 月に自社株買いの枠を 800 億ドル積み増して総枠を約 2,350 億ドルとし、四半期配当を大きく引き上げた。会社は「フリーキャッシュフローの 50% 以上を、戦略的な使い道を除いて還元」と明言している。ただし米国の会社の常で株式報酬が大きく、自社株買いの一部は株の増加を打ち消すだけなので、正味の還元は表の額より小さい。
戦略投資が増えている点は要注意である。オープン AI・アンソロピック・xAI・コアウィーブなど、顧客や取引先に出資や与信を出して需要を作る面があり、「自分のチップを買う顧客に資金を出す」循環取引ではないかという批判がある。グロックの資産取得(約 200 億ドル)は技術の確保として筋が通るが、資本配分としては、利益率の高い本業の周辺に現金が流れ出る形になっている。
アームの買収(400 億ドル)は 2022 年に規制で断念した前例があり、大型買収は独占禁止法の壁が高い。買われる側になる可能性は時価総額上ほぼ無い。資本配分は、買収より自社株買いへ流れる方向が自然だが、割高な水準での買い戻しは価値を壊す点が、バリュー投資家には気になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要は供給が追いつかない状態が続く。2026 年 7 月期の売上は 962 億ドルで、会社は次の四半期を 1,080 億ドルと見込み、2028 会計年度は約 +70% の成長を示唆した。ブラックウェルとルービンで 1 兆ドルの受注見通しがあり、そこにグロックの LPU・単体 CPU・光接続が上乗せされる。AI は学習から推論へ広がり、エージェントが使うトークンの量は桁違いに増える。
CUDA と NVLink の堀は、ASIC との競争でも崩れない。ASIC は特定のモデル向けで、モデルが毎年変わる世界では汎用の GPU が有利で、開発者のソフト資産が移れない。ネットワークと CPU と推論専用チップを束ねるラック全体の設計を握るため、単価は GPU 単体より上がる。
10 年後も、AI 計算の市場は年 1 兆ドル級に育ち、エヌビディアが 6 割を握れば、売上は 1.2 兆ドル、営業利益率が 54% でも純利益は 6,000 億ドル近い。自社株買いを毎年大きく続ければ、株主への還元だけで時価総額の相当な割合を返せる。
慎重な見方
顧客の設備投資が、顧客の AI 収益を大きく上回る状態が続いている。上位 5 社の設備投資は年 6,000 億ドル以上だが、AI アプリの課金収入はその数分の 1 で、減価償却の負担が 2028 年以降に利益を圧迫すれば、設備投資は半減する。2022 年の例では、営業利益が 1 年で 44% 落ち、株価は 63% 下がった。
その顧客は自社チップを持ち始めた。グーグル TPU はアンソロピックとメタに外販され、アマゾン Trainium・マイクロソフト Maia・メタ MTIA が増える。顧客が価格を決める力を持つと、GPU の粗利益率 75% は維持できず、単価が年 3〜5% ずつ下がる。
オープン AI などへの出資・与信は、需要が持続するかを疑わせる動きで、「自分で需要を作っている」構図にも見える。さらに TSMC への依存(台湾リスク)、中国市場の消失、HBM と電力の制約が重なる。倍率は成熟後に利益ベースの正当化 PER の 8.5 割(純現金込みで 18.5 倍)へ縮むため、利益が今の 3 倍強になっても、時価総額は今より 4 割弱しか上がらない計算になる。
どちらに重みを置いたか
強気の言う「需要は強い」は認め、10 年も楽観・やや楽観・中立で 67% の確率を置いた。資本コスト 8.5% と、利益ベースの正当化 PER の 8〜9.5 割に置いた倍率(純現金込みで 10 年 19.1〜23.4 倍)を掛け、8.5% で割り引くと、中立は 10 年で今の時価総額の 7 割弱にとどまる。慎重な見方の勝ち所は、10 年後に顧客の自社チップがシェアを奪い価格を決める点で、10 年は中立の下振れ(やや悲観)と悲観に 33% を置いた。結果として総合は「適正」で、安全域は薄い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 330.73 ドル8.11 兆ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 89.63 ドル2.20 兆ドル)。 今の値に割り戻すと 205.89 ドル5.05 兆ドル、今との差 −3.0%、 期待の年率 +7.1%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 680.70 ドル16.69 兆ドル | 161.95 ドル3.97 兆ドル | +297.1% | +14.8% | 101.12 ドル2.48 兆ドル |
| やや楽観 | 22% | 480.05 ドル11.77 兆ドル | 121.56 ドル2.98 兆ドル | +183.5% | +11.0% | 132.35 ドル3.24 兆ドル |
| 中立 | 33% | 330.87 ドル8.11 兆ドル | 90.56 ドル2.22 兆ドル | +98.6% | +7.1% | 139.07 ドル3.41 兆ドル |
| やや悲観 | 20% | 148.69 ドル3.64 兆ドル | 52.22 ドル1.28 兆ドル | −5.3% | −0.5% | 40.18 ドル9,850 億ドル |
| 悲観 | 13% | 34.67 ドル8,499 億ドル | 24.07 ドル5,900 億ドル | −72.3% | −12.1% | 7.64 ドル1,872 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 330.73 ドル8.11 兆ドル | 89.63 ドル2.20 兆ドル | +98.1% | +7.1% | 420.36 ドル10.30 兆ドル |
今の株価時価総額 212.21 ドル5.20 兆ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 12% AI が汎用の基盤になり、市場が 1 兆ドル超で続く 利益 7,139 億ドル · PER 23.4 倍 · 株価時価総額 680.70 ドル16.69 兆ドル
AI が汎用の基盤になり、2035 年 1 月期の AI 演算チップの市場は実質 1 兆 500 億ドル(3 年後の 1.7 倍)。ASIC は数量で 3 割まで増えるが、当社はラック・システム販売と CUDA でシェア 62% を保ち、価格は 1.45 倍。ネットワークは市場 2,800 億ドルのシェア 60%、その他は CPU・推論チップ・ロボット・自動車・ソフトの合計で 2,600 億ドル、売上は 1 兆 4,500 億ドル。粗利益率は 70% 前後、営業利益率は 55%。10 年間の正味の還元は 4 兆ドル近い。CUDA の堀は推論でも保たれ、顧客の自社チップは補完にとどまる。
- データセンター演算(GPU・CPU・システム):数量 2,170(AI 演算チップ市場(GPU 換算・万個)× 当社シェア = 当社の出荷個数(万個))× 価格 4.35(1 個あたり平均単価(万ドル。中立は物価並みで 3 年 1.11・10 年 1.41 倍))→ 売上 9,440 億ドル・営業利益 6,042 億ドル。市場 10,500 億ドル(実質)× シェア 62%・価格 1.45・営業利益率 64%
- ネットワーク(NVLink・InfiniBand・イーサネット):数量 2,170(当社の GPU 出荷個数(万個))× 価格 1.16(GPU 1 個あたりのネットワーク売上(万ドル))→ 売上 2,517 億ドル・営業利益 1,410 億ドル。市場 2,800 億ドル(実質)× シェア 60%・価格 1.45・営業利益率 56%
- ゲーム・プロ向け・自動車・ソフト:数量 1,800(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム・プロ向け・車載・AI ソフトなどの市場(2025 年度の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 145(価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 2,610 億ドル・営業利益 1,096 億ドル。市場 4,500 億ドル(実質)× シェア 40%・価格 1.45・営業利益率 42%
倍率:正当化 PER は 24.3 倍(g 4.5%、RONIC 159.1%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 234.4% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は strong)。これに対し 23.1 倍(9.5 割)に置いた。AI の計算需要が長く続き、シェアも高く保つ筋書きだが、大口顧客の自社設計が残るので 9.5 割に留めた。 g の内訳:AI の計算量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 6623 億ドルは戻り方 1 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 7139 − 受取利息の税引き後 196)× 23.1 + 6623 × 1 = 166867 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 23.4 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの楽観(数量 年 +10%・単価横ばい)に相当。AI の収益が設備投資を支え、堀が保たれる場合で、12% に留める。
やや楽観 22% 市場は大きく伸び、ASIC は補完にとどまる 利益 5,347 億ドル · PER 22.0 倍 · 株価時価総額 480.05 ドル11.77 兆ドル
2035 年 1 月期の AI 演算チップの市場は実質 9,000 億ドル。ASIC は数量で 3 割を超え、当社のシェアは 58% へ下がるが、市場の拡大で出荷は 3 年後の 1.2 倍になる。価格は物価並みの 1.43 倍。ネットワークは市場 2,400 億ドルのシェア 58%、その他は 2,000 億ドルで、売上は 1 兆 1,500 億ドル。粗利益率は 70% へ、営業利益率は 52%。AI の収益化が設備投資を支える。10 年間の正味の還元は 3 兆ドル、自社株買いは毎年時価総額の 3% 前後を返す水準。
- データセンター演算(GPU・CPU・システム):数量 1,740(AI 演算チップ市場(GPU 換算・万個)× 当社シェア = 当社の出荷個数(万個))× 価格 4.29(1 個あたり平均単価(万ドル。中立は物価並みで 3 年 1.11・10 年 1.41 倍))→ 売上 7,465 億ドル・営業利益 4,554 億ドル。市場 9,000 億ドル(実質)× シェア 58%・価格 1.43・営業利益率 61%
- ネットワーク(NVLink・InfiniBand・イーサネット):数量 1,740(当社の GPU 出荷個数(万個))× 価格 1.14(GPU 1 個あたりのネットワーク売上(万ドル))→ 売上 1,991 億ドル・営業利益 1,075 億ドル。市場 2,400 億ドル(実質)× シェア 58%・価格 1.43・営業利益率 54%
- ゲーム・プロ向け・自動車・ソフト:数量 1,400(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム・プロ向け・車載・AI ソフトなどの市場(2025 年度の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 143(価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 2,002 億ドル・営業利益 801 億ドル。市場 4,000 億ドル(実質)× シェア 35%・価格 1.43・営業利益率 40%
倍率:正当化 PER は 23.9 倍(g 4.5%、RONIC 106.1%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 154.9% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は strong)。これに対し 21.6 倍(9 割)に置いた。需要が続くがシェアが少し下がる筋書きで 9 割。 g の内訳:AI の計算量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 6782 億ドルは戻り方 1 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 5347 − 受取利息の税引き後 201)× 21.6 + 6782 × 1 = 117678 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 22.0 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立〜楽観の中間。ASIC の比率が上がっても GPU の絶対数は伸び続ける。
中立 33% 市場は伸びるが、価格と利益率は顧客の自社チップに押される 利益 3,904 億ドル · PER 20.8 倍 · 株価時価総額 330.87 ドル8.11 兆ドル
2035 年 1 月期の売上は 8,800 億ドル前後。AI 演算チップの市場は実質 7,500 億ドル(3 年後から年 2.5% の実質成長)で、ASIC(TPU・Trainium・Maia・MTIA)が 3〜4 割、AMD が 1 割弱を取り、当社のシェアは 55% まで下がる。価格は物価並みの 1.41 倍。ネットワークは市場 2,000 億ドルのシェア 55%、その他は 1,500 億ドル。顧客が価格を交渉できるようになり、GPU の粗利益率は 65% 台へ、営業利益率は 48% へ下がる。それでも CUDA の堀は残り、当社は AI 計算の最大手を保つ。10 年間の正味の還元は 2.2 兆ドル。優良であることは変わらないが、「価格を決める会社」から「普通に強い会社」へ評価が下がる。
- データセンター演算(GPU・CPU・システム):数量 1,375(AI 演算チップ市場(GPU 換算・万個)× 当社シェア = 当社の出荷個数(万個))× 価格 4.23(1 個あたり平均単価(万ドル。中立は物価並みで 3 年 1.11・10 年 1.41 倍))→ 売上 5,816 億ドル・営業利益 3,373 億ドル。市場 7,500 億ドル(実質)× シェア 55%・価格 1.41・営業利益率 58%
- ネットワーク(NVLink・InfiniBand・イーサネット):数量 1,375(当社の GPU 出荷個数(万個))× 価格 1.13(GPU 1 個あたりのネットワーク売上(万ドル))→ 売上 1,551 億ドル・営業利益 807 億ドル。市場 2,000 億ドル(実質)× シェア 55%・価格 1.41・営業利益率 52%
- ゲーム・プロ向け・自動車・ソフト:数量 1,050(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム・プロ向け・車載・AI ソフトなどの市場(2025 年度の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 1,480 億ドル・営業利益 562 億ドル。市場 3,500 億ドル(実質)× シェア 30%・価格 1.41・営業利益率 38%
倍率:正当化 PER は 23.6 倍(g 4.5%、RONIC 79.6%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 115.1% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は strong)。これに対し 20.1 倍(8.5 割)に置いた。堀は強いが、設備投資の波と大口顧客の自社設計で利益が振れるので、中立は 8.5 割に置いた。 g の内訳:AI の計算量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 7004 億ドルは戻り方 1 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 3904 − 受取利息の税引き後 208)× 20.1 + 7004 × 1 = 81109 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 20.8 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(市場約 1.8 倍、ASIC 比率 3〜4 割、単価 年 −1%)をエヌビディアの規模に直した。強気の需要と慎重な競争の落としどころで最も確率を厚くした。
やや悲観 20% ASIC に数量を奪われ、GPU の単価が下がる 利益 1,904 億ドル · PER 19.1 倍 · 株価時価総額 148.69 ドル3.64 兆ドル
顧客の自社チップが数量で 5 割に迫り、2035 年 1 月期の AI 演算チップの市場(実質 6,000 億ドル)での当社のシェアは 45% に落ちる。値引きで価格は 1.25 倍と物価に負ける。ネットワークは市場 1,600 億ドルのシェア 45%、その他は 900 億ドル強で、売上は 5,200 億ドル。GPU の粗利益率は 60% を割り、営業利益率は 36%。CUDA の移植性が上がり(トライトンなどの中立の言語)、顧客は最新世代以外は ASIC を選ぶ。当社は推論専用チップとラック設計で戦う。10 年間の正味の還元は 1.3 兆ドル。
- データセンター演算(GPU・CPU・システム):数量 900(AI 演算チップ市場(GPU 換算・万個)× 当社シェア = 当社の出荷個数(万個))× 価格 3.75(1 個あたり平均単価(万ドル。中立は物価並みで 3 年 1.11・10 年 1.41 倍))→ 売上 3,375 億ドル・営業利益 1,620 億ドル。市場 6,000 億ドル(実質)× シェア 45%・価格 1.25・営業利益率 48%
- ネットワーク(NVLink・InfiniBand・イーサネット):数量 900(当社の GPU 出荷個数(万個))× 価格 1.00(GPU 1 個あたりのネットワーク売上(万ドル))→ 売上 900 億ドル・営業利益 378 億ドル。市場 1,600 億ドル(実質)× シェア 45%・価格 1.25・営業利益率 42%
- ゲーム・プロ向け・自動車・ソフト:数量 750(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム・プロ向け・車載・AI ソフトなどの市場(2025 年度の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 938 億ドル・営業利益 281 億ドル。市場 3,000 億ドル(実質)× シェア 25%・価格 1.25・営業利益率 30%
倍率:正当化 PER は 22.5 倍(g 4.5%、RONIC 44.6%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 62.6% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は strong)。これに対し 18.0 倍(8 割)に置いた。顧客の自社設計と値下がりでシェアと利益率が下がる筋書きで 8 割。 g の内訳:AI の計算量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 4751 億ドルは戻り方 1 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 1904 − 受取利息の税引き後 141)× 18.0 + 4751 × 1 = 36450 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 19.1 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:顧客の自社チップが数量で 5 割に迫り、価格を決める力が顧客へ移る筋書き。慎重な見方の中心で、20% を置く。
悲観 13% 構造的な敗北。設備投資が半減し、GPU の単価が 4 割下がる 利益 580 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 34.67 ドル8,499 億ドル
AI の収益が設備投資に追いつかず、2035 年 1 月期の AI 演算チップの市場は実質 3,500 億ドルにとどまる。顧客は自社チップへ移り、当社のシェアは 35%、価格は 1.05 倍と物価に大きく負ける。中国は国産化、台湾リスクの顕在化も重なり、売上は 2,200 億ドル弱、営業利益率は 14% まで下がって、もう「優良な高収益企業」ではない。研究開発の負担は重く、戦略投資の損失も出る。それでも純現金と過去の積み上げが床になる。純利益が不安定なので、現金を除いた事業の資本(約 2,500 億ドル・ROE 約 19%)に式の PBR を掛け、期末の純現金 約 3,200 億ドルを 1 ドルで足して測る(自己資本 5,800 億ドルに対して 1.8 倍)。
- データセンター演算(GPU・CPU・システム):数量 410(AI 演算チップ市場(GPU 換算・万個)× 当社シェア = 当社の出荷個数(万個))× 価格 3.15(1 個あたり平均単価(万ドル。中立は物価並みで 3 年 1.11・10 年 1.41 倍))→ 売上 1,292 億ドル・営業利益 413 億ドル。市場 3,500 億ドル(実質)× シェア 35%・価格 1.05・営業利益率 32%
- ネットワーク(NVLink・InfiniBand・イーサネット):数量 410(当社の GPU 出荷個数(万個))× 価格 0.90(GPU 1 個あたりのネットワーク売上(万ドル))→ 売上 367 億ドル・営業利益 103 億ドル。市場 1,000 億ドル(実質)× シェア 35%・価格 1.05・営業利益率 28%
- ゲーム・プロ向け・自動車・ソフト:数量 500(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム・プロ向け・車載・AI ソフトなどの市場(2025 年度の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 105(価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 525 億ドル・営業利益 105 億ドル。市場 2,500 億ドル(実質)× シェア 20%・価格 1.05・営業利益率 20%
倍率:正当化 PER は 15.6 倍(g 4.5%、RONIC 12.0%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 13.7% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は strong)。これに対し 10.9 倍(7 割)に置いた。AI の設備投資が構造的に半減する筋書きで、上限の 7 割に置いた。 g の内訳:AI の計算量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 3219 億ドルは戻り方 1 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 580 − 受取利息の税引き後 96)× 10.9 + 3219 × 1 = 8499 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 14.7 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの悲観(10 年・構造):AI の収益が設備投資に追いつかず設備投資が半減する、または ASIC への置き換えで GPU の単価が 40% 下がる。2022 年の営業利益 −44%・株価 −63% が前例で、13% を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
データセンター演算(GPU・CPU・システム)
ブラックウェル・ルービンの GPU、NVL72 などのラック、ベラ CPU、グロック LPU。
| 数量AI 演算チップ市場(GPU 換算・万個)× 当社シェア = 当社の出荷個数(万個) | 価格1 個あたり平均単価(万ドル。中立は物価並みで 3 年 1.11・10 年 1.41 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 540 | 3.00 | 1,620 | 1,130 |
| 10 年後 中立 | 1,375 | 4.23 | 5,816 | 3,373 |
取り方:2025 年度(2026 年 1 月期)のデータセンター売上 約 1,940 億ドルのうち、ネットワーク 約 310 億ドルを除いた演算 約 1,620 億ドル。AI 演算チップの市場(GPU とカスタム ASIC。ネットワークは除く)は同じ年に約 2,100 億ドルで、当社のシェアは約 77%(ブロードコム設計の TPU などの ASIC 約 14%、AMD 約 5%、その他)。平均単価 3 万ドルで割り戻すと市場は GPU 換算 700 万個、当社は 540 万個。数量は「市場(GPU 換算の個数)× シェア」、単価は中立で物価並み(3 年 1.11 倍の 3.33 万ドル・10 年 1.41 倍の 4.23 万ドル)に置く。万個 × 万ドルが億ドルになる(rev_factor 1)。GPU の名目単価は世代ごとに上がってきた(ホッパー 2〜3 万ドル→ブラックウェル 3〜4 万ドル)ので、性能あたりの値下がりは数量(実質の市場)の側で見る。競争の負けはシェアと利益率に出し、悲観だけ価格を物価より下げる。
ネットワーク(NVLink・InfiniBand・イーサネット)
GPU をつなぐスイッチ・NIC・光接続。GPU の付属品として伸びる。
| 数量当社の GPU 出荷個数(万個) | 価格GPU 1 個あたりのネットワーク売上(万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 540 | 0.57 | 310 | 190 |
| 10 年後 中立 | 1,375 | 1.13 | 1,551 | 807 |
取り方:データセンター売上のうちネットワークは約 310 億ドル。AI データセンターのネットワーク市場(スケールアップ・スケールアウトのスイッチ・NIC・光接続)は約 470 億ドルで、当社のシェアは約 66%(ブロードコム・アリスタ・マーベルが残り)。演算に付随して伸びるので、数量は当社の GPU 出荷個数、価格は GPU 1 個あたりのネットワーク売上(今は約 0.57 万ドル。付属率 約 19%)で置く。筋書きの市場とシェアは note に書き、1 個あたりの売上は物価並みに上がるのが基本。
ゲーム・プロ向け・自動車・ソフト
GeForce、RTX Pro、自動車・ロボット、AI Enterprise の購読。
| 数量当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム・プロ向け・車載・AI ソフトなどの市場(2025 年度の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア | 価格価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 229 | 100 | 229 | 50 |
| 10 年後 中立 | 1,050 | 141 | 1,480 | 562 |
取り方:全社売上 2,159 億ドルから演算とネットワークを引いた残り。ゲームが約 160 億ドルで過半、プロ向け・自動車・その他が残り。対象市場(ゲーム GPU・プロ向け描画・車載・AI ソフトの合計 約 1,500 億ドルと推定)× シェア 約 15% で、数量は「市場(2025 年度の値段で測った実質の億ドル)× シェア」=当社の出荷、価格は価格の水準(2025 年度=100、rev_factor 0.01。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141)。3 年後からは推論専用の LPU(グロック)・単体 CPU・光接続が市場に加わり、当社のシェアが上がる。
リスクと懸念
顧客の設備投資の巻き戻し
上位 5 社が売上の約 6 割。AI の課金収入が設備投資に追いつかず、減価償却の負担が重くなれば、設備投資が半減する。2022 年の営業利益は前年比 −44%、株価は −63%。今の売上規模では、巻き戻しの絶対額が桁違いになる。
顧客の自社チップへの置き換え
グーグル TPU(ブロードコム設計)はアンソロピック・メタへ外販が始まり、アマゾン Trainium、マイクロソフト Maia が続く。数量で 2〜4 割が ASIC になると、GPU の単価と粗利益率 75% が下がる。堀が「顧客が自分で作れる」タイプである点が最大の構造リスク。
循環取引の疑い・顧客への出資
オープン AI・アンソロピック・xAI・コアウィーブなどへの出資・与信が増え、「自分のチップの買い手に資金を出す」構図に見える。顧客の資金調達が止まれば、需要の減少と出資先の評価損が同時に来る。出資は株主の利益を使う資本配分でもあり、回収できなければ費用になる。
台湾・TSMC への依存と地政学
先端チップと CoWoS の製造は TSMC(台湾)に集中。台湾海峡の緊張や地震で供給が止まれば、代替はすぐに見つからない。HBM(SK ハイニックス・サムスン・マイクロン)の供給と、メモリ費用の上昇による粗利益率への圧力もある。
輸出規制と中国市場の消失
中国向けのデータセンター売上はほぼゼロ(許可付きのホッパー 200 が 1% 未満)。ファーウェイなど国産が市場を埋め、将来の市場も失う。規制の変化は上振れにも下振れにも働き、許可が出ても中国政府が購入を制限する場合がある。
電力・データセンターの建設の制約
AI の需要は電力と用地で頭打ちになる可能性がある。供給が先に詰まると、顧客の設備投資の消化が遅れ、出荷の時期がずれる。建設の遅れで受注が後ろへずれても、売上の山が低く長くなるだけとは限らず、先の期の見通しが外れる原因になる。
株式報酬と資本配分
株式報酬は年 70〜100 億ドル級で、自社株買いの一部は希薄化の打ち消しに消える。割高な水準での買い戻しは価値を壊す。大型の戦略投資(グロック資産の取得約 200 億ドルなど)が続くと、株主の取り分が減る。
今後の分かれ目
- 上位 5 社が設備投資の見通しを 2 四半期続けて下げる
- 3 年・10 年とも悲観・やや悲観の確率を引き上げる。受注残の見通し(1 兆ドル)が確定売上へ変わらないサイン。
- ASIC(TPU・Trainium・Maia)の数量比率が 3 割を超え、GPU の粗利益率が 70% を割る
- 10 年のやや悲観の確率を上げる。価格を決める力が顧客へ移った証拠で、倍率の縮みも伴う。
- AI アプリの課金収入(上位クラウドの AI 売上)が設備投資の 5 割を超えて伸びる
- 中立から楽観へ確率を寄せる。設備投資の持続可能性が高まり、倍率の下振れが小さくなる。
- 中国向けの輸出許可が大きく緩み、実際の出荷が年 300 億ドルを超える
- 楽観の上振れ要因。ただし中国の国産化の方針で実現しにくく、確率は小さく置く。
- オープン AI などの大口顧客が資金調達に失敗する
- 需要の質が疑われる。悲観の確率を引き上げ、出資の評価損も費用になる。
- 台湾の供給が止まる・先端パッケージの能力が不足する
- 出荷が数四半期ずれる。価格は上がるが数量が減るため、短期の利益は大きく振れる。
見ておくもの
- 上位 5 社の設備投資の改定(四半期ごと)と AI の課金収入
- データセンター売上の前期比と粗利益率(75% を維持できるか)
- ASIC の数量比率(TPU 外販・Trainium・Maia)
- TSMC の CoWoS・HBM の供給能力と価格
- 顧客の売上の集中度と、オープン AI など出資先の資金調達
- ベラ・ルービンの量産の進み具合と、グロック LPU の採用
倍率と資本コストの決め方
売上は演算・ネットワーク・その他の 3 つを「市場(実質)× シェア × 価格の水準」で積み、競合(AMD・ブロードコム設計の ASIC・アマゾンやメタの自社チップ)のシェアと足して 100% になるように置いた。倍率は今の株価ではなく、利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)、RONIC = k + 残る割合 ×(事業の ROE − k)で置いた。k = 8.5%、残る割合は強い堀の 2/3、g は structural の 4.5%、置く倍率は上限の 8〜9.5 割(中立は 8.5 割)。ROE は検査と同じく帳簿の自己資本(今+純利益−還元+株式報酬)から余った現金(3,475 億ドル)を除いて取り、期末の純現金は 1 ドルを 1 ドルで足した(10 年後の中立で約 7,000 億ドル、見かけ 20.8 倍)。10 年の悲観は、上限の 7 割の PER に純現金 約 3,200 億ドルを足して置いた。今の PER 43.7 倍・PBR 33 倍には寄せていない。事業の見通し(数量・価格・確率)は倍率の置き直しでは変えていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β 1.80 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.50% = 8.50%。循環 +0.75%・値決め −0.5%・寿命 +0.25% で quality は +0.5%(k 8.5%。前は β 1.80 を枠の上限 9% に収めた値)。AI の収益が設備投資に追いつかない展開・顧客の自社設計は k に足しすぎず、やや悲観・悲観の確率(10 年で 33%)と悲観の深さで表した。純現金で存続は危うくないので上乗せ 0。