結論
リードは、SUBARUの車のバンパーやスポイラーなど、樹脂と板金の外装部品を作って納める小さな会社だ。売上は51億円。ほかに駐輪ラックの事業を持つ。
筆者の結論は「割高」だ。時価総額は15億円だが、直近の営業損益は赤字で、純有利子負債は20億円と時価総額を上回る。自己資本比率は29%まで下がった。
会社は、新しい大口の量産車の受注で、2027年3月期の売上が51億円から67億円へ3割増えると見ている。ただ利益の戻りは遅い。20年で営業利益率が3%を超えたのは2000年代前半だけで、直近12期のうち営業赤字が6期ある。
気になるのは二つ。第一に、売上の6割強をSUBARUに頼ることだ。調達先の見直しや車種の入れ替えがあれば、成形機と塗装設備を抱えた固定費の重い工場は、赤字に落ちる。第二に、金利だ。借入は金利が上がれば利払いが2倍になり、利益を食う。受注の成功だけでは、この二つの重さを帳消しにしにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で最初に問うのは、「10年後もこの事業はあり、今より強いか」だ。外装部品は残る。しかし強くなる根拠は乏しい。顧客に選ばれる側の仕事で、値段は顧客が決める。
次に資本の使い方を見る。自己資本は25億円で、有利子負債は42億円。借入に頼って成形機を入れ、その投資が利益を生むかどうかはまだ分からない。ROEは直近10年の中央値がマイナスだ。
経営は目標を掲げるが、実績が追いついていない。配当を守る姿勢は評価できるが、借入が重い今は、現金を守る方が株主のためになる場合もある。
安全域は、ほとんど見当たらない。純有利子負債が時価総額を上回る会社に、払う値段の余裕はない。筆者は、この株に期待を寄せる前に、まず借入の返済力を見たい。利益が出る前に金利が上がると、帳簿の自己資本も細っていく。
何で稼ぐ会社か
自動車の外装・内装の部品を受託生産する会社だ。2026年3月期の売上は51億円で、自動車用部品が約9割、自社製品の駐輪ラックが約1割を占める。
自動車用部品は、バンパー、スポイラー、ハンドブレーキレバーシステムなどを、板金・塗装・樹脂成形で作る。顧客はSUBARUとその関連の部品メーカーで、売上の82%を占める。SUBARU単体でも6割を超える。
駐輪事業は2021年に日鉄日新ビジネスサービスから譲り受けた。40年の歴史を持つ「シンワ型駐輪システム」を引き継ぎ、駐輪ラックの設計から製造、設置、保守までを一貫して手がける。60万台の設置実績がある。
2026年3月期は、大口の量産車の新規受注が増え、売上が23%増えた。ただ大型成形機を入れる先行投資が重なり、自動車用部品のセグメントは損失だった。
従業員は172人で、平均年収は377万円。労働組合はない。主な設備は成形機と塗装ラインで、更新のたびに大きな投資が要る。有利子負債はリース債務を含めて42億円。売上の8割が1つの顧客グループに集まる事業構造のなかで、借入の返済は営業の現金に依存する。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、ほぼ無い。受託生産で、図面も値段も顧客が決める。SUBARUは毎年の原価低減を求め、リードは数量でなく価格で苦しむ。
強みは、板金・塗装・樹脂成形を一社で通せることだ。外装部品は塗装の品質と納期の要求が厳しく、新しい会社が入りにくい。大型成形機を入れたのも、大口受注に応える投資だ。
弱みは四つある。第一に顧客の偏り。第二に利益の薄さで、20年の最良の営業利益率が3.7%だ。第三に財務。純有利子負債が営業利益の何倍にもなり、自己資本比率は29%だ。第四に、ハンドブレーキレバーのような電動化で要らなくなりうる部品を持つ点で、筆者はこの面の将来を慎重に見る。
会社は営業利益率5%と配当性向30%を目標に掲げる。目標と実績の距離は大きい。経営は堅実に見えるが、資本を増やした実績はない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の元は、SUBARUの世界販売と車種の入れ替えだ。SUBARUは米国での販売が柱で、好調な年は部品の数量が増える。反対に米国の関税や需要の鈍りは、部品会社の数量に直接響く。
外装の樹脂部品は、電気自動車でも要る。バンパーやスポイラーは空力にも関わり、電動化で不要にはならない。この面では、エンジン部品の会社とは違う。
一方、ハンドブレーキレバーは、電動パーキングブレーキへの置き換えで需要が細る。筆者はこの部品の将来を慎重に見ている。
競争は、外装を作る大手と同じ土俵になる。調達の窓口は完成車メーカー(SUBARU)の調達部門で、部品の採用は車種ごとに決まる。大手の部品会社やバンパーに強い会社が、顧客の要求に応じて値段を競う。リードは小さい分、特定の車種の受注に左右される。
完成車メーカーは毎年値下げを求める。物価が3%上がる世界で、部品単価が同じだけ上がるかどうかが、10年の利益を決める。駐輪は自治体と民間の需要があるが、規模は小さい。10年では、人口が減る国内で、駐輪需要が大きく増えることは考えにくい。
資本政策と M&A
配当性向は当面20%、中長期で30%を目標にする。ただ赤字でも、2026年3月期の期末配当を据え置く予定で、年0.3億円ほどだ。配当を守るのは株主には好材料だが、借入が重い今は負担でもある。
有利子負債はリース債務を含めて42億円で、前期の37億円から増えた。大型成形機の導入と運転資金のためだ。支払利息は0.6億円。借り換えの金利が上がれば、利払いは2倍になる。
自社株買いや増資の実績は確認できない。M&Aは2021年の駐輪事業の譲受けだけ。株主優待は確認できなかった。
時価総額が小さく、赤字が続くため、買われる側になる可能性はある。ただ、自動車部品の受託生産で、SUBARU向けが主な売上のため、買い手は限られる。TOBや増資の公表は確認できなかった。筋書きには織り込まない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は2027年3月期に売上を3割増やす。大口の量産車の受注は、すでに決まったものだ。大型成形機を入れた先行投資は、数量が立ち上がれば稼働率で回収できる。固定費が重いぶん、数量が増えれば利益は一気に出る。
SUBARUは米国で売れており、部品の数量は伸びる。外装部品は電気自動車でも要るので、電動化で需要は消えない。駐輪事業は自治体の再整備で安定した利益を出す。
営業利益率の目標は5%で、売上67億円なら営業利益3億円を超える。時価総額15億円に対して、その利益は大きい。会社の予想でも2027年3月期は営業黒字に戻る。財務は自己資本比率29%まで下がったが、現金は借入の半分ほどあり、すぐに行き詰まる水準ではない。
過去に赤字が長く続いたのは、数量が足りなかった年だ。数量が立ち上がる今は、状況が違う。回復が本物なら、今の値段は安い。受注が確かなことは、小さな会社にとって大きな材料だ。ここで赤字に戻る理由は、買い手の都合にしか見当たらない。小さな会社ほど、受注が決まった時の変化は大きい。
慎重な見方
赤字の歴史は長い。直近12期のうち6期が営業赤字で、20年の最良の営業利益率も3.7%に過ぎない。売上が3割増えても、利益が出る保証はない。大型成形機の償却と人件費、金利が先に来る。
売上の6割強がSUBARU。毎年の値下げ要請を受け、部品単価は物価に追いつかない。車種の入れ替えで受注が切れれば、固定費の重い工場は赤字に落ちる。
純有利子負債20億円は、時価総額の1.3倍。借り換えの金利が3.5%前後に上がれば、利払いは今の2倍になり、営業利益を食う。自己資本比率29%は、さらに下がる余地がある。
ハンドブレーキレバーなど、電動化で要らなくなる部品も持つ。2027年3月期の第1四半期は、売上が65%増えても営業損失は0.3億円だった。受注が増えても、利益率は低いままだ。金利が上がる局面で、借入の重い小さな会社に投資するのは危うい。回復の期待が先に値段へ入っている。受注の増加は、利益の回復を保証しない。
どちらに重みを置いたか
筆者は慎重な見方が強いと判断した。受注の増加は事実だが、利益の戻りが示された例はまだ少ない。財務の重さが、失敗した時の損を大きくする。
確率は、やや悲観と悲観を合わせて5割弱に置いた。倒産に近い悲観を1割半とした。強気は合わせて2割弱で、中立に3割台半ばを置いた。受注の増加は強い材料だが、利益と財務の重さを打ち消すほどではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 244 円6 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 62 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 133 円3 億円、今との差 −76.7%、 期待の年率 −6.0%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,077 円28 億円 | 154 円4 億円 | +116.3% | +8.0% | 62 円2 億円 |
| やや楽観 | 13% | 538 円14 億円 | 115 円3 億円 | +14.9% | +1.4% | 85 円2 億円 |
| 中立 | 35% | 231 円6 億円 | 77 円2 億円 | −45.9% | −6.0% | 108 円3 億円 |
| やや悲観 | 32% | 96 円3 億円 | 38 円1 億円 | −76.3% | −13.4% | 43 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 58 円2 億円 | 0 円0 億円 | −89.9% | −20.5% | 9 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 244 円6 億円 | 62 円2 億円 | −46.2% | −6.0% | 306 円8 億円 |
今の株価時価総額 569 円15 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 新車の大口受注が当たり、SUBARUの米国販売も伸びる 利益 3 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,077 円28 億円
SUBARUが米国で台数を伸ばし、新規に受けた大口の量産車が長く売れる。リードは大型成形機の稼働が上がり、先行投資の負担が消える。台数相当は10年で45%増える。
価格も、材料費と人件費の上昇を転嫁でき、部品単価は物価並みの1.34倍まで上がる。電気自動車向けの外装部品でも採用が出る。
営業利益は5億円近くになり、会社が掲げる営業利益率5%に迫る。借入の利息は増えるが、純利益は3億円近く。駐輪事業も自治体の再整備で伸びる。
それでも自己資本は30億円にとどまり、ROEは1割に届かない。成功しても、小さな会社の水準にとどまる筋書きだ。
- 自動車用部品(バンパー・スポイラーなど):数量 160(部品を納める車両の台数相当(万台))× 価格 0.56(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 90 億円・営業利益 4 億円。110万台相当が45%増え、1台あたり0.42万円が1.34倍。営業利益率4.5%
- 駐輪事業(自社製品):数量 10.0(設置する駐輪ラックの台数相当(万台))× 価格 0.80(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。8.2万台相当が10万台に増え、1台あたり1.34倍。営業利益率8%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 28 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:赤字が続く小さな部品会社が営業利益率4%台に乗るには、受注の成功と販売の好調が同時に要る。20年で3%台の山があったのは2000年代前半だけなので、5%にとどめた。
やや楽観 13% 大口受注が軌道に乗り、赤字を脱する 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 538 円14 億円
大口の量産車が立ち上がり、台数相当は3割強増える。成形機の稼働が上がって、固定費の重さが薄まる。部品単価は10年で1.29倍。値下げ要請の一部を吸収できない。SUBARU以外の自動車メーカーとの取引も、小さく始まる。
営業利益率は3%まで戻る。駐輪事業は小さく、利益は安定する。
営業利益は3億円弱。会社が掲げる営業利益率5%には届かないが、赤字は脱する。借入の金利が上がるため、純利益は1.4億円ほどに留まる。会社の目標(営業利益率5%)には届かない。自己資本は少しずつ増えるが、小さい会社の資本効率としては並みだ。借入の返済は営業の現金で少しずつ進み、財務の不安は薄れていく。
- 自動車用部品(バンパー・スポイラーなど):数量 145(部品を納める車両の台数相当(万台))× 価格 0.54(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 79 億円・営業利益 2 億円。110万台相当が3割強増え、1台あたり1.29倍。営業利益率3%
- 駐輪事業(自社製品):数量 9.0(設置する駐輪ラックの台数相当(万台))× 価格 0.80(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。8.2万台相当が9万台に増え、1台あたり1.33倍。営業利益率6%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 14 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画(2027年3月期に売上が3割増)は、大口の新規受注の裏づけがある。ただ利益率の改善は遅れてきた歴史があり、1割強にとどめた。
中立 35% 受注は立ち上がるが、利益率は低いまま 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 231 円6 億円
新しい大口の量産車が立ち上がり、台数相当は2割ほど増える。ただしSUBARUの車種のサイクルは入れ替わりがあり、10年で見れば数量は一巡して落ち着く。部品単価は10年で1.26倍。毎年の値下げ要請で物価に届かない。
営業利益率は2%。過去20年の山の3.7%には届かない。固定費の重い成形機と塗装設備の更新費が物価で膨らみ、現金は細る。
営業利益は2億円弱。借り換えの金利が3.5%前後に上がり、支払利息は今の2倍になる。純利益は0.6億円。自己資本はほとんど増えない。配当は今の水準を守るのが精いっぱいだ。
- 自動車用部品(バンパー・スポイラーなど):数量 135(部品を納める車両の台数相当(万台))× 価格 0.53(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 71 億円・営業利益 1 億円。110万台相当が2割強増え、1台あたり1.26倍。営業利益率2%
- 駐輪事業(自社製品):数量 8.6(設置する駐輪ラックの台数相当(万台))× 価格 0.80(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。8.2万台相当が8.6万台に増え、1台あたり1.34倍。営業利益率6%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.6% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去20年の最良の営業利益率は3.7%で、直近12期は営業赤字が6期。受注が増えても、値下げ要請と固定費で利益が伸びない形が最もありそうで、中立に3割台半ばを置いた。
やや悲観 32% SUBARUの調達見直しと値下げで赤字に戻る 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 96 円3 億円
SUBARUが部品の調達先を絞る、または車種が減って台数相当が5%減る。単価は物価に届かず10年で1.19倍。大型成形機の稼働が下がり、先行投資が負担に変わる。
営業利益は0.2億円。借入の金利が上がるので、純利益は1億円近い赤字になる。
配当は大きく削り、設備投資を絞って借入の返済を優先する。自己資本は少しずつ減る。
稼ぐ力はほぼ無く、価値は売れる資産から借入を引いた残りで決まる。会社は存続するが、少数株主に残るのは小さい。借入の借り換えは条件が厳しくなり、取引銀行との交渉が毎年の仕事になる。
- 自動車用部品(バンパー・スポイラーなど):数量 105(部品を納める車両の台数相当(万台))× 価格 0.50(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 53 億円・営業利益 0 億円。110万台相当が5%減り、1台あたり1.19倍。営業利益率0%
- 駐輪事業(自社製品):数量 7.0(設置する駐輪ラックの台数相当(万台))× 価格 0.70(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。8.2万台相当が7万台に減り、1台あたり1.17倍。営業利益率3%
倍率:稼ぐ力は無く赤字。売れる資産で置く。今の自己資本25.4億円に0.10倍を掛けた。EV÷営業利益は営業利益が0に近く意味をなさず(EVでも見たが借入20億円が重く倍率は不定)、借入を引いた売れる資産で測る。
確率:直近12期のうち営業赤字は6期。売上の6割強をSUBARUが占める会社で、車種の改廃と値下げ要請の影響を受けるのは普通のことなので3割強を置いた。
悲観 15% 主力顧客を失い、財務が行き詰まる 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 58 円2 億円
SUBARUが部品の内製化と調達先の集約を進め、台数相当が3割以上減る。単価は10年で1.10倍に留まり、大型成形機の償却と金利が重い。
赤字が続き、借入の返済が難しくなる。取引銀行の支援を受けて工場を閉じ、事業を縮める。増資や第三者への事業の売却で、既存株主の持ち分は大きく薄まる。
配当は無配になる。電動パーキングブレーキへの置き換えで、ハンドブレーキレバーの受注が消える面もある。
価値は小さな残余で決まる。事業は残っても、株主の取り分はほとんどない。会社は存続のため、顧客と銀行に頼る立場になる。
- 自動車用部品(バンパー・スポイラーなど):数量 70.0(部品を納める車両の台数相当(万台))× 価格 0.46(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 32 億円・営業利益 −2 億円。110万台相当が3割以上減り、1台あたり1.10倍。営業利益率-6%
- 駐輪事業(自社製品):数量 5.0(設置する駐輪ラックの台数相当(万台))× 価格 0.66(1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。8.2万台相当が5万台に減り、1台あたり1.10倍。営業利益率-5%
倍率:赤字で借入の返済が危うい。売れる資産から借入を引くとほぼ残らず、今の自己資本25.4億円に0.06倍を掛けた約1.5億円を置いた。EV÷営業利益は意味をなさない。
確率:SUBARUが生産体制を見直す、ハンドブレーキレバーのような部品が不要になる、金利上昇で利息が利益を超える。小さな部品会社が行き詰まる条件は揃っており、1割半を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自動車用部品(バンパー・スポイラーなど)
SUBARUを主力とする自動車の外装・内装の樹脂成形部品、板金部品、塗装、ハンドブレーキレバーシステムの受託生産。
| 数量部品を納める車両の台数相当(万台) | 価格1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 110 | 0.42 | 46 | −1 |
| 10 年後 中立 | 135 | 0.53 | 71 | 1 |
取り方:2026/03期の自動車用部品の売上は全体の89.8%(有価証券報告書)で約46.2億円。SUBARUとその関連部品メーカー向けが売上の81.7%。台数の開示はなく、110万台相当×1台あたり0.42万円で置いた。セグメントは損失で、全社の営業損失1.11億円のうち大型成形機の先行投資などで約1.3億円の赤字と筆者が推定した。
駐輪事業(自社製品)
駐輪ラックの企画・設計・製造・設置・メンテナンス。2021年に日鉄日新ビジネスサービスから事業を譲り受けた。
| 数量設置する駐輪ラックの台数相当(万台) | 価格1台相当あたりの売上(万円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8.2 | 0.60 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.6 | 0.80 | 7 | 0 |
取り方:売上の9.6%(有価証券報告書)で約4.9億円。設置台数の開示はなく、8.2万台相当×1台あたり0.6万円で置いた。営業利益はセグメントの開示がなく、筆者の推定(0.2億円)。
リスクと懸念
SUBARUへの偏り
売上の約8割がSUBARUと関連の部品メーカー向け。SUBARUの生産体制、調達先の集約、車種の入れ替えがそのまま数量に響く。米国の関税や需要の鈍りも同じだ。
借入の重さと金利上昇
有利子負債は42億円、自己資本比率は29%。借り換えで金利が3.5%前後になれば、支払利息は今の約2倍になり、営業利益を超えかねない。
赤字の長い歴史
直近12期のうち6期が営業赤字。大型成形機の稼働が下がれば、固定費の重さが赤字をすぐに作る。
値下げ要請と物価
完成車メーカーは毎年、原価低減を求める。物価が3%上がる中で、部品単価が追いつかなければ、利益率は削られる。人件費の上昇も重い。
電動化で細る部品
ハンドブレーキレバーは電動パーキングブレーキへの置き換えで需要が細る。バンパー・スポイラーは電気自動車でも要るが、車種の設計が替わると形が入れ替わる。
資金調達による希薄化
赤字が続けば、増資や第三者割当、事業の売却で既存株主の持ち分が薄まる可能性がある。
今後の分かれ目
- SUBARUが部品の調達先の見直し、または車種の終了を公表する
- 主力の数量が減る。悲観の確率を上げる。新規受注が代わりに決まるなら評価を戻す。
- 営業利益率が2年続けて3%を超える
- 先行投資の回収と価格転嫁が進んでいる証拠だ。中立から強気の側へ確率を寄せる。
- 借入の返済や借り換えの条件が悪化する、または増資が決まる
- 財務の悲観の確率を上げる。既存株主の持ち分の薄まりも織り込む。
- SUBARU以外の自動車メーカー向けの新規受注が決まる
- 顧客の偏りが下がる。中立の数量を上げる材料になる。
- 駐輪事業で大型の自治体案件が決まる
- 利益率の高い事業が増える。ただし規模は小さく、全社の評価を大きく変えない。
見ておくもの
- SUBARUの世界販売と車種の入れ替え
- 営業利益率と大型成形機の稼働
- 純有利子負債と支払利息、自己資本比率
- SUBARU以外の顧客の比率
- 配当と財務の方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価ではなく、資本コスト10%と事業のROE、長期成長(3〜3.5%)から式で置いた。中立の10年のROEは約2.6%で、過去10年の中央値(-0.5%)に2ポイントを足した値をわずかに超えるが、大口受注の立ち上がりによる売上の増加と借入の返済で説明できる。営業利益率は中立で2%と、過去20年の最良(3.7%)を下回る。数量・単価・セグメント別の利益は開示がなく、筆者の推定を含む。会計は新リース会計基準で2028年3月期から形が変わるが、数字は今と同じ形でそろえた。工場の賃借は小さく、影響は限られる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 7→10 倍・やや楽観 PER 5.5→10 倍・中立 PER 5.5→10 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。