結論
カーメイトは、チャイルドシートのエールベベやドライブレコーダー、タイヤチェーンで知られるカー用品の企画会社だ。筆者の結論はやや割高である。ブランドは値段を守れるが、市場は縮み、手元の厚い現金は株主に戻る道がはっきりしない。
稼ぎの源はカー用品店と通販の棚だ。オートバックス・アマゾン・イエローハットの 3 社で売上の 4 割近くを占める。仕入れの半分近くは中国からで、円安と値下げ競争が利益を削ってきた。営業利益率は 2021 年の 8% 台から、ここ 3 年は 1〜4% に沈んだ。
10 年先を考えると、車の保有台数はゆっくり減る。名の通った商品は値上げを通せるが、本社の費用も物価とともに膨らむ。純現金は約 78 億円と時価総額を上回る。ただ創業期からの大株主が議決権の 46% を持ち、自社株買いの実績も無い。現金の半分ほどしか株主の値打ちとして数えられない。筆者は、ブランドの強さと資本の使い方の弱さが、そのまま値打ちを決めていると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、カーメイトは「良い商品を持つが、良い資本の使い手ではない」会社だ。ブランドは本物で、子どもの安全や冬の備えのような、値段より信頼で選ばれる商品を持つ。設備も軽く、利益の多くが現金として残る。
しかし株主の側から見ると、その現金が眠っている。時価総額を上回る純現金を抱えながら、自社株買いは無く、ROE は 4% 前後で動かない。大株主が議決権の半分近くを持つ限り、少数株主がこの使い方を変えることは難しい。
安全域は、現金の厚さで一部は確保されている。会社が倒れる心配はまず無い。ただ、事業から生まれる利益が資本コストに届かない以上、払う値段に見合う値打ちは、現金を株主に戻す決断があって初めて生まれる。筆者はその決断を待つ立場にある。
小さなブランド企業を持つ楽しみはある。ただ、その楽しみに払う値段は、眠った現金を差し引いて考えるべきだ。
何で稼ぐ会社か
事業は車関連とアウトドアの 2 つで、売上の 9 割が車関連だ。商品の企画と開発は自社で行い、製造の多くは中国などの協力工場に任せる。自社で工場を持たない分、設備は軽い。
車関連の顔ぶれは幅広い。チャイルドシートのエールベベ、ルーフキャリアのイノー、タイヤチェーンのバイアスロン、芳香剤、ドライブレコーダーのダクションなどだ。冬物の比率が高く、売上は下期に偏る。雪の多い冬は利益が膨らみ、暖冬の年は在庫が残る。
売り先はカー用品店と通販だ。オートバックスが 16%、アマゾンが 12%、イエローハットが 10% を占める。店の棚を取れるかどうかが売上を決める。イエローハットとオートバックスの株を持ち合い、取引の関係を固めている。
アウトドアは、スノーボードのビンディングの FLUX が中心で、自転車の用品も扱う。売上は 17 億円と小さいが、利益率は 15% と高い。ここ数年は海外の販売も伸びている。
人員は連結で 640 人ほどの小さな所帯だ。商品の数は多いが、1 つ 1 つの市場は小さく、大手の家電や部品のメーカーが本気で入ってくるほどの大きさは無い。この隙間の深さが、ブランドを守る壁にもなっている。
優良さと弱いところ
強みはブランドだ。チャイルドシートは子どもの命を預ける商品で、名の通ったメーカーが選ばれやすい。ドライブレコーダーやルーフキャリアも、安全と取り付けの信頼で値段を保ってきた。車関連の利益率が 11% を保っているのは、その表れだ。
弱みは 3 つある。1 つ目は売り先の集中で、大手のカー用品店 2 社と通販 1 社に売上の 4 割を頼る。2 つ目は仕入れで、半分近くを中国から買うため、円安がそのまま原価を押し上げる。3 つ目は本社の費用で、セグメントの利益 17 億円のうち 11 億円近くを本社が食う。
資本の効率は低い。自己資本 152 億円のうち半分近くが現金で、ROE は 10 年の中央値で 4%。会社自身が掲げる ROE 10% の目標には遠く及ばない。経営目標と実績の差がこれほど開いたまま、手を打たない点を筆者は重く見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
カー用品の市場は、量の面で縮む。国内の車の保有台数は 7,800 万台前後で頭打ちになり、人口減と若い世代の車離れで、10 年先はゆるやかに減る。業界の見方では、カー用品と整備の市場は名目で年 1〜2% 縮む。
売り場も変わった。かつての主役だったカー用品店は、自社の商品を増やし、仕入れ先を絞る。代わりに伸びたのがアマゾンなどの通販で、中国のメーカーが安いドライブレコーダーやスマホのホルダーを直接売る。ブランドの無い商品は、ここで値下げの渦に巻き込まれる。
一方で、1 台あたりの買い物が増える分野もある。ドライブレコーダーはあおり運転の報道で一気に広がり、車内の防犯や子どもの安全への関心も高い。新車に最初から付く装備が増えれば後付けの需要は減るが、チャイルドシートやキャリアのように車に付かない商品は残る。
電気自動車が増えても、チェーンやキャリア、チャイルドシートは要る。エンジンの関連用品は細るが、カーメイトの稼ぎ頭はエンジンに依らない商品が多い。
為替も効く。ドル円は 150 円で動かないとみても、中国の人件費と物流費は物価とともに上がる。輸入で成り立つ商品は、その上げ分を値段に移せるかで利益が決まる。
資本政策と M&A
配当は業績に応じて決める方針で、2026/03 期は総額 2 億円余りと、純利益の 7 割台を払った。自社株買いの実績は見当たらない。
純現金は約 78 億円で、時価総額を上回る。そのうち冬物の在庫と運転資金に要る分を除いた約 48 億円を余った現金とみる。議決権の 46% を持つ有限会社エム・テイ興産が経営を支え、現金を大きく戻す方針は出ていない。
持ち合い株は約 23 億円で、大半はイエローハットの株だ。取引の関係を固めるための株で、売る方針は示されていない。株主優待は無い。経営目標の ROE 10% に届かせるなら、現金の還元が最も早い手になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ブランドの力を軽く見るべきではない。エールベベのチャイルドシートやダクションのドライブレコーダーは、安い輸入品が増えても値段を保ってきた。車関連の利益率が 11% あるのがその証拠だ。
利益の落ち込みは一時的だ。2024〜25 年は円安と原料高、暖冬が重なっただけで、2026/03 期にはすでに営業利益が倍に戻った。会社は 2028/03 期に利益率 5.6% を見込む。円安が一服すれば、さらに上振れする。
現金の厚さも味方だ。純現金は時価総額を上回り、金利が 2% に上がれば利息だけで年 1 億円余りの利益になる。スノーボードのビンディングは海外で伸びている。経営が ROE 10% の目標に本気で向き合い、現金を還元に回せば、評価は大きく変わる。
イエローハットとの持ち合いも、棚を守る盾として働いている。取引先が株主でもあるので、棚から外す決断は簡単ではない。設備をほとんど持たない会社なので、利益が戻れば現金もそのまま積み上がる。
慎重な見方
市場そのものが縮んでいる。売上は 10 年で年 3% 近く減り、車の保有台数もこれから減る。安いドライブレコーダーはアマゾンで中国のメーカーが直接売り、ブランドの値段を押し下げる。
売り先の力も強い。カー用品店 2 社と通販 1 社で売上の 4 割を握られ、店は自社の商品を増やす。持ち合い株で関係をつないでいるが、棚を失えば売上は一気に落ちる。
本社の費用は重く、セグメントの利益の 6 割を食う。物価とともに膨らめば、売上が伸びない限り営業利益は増えない。何より現金が株主に戻らない。大株主が半分近くを持ち、自社株買いもしない会社の現金は、額面どおりには数えられない。
利益率が 1〜2% まで落ちた 2024〜25 年は、たまたまではない。輸入で成り立つ商品の弱さが表に出ただけだ。同じことは円安や原価高のたびに繰り返す。ブランドが値段を守れる範囲は、思われているより狭い。暖冬が続けば冬物の在庫も重荷になる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。ブランドは本物だが、市場の縮みと本社の費用が利益の伸びを抑え、厚い現金は株主に戻る道が見えない。確率は中立に厚く置き、悲観側を 32% とした。現金の還元や自社株買いが始まれば、楽観側に寄せ直す。強気の見方の言う利益の戻りは、会社の計画としてやや楽観の筋書きに入れている。慎重な見方の言う市場の縮みは、中立の量の減りとしてすでに織り込んだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,146 円81 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 401 円28 億円)。 今の値に割り戻すと 788 円56 億円、今との差 −7.8%、 期待の年率 +6.1%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,024 円143 億円 | 707 円50 億円 | +219.5% | +12.3% | 219 円15 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,660 円117 億円 | 593 円42 億円 | +163.5% | +10.2% | 451 円32 億円 |
| 中立 | 40% | 1,151 円81 億円 | 437 円31 億円 | +85.7% | +6.4% | 635 円45 億円 |
| やや悲観 | 20% | 647 円46 億円 | 213 円15 億円 | +0.5% | +0.0% | 172 円12 億円 |
| 悲観 | 12% | 517 円37 億円 | 71 円5 億円 | −31.2% | −3.7% | 71 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,146 円81 億円 | 401 円28 億円 | +80.9% | +6.1% | 1,547 円109 億円 |
今の株価時価総額 855 円60 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% ブランドで値上げが通り、冬物が戻る 利益 11 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,024 円143 億円
チャイルドシートのエールベベと車内のドライブレコーダーが、安い輸入品と差をつけて値上げを通す。雪の多い冬が続き、タイヤチェーンとスキーキャリアもよく売れる。
スノーボードのビンディングは海外でも売れ、アウトドアの売上は 1.3 倍に伸びる。営業利益率は 8% と、2021 年ごろの好調な時期に並ぶ。
それでも事業の ROE は 8% 台で、資本コストにわずかに届かない。厚い現金を抱えたままでは、資本の効率はなかなか上がらない。配当は利益の 7 割台を続け、10 年で 50 億円ほどを株主に戻す。
- 車関連:数量 7,800(国内の自動車保有台数(万台))× 価格 0.02(保有 1 万台あたりの当社売上(億円))→ 売上 172 億円・営業利益 22 億円。保有台数 1.0 倍 × 単価 1.34 倍、利益率 13%
- アウトドア・レジャー・スポーツ:数量 14.8(販売点数(万点・推定))× 価格 2.10(1 万点あたりの売上(億円。1 点約 1.5 万円))→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。1.3 倍 × 1.40 倍、15%
倍率:事業の ROE 8.1% が k 8.25% をわずかに下回るので、PER の上限は 1÷k の 12.09 倍。ブランドの値上げが通るこの筋書きは上限いっぱいとした。余った現金 48 億円は利息(税後 1.4%)を引いた事業の純利益に PER を掛け、現金はオーナー支配の戻り方 0.5 を掛けて足した。
確率:過去 12 年で営業利益率が 8% を超えたのは 2021〜22 年の 2 期だけ。雪の多い冬とブランドの値上げが重なる条件は狭く、8% とした。
やや楽観 20% 会社の計画どおり利益率 5〜6% に戻る 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,660 円117 億円
輸入の仕入れ値が落ち着き、値上げの効果が出て、営業利益率は 6% 台に戻る。車の保有台数はわずかに減るが、ドライブレコーダーや車内の小物で 1 台あたりの買い物は増える。
アマゾンでの販売が伸び、カー用品店に頼る度合いは少しずつ下がる。アウトドアはスノーボードと自転車の用品で 1 割余り伸びる。
本社の費用は物価とともに膨らむが、売上の伸びで吸収できる。配当は利益の 7 割台を続ける。事業の ROE は 6% 台で、資本コストにはまだ届かない。スノーボードの用品は海外の販売が増え、冬の天候に左右されにくくなる。
- 車関連:数量 7,566(国内の自動車保有台数(万台))× 価格 0.02(保有 1 万台あたりの当社売上(億円))→ 売上 165 億円・営業利益 21 億円。0.97 倍 × 1.32 倍、12.5%
- アウトドア・レジャー・スポーツ:数量 13.1(販売点数(万点・推定))× 価格 2.05(1 万点あたりの売上(億円。1 点約 1.5 万円))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。1.15 倍 × 1.37 倍、13.5%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)24 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 117 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は 2028/03 期に営業利益率 5.6% を見込む。円安の一服と値上げで届く水準で、過去 12 年の中央値より上だが山ではないので 20% とした。
中立 40% 縮む市場で、ブランドが値段を守る 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,151 円81 億円
国内の車の保有台数はゆっくり減り、カー用品の量は 10 年で 1 割近く細る。安い輸入品がアマゾンで売れ、カー用品店の棚も絞られる。
それでもエールベベやダクションのような名前の通った商品は、物価に近い値上げを通す。車関連の利益率は今の 11% 台を保つ。アウトドアは小さいながら伸びる。
重いのは本社の費用で、物価とともに膨らみ、営業利益は 7 億円前後にとどまる。手元の現金は 2% で回り、利息が年 1 億円余り利益を足す。事業の ROE は 4% 台のままだ。
持ち合いの株と現金は動かないまま残り、配当は利益の 7 割台を続ける。
- 車関連:数量 7,176(国内の自動車保有台数(万台))× 価格 0.02(保有 1 万台あたりの当社売上(億円))→ 売上 151 億円・営業利益 17 億円。保有台数と 1 台あたりの用品購入で 0.92 倍 × 1.28 倍、11.5%
- アウトドア・レジャー・スポーツ:数量 12.0(販売点数(万点・推定))× 価格 2.01(1 万点あたりの売上(億円。1 点約 1.5 万円))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。1.05 倍 × 1.34 倍、12%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)24 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 81 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上は 10 年で年 3% 近く縮んできた。保有台数の減りと輸入品との競争が続く中、ブランドで単価を守る筋書きが最もありうるので 40% とした。
やや悲観 20% 輸入品に押され、利益がほぼ消える 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 647 円46 億円
中国製の安いドライブレコーダーやチャイルドシートが、アマゾンでさらに売れる。カー用品店は自社の商品を増やし、取引の条件も厳しくなる。
暖冬が続けばタイヤチェーンやスキーキャリアが売れ残り、在庫の評価損が出る。営業利益はほぼゼロになり、配当は細る。
手元の現金は残るが、清算されない限り少数株主には渡らない。株主に戻る値打ちは、現金と持ち合い株の半分ほどにとどまる。
本社の費用は物価で膨らみ続け、縮んだ売上では吸収できない。人を減らす手は打てても、ブランドを育てる力も同時に細っていく。新しい商品を出す余力が落ち、棚の場所もじりじり狭まる。
- 車関連:数量 6,630(国内の自動車保有台数(万台))× 価格 0.02(保有 1 万台あたりの当社売上(億円))→ 売上 131 億円・営業利益 12 億円。0.85 倍 × 1.20 倍、9%
- アウトドア・レジャー・スポーツ:数量 10.8(販売点数(万点・推定))× 価格 1.95(1 万点あたりの売上(億円。1 点約 1.5 万円))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。0.95 倍 × 1.30 倍、9%
倍率:稼ぐ力では値が付かない。純現金と持ち合い株の税後に戻り方 0.5 を掛けた床(45 億円)に合わせ、今の自己資本 152 億円に PBR 0.30 倍を掛けた。
確率:2024〜25 年に営業利益率が 1〜2% まで落ち、純損失も出した。同じ形が長く続く筋書きは十分ありうるので 20% とした。
悲観 12% 店頭からも通販からも押し出される 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 517 円37 億円
カー用品店は統合が進み、仕入れ先を絞って自社の商品に切り替える。通販では中国のメーカーが直接売り、値段で勝てない。
車の保有台数も若い世代の車離れで減り、カー用品の量は 4 分の 3 に縮む。営業利益は赤字に落ち、在庫の評価損と固定資産の減損が重なる。
純現金は赤字の穴埋めで 60 億円ほどに減る。配当はほぼ止まり、株主に戻る値打ちは残った現金の半分ほどになる。
大株主の会社が経営を握る形は変わらず、事業の売却や再編の話も進まない。持ち合い株も売られず、ブランドの名前だけが残る小さな会社として、現金を少しずつ食いつぶしていく。
- 車関連:数量 5,850(国内の自動車保有台数(万台))× 価格 0.02(保有 1 万台あたりの当社売上(億円))→ 売上 108 億円・営業利益 6 億円。0.75 倍 × 1.12 倍、6%
- アウトドア・レジャー・スポーツ:数量 9.1(販売点数(万点・推定))× 価格 1.87(1 万点あたりの売上(億円。1 点約 1.5 万円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。0.80 倍 × 1.25 倍、3%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。赤字で減った純現金と持ち合い株の税後に戻り方 0.5 を掛けた床(36 億円)として、今の自己資本 152 億円に PBR 0.24 倍を掛けた。
確率:カー用品店の再編と通販の値下げ競争で、ブランドが値段を守れなくなる筋書き。純現金があり倒れる会社ではないが、赤字が続く形を 12% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
車関連
チャイルドシート、ルーフキャリア、タイヤチェーン、芳香剤、ドライブレコーダー、ケミカル用品など。
| 数量国内の自動車保有台数(万台) | 価格保有 1 万台あたりの当社売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,800 | 0.02 | 129 | 14 |
| 10 年後 中立 | 7,176 | 0.02 | 151 | 17 |
取り方:国内の自動車保有台数約 7,800 万台(軽を含む)を量とし、車関連の売上 128.5 億円を割って保有 1 万台あたり 0.0165 億円とした。販売台数の開示は無く推定。
アウトドア・レジャー・スポーツ
スノーボードのビンディング(FLUX)を中心に、自転車関連の商品。
| 数量販売点数(万点・推定) | 価格1 万点あたりの売上(億円。1 点約 1.5 万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11.4 | 1.50 | 17 | 3 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 2.01 | 24 | 3 |
取り方:点数の開示が無いため、ビンディングと自転車用品の平均単価を 1 点約 1.5 万円とみて、売上 17.1 億円から約 11 万点と推定した。
リスクと懸念
売り先の集中
オートバックス・アマゾン・イエローハットの 3 社で売上の 4 割近くを占める。カー用品店が自社の商品を増やしたり仕入れ先を絞ったりすれば、棚を失った分の売上はすぐには戻らない。
円安と中国からの仕入れ
仕入れの半分近くが海外、その大半が中国だ。円安や中国の人件費の上昇は原価をそのまま押し上げる。2024〜25 年の利益の落ち込みは、この原価の上昇を値上げで追いきれなかったことが大きい。
暖冬と在庫
タイヤチェーンやスキーキャリアなど冬物の比率が高い。暖冬の年は売れ残りが出て、在庫の評価損につながる。天候は読めないので、利益は毎年大きく振れる。
通販の安値品
アマゾンでは中国のメーカーがドライブレコーダーなどを安く直接売る。ブランドの差が伝わりにくい商品から、値下げの渦に巻き込まれていく。
眠る現金
純現金は時価総額を上回るが、自社株買いの実績は無く、議決権の 46% を大株主が持つ。現金が事業にも還元にも使われないまま積み上がれば、株主の取り分は額面より小さい。
製品の品質と保証
チャイルドシートやキャリアは、事故の時に命や車を守る商品だ。不具合が出れば回収の費用だけでなく、ブランドの信頼そのものが傷つく。
今後の分かれ目
- 自社株買いや配当の大幅な引き上げで現金を戻す方針が出たら
- 現金の戻り方を見直し、楽観側の確率を上げる。
- 2028/03 期に営業利益率 5% 台の計画が達成されたら
- やや楽観の筋書きに近づいたとみる。本社の費用の伸びが抑えられているかを合わせて確かめる。
- カー用品店のどちらかが取引を大きく減らしたら
- やや悲観側に寄せる。通販でどこまで埋められるかを見る。
- 円が大きく高くなったら
- 仕入れの原価が下がり、利益率が戻りやすい。値下げの圧力で利益が流れ出ないかも見る。
- 大株主が持ち株を手放す動きが出たら
- 再編や買収の可能性が開く。ただ条件が見えるまでは値打ちの前提に入れない。
見ておくもの
- 車関連セグメントの利益率
- 主要販売先 3 社の売上比率
- 本社の費用(調整額)の推移
- 純現金の残高と還元の方針
- 冬の売上と期末の在庫
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や PBR から置かず、事業の ROE が k 8.25% を下回ることから PER の上限 1÷k の 11.4 倍を出し、利益の質で 85〜100% を掛けた。余った現金 48 億円はオーナー支配で戻りにくいので戻り方 0.5 で足した。持ち合い株は配当が利益に入るので足さず、悲観の床だけに数えた。PBR 0.4 倍は割安の根拠にしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.4→12.09 倍・やや楽観 PER 10.8→12.12 倍・中立 PER 9.7→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。