結論
デイトナは、バイクに後から付ける部品や用品を企画し、工場を持たずに作らせて、全国のバイク用品店や販売店に卸す会社だ。筆者の結論は、国内の市場は細るが、品ぞろえと販売網の厚さで利益は守られ、10 年の中立の価値は今の時価総額を上回る、というものだ。
強みは、数多い自社の商品と、国内約 4,000 店に届く販売網だ。スマホのホルダー、ヘルメットのインカム、ガレージ用品まで、乗り手が欲しがる物を早く出し、店の棚を押さえる。作るのは国内外の 200 社強の委託先で、工場の固定費は抱えない。
弱みは、市場そのものの老いだ。国内でバイクに乗る人の中心は 50〜60 代で、若い担い手は増えない。原付の一種は排ガスの規制で姿を消しつつある。コロナの期間に乗り手が戻った特需も、すでに一巡した。
成長の芽はアジアにある。インドネシアとフィリピンで、現地の用品店に直接卸す網を広げている。売上はまだ全体の 1 割強だが、利益率は国内より高い。
財務は堅い。自己資本比率は 8 割で、借入より手元の現金が多い。発行した株の 3 分の 1 を自己株として持ち、配当は利益の 3 割を払う。
10 年の中立では、営業利益は 22 億円前後に伸び、純利益は 15 億円ほどになる。筆者は、国内の縮みをアジアと値上げで埋められるかどうかが、この会社の値打ちを決めると見ている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、デイトナは「小さな池の、よく手入れされた問屋」だ。乗り手の財布の中で用品が占める額は小さく、値上げに気づかれにくい。工場を持たないので、稼いだ利益の多くが現金で残る。過去 10 年の ROE は、ほとんどの年で資本コストを上回った。
気になるのは池の大きさだ。国内の乗り手は老い、10 年後に今と同じ数のバイクが走っている保証は無い。市場が細る中で、シェアを取り続けられるか。答えは、品ぞろえと通販の強さにかかる。
もう 1 つは、現金の使い方だ。工場の要らない会社で、利益の 7 割を手元に残し続ければ、現金は積み上がり、ROE は下がる。アジアの網づくりに回すのは筋が良い。だが、それでも余る現金を株主に戻さなければ、事業の良さは株主の手元に届かない。
今の値段は、国内の縮みを強く織り込んでいる。中立でも利益は物価並みに伸び、アジアが育てば上に開ける。安全域は、事業の稼ぐ力と厚い財務の両方にある。筆者は、今の値段には国内の縮みを越える安全域があると考える。
何で稼ぐ会社か
事業の柱は国内の卸で、売上の 7 割強、営業利益の 6 割強を占める。自社の名前の「デイトナ」をはじめ、ヘルメットの MaxFritz、オフロードの DIRT FREAK など複数の商標で、用品と部品を企画する。商品の数は多く、スマホの充電器やホルダー、インカム、盗難防止の錠、タイヤの空気入れ、ガレージの工具までそろえる。
作るのは自社ではない。国内とアジアの 200 社強の協力工場に作らせ、静岡県森町の物流の拠点から、全国のバイク用品店や二輪の販売店、約 4,000 店に届ける。工場を持たないぶん、売れ筋が変われば作る物を素早く替えられる。在庫と企画が、この会社の資産だ。
もう 1 つの柱は、アジアの卸だ。インドネシアとフィリピンで、現地の二輪の用品店に直接卸す。日本で企画した商品と、現地向けに作った手ごろな商品を並べ、店の数を年々増やす。会社は 2028 年に、インドネシアで 5,600 店、フィリピンで 2,500 店を目標に掲げる。
小売は、大型のバイク用品店「ライコランド」の柏店と埼玉店を、看板の持ち主のコシダテックの加盟店として営む。ほかにオフロードの用品店が 3 店ある。売上は 20 億円ほどだが、利益は薄い。来店客は緩やかに減っており、2026 年は売上が減る見込みだ。
ほかに、太陽光の発電と、リユースの小さな事業がある。
稼ぎの順番ははっきりしている。乗り手が増える年は新車とともに用品が売れ、乗り手が減る年でも、手持ちのバイクを長く乗るための消耗品と修理の部品が売れる。会社はこの「長く乗る」需要を、通販と店の両方で取りにいく。
優良さと弱いところ
堀は中くらいだと見る。用品の 1 つ 1 つは、真似の難しい技術ではない。中国の安い品も、通販で手軽に買える。それでもデイトナが利益を守れるのは、品ぞろえの厚さと店の棚を押さえる力だ。
全国の約 4,000 店にとって、デイトナは「頼めば何でもそろう」問屋だ。売れ筋を早く出し、在庫を切らさずに届ける。店はこの便利さを手放しにくい。乗り手の側でも、デイトナの名前は「外れの少ない用品」の目印になっている。
利益率は、コロナの前の 6〜8% から、特需の 2021 年に 14.6% まで上がり、いまは 11% 台にある。特需が去っても、2019 年以前の水準には戻っていない。値上げが通り、通販の比率が上がった効果だと見る。
資本の効率は高い。工場を持たないので、売上に比べて要る資本が少ない。過去 10 年の ROE の中央値は 13.8% で、資本コストを大きく上回る。弱みは、手元の現金と自己資本が厚くなりすぎ、ROE が 12% 台まで下がってきたことだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の二輪の市場は、大きくは伸びない。新車の販売は年 40 万台前後で、10 年前とほぼ同じだ。中身は変わった。原付の一種は排ガスの規制で作られなくなり、代わりに 125cc 以下の原付二種と、大きな排気量の趣味のバイクが残る。小型二輪の新車は 2025 年に 8 万台強が売れた。
用品の需要を決めるのは、新車の台数より、走っているバイクの数と乗り手の熱量だ。国内の二輪の保有台数は 1,000 万台前後で、ゆっくり減る。乗り手の中心は 50〜60 代で、大きなバイクを長く乗り、手入れと装備にお金を使う。この層が 10 年後に降りていけば、用品の量は細る。
通販は、この業界の地図を変えた。アマゾンや楽天で、中国の安い用品が直接買える。問屋と店を通す流れは、その分だけ細る。デイトナは自社の通販とモールの店で、この流れの中にも身を置く。
競合は、キジマ、エンデュランス、ポッシュなどの用品の企画会社と、タナックス、SHOEI などの専業だ。国内の二輪用品の卸の市場を、筆者は 800 億円弱と見る。会社は業界のシェア 20% を目標に掲げ、いまは 13% 台と推定できる。
アジアは別の世界だ。インドネシアの二輪の販売は年 600 万台を超え、フィリピンも年 150 万台を超える。乗り手は若く、通勤の足としてバイクを使う。用品の単価は日本より低いが、量と伸びがある。筆者は、10 年後の利益の伸びの半分以上がアジアから来ると見る。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。配当性向は 30% 前後で、3 期続けて増配した。2026 年の配当の総額は約 3.6 億円の見込みだ。自己株は発行した株の 3 分の 1 に当たる 118 万株を持つ。2011 年に行った自己株の公開買付けの名残だ。その後の大きな買い戻しは無い。
手元の現金は借入より 13 億円多い。12 月決算で、春の繁忙期に向けて在庫を積むので、そのための運転資金を残し、残りの 8 億円ほどを事業に要らない現金と見る。
株主優待はポイント制で、100 株で年 1,000 ポイントほどだ。会社の費用は年 0.1 億円前後と小さいと推定し、10 年で 1 億円を還元に足した。
大株主は、創業家の資産会社とみられるエービーイーが約 2 割を持つ。ライコランドの看板の持ち主のコシダテックも約 6% を持つ。親会社は無い。
小売の店は借りて営むものが多い。家賃は利益が落ちても残る固定費で、純現金の厚さを見かけほど強いとは書かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内の市場が細るという見方は、乗り手の財布の厚さを見落としている。いま大型のバイクを買う 50〜60 代は、手入れと装備にお金を惜しまない。手持ちのバイクを長く乗るほど、消耗品と修理の部品が売れる。2021 年の特需が去った後も、利益率は 11% 台を保った。特需の前の 6〜8% には戻っていない。
デイトナは、国内約 4,000 店の棚と自社の通販の両方を押さえる。小さな会社が手を引けば、残った品ぞろえの厚い会社にシェアが集まる。会社が掲げるシェア 20% は、今の 13% 台から見て遠くない。
アジアは本物の成長だ。インドネシアは年 600 万台を超える二輪の大国で、乗り手は若い。現地の店に直接卸す網は、2028 年に 8,000 店を目指す。利益率は国内より高い。アジアの利益が国内に並べば、営業利益は 30 億円を超える。
財務は堅く、配当は 3 期続けて増えた。今の値段は、利益の 8 倍強に過ぎない。
円安で仕入れの値段は上がったが、会社は 2026 年の夏にも一部の商品の値上げを決めた。値上げを通せる問屋は、物価の上がる時代に強い。
慎重な見方
バイクの乗り手は、10 年でさらに老いる。今の 60 代は、10 年後には 70 代だ。大型のバイクを降りる人が増え、若い人は車にもバイクにも乗らない。原付の一種は消え、用品の数量は 2 割減ってもおかしくない。
通販の波も逆風だ。アマゾンや楽天では、中国の用品が半値で並ぶ。問屋を通して店に並べる流れは、細る一方だ。デイトナの名前は通販の検索の中では埋もれやすい。値上げを通し続けられるとは限らない。
アジアにも落とし穴がある。インドネシアの店の数は増えても、1 店の売上は小さく、通貨の下落で円の利益は目減りする。現地の安い用品との競争は、日本より厳しい。2026 年の計画では、アジアの利益率は前の年より下がる。
小売のライコランドは、利益がほとんど出ない。店を閉じれば損失が出る。手元の現金も、還元に回らなければ ROE を下げるだけだ。
会社の中計の目標、シェア 20% は前の計画にも書かれていた数字で、まだ届いていない。目標が先へ送られ続けるなら、市場の縮みに勝てていない証拠だ。乗り手が減る国で、問屋の取り分を守り続けられるとは思えない。
どちらに重みを置いたか
両者の言い分は、国内の縮みの速さで分かれる。乗り手の高齢化は確かだが、残る乗り手の財布の厚さと、特需の後も保った利益率は事実だ。確率は中立を厚くし、利益率の実績を重く見て、やや楽観をやや悲観と同じくらいに置いた。国内の卸の売上が 2 年続けて減れば慎重な側へ寄せ、アジアの直販先が計画どおり増えれば楽観の側へ移す。値上げの後に国内の数量が保てるかも、注意して見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 10,321 円251 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,640 円40 億円)。 今の値に割り戻すと 6,022 円146 億円、今との差 +51.9%、 期待の年率 +11.7%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 19,943 円485 億円 | 2,450 円60 億円 | +464.8% | +18.9% | 2,239 円54 億円 |
| やや楽観 | 22% | 14,680 円357 億円 | 2,011 円49 億円 | +320.9% | +15.5% | 3,672 円89 億円 |
| 中立 | 37% | 11,143 円271 億円 | 1,694 円41 億円 | +223.8% | +12.5% | 4,750 円116 億円 |
| やや悲観 | 21% | 3,909 円95 億円 | 1,176 円29 億円 | +28.2% | +2.5% | 1,068 円26 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,534 円37 億円 | 794 円19 億円 | −41.3% | −5.2% | 233 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 10,321 円251 億円 | 1,640 円40 億円 | +201.7% | +11.7% | 11,961 円291 億円 |
今の株価時価総額 3,965 円96 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:国内でシェア 2 割、アジアが第 2 の柱に 利益 28 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 19,943 円485 億円
国内の乗り手は老いるが、残る乗り手は手入れと装備にお金を惜しまない。市場は 10 年で横ばいを保つ。小さな用品会社が後継ぎの不足で手を引き、デイトナのシェアは 20% に届く。値段は物価をやや上回る 1.40 倍だ。
アジアでは、インドネシアとフィリピンの直販先が 1 万店に広がる。乗り手の所得が上がり、1 店の売上も実質で 3 割伸びる。アジアの営業利益は 12 億円に達し、国内に次ぐ柱になる。
営業利益は 39 億円、純利益は 27 億円を超える。配当は利益の 3 割で増え続け、ROE は 12% 前後を保つ。今の値段から見れば、利益は 2 倍強になる。
- 国内の卸(二輪用品の企画・卸、通販):数量 1,160(国内の二輪用品の卸の市場(実質・億円)に、今のシェアからの伸びを掛けた量)× 価格 1.40(値段の指数(今=1.0))→ 売上 218 億円・営業利益 25 億円。市場 1.0 倍・シェア 13.5%→20%、値段 1.40 倍
- アジアの卸(インドネシア・フィリピン):数量 10,000(現地の二輪用品店への直販先(店))× 価格 71(直販先 1 店あたりの年の売上(万円))→ 売上 71 億円・営業利益 12 億円。直販先 1 万店、1 店の実質 1.3 倍、値段 1.40 倍
- 小売(ライコランドほか):数量 5.0(二輪用品の大型店(店))× 価格 6.00(1 店あたりの年の売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。5 店、値段 1.40 倍
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 16.88 倍、時価総額 470 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の小さな用品会社が手を引き、品ぞろえと通販の強さでシェア 20% の目標に届き、アジアの直販先が 1 万店まで広がる筋書き。会社の目標の延長だが、市場が細る中で両方がそろうのは容易でなく 1 割に置いた。
やや楽観 22% やや楽観:シェア 17% とアジアの伸びで、利益は物価を上回る 利益 20 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 14,680 円357 億円
国内の市場は 10 年で 3% 縮む。それでも、品ぞろえと通販でシェアは 17% に上がる。値段は物価をやや上回る 1.37 倍になる。利益率は 10.8% と、今に近い水準を保つ。
アジアの直販先は 8,000 店になる。会社の 2028 年の目標から少し遅れるが、1 店の売上は実質で 2 割伸びる。アジアの営業利益は 8 億円を超える。
小売は 5 店のまま、薄い利益を保つ。営業利益は 29 億円、純利益は 20 億円になる。配当は利益の 3 割で増え、ROE は 10% 前後だ。
2026 年の上期には、アジアの売上が 3 割、利益が 4 割伸びた。この勢いが鈍りながらも続く姿だ。国内では値上げを毎年少しずつ通し、通販の売上も年 5% ずつ積み上げる。
- 国内の卸(二輪用品の企画・卸、通販):数量 956(国内の二輪用品の卸の市場(実質・億円)に、今のシェアからの伸びを掛けた量)× 価格 1.37(値段の指数(今=1.0))→ 売上 176 億円・営業利益 19 億円。市場 0.97 倍・シェア 17%、値段 1.37 倍
- アジアの卸(インドネシア・フィリピン):数量 8,000(現地の二輪用品店への直販先(店))× 価格 64(直販先 1 店あたりの年の売上(万円))→ 売上 51 億円・営業利益 8 億円。直販先 8,000 店、1 店の実質 1.2 倍
- 小売(ライコランドほか):数量 5.0(二輪用品の大型店(店))× 価格 5.87(1 店あたりの年の売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。5 店
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 16.23 倍、時価総額 335 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:特需の後も利益率 11% 台を保った実績と、アジアの直販先を年々増やしてきた実績の延長。国内の市場は少し細るが、シェアの伸びとアジアで埋める。実績に根拠があり、2 割強に置いた。
中立 37% 中立:国内は 1 割細り、シェアとアジアで利益は物価並みに伸びる 利益 15 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 11,143 円271 億円
国内の二輪用品の市場は、10 年で 8% 縮む。原付の一種が消え、大型のバイクを降りる人が増える。それでも、小さな会社が手を引く分を取り、シェアは 15% に上がる。値段は物価並みに 1.34 倍だ。利益率は 10% で、今より少し下がる。
アジアの直販先は 7,000 店になる。会社の目標から数年遅れるが、店の網は着実に広がる。利益率は 15% に下がり、現地の安い用品との競争が効く。
小売は 1 店を閉じて 4 店にする。営業利益は 22 億円、純利益は 15 億円になる。配当は利益の 3 割で、手元の現金は積み上がる。ROE は 8% 台に下がる。
大きく崩れも、跳ねもしない 10 年だ。
- 国内の卸(二輪用品の企画・卸、通販):数量 800(国内の二輪用品の卸の市場(実質・億円)に、今のシェアからの伸びを掛けた量)× 価格 1.34(値段の指数(今=1.0))→ 売上 144 億円・営業利益 14 億円。市場 0.92 倍・シェア 15%、値段 1.34 倍
- アジアの卸(インドネシア・フィリピン):数量 7,000(現地の二輪用品店への直販先(店))× 価格 57(直販先 1 店あたりの年の売上(万円))→ 売上 40 億円・営業利益 6 億円。直販先 7,000 店、1 店の実質 1.1 倍
- 小売(ライコランドほか):数量 4.0(二輪用品の大型店(店))× 価格 5.74(1 店あたりの年の売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。4 店
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 15.58 倍、時価総額 243 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の乗り手の高齢化で市場は 1 割近く細り、シェアの伸びとアジアの拡大でそれを埋める姿。会社の中計の目標には届かないが、過去 10 年の伸びの実績からは控えめな置き方で、いちばん厚くした。
やや悲観 21% やや悲観:乗り手が 2 割減り、通販の安値に押される 利益 7 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 3,909 円95 億円
国内の二輪用品の市場は、10 年で 2 割縮む。大型のバイクを降りる人が増え、若い乗り手は増えない。通販の安い用品に押され、シェアは今のままだ。値段は物価に届かず 1.25 倍にとどまる。利益率は 7% に下がり、コロナの前の水準に戻る。
アジアの直販先は 5,000 店で伸びが止まる。現地の安い用品との競争で、利益率は 10% に下がる。小売は 4 店に縮み、ほとんど利益を出さない。
営業利益は 10 億円、純利益は 7 億円に減る。配当は利益の 3 割で減る。ROE は 4% 台に落ち、ためた現金は額面ほどの値打ちを持たない。
円安で仕入れの値段が上がっても、値上げで追いつけない年が続く。
- 国内の卸(二輪用品の企画・卸、通販):数量 624(国内の二輪用品の卸の市場(実質・億円)に、今のシェアからの伸びを掛けた量)× 価格 1.25(値段の指数(今=1.0))→ 売上 105 億円・営業利益 7 億円。市場 0.80 倍・シェア横ばい、値段 1.25 倍
- アジアの卸(インドネシア・フィリピン):数量 5,000(現地の二輪用品店への直販先(店))× 価格 49(直販先 1 店あたりの年の売上(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。直販先 5,000 店
- 小売(ライコランドほか):数量 4.0(二輪用品の大型店(店))× 価格 5.35(1 店あたりの年の売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。4 店
倍率:PER 9.0 倍。ROE 4.5% で k(8.25%)を大きく下回り、上限 12.1 倍の約 74%。稼ぐ力(純利益÷k、約 86 億円)を超えないように置いた。余った現金は 8 億円×0.75×0.75 を足す。
確率:国内の乗り手の高齢化が速く、通販の安い用品に押されてシェアも伸びない筋書き。コロナの前の利益率 6〜8% に戻った実績があり、実績に根拠があるので 2 割強に置いた。
悲観 10% 悲観:国内の用品の市場が 3 分の 2 に縮み、利益が消える 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,534 円37 億円
国内の二輪用品の市場は、10 年で 35% 縮む。乗り手の多くがバイクを降り、残る人は通販で中国の安い用品を買う。デイトナのシェアは 11% に下がり、値段も物価に追いつかない。
アジアでは、現地の安い用品と通貨の下落に押され、直販先は 3,000 店に減る。小売は 2 店まで縮み、赤字が残る。営業利益はほぼゼロになる。
工場を持たないので、在庫を絞れば現金は残る。借金は無く、会社が行き詰まることはない。だが、配当は減り、株主の取り分は細る。事業の売却や他社との再編が話題になる。
国内の 4,000 店の多くは、後継ぎのいない小さな店だ。店主が引退すれば、デイトナの棚もそのまま消える。問屋の網は、細るときには一気に細る。
- 国内の卸(二輪用品の企画・卸、通販):数量 415(国内の二輪用品の卸の市場(実質・億円)に、今のシェアからの伸びを掛けた量)× 価格 1.15(値段の指数(今=1.0))→ 売上 64 億円・営業利益 1 億円。市場 0.65 倍・シェア 11%、値段 1.15 倍
- アジアの卸(インドネシア・フィリピン):数量 3,000(現地の二輪用品店への直販先(店))× 価格 40(直販先 1 店あたりの年の売上(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。直販先 3,000 店
- 小売(ライコランドほか):数量 2.0(二輪用品の大型店(店))× 価格 4.92(1 店あたりの年の売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。2 店に縮小
倍率:PBR 0.40 倍を今の自己資本 93.3 億円に掛けた。稼ぐ力はほぼ消え、価値は売れる資産の床 37 億円で測る。積み上げた自己資本には掛けていない。
確率:乗り手の高齢化と通販の安値が重なって国内の市場が 3 分の 2 に縮み、シェアも失う筋書き。2001 年に赤字の実績があるが、無借金で純現金があり、工場の固定費も無いので深い赤字は考えにくく 1 割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の卸(二輪用品の企画・卸、通販)
自社の商標で二輪の用品と部品を企画し、国内外の協力工場に作らせ、全国約 4,000 店のバイク用品店・二輪販売店と自社の通販で売る。
| 数量国内の二輪用品の卸の市場(実質・億円)に、今のシェアからの伸びを掛けた量 | 価格値段の指数(今=1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 780 | 1.00 | 105 | 11 |
| 10 年後 中立 | 800 | 1.34 | 144 | 14 |
取り方:売上 104.9 億円・営業利益 10.52 億円は 2025 年 12 月期の国内拠点の卸(FISCO の資料)。市場は会社のシェア 20% の目標と「今から 6.5 ポイント増」の説明から今のシェアを 13.45% と置き、卸の市場を 780 億円と推定した。シェアの増減は数量の側に掛ける。
アジアの卸(インドネシア・フィリピン)
インドネシアとフィリピンで、現地の二輪の用品店に直接卸す。日本で企画した商品と現地向けの手ごろな商品を扱う。
| 数量現地の二輪用品店への直販先(店) | 価格直販先 1 店あたりの年の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,000 | 39 | 16 | 3 |
| 10 年後 中立 | 7,000 | 57 | 40 | 6 |
取り方:売上 15.54 億円・営業利益 3.39 億円は 2025 年 12 月期のアジア拠点の卸。直販先の店の数は開示が無く、2028 年の目標(両国で 8,100 店)から今を約 4,000 店と推定し、1 店あたりの売上を割り出した。
小売(ライコランドほか)
大型のバイク用品店「ライコランド」の柏店と埼玉店(コシダテックの加盟店)と、オフロードの用品店 3 店を営む。
| 数量二輪用品の大型店(店) | 価格1 店あたりの年の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5.0 | 4.28 | 21 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 5.74 | 23 | 1 |
取り方:売上 21.41 億円・営業利益 1.33 億円は 2025 年 12 月期の小売。店の数は 2024 年 12 月期の投資家説明資料のライコランド 2 店とオフロードの用品店 3 店の計 5 店で、1 店あたりの売上を割り出した。
リスクと懸念
国内の乗り手の高齢化
国内でバイクに乗る人の中心は 50〜60 代だ。この層が 10 年で降りていけば、用品の量は細る。原付の一種は排ガスの規制で作られなくなった。
通販の安い用品
アマゾンや楽天で、中国の安い用品が直接買える。問屋と店を通す流れは細り、値上げを通しにくくなる。
アジアの通貨と競争
インドネシアとフィリピンの売上は現地の通貨で入る。通貨が下がれば円の利益は目減りする。現地の安い用品との競争も厳しい。
小売の店
ライコランドは利益が薄く、店は借りて営む。家賃は利益が落ちても残り、店を閉じれば損失が出る。
在庫
多くの商品を持つ問屋で、売れ筋を外せば在庫が残る。特需の後には在庫の調整で利益が落ちた。
現金の使い方
利益の 7 割を手元に残し続ければ、現金が積み上がり ROE は下がる。自己株の取得は長く大きくない。
今後の分かれ目
- 国内の卸の売上が 2 年続けて前の年を下回る
- 市場の縮みが速いとみて、中立の国内の市場を 0.92 倍から 0.85 倍に下げる。
- アジアの直販先が 2028 年に 8,000 店を超える
- やや楽観の確率を厚くし、中立の直販先を 7,000 店から 8,500 店に上げる。
- 国内の卸の営業利益率が 2 年続けて 9% を割る
- 通販の安値に押されているとみて、中立の利益率を 10% から 8.5% に下げる。
- 自己株の取得や総還元性向の目標が数字で示される
- 余った現金の戻り方を 1.0 に上げる。
- ライコランドの店を大きく閉じる
- 小売を中立から外し、閉店の損失を一度だけ引く。
- 国内の二輪の新車の販売が 2 年続けて 1 割以上減る
- やや悲観の確率を厚くする。
見ておくもの
- 国内の卸の売上と営業利益率(2025 年 12 月期 104.9 億円・10.0%)
- アジアの直販先の店の数(2028 年の目標 8,100 店)
- 国内の二輪の新車の販売と保有の台数
- 配当性向と自己株の取得
- ライコランドの店の数と損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE と k(8.25%)から決め、溜まる現金を除いた事業の自己資本で見た ROE から正当化 PER を出し、楽観から中立を上限の約 85〜90% に置いた。今の PER(8 倍強)や同業の倍率は見ていない。現金は運転資金の振れを残した 8 億円だけを余った現金として足した。小売の店の家賃は固定費として悲観に残した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.8→16.88 倍・やや楽観 PER 13→16.23 倍・中立 PER 12.2→15.58 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。同じ領域の済み会社は無い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.75%。