結論
ユニバンスは、車の駆動系の部品とユニットをつくる静岡県の専業メーカーだ。四輪駆動のトランスファー、ハイブリッド車や電気自動車のギヤボックス、建機のトランスミッションが主力になる。筆者の結論は、今の値段は10年の見通しに対してほぼ妥当で、割安とは言い切れないというものだ。時価総額の6割を超える純現金が下値を支える一方、本業の稼ぐ力は資本コストにまだ届いていない。
2026年3月期の営業利益は50億円と過去最高だったが、主な要因は円安の効果だ。純利益は9億円にとどまった。第4四半期に減損損失を計上したからだ。2027年3月期の会社予想は、売上500億円、営業利益30億円と、大きく減る。
顧客は偏っている。日産、フォード、ホンダの3社で売上の7割を占め、年によって比率が大きく動く。フォードは売上の3割近くを占めた年もある。1社の車種の入れ替えで、売上が数十億円動く。
10年後の中立の姿は、売上650億円台、営業利益37億円程度だ。数量は日産向けで減り、物価の分だけ値段が上がる。電動駆動ユニットの育ち方が、上振れと下振れを分ける。筆者は、現金を株主に戻す姿勢が弱い点を、評価の割り引きに入れた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「現金の厚さが目を引くが、事業はまだ試される途中」の会社だ。顧客は偏り、利益は円安で嵩上げされ、赤字の年も多い。
それでも、持つ価値を感じる点が2つある。1つは、純現金が時価総額の6割を超えることだ。事業が不振でも、倒れる心配は小さい。もう1つは、歯車の加工という地味な技術を、長い間、車種ごとに磨いてきたことである。
問題は、利益のうち株主に残る分が増えにくいことだ。設備の更新、電動駆動ユニットの開発、金型の準備に、毎年の資金が出ていく。現存設備の減価償却は取得時の値段のままで増えないが、更新する設備は物価の上昇ぶん高くなる。会計の利益と現金の出入りは、インフレの10年にずれていく。
現金は、積み上がったまま株主に戻らなければ、価値は目減りする。帳簿の額を全部評価に入れず、戻り方を半分に割り引いた。
安全域の考え方はこうだ。中立の価値は、今の値段にほぼ並ぶ。上は電動駆動ユニットの成功と現金の還元で伸びるが、下は日産・フォードの発注減が重なる10年である。現金が下値を支えるぶん、悲観の深さは限られる。
何で稼ぐ会社か
ユニバンスの仕事は、完成車メーカーの設計に合わせて、駆動系の歯車とケースを加工し、組み付けて納めることだ。駆動系とは、エンジンやモーターの力をタイヤへ伝える仕組みである。静岡県湖西市の本社を中心に、米国、タイ、インドネシアにも拠点を持つ。
製品は大きく3つに分かれる。1つ目は、四輪駆動車の前後に動力を配るトランスファーとPTUだ。ピックアップトラックやSUVに載る。2つ目は、ハイブリッド車や電気自動車のギヤボックスと、その先にある電動駆動ユニット(e-Axle)だ。3つ目は、建機と農機のトランスミッション、マニュアル変速機などの部品である。
主な売上先は、2025年度で日産28%、フォード26%、ホンダ19%、CNH Industrial(建機・農機)9%。4社で8割を超える。フォードの比率は3割近い年から2割弱の年まで動く。
歯車の加工技術が強みで、静かで効率の高い電動駆動ユニットを小さな車や電動カート向けに売り込んでいる。2019年にe-Axle向けの減速歯車の量産を始めた。
2026年3月期は、売上565億円、営業利益50億円で、利益率は8.9%に達した。円安で北米の売上が円換算で膨らんだ。株主には、スズキ(約9%)と大同特殊鋼(約9%)が名を連ねる。親会社はなく、独立性は比較的高い。
優良さと弱いところ
一言でいえば、歯車の加工に強みのある駆動系の専業だが、顧客と製品の2つが偏った会社だ。
強みは、歯車とケースの精密な加工、それに完成車メーカーと長く組んできた関係だ。駆動ユニットは車種ごとに設計し、一度採用されると車の寿命ぶん供給が続く。そのため、個別の車種では安定して稼げる。
弱みは3つある。1つ目は顧客の偏りで、日産とフォードの2社で5割を超える。日産は工場の再編を進めており、フォードは車種の入れ替えで発注量が動く。2つ目は、四輪駆動のトランスファーが、内燃機関の車に強く依存していることだ。3つ目は、値段を自分で決められないことだ。毎年の原価低減が条件で、物価が上がっても転嫁は遅れる。
資本効率は低い。過去10年のROEの中央値は3.5%で、赤字の年が6回ある。直近は営業利益率が8%台に上がったが、2022年3月期より前は2%台以下だった。円安の恩恵が剥がれた時の利益率は、6%前後と見る。
経営は財務の面では慎重だ。純現金は111億円と、5年前の純有利子負債から大きく転換した。ただ、これは利益の蓄積であり、株主へ戻す動きは小さい。配当性向は4割程度で、現金は積み上がっている。堀の評価は普通にとどめる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ユニバンスの需要は、北米の四輪駆動車、日本のハイブリッド車と電気自動車、世界の建機・農機で決まる。10年の中立は、世界の車の生産が年1%ほど伸び、電動化が進んでも駆動系の部品は必要とされ続ける、という姿だ。
四輪駆動のトランスファーは、北米のピックアップトラックとSUVが最大の市場だ。この分野は米国の関税と燃費規制の影響を受ける。内燃機関の四輪駆動車は、電動化に伴い、10年のうちに需要が頭打ちになる。電動の四輪駆動はモーターを前後に置くため、トランスファーは要らなくなる。
電動駆動ユニットは、競争が激しい。巨大な部品メーカーや完成車メーカーの内製が、世界で力を持つ。中小のユニバンスは、歯車の静かさと軽さで差をつけ、小型車、電動カート、商用の専用車といった隙間を狙う。市場は大きく伸びるが、価格の下落も速い。
建機・農機は、インフラ投資、資源価格、金利で数年ごとに上下する。CNH Industrialの発注は、2024年度の15%から2025年度の9%に減った。
為替は150円で固定して考える。2026年3月期は円安が利益を押し上げたが、150円ではその効果はほぼ織り込み済みだ。10年の中立は、日産向けが減り、フォード・ホンダ向けが小さく減り、その他が横ばいという地味な姿である。
資本政策と M&A
資本政策は、積み上がる現金の使い方が最大の論点だ。
配当は2022年3月期から4期連続で引き上げ、2027年3月期も増配の予定だ。2026年3月期の配当性向は4割強。ただ、純利益が低かった年に性向が高く出ただけで、利益が回復すれば性向は下がる。自社株買いは目立った実績が確認できない。
純現金は111億円で、時価総額の6割を超える。事業に要る現金を売上の1か月半分と電動化の投資分で50億円と置くと、約60億円が余る。ただし、過去数年の現金の増え方を見る限り、利益の大半は手元に残ってきた。全額が戻るとは見ず、戻り方を半分に置いた。
大きな買収の実績はない。電動駆動ユニットは自前で育てており、外から事業を買う動きは見えない。株主にはスズキと大同特殊鋼が約9%ずつ並ぶ。TOBやグループ入りの可能性は否定しないが、確かな材料はない。
中期経営計画の中身は確認できなかった。数値目標を前提にした筋書きは置かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
純現金は111億円と、時価総額の6割を超える。事業の価値が半分に落ちても、現金で会社は生き残る。しかも、会社は配当を毎年引き上げており、現金を使って株主に戻す余地は大きい。
2026年3月期の営業利益50億円は、円安だけの成果ではない。北米の需要は堅く、2027年3月期の第1四半期も、売上が8%増え、営業利益は38%増えた。通期予想の30億円は保守的で、実際は上振れる可能性がある。
電動駆動ユニットは、小型車、電動カート、商用の専用車で採用が始まっている。歯車の静かさと軽さは、中小の部品メーカーの強みだ。ここが当たれば、ユニバンスは内燃機関の部品会社から、電動駆動の専業へ姿を変える。
顧客の偏りも、裏を返せば長い付き合いの証だ。日産、フォード、ホンダとは数十年の取引があり、車種が変わっても部品の仕様は引き継がれる。ここまで売られた会社に、現金の価値を見直す動きが出れば、評価は一段上がる。
北米は関税の影響を受けるが、現地生産の拠点を持つため、ほかの輸出型の部品会社より打撃は小さい。
慎重な見方
2027年3月期の予想は、売上500億円、営業利益30億円と、大きく減る。2026年3月期の営業利益50億円は、円安の効果が大きかった。為替が動けば、利益は簡単に半分になる。
顧客は日産、フォード、ホンダの3社で7割を占める。日産は工場の統廃合を進めており、フォードは車種の入れ替えのたびに発注量が変わる。1社の発注が数十億円動くだけで、利益は消える。
四輪駆動のトランスファーは、内燃機関の車の部品だ。電動化が進めば、10年のうちに需要が頭打ちになる。電動駆動ユニットは競争が激しく、価格の下落も速い。中小の部品メーカーが大手に勝つのは難しい。
過去17年で赤字が6回ある。2020年3月期は純損失36億円、第4四半期には減損損失も出た。現金が厚く見えるのは、利益の蓄積というより、投資を絞った結果だ。現金は株主に戻らず、M&Aや設備投資に使われれば減る。
電動駆動ユニットの開発費は先に出て、売上は後から立つ。開発が遅れれば費用だけが残り、現金は目減りする。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、厚い現金と、円安に頼らない北米の需要に根拠がある。慎重な見方は、顧客の偏りと、電動化への転換の難しさに根拠がある。筆者は、ほぼ互角と見て、慎重な見方をわずかに強いと判断する。現金が下値を支えるため、悲観の確率は深く置かなかった。
確率は中立に34%を置いた。楽観とやや楽観は合わせて23%、やや悲観と悲観は合わせて43%だ。悲観は、日産・フォードの発注減と電動化の失敗が重なる筋書きで、15%とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,436 円301 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 412 円86 億円)。 今の値に割り戻すと 909 円191 億円、今との差 +13.6%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,980 円835 億円 | 953 円200 億円 | +516.6% | +20.0% | 296 円62 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,604 円546 億円 | 715 円150 億円 | +314.9% | +15.3% | 564 円118 億円 |
| 中立 | 34% | 1,737 円364 億円 | 477 円100 億円 | +176.7% | +10.7% | 753 円158 億円 |
| やや悲観 | 28% | 407 円85 億円 | 215 円45 億円 | −22.4% | −2.5% | 174 円36 億円 |
| 悲観 | 15% | 334 円70 億円 | 72 円15 億円 | −49.3% | −6.6% | 61 円13 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,436 円301 億円 | 412 円86 億円 | +131.0% | +8.7% | 1,848 円388 億円 |
今の株価時価総額 800 円168 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 電動駆動ユニットが当たり、現金も株主に戻る 利益 59 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 3,980 円835 億円
電動駆動ユニットの採用が小型車と電動カート、商用の専用車で広がり、その他の数量が3割増える。日産向けは減るが、フォードとホンダの新型車向けが補い、全体で数量は1割伸びる。
利益率は9%台に乗る。円安の効果は織り込まず、150円で固定した上での数字だ。歯車の静かさと軽さが評価され、値段も物価の上昇に近く転嫁できる。
現金の一部が設備投資と小さなM&Aに使われ、残りは配当と自社株買いで戻る。還元は利益の4〜5割に高まる。自己資本が積み上がるが、事業のROEは資本コストを超え、堀も少し広がる。
北米の関税は顧客との交渉で吸収され、フォード向けの車種も新しいモデルへ切り替わる。タイと米国の拠点が稼働率を上げ、固定費が薄まる。
- 日産向け(4WD・駆動ユニット):数量 52.3(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 3.88(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 203 億円・営業利益 19 億円。日産向け 営業利益率9.5%
- フォード向け(北米の4WD・駆動ユニット):数量 44.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 5.03(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 221 億円・営業利益 23 億円。フォード向け 営業利益率10.5%
- ホンダ向け(駆動部品・ユニット):数量 69.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.38(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 164 億円・営業利益 15 億円。ホンダ向け 営業利益率9.0%
- その他(建機・農機・他の自動車・e-Axle):数量 117(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.34(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 274 億円・営業利益 27 億円。その他 営業利益率10.0%
倍率:事業の純利益 58 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 13.58 倍、時価総額 835 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電動駆動ユニットの採用拡大、フォード・ホンダの発注増、現金の還元が重なる必要がある。当たれば大きいが確度は低い。楽観は5%を少し超える程度に置いた。
やや楽観 17% 電動駆動ユニットが小さく育ち、顧客は安定 利益 41 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,604 円546 億円
日産向けは緩やかに減るが、フォードとホンダは横ばいを保つ。電動駆動ユニットが小さく育ち、その他の数量は1割強増える。
値段は物価の上昇に近く転嫁できる。利益率は7〜8%台で、円安の恩恵のない水準に落ち着く。
北米のピックアップ需要は堅調で、フォード向けの車種の切り替えも大きな抜けなく進む。ホンダ向けはハイブリッド車の駆動部品で数量を保つ。
純現金は少しずつ戻り、配当は利益の4割台で続く。ROEは事業で10%前後だが、積み上がる現金に押されて全体では低く出る。
フォード向けは新型車への切り替えで発注量が一時的に動くが、10年では平準化する。電動駆動ユニットは小口の採用が続き、売上の1割に届かないまま成長する。
- 日産向け(4WD・駆動ユニット):数量 46.8(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 3.82(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 179 億円・営業利益 14 億円。日産向け 営業利益率8.0%
- フォード向け(北米の4WD・駆動ユニット):数量 40.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 4.96(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 198 億円・営業利益 18 億円。フォード向け 営業利益率9.0%
- ホンダ向け(駆動部品・ユニット):数量 60.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.35(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 141 億円・営業利益 11 億円。ホンダ向け 営業利益率7.5%
- その他(建機・農機・他の自動車・e-Axle):数量 104(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.31(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 239 億円・営業利益 20 億円。その他 営業利益率8.5%
倍率:事業の純利益 40 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 12.48 倍、時価総額 546 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の現状の延長線に近い。ただし円安を除くと利益率は下がり、顧客の発注も動くため、2割に届かない確率にした。
中立 34% 中立:日産向けが減り、物価の分だけ値段が上がる 利益 28 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,737 円364 億円
日産向けの数量は10年で25%減る。フォードとホンダ向けは1割ほど減り、その他は横ばいを保つ。
値段は完成車メーカーの原価低減の要請で、物価に追いつかず、10年で約1.3倍にとどまる。売上は650億円台に育つが、数量は減っており、伸びの大半は価格だ。
営業利益率は5.6%。2027年3月期の会社予想(6.0%)より少し低く、円安の効果は織り込まない。営業利益は37億円ほどだ。
配当は利益の4割で続くが、現金の大半は手元に残る。ROEは事業で7%前後と、資本コストに届かない。更新投資は物価で割高になり、現金は償却より多く出ていく。
- 日産向け(4WD・駆動ユニット):数量 41.3(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 3.71(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 153 億円・営業利益 10 億円。日産向け 営業利益率6.5%
- フォード向け(北米の4WD・駆動ユニット):数量 36.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 4.81(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 173 億円・営業利益 12 億円。フォード向け 営業利益率7.0%
- ホンダ向け(駆動部品・ユニット):数量 54.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.28(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 123 億円・営業利益 7 億円。ホンダ向け 営業利益率5.5%
- その他(建機・農機・他の自動車・e-Axle):数量 90.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.31(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 208 億円・営業利益 14 億円。その他 営業利益率6.5%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 364 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:日産向けの減少と電動駆動ユニットの小さな成長が釣り合う姿。最も重みを置くが、慎重な見方がわずかに強いので、悲観側に厚く配った。
やや悲観 28% 日産とフォードの発注が減り、電動駆動ユニットも伸びない 利益 8 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 407 円85 億円
日産向けの数量が半分近くまで減り、フォードも25%減る。ホンダ向けも減り、電動駆動ユニットは大手との競争に押される。
完成車メーカーは調達コストを下げ続け、値段は物価の上昇に大きく届かない。10年で値段は1.26倍にとどまる。
営業利益率は日産向けで3%、フォード向けで4%に下がる。固定費の重さが、数量の減りを利益の減りに変える。赤字の年を挟みながら、10年の純利益は小さな黒字を保つ。
電動駆動ユニットは、開発費を回収できないまま採用が限られる。四輪駆動のトランスファーは、フォードの次世代車で電動の四輪駆動に置き換わる分が出て、数量が目に見えて減る。
配当は維持するが、自社株買いは止まる。余った現金は、設備投資と赤字の穴埋めに回り、25%減る。
- 日産向け(4WD・駆動ユニット):数量 30.3(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 3.59(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 109 億円・営業利益 3 億円。日産向け 営業利益率3.0%
- フォード向け(北米の4WD・駆動ユニット):数量 30.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 4.66(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 140 億円・営業利益 6 億円。フォード向け 営業利益率4.0%
- ホンダ向け(駆動部品・ユニット):数量 45.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.21(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 99 億円・営業利益 3 億円。ホンダ向け 営業利益率2.5%
- その他(建機・農機・他の自動車・e-Axle):数量 81.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.24(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 181 億円・営業利益 7 億円。その他 営業利益率4.0%
倍率:事業のROE 2.7%は資本コスト8.5%を大きく下回り、伸びても価値は増えない(上限 1÷k = 11.4倍)。構造的に数量と単価が縮む筋書きで利益の質が低いので、上限の7割に満たない7.0倍に置いた。
確率:日産の再編が続き、フォードの発注も減る筋書き。過去17年で赤字が6回あることを踏まえ、やや厚く置いた。
悲観 15% 顧客を失い、電動化にも乗り遅れて、資産の売却に向かう 利益 −10 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 334 円70 億円
日産向けの数量が3分の1まで落ち、フォードも半分近くまで減る。四輪駆動のトランスファーは電動化で需要が消え、電動駆動ユニットは大手に価格で負ける。
固定費をまかなえず、営業利益は赤字になる。工場の統廃合と設備の減損が避けられず、タイや米国の拠点も整理する。
配当は大きく減り、自社株買いはなくなる。現金は赤字の穴埋めと再編の費用で減る。
残る価値は、純現金のうち戻る分と、工場の売却額から再編の費用を引いた額が中心になる。
日産とフォードの双方が取引を縮める10年は、顧客を広げる余力もなく、固定費だけが残る。株主にとっては、現金をどれだけ守れるかが勝負になる。
- 日産向け(4WD・駆動ユニット):数量 19.3(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 3.28(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 63 億円・営業利益 −1 億円。日産向け 営業利益率-2.0%
- フォード向け(北米の4WD・駆動ユニット):数量 22.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 4.26(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 94 億円・営業利益 0 億円。フォード向け 営業利益率0.0%
- ホンダ向け(駆動部品・ユニット):数量 33.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.01(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 66 億円・営業利益 −2 億円。ホンダ向け 営業利益率-3.0%
- その他(建機・農機・他の自動車・e-Axle):数量 63.0(供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定))× 価格 2.07(1 基相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 130 億円・営業利益 0 億円。その他 営業利益率0.0%
倍率:赤字の筋書きなので稼ぐ力でなく売れる資産で測る。純現金のうち戻る分と固定資産の売却額から再編費用を引いた約70億円を床とし、今の自己資本292億円の0.24倍に置いた。
確率:日産とフォードの発注が大きく減り、電動駆動ユニットも失敗する筋書き。現金が下値を支えるため、深くしすぎず15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
日産向け(4WD・駆動ユニット)
日産の車に載る4WD用トランスファー、PTU、ギヤボックスなど。日産全体で売上の約28%。
| 数量供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定) | 価格1 基相当あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 55.0 | 2.85 | 157 | 15 |
| 10 年後 中立 | 41.3 | 3.71 | 153 | 10 |
取り方:日産向けの売上は、2025年度の構成比27.8%(約150億円)を今期の売上に当てた推定で約157億円。供給するユニット・部品を55万基相当、1基あたり約2.9万円と置いた推定。セグメント利益は顧客別の開示がなく、約9.5%(14.9億円)と推定。価格は物価並みの1.34倍が基本だが、原価低減の要請で中立は1.30倍とした。
フォード向け(北米の4WD・駆動ユニット)
北米のフォードの4WD車向けトランスファーなど。売上の約26%で、年によって比率が大きく動く。
| 数量供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定) | 価格1 基相当あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 3.70 | 148 | 16 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 4.81 | 173 | 12 |
取り方:フォード向けの売上は、2025年度の構成比26.1%(約141億円)を今期の売上に当てた推定で約148億円。40万基相当、1基あたり約3.7万円(北米向けの4WDユニットは単価が高い)と置いた推定。セグメント利益は約11%(16.3億円)と推定。価格は物価並みの1.34倍が基本だが、原価低減の要請で中立は1.30倍とした。
ホンダ向け(駆動部品・ユニット)
ホンダ向けの駆動系の部品とユニット。売上の約19%で、比率は安定している。
| 数量供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定) | 価格1 基相当あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 1.75 | 105 | 8 |
| 10 年後 中立 | 54.0 | 2.28 | 123 | 7 |
取り方:ホンダ向けの売上は、2025年度の構成比18.6%(約100億円)を今期の売上に当てた推定で約105億円。60万基相当、1基あたり約1.75万円(部品中心で単価が低い)と置いた推定。セグメント利益は約8%(8.4億円)と推定。価格は物価並みの1.34倍が基本だが、原価低減の要請で中立は1.30倍とした。
その他(建機・農機・他の自動車・e-Axle)
建機・農機のトランスミッション(CNH Industrialなど)と、他の自動車メーカー向け、電動駆動ユニット(e-Axle)。
| 数量供給するユニット・部品の基数相当(万基、推定) | 価格1 基相当あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 90.0 | 1.72 | 155 | 15 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 2.31 | 208 | 14 |
取り方:CNH Industrial向け(2025年度約8.9%)と他の自動車・電動駆動ユニットを合わせた推定で約155億円。90万基相当、1基あたり約1.7万円と置いた推定。セグメント利益は約9.5%(14.7億円)と推定。建機・農機は値上げが比較的通りやすく、価格は物価並みの1.34倍とした。
リスクと懸念
顧客の偏り
日産、フォード、ホンダの3社で売上の7割を占める。フォードは車種の入れ替えで比率が2割台後半から2割弱まで動く。1社の発注が減れば、固定費を負担する利益が消える。
円安の効果が剥がれる
2026年3月期の営業利益50億円は、円安による北米売上の換算が大きく寄与した。為替が変わると、利益は簡単に半分になる。会社の2027年3月期の予想は営業利益30億円だ。
電動化への転換
四輪駆動のトランスファーは、内燃機関の車に強く依存する。電動の四輪駆動はモーターを前後に置くため不要になる。電動駆動ユニットで補えるかは、大手との競争次第だ。
値決めの弱さ
完成車メーカーの原価低減の要請は毎年続き、材料費や賃金の上昇の転嫁は遅れる。物価が年3%上がる世界で、値段が物価に届かなければ、利益率は下がる。
減損と特別損失
2026年3月期の第4四半期は減損損失を計上し、純利益は9億円に落ちた。過去17年に赤字が6回ある。設備の更新や海外拠点の見直しで、再び出る可能性がある。
現金が戻らない
純現金は111億円と時価総額の6割を超えるが、自社株買いの実績は確認できない。M&Aや設備投資に使われれば、株主に戻る額は減る。
更新投資の負担
設備と金型の更新は、物価の上昇で割高になる。現存設備の償却は取得時の値段のままで増えないが、更新分は新しい値段で償却される。会計の利益と現金の出入りがずれる。
今後の分かれ目
- 電動駆動ユニットの量産採用が売上の1割を超えたら
- その他の数量を上げ、楽観側へ確率を移す。
- 日産が北米・日本の工場の再編を進めたら
- 日産向けの数量を下げ、悲観側へ確率を移す。
- フォード向けの比率が2割を下回ったら
- フォード向けの数量と利益率を下方に見直す。
- 営業利益率が為替の前提を150円に直しても7%を超える年が2期続いたら
- 中立の利益率を上げる。
- 自社株買いを実施し、総還元性向が5割を超えたら
- 余った現金の戻り方を1.0に見直す。
- 減損や特別損失が連続して出たら
- 悲観側の確率を上げ、経営の評価を下げる。
見ておくもの
- 日産・フォード・ホンダ向けの売上比率と発注の動き
- 電動駆動ユニットの採用車種と売上
- 為替の前提と営業利益率(円安効果の剥落)
- 純現金の推移と自社株買い・配当性向
- 減損・特別損失の開示
- 建機・農機(CNH Industrial)の発注
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROEが資本コスト8.5%を上回る楽観・やや楽観はRONIC方式の正当化PERの上限の8〜8.5割、下回る中立以降は1÷kを基準に上限の7割に置いた。今の株価・過去のPER・PBR・同業の倍率は使っていない。余った現金は戻り方0.5で別に足した。悲観は純現金の戻る分と固定資産の売却額から求めた床に、今の自己資本を掛けた。結果は今の値段にほぼ並んだが、株価に寄せる調整はしていない。新リース会計基準でBSの形が変わるが、数字は今と同じ形(家賃を営業費用に含める形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.58 倍・やや楽観 PER 9.7→12.48 倍・中立 PER 8→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.25% を足した 8.75%。顧客の集中や電動化の転換は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。