結論
AeroEdgeは、航空機エンジン「LEAP」に使われるチタンアルミ製タービンブレードの量産加工を得意とする会社だ。参入できる企業が世界で2社という製品上の強みは本物だが、長期の株主にとって現在の時価総額297億円には十分な安全域がない。2036年までの事業拡大を相当に認めても、確率を加味した現在の本質価値は約129億円、現状を約56%下回ると見ている。
強みの核心は、Safran向けの長期供給契約と、航空機の安全を左右する難削材の加工技術にある。2026年6月期のLEAP向け売上は約46億円で、同社は当該ブレードの世界供給量の約40%を担う。2028年からの供給比率引き上げも決まっており、航空機メーカーの積み上がった受注残が成長を支える。ただし、2026年6月期の売上の約97%がSafran向けであり、世界シェアの高さをそのまま価格交渉力の高さと読み替えることはできない。
次の10年で会社の姿は変わり得る。自社製チタンアルミ新材料、LEAP以外のエンジン部品、買収したオノプラントの機体部品を育てれば、2036年の中立的な売上は約193億円、営業利益は約37億円まで伸びる余地がある。これは2026年の売上51億円、営業利益11億円からの大幅な前進だが、新材料の品質保証や工場投資が成功し、買収先が利益を生み続けることを必要とする。
筆者が特に重く見るのは、LEAPの契約が2034年までであることと、成長に多額の設備投資を要することだ。10年後の価値を考えると、契約更新と次世代エンジンへの採用という二つの大きな関門が残る。高い技術を持つ成長企業であることと、今の価格で長期保有する魅力が高いことは、別の問題である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目で見ると、AeroEdgeには簡単に見過ごせない強みがある。航空機メーカーとエンジンメーカーは、わずかな不具合でも重大な結果を招く部品について、実績のある供給者を簡単には入れ替えない。長年の加工条件、測定データ、品質検査の蓄積は模倣に時間がかかる。2034年の契約更新を乗り越え、新しいエンジンでも採用が続けば、この技術基盤は10年先にも高い価値を持つ。
ただし、持ち続けたい企業であるためには、顧客が困るほど欠かせない部品を作ることだけでは足りない。契約単価を維持できるか、設備の更新費用を回収できるか、新しい設備に投じた資本が資本コストを上回る利益を生むかが問われる。新材料を自社で製造すれば売上の範囲は広がるが、鋳造の歩留まりと品質保証を顧客に認めてもらうまでの期間は現金を消費する。成功時の売上増加を、そのまま株主が自由に使える利益の増加と考えてはいけない。
資本配分においては、オノプラント買収が最初の重要な試金石となる。買収した生産能力が本業の顧客開拓に役立つなら、特定の部品と特定顧客に集中した危うさを減らせる。一方、利益に結びつかなければ、のれんと借入金だけが残る。今後も案件を増やす際は、単なる売上規模でなく増分投下資本利益率を継続して確認する必要がある。
現在の株価が要求している将来像は、技術の強さだけでは説明し切れない。2036年に複数の収益源が育つ中立の筋書きでも、利益を10年間待つ時間価値と株式の希薄化を考慮すると、現在の価格には大きな余裕がない。優れた製品を作る会社を、将来の成功をすべて織り込んだ価格で保有することには慎重でありたい。事業の魅力は高くても、支払う価格については規律を守るべきだ。
何で稼ぐ会社か
主力製品は、LEAPエンジンの低圧タービンに組み込むチタンアルミブレードだ。LEAPはGE AerospaceとSafranの合弁事業CFM Internationalが開発し、AirbusのA320neo系列、Boeingの737MAX、中国COMACのC919などに使われる。AeroEdgeはSafranから原材料の無償支給を受け、難しい形状への精密加工、検査、品質保証を行って加工賃を得る。したがって、売上はエンジンに対応するブレードの納入数量と、1基相当当たりの加工収入で主に決まる。
この事業には独特の利点がある。チタンアルミは軽く、耐熱性能にも優れるが、加工時の割れや寸法のばらつきを抑えるのが難しい。認定済みの工程を別の工場へ移すには、工程条件、設備、検査能力を検証し直す必要がある。顧客も短期間で調達先を変えにくい。一方で、素材を支給するSafranが製品仕様と発注数量を握るため、AeroEdgeが航空機需要の増加分を自由に値上げへ転嫁できる構造ではない。
会社が次に狙うのは、加工賃だけを受け取る立場から、新材料の製造まで担う立場への転換だ。新しいチタンアルミ材料の鋳造・量産に成功すれば、従来の加工収入に材料製造分の売上が加わる。ただし、材料の歩留まり、検査、設備償却、品質認定という新しい費用も生じる。LEAP以外では航空機エンジンB向けの量産が始まっており、エンジンA向けはこれから量産を進める段階にある。
2026年6月にはオノプラントを完全子会社化し、航空機体部品などの加工へ事業範囲を広げた。買収年度は同社の貸借対照表だけが連結され、損益はまだ本格的に取り込まれていない。したがって2026年の実績売上をオノプラントに割り振っていない。会社の会計上の報告区分は加工事業の単一セグメントであり、以下の区分は10年後の数量と採算を検討するための分析上の区分である。
将来構想には航空機エンジンの整備・補修、いわゆるMROへの参入もある。しかし、確定した大きな収益基盤を確認できないため、中立の収益には算入していない。研究開発や試作についても、公開されていない契約件数を事実として扱わず、案件数と平均金額の推定にとどめている。
優良さと弱いところ
航空機エンジン部品としての品質認定は、AeroEdgeの最も強い堀、すなわち競合が簡単に追いつけない強みである。LEAP向けチタンアルミブレードの供給者は同社を含めて世界で2社と開示されている。海外のもう1社は会社資料で匿名とされており、特定の企業名を推測して競合シェアを帰属させるべきではない。2016年から量産を続け、2024年には契約の延長と供給比率の拡大を勝ち取ったことは、品質と納期に対する顧客の評価を示している。
しかし、堀が強いのは加工工程であって、企業全体の価格決定権ではない。2026年6月期のSafran向け売上比率は約97%に達する。顧客は買い手として圧倒的に大きく、材料の支給、設計仕様、供給契約を支配する。2027年6月期の会社計画ではLEAP加工売上の伸び率が供給数量の伸び率を下回っており、平均単価の上昇を当然視できない。技術的な切り替えの難しさは評価するが、自由な値上げを実証した企業ほどの堀とは判断しない。
資本効率は成長の過程で厳しく試される。2026年の営業利益率22.5%は魅力的だが、新材料の製造設備と新規エンジン部品の量産ラインには先行支出が必要になる。既存設備の減価償却は取得原価に基づくため、物価が上がっても一律には増えない。一方、将来の設備更新費用は新しい物価水準で発生する。会計利益が増えても自由な現金が同じ速さで増えるとは限らない。
AIによる設計・検査データの解析は生産性を高める可能性があるが、認定済みの物理的な加工、材料鋳造、非破壊検査をAIエージェントが代替するわけではない。同社の主な収入は人月契約のSI、席課金ソフト、情報サービスではなく、実物の航空機部品に結びついている。研究開発受託も実験と試作が中心であり、添付のAIエージェント代替の数量縮小型には該当しないと判断した。ただし、図面作成や間接業務の自動化が進めば、顧客から加工費の引き下げを求められる可能性はある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
航空機の需要は短期間の景気循環を伴いながらも、長期では世界の移動需要に支えられている。Airbusの長期市場予測は今後20年で約4万機を超える新造民間航空機の需要を見込む。中心は中小型機であり、A320neoと737MAX向けのLEAPは有力なエンジンであり続けると考えられる。Safranの開示によれば、LEAPの年間引き渡しは2024年の1,407基から2025年の1,802基へ増え、2028年には約2,600基を目指している。
AeroEdgeが現在取り組むLEAP用チタンアルミブレード市場は、2026年6月期の対応エンジン約2,103基を基準にすれば、年間約2,100基相当の加工需要と捉えられる。同社の対応数量847基相当は約40%に当たり、残り約60%は開示上の海外A社が担う。この加工市場を現在のAeroEdgeの単価で換算すると年間約115億円に相当する。ただし、これは競合の実際の売上を合算した統計ではなく、同一加工単価を仮定した市場規模の代理値である。
2036年の中立では、世界のLEAP新造エンジンを年間3,300基、同社の供給比率を約47%と想定する。加工対象は約1,550基相当となり、新規LEAP加工売上は約100億円となる。2,600基という2028年のメーカー目標より先は公表計画ではないため、生産能力の増強、航空会社の更新需要、ライバルエンジンの採用、供給網の制約を織り込んだ推計である。単価には物価上昇を含むが、顧客の購買力を考え、物価3%がすべて加工賃に転嫁されるとは見ていない。
競争相手を混同してはいけない。Pratt & WhitneyのGTFは航空会社がエンジンを選ぶ際のLEAPの競争相手だが、AeroEdgeのブレード製造を直接請け負う会社とは限らない。Howmet AerospaceやPrecision Castpartsは航空宇宙向けの金属・鋳造部品で比較対象になる一方、LEAPの当該ブレードで海外A社がどこかは確認できない。2026年にはGE Aerospaceが鋳造会社Consolidated Precision Productsの買収を発表した。エンジンメーカー側が材料技術と供給能力を内製・系列化する動きは、独立系加工会社にとって長期の交渉上の懸念となる。
LEAP以外のエンジン部品やオノプラントの機体部品は、取引先別のプログラム総数量が非開示で、信頼できる市場シェアを算定できない。そのため、それらの売上は会社が示した新規量産の開始時期、2027年の案件別売上計画、買収先の収益計画を出発点にし、稼働数量と部品単価を分けた推計として扱う。2034年のLEAP契約更新、次世代エンジンの部品形状の変更、品質認定の獲得が、業界全体の成長率以上に同社の将来を左右する。
資本政策と M&A
2026年6月期の営業利益は11億円を超えたが、当面の資本配分の主役は配当ではなく、成長のための投資である。会社の2026年9月の事業計画では、2027年6月期の売上高79.5億円、営業利益15.5億円、純利益9.6億円を見込む。中長期の営業利益率は20%程度を目安とし、ネットD/Eレシオは1.5倍を目途とする。一方で、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額、ROEについて定量的な株主への約束はなく、株主還元の数字の約束なしと判断する。
2026年6月にはオノプラントを9.8億円で買収した。取得時ののれんは約8.9億円と、買収対価の大半を占める。設備と人材の確保には価値があり得るが、買収価格を正当化するには今後の利益と現金回収で実証するしかない。のれんは14年間で償却されるため、収益計画が外れれば会計利益だけでなく資産価値も圧迫する。航空機体部品への進出が顧客集中を下げるかどうかも、売上ではなく採算を伴う受注で確かめたい。
新材料と新規部品の量産に向けた投資も重い。会社資料は既存LEAP加工能力の増強、新材料事業、エンジンA・B案件の設備投資を示している。2026年6月期の営業キャッシュフローには多額の補助金収入が含まれ、通常年のオーナー利益を測る際にはそのまま繰り返さない。純有利子負債は約28億円で、調達金利が高くなるほど設備の追加投資と株主還元が競合する。
2026年6月期まで配当は行われておらず、過去5年で意味のある自己株式取得や増配も確認できない。大株主上位10者の保有比率は約69%で、資本配分に対する少数株主の直接的な影響力は限定的だ。将来生じる余剰現金を全額ただちに株主の価値とみなさず、持分価値への反映率は半分とする。将来の筋書きに含める配当や自社株買いは会社の約束ではなく、成熟後の仮定にすぎない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
航空機の供給不足は一時的な需要急増ではなく、世界の旅客輸送の成長と製造能力の制約が重なった構造的な問題である。AirbusとBoeingには大量の中小型機の受注残があり、SafranはLEAPエンジンの増産を続けている。AeroEdgeが長期供給契約を通じてシェアを約40%から40%台後半へ引き上げることは決まっており、今後も生産性と品質で評価を積み上げれば、2034年以降も選ばれる蓋然性は高い。
世界で2社しか供給できない製品は、新規参入者が安い見積もりを出すだけでは奪えない。厳しい安全認証と安定供給の実績は、通常の機械加工会社にはない競争優位を生む。2024年の契約更新によって供給期間を延ばし、シェアを増やした事実は、この強みを裏付けている。2034年の契約が更新されれば、生産ラインに投じた資本を長期にわたって回収できる。
成長の第二段階も見えている。これまで支給材料を加工するだけだった会社が、自らチタンアルミ材料を量産できれば、加工と素材の双方で付加価値を得る。新規エンジンA・B案件はLEAP依存を減らし、オノプラントは機体部品という新しい取引先への入口になる。新しい工場や買収先が計画どおり稼働すれば、固定費を吸収した後の利益増加は売上の増加より大きくなる。
航空機は電動化によってすぐ置き換わる製品ではなく、燃費改善に寄与する軽量・耐熱部品の必要性は続く。2036年までに新規部品と材料製造を収益の柱に育てられれば、2034年の契約更新への依存度も下がる。現在の利益だけを基準にすると、将来の複数の事業の価値を過小評価する危険がある。
慎重な見方
LEAP向け世界シェア40%という数字は魅力的に見えるが、その製品を買う主要顧客はほぼSafran1社である。航空機エンジンメーカーにとって供給者の育成は重要でも、売り手が契約条件を自由に決められるわけではない。2027年の会社計画でも、LEAP向けの対応数量の増加に比べて加工売上の伸びは小さい。競争力が高くても、顧客が価格上昇の大部分を吸収してしまう可能性は十分にある。
2034年に契約が終了するという期限は、10年保有の評価では決定的だ。契約を延長できても単価が下がる可能性があり、次世代のエンジンで異なる材料や製法が採用されれば、既存ラインの設備が競争優位を失う。LEAPに強い会社が、その次のエンジンでも強いとは限らない。顧客の設計変更を予測できない以上、遠い将来の利益を高い確度で見積もることは難しい。
新材料の量産は魅力的な反面、加工業から素材製造業への大きな事業転換でもある。新しい鋳造設備は、高い歩留まりと安定した品質が得られるまで利益を圧迫する。オノプラントの買収では多額ののれんが発生し、想定した利益を生まなければ将来の減損リスクがある。高い成長率を実現するために必要な追加投資を差し引くと、オーナー利益は見た目ほど大きくないかもしれない。
2026年6月期の純有利子負債は自己資本の半分を超える。会社は成長投資を優先し、株主還元の定量目標を約束していない。増資や新株予約権の行使も既存株主の取り分を薄める。現在の市場価格は、LEAP増産だけでなく、素材、新規エンジン、買収先の成功までかなり織り込んでいるように見える。
どちらに重みを置いたか
加工技術の参入障壁とLEAPの受注残については前向きな見方を支持する。しかし、現実の顧客集中、2034年の契約期限、新材料の採算が未実証であることを踏まえると、長期の事業価値には相応の不確実性が残る。上側の確率を30%、中立を33%、下側を37%とした。やや悲観と悲観を厚くしたのは航空機市場全体への悲観ではなく、この会社固有の契約更新、品質認定、設備投資の同時実行リスクによる。中立でも10年後の事業規模は大きくなるが、投資の時間価値を考えると現状の時価総額を正当化するには足りない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,134 円281 億円(+ 還元の換算額還元の合計 38 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 527 円131 億円、今との差 −52.8%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,916 円723 億円 | 132 円33 億円 | +173.3% | +10.9% | 305 円76 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,889 円468 億円 | 75 円19 億円 | +76.2% | +6.0% | 393 円97 億円 |
| 中立 | 33% | 1,138 円282 億円 | 30 円7 億円 | +4.8% | +0.5% | 385 円96 億円 |
| やや悲観 | 24% | 303 円75 億円 | 0 円0 億円 | −72.8% | −12.2% | 73 円18 億円 |
| 悲観 | 13% | 123 円30 億円 | 0 円0 億円 | −89.0% | −19.8% | 16 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,134 円281 億円 | 38 円9 億円 | +5.1% | +0.5% | 1,172 円290 億円 |
今の株価時価総額 1,115 円276 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% LEAP増産と新材料量産がともに大成功 利益 59 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,916 円723 億円
LEAPの生産拡大が予想以上に長く続き、2036年には世界の年間生産が4,200基に達する。AeroEdgeは品質と納期で競争力を示し、海外のもう1社との競争に勝って供給比率を50%まで引き上げる。2034年の契約更新でも主力供給者として選ばれ、加工単価への価格転嫁も進む。
新材料事業は品質認定と量産歩留まりを早期に確立し、LEAP向け加工だけでなく材料製造の利益も獲得する。エンジンA・B案件は大きな量産プログラムとなり、オノプラントでは機体メーカーとの取引が広がる。さらにMRO関連でも案件を積み上げ、収益が特定部品に依存しない形に変わる。
設備投資は大きいものの、工場稼働率の上昇によって固定費を吸収し、利益は売上以上の速さで増える。純有利子負債の重さは利益の成長に対して相対的に小さくなり、成熟した事業から株主への還元も始まる。品質保証能力を競争力に変える理想的な10年である。
- LEAP向けチタンアルミブレード加工:数量 2,100(LEAPエンジン換算の年間加工対応基数)× 価格 0.08(エンジン1基相当のブレード加工売上(億円))→ 売上 158 億円・営業利益 47 億円。世界LEAP約4,200基×同社シェア50%。契約更新後の加工賃改善、量産歩留まり向上。
- 研究開発・試作・既存その他加工:数量 5.0(年間の研究開発・加工契約相当の案件束数(推定))× 価格 1.50(案件束1件相当の年間売上(億円、推定))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。高付加価値の開発・試作案件を継続。案件束数は非開示のため推定。
- チタンアルミ新材料の製造・供給:数量 2,000(年間の材料供給に対応するLEAPエンジン換算基数)× 価格 0.04(エンジン1基相当の材料供給売上(億円))→ 売上 76 億円・営業利益 18 億円。新材料の量産認定が定着し、外販可能な生産能力も確保。高い歩留まりを前提。
- LEAP以外の航空機エンジンA・B部品:数量 3,400(新規エンジン部品の年間供給に相当するエンジン換算ロット数(推定))× 価格 0.02(換算ロット1件当たりの年間加工売上(億円))→ 売上 65 億円・営業利益 12 億円。エンジンA・Bで追加プログラムを獲得。数量・単価は2027年計画を起点とする推定。
- オノプラントの航空機体部品等:数量 45,000(年間の機体・航空関連加工部品の納入個数(推定))× 価格 0.00(加工部品1個の平均売上(億円))→ 売上 45 億円・営業利益 7 億円。機体部品の顧客を広げ、買収先の設備と技術の相乗効果が表れる。
- 将来の航空機エンジン整備・補修:数量 400(年間の対象エンジン整備・補修案件数(推定))× 価格 0.08(1案件当たりの売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 6 億円。現時点では未確立のMRO構想が収益化した場合だけ計上。
倍率:資本コストk8.5%、10年後ROE=58.5÷370=15.81%、堀の残存率1/2から増分資本利益率RONIC=12.16%。長期名目成長率g2.5%なので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.239倍。現行の市場PERは使用せず、上限を恣意的に切り下げない。事業純利益58.5億円に適用する。
確率:2036年の世界LEAP生産が約4,200基へ増え、同社の供給比率が50%まで上がるとともに、新材料・新規エンジン・MROまで収益化する。成長事業の複数同時成功と2034年の有利な契約更新を要するため、確率は10%にとどめる。
やや楽観 20% 主力契約を守り、周辺事業が第二の柱になる 利益 39 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,889 円468 億円
世界のLEAP生産は2036年に約3,830基まで拡大する。AeroEdgeの供給比率は契約変更後の水準からわずかに上がり、約48%を維持する。2034年の契約は更新され、認定済み加工先としての地位は守られる。加工単価は物価上昇を一部転嫁できるが、Safranの購買条件が強く、大きな超過値上げには至らない。
新材料の量産は技術的な問題を乗り越え、加工事業に次ぐ収益源となる。エンジンA・B案件も顧客との関係を深め、オノプラントは買収後の受注増加によって安定した利益を生む。MROへの参入は小規模ながら始まるが、主力事業の規模を塗り替えるほどには育たない。
新材料の設備償却や人材採用の費用は残るものの、売上増加で吸収できる。営業利益率は主力製品の高採算に支えられ、資本コストを上回る利益が続く。経営は投資を優先しながらも後半に株主還元へ資金を振り向けられるようになる。
- LEAP向けチタンアルミブレード加工:数量 1,840(LEAPエンジン換算の年間加工対応基数)× 価格 0.07(エンジン1基相当のブレード加工売上(億円))→ 売上 131 億円・営業利益 38 億円。世界LEAP約3,830基×供給比率約48%。顧客との単価交渉には一定の制約。
- 研究開発・試作・既存その他加工:数量 5.0(年間の研究開発・加工契約相当の案件束数(推定))× 価格 1.20(案件束1件相当の年間売上(億円、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。開発案件が適度に積み上がる。
- チタンアルミ新材料の製造・供給:数量 1,840(年間の材料供給に対応するLEAPエンジン換算基数)× 価格 0.03(エンジン1基相当の材料供給売上(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 12 億円。主力LEAP向けの材料供給が量産化し、研究開発費と設備償却を吸収。
- LEAP以外の航空機エンジンA・B部品:数量 2,700(新規エンジン部品の年間供給に相当するエンジン換算ロット数(推定))× 価格 0.02(換算ロット1件当たりの年間加工売上(億円))→ 売上 49 億円・営業利益 8 億円。エンジンA・Bの量産を継続し、適度に顧客を拡大。
- オノプラントの航空機体部品等:数量 35,000(年間の機体・航空関連加工部品の納入個数(推定))× 価格 0.00(加工部品1個の平均売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円。買収先の稼働率が改善し、のれん償却を含めても採算が残る。
- 将来の航空機エンジン整備・補修:数量 120(年間の対象エンジン整備・補修案件数(推定))× 価格 0.08(1案件当たりの売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。小規模なMRO案件のみを獲得。
倍率:k8.5%、ROE=38.7÷276=14.02%、超過収益の残存率1/2からRONIC=11.26%。g2.5%を用いた正当化PER=(1−0.025÷0.1126)÷(0.085−0.025)=12.967倍。事業が10年後も名目で緩やかに成長するという条件を超える倍率は与えない。
確率:LEAPの需要拡大と2034年の契約更新は実現し、新材料と買収先も一定の利益を生む。ただし新規案件のすべてが成功するとは限らず、複数事業の着実な成功として20%とする。
中立 33% LEAPを軸に事業は拡大するが、資本効率は落ち着く 利益 24 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,138 円282 億円
LEAPエンジンの世界生産は2036年に年間約3,300基まで増える。AeroEdgeの供給比率は2028年からの契約に沿って40%台後半となり、2034年の契約更新後もおおむね47%を維持する。主力部品の加工品質は競争力を保つが、Safranの強い購買力から加工賃が物価どおりに上がるとは限らない。
新材料の供給は商業生産に移り、LEAP向け加工とは別の売上を生む。ただし鋳造の歩留まりと設備償却の負担が残り、既存の高収益加工事業より採算は低い。エンジンA・Bの量産は順調に拡大するが、顧客や対象プログラムの非開示という不確実性を踏まえ、過大な市場シェア獲得までは見込まない。オノプラントは着実に成長する一方、MROには独立した売上を計上しない。
新事業を含む売上は約193億円へ増え、利益額も現在を大きく上回る。もっとも、工場、材料製造、買収先に投じる資本も積み上がるため、自己資本利益率は創業期の高水準から落ち着く。会社は以前より大きくなるが、株主の取り分が同じ速さで増えるとは限らない10年である。
- LEAP向けチタンアルミブレード加工:数量 1,550(LEAPエンジン換算の年間加工対応基数)× 価格 0.06(エンジン1基相当のブレード加工売上(億円))→ 売上 100 億円・営業利益 27 億円。世界LEAP年間約3,300基×供給比率約47%。2026年比の数量は約1.83倍、加工単価は約1.18倍。物価累計約1.34倍より単価上昇は小さい。
- 研究開発・試作・既存その他加工:数量 4.0(年間の研究開発・加工契約相当の案件束数(推定))× 価格 0.80(案件束1件相当の年間売上(億円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。研究開発案件の一部が量産に移行し、独立した試作売上は緩やかに縮小。
- チタンアルミ新材料の製造・供給:数量 1,550(年間の材料供給に対応するLEAPエンジン換算基数)× 価格 0.02(エンジン1基相当の材料供給売上(億円))→ 売上 37 億円・営業利益 6 億円。主力LEAP向け材料供給を量産化。新規鋳造設備の更新と認証費用を控除した採算。
- LEAP以外の航空機エンジンA・B部品:数量 1,800(新規エンジン部品の年間供給に相当するエンジン換算ロット数(推定))× 価格 0.02(換算ロット1件当たりの年間加工売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円。2027年計画のエンジンB売上約7.96億円を起点に、A・B双方の量産を拡大。部品の搭載数量は非開示のためロット換算。
- オノプラントの航空機体部品等:数量 25,000(年間の機体・航空関連加工部品の納入個数(推定))× 価格 0.00(加工部品1個の平均売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。2027年売上計画11.92億円から緩やかに拡大。価格は2027年の逆算単価とおおむね同水準。
- 将来の航空機エンジン整備・補修:数量 0.0(年間の対象エンジン整備・補修案件数(推定))× 価格 0.08(1案件当たりの売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。未確立の新規事業は中立に算入しない。
倍率:k8.5%、ROE=24÷221=10.86%、通常の堀で超過収益の半分が残るためRONIC=9.68%。2036年より先のg2.5%から正当化PER=(1−0.025÷0.0968)÷(0.085−0.025)=12.362倍。2036年の成長を純利益に、成熟後の緩やかな成長だけを倍率に入れて二重計上を避けた。
確率:既に決まったシェア拡大とSafranの2028年増産計画を起点に、2036年の世界LEAP年間生産を3,300基と推定。2034年には契約を更新できるが、加工単価と利益率は顧客の購買力に制約される。新材料・新規案件・買収先は一定の成功にとどまる中心的な筋書きとして33%。
やや悲観 24% 契約更新で採算が悪化し、先行投資が重荷になる 利益 7 億円 · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 303 円75 億円
LEAPの世界生産は増えるものの、供給網の制約や競合エンジンの採用によって2036年は年間約2,700基にとどまる。AeroEdgeは2034年の契約を更新できるが、発注数量の再配分と加工賃の見直しを受け、供給比率が約37%まで低下する。顧客は同社の技術を必要とし続けるものの、高い単価を受け入れ続けるとは限らない。
新材料の鋳造事業では歩留まりの改善が遅れ、増設した設備の償却と品質保証費用が利益を圧迫する。新規エンジンA・Bの売上は残るが、一部プログラムの立ち上がりが遅れ、想定した設備稼働率に届かない。オノプラントも一定の売上を持つものの、買収に伴う利益増加は小さく、のれん償却の負担が目立つ。
売上高は2026年を上回るが、全社の営業利益率は低下する。銀行からの借入は返済できるものの、金利が上がった環境では新規設備への追加投資を抑えざるを得ない。株主還元を始める余力は乏しく、技術は残っても投資家にとっての経済的な魅力が薄れる10年となる。
- LEAP向けチタンアルミブレード加工:数量 1,000(LEAPエンジン換算の年間加工対応基数)× 価格 0.06(エンジン1基相当のブレード加工売上(億円))→ 売上 62 億円・営業利益 11 億円。世界LEAP約2,700基×供給比率約37%。2034年の更新で単価が抑制される。
- 研究開発・試作・既存その他加工:数量 2.0(年間の研究開発・加工契約相当の案件束数(推定))× 価格 0.60(案件束1件相当の年間売上(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。開発契約が縮小。
- チタンアルミ新材料の製造・供給:数量 1,000(年間の材料供給に対応するLEAPエンジン換算基数)× 価格 0.01(エンジン1基相当の材料供給売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。鋳造歩留まりが伸びず、設備の償却負担が大きい。
- LEAP以外の航空機エンジンA・B部品:数量 1,000(新規エンジン部品の年間供給に相当するエンジン換算ロット数(推定))× 価格 0.02(換算ロット1件当たりの年間加工売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。新規エンジンの一部プログラムが停滞。
- オノプラントの航空機体部品等:数量 17,000(年間の機体・航空関連加工部品の納入個数(推定))× 価格 0.00(加工部品1個の平均売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。買収先の売上は維持するが、低い稼働率が利益を圧迫。
- 将来の航空機エンジン整備・補修:数量 0.0(年間の対象エンジン整備・補修案件数(推定))× 価格 0.08(1案件当たりの売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新規参入は収益化しない。
倍率:2036年ROE=6.8÷137=4.96%はk8.5%を下回り、再投資による超過利益を正当化できない。PERの上限は1÷k=11.76倍である。資本コスト未満の再投資が続くリスクを織り込み、稼ぐ力の範囲内で11倍とする。
確率:世界の航空機需要は残るが、2034年の契約更新で加工単価と供給比率が低下し、新材料の歩留まりも上がりにくい。2026年時点で1社向け売上が約97%であるという会社固有の集中リスクを踏まえ、24%とする。
悲観 13% LEAPの地位を失い、新材料と買収先も不振 利益 −5 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 123 円30 億円
2034年の契約更新では発注の大部分を競合または顧客の系列企業に奪われ、LEAPの世界生産が年間約2,000基あるにもかかわらず、AeroEdgeの供給比率は25%に低下する。次世代エンジンでは部品の材料や製法が変わり、これまで蓄えた加工条件の価値も薄れる。現在の主力工場は一部の設備を他製品に振り向けられず、固定費が残る。
新材料の量産は品質不良と低い歩留まりによって赤字が続き、エンジンA・B案件でも受注数量が計画を下回る。オノプラントの収益も悪化し、買収のれんや専用設備の減損が必要になる。将来のMRO参入は実現せず、資金調達は既存事業を維持するために使われる。
会社はすぐに清算されるとまでは考えないが、営業利益は赤字となり、以前のように高い資本収益率を生む企業ではなくなる。株主にはほとんど現金が還元されず、価値は残る加工設備、運転資産、売却可能な資産の税後回収額を中心に判断せざるを得ない。
- LEAP向けチタンアルミブレード加工:数量 500(LEAPエンジン換算の年間加工対応基数)× 価格 0.06(エンジン1基相当のブレード加工売上(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。世界LEAP約2,000基×シェア25%。次世代技術への移行で加工条件が悪化。
- 研究開発・試作・既存その他加工:数量 1.0(年間の研究開発・加工契約相当の案件束数(推定))× 価格 0.50(案件束1件相当の年間売上(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。開発案件が縮小。
- チタンアルミ新材料の製造・供給:数量 350(年間の材料供給に対応するLEAPエンジン換算基数)× 価格 0.01(エンジン1基相当の材料供給売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 −1 億円。鋳造不良と低稼働率で構造的な赤字。
- LEAP以外の航空機エンジンA・B部品:数量 550(新規エンジン部品の年間供給に相当するエンジン換算ロット数(推定))× 価格 0.01(換算ロット1件当たりの年間加工売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。量産契約の縮小に対して専用設備の固定費が残る。
- オノプラントの航空機体部品等:数量 12,500(年間の機体・航空関連加工部品の納入個数(推定))× 価格 0.00(加工部品1個の平均売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。買収先も不採算となり、のれんの減損が発生。
- 将来の航空機エンジン整備・補修:数量 0.0(年間の対象エンジン整備・補修案件数(推定))× 価格 0.08(1案件当たりの売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。参入できず収入なし。
倍率:2036年は赤字となり、純利益へのPER適用が適切でないため売却可能な純資産を基準とする。現在の自己資本47.9億円から、取得したのれん約8.87億円、繰延税金資産約1.83億円、専用設備・棚卸資産の追加換価損約5億円を差し引くと約32.2億円。47.9億円×0.6722≒32.2億円であり、2036年に積み上がった帳簿自己資本63億円へ倍率を掛けていない。借金は既に自己資本から控除されており二重に引かない。
確率:2034年の契約更新で大幅に不利な条件となるか、次世代エンジンの技術転換で既存加工設備の価値が低下する。同時に材料製造と買収先が不振に陥る複合的な構造悪化であり、起こりやすいとは考えないが、主要顧客への極端な依存から13%を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
LEAP向けチタンアルミブレード加工
Safranから支給されたチタンアルミ材料を、LEAPエンジン低圧タービンの認定済みブレードとして精密加工し、検査して納入する主力事業。
| 数量LEAPエンジン換算の年間加工対応基数 | 価格エンジン1基相当のブレード加工売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 847 | 0.05 | 46 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,550 | 0.06 | 100 | 27 |
取り方:2026年9月の会社資料が示す2026年6月期LEAP加工売上46.24億円と、決算説明資料における加工対応数量847基相当を使用した。単価は売上÷847基で約0.05459億円。会社が示すLEAPエンジンの同期間生産約2,103基に対して約40%である。847は物理的な完成エンジンの製造基数ではなく、納入したブレードをエンジン1基分に換算した数量である。営業利益12億円は会社が公表する事業別利益ではなく、全社営業利益に整合させるための暫定配賦推定。
研究開発・試作・既存その他加工
LEAP主力加工以外の試作、共同研究、技術開発、小規模加工案件など。新規エンジンA・B案件の独立した量産売上と重複させない。
| 数量年間の研究開発・加工契約相当の案件束数(推定) | 価格案件束1件相当の年間売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 3.0 | 1.53 | 5 | −1 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 0.80 | 3 | 1 |
取り方:添付factsの2026年売上50.8億円から、会社資料で開示されたLEAP売上46.24億円を差し引いた約4.6億円を使う。会社資料のその他売上4.61億円との端数差は丸めによる。開発案件の実件数と単価は非開示であるため、3件相当という数は売上構成を表現するための推定単位であり、開示実績ではない。営業損益のマイナス0.6億円には新事業の立ち上げ費用の配賦を含めた。
チタンアルミ新材料の製造・供給
従来は顧客が無償支給していたチタンアルミ材料を、自社で鋳造・検査・量産して供給する新規事業。加工賃とは異なる追加の付加価値。
| 数量年間の材料供給に対応するLEAPエンジン換算基数 | 価格エンジン1基相当の材料供給売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,550 | 0.02 | 37 | 6 |
取り方:2026年6月期は研究・設備投資段階であり、独立した量産材料売上は計上しない。会社資料によれば、新材料事業は量産準備を進めており、本格的な貢献は今後の品質認定と設備稼働に依存する。将来単価は会社非開示のため、従来無償支給だった材料に対応する追加収入として、案件別の推定を用いる。
LEAP以外の航空機エンジンA・B部品
新たに受注した航空機エンジン部品の量産。エンジンB向けは量産開始済み、エンジンA向けは立ち上げを進める。
| 数量新規エンジン部品の年間供給に相当するエンジン換算ロット数(推定) | 価格換算ロット1件当たりの年間加工売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,800 | 0.02 | 32 | 4 |
取り方:2026年の立ち上げ案件の小規模収入は既存その他加工に含め、二重計上を避けるため独立した量産売上は0とした。会社の2027年6月期計画に含まれるエンジンB売上約7.96億円を将来推計の出発点とする。顧客、搭載エンジンの型式、対象部品の搭載数が非開示であり、換算ロット数は実機の公表基数ではない。
オノプラントの航空機体部品等
2026年6月に完全子会社化したオノプラントの航空機体部品や関連金属加工。主力LEAP以外の顧客と工程を取り込む。
| 数量年間の機体・航空関連加工部品の納入個数(推定) | 価格加工部品1個の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25,000 | 0.00 | 21 | 2 |
取り方:オノプラントは2026年6月4日に買収したが、2026年6月期は貸借対照表の連結のみで損益への売上寄与がないため0。会社の2027年6月期売上計画11.92億円を起点とする。製品別数量と価格は非開示であり、仮に年間約14,000個、平均8.5万円とすれば約11.9億円となる規模感を将来の数量推定の参考にした。これは会社が公表した生産個数ではない。
将来の航空機エンジン整備・補修
保守、修理、オーバーホールなどのMRO関連領域への参入構想。現時点では将来の選択肢であり、既存の確立した収益源とは区別する。
| 数量年間の対象エンジン整備・補修案件数(推定) | 価格1案件当たりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.08 | 0 | 0 |
取り方:2026年9月の会社事業計画ではMROを将来の成長戦略として説明するが、確定した受注金額、対象設備、稼働件数の開示は確認できない。現在の独立売上は0とし、中立と悲観では将来も計上しない。楽観側の案件数と単価は試算用の仮定である。
リスクと懸念
Safranへの極端な顧客集中と2034年の契約更新
2026年6月期の売上の約97%がSafran向けである。チタンアルミブレードの供給者が世界で2社だけであっても、買い手の集中によって値上げ交渉力は制約される。2034年の契約更新で供給比率や加工単価が見直されれば、航空機市場全体が成長していても同社の利益が縮む。契約期間が10年後の評価時点より短い点を最重要リスクとする。
新材料の量産歩留まりと設備投資の回収
チタンアルミ材料の自社製造は、新しい売上源になると同時に、加工業から素材製造業へ事業範囲を広げる挑戦である。鋳造の歩留まり、品質認定、専用設備の稼働率が計画に届かなければ、多額の投資を行っても利益は生まれない。物価上昇に伴う設備更新費用と、新しい設備にかかる減価償却を別々に確認する必要がある。
航空機エンジンの技術転換
LEAPで採用されたブレードの形状や材料が、次世代エンジンにも引き継がれるとは限らない。CFMが研究する次世代の高効率エンジンや新しい材料・製法への移行が進めば、現在の認定設備や加工ノウハウだけでは十分でなくなる。新エンジンでの採用を早期に獲得できなければ、現在の高い供給シェアは2034年以降の利益を保証しない。
オノプラント買収とのれん
2026年6月の買収では約8.9億円ののれんが生じた。機体部品の顧客拡大は事業の分散につながるが、実際に増える利益が買収代金と追加投資に見合うかはこれからの検証事項である。販売先の異なる加工事業を統合しても、自動的に価格決定力が増すわけではない。採算悪化時にはのれんと専用設備の減損が重なる。
金利上昇、補助金依存の見かけの現金収支、希薄化
2026年6月期の純有利子負債は約28億円で、拡張期の設備投資は借入金とキャッシュフローに依存する。営業キャッシュフローには一時的な補助金収入が多く含まれており、その年の現金増加を恒常的な稼ぐ力とみなしてはいけない。借換金利の上昇、設備更新投資の増加、新株予約権の行使は、既存株主が受け取る価値を減らす要因となる。
航空機生産の循環と品質事故
航空機メーカーの大量の受注残は需要を支えるが、BoeingやAirbusの生産停止、エンジン供給網の問題、航空会社の投資抑制によって納入計画は大きく遅れ得る。高温で高速回転する部品に不具合が起きれば、原因究明、再検査、交換、品質認定の見直しが必要になり、売上だけでなく長年かけて築いた顧客の信頼まで失う可能性がある。
今後の分かれ目
- Safranとの2034年以降の供給契約が早期に更新され、40%台後半以上の供給比率と採算の維持が確認できたら
- 契約継続の不確実性を減らし、中立・やや楽観の確率を引き上げる。ただし数量だけでなく1基相当当たり加工収入の維持も確認する。
- 新材料の量産認定後、歩留まりと営業利益率が改善し、設備の追加投資に見合う現金が継続して生まれたら
- 材料供給数量と利益率の見通しを上方修正し、新規事業の増分投下資本利益率が資本コストを上回るかを確認する。
- LEAPの世界生産がSafranの2028年目標である約2,600基に届かず、その後も下方修正されたら
- 航空機向け数量の中立見通しを引き下げる。加工工場の固定費を勘案し、売上以上に営業利益率が下がる可能性を反映する。
- エンジンA・B案件の量産売上が計画を下回り、設備稼働率が上がらない状態が続いたら
- 新規エンジン部品の売上と利益率を引き下げ、減価償却を負担する期間が長くなると考える。
- オノプラントの利益と営業キャッシュフローが安定し、買収のれんを十分回収できると確認できたら
- 買収の成功を企業価値に織り込み、Safranへの顧客集中が実際に改善しているかも合わせて評価する。
- 補助金を除いたフリーキャッシュフローが黒字化し、配当性向や自社株買いに定量的な方針が示されたら
- 留保利益が既存株主に戻る見込みを再評価し、余剰現金の価値への反映率を引き上げる余地が生じる。
- 次世代エンジンの設計にチタンアルミブレードが採用されず、新しい加工案件も獲得できなかったら
- 2034年以降の主力加工数量を大幅に引き下げ、専用設備の減損と企業全体の競争優位の縮小を悲観シナリオに反映する。
見ておくもの
- Safranが公表するLEAPエンジンの年間生産基数と、2028年の約2,600基目標への進捗
- AeroEdgeのLEAP加工対応基数、世界供給比率、1基相当当たり加工売上の推移
- 2034年で期限を迎えるSafranとの契約の更新時期、契約期間、数量配分、価格条件
- チタンアルミ新材料の顧客認定、量産開始時期、歩留まり、材料事業の独立した売上と採算
- エンジンA・B案件の量産数量と売上、専用設備の稼働率
- オノプラントの売上・営業利益・営業キャッシュフロー、のれんの減損の有無
- 補助金を除いた営業キャッシュフロー、設備投資額、純有利子負債、ネットD/Eレシオ
- 新株予約権の残高、株式数の増加、配当・自社株買いの実績
- GE Aerospace、Safran、Pratt & Whitneyによる次世代エンジンの技術選択と部品調達方針
倍率と資本コストの決め方
数量はSafranのLEAP生産基数とAeroEdgeの契約上の供給比率から導き、加工売上はエンジン換算数量と単価に分けた。新材料、エンジンA・B、オノプラントは2027年の会社計画を起点に、非開示数量を推定と明示した。物価上昇分を数量には混ぜず、加工賃への完全転嫁も仮定していない。倍率は現行PERや過去のPBRではなく、資本コスト8.5%、長期成長率2.5%、2036年のROEと増分資本利益率から決めた。2027年度以降の新リース会計基準による表示の変化は、実質的な固定負担の変化と混同しない。添付の基準株数は2026年7月初めの24,780,756株であり、その後の新株発行と新株予約権の希薄化はholder_shareへ分けて反映した。現在の時価総額に結論を近づけるために数量、利益率、倍率を逆算していない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債利回り3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を起点とし、循環と顧客の価格交渉力による質の調整+1.0%を加えた。財務の存続が差し迫って危うい状態ではないため追加の経営危機プレミアムは設けない。