結論
新明和工業は、ごみ収集車を中心にした特装車と、救難飛行艇 US-2、機械式駐車設備、空港の搭乗橋、水中ポンプを抱える複合メーカーだ。筆者の結論は、今の値段は 10 年後の価値とほぼ釣り合っている、というものだ。稼ぐ力は着実に上がるが、資本コストを大きく上回る会社ではない。
稼ぎの土台は特装車で、売上の約 4 割を占める。塵芥車の国内シェアは同社の推定で約 6 割にのぼる。自治体の買い替えが続くので、需要は景気に左右されにくい。ただし 2025 年に公正取引委員会が認定した架装物のカルテルで、同社は自主申告により処分を免れたものの、談合のない競争に入る。値段を守る力は、これまでより弱まる。
伸びしろは防衛と搭乗橋と部材にある。US-2 は一度決まった生産打ち切りが覆り、後継機の検討も始まった。受注残は厚い。一方でボーイング向けの部材は買い手が強く、値決めの力が乏しい。機械式駐車場も、談合の課徴金と屋根の認定不適合という傷を負った。
利益率は 5〜6% にとどまり、自己資本利益率も資本コストの近辺だ。堀(他社がまねできない強み)は厚くない。そのかわり財務は堅く、悲観の底も深くない。筆者は、ほどよく安全だが、割安とまでは言えない会社だと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後も同じ事業があるか」を問う。塵芥車、ポンプ、搭乗橋、飛行艇は、10 年後も必要とされる。事業が消える心配は小さい。
次に、稼いだ利益のうち株主が自由に使えるお金を見る。受注型の事業が多く、運転資金と設備に毎年お金を取られる。営業キャッシュフローは今期の第 3 四半期までの累計で赤字だった。見た目の純利益より、自由に使える利益は少ないと考えたほうがよい。
堀の厚さは一様ではない。塵芥車と流体は厚く、ボーイング向けの部材や産機は薄い。会社全体の ROE が資本コストの近辺にとどまることが、その平均値を表している。ここでは複利で増える会社として持ち続ける理由が見つからない。
経営の資本の配り方には、評価と不安が半々だ。借金を膨らませず、DOE という基準で配当を続ける姿勢は堅実である。しかし、カルテル、談合、屋根の不適合と続いた問題は、経営の目の届き方に疑問を残す。
安全域は、悲観の筋書きでも財務が持ちこたえる点にある。ただし総合の価値が今の値段とほぼ重なるので、買い値に余裕があるとは言えない。筆者は、割安になるのを待つ会社だと考える。
何で稼ぐ会社か
売上の 4 割を占める特装車は、ダンプ、タンクローリ、塵芥車、トレーラ、林業機械を作り、売った後の保守・修理でも稼ぐ。塵芥車は自治体と廃棄物業者が買い手で、更新サイクルが読みやすい。トレーラは子会社の東邦車輛が担う。車台はトラックメーカーから買うので、新明和が作るのは荷台と架装部分である。
次に大きいのがパーキングシステムで、売上の約 2 割。マンションやビルに付く機械式駐車設備を作り、設置後の保守・改修でも稼ぐ。空港の旅客搭乗橋もここに入る。搭乗橋は中国を除くアジアで首位に立つ。海外売上のほとんどはこの搭乗橋だ。
航空機は約 14%。海上自衛隊向けの救難飛行艇 US-2 と訓練支援機を作り、ボーイング 787 の主翼スパーなど民間機の部材も納める。出自は戦前の川西航空機にさかのぼる。
流体は水中ポンプや水処理設備、高圧洗浄機で、利益率は 15% を超え、会社でいちばん効率がよい。産機・環境システムは電線処理機や成膜装置と、ごみ中継施設などの環境設備だ。ここは利益が薄く、足元は赤字の期もある。
残りは建設・不動産・ソフトのその他。利益の内訳は特装車が約 3 割、パーキングと流体が各 2 割強、航空機が 1 割強である。受注型の事業が多く、売上の約 1.3 年分の受注残を抱える。
優良さと弱いところ
堀がいちばん太いのは塵芥車だ。国内で約 6 割のシェアを持ち、全国の保守網と自治体との付き合いが積み重なっている。流体も、水害対策と下水の老朽化という国の事業に支えられ、高い利益率を保つ。US-2 は、高さ 3 メートルの波でも離着水できる世界で唯一の飛行艇で、作れる会社が他にいない。
弱いのは値決めの力だ。ボーイングは部材の買い手として強く、防衛省は飛行艇を作れる会社が他にないので頼ってくれるが、予算の枠に縛られる。搭乗橋では中国の CIMC や欧米の大手と争う。機械式駐車場でも IHI が事業を買い足して攻めてくる。
資本効率は平凡だ。過去 10 年の自己資本利益率の中央値は 7.5% で、資本コストに届かない期も多かった。産機・環境が足を引っ張っている。
筆者がもっと気にしているのは、ここ 2 年に続いた不祥事だ。特装車のカルテル(自主申告で処分は免れた)、機械式駐車場の談合の課徴金、そして約 1,500 棟のうち 508 棟の屋根が認定仕様に合わなかった問題である。どれも一つなら致命傷ではない。三つ重なると、内部統制と品質管理を点検せずにいられない。
中期計画の SG-2026 は、営業利益 180 億円と ROE 10% 以上を掲げる。今期の会社予想の営業利益は 170 億円で、計画線上にいる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
特装車の市場は、国内の普通トラック需要と自治体の更新に挟まれている。普通トラックの登録はコロナ前の水準に戻っていない。ドライバーの不足と物流の 2024 年問題が、荷台の省力化と電動化への買い替えを促す。電動の塵芥車もすでに売っており、単価の上昇が見込める。競合は極東開発工業で、ダンプやタンクローリなどの架装物は両社で約 7 割を握る。
2025 年のカルテルは、この寡占の見方を変える。新明和は自主申告で処分を免れたが、今後は 2 社が値段で競う前提で考えるべきだ。損害賠償を求められる可能性も残る。
機械式駐車場は、新設が細り、築古の更新と改修が中心になる。大型では新明和が首位で、特許の総合力でも 1 位だ。ただし IHI が 2026 年 11 月に住友重機械搬送システムの事業を引き継ぎ、2030 年度に関連売上 800 億円を狙う。再編で競争は荒くなる。
航空は、民間と防衛で表情が違う。民間機は生産レートの回復が進み、ボーイングの納入が増えるほど部材の数量が伸びる。防衛は、防衛費の増額が追い風だ。US-2 は 1 機約 100 億円で、後継機の検討も始まっている。ただし米国製の装備を買う枠が広がれば、国産の飛行艇に回るお金は減る。
足元では中東情勢による調達難が利益を 15 億円ほど削っている。受注型の事業は、部品の調達が止まるとそのまま納期に響く。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。株主資本配当率(DOE)で約 3% を目安にし、配当性向は 3 割台にとどまる。自己株式は発行済み株式の約 5% を持つ。株主との対話では、PBR が 1 倍に近いことへの指摘や、自社株買いで流動性が下がることへの懸念が出た。大きな買い増しは、今のところ示されていない。
財務は安定している。純有利子負債は 131 億円で自己資本の約 1 割、自己資本比率は 42% だ。営業利益は支払利息の 10 倍を超える。金利が上がっても利益への影響は小さく、10 年で年 3 億円ほどの減益にとどまる。
M&A は、これまで大型の買収も売却もしていない。住友重機械の駐車場事業を IHI が買った動きを見ると、業界の再編が進み、新明和が買い手にも売り手にもなりうる。外部の試算では、10 年以内の買収・TOB の確率は 2 割台だ。
資本の配り方で筆者が見たいのは、産機・環境の立て直しと、508 棟の屋根の改修費の扱いである。稼ぎの薄い事業に資金を回し続けないか。そこが分かれ目になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
防衛が会社の形を変える。US-2 の生産は一度打ち切りと決まりながら、2025 年度の予算で復活した。後継機の検討も始まり、航空機の受注残は 650 億円を超えた。防衛費は積み上がる方向にあり、整備や訓練支援機も含めた収益の柱になる。
民間機の部材も追い風だ。ボーイングの生産レートが戻るにつれて、787 の主翼スパーなどの納入数が増える。航空機の利益率は 6% 台から 7% 台へ上がる。
特装車は、ドライバー不足と電動化で荷台の付加価値が上がる。塵芥車の国内シェアが約 6 割あり、サブスクリプションの G-SUB で保守の取り込みも進める。会社は特装車の営業利益を 73 億円まで引き上げる計画で、増産と高付加価値化で届くとみる。
搭乗橋はアジアの空港投資が続く限り、台数が伸びる。水害対策と下水の更新を背負う流体は、利益率の高い成長事業だ。
長期ビジョンの SG-Vision2030 は売上 4,000 億円以上と ROE 12% 以上を掲げる。実現すれば、今の評価はまだ安い。PBR が 1 倍近い株には、自社株買いの圧力もかかる。
慎重な見方
カルテルが終われば、特装車の利益率は伸びない。極東開発と値段で張り合う局面が来て、5% 台の利益率が 4% 台に戻る恐れがある。損害賠償を求められれば、その負担も重い。
機械式駐車場は新設が細り、IHI が事業を買い足して攻めてくる。508 棟の屋根の改修費が重なれば、利益は一時的に剥げ落ちる。談合と不適合が続いたことで、官公庁と大手ゼネコンからの信頼も傷つく。
航空機は、買い手が強すぎる。ボーイングへの部材は値段を押し込まれ、生産が止まれば数量がすぐ消える。防衛も、米国製の装備を買う枠が広がると、国産の飛行艇に回る予算は削られうる。後継機が決まる保証はない。
産機・環境は赤字が続き、足元は中東情勢による調達難で 15 億円の負担がある。売上の 1.3 年分の受注残は、見方を変えれば、納められないと売上にならない約束の山だ。
そもそも ROE は資本コストの近辺にある。利益が伸びても、それは物価で名目が膨らんだだけで、株主の取り分は増えない。
どちらに重みを置いたか
防衛の追い風は本物だが、会社全体の利益を 10 年で大きく押し上げるほどの量ではない。一方で、カルテルの終了と IHI の攻勢は、特装車と駐車設備の利益率に確実に効く。筆者は慎重な見方のほうがわずかに強いと判断し、中立の確率をいちばん厚くしたうえで、やや悲観に楽観より厚い 20% を置いた。
楽観を 10% にとどめたのは、SG-Vision2030 の達成が、これまでの利益率の実績より高い水準を必要とするからだ。悲観は 10% で、財務の堅さが最悪の事態を限る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,705 円2,452 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 808 円535 億円)。 今の値に割り戻すと 2,313 円1,531 億円、今との差 +26.9%、 期待の年率 +9.5%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 6,440 円4,262 億円 | 925 円612 億円 | +304.2% | +15.0% | 737 円487 億円 |
| やや楽観 | 22% | 5,104 円3,378 億円 | 864 円572 億円 | +227.5% | +12.6% | 1,313 円869 億円 |
| 中立 | 38% | 4,037 円2,672 億円 | 813 円538 億円 | +166.2% | +10.3% | 1,843 円1,220 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,779 円1,177 億円 | 748 円495 億円 | +38.7% | +3.3% | 505 円334 億円 |
| 悲観 | 10% | 484 円320 億円 | 666 円441 億円 | −36.9% | −4.5% | 115 円76 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,705 円2,452 億円 | 808 円535 億円 | +147.7% | +9.5% | 4,513 円2,987 億円 |
今の株価時価総額 1,822 円1,206 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:防衛と搭乗橋が伸び、特装車は電動化で単価を上げる 利益 256 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 6,440 円4,262 億円
US-2 の後継機が決まり、飛行艇の生産が 10 年にわたって続く。防衛の機体と整備を合わせた規模は今の 2 倍を超える。ボーイングの 787 と 737 の増産で、民間機の部材も 4 割以上増える。航空機全体の営業利益率は 7% を超える。
特装車は、電動塵芥車と保守契約の G-SUB で単価を上げ、極東開発との値引き競争も限定的に収まる。営業利益率は 7% に届く。搭乗橋はアジアの空港投資に乗り、台数が 6 割増える。流体は水害対策で伸びる。
会社の長期目標である売上 4,000 億円を超え、利益率も 7% 台に乗る。自己資本利益率は 10% を超え、資本コストをはっきり上回る会社として評価される。
- 特装車(塵芥車・ダンプ・タンク・トレーラ・保守):数量 11.0(架装・トレーラ・保守の台数換算(千台))× 価格 165(1 台あたりの売上(万円・今の値段))→ 売上 1,820 億円・営業利益 127 億円。数量 今の 1.10 倍・価格 今の 1.41 倍・営業利益率 7.0%
- 機械式駐車設備:数量 33.0(収容台数換算の設備量(千台分))× 価格 18(1 台分あたりの売上(万円))→ 売上 604 億円・営業利益 60 億円。数量 今の 1.10 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 10.0%
- 航空旅客搭乗橋:数量 128(搭乗橋の納入台数(台))× 価格 1.64(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 210 億円・営業利益 34 億円。数量 今の 1.60 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 16.0%
- 産機・環境システム:数量 520(受注型の装置・施設の件数換算(件))× 価格 0.92(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 476 億円・営業利益 29 億円。数量 今の 1.30 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 6.0%
- 流体(水中ポンプ・水処理・高圧洗浄機):数量 195(ポンプ・設備・洗浄機の台数換算(千台))× 価格 2.80(1 台あたりの売上(万円))→ 売上 546 億円・営業利益 87 億円。数量 今の 1.30 倍・価格 今の 1.40 倍・営業利益率 16.0%
- 航空機(防衛:US-2・訓練支援機・整備):数量 4.1(防衛航空機の機数換算(機相当))× 価格 134(1 機相当あたりの売上(億円))→ 売上 547 億円・営業利益 38 億円。数量 今の 2.40 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 7.0%
- 航空機(民間機の部材):数量 725(納める部材の機体換算(機分))× 価格 0.66(1 機分あたりの売上(億円))→ 売上 476 億円・営業利益 41 億円。数量 今の 1.45 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 8.5%
- その他(建設・不動産・ソフト):数量 1,000(受注・賃貸・開発の件数換算(件))× 価格 0.31(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 307 億円・営業利益 22 億円。数量 今の 1.00 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 256 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.65 倍、時価総額 4,006 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防衛費の増額と SG-Vision2030 の達成が重なる必要があり、利益率も過去の最良期を大きく上回る。カルテル後の競争があるので楽観の確率は 1 割にとどめた。
やや楽観 22% やや楽観:防衛の追い風が続き、利益率が 6% 台後半まで上がる 利益 212 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 5,104 円3,378 億円
US-2 は生産が続き、後継機の開発費がつく。防衛の数量は今の 2 倍強に伸びる。民間機の部材は生産レートの回復で 3 割強増える。
特装車は自治体の買い替えが堅調で、電動化の分だけ単価も上がる。極東開発との競争は強まるが、サービスと保守網で守る。営業利益率は 6% 台前半まで上がる。
搭乗橋と流体は数量がそれぞれ 4 割・2 割増えるが、産機・環境の黒字化は利益率 5% に届かない。民間機の部材はボーイングの値決めが厳しく、数量の伸びほど利益は増えない。全体の営業利益率は 6.8%、自己資本利益率は 9% 台に乗り、資本コストを小さく上回る会社になる。
- 特装車(塵芥車・ダンプ・タンク・トレーラ・保守):数量 10.6(架装・トレーラ・保守の台数換算(千台))× 価格 162(1 台あたりの売上(万円・今の値段))→ 売上 1,720 億円・営業利益 110 億円。数量 今の 1.06 倍・価格 今の 1.38 倍・営業利益率 6.4%
- 機械式駐車設備:数量 31.8(収容台数換算の設備量(千台分))× 価格 18(1 台分あたりの売上(万円))→ 売上 582 億円・営業利益 54 億円。数量 今の 1.06 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 9.2%
- 航空旅客搭乗橋:数量 112(搭乗橋の納入台数(台))× 価格 1.64(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 184 億円・営業利益 28 億円。数量 今の 1.40 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 15.0%
- 産機・環境システム:数量 480(受注型の装置・施設の件数換算(件))× 価格 0.92(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 439 億円・営業利益 22 億円。数量 今の 1.20 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 5.0%
- 流体(水中ポンプ・水処理・高圧洗浄機):数量 183(ポンプ・設備・洗浄機の台数換算(千台))× 価格 2.74(1 台あたりの売上(万円))→ 売上 502 億円・営業利益 75 億円。数量 今の 1.22 倍・価格 今の 1.37 倍・営業利益率 15.0%
- 航空機(防衛:US-2・訓練支援機・整備):数量 3.7(防衛航空機の機数換算(機相当))× 価格 134(1 機相当あたりの売上(億円))→ 売上 490 億円・営業利益 30 億円。数量 今の 2.15 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 6.2%
- 航空機(民間機の部材):数量 675(納める部材の機体換算(機分))× 価格 0.64(1 機分あたりの売上(億円))→ 売上 433 億円・営業利益 34 億円。数量 今の 1.35 倍・価格 今の 1.31 倍・営業利益率 7.8%
- その他(建設・不動産・ソフト):数量 1,000(受注・賃貸・開発の件数換算(件))× 価格 0.31(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 307 億円・営業利益 21 億円。数量 今の 1.00 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 6.8%
倍率:事業の純利益 212 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.84 倍、時価総額 3,146 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:防衛の追い風と民間機の回復が続くというのは、足元の受注残を見れば十分ありうる。ただし特装車の利益率がカルテル後も守れるかは不確かなので、確率は 2 割強にとどめた。
中立 38% 中立:防衛と水インフラが支え、全体は物価並みに伸びる 利益 176 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 4,037 円2,672 億円
売上は 10 年で 1.5 倍、物価の伸びに数量の小さな増加が乗る程度の姿になる。
特装車は台数が横ばい、単価は電動化で物価をやや上回る。カルテルがなくなる分、利益率は 5.8% と今よりわずかに上がるにとどまる。パーキングは更新・改修が支え、搭乗橋はアジアの空港投資で台数が 4 分の 1 増える。
航空機は US-2 の生産が 1 年に 1 機のペースを保ち、整備や訓練支援機も積み上がる。民間機の部材は数量が 3 割近く増えるが、値上げは物価に届かない。流体は水害対策で 15% ほど数量が伸び、高い利益率を保つ。
産機・環境は黒字に戻るが薄い。全体の営業利益率は 6.0%、自己資本利益率は 8% 台で、資本コストをわずかに超える会社に収まる。
- 特装車(塵芥車・ダンプ・タンク・トレーラ・保守):数量 10.2(架装・トレーラ・保守の台数換算(千台))× 価格 162(1 台あたりの売上(万円・今の値段))→ 売上 1,655 億円・営業利益 96 億円。数量 今の 1.02 倍・価格 今の 1.38 倍・営業利益率 5.8%
- 機械式駐車設備:数量 30.9(収容台数換算の設備量(千台分))× 価格 18(1 台分あたりの売上(万円))→ 売上 566 億円・営業利益 48 億円。数量 今の 1.03 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 8.5%
- 航空旅客搭乗橋:数量 100(搭乗橋の納入台数(台))× 価格 1.64(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 164 億円・営業利益 23 億円。数量 今の 1.25 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 14.0%
- 産機・環境システム:数量 440(受注型の装置・施設の件数換算(件))× 価格 0.92(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 403 億円・営業利益 14 億円。数量 今の 1.10 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 3.5%
- 流体(水中ポンプ・水処理・高圧洗浄機):数量 173(ポンプ・設備・洗浄機の台数換算(千台))× 価格 2.68(1 台あたりの売上(万円))→ 売上 462 億円・営業利益 65 億円。数量 今の 1.15 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 14.0%
- 航空機(防衛:US-2・訓練支援機・整備):数量 3.2(防衛航空機の機数換算(機相当))× 価格 134(1 機相当あたりの売上(億円))→ 売上 433 億円・営業利益 24 億円。数量 今の 1.90 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 5.5%
- 航空機(民間機の部材):数量 640(納める部材の機体換算(機分))× 価格 0.63(1 機分あたりの売上(億円))→ 売上 401 億円・営業利益 28 億円。数量 今の 1.28 倍・価格 今の 1.28 倍・営業利益率 7.0%
- その他(建設・不動産・ソフト):数量 1,000(受注・賃貸・開発の件数換算(件))× 価格 0.31(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 307 億円・営業利益 20 億円。数量 今の 1.00 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 6.5%
倍率:ROE 8.1%(事業の純利益÷自己資本)、k 7.75%。RONIC=k+残る割合 1/2×(ROE−k)=8.1%、長期の成長率 g 4.0% から正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.98 倍。堀は塵芥車と流体で厚いが、ボーイング向けの部材と産機・環境で薄く、受注型で利益が振れるので、上限の約 10 割の 13.98 倍に置いた。ROE が k に近いので超過利益による上乗せは小さく、k 以上の会社の中立は 1÷k を下回らせない。
確率:防衛と自治体の需要は堅いが、ボーイングの値決めとカルテル後の競争が利益を抑える。強気と慎重の言い分が拮抗するので、中立をもっとも厚くした。
やや悲観 20% やや悲観:値引き競争と改修費で、利益が今の水準にとどまる 利益 105 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 1,779 円1,177 億円
カルテルが終わり、極東開発との値引き競争が表に出る。特装車の単価は物価に届かず、台数も減って、利益率は 4% 台に落ちる。
機械式駐車場は新設が細り、IHI の攻勢で受注単価が下がる。508 棟の改修費が尾を引き、利益率は 6% 台にとどまる。民間機の部材はボーイングの値押しで、数量が増えても儲けが乗らない。
防衛は US-2 の生産が続くものの、後継機が決まらず伸びない。産機・環境は薄い黒字が精いっぱいだ。全体の営業利益率は 4%、利益は今の水準から名目でほとんど増えない。自己資本利益率は 6% を割り込み、資本コストに届かない。
- 特装車(塵芥車・ダンプ・タンク・トレーラ・保守):数量 9.5(架装・トレーラ・保守の台数換算(千台))× 価格 153(1 台あたりの売上(万円・今の値段))→ 売上 1,452 億円・営業利益 65 億円。数量 今の 0.95 倍・価格 今の 1.30 倍・営業利益率 4.5%
- 機械式駐車設備:数量 28.5(収容台数換算の設備量(千台分))× 価格 18(1 台分あたりの売上(万円))→ 売上 506 億円・営業利益 33 億円。数量 今の 0.95 倍・価格 今の 1.30 倍・営業利益率 6.5%
- 航空旅客搭乗橋:数量 88.0(搭乗橋の納入台数(台))× 価格 1.59(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 140 億円・営業利益 15 億円。数量 今の 1.10 倍・価格 今の 1.30 倍・営業利益率 11.0%
- 産機・環境システム:数量 380(受注型の装置・施設の件数換算(件))× 価格 0.89(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 338 億円・営業利益 5 億円。数量 今の 0.95 倍・価格 今の 1.30 倍・営業利益率 1.5%
- 流体(水中ポンプ・水処理・高圧洗浄機):数量 150(ポンプ・設備・洗浄機の台数換算(千台))× 価格 2.68(1 台あたりの売上(万円))→ 売上 402 億円・営業利益 48 億円。数量 今の 1.00 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 12.0%
- 航空機(防衛:US-2・訓練支援機・整備):数量 2.9(防衛航空機の機数換算(機相当))× 価格 134(1 機相当あたりの売上(億円))→ 売上 387 億円・営業利益 16 億円。数量 今の 1.70 倍・価格 今の 1.34 倍・営業利益率 4.0%
- 航空機(民間機の部材):数量 525(納める部材の機体換算(機分))× 価格 0.61(1 機分あたりの売上(億円))→ 売上 322 億円・営業利益 18 億円。数量 今の 1.05 倍・価格 今の 1.25 倍・営業利益率 5.5%
- その他(建設・不動産・ソフト):数量 950(受注・賃貸・開発の件数換算(件))× 価格 0.30(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 283 億円・営業利益 14 億円。数量 今の 0.95 倍・価格 今の 1.30 倍・営業利益率 5.0%
倍率:ROE 5.7% が k 7.75% 以下なので、伸びても価値は増えず(ためた利益は額面未満)、正当化 PER は 1÷k=12.5 倍が上限。稼ぐ力(純利益÷k)の考えで、上限の 8 割の 10.0 倍に置いた。
確率:カルテルの終了、IHI の攻勢、ボーイングの値決めの 3 つは、どれも筋が通った懸念だ。慎重な見方のほうがやや強いと見て、2 割を置いた。
悲観 10% 悲観:構造的に負け、普通の低収益メーカーに戻る 利益 32 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 484 円320 億円
US-2 の後継機が決まらず、生産が止まる。防衛向けの数量は 2 割減る。米国製の装備の枠が広がり、国産に回る予算が細るためだ。ボーイングの生産が止まる局面が重なり、民間機の部材の数量と単価がともに下がる。
特装車は談合の終了後に値引き競争が本格化し、利益率は 3% に落ちる。損害賠償の支払いも加わる。駐車場は改修費がかさみ、新設が細る中で利益率が 4% まで下がる。搭乗橋も中国勢との値下げ競争で儲からなくなる。
産機・環境は赤字が続く。全体の営業利益率は 2% を割り、自己資本利益率は 2% 台になる。それでも財務は崩れず、配当の一部を続けて事業は残る。
- 特装車(塵芥車・ダンプ・タンク・トレーラ・保守):数量 8.5(架装・トレーラ・保守の台数換算(千台))× 価格 143(1 台あたりの売上(万円・今の値段))→ 売上 1,220 億円・営業利益 37 億円。数量 今の 0.85 倍・価格 今の 1.22 倍・営業利益率 3.0%
- 機械式駐車設備:数量 25.5(収容台数換算の設備量(千台分))× 価格 16(1 台分あたりの売上(万円))→ 売上 418 億円・営業利益 17 億円。数量 今の 0.85 倍・価格 今の 1.20 倍・営業利益率 4.0%
- 航空旅客搭乗橋:数量 72.0(搭乗橋の納入台数(台))× 価格 1.41(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 101 億円・営業利益 7 億円。数量 今の 0.90 倍・価格 今の 1.15 倍・営業利益率 7.0%
- 産機・環境システム:数量 320(受注型の装置・施設の件数換算(件))× 価格 0.82(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 262 億円・営業利益 −3 億円。数量 今の 0.80 倍・価格 今の 1.20 倍・営業利益率 -1.0%
- 流体(水中ポンプ・水処理・高圧洗浄機):数量 135(ポンプ・設備・洗浄機の台数換算(千台))× 価格 2.50(1 台あたりの売上(万円))→ 売上 338 億円・営業利益 27 億円。数量 今の 0.90 倍・価格 今の 1.25 倍・営業利益率 8.0%
- 航空機(防衛:US-2・訓練支援機・整備):数量 1.4(防衛航空機の機数換算(機相当))× 価格 120(1 機相当あたりの売上(億円))→ 売上 163 億円・営業利益 3 億円。数量 今の 0.80 倍・価格 今の 1.20 倍・営業利益率 2.0%
- 航空機(民間機の部材):数量 400(納める部材の機体換算(機分))× 価格 0.56(1 機分あたりの売上(億円))→ 売上 225 億円・営業利益 7 億円。数量 今の 0.80 倍・価格 今の 1.15 倍・営業利益率 3.0%
- その他(建設・不動産・ソフト):数量 850(受注・賃貸・開発の件数換算(件))× 価格 0.27(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 233 億円・営業利益 7 億円。数量 今の 0.85 倍・価格 今の 1.20 倍・営業利益率 3.0%
倍率:ROE 2.1% が k 7.75% 以下なので、伸びても価値は増えず(ためた利益は額面未満)、正当化 PER は 1÷k=12.5 倍が上限。稼ぐ力(純利益÷k)の考えで、上限の 8 割の 10.0 倍に置いた。
確率:防衛と民間機の両方が同時に外れ、国内の需要減と談合後の競争が重なる複合の筋書き。財務が堅く事業も残るので、確率は 1 割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
特装車(塵芥車・ダンプ・タンク・トレーラ・保守)
塵芥車・ダンプトラック・タンクローリ・トレーラ・林業機械の製造・販売と、売った後の保守・修理。国内の塵芥車は同社推定で約 6 割。
| 数量架装・トレーラ・保守の台数換算(千台) | 価格1 台あたりの売上(万円・今の値段) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 118 | 1,176 | 62 |
| 10 年後 中立 | 10.2 | 162 | 1,655 | 96 |
取り方:2026/03 期のセグメント売上 1,176 億円(内部取引を含む)を、塵芥車約 3,000 台とダンプ・タンク・トレーラ・保守の台数換算で約 1 万台(筆者推定)で割り、1 台 1,176 万円とした。数量は実質、物価の分は価格の指数に入れる。
機械式駐車設備
マンション・ビル向け機械式駐車設備の新設・改修・保守。大型では国内首位。
| 数量収容台数換算の設備量(千台分) | 価格1 台分あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 14 | 410 | 35 |
| 10 年後 中立 | 30.9 | 18 | 566 | 48 |
取り方:パーキングシステムの売上 508 億円のうち、搭乗橋を除く約 410 億円(筆者推定)を、収容 3 万台分の設備量で割り、1 台分 137 万円とした。新設は細り、更新・改修と保守が中心。
航空旅客搭乗橋
空港の旅客搭乗橋の製造・販売と保守。中国を除くアジアで首位(日刊工業)。海外売上のほとんどを占める。
| 数量搭乗橋の納入台数(台) | 価格1 台あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 80.0 | 1.23 | 98 | 14 |
| 10 年後 中立 | 100 | 1.64 | 164 | 23 |
取り方:パーキングシステムの売上のうち約 98 億円(筆者推定)を、年 80 台(1 台 1.2 億円)で置いた。国内のシェアは約 3 割、アジアで首位とされる記事に基づく推定で、台数は開示されていない。
産機・環境システム
自動電線処理機・成膜装置・真空乾燥装置などの産業機器と、ごみ中継施設・破砕選別などの環境設備。
| 数量受注型の装置・施設の件数換算(件) | 価格1 件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 0.68 | 273 | 6 |
| 10 年後 中立 | 440 | 0.92 | 403 | 14 |
取り方:売上 273 億円を、小型の産業機器は件数換算で数え年約 400 件(筆者推定)で割り、1 件 0.68 億円とした。受注型で年ごとの振れが大きく、利益率は 2% 台。
流体(水中ポンプ・水処理・高圧洗浄機)
下水インフラや水害対策に使う水中ポンプ、水処理設備、高圧洗浄機。会社でいちばん利益率が高い。
| 数量ポンプ・設備・洗浄機の台数換算(千台) | 価格1 台あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 150 | 2.00 | 300 | 47 |
| 10 年後 中立 | 173 | 2.68 | 462 | 65 |
取り方:売上 300 億円を、ポンプ・水処理設備・洗浄機を台数換算で年 15 万台(筆者推定)で割り、1 台 20 万円とした。利益率は 15.6% で、国土強靱化と下水の老朽化が需要を支える。
航空機(防衛:US-2・訓練支援機・整備)
海上自衛隊の救難飛行艇 US-2、訓練支援機と、その整備。
| 数量防衛航空機の機数換算(機相当) | 価格1 機相当あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.7 | 100 | 170 | 8 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 134 | 433 | 24 |
取り方:航空機の売上 416 億円のうち防衛向けを約 170 億円(筆者推定)とみて、US-2 1 機約 100 億円を基準に年 1.7 機相当で置いた。整備や訓練支援機も機数に換算した。 数量は実物(機数)で、名目の市場の伸びではない。伸びの理由は防衛予算の増額に伴う US-2 の増産と整備の増加。価格は物価の 1.34 倍。
航空機(民間機の部材)
ボーイング 787 の主翼スパーなど、民間機の構造部材。
| 数量納める部材の機体換算(機分) | 価格1 機分あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 500 | 0.49 | 245 | 18 |
| 10 年後 中立 | 640 | 0.63 | 401 | 28 |
取り方:航空機の売上のうち民間機の部材を約 245 億円(筆者推定)とし、年 500 機分(787 を中心に 737 や 777 を含む換算)で割り、1 機分 0.49 億円とした。買い手が強く、値段は物価に届きにくい。
その他(建設・不動産・ソフト)
建設、不動産、ソフトウェア事業。
| 数量受注・賃貸・開発の件数換算(件) | 価格1 件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 0.23 | 229 | 15 |
| 10 年後 中立 | 1,000 | 0.31 | 307 | 20 |
取り方:売上 229 億円を、案件・賃貸の件数換算で年 1,000 件(筆者推定)で割り、1 件 0.23 億円とした。利益率は 6% 台。
リスクと懸念
カルテル後の価格競争と損害賠償
特装車の架装物とトレーラで、極東開発・日本トレクスと新明和・東邦車輛が談合していたと公取委が認定した。新明和は自主申告で処分を免れたが、今後は値段で競う前提になる。買い手からの損害賠償請求が出れば、利益率と現金の両方に響く。
機械式駐車場の屋根の不適合と改修費
1994 年から 2025 年に供給した約 1,500 棟のうち 508 棟で、屋根が国土交通大臣の認定仕様に合っていなかった。改修費の総額はまだ見えない。同じ問題は他社を含めて 4,000 棟を超え、業界全体の信用にも影を落とす。
防衛予算と米国製装備の枠
航空機の成長は防衛費に頼る。US-2 は 1 機約 100 億円と高く、調達数も単年度で決まりやすい。米国製装備を買う枠が増えれば国産の飛行艇に回るお金は減る。後継機が決まらなければ、2030 年代の柱が細る。
ボーイングへの依存と値段の押し込み
民間機の部材は、ボーイングという 1 社の生産計画と価格交渉に左右される。生産停止や品質問題が起きれば数量が消え、物価が上がっても値上げが認められにくい。長期契約の更新ごとに利益率を削られる恐れもある。
産機・環境の赤字と受注型の調達難
産機・環境システムは利益が薄く、今期の前半は赤字だった。受注型の事業は、部品が届かないと売上にならない。中東情勢による調達難は、会社の見積もりで利益を 15 億円ほど削っている。立て直しが遅れれば、資金が薄い事業に流れ続ける。
国内の人口減と自治体財政
塵芥車とポンプの中心は国内の自治体需要だ。人口の減少で収集量も下水量も長くは増えず、自治体の財政が苦しくなれば買い替えが延びる。電動化の費用を車両価格に載せられないと、利益率が伸びない。
今後の分かれ目
- 特装車の受注の落ち込みが続き、極東開発との値引き競争が表に出たら
- やや悲観の筋書きに重みを移す。特装車の利益率が 5% を割るかを見る。
- US-2 の後継機の開発が正式に決まり、量産の道筋が示されたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げてよい。航空機の数量が 10 年を通して伸びる根拠になる。
- 508 棟の屋根の改修費の総額が公表され、数十億円規模に膨らんだら
- パーキングの利益率の前提を下げ、やや悲観の確率を上げる。損害賠償の動きにも注意する。
- ボーイングの 787 と 737 の生産レートが計画を上回って戻ったら
- 民間機部材の数量の前提を上げ、航空機の利益を再評価する。
- 産機・環境が通期で黒字に戻り、利益率が 3% を超えて定着したら
- 中立の利益率の前提を見直す。立て直しが進んだ証拠になる。
- 自社株買いや政策保有株の売却を伴う資本政策の強化が発表されたら
- 還元の前提を上げる。ただし利益そのものが増えるわけではなく、価値の増え方は小さい。
見ておくもの
- 特装車の受注高と利益率(カルテル後の価格の動き)
- 航空機の受注残と US-2 後継機の動き
- 機械式駐車場の屋根の改修費と損害賠償の有無
- ボーイングの 787・737 の月産と部材の納入数
- 産機・環境システムの営業損益と調達難の影響額
倍率と資本コストの決め方
今の株価と今の PER は見ずに、セグメントごとに数量と価格を積んで 10 年後の利益を出した。倍率は資本コスト 7.75% と、事業の ROE から出る正当化 PER で決めた。ROE が資本コストの近辺なので超過利益による上乗せはほとんどなく、中立は 1÷k に近い 12.6 倍とした。ROE が k を割る悲観側は、上限の 8 割に置いた。今の PBR が 1 倍近いことは、倍率の根拠に使っていない。悲観側は稼ぐ力(純利益÷k)から出した。10 年後の数字は家賃のかかる店舗型ではないので、新リース会計基準の影響は小さいとみて今の形のまま置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→15.65 倍・やや楽観 PER 13→14.84 倍・中立 PER 12.6→13.98 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に、循環と値決め力でそれぞれ +0.25%。事業が傾いてはいないので上乗せはない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。