結論
アスカは、愛知県刈谷市の自動車部品メーカーだ。主力は薄い金属板を成形・溶接する車体部品で、売上の約8割を占める。もう一つの柱が、工場の自動化設備を作るロボットシステムだ。筆者の結論は、今の値段は10年の見通しに対してやや高いというものだ。
注目はロボットにある。売上は1割ほどだが、利益の4分の1を稼ぎ、利益率は約11%と高い。工場の人手不足が続く限り、この部門が全体の利益率を押し上げる。自動車部品の利益率は3%台で、顧客に値段を決められる立場は変わらない。
弱点は借金だ。純有利子負債は時価総額と同じ規模にあり、借り換えのたびに利払いが重くなる。10年で年3億円ほど利益を削る計算だ。純利益に対する時価総額は7倍ほどと低く見えるが、その分は借金の重さを映している。
10年の中立の姿は、売上620億円、営業利益28億円。ROEは6〜7%で資本コストに届かない。利益は今の1割強増えるが、値段を押し上げるほどではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は、安く見えても借金で見かけの安さを買っている部類に入る。
純利益に対する時価総額は7倍で、自己資本の0.7倍だ。ただし純有利子負債が時価総額と同じ規模にある。企業全体の値段は、時価総額と借金を合わせた約210億円で、営業利益の10倍になる。
この会社の本当の宝はロボット事業だ。利益率は10%を超え、需要は人手不足という長い追い風にある。10年後に全体の利益の3割を稼いでいても不思議ではない。だが、部品が足を引く。設備投資は営業利益と同じ規模で毎年かかり、償却は取得時の値段のままだが更新費用は物価で膨らむ。利益は増えても、株主の手元に残る現金は細りやすい。
中立の姿でもROEは資本コストを下回る。ためた利益は額面を下回る価値しかなく、安全域は帳簿の厚みでなく稼ぐ力で測る必要がある。その目で見ると、今の値段は10年の見通しに対してやや高い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は2つある。1つは自動車部品で、売上の約8割を占める。薄い金属板をプレスし、溶接して、車体の骨格部品に仕上げる。取引先は三菱自動車とトヨタ系の車体メーカーなどだ。金型も自社グループで作る。インドネシアにも工場をもつ。
もう1つが、ロボットシステムだ。自動車工場の溶接・組立ラインの設備を、顧客ごとに設計して納める。近年は協働ロボット、つまり人と並んで働くロボットや、自動搬送ロボットにも手を広げた。2025年10月には本社にショールームを開き、人型ロボットも展示している。
ほかに、制御システム、岡山国際サーキットの運営とレース事業、倉庫・工場の賃貸と太陽光発電がある。サーキットは設備の負担が重い一方、賃貸と太陽光は売上の1%強ながら利益率が高い。
2025年11月期の売上は463億円、営業利益は21億円で、純利益は15億円と過去最高だった。今期は売上470億円、営業利益22億円を見込む。利益が自動車部品に偏らなくなってきたのが近年の変化だ。
金型は子会社が設計・製作し、プレス部品の品質と納期を内側で支える。海外ではインドネシアとアメリカに拠点がある。
優良さと弱いところ
一言でいえば、部品は薄利、ロボットは高利。堀は部品にはほぼなく、ロボットに少しある。
車体のプレス部品は、図面どおりに作る世界だ。顧客は毎年の原価低減を求め、値上げは原材料高の転嫁にとどまる。利益率は3%台で、過去10年の最高でも4%台後半だ。顧客の自動車メーカーの生産計画にも左右される。
ロボットは別の顔をもつ。自動車工場の設備は仕様が顧客ごとに違い、一度入れた設備の保守や改造は同じ会社に頼みやすい。利益率は10%を超える。ただし受注は設備投資の波に乗り、需要の読みを外すと稼働が空く。
資本効率は改善してきた。過去10年のROEの中央値は10%で、2018年以降は資本コストに近い。ただしこれは自己資本が薄いまま借金で回したためで、事業の力が高いとは言いにくい。自己資本比率は36%にとどまる。
筆頭株主のCISが3割近くの株を持つ。経営の安定には役立つが、少数株主の利益と重なるかは配当の厚みで測る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
自動車部品は、日本の完成車の生産台数で数量が決まる。国内の生産は横ばいから緩やかな減少で、筆者は10年で5%減とみる。電動化で車体の構造は変わるが、プレス部品がなくなるわけではない。むしろ電池を守る骨格部品が増える。ただし、巨大な一体鋳造(ギガキャスト)が広がれば、プレスの部品点数は減る。
値段は完成車メーカーが決める。毎年の原価低減が条件になるため、物価が3%上がる世界でも、納入価格は物価に届かない。人件費と原材料は上がる。差を吸収できる会社だけが利益率を保てる。
ロボットの市場は別の動きをする。日本は人手不足が深刻で、工場の自動化投資が続く。協働ロボットや自動搬送は、中小の工場にまで広がる。競合は、ファナックや安川電機などの大手のロボットメーカーと、それを組み合わせて納めるシステムインテグレーターだ。アスカは自動車工場の溶接・組立の設備に強みを持つ。
電池工場など新しい分野の設備投資は、自動車の需要の変動を受けやすい。この波に受注が乗る点は、頭に入れておく必要がある。
筆者は、自動車部品の数量が減る分を、ロボットの伸びでどこまで埋められるかを軸に見ている。
資本政策と M&A
資本政策は、借金で成長を買ってきた段階から、配当を厚くする段階へ移りつつある。
自己資本比率は36%、純有利子負債は110億円。設備投資は毎年20億円台で、営業キャッシュフローの40億円で賄える範囲にある。ただし今期の前半は、運転資金と設備の支払いで借入が増えた。
配当は、2025年11月期の年約2.4億円から、今期は約3.1億円へ引き上げる計画だ。配当性向は20%台にとどまり、増える余地は残る。自社株買いの実績は見当たらない。
株主は、筆頭株主のCISが25〜29%、ニチアスが約14%を持つ。上位2社で4割に近く、市場に出回る株は少ない。株数も570万株と小さい。買収や非公開化の動きが起きても不思議ではない。ただし、そう言える材料は今のところ出ていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ロボットが全体の顔を変える。人手不足は日本でも世界でも構造的で、工場の自動化は10年続く。協働ロボットは中小の工場まで売れ、自動搬送ロボットは倉庫にも広がる。アスカは自動車工場の溶接・組立に実績があり、顧客の信頼で受注を取れる。ロボットの数量が10年で2倍になれば、この部門だけで営業利益は15〜20億円に届く。
自動車部品も落ち込まない。電動化で電池を守る骨格部品が増え、プレス部品の1台あたりの金額は上がる。2025年の最高益は一時のものでなく、経営の質の変化だ。
さらに、株数が570万株と小さく、CISとニチアスで4割近くを持つ。買収や非公開化の可能性は、小さくない。純利益に対して7倍の時価総額は、事業の成長に比べて安い。借金は営業キャッシュフローで年数億円ずつ減らせる。
足元の業績も追い風だ。今期の3四半期累計は、営業利益が前年同期を上回っている。ロボットの受注が積み上がれば、年後半に利益が上振れする余地もある。
慎重な見方
ロボットは好調でも、全体を変えるほどの規模ではない。売上の1割で、受注は設備投資の波に左右される。電池工場向けなどの設備需要は自動車の需要に左右され、大型案件が止まれば稼働は空く。競合には大手のロボットメーカーとインテグレーターが並び、価格を下げて取りに来る。
自動車部品は、顧客が値段を決める事業だ。電動化と一体鋳造が広がれば、プレス部品の点数が減る。取引先が特定のメーカーに偏ることも、交渉力を弱める。
借金は重い。純有利子負債は時価総額と同じ規模で、借り換えのたびに金利が上がる。利払いが年3億円ほど増え、純利益の2割を食う。今期前半は借入が増えている。設備投資と運転資金が営業キャッシュフローを上回れば、配当を増やす余地はない。
筆頭株主のCISが3割近くを持ち、少数株主の意見が反映されにくい。持株比率も2026年に大きく動き、需給の不安定さが残る。
配当を増やす計画も、借入が増える局面では続けにくい。
どちらに重みを置いたか
ロボットの成長は実在するが、全体の利益に占める割合はまだ小さい。借金と部品の薄利は、10年を通して重しになる。重いほうが勝つと筆者は見た。中立は37%に置き、上下の配分は慎重な側に寄せた。強気の筋書きでも、ROEは資本コストを少し超える程度だ。そのため強気2つの合計は23%にとどめた。
慎重な側が正しい場合、悲観の筋書きでは回収できる資産が負債に届かず、株主に残る価値は事業を売って得られる額に限られる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 3,308 円189 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 692 円40 億円)。 今の値に割り戻すと 1,923 円110 億円、今との差 +6.1%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 6,179 円353 億円 | 1,401 円80 億円 | +318.1% | +15.4% | 455 円26 億円 |
| やや楽観 | 17% | 5,095 円291 億円 | 981 円56 億円 | +235.1% | +12.9% | 1,033 円59 億円 |
| 中立 | 37% | 4,149 円237 億円 | 736 円42 億円 | +169.4% | +10.4% | 1,807 円103 億円 |
| やや悲観 | 27% | 1,812 円103 億円 | 525 円30 億円 | +28.9% | +2.6% | 631 円36 億円 |
| 悲観 | 13% | 356 円20 億円 | 210 円12 億円 | −68.8% | −11.0% | 74 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,308 円189 億円 | 692 円40 億円 | +120.6% | +8.2% | 4,000 円228 億円 |
今の株価時価総額 1,813 円104 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% ロボットが2倍以上に育ち、全体の利益率を押し上げる 利益 27 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 6,179 円353 億円
人手不足が続き、ロボットシステムの数量が10年で2.4倍になる。協働ロボットと自動搬送が中小の工場や倉庫に広がり、利益率は11%に乗る。全体の利益の4割がロボットになる。
自動車部品は、電池を守る骨格部品が増えて数量が横ばいを保つ。利益率は3.8%まで改善する。営業キャッシュフローで借金を減らし、利払いの増加も抑える。
売上は720億円、営業利益は40億円、純利益は27億円。配当は利益の3割に増える。ROEは9.7%で、資本コストをわずかに超える。
長年の車体部品の顧客基盤の上に、ロボットが第二の柱として立ち上がる姿だ。
- 自動車部品(車体プレス・溶接):数量 100(国内完成車の生産に連動する数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 4.80(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 480 億円・営業利益 18 億円。自動車部 営業利益率3.8%
- 制御システム:数量 105(制御システムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.47(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 49 億円・営業利益 2 億円。制御シス 営業利益率4.5%
- ロボットシステム:数量 240(ロボットシステムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.70(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 167 億円・営業利益 18 億円。ロボット 営業利益率11.0%
- サーキット・賃貸・太陽光:数量 100(サーキット・賃貸・太陽光の数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.24(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。サーキッ 営業利益率8.0%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.62 倍、時価総額 336 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ロボットの需要、部品の採算、借金の削減がそろう筋書き。部品の薄利が長く続いた実績を踏まえ、6%にとどめた。
やや楽観 17% ロボットは2倍、部品は耐える 利益 22 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 5,095 円291 億円
ロボットシステムの数量が2倍になり、利益率は10%台前半を保つ。制御システムも横ばいで推移し、全体の利益率が上がる。
自動車部品は国内生産の微減をプレスの高付加価値化で相殺し、利益率は3.6%となる。賃貸と太陽光は安定した収益を出す。
売上は670億円、営業利益は34億円(5.1%)。純利益は22億円で、ROEは8%。配当は利益の2割台後半まで厚くなるが、設備更新の負担で自社株買いまでは届かない。
長年の取引先からの受注は安定し、ロボットが追加の収益をもたらす。
借入は営業キャッシュフローで少しずつ減り、利払いの増加は小さく収まる。
- 自動車部品(車体プレス・溶接):数量 98.0(国内完成車の生産に連動する数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 4.73(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 463 億円・営業利益 17 億円。自動車部 営業利益率3.6%
- 制御システム:数量 100(制御システムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.47(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 47 億円・営業利益 2 億円。制御シス 営業利益率4.0%
- ロボットシステム:数量 200(ロボットシステムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.69(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 137 億円・営業利益 14 億円。ロボット 営業利益率10.5%
- サーキット・賃貸・太陽光:数量 100(サーキット・賃貸・太陽光の数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.23(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。サーキッ 営業利益率7.5%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.11 倍、時価総額 263 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ロボットの成長が会社の計画どおり進み、部品が踏ん張る筋書き。足元の最高益が続いているので17%に置いた。
中立 37% 中立:ロボットが伸び、部品は物価に届かない 利益 17 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 4,149 円237 億円
ロボットシステムの数量が10年で1.6倍になり、売上は100億円を超える。利益率は10%を保つ。部品は国内生産の減少で数量が5%減り、価格は物価に届かず1.30倍にとどまる。
営業利益率は部品3.3%、ロボット10%で、全体は4.6%となる。過去の山を少し上回る水準で、ロボットの構成比が上がる効果によるものだ。
売上620億円、営業利益28億円。借り換えで利払いが年5億円近くになり、純利益は17億円。ROEは6.5%で資本コストを下回る。配当は利益の25%ほどを続け、借金の削減を優先する。
大株主の構成は大きく変わらず、買収や非公開化は起きない前提で置く。
- 自動車部品(車体プレス・溶接):数量 95.0(国内完成車の生産に連動する数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 4.65(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 442 億円・営業利益 15 億円。自動車部 営業利益率3.3%
- 制御システム:数量 100(制御システムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.47(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 47 億円・営業利益 2 億円。制御シス 営業利益率3.7%
- ロボットシステム:数量 160(ロボットシステムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.68(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 108 億円・営業利益 11 億円。ロボット 営業利益率10.0%
- サーキット・賃貸・太陽光:数量 98.0(サーキット・賃貸・太陽光の数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.23(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。サーキッ 営業利益率7.0%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 202 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:最も重みを置く筋書き。ただし借金の重さと部品の薄利を踏まえ、上下の配分は悲観側を厚くした。
やや悲観 27% 部品の値決めが崩れ、ロボットも伸び悩む 利益 10 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 1,812 円103 億円
完成車メーカーの原価低減が強まり、部品の価格は物価に届かない。数量も国内生産の減少で1割以上減る。ロボットは設備投資の波が引いて伸びが鈍る。
営業利益率は部品2.4%、ロボット8%で、全体では3.3%にとどまる。売上は540億円、営業利益は18億円。
借り換えで利払いが年5億円を超え、純利益は10億円まで落ちる。配当は据え置きで、自己資本比率は改善しない。成長投資の余地は限られる。
大株主の構成は変わらず、非公開化などの動きは起きない。
借入が減らないまま利払いが増え、自己資本比率の改善は止まる。
- 自動車部品(車体プレス・溶接):数量 88.0(国内完成車の生産に連動する数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 4.51(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 397 億円・営業利益 10 億円。自動車部 営業利益率2.4%
- 制御システム:数量 95.0(制御システムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.46(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 1 億円。制御シス 営業利益率3.0%
- ロボットシステム:数量 125(ロボットシステムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.65(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 81 億円・営業利益 7 億円。ロボット 営業利益率8.0%
- サーキット・賃貸・太陽光:数量 95.0(サーキット・賃貸・太陽光の数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.22(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。サーキッ 営業利益率5.0%
倍率:事業のROE 4.1%は k 8.5%を大きく下回る(上限 1÷k = 11.1 倍)。構造的に利益率が低く借金も重いので、上限の 7 割に満たない 7.5 倍に置いた。
確率:顧客の原価低減と借金の負担が重なり、ロボットの伸びが鈍る筋書き。過去の低い利益率に近い姿なので27%に置いた。
悲観 13% 主要顧客の調達見直しと借入の重さで追い込まれる 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 356 円20 億円
主要顧客の生産が落ち、調達の見直しでアスカへの発注が減る。ロボットも電池工場向けの設備需要が落ち込み、稼働が空く。
営業利益はほぼ消え、利払いが年5億円を超えて最終赤字になる。工場の減損と、固定費を落とす再編が避けられない。
売上は410億円、営業利益は2億円。自己資本は減損で110億円まで減り、配当は大きく減る。借入先の銀行への返済が優先され、事業の一部を売って現金を作る展開になる。
長年の取引先を失うことが、立て直しをいっそう難しくする。
株主が安定している間は、非公開化などの動きで救済される余地も残る。
- 自動車部品(車体プレス・溶接):数量 75.0(国内完成車の生産に連動する数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 4.12(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 309 億円・営業利益 2 億円。自動車部 営業利益率0.5%
- 制御システム:数量 85.0(制御システムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.42(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 0 億円。制御シス 営業利益率0.0%
- ロボットシステム:数量 80.0(ロボットシステムの数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.57(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 46 億円・営業利益 1 億円。ロボット 営業利益率3.0%
- サーキット・賃貸・太陽光:数量 90.0(サーキット・賃貸・太陽光の数量指数(2025/11期=100、推定))× 価格 0.19(指数1あたりの売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。サーキッ 営業利益率-2.0%
倍率:赤字の筋書きなので、稼ぐ力でなく売れる資産で測る。回収できる資産が負債に届かないため、ロボット事業の売却額などを床とした約 20 億円を、今の自己資本 145 億円の 0.14 倍(約 20 億円)に置いた。EV÷営業利益は営業利益が消えるので意味を失う。EV(時価総額+純有利子負債)÷ 営業利益 は約 57 倍となり、営業利益が消えるこの筋書きでは意味を失うので、売れる資産の床を優先した。
確率:顧客の調達見直しと設備需要の落ち込みが重なる筋書き。株主が安定しており、借入先の銀行も付き合いが長いので、13%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自動車部品(車体プレス・溶接)
車体のプレス・溶接部品。三菱自動車・トヨタ系の車体メーカーなどに納める。
| 数量国内完成車の生産に連動する数量指数(2025/11期=100、推定) | 価格指数1あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 100 | 3.58 | 358 | 13 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 4.65 | 442 | 15 |
取り方:自動車部品の売上は内部取引込みで約363億円。連結売上に合わせ、外部向けを約358億円と推定し、数量指数100を起点に置いた。国内の完成車の生産が緩やかに減るため中立は0.95倍。価格は原材料の転嫁を含めても完成車メーカーの原価低減で物価に届かず1.30倍。セグメント利益は12.6億円(開示)。
制御システム
自動車工場などの制御システム。制御盤やソフトの設計・製作。
| 数量制御システムの数量指数(2025/11期=100、推定) | 価格指数1あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 100 | 0.35 | 35 | 1 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.47 | 47 | 2 |
取り方:制御システムの売上は約35億円、利益は1.3億円(開示)。受注は自動車工場の設備投資に連動するため、数量は横ばいの1.0倍。価格は人件費の転嫁で物価並みの1.34倍。
ロボットシステム
自動車工場の溶接・組立設備、協働ロボット、自動搬送ロボット。
| 数量ロボットシステムの数量指数(2025/11期=100、推定) | 価格指数1あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 100 | 0.52 | 52 | 6 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.68 | 108 | 11 |
取り方:ロボットシステムの売上は約52億円、利益は5.7億円で利益率10.8%(開示)。人手不足による工場の自動化投資は長く続くとみて、中立は1.6倍。価格は競合との競争で物価に届かず1.30倍。
サーキット・賃貸・太陽光
岡山国際サーキットとレース事業、倉庫・工場の賃貸、太陽光発電。
| 数量サーキット・賃貸・太陽光の数量指数(2025/11期=100、推定) | 価格指数1あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 100 | 0.19 | 19 | 2 |
| 10 年後 中立 | 98.0 | 0.23 | 22 | 2 |
取り方:モータースポーツ約14億円(利益0.8億円)と賃貸・太陽光約5億円(利益0.9億円)の合計約19億円で、利益は1.7億円(開示)。太陽光の売電価格は固定で、サーキットは入場者数が頭打ちのため、数量は0.98倍、価格は物価に届かず1.20倍。
リスクと懸念
借金と利払いの増加
純有利子負債は時価総額と同じ規模にある。借り換えのたびに金利が上がり、10年で年3億円ほど利益を削る。今期前半は運転資金と設備で借入も増えた。
部品の薄利と顧客の値決め
売上の8割を占める車体部品は、利益率が3%台だ。毎年の原価低減の要請が続けば、物価が上がっても利益率は上がらない。
ロボット受注の波
ロボットは設備投資の波に乗る。電池工場向けなどの大型案件が止まれば稼働が空き、利益が大きく振れる。
車体構造の変化
一体鋳造(ギガキャスト)などが広がれば、プレス部品の点数が減る。車体の骨格部品が主力の同社には、数量に直接響く。
設備更新の負担
設備投資は営業利益とほぼ同じ規模で毎年かかる。インフレで更新費用が膨らむ一方、償却は取得時の値段のままで、会計上の利益より現金が細る。
大株主の動き
筆頭株主CISの持株比率は、2026年に33%台から25%台へ、さらに28%台へと動いた。株数が小さく流動性も低いため、売買の影響が出やすい。
今後の分かれ目
- ロボットシステムの営業利益が10億円を超えたら
- ロボットの数量と利益率の前提を上げ、強気側へ確率を移す。
- 自動車部品の営業利益率が4%を超えて定着したら
- 中立の部品の利益率を上げる。
- 純有利子負債が営業利益の4倍を超え、借入が増え続けたら
- 借金の重さが利益を削るとして、悲観側の確率を上げる。
- 筆頭株主のCISが持株を大きく動かす、または非公開化の話が出たら
- 買収・再編の筋書きを見直す。
- 主要顧客の生産計画が大きく下がったら
- 部品の数量を下げ、やや悲観側へ確率を移す。
見ておくもの
- ロボットシステムの売上・受注残とセグメント利益率
- 自動車部品の営業利益率
- 純有利子負債と営業キャッシュフロー、設備投資の差
- 配当方針と配当性向の変化
- 大株主の持株比率と大量保有報告書の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は式の上限(ROEが k を下回るので 1÷k = 11.1 倍。強気は RONIC 方式で 11.3 倍)の 6.7〜8.5 割に置いた。市場の PER・PBR は使っていない。純利益に対する時価総額が低くても、借金が重く稼ぐ力が資本コストに届かないので、割安の根拠にしていない。悲観は回収できる資産から負債を引くと残らないため、事業の売却額などを床にした。新リース会計基準で BS の形が変わるが、数字は今と同じ形(家賃を営業費用に含める形)でそろえた。結果は今の時価総額より低く出たが、計算を株価に寄せる調整はしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.6→12.62 倍・やや楽観 PER 9.1→12.11 倍・中立 PER 8.9→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.5% を足した 9.0%。大株主の持株比率の動きや顧客の偏りは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.50%。