結論
ヨロズは、車のサスペンション部品(アームやビームなど足回りの骨格)をつくる部品メーカーだ。売上の約4割が日産、ほかに中国の東風汽車とホンダが続く。筆者の結論は、今の値段は10年の見通しに対してやや高めで、割安とは言えないというものだ。理由は、稼ぐ力が資本コストにずっと届いていないからだ。
過去12年のうち、最終赤字は4回ある。2026年3月期は営業利益40億円で黒字に戻ったが、売上に対する利益率は2.3%にすぎない。会社の中期計画は4.5%を目標にしており、その半分にとどまる。2027年3月期は純利益11億円と、さらに減る予想だ。
一方で、悲観しすぎるのも当たらない。2025年3月期に91億円の減損を済ませ、今後の償却は軽くなった。自己資本は540億円あり、時価総額178億円の3倍に当たる。純有利子負債は93億円で、倒産を心配する水準ではない。
10年後の中立の姿は、売上2,100億円台、営業利益70億円強。配当を守る力はあるが、株主に残る利益は薄い。日産の再建が進み、トヨタ系の受注が育てば上振れる。逆に日産の縮小が顧客全体に広がれば、赤字の10年になりうる。筆者は後者の可能性を軽く見ない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安いが、持ち続けたい事業」ではない。値段は買い手が決め、顧客は偏り、10年のうち3分の1は赤字だった。
それでも、見るべき点が2つある。1つは、サスペンション部品が電動化でもなくならない、地味な必需品であることだ。もう1つは、減損を済ませて資産の重荷を減らしたことだ。
問題は、利益のうち株主に残る分が少ないことだ。設備の更新と金型の準備に、毎年多くの資金が出ていく。減価償却は取得した値段のままで増えないが、更新する設備は物価の上昇ぶんだけ高くなる。会計上の利益が見かけほど現金にならない構造は、インフレの10年に重く効く。
ROEが資本コストを下回る会社は、ためた利益が額面どおりの価値を持たない。帳簿の自己資本が時価総額の3倍あっても、それは割安の証拠にならない。稼ぐ力のない資本は、売却して初めて価値になる。
安全域の考えはこうだ。中立の価値は今の値段をわずかに下回る。上は日産の再建とトヨタ系の拡大で大きく伸びうるが、下は赤字と固定費で深い。幅が下に偏るので、確信度は低い。
何で稼ぐ会社か
ヨロズの仕事は、完成車メーカーから設計図をもらい、サスペンション部品を量産して納めることだ。サスペンションは車輪と車体をつなぎ、路面の衝撃を受け止める装置である。ヨロズが扱うのはその骨格、つまりロアアームやリアビームなどの鋼板プレス部品と、それを組み付けたモジュールだ。
稼ぎ方は地域ごとに分かれる。日本、米州(メキシコ・米国・ブラジル)、アジア(中国・タイ・インドネシアなど)に工場を置き、完成車の組立工場の近くで生産する。売上の約7割は海外だ。
顧客は偏っている。2025年度の主要販売先は、メキシコ日産15%、北米日産13%、日産(日本)10%だった。2021年度は東風汽車が最大で19%を占めていた。上位4社だけで約46%になる。ホンダ向けも長く、ロアアームなどを納めている。
金型の売上も大きい。新型車の立ち上げのたびに専用の金型を作って売るため、車種の入れ替えに合わせて売上が上下する。金型の準備期間を4割短くすることが、中期計画の柱の1つだ。
会社は2024年に中期経営計画「YSP2026」を始めた。電動車向けの軽量部品、新興EVメーカーへの売り込み、トヨタグループの売上比率を9%から15%以上へ上げること、が主な策だ。非自動車分野(建機部品や生産設備の外販)にも手を伸ばそうとしている。
優良さと弱いところ
一言でいえば、技術は確かだが、値段を自分で決められない会社だ。
サスペンションの骨格部品は、完成車メーカーが仕様を決め、ヨロズは仕様書どおりに作る。毎年の原価低減が納入の条件になり、値上げは通りにくい。鋼材が上がっても、価格に転嫁できるまで数か月から1年の遅れが出る。物価が年3%上がる世界で、この遅れは利益を削る。
強みは2つある。1つは、車種ごとに工場を客先の隣に置き、現地で調達して現地で納める力だ。日産の北米・メキシコの工場とともに育ってきた。もう1つは、軽量化の新しい工法(高張力鋼板の成形など)で、完成車メーカーの採用実績があることだ。ただし、どちらも他社が追いつけない堀、つまり参入を拒む強みとまでは言えない。堀は弱いと見る。
資本効率はひどい。過去10年のROEの中央値は1.0%、営業利益率は2%を下回る年も多い。2025年3月期は、米州の一過性の品質費用と日系メーカーの減産、中国での日産のシェア低下が重なり、営業利益が3億円に落ちた。減損91億円と繰延税金資産の取り崩しで、最終赤字は134億円に膨らんだ。
筆者が気にするのは、日産の動きがそのまま業績に出ることだ。日産は工場の統廃合を進めており、顧客の台数が減れば、ヨロズは固定費を負担し続ける。顧客を分散させる策は打っているが、実績はまだ小さい。
経営の姿勢は変わりつつある。損益分岐点を下げる活動「Success 25V」と、拠点の収益監視を強めている。ただ、中計の利益率目標を2期連続で外したのは事実で、実行力の評価は保留とする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の新車販売は年1億台弱で、10年の中立は年1%ほどの緩やかな増加と見る。ただしヨロズの数量は、世界全体でなく、日産・ホンダ・東風など自社の顧客の生産台数で決まる。
最大の変数は日産だ。日産は2025年から工場の閉鎖と車種の絞り込みを進めている。メキシコと北米の工場は、ヨロズの売上の3割近くを支える。ここで生産が減れば、部品の数量は直接減る。逆に、日産が再建に成功して台数が戻れば、ヨロズの工場の稼働率が上がり、固定費が薄まって利益が大きく増える。この両側の振れ幅が、ヨロズの特徴だ。
電動化は、サスペンション部品にとって大きな変化ではない。電気自動車にも足回りは必要で、電池が重いぶん、むしろ部品の強度と軽量化の要求は高まる。エンジン部品のように需要が消える心配は小さい。一方、軽量化のためにアルミや新しい鋼材の部品が増えると、これまでのプレス設備が使えなくなる可能性がある。
競争相手は、日本ではフタバ産業、ユニプレス、トピー工業などの骨格部品メーカー、海外では中国の地場メーカーだ。中国では日系メーカーの販売が落ち、日系の部品会社の工場の稼働率も下がった。中国メーカーは低価格で品質も上げており、日系の部品会社に求められる原価低減はこれからも強まる。
関税も気になる。米国の関税はメキシコ生産の部品の収益に響く。北米の生産は顧客と一緒に動くため、ヨロズだけでは動かせない。10年の中立は、顧客の再編を挟みながらも、部品の数量は日本で減り、米州は小さく減り、アジアは横ばいという地味な姿だ。為替は150円に固定して考える。
資本政策と M&A
資本政策は、傷んだ財務を守りつつ、配当を保つ方針だ。
中計は配当に下限を設け、配当性向35%以上を目標にしている。2026年3月期は配当を小さく引き上げた。ただ、利益が小さい年は性向が高くなり、2027年3月期の予想では利益に対する割合が6割を超える。この水準は長く続かない。
政策保有株は中計期間に1割減らし、売却資金は全額を自社株買いに充てると約束している。自社株は約446万株を持ち、株数にはすでに反映されている。売却できる額は大きくなく、自己資本の厚さを変えるほどではない。
筆者が評価するのは、2025年3月期に減損91億円を一度に済ませたことだ。将来の償却が軽くなり、利益の底が上がる。一方、純有利子負債は93億円、支払利息は年10億円近い。金利が上がる世界では、借り換えのたびに負担が増える。
M&Aは大きなものがない。買う側として動く余力は乏しい。むしろ、日産が再編を進める中で、日産系の部品会社の統合や、ヨロズが再編の対象になる可能性は否定できない。ただし確かな材料は見つかっていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
日産が再建に成功すれば、ヨロズの工場の稼働率は一気に上がる。固定費の比重が大きい事業は、数量が戻れば利益が数量以上に増える。2015年から2017年には、売上1,700億円で営業利益率が4〜6%に乗った実績がある。
減損91億円で償却が軽くなり、損益分岐点はすでに下がった。Success 25Vの効果が出れば、売上が1,760億円のままでも営業利益は60億円台に届く。
顧客の分散も進む。中計はトヨタグループの売上比率を9%から15%以上へ上げる。ホンダや中国の新興メーカー向けが加われば、日産への依存は下がる。電動車向けの軽量部品が採用されれば、単価も上がる。
資本政策も株主寄りだ。政策保有株の売却資金は自社株買いに充て、配当は下限を決めている。自己資本は時価総額の3倍あり、資産の裏づけは厚い。ここまで売られた会社は、業績が少し戻るだけで評価が大きく変わる。
米州では品質費用の一過性の部分がなくなり、2026年3月期の第4四半期だけで経常利益23億円を稼いだ。この勢いが半分でも続けば、通期の利益は予想を上回る。アジアではタイやインドネシアの日系メーカーの生産が堅調で、中国の落ち込みを補う余地がある。
慎重な見方
この会社は12年のうち4回、最終赤字を出した。利益が出る年も、営業利益率は2〜3%と低い。資本コストを超える年は、一度もない。
日産の縮小は止まらない。メキシコ・北米・日本の3拠点で売上の4割弱を日産に頼り、工場の閉鎖が進めば数量は直接減る。中国では日産のシェア低下で東風向けが落ち、最大の顧客だった時期は終わった。
値段は買い手が決める。毎年の原価低減が条件で、鋼材と人件費の上昇は転嫁が遅れる。関税や為替の変動も、利益を一瞬で消す。
中計の利益率目標4.5%は、2期連続で届かなかった。新しい計画でも、2027年3月期の純利益は11億円の予想だ。トヨタ系の拡大は、売り込みの段階にとどまる。
自己資本が大きく見えるのは、古い設備の簿価のせいだ。稼げない設備は、売っても簿価の3割も戻らない。帳簿の厚みを安全域とみなすのは危うい。
減損を済ませても、設備の更新は物価の上昇で割高になる。償却が増えない一方で投資の現金は膨らみ、利益が出ても手元に残らない。借り入れで賄えば利払いが増え、配当で賄えば自己資本が細る。
株主にとっては、利益の少ない会社が下限の配当を守るために資本を削る構図が、いちばんの懸念だ。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、損益分岐点の低下と、日産が戻った時の利益の伸びに根拠がある。慎重な見方は、日産依存と、資本コストを超えたことのない実績に根拠がある。筆者は、慎重な見方のほうがやや強いと判断する。再建が成功しても、日産の台数は昔の水準には戻らないと見るからだ。
確率は中立に34%を置き、悲観側を厚くした。楽観とやや楽観は合わせて21%、やや悲観と悲観は合わせて45%だ。悲観は、12年で赤字が4回あることと、顧客が偏る構造を踏まえ、17%とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,549 円319 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 438 円90 億円)。 今の値に割り戻すと 939 円193 億円、今との差 +8.8%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 4,153 円856 億円 | 1,068 円220 億円 | +505.0% | +19.7% | 261 円54 億円 |
| やや楽観 | 16% | 2,778 円572 億円 | 699 円144 億円 | +303.0% | +15.0% | 556 円115 億円 |
| 中立 | 34% | 1,980 円408 億円 | 534 円110 億円 | +191.3% | +11.3% | 855 円176 億円 |
| やや悲観 | 28% | 560 円115 億円 | 267 円55 億円 | −4.2% | −0.4% | 231 円48 億円 |
| 悲観 | 17% | 395 円81 億円 | 97 円20 億円 | −43.0% | −5.5% | 84 円17 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,549 円319 億円 | 438 円90 億円 | +130.3% | +8.7% | 1,987 円409 億円 |
今の株価時価総額 863 円178 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 日産が戻り、トヨタ系とホンダで顧客も広がる 利益 77 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 4,153 円856 億円
日産が再建に成功し、メキシコと北米の生産が戻る。ヨロズの工場の稼働率が上がり、固定費が薄まって利益率は5%を超える。
中計のトヨタグループ比率15%以上が実現し、ホンダ向けと電動車向けの軽量部品も伸びる。米州と中国の数量は1割強の増加になる。値段は原価低減を受けながらも、新型部品の単価上昇で物価並みに近づく。
減損後の軽い償却と、損益分岐点の低下が利益を押し上げる。2015〜2017年の利益率4〜6%に近い水準が戻るが、過去の山である5.8%を超える定着は見込まない。
配当と自社株買いは利益の4割程度で続き、純有利子負債はほぼ消える。ただROEは9%に届かず、資本コストを超える会社にはならない。
地域別では、米州が黒字を定着させ、アジアの利益率が6%に乗る。日本は数量が横ばいに保たれ、金型の収益が安定する。
- 日本(足回り部品・金型):数量 120(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.40(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 648 億円・営業利益 32 億円。日本 営業利益率5.0%
- 米州(メキシコ・米国・ブラジル):数量 201(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.40(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 1,087 億円・営業利益 60 億円。米州 営業利益率5.5%
- アジア(中国・タイ・インドネシアほか):数量 184(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 4.91(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 906 億円・営業利益 54 億円。アジア 営業利益率6.0%
倍率:事業の純利益 77 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 856 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:日産の再建、トヨタ系の拡大、減損後の軽い償却が同時に当たる条件で、当たれば大きいが確度は低い。楽観は5%に置いた。
やや楽観 16% 日産は緩やかに回復、アジアと米州で小さく伸びる 利益 50 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 2,778 円572 億円
日産の台数は底を打つが、昔の水準には戻らない。ヨロズは日本で数量が1割減る一方、米州とアジアは小さく増える。
トヨタ系の売上比率は10%台前半まで上がるが、15%の目標には届かない。金型の準備期間が短くなり、立ち上げ時の収益が少し改善する。
値段は物価の上昇に対し、7〜8割しか転嫁できない。営業利益率は4%台に戻り、会社の目標4.5%に近づく。
配当は下限を守り、自社株買いは政策保有株の売却資金の範囲にとどまる。ROEは6%台で、資本コストには届かない。
日産の復調は部分的で、東風向けの回復は限られる。それでも損益分岐点の低下が効き、赤字の年は出ない。利益の質は改善するが、堀が広がるわけではない。
- 日本(足回り部品・金型):数量 108(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.32(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 575 億円・営業利益 24 億円。日本 営業利益率4.2%
- 米州(メキシコ・米国・ブラジル):数量 184(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.32(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 978 億円・営業利益 43 億円。米州 営業利益率4.4%
- アジア(中国・タイ・インドネシアほか):数量 171(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 4.84(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 830 億円・営業利益 44 億円。アジア 営業利益率5.3%
倍率:事業の純利益 50 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 556 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画の延長線上だが、利益率目標を2期連続で外してきた実績を踏まえ、2割に届かない確率にした。
中立 34% 中立:数量は日本で減り、値段は物価に届かない 利益 33 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,980 円408 億円
日産の台数は減り、ヨロズの日本の数量は2割減る。米州は小さく減り、アジアは東風向けの落ち込みをタイやインドネシアが補って横ばいとなる。
値段は原価低減の要請で物価に追いつかず、10年で約1.3倍にとどまる。売上は2,100億円台に育つが、数量は減っているので、伸びの大半は価格だ。
減損後の償却の軽さと損益分岐点の改善で、営業利益率は3.4%になる。過去の山の5.8%を下回り、会社の目標4.5%にも届かない。
純利益は30億円台で、配当と自社株買いを合わせた還元は利益の4割。ROEは4〜5%と、資本コストに遠い。更新投資は物価の上昇で割高になり、現金は償却より多く出ていく。
- 日本(足回り部品・金型):数量 96.0(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.20(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 499 億円・営業利益 18 億円。日本 営業利益率3.5%
- 米州(メキシコ・米国・ブラジル):数量 166(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.20(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 865 億円・営業利益 30 億円。米州 営業利益率3.5%
- アジア(中国・タイ・インドネシアほか):数量 160(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 4.73(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 758 億円・営業利益 35 億円。アジア 営業利益率4.6%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 367 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:日産の縮小と、損益分岐点の低下がほぼ釣り合う姿。最も重みを置くが、慎重な見方がやや強いので悲観側を厚くした。
やや悲観 28% 日産の縮小が広がり、中国勢にも価格を崩される 利益 14 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 560 円115 億円
日産が工場をさらに閉じ、ヨロズの日本の数量は3分の1減る。米州も15%減り、アジアは東風向けの落ち込みを埋め切れない。
完成車メーカーは調達先に中国の部品メーカーを加え、値段は物価の上昇に大きく届かない。10年で値段は1.28倍にとどまる。
営業利益率は日本が2%、米州も2%台、アジアは3%に下がる。固定費の比重が高く、数量の減りが利益を直撃する。
赤字の年を挟みながら、10年の純利益は小さな黒字を保つ。配当は維持が難しくなり、減配と自社株買いの停止で還元は半分になる。
新しい車種の受注は、価格の安い中国メーカーに流れる分が増える。ヨロズは売上の規模を保つために値引きに応じ、利益率はさらに薄くなる。純有利子負債は増え、金利の上昇で支払利息が重い。
- 日本(足回り部品・金型):数量 78.0(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.12(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 399 億円・営業利益 8 億円。日本 営業利益率2.0%
- 米州(メキシコ・米国・ブラジル):数量 149(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 5.12(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 762 億円・営業利益 17 億円。米州 営業利益率2.2%
- アジア(中国・タイ・インドネシアほか):数量 128(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 4.66(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 597 億円・営業利益 18 億円。アジア 営業利益率3.0%
倍率:事業のROE 2.5%は資本コスト9%を大きく下回り、伸びても価値は増えない(上限 1÷k = 10.8倍)。構造的に数量と単価が縮む筋書きで利益の質が低いので、上限の7割に満たない7.0倍に置いた。売れる資産の床(約80億円)も確かめたが、稼ぐ力の側が大きいので倍率で置いた。
確率:日産の再編が続き、アジアの東風向けも戻らない筋書き。12年で4回の赤字と顧客の偏りを踏まえ、やや厚く置いた。
悲観 17% 日産の縮小と価格競争で赤字が定着し、資産の切り売りに向かう 利益 −35 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 395 円81 億円
日産の生産が大きく縮み、ヨロズの数量は半分近くまで落ちる。顧客を広げる策は実を結ばず、中国勢との価格競争で単価は物価の上昇に大きく届かない。
固定費をまかなえず、営業利益は赤字になる。米州とアジアで再び減損が出て、拠点の統廃合と人員整理の費用がかさむ。
配当は大きく減らされ、自社株買いは止まる。借り入れは担保つきの更新に頼り、金利が上がる中で支払利息が重くなる。
残る価値は、工場の土地・設備の売却と運転資金の回収で得られる額が中心になる。簿価の厚みはほとんど価値にならない。
拠点の売却は国ごとの規制や労働の問題で時間がかかり、売却額は簿価を大きく下回る。株主に残るのは、借り入れを返したあとのわずかな額だ。
- 日本(足回り部品・金型):数量 54.0(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 4.80(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 259 億円・営業利益 −3 億円。日本 営業利益率-1.0%
- 米州(メキシコ・米国・ブラジル):数量 114(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 4.80(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 546 億円・営業利益 −8 億円。米州 営業利益率-1.5%
- アジア(中国・タイ・インドネシアほか):数量 96.2(供給する車両の台数相当(万台、推定))× 価格 4.37(1 台相当あたり売上(万円、名目))→ 売上 420 億円・営業利益 2 億円。アジア 営業利益率0.5%
倍率:赤字の筋書きなので稼ぐ力でなく売れる資産で測る。工場の土地・設備を簿価の3割で売り、運転資金を回収して、純有利子負債と再編費用を引いた約80億円を床とし、今の自己資本542億円の0.15倍に置いた。
確率:日産の再編が深まり、品質問題や関税も重なって赤字が定着する筋書き。12年で4回の赤字があるため、17%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
日本(足回り部品・金型)
日本の完成車メーカー向けのサスペンション部品とプレス金型。日産・ホンダ・三菱系が中心。
| 数量供給する車両の台数相当(万台、推定) | 価格1 台相当あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 4.00 | 480 | 8 |
| 10 年後 中立 | 96.0 | 5.20 | 499 | 18 |
取り方:日本の売上を2019年度の地域構成(日本500億・米州676億・アジア526億)で今期に割り振った推定で約480億円。供給する車両の台数相当を120万台、1台あたりの売上を約4万円と置いた推定。金型の売上を含む。セグメント利益は地域別の開示が確認できず、日本8億円(利益率約1.7%)と推定。価格は物価並みの1.34倍が基本だが、原価低減の要請で中立は1.30倍とした。
米州(メキシコ・米国・ブラジル)
北米日産とメキシコ日産を軸に、米国のホンダ・日系各社などへ納めるサスペンション部品。
| 数量供給する車両の台数相当(万台、推定) | 価格1 台相当あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 175 | 4.00 | 700 | 17 |
| 10 年後 中立 | 166 | 5.20 | 865 | 30 |
取り方:米州の売上を同じ構成で割り振った推定で約700億円。供給する車両の台数相当を175万台、1台あたり約4万円と置いた。顧客は北米日産・メキシコ日産・ホンダ。2025年3月期の品質費用が剥落し黒字へ戻った今期の営業利益を17億円(利益率約2.4%)と推定した。価格は物価並みの1.34倍が基本、原価低減で中立は1.30倍。
アジア(中国・タイ・インドネシアほか)
中国の東風汽車グループ、タイ・インドネシアなど東南アジアの日系完成車メーカー向けサスペンション部品。
| 数量供給する車両の台数相当(万台、推定) | 価格1 台相当あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 160 | 3.64 | 583 | 23 |
| 10 年後 中立 | 160 | 4.73 | 758 | 35 |
取り方:アジアの売上を同じ構成で割り振った推定で約583億円。供給する車両の台数相当を約160万台、1台あたり約3.6万円と置いた。顧客は中国の東風グループ・日系各社、タイ・インドネシアの日系。今期の営業利益を23億円(利益率約3.9%)と推定した。価格は物価並みの1.34倍が基本、原価低減と現地競争で中立は1.30倍。
リスクと懸念
日産への依存
売上の約4割が日産で、そのメキシコ・北米・日本の工場の生産が減ればヨロズの数量は直接減る。日産は工場の閉鎖と車種の絞り込みを進めており、顧客を広げる策の効果は小さい。
中国での地盤沈下
東風汽車向けは一時、最大の顧客だったが、日系メーカーの減産と日産のシェア低下で落ち込んだ。中国の地場メーカーは低価格で品質も上げており、日系の部品会社が取り戻すのは難しい。
値決めと原価の転嫁遅れ
完成車メーカーは毎年の原価低減を求め、鋼材と人件費の上昇は転嫁が遅れる。物価が年3%上がる世界で、値段が物価に届かなければ、利益率は上がらない。
品質費用と減損の再発
2025年3月期は米州で一過性の品質費用が出て、91億円の減損も重なった。車種の立ち上げで品質問題が出れば、補償と追加の減損が利益を一気に消す。
米国の関税と為替
メキシコ生産の部品への関税は、収益に直接響く。北米の生産は顧客の都合で動くため、ヨロズだけでは動かせない。為替の前提は150円に固定して考えるが、実際の振れは利益を左右する。
金利の上昇と財務
純有利子負債は93億円で、支払利息は年10億円近い。借り換えで金利が3.5%前後に上がると、純利益は10年で約2億円減る。利益が薄いため、金利の上昇が利益に占める割合は大きい。
更新投資の負担
設備と金型の更新は、物価の上昇で割高になる。現存設備の償却は取得時の値段のままで増えないが、更新分は新しい値段で償却されるため、会計の利益と現金の出入りが大きくずれる。
今後の分かれ目
- 日産が北米・メキシコ工場の生産を増やすと発表したら
- 米州の数量を上げ、楽観側へ確率を移す。
- 日産が国内外でさらに工場を閉じると決めたら
- 日本と米州の数量を下げ、悲観側へ確率を移す。
- トヨタグループの売上比率が12%を超えて定着したら
- 顧客の偏りへの評価を和らげ、寿命の評価を上げる。
- 営業利益率が4%を超える年が2期続いたら
- 中立の利益率を上げ、堀の評価を普通に近づける。
- 米州で品質費用や減損が再び出たら
- 悲観側の確率を上げ、経営の実行力の評価を下げる。
- 配当を下限の水準から引き下げたら
- 還元の見立てを下げ、財務の余力を見直す。
見ておくもの
- 日産のメキシコ・北米・日本の生産台数と工場再編の発表
- 地域別の営業利益率(米州の黒字定着とアジアの回復)
- トヨタグループ・ホンダ向けの売上比率
- 純有利子負債と支払利息、配当性向
- 品質費用・減損・特別損失の開示
- 米国の関税と為替の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROEが資本コスト9%に届かない筋書きでは正当化PERの上限1÷kを使い、利益の質と堀の弱さに応じて上限の7〜8.5割に置いた。今の株価・過去のPER・PBR・同業の倍率は使っていない。悲観は工場の売却額から純有利子負債と再編費用を引いた床に、今の自己資本を掛けた。結果は今の値段をやや下回ったが、株価に寄せる調整はしていない。新リース会計基準でBSの形が変わるが、数字は今と同じ形(家賃を営業費用に含める形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.2→11.11 倍・やや楽観 PER 8.6→11.11 倍・中立 PER 7.6→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.75% を足した 9.25%。日産の経営再建や品質費用の再発は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 9.00%。