結論
エフテックは、ホンダ系の自動車用サブフレーム(車体の下で足回りを支える骨組み)などを北米で作る部品メーカーだ。筆者の結論は、今の時価総額は10年の見通しに対しておおむね妥当で、割安と言い切れないというものだ。決算上の指標は安く見えるが、借金が重く、利益が薄く、買い手が値段を決める。
売上の約76%が北米で、主な客はホンダだ。2026年3月期の営業利益は84億円と持ち直したが、会社は今期を55億円、純利益を8億円と見ている。回復は細く、工場が1つ傷めば消える程度の厚みしかない。
純有利子負債は471億円で、時価総額135億円の3倍を超える。株主の取り分は借金の後ろに並ぶ。金利が上がると利払いは10年で十数億円増え、薄い利益をさらに削る。
中立の姿は、売上3,800億円弱、営業利益率2.6%。物価分だけ売上は伸びるが、利益率は上がらない。ホンダの戦略次第で大きく振れる会社だと筆者は見る。
時価総額が低いのは、市場が借金と利益の薄さを見ているからだ。筆者もその見方に大きな異論はない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は持ちたい事業とは言えない。客が値段を決め、設備に資金を食われ、借金が重い。
数字の見かけは安い。直近の1株利益に対する倍率は3倍に満たず、純資産に対しても0.2倍台だ。だが、直近の利益は構造改革の戻りで、今期は大きく下がる。利益が安定して続く会社の安さではない。
評価の中心は、10年で利益がどこまで戻るかだ。中立では営業利益率が2.6%、純利益は46億円ほどで、物価分の伸びを除くと今と大差ない。ROEは資本コストに届かず、ためた利益は額面以下の価値しかない。
安全域も薄い。悲観では、事業の売却価値は借金を返した後にほぼ残らない。一方、上振れは営業利益率が3〜4%に届く場合に限られる。上下の幅が小さく、確信度は低い。
筆者がいちばん気にしているのは、利益が出ても株主の手元に残る前に、借金の返済と設備の更新で消えていく点だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、自動車の骨格に近い部品の受託生産だ。サブフレームやサスペンション部品などを溶接・プレスで作り、完成車メーカーの工場へ納める。
地域別の売上は北米が約2,230億円で最大、アジアが約400億円、日本が約300億円だ。北米の拠点はホンダの米国工場に納めており、数量はその生産に連動する。ホンダは大株主でもあり、持株比率は13.63%と長く変わっていない。
アジアでは中国の合弁が長く赤字の原因だったが、構造改革で2026年3月期に黒字へ戻った。インドではスズキ向けの合弁で販路を広げる途上にある。
この業態は、設計の主導権が客にあり、毎年の原価低減を求められる。装置を持つ重い仕事のため、稼働率が落ちると利益が一気に薄くなる。電動化でエンジン部品は減るが、サブフレームは電気自動車にも必要で、車の骨格という役割は残る。
日本の拠点は国内ホンダ向けの足回り部品と金型などを手がけ、売上は小さい。全社の利益を支えているのは北米だが、その北米の利益率が最も低い。ここが同社の弱点であり、同時に改善の余地でもある。
優良さと弱いところ
一言でいえば、客に必要とされているが、値段は客が決める会社だ。
強みは、ホンダの北米工場に近い場所で量産し、品質と納期を守れることにある。溶接の大物部品は輸送費がかさみ、客の近くに工場を置く意味が大きい。この関係は簡単には切り替わらず、他社がまねしにくい強み、つまり堀の小さな芯になっている。
ただし堀は薄い。ホンダの調達方針が変われば、数量はそのまま動く。北米の営業利益率は2.7%で、前の期の3.5%から下がった。売価改定の効果は出ているが、関税や労務費の上昇を吸収するほどではない。
資本効率も弱い。過去10年のROEの中央値は3.2%で、資本コストを大きく下回る。赤字の期は20年で4回あった。自己資本比率は32%で、過去には増資で希薄化した期も2回ある。堀は普通に置き、強い堀とはしない。
筆者は、経営が構造改革を実行してきた点は認める。赤字の中国を整理し、アジアを黒字に戻した実績は小さくない。ただし、資本の使い方を評価できるのは、純有利子負債が確実に減り、利益率が安定して上がってからだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
北米の自動車生産は、関税と電動化の方針転換で見通しにくい局面にある。10年の中立では、ホンダの北米向けの供給量は横ばいと置く。人口が増える米国でも、車の保有は成熟している。
電気自動車の普及は計画より遅れ、ハイブリッド車が主役になった。サブフレームなど骨格部品は、エンジンの種類を問わず必要になるので、この変化は致命傷にならない。だがホンダが電気自動車の投資を絞ると、新規の受注も遅れる。
競合は、北米に拠点を持つ日系の足回り部品会社と、地場の大手だ。ユニプレス、ヨロズ、トピー工業などが国内で並び、顧客ごとに住み分けている。原価低減を迫る客に対し、どの会社も値上げを通しにくい。
中国では日系車が販売を落とし、現地の安い部品が使われる流れが強い。同社も合弁の縮小を進めた。日本の国内生産は10年で1割ほど縮むと見る。
部品会社の利益は、客の生産台数、鋼材などの原材料、人件費、為替の組み合わせで決まる。10年の中立では原材料と人件費は物価並みに上がり、客が値上げを認める度合いが利益率を決める。ここは年ごとの交渉で、同社に強い力はない。
資本政策と M&A
資本政策の主題は、借金を減らして財務を直すことだ。
純有利子負債は2022年3月期の615億円から471億円まで下がったが、時価総額に比べれば重い。配当は年4〜5億円で性向は1割弱と小さく、自社株買いは期待しにくい。短期借入金が287億円と厚く、借り換えの条件も気がかりだ。利益が出ても、まず返済と設備の更新に回る。
ホンダは約14%を保有する筆頭株主だ。親子上場に近い構造のため、ホンダが完全子会社化に動く可能性は否定できない。過去の分析でも、10年以内のTOB(株式公開買い付け)の確率は3割ほどとされる。ただし、その値段が本質価値を反映するとは限らない。
新しい中期経営計画の数値目標は、確かめられた資料では確認できなかった。そのため、会社の目標に頼らず、事業の数量と価格から自前で積み上げた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最悪期は過ぎた。中国の赤字拠点を整理し、アジアは黒字に戻った。北米は売価改定が通り始め、関税への対応も進む。営業利益は前の期に5割増え、利益率は2.9%まで戻っている。
ホンダの北米工場に近い立地は、輸送費の面で代わりが利きにくい。サブフレームは電気自動車にも使われ、ハイブリッド車の増産局面では数量も伸びる。メキシコの生産能力の増強とインドの合弁が育てば、売上は物価以上に伸びる。
財務も改善している。純有利子負債は4年で140億円減り、利払いの負担は軽くなる方向だ。ここから利益率が過去の山の4%台に戻れば、純利益は60億円ほどになる。時価総額135億円はそれを織り込んでいない。さらに、ホンダが完全子会社化に動けば、少数株主にはプレミアムが付く。
電気自動車の遅れでハイブリッド車が主役になった今は、骨格部品の需要にとって追い風だ。会社は構造改革の次の段階として、原価低減と生産性の改善を挙げている。
慎重な見方
利益は薄く、一度の不調で消える。会社自身が今期の営業利益を55億円、純利益を8億円に下げると見込んでいる。北米の営業利益率は2.7%で、前の期から下がった。
客はホンダ一本に近く、調達方針が変われば数量は止まる。電気自動車の投資縮小で、新規の受注は遅れている。値上げは客が許す範囲に限られ、人件費や関税の上昇は自社で吸収するしかない。
借金は時価総額の3倍超だ。金利が上がれば利払いは10年で十数億円増え、営業利益の1〜2割を飲み込む。赤字の期は20年で4回あり、増資の履歴もある。ここで景気が崩れれば、株主の取り分は借金の後ろで消える。
TOBの期待は値段を守る材料にならない。親会社に近い客が、少数株主に高い値段を付ける理由は薄いからだ。
国内と中国の縮小で、固定費を吸収する数量が足りない。構造改革は縮小の別名にすぎず、成長の絵が描けていないと見る向きもある。
中立ですら ROE は資本コストを大きく下回る。ためた利益が株主に回らない会社の純資産は、額面どおりに評価できない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうがやや強いと判断した。利益の薄さ、客への依存、借金の重さという3つの弱みは、10年を通じて消えにくい。一方で、時価総額が十分に低いので、中立でも今の値段を上回る。確率は悲観側に44%を置き、中立に33%、楽観側に23%とした。結果は、今の時価総額に近い評価になる。
楽観側の言い分は、足元の回復と時価総額の低さに根拠がある。慎重な見方は、客への依存と借金の重さに根拠があり、こちらを重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,025 円376 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 236 円44 億円)。 今の値に割り戻すと 1,009 円187 億円、今との差 +39.3%、 期待の年率 +12.1%(資本コスト 9.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 5,097 円947 億円 | 485 円90 億円 | +670.9% | +22.7% | 335 円62 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,942 円732 億円 | 377 円70 億円 | +496.5% | +19.6% | 734 円136 億円 |
| 中立 | 33% | 2,745 円510 億円 | 269 円50 億円 | +316.4% | +15.3% | 995 円185 億円 |
| やや悲観 | 28% | 388 円72 億円 | 162 円30 億円 | −24.1% | −2.7% | 154 円29 億円 |
| 悲観 | 16% | 219 円41 億円 | 54 円10 億円 | −62.3% | −9.3% | 44 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,025 円376 億円 | 236 円44 億円 | +212.3% | +12.1% | 2,261 円420 億円 |
今の株価時価総額 724 円134 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% ホンダの北米生産が伸び、関税負担を転嫁して利益率が4%近くへ 利益 85 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 5,097 円947 億円
ホンダの北米生産がハイブリッド車を中心に増え、同社の数量も1割伸びる。関税や労務費の上昇を価格に転嫁する交渉が通り、北米の営業利益率は4%近くになる。
アジアは中国の整理が終わり、インドの合弁も立ち上がって黒字が定着する。日本は縮むが、利益は小さな黒字を保つ。
売上は4,000億円台に乗り、営業利益は160億円を超える。借金の返済は進み、配当も増やせる。それでも、客が値段を決める構造は変わらず、利益率が過去の山を大きく超えて続くとは置かない。
電気自動車の遅れでハイブリッド車が主役になる流れも、骨格部品の数量を支える。
- 北米(ホンダ向け足回り・サブフレーム):数量 165(ホンダ北米向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 20(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 3,281 億円・営業利益 125 億円。北米 利益率3.8%
- 日本:数量 23.8(国内向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 16(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 381 億円・営業利益 11 億円。日本 利益率2.8%
- アジア(中国・タイ・インド):数量 96.0(アジア向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 6.77(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 650 億円・営業利益 33 億円。アジア 利益率5.0%
倍率:事業の純利益 85 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 947 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホンダの増産と関税の転嫁が同時に決まる必要があり、当たれば大きいが重なる確度は低い。5%をわずかに超える水準に置いた。
やや楽観 17% 売価改定が定着し、アジアの黒字と北米の小さな増産が重なる 利益 66 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 3,942 円732 億円
ホンダの北米生産は小さく伸び、売価改定が定着して原価の上昇をおおむね吸収する。北米の営業利益率は3%強に戻る。
アジアは黒字が続き、インドの合弁が少しずつ数量を増やす。日本の数量は1割弱減るが、金型などの高付加価値品で利益率は2%台を保つ。
借金は毎年少しずつ返され、利払いの増加も営業利益の成長で吸収できる。配当は純利益の3割で続く。会社の長期目標に近い姿だが、劇的な改善にはならない。
電気自動車の投資縮小は、骨格部品の需要を大きくは崩さない。
借金の削減が進めば、金利上昇の影響も営業利益の範囲に収まり、財務の不安は和らぐ。
- 北米(ホンダ向け足回り・サブフレーム):数量 158(ホンダ北米向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 20(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 3,109 億円・営業利益 100 億円。北米 利益率3.2%
- 日本:数量 23.0(国内向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 16(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 366 億円・営業利益 8 億円。日本 利益率2.2%
- アジア(中国・タイ・インド):数量 89.6(アジア向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 6.72(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 602 億円・営業利益 27 億円。アジア 利益率4.5%
倍率:事業の純利益 66 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 732 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:構造改革と売価改定の成果が計画の延長で出る筋書き。ただし会社の今期予想が営業利益55億円と低く、2割には届かない水準とした。
中立 33% 中立:数量は横ばい、値段は物価並みに届かず利益率は2%台 利益 46 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 2,745 円510 億円
北米のホンダ向け数量は10年で横ばい。値段は客の原価低減要請で、物価の1.34倍にわずかに届かない1.30倍にとどまる。
営業利益率は2.6%で、足元の2.9%からやや下がる。関税と人件費の上昇は売価改定で吸収し切れず、アジアの黒字と構造改革の効果がそれを補う。
純有利子負債は借り換えで金利が上がり、利払いが十数億円増える。配当は純利益の3割、自社株買いは行わない。ROEは6%に届かず、資本コストを下回り続ける姿だ。
中国とインドは合わせて小さく伸びるが、全社の利益を変えるほどではない。
借金は毎年少しずつ減り、10年後も純有利子負債は400億円前後が残る。
減価償却は年100億円前後(設備投資113億円から推定)で、今ある設備の分は物価で増えない。10年後は更新分だけが新しい値段で足され、130億円ほどに増える。更新の投資は償却より膨らみ、現金は細る。
- 北米(ホンダ向け足回り・サブフレーム):数量 150(ホンダ北米向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 19(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 2,894 億円・営業利益 75 億円。北米 利益率2.6%
- 日本:数量 22.5(国内向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 16(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 355 億円・営業利益 5 億円。日本 利益率1.5%
- アジア(中国・タイ・インド):数量 84.0(アジア向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 6.67(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 560 億円・営業利益 20 億円。アジア 利益率3.5%
倍率:事業の純利益 46 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 510 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量は横ばい、値段は客に押さえられる最も重い筋書き。強い堀がなく、慎重な見方がやや強いので悲観側を厚くした。
やや悲観 28% ホンダの調達見直しと人件費・関税負担で利益が1%台に沈む 利益 13 億円 · PER 5.5 倍 · 株価時価総額 388 円72 億円
ホンダが調達先を見直し、北米の数量が1割減る。値段は客の押さえで物価に届かず、営業利益率は1%強に沈む。
日本の国内生産は縮み、固定費の重さで利益はほぼ消える。アジアも中国の現地部品との競争で薄い黒字にとどまる。
純有利子負債は返せず、借り換えで金利が上がるため、利払いが営業利益を大きく削る。配当は半分に減り、設備の更新が遅れる。赤字には沈まないが、株主に回る利益はごくわずかな10年になる。
中国では日系車の販売減が続き、アジアの数量の伸びも止まる。
再編の費用がかさむ年が続き、設備投資も更新を優先するだけにとどまる。
- 北米(ホンダ向け足回り・サブフレーム):数量 135(ホンダ北米向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 19(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 2,525 億円・営業利益 35 億円。北米 利益率1.4%
- 日本:数量 21.2(国内向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 15(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 325 億円・営業利益 3 億円。日本 利益率0.8%
- アジア(中国・タイ・インド):数量 76.0(アジア向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 6.37(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 484 億円・営業利益 9 億円。アジア 利益率1.8%
倍率:事業の ROE 1.8% は k を大きく下回り、上限は 1÷k = 10.5 倍。利益がほぼ出ず、借金の重さもあるので、上限の 5 割強の 5.5 倍に置いた。自己資本比の PBR は低いが、ROE が k に届かず帳簿は床にならないため、純現金を下回る側も許容した。EV÷営業利益 は営業利益が薄く意味が小さいので PER を優先した。
確率:北米の利益率が2%台前半から1%台へ落ちる筋書き。過去の赤字が20年で4回あり、純負債の重さも考えて3割弱に置いた。
悲観 16% 主要拠点を失い、赤字が続いて事業の切り売りに向かう 利益 −59 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 219 円41 億円
ホンダの北米で車種の統廃合が進み、同社の主力拠点の受注が減る。数量は2割強縮み、値段も物価に追いつかず、北米は赤字になる。
日本の拠点とアジアも固定費をまかなえず、工場の統廃合と減損が続く。純有利子負債の借り換えが難しくなり、増資か資産売却が避けられない。
配当はほぼなくなり、株主の取り分は、事業を切り売りして借金を返した後に残る額が中心になる。ホンダが少数株主を救う理由は薄く、完全子会社化もプレミアム付きでは行われにくい。
過去の赤字期と同様に、自己資本の目減りで財務の余力が一気に細る。
最終的には、客が離れ、売れる設備と在庫の値段が株主に残る価値の上限になる。
- 北米(ホンダ向け足回り・サブフレーム):数量 117(ホンダ北米向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 18(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 2,084 億円・営業利益 −10 億円。北米 利益率-0.5%
- 日本:数量 18.8(国内向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 15(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 277 億円・営業利益 −4 億円。日本 利益率-1.5%
- アジア(中国・タイ・インド):数量 68.0(アジア向け供給の車両台数相当(万台、推定))× 価格 5.97(1台相当あたり売上(万円/台相当、名目))→ 売上 406 億円・営業利益 −4 億円。アジア 利益率-1.0%
倍率:赤字の筋書きなので稼ぐ力でなく売れる資産で測る。売却価値から純有利子負債と再編費用を引くとほぼ残らず、小さな床 約 41 億円を今の自己資本 約 581 億円の 0.07 倍に置いた。
確率:主要客の調達見直しや再編費用で赤字が続く筋書き。ホンダが13.6%を持つ関係があり、一気に取引が消える確率は高くないため16%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
北米(ホンダ向け足回り・サブフレーム)
ホンダ向けのサブフレーム・足回り部品。売上の約76%。
| 数量ホンダ北米向け供給の車両台数相当(万台、推定) | 価格1台相当あたり売上(万円/台相当、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 150 | 15 | 2,226 | 59 |
| 10 年後 中立 | 150 | 19 | 2,894 | 75 |
取り方:北米の外部売上2,226億円を、ホンダ北米向けの供給台数相当150万台(推定。開示なし)で割った単価。営業利益は地域別利益59億円(利益率2.7%)。価格は物価の1.34倍が基本だが、中立は客の原価低減要請で1.30倍とした。
日本
国内ホンダ向けの足回り部品と金型など。
| 数量国内向け供給の車両台数相当(万台、推定) | 価格1台相当あたり売上(万円/台相当、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.0 | 12 | 295 | 6 |
| 10 年後 中立 | 22.5 | 16 | 355 | 5 |
取り方:日本の外部売上295億円を供給25万台相当(推定)で割った。営業利益は地域別利益6億円。国内生産の縮小で数量は10年で1割減とした。
アジア(中国・タイ・インド)
中国・タイ・インドなどの足回り部品。中国は構造改革で縮小中。
| 数量アジア向け供給の車両台数相当(万台、推定) | 価格1台相当あたり売上(万円/台相当、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 80.0 | 4.98 | 398 | 17 |
| 10 年後 中立 | 84.0 | 6.67 | 560 | 20 |
取り方:アジアの外部売上398億円を供給80万台相当(推定)で割った。営業利益は地域別17億円(利益率4.2%)。中国の縮小と、インドの合弁の立ち上がりを合わせて中立は数量1.05倍とした。
リスクと懸念
ホンダへの依存
北米が売上の約76%で、主な客はホンダだ。ホンダの調達方針、車種の統廃合、電気自動車の投資縮小は、そのまま数量に響く。大株主でもあるが、少数株主の利益を守る立場ではない。
関税と北米のコスト
米国の関税や労務費の上昇は、売価改定で完全には転嫁できていない。北米の営業利益率は前の期の3.5%から2.7%へ下がった。この差が戻らなければ、全社の利益は薄いままだ。
借金の重さと金利
純有利子負債は471億円で時価総額の3倍超。短期借入金が287億円と厚く、借り換えの金利が3.5%前後に上がると利払いは10年で十数億円増える。営業利益が55億円まで落ちる年は、純利益がほぼ消える。
利益の薄さと景気の振れ
営業利益率は10年で0.6%から2.9%の間を動き、赤字の期も20年で4回あった。稼働率が少し落ちるだけで利益が消える固定費の構造は、10年先も変わらない。
中国事業と国内の縮小
中国は日系車の販売減で合弁を縮小し、ようやく黒字に戻した。国内も生産が縮み、拠点の統廃合や減損の費用が出る可能性がある。
希薄化と少数株主の位置
過去に増資で株が薄まった期が2回ある。財務が崩れれば、再び増資や資産売却が必要になる。ホンダによる完全子会社化も、価格が妥当とは限らない。
今後の分かれ目
- ホンダが北米向けの新車種や増産を同社に割り当てたら
- 北米の数量を上げ、楽観側へ確率を移す。
- 北米の営業利益率が3.5%を超えて2年続いたら
- 中立の利益率を上げ、倍率の質も見直す。
- ホンダの調達先見直しで同社の受注が減ったら
- 数量を下げ、悲観側へ確率を移す。
- 純有利子負債が350億円を下回ったら
- k の借金の項を下げ、悲観の深さを見直す。
- ホンダが完全子会社化を提案したら
- 価格を本質価値と比べ、筋書きの外の事象として別に評価する。
- 赤字が2期続いたら
- 悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 北米の営業利益率(地域別)
- ホンダの北米生産計画と同社への車種割当
- 純有利子負債と利払い
- 関税の影響額の開示
- アジア(中国・インド)の損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は式の上限(ROE が k 以下なので 1÷k = 10.5 倍)に対し、利益の質が低いため5割〜8.5割に置いた。過去・現在・同業の PER や PBR は使っていない。悲観は事業の売却価値から純負債を引くとほぼ残らないため、小さな床を今の自己資本の0.1倍に置いた。新リース会計基準で BS の形は変わるが、数字は家賃を営業費用に含める今の形でそろえた。結果は今の値段に近い側に出たが、計算を株価に寄せる調整はしていない。 配当は会社の実績(配当性向1割弱)に沿って低く置いた。減価償却は設備投資113億円から推定し、既存設備の分は物価で増やさず更新分だけ足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→11.11 倍・やや楽観 PER 8.2→11.11 倍・中立 PER 7.4→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.0% を足した 9.5%。ホンダ依存や北米偏重は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。