結論
ハウメット・エアロスペースは、航空機エンジンとガスタービン向けの精密鋳造品(タービン翼)、機体・エンジン用の高機能ファスナー、大型の鍛造構造部品、大型トラック向けの鍛造アルミホイールを作る部品メーカーである。アルコア・アーコニックの源流を持ち、2020 年の分離後に航空宇宙に特化した。2025 年は売上 82 億ドル、営業利益率 25.8%、純利益 15 億ドル。2026 年 4〜6 月期は売上 25.5 億ドル(前年比 +24%、有機 +21%)、調整後 EBITDA 率 32.1%で、通期の見通しを売上 100.5 億ドル・純利益 約 21 億ドル・FCF 19 億ドルへ上げた。
この会社の特色は、需要が強いうえに、作れる会社が限られること。民間機の納入は 2030 年へ年 9% で伸び、ガスタービンはデータセンターの電力需要で売上が 38% 伸びている。翼の鋳造は新しい設備の認定に何年もかかり、同社は世界のガスタービン用の翼の過半を握る。一方で、2026 年 9 月に GE エアロスペースが最大の鋳造の競合 CPP を 117.5 億ドルで買うと発表し、エンジン大手が鋳造を内製へ寄せる流れが現実になった。
バリュー投資の観点では、事業の質は申し分ないが、値段が問題になる。セグメントごとに市場 × シェア × 価格で積み上げると、中立の純利益は 2028 年に 27 億ドル、2035 年に 49 億ドル。2035 年の倍率を利益ベースの正当化 PER(ROE 26%・g 4%・k 8.25%・RONIC 約 17%・上限 18.1 倍)の 8.5 割、15.4 倍に置いて割り引くと、今の時価総額には届かない。楽観がそろっても 10 年後の時価総額は今の約 1.2 倍にとどまり、確率で加重すると大きな割高になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ある。飛行機とガスタービンは物価以上に使われ、エンジンは消耗品としての部品が積み上がる。堀は技術・認定・規模・スペアの 4 つで、狭まる兆しもあるが(GE の内製化・新規参入の話)、能力が足りない間は広がる。
次にオーナー利益。2026 年の FCF 見通し 19 億ドルは、今の時価総額 約 880 億ドルに対して利回り 2.2%。国債 5% の半分以下で、中立の筋書きでも 2035 年の純利益 49 億ドルに育って、ようやく今の時価総額に対する利益の利回りが 5.6% に届く。つまり今の値段は、10 年の高い成長を前払いしている。
資本配分は評価できる。借金を減らし、買収は自社の事業の延長(ファスナー)、自社株買いも増やしたとはいえ、2026 年は株価が高い局面で 8 億ドルを使った点は割高での買い戻しになりうる。安全域:中立の 10 年の収益は年 1% 弱(10 年後の時価総額が今の 8 割強で、利益ベースの倍率 15.4 倍では 8.25% に大きく届かない)。予測しやすさは高いが、利益率 33% と需要の山の高さは予測が難しく、確信度は中程度。良い会社を高く買う局面で、値段に見合う安全域は無い。
何で稼ぐ会社か
エンジン部品(EP、2025 年売上 約 42 億ドル・調整 EBITDA 率 33%)は、ジェットエンジンとガスタービンの高温部(燃焼ガスに触れる翼・ベーン)を、単結晶・一方向凝固の精密鋳造で作り、冷却穴の加工までを行う。ほかにエンジンのリング・ケース・防衛向け部品もある。顧客はエンジンメーカーで、部品は新品としてもスペアとしても売れる(スペアは 2025 年に全社で 17 億ドル、前年比 +33%)。2026 年 4〜6 月期は売上 13.7 億ドル(+32%)、EBITDA 率 37.7%。
ファスナー(FS、同 約 17 億ドル・30%)は、機体用の高機能ファスナー(ボルト・リベット・ロック)で、特許 440 超・特許品が売上の約 3 割。2026 年 2 月にブルンナー、4 月に約 18 億ドルでコンソリデーテッド・エアロスペース・マニュファクチャリング(CAM、スタンレー・ブラック・アンド・デッカーの事業。2026 年売上 約 5 億ドル・EBITDA 率 20% 超)を買収した。エンジニアード・ストラクチャーズ(ES、同 約 12 億ドル・21%)は、150 点を 1 つにした大型の鍛造品など機体・エンジンの構造部品で、2026 年はサバンナの円盤鍛造工場の売却と低採算品の整理で売上が減っている。鍛造ホイール(FW、同 約 10 億ドル・28.5%)は大型トラック用のアルミホイールで、アルミの装着率は 2010 年の約 7% から約 30% まで上がり、次の競合の 4 倍の能力を持つ。
売上の用途別では、民間航空・防衛・ガスタービン・商用輸送(トラック)・産業ほか。民間航空が最大で、ガスタービンは 2025 年に約 10 億ドル、3〜5 年で 20 億ドル超を会社は目指す。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第一に、技術と認定。単結晶の翼は、鋳型・合金・冷却構造の技術に加えて、エンジン 1 機種ごとに部品の認定が要り、1 度入ると 20〜30 年使われる。新規参入は設備を作って認定を受けるまでに数年かかる。第二に、規模と能力。世界の翼の鋳造の過半(ガスタービン)を持ち、新炉の能力は先に売れてしまう。第三に、スペアと整備の収益。エンジンの稼働が増えるほど、新品でなく部品の補充・交換が積み上がり、価格も上げやすい。
数字に出ている。営業利益率は 2019 年の 16.7%から 2025 年の 25.8%へ、ROE は 2020 年の 5.9%から 28.2%へ、FCF は 2025 年に 14 億ドル(純利益の 95%)。資本の使い方も堅く、2020〜2025 年に総債務を約 20 億ドル減らした。弱い点は 3 つ。1 つは顧客の集中(エンジン大手 2〜3 社と機体メーカー)で、買い手が強い。もう 1 つは、買い手の内製化(GE による CPP の買収)と、ガスタービンの新規参入の動き。最後に、増産を急ぐ局面では品質の事故や納期の遅れが利益を傷つける。経営は 2020 年以降、低採算の事業を整理し、能力と M&A に資金を回してきた。実績は良い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
最終需要は 3 本ある。①民間機:納入は 2026 年の約 1,610 機から 2030 年の約 2,150 機(年 9%)へ。受注残は世界で 1 万 8 千機、稼働機の約 6 割で、制約は需要でなくエンジン・部品・整備士の供給。IATA は需給の不均衡が 2031〜34 年まで続くと見る。エンジンは CFM の LEAP と P&W の GTF が増産と整備入りの両方を抱え、鋳物の能力が詰まりの 1 つ。②防衛:F-35 は約 1,300 機から 2030 年に 2,000 機超へ(防衛売上の約 45%)、2027 年度の米防衛予算の要求は 1.5 兆ドル。③ガスタービン:米国のデータセンターの電力需要は 2025 年の 30 GW から 2030 年に 100 GW へと会社は示す。GE ベルノバの受注残は約 100 GW。ガスタービンの翼は 1 基ごとに交換がある消耗品で、この需要が全体の鋳造能力を食い合う。
競合は寡占。鋳造では PCC(バークシャー・ハサウェイ傘下)が従来の最大の競合で、CPP(ウォーバーグ・ピンカスなどが保有、GE が 2027 年後半に取得予定)、エンジンメーカーの自社工場がある。ファスナーは PCC のファスナー事業・LISI 航空宇宙などの大手に競合が分かれ、ホイールは鋼製ホイール各社(アキュライド等)との置き換えが勝負。ストラクチャーズは PCC・アーコニックなど。
リスクは、AI 投資の熱が冷めてガスタービンが過剰になること(需要が崖でなく緩む形が自然)と、民間機の景気後退。いずれも今の高い需要の見通しが数年先まで織り込まれた局面にいる。
資本政策と M&A
資本配分は、能力への投資・M&A・自社株買いの順。2020〜2025 年に設備投資 約 64 億ドル、総債務を約 20 億ドル減らし、自社株買いは約 4 億 3 千万ドルに抑えた。2026 年に入って CAM(約 18 億ドル、2026 年 4 月)とブルンナーを買い、自社株買いは 1〜7 月に 8 億ドル(2025 年通年は 7 億ドル)へ増やした。残りの枠は 6.97 億ドル。配当は 2026 年 7〜9 月期から 17% 増。純負債は約 39 億ドル(EBITDA の約 1.2 倍)。
FCF 転換は純利益の約 9 割で、設備投資は売上の約 5%。CAM は EBITDA の約 13 倍(シナジーと税の利益込み。シナジー前は約 18 倍)で、ファスナーの能力を広げる買収。2027 年に統合の成果が出ると会社は言う。株式報酬は年 1〜1.5 億ドルで、自社株買いで株数を減らしている(2025 年 6 月の約 4.04 億株から 2026 年 6 月の約 4.00 億株)。
次の焦点は、ガスタービンの翼の新しい炉(2028 年 8 月以降に稼働する能力の決定)に、いくら使うか。GE の CPP 買収を受けた防衛的な M&A(鋳造・鍛造の買い増し)が出る可能性もある。まだ成立していないものは筋書きに入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
民間機の納入は 2030 年まで年 9%、受注残は稼働機の 6 割で、制約はエンジンと部品の供給だ。ハウメットは単結晶の翼の鋳造で世界首位級、ガスタービンの翼は過半を握り、新しい炉の能力は先に売れてしまう。価格は物価以上に上がり、スペアは 2025 年に 33% 伸び、新品より利益率が高い。2026 年 4〜6 月期の EBITDA 率はエンジンで 37.7%、会社全体で 32.1%と、2025 年通期の 29.3%をさらに上回り、通期の見通しは 2026 年 2 月の売上 91 億ドルから 100.5 億ドルへ上がった。データセンターの電力投資は 2030 年まで続き、ガスタービンの売上は 20 億ドル超へ倍増する見通し。
GE の CPP 買収は、むしろハウメットの価値の裏づけになる。CPP が 26 倍の EBITDA で売れたことは、鋳造能力の希少さの証明で、市場が見る価値より高い。能力が足りない間は GE も 外部の翼を必要とし、ハウメットは世界の民間機・ガスタービン・防衛の全部で受注を満たせない状態が 2030 年まで続く。2035 年には純利益 60 億ドル近く、倍率も利益ベースの上限 18.7 倍近く(約 17.8 倍)が付く。
慎重な見方
株価は完璧を織り込んでいる。時価総額 約 880 億ドルは 2026 年の純利益 約 21 億ドルの 42 倍、2025 年の純利益の 59 倍で、利益が 10 年伸び続けても、成熟した姿の倍率は利益ベースで 15〜18 倍。10 年後の利益が 3 倍になっても、今の値段から資本コスト 8.25% の収益が出るかは怪しい。利益率は 2019 年の 17% から 2026 年の 28%へ上がり、すでに頂点に近い。エンジン大手は価格を押し返す力を持つ。GE は CPP を買い、残りの鋳造を内製に寄せるかもしれない。LEAP は GE とサフランの共同、GTF は RTX で、顧客の数が少ないぶん、大手が内製化や調達先の分散へ動くと、ハウメットの数量と値上げの両方が傷つく。
ガスタービンは過去に何度も山と谷があった。データセンターの電力投資が止まれば、能力増強の費用が先に出て、利益だけが遅れる。スペースX・テスラが自作する話でさえ株価が 2 割下がった事実は、今の評価が脆いことを示す。民間機は景気後退で納入が落ち、エンジンのスペアも稼働の減少で落ちる。リーマン時の株価は −84%(アルコア時代)、コロナで −48%。買収の CAM は 18 億ドルで、数年後の利益が想定を下回れば価値を壊す。
どちらに重みを置いたか
事業の質と需要の強さは強気の見方が強く、需要の消滅という悲観は薄い。ただし値段は慎重な見方が強い。利益ベースの成熟した倍率は 15〜18 倍で、今の約 42 倍の 3 分の 1 強。確率は、中立を 34% に厚く置き、楽観とやや楽観を合わせて 32%、悲観側(やや悲観と悲観)を 34%。悲観側は、GE の内製化・景気後退・ガスタービンの過剰の 3 つが独立にありうることから、厚く置いた。結論は「優れた事業だが、今の値段は 10 年の成長をほとんど織り込み、大きく割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 170.02 ドル690 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 46.22 ドル188 億ドル)。 今の値に割り戻すと 108.04 ドル439 億ドル、今との差 −48.1%、 期待の年率 +0.4%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 263.18 ドル1,069 億ドル | 57.64 ドル234 億ドル | +54.1% | +4.4% | 32.08 ドル130 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 222.17 ドル902 億ドル | 53.20 ドル216 億ドル | +32.3% | +2.8% | 60.58 ドル246 億ドル |
| 中立 | 34% | 186.75 ドル758 億ドル | 49.51 ドル201 億ドル | +13.5% | +1.3% | 80.33 ドル326 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 117.22 ドル476 億ドル | 39.66 ドル161 億ドル | −24.6% | −2.8% | 34.51 ドル140 億ドル |
| 悲観 | 12% | 46.16 ドル187 億ドル | 26.60 ドル108 億ドル | −65.0% | −10.0% | 8.73 ドル35 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 170.02 ドル690 億ドル | 46.22 ドル188 億ドル | +3.9% | +0.4% | 216.23 ドル878 億ドル |
今の株価時価総額 208.15 ドル845 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:翼の寡占が続き、ガスタービンと民間機の増産で売上が 3 倍、利益率も維持 利益 60 億ドル · PER 17.8 倍 · 株価時価総額 263.18 ドル1,069 億ドル
2035 年、民間機の納入は 2,600 機超、ガスタービンの売上は 40 億ドル級(EP の中)へ、保有機とガスタービンの稼働でスペアが積み上がる。エンジン部品のシェアは 18.2%、営業利益率は 36% を保つ。ファスナーはシェア 14%、ホイールはアルミ装着率が 4 割を超えてシェア 22.5%。売上は実質で 2025 年の約 2.2 倍・名目で約 3 倍の 250 億ドル、価格は物価並み(10 年 1.41 倍)。営業利益 79 億ドル、純利益 60 億ドル。10 年間の還元は 234 億ドル(配当+自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末は純負債 49 億ドル(負なら純現金)。競合と照らすと、PCC・CPP が能力を増やしてもハウメットは認定の先行で値付けの力を保ち、競合の利益率(推定 20% 台)を上回る。
- エンジン部品(EP):数量 557(世界のエンジン・ガスタービン向け鋳造・鍛造部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 25.7%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 143 億ドル・営業利益 51 億ドル。市場 557 億ドル × シェア 18.2% × 価格 1.41 倍
- ファスナー(FS):数量 287(世界の航空宇宙向けファスナー・継手・ラッチ等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 19.7%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 57 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 287 億ドル × シェア 14.0% × 価格 1.41 倍
- エンジニアード・ストラクチャーズ(ES):数量 191(世界の機体・エンジンの大型構造鍛造・加工部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.4%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 24 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 191 億ドル × シェア 8.8% × 価格 1.41 倍
- 鍛造ホイール(FW):数量 83.0(世界の大型商用車ホイールの市場(鋼を含む。アルミ価格に換算した金額・実質。億ドル))× 価格 31.7%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 83 億ドル × シェア 22.5% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 30.6%(この筋書きの純利益 60.2 ÷ 自己資本 197 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.2%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 19.4%(堀は普通:翼の鋳造の寡占と認定の壁はあるが、顧客がエンジン大手に集中し、内製化と値引きの圧力を受ける(残る割合 1/2))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=航空エンジンの翼・部品の数量(民間機の稼働と増産で実質年 2〜3%)+ スペアの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=18.7 倍に対し、95% の 17.8 倍に置いた(翼の能力増が進みガスタービンも倍増する筋書き。寡占の堀は本物でも、景気と電力投資の山に左右されるので 10 割にはしない)。時価総額=純利益 60.2 億ドル × 17.8 倍=1068 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:民間機の納入が 2,600 機超へ、ガスタービンの電力需要が長く続き、ハウメットが新規参入と内製化をはね返す展開。2035 年まで利益率も保つのは過去の水準を超えるため 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:民間機は年 4.5% 台の成長、ガスタービンの需要が長く続く 利益 55 億ドル · PER 16.6 倍 · 株価時価総額 222.17 ドル902 億ドル
2035 年、民間機の納入は 約 2,500 機、ガスタービンの需要は長く続く。エンジン部品のシェアは 17.9%、営業利益率 35%、ファスナー 13.7%、ホイール 21.5%。売上は 230 億ドル(名目で 2025 年の約 2.8 倍)。価格は物価並み(10 年 1.41 倍)。ガスタービンの翼の能力増強が成功し、民間機のスペアが保有機の増加で積み上がるが、顧客の内製化は部分的にとどまる。営業利益 70 億ドル、純利益 55 億ドル。10 年間の還元は 216 億ドル(配当+自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末は純負債 32 億ドル(負なら純現金)。競合と照らすと、GE が CPP を使い自社の翼の一部を内製しても、能力不足が続く間はハウメットへの外注は減らない。
- エンジン部品(EP):数量 525(世界のエンジン・ガスタービン向け鋳造・鍛造部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 25.2%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 133 億ドル・営業利益 46 億ドル。市場 525 億ドル × シェア 17.9% × 価格 1.41 倍
- ファスナー(FS):数量 270(世界の航空宇宙向けファスナー・継手・ラッチ等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 19.3%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 52 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 270 億ドル × シェア 13.7% × 価格 1.41 倍
- エンジニアード・ストラクチャーズ(ES):数量 179(世界の機体・エンジンの大型構造鍛造・加工部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 12.0%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 21 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 179 億ドル × シェア 8.5% × 価格 1.41 倍
- 鍛造ホイール(FW):数量 79.0(世界の大型商用車ホイールの市場(鋼を含む。アルミ価格に換算した金額・実質。億ドル))× 価格 30.3%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 24 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 79 億ドル × シェア 21.5% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 28.4%(この筋書きの純利益 54.5 ÷ 自己資本 192 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.2%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 18.3%(堀は普通:翼の鋳造の寡占と認定の壁はあるが、顧客がエンジン大手に集中し、内製化と値引きの圧力を受ける(残る割合 1/2))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=航空エンジンの翼・部品の数量(民間機の稼働と増産で実質年 2〜3%)+ スペアの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=18.4 倍に対し、90% の 16.6 倍に置いた(民間機の増産とスペアが堅調で、買収の統合も順調な筋書き)。時価総額=純利益 54.5 億ドル × 16.6 倍=902 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:需給のひっ迫が 2030 年代前半まで続き、能力増強も成功する展開。中立の次に厚く置いた。
中立 34% 中立:市場は実質で 2 倍、シェアは横ばい、利益率は 33% 台で落ち着く 利益 49 億ドル · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 186.75 ドル758 億ドル
2035 年、民間機の納入は 約 2,450 機(年 4.5%)、保有機は年 3.5% 増。エンジン・ガスタービン向けの市場は実質で 2025 年の約 2 倍(500 億ドル)、ハウメットのシェアは 17.4%(能力増とスペアで維持、ただし内製化で増やせない)。エンジン部品の営業利益率 33.5%、ファスナー 28.5%(CAM のシナジーで)、ES 21%、FW 23.5%。価格は物価並み(1.41 倍)。売上は 214 億ドル(年 +10%)。営業利益 63 億ドル、純利益 49 億ドル。10 年間の還元は 201 億ドル(配当+自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末は純負債 17 億ドル(負なら純現金)。競合と照らすと、CPP は GE の内製、PCC はバークシャーの傘下で、同じ寡占の中の 3 番手として利益率はこれらを上回る。うまくいけば純利益は 2026 年の約 2.3 倍。
- エンジン部品(EP):数量 501(世界のエンジン・ガスタービン向け鋳造・鍛造部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 24.5%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 123 億ドル・営業利益 41 億ドル。市場 501 億ドル × シェア 17.4% × 価格 1.41 倍
- ファスナー(FS):数量 266(世界の航空宇宙向けファスナー・継手・ラッチ等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 18.6%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 50 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 266 億ドル × シェア 13.2% × 価格 1.41 倍
- エンジニアード・ストラクチャーズ(ES):数量 171(世界の機体・エンジンの大型構造鍛造・加工部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 11.6%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 20 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 171 億ドル × シェア 8.2% × 価格 1.41 倍
- 鍛造ホイール(FW):数量 74.0(世界の大型商用車ホイールの市場(鋼を含む。アルミ価格に換算した金額・実質。億ドル))× 価格 29.6%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 74 億ドル × シェア 21.0% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 26.4%(この筋書きの純利益 49.3 ÷ 自己資本 187 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.2%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 17.3%(堀は普通:翼の鋳造の寡占と認定の壁はあるが、顧客がエンジン大手に集中し、内製化と値引きの圧力を受ける(残る割合 1/2))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=航空エンジンの翼・部品の数量(民間機の稼働と増産で実質年 2〜3%)+ スペアの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=18.1 倍に対し、85% の 15.4 倍に置いた(エンジン翼の寡占と値決めの力は強いが、2026 年の利益は山に近く、上限すれすれには置かない)。時価総額=純利益 49.3 億ドル × 15.4 倍=758 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:民間機の需要は構造的に強く(保有機 年 3〜4%・納入 年 4〜5%)、能力は需要に追いつかないが、内製化と新規参入でシェアは増えない。強気と慎重の見方の落としどころ。
やや悲観 22% やや悲観:エンジン大手の内製化でシェアが 16% へ下がり、利益率も 30% 台前半へ 利益 36 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 117.22 ドル476 億ドル
2035 年、GE の CPP 取得後の内製化が進み、エンジン大手が鋳造の外部委託を絞る。エンジン部品のシェアは 16.0%、営業利益率は 30.5%(値上げが一服し、買い手の交渉力が上がる)。ファスナー 12.5%・26%、ES 7.6%・18%、FW 19.5%・21%。売上は 169 億ドル。営業利益 44 億ドル、純利益 36 億ドル。10 年間の還元は 161 億ドル(配当+自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末は純負債 -16 億ドル(負なら純現金)。競合と照らすと、GE が CPP を通じて翼の相当を内製し、PCC も大口の顧客を守るために値引きに動く。競合に負ければ純利益は 2026 年の約 1.7 倍にとどまる。
- エンジン部品(EP):数量 412(世界のエンジン・ガスタービン向け鋳造・鍛造部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 22.6%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 93 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場 412 億ドル × シェア 16.0% × 価格 1.41 倍
- ファスナー(FS):数量 235(世界の航空宇宙向けファスナー・継手・ラッチ等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 17.6%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 41 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 235 億ドル × シェア 12.5% × 価格 1.41 倍
- エンジニアード・ストラクチャーズ(ES):数量 153(世界の機体・エンジンの大型構造鍛造・加工部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 10.7%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 16 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 153 億ドル × シェア 7.6% × 価格 1.41 倍
- 鍛造ホイール(FW):数量 65.0(世界の大型商用車ホイールの市場(鋼を含む。アルミ価格に換算した金額・実質。億ドル))× 価格 27.5%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 18 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 65 億ドル × シェア 19.5% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 21.0%(この筋書きの純利益 35.7 ÷ 自己資本 170 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.2%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 14.6%(堀は普通:翼の鋳造の寡占と認定の壁はあるが、顧客がエンジン大手に集中し、内製化と値引きの圧力を受ける(残る割合 1/2))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=航空エンジンの翼・部品の数量(民間機の稼働と増産で実質年 2〜3%)+ スペアの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=17.1 倍に対し、78% の 13.3 倍に置いた(エンジン大手の内製化が始まりスペアの値上げが一服する筋書き)。時価総額=純利益 35.7 億ドル × 13.3 倍=476 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:GE の CPP 取得(2027 年後半)を皮切りに、エンジン大手が鋳造を内製へ寄せる展開。鋳造は少数の顧客に依存するため 5 分の 1 強。慎重な見方を厚く取った。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、シェアと値決めの力を失い、景気に揺れる部品会社になる 利益 18 億ドル · PER 10.2 倍 · 株価時価総額 46.16 ドル187 億ドル
2035 年、エンジン大手が鋳造を内製へ寄せ、新規参入と過剰能力が値を押し下げ、ガスタービンの需要も一巡する。エンジン部品のシェアは 14.0%、営業利益率は 25%、ファスナー 11.5%・21%、ES 6.5%・13%、FW 18%・15%。売上は 105 億ドル(2025 年の 1.3 倍・名目)。営業利益 21 億ドル、純利益 18 億ドル。10 年間の還元は 108 億ドル(配当+自社株買い − 株式報酬)、増資は無い。期末は純負債 -45 億ドル(負なら純現金)。競合と照らすと、ハウメットはもはや優良な寡占ではなく、景気に揺れる部品会社の位置になる。純利益は 2026 年の水準(約 21 億ドル)を下回る年もある。
- エンジン部品(EP):数量 270(世界のエンジン・ガスタービン向け鋳造・鍛造部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 19.7%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 53 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 270 億ドル × シェア 14.0% × 価格 1.41 倍
- ファスナー(FS):数量 184(世界の航空宇宙向けファスナー・継手・ラッチ等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 16.2%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 30 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 184 億ドル × シェア 11.5% × 価格 1.41 倍
- エンジニアード・ストラクチャーズ(ES):数量 116(世界の機体・エンジンの大型構造鍛造・加工部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質))× 価格 9.2%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 116 億ドル × シェア 6.5% × 価格 1.41 倍
- 鍛造ホイール(FW):数量 45.0(世界の大型商用車ホイールの市場(鋼を含む。アルミ価格に換算した金額・実質。億ドル))× 価格 25.4%(ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 45 億ドル × シェア 18.0% × 価格 1.41 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 12.9%(この筋書きの純利益 18.3 ÷ 自己資本 142 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC=k 8.2%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 残る割合 0.50 ×(ROE − k)= 10.6%(堀は普通:翼の鋳造の寡占と認定の壁はあるが、顧客がエンジン大手に集中し、内製化と値引きの圧力を受ける(残る割合 1/2))。g は 4.0%(g は 4.0%(上限)。内訳の目安=航空エンジンの翼・部品の数量(民間機の稼働と増産で実質年 2〜3%)+ スペアの価格 3.5%。倍率の g は上限の 4% で止める)。正当化 PER=(1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)=14.6 倍に対し、70% の 10.2 倍に置いた(構造的に負け、値決めの力を失った景気に揺れる部品会社の筋書き)。時価総額=純利益 18.3 億ドル × 10.2 倍=187 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:内製化・新規参入(スペース X・テスラの自作の話)・ガスタービンの過剰・景気後退のうち複数が重なり、10 年後に優良な寡占でなくなる展開。顧客の数が少なく、重なる確率は 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
エンジン部品(EP)
ジェットエンジン・ガスタービンの高温部の鋳造品(翼・ベーン)、エンジンのリング・ケース、防衛向け部品。新品とスペアの両方。
| 数量世界のエンジン・ガスタービン向け鋳造・鍛造部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 250 | 16.9% | 42 | 13 |
| 10 年後 中立 | 501 | 24.5% | 123 | 41 |
取り方:2025 年の売上 約 42.3 億ドル(セグメント表)。市場を、民間・防衛エンジン向けとガスタービン向けの鋳造・鍛造部品の世界合計 約 250 億ドルと推定し、シェア 16.9%。市場の根拠:民間機の納入 約 1,610 機(2026)→約 2,150 機(2030)、ガスタービンの翼はハウメット自身が世界の過半を持つと言う。営業利益は調整 EBITDA 率 33.3% から減価償却 約 4% を引いて約 30%(12.8 億ドル)。売上 = 市場 × シェア × 価格(価格指数は中立で 3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍)。競合は PCC(バークシャー傘下)・CPP(GE が取得予定)・エンジンメーカーの内製。
ファスナー(FS)
機体・エンジン用の高機能ファスナー(ボルト・リベット・ロック)、継手・ラッチ。特許品が売上の約 3 割。2026 年に CAM・ブルンナーを買収。
| 数量世界の航空宇宙向けファスナー・継手・ラッチ等の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 170 | 10.2% | 17 | 5 |
| 10 年後 中立 | 266 | 18.6% | 50 | 14 |
取り方:2025 年の売上 約 17.4 億ドル。市場を 約 170 億ドルと推定(航空宇宙向けファスナー・継手・ラッチ・商用輸送・産業向けの一部を含む)、シェア 10.2%。CAM(2026 年売上 約 5 億ドル)とブルンナーの取り込みで、シナリオのシェアは 12〜14% へ上がる。営業利益は調整 EBITDA 率 30.4% から減価償却 約 3% を引いて 28.2%(4.9 億ドル)。競合は PCC のファスナー事業・LISI 航空宇宙。
エンジニアード・ストラクチャーズ(ES)
機体・エンジンの大型の鍛造構造部品、チタン・アルミ・ニッケルの部品(150 点を 1 つにした一体鍛造品など)。低採算品を整理中。
| 数量世界の機体・エンジンの大型構造鍛造・加工部品の市場(億ドル。2025 年の価格に換算した実質) | 価格ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 10.3% | 12 | 2 |
| 10 年後 中立 | 171 | 11.6% | 20 | 4 |
取り方:2025 年の売上 約 12.4 億ドル。市場を約 120 億ドルと推定しシェア 10.3%。2026 年はサバンナの円盤鍛造工場の売却と整理で売上が 13% 減(4〜6 月期)。営業利益は調整 EBITDA 率 21.2% から減価償却を引いて 17.7%(2.2 億ドル)。競合は PCC の構造部品・アーコニック。
鍛造ホイール(FW)
大型トラック・バス・トレーラー用の鍛造アルミホイール。アルミ装着率は 2010 年の約 7% から約 30% へ。
| 数量世界の大型商用車ホイールの市場(鋼を含む。アルミ価格に換算した金額・実質。億ドル) | 価格ハウメットのシェア × 価格指数(2025 年 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 17.3% | 10 | 2 |
| 10 年後 中立 | 74.0 | 29.6% | 22 | 5 |
取り方:2025 年の売上 約 10.4 億ドル。市場を 約 60 億ドルと推定(鋼製を含む全体をアルミ換算)、シェア 17.3%(アルミの装着率が約 30%)。営業利益は調整 EBITDA 率 28.5% から減価償却 約 5.5% を引いて 23.1%(2.4 億ドル)。2026 年 4〜6 月期は数量 −8%、アルミ価格の転嫁で売上 +14%。アルミ装着率が上がるとシェアも上がる。競合は鋼製ホイール各社(アキュライドなど)。
リスクと懸念
エンジン大手の内製化(GE による CPP の買収)
2026 年 9 月、GE エアロスペースが最大の鋳造の競合 CPP を約 117.5 億ドルで買うと発表した(2027 年後半に完了見込み)。GE が翼の内製を増やせば、ハウメットの数量と値決めの力が落ちる。顧客が少数で、買い手の交渉力が強い構造そのものが最大のリスク。
ガスタービンの需要の崖と新規参入
データセンターの電力投資が止まる・効率が疑われると、ガスタービンの受注と翼の需要は同じ向きに崩れる。スペース X・テスラが自作するという話だけで株価が 2 割下がったように、期待が高いぶん下に脆い。能力増強の費用が先に出て、利益が遅れる。
民間機の景気後退と品質・認証
民間機の納入と稼働が景気後退で落ちると、新品とスペアの両方が減る(リーマンで株価 −84%・アルコア時代、コロナで −48%)。ボーイング・エアバスの増産は、エンジン・部品の供給不足のため遅れがちで、その遅れが数量の伸びを鈍らせる。
値段の織り込みと倍率の縮み
時価総額は 2026 年の純利益の約 42 倍、2025 年の純利益の約 59 倍。成熟した事業の利益ベースの倍率は 15〜18 倍で、利益が予定どおり伸びても倍率が縮めば株価は伸びない。10 年の利益が 3 倍になっても、今の値段からの収益は資本コストに届かない。
CAM の統合と M&A の失敗
CAM は約 18 億ドル(EBITDA の約 13 倍・シナジーと税の利益込み)。2027 年に統合の成果が出ると言うが、ファスナーの能力と顧客(ボーイング 737・787)の増産の遅れで成果が遅れうる。GE の CPP 買収を受けた防衛的な買収は高くつく恐れ。
トラック(ホイール)の景気
鍛造ホイールは 2026 年 4〜6 月期に数量が 8% 減(アルミ価格の転嫁で売上は +14%)。商用輸送の需要は景気に敏感で、アルミの価格の転嫁が逆に動くと利益率が落ちる。売上の約 12% で、全社への影響は小さいが、悲観では深い。
顧客の集中・価格交渉・関税
顧客はエンジン大手 2〜3 社と機体メーカーに集中し、価格の押し返しを受けやすい。値上げ交渉は長期契約の更改のたびに起きる。ニッケル・チタン・アルミ・希少金属の価格と関税、供給網の詰まりが、転嫁の遅れとして利益率を削る年がありうる。
今後の分かれ目
- GE が CPP の買収を完了し、外部への鋳造品の購入を公式に減らす方針を示したら
- 数量とシェアの置き方を下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。中立の 17.4% のシェアが 16% 以下へ下がる道が見える。
- ガスタービンの受注残(GE ベルノバ・シーメンス・三菱重工)が減り、データセンターの電力投資の見直しが始まったら
- ガスタービンの売上の伸びの置き方を 2028 年から下げ、EP の市場の伸びを実質 12.5% から 8〜9% へ。悲観の確率を上げる。
- ハウメットが翼の新しい炉の増強を発表し、顧客と長期の数量契約を結んだら
- 数量の確かさが増し、やや楽観・楽観の確率を上げる。シェア 17.4% の維持の確率が高まる。
- 民間機の納入が 2027 年に予定どおり約 1,900 機を超え、エンジンのスペア(LEAP・GTF)の整備入りが増えたら
- スペアの比率が高まり、EBITDA 率 33% 台が続く確率が上がる。楽観側へ寄せる。
- 景気後退で航空会社が納入の延期を求め、ガスタービンの受注も急減したら
- 悲観の筋書き(時価総額が今の約 2 割)の確率を 15% 以上に上げる。自社株買いは止まる。自社株買いは止まる。
- 株価が下がり、時価総額が 2035 年の中立の価値の現在価値(約 430 億ドル)に近づいたら
- 10 年の収益が資本コスト 8.25% に届く水準で、安全域が出る。今は遠い。
見ておくもの
- 2026 年 10 月 29 日の決算(2027 年の売上の見方)、エンジン部品の EBITDA 率(Q2 37.7%)とスペアの比率
- GE の CPP 買収の進み方(規制の了承・内製化の方針)、PCC・CPP の能力増強
- ガスタービンの売上(Q2 +38%)、GE ベルノバの受注残、データセンターの電力投資
- 民間機の納入(ボーイング 737 の月産・エアバス A320 の月産 75 機)と LEAP・GTF の整備入り
- CAM の統合の成果(2027 年)、ファスナーの EBITDA 率、純負債(約 39 億ドル)と自社株買いの額
- 鍛造ホイールの数量(Q2 −8%)とアルミの装着率、ES の整理後の売上
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(約 880 億ドル)や PER 42 倍を見る前に、セグメントごとに市場 × シェア × 物価指数で売上を積み上げ、利益率と純負債(CAM 買収後)から 2028 年・2035 年の純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER((1−g÷RONIC)÷(k−g)、k 8.25%=基本 8.0% + quality 0.25%、g 4%、RONIC=k+1/2×(事業の ROE−k)、moat 普通)の内側に、上限の 7〜9.5 割(10 年の中立は上限 18.1 倍の 8.5 割で 15.4 倍)で置いた。g の内訳は市場の実質 +1.2%・シェア横ばい・価格 +3.5% で、上限の 4% を超える成長は利益の伸びに入れた。結果は大きな割高で、これは利益の伸びの置き方でなく、今の倍率(約 42 倍)と成熟後の利益ベースの倍率(15 倍前後)の差から出ている。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 1.19 × 5%。k=基本 8.0% + quality 0.25% = 8.25%。航空機とガスタービンの循環を +0.5% で見て、寡占の価格決定力で一部を −0.25% 戻した。GE の内製化(CPP 買収)・顧客の集中・ガスタービンの過剰・CAM の統合の個別のリスクは k に足さず、やや悲観・悲観の確率と筋書きで表した。純負債は小さく上乗せは置かない。