結論
アセンディス・ファーマは、薬を体内でゆっくり放出する独自技術「TransCon」で希少な内分泌疾患を治療するデンマークの製薬会社である。事業は商品化の山を越えたが、筆者の結論は「やや割高」だ。期待の中心を占める副甲状腺機能低下症薬が本当に長く高い薬価を保てるか、まだ証明し切れていない。
2025年の売上は8.1億ドルで、営業損失は1.5億ドルだった。ところが2026年4~6月期の製品売上は3.15億ユーロに達し、前年同期から105%増えた。成長の主役はYORVIPATHで、成長ホルモン薬SKYTROFAと、2026年に発売した軟骨無形成症薬YUVIWELが続く。ただし同四半期の会計利益には優先審査券の売却益が入るため、そのまま繰り返す利益ではない。
医師が治療法を替える手間、臨床データ、承認、毎日または毎週使う薬の習慣は確かな参入障壁だ。それでもアストラゼネカが副甲状腺ホルモン薬を開発し、バイオマリンは骨系統疾患の先行薬を持つ。先々の患者数と実現薬価を慎重に見ると、2035年の中立売上は約67億ドル、純利益は18.4億ドルになる。
5つの筋書きによる現在価値は約135億ドルで、基準時価総額156.6億ドルを約14%下回る。大幅な増収は見込むが、今の値段には2030年の高い事業目標の実現が相当入っている。長く保有するなら、成長率よりも治療継続率、競合への流出、株主に残る現金を追うべき会社だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、薬の名前ではなく、患者が治療を続ける理由を買いたい。慢性ホルモン不足を補うYORVIPATHは継続投与の性格が強く、専門医の信頼と長期データが利益を守る。YUVIWELも毎日の注射を週1回に変える価値がある。しかし薬の特許は永久の免許ではなく、競合がより良い効果や低価格を示せば堀は浅くなる。
株主のものになる利益は、売上ではなく研究・製造・販売・税・株式報酬を払った残りだ。2025年のフリーキャッシュフローは0.5億ドルと初めて明確に改善したが、長年の赤字と株式発行を埋めた実績はまだない。2026年の大きな会計利益には税務資産の認識と審査券売却が含まれる。これらを恒常的な稼ぎと取り違えてはいけない。
成長投資の利回りが資本コストを上回るのは、増える処方が研究開発費や販売費の増加をしのぐ時だけだ。新製品の発売は3本そろったが、株主の利益に変わるまで時間がかかる。経営が累計で資金を生み、株式報酬や転換による希薄化を上回る買い戻しを実現できれば、資本配分への信頼は高まる。逆に、肥満症などの新分野へ早く資金を移しすぎれば、利益の回収は遅れる。
筆者が長期保有の条件とするのは、主力の患者が2030年代にも増え、競争下でも単価を保ち、3製品の稼ぎが会社全体の研究費を十分にまかなう姿である。薬効には確かな証拠があるが、成熟後のシェアと価格には幅がある。十分に読めない未来へ高値を払わず、安全域が生まれるまでは評価を慎重に保ちたい。
何で稼ぐ会社か
売上の核はYORVIPATHである。慢性副甲状腺機能低下症では、体内で不足する副甲状腺ホルモンを補い、血中カルシウムなどを安定させる。従来のカルシウム・活性型ビタミンD補充で十分に管理できない患者に、毎日使う注射薬を売る。2025年の製品売上は約5.4億ドルで、発売後の処方医の広がりが著しい。2026年6月期には35か国以上で処方や患者アクセスが進み、患者が使い続けるほど年間売上が積み上がる。
SKYTROFAは成長ホルモンを週1回投与する薬だ。小児と米国の成人成長ホルモン欠乏症に使われ、2025年売上は約2.3億ドルだった。毎日注射する既存製剤に比べて負担を減らせるが、ノボ・ノルディスクのSOGROYAやファイザーのNGENLAも週1回製剤であり、独占とは言えない。米国外では提携先への供給や売上分配があるため、直接販売した患者と会社に入る売上は一致しない。
第3の柱YUVIWELは、軟骨無形成症の小児に週1回使うCNP製剤である。2026年2月に米国で迅速承認され、4月に発売した。10月には欧州の承認勧告も得ており、先行するバイオマリンの毎日投与薬VOXZOGOと競争する。治療できるのは骨端線が閉じる前の子どもで、患者は成長とともに対象から外れる。
残りは海外販売提携、臨床用供給、ライセンスの一時金などで、毎年の売上が安定した薬とは分けて扱う。2026年9月にはノボ・ノルディスクとの代謝・心血管領域の提携が終了し、月1回型セマグルチドなどの権利が戻ることになった。これは将来の選択肢だが、肥満薬の収入は未成立の事業として中立の柱に加えない。
優良さと弱いところ
最大の強みは、希少疾病の治療で患者が得る実益が大きいことだ。YORVIPATHはホルモン補充を生理的な状態に近づけることを狙い、長期試験では腎機能の改善も報告された。投与量の調整が済んだ患者には薬を替える負担があり、専門医と保険者の承認手続きも簡単ではない。週1回で済むSKYTROFAとYUVIWELも、家庭の服薬負担を減らす差別化を持つ。
しかし、これは広い独占の堀ではない。YORVIPATHの米国希少疾病薬独占期間は2031年までで、製品関連特許は種類によって2029~2042年に切れる。特許の数より、2035年にどの請求項が有効で競争を妨げるかが肝心だ。アストラゼネカのeneboparatideは第3相で成果を出しており、先行者でも価格を自分だけで決め続けられない。バイオマリンとはYUVIWELをめぐる紛争を和解方向に進めたが、競争そのものは続く。
収益性は改善したものの、実証期間はまだ短い。2025年は純損失2.6億ドルで、株式報酬1.3億ドルが株主の取り分を薄めた。2026年の黒字化にも非反復の審査券売却益と繰延税金資産の計上が混ざるため、増分の投下資本利益率は長期の実績ではない。事業の伸びとともに販売網・臨床研究・製造へ投資し、株式報酬を費用として引いた後でも資本コストを上回るかを問う。
研究開発へのAI活用は効率化の余地があるが、患者への薬剤投与、製造許認可、臨床データが収益の中心である。人月や席数で売るサービスではなく、定義されたAIエージェント代替の対象ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
副甲状腺機能低下症の患者は、会社推計で米国に7万~9万人、欧米合計で25万人超いる。ただし多くはカルシウムと活性型ビタミンDで管理されており、この人数をそのまま高額ホルモン薬の顧客にできるわけではない。2025年末のYORVIPATHの米国累計登録は5300人超で、過去にホルモン療法を受けていた患者約4000~5000人という会社推計に近づいた。これからの市場拡大は既存治療から切り替える患者を増やせるかにかかる。
競争では、アストラゼネカのeneboparatideが2026年に第3相試験の結果を公表した。承認や採用が進めば、YORVIPATHの2035年のシェアと純薬価の双方を押し下げる。中立では先進国でホルモン補充を受ける市場を約5.5万人へ広げ、うち3.1万人、約56%をアセンディスが治療すると考える。アストラゼネカが約1.5万人、約27%を得て、残りを従来のホルモン製剤などが占めるという推計だ。これは欧米の全患者の約1割にすぎないが、現在の実使用からは大きな拡大だ。
成長ホルモン薬はノボ・ノルディスク、ファイザー、サンド、メルクなどが争う。2026年の世界市場は約90億ドルという民間推計があり、SKYTROFAの2025年売上はその約3%に相当する。競合各社の同一基準での数量シェアは開示が揃わないため、無理に数値を当てはめない。2035年の中立では週1回剤への移行と成人・小児の適応拡大で約7億ドルを得るが、長時間作用薬同士の競争で単価の上昇は物価以下にとどまる。
骨系統疾患ではバイオマリンのVOXZOGOが2025年に9.27億ドルを売り、すでに世界で5000人超を治療している。YUVIWELは週1回投与という強みを持つが、2026年7月末の米国登録は220人超で、追う立場だ。2035年は両社合わせた成長促進薬の治療児童数を約1.4万人と仮定し、アセンディスが6500人、約46%、バイオマリンが残りを治療すると見る。これは治療患者の推計シェアであり、会社開示の現在の市場シェアではない。医薬品は景気には鈍い一方、保険者の薬価交渉、特許訴訟、確認試験、米欧の承認に業績が左右される。
資本政策と M&A
経営は販売体制と研究開発に資金を優先してきた。2025年までの十数年間は配当を出さず、株式発行や転換社債、販売収入を担保にした資金調達で開発を進めた。2023年と2024年にはロイヤルティ・ファーマから製品別の収益分配を条件に資金を調達している。契約は上限付きだが、売上のすべてがそのまま株主の現金になるわけではない。
2026年5月に転換社債5.75億ドルの残高を株式へ転換し、借り換えリスクは大きく低下した。同年6月末の現預金は8.12億ユーロで、ロイヤルティ負債を含む借入残高は約4.50億ユーロだった。一方、転換株約364万株と継続する株式報酬は持ち分を薄める。4月にはADRを1対1で普通株へ交換したが、上場先は引き続きナスダックであり、議決権の違う種類株を増やしたわけではない。
2026年9月には最大4億ドルの自社株買い枠を発表した。これは上限であり、実行額の約束ではない。会社は2026年営業キャッシュフロー5億ユーロ超と、2030年の年間売上50億ユーロを目指すが、配当額や長期の総還元性向の数値目標は示していない。筆者は成長投資と買い戻しを競わせ、過去の希薄化を打ち消した後の正味還元を評価する。大型買収の成立済み案件はなく、ノボとの提携解消で戻る肥満症の開発権は将来の支出と成功確率を伴う選択肢として扱う。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
希少内分泌薬は、患者数こそ少ないが、薬を必要とする人の治療期間が長い。YORVIPATHは2026年に四半期売上2.52億ユーロまで成長し、米国外でも承認と保険適用が進む。従来療法で満足に管理できなかった患者が主治医の下で切り替われば、新規患者が継続患者へ変わる。長期試験で報告された腎機能の改善は、単なる注射薬の置き換え以上の価値を医師に示せる。
SKYTROFAも、すでに確立した成長ホルモン市場で毎日投与を週1回に減らす選択肢を持つ。成人への適応追加、欧州の販路、提携先の中国展開が患者を増やす。YUVIWELは、バイオマリンが世界で5000人超を治療する市場に、週1回投与と骨格の成長に関するデータを持って参入した。米国で発売されたばかりで、欧州では2026年10月に承認勧告を得た。小児の患者が治療年齢に達するたびに新しい需要が生まれる。
さらに、バイオマリンとの知財紛争を和解へ進めたことで販売差し止めの不確実性が後退した。ロイヤルティ負担は2030年5月で終わる条件であり、その後の収益性には追い風となる。ノボから戻るTransCon技術の開発権も、肥満症などで提携収入を生む余地がある。3つの承認薬が同時に育ち、新薬の研究費を自ら稼げるようになれば、2035年に売上100億ドル超、営業利益率4割超は不可能ではない。
慎重な見方
最も売れているのは医薬品の特許と支払者に支えられた高額な慢性治療であり、無期限の独占ではない。YORVIPATHの米国希少疾病薬独占は2031年までで、特許群には2030年代前半から期限を迎えるものがある。アストラゼネカのeneboparatideは第3相の有効性を報告し、競合が承認されれば、患者を奪うだけでなく保険者の値引き交渉にも使われる。会社推計の欧米患者25万人超の大半はまだ高額なホルモン補充を使っていない。販売可能な母集団が実際より大きく見える危険がある。
SKYTROFAは週1回投与だが、ノボ・ノルディスクのSOGROYAとファイザーのNGENLAも同じ投与間隔である。ブランドと利便性だけでは価格競争から逃れられない。YUVIWELの競合VOXZOGOは2025年に9億ドル超を売り、治療施設との関係を固めた。新薬が急速に浸透するかは、患者の切り替えと保険承認にかかる。YUVIWELは迅速承認であり、臨床上の利益を確認する追加試験にも不確実性が残る。
2026年の会計黒字を利益率の証拠とするのも危うい。優先審査券の売却益と繰延税金資産の計上は毎年繰り返せない。医薬品を供給する一方で、研究開発と世界各地の販売員は固定費として残る。ロイヤルティ契約や過去の増資も、売上高ほど既存株主の持ち分が増えない理由だ。肥満症の新規開発が失敗し、主力3薬が競合に負ければ、2035年には売上が一時の山を大きく下回り、株主にはほとんど価値が残らない。
どちらに重みを置いたか
患者の必要性と承認済み3製品の勢いは強い。2026年のYORVIPATHの拡大とYUVIWELの欧州承認勧告を踏まえ、全面失敗だけを中心にするのは行き過ぎだ。一方、アストラゼネカとバイオマリンという具体的な競合があり、2030年代の薬価にはまだ保証がない。確率は上振れ計32%、中立32%、下振れ計36%とし、慎重側をやや厚くした。期待の高い会社だからこそ、予想以上の成功を既定とせず、現時点ではやや割高と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 408.22 ドル263 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 44.21 ドル28 億ドル)。 今の値に割り戻すと 209.95 ドル135 億ドル、今との差 −16.4%、 期待の年率 +6.4%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 1,094 ドル704 億ドル | 101.02 ドル65 億ドル | +375.6% | +18.1% | 131.46 ドル85 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 666.11 ドル429 億ドル | 71.49 ドル46 億ドル | +193.5% | +12.2% | 154.90 ドル100 億ドル |
| 中立 | 32% | 403.20 ドル259 億ドル | 46.62 ドル30 億ドル | +79.0% | +6.4% | 143.94 ドル93 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 79.26 ドル51 億ドル | 15.54 ドル10 億ドル | −62.3% | −9.9% | 21.80 ドル14 億ドル |
| 悲観 | 13% | 5.59 ドル4 億ドル | −3.11 ドル−2 億ドル | −99.0% | −32.2% | 0.32 ドル0 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 408.22 ドル263 億ドル | 44.21 ドル28 億ドル | +80.1% | +6.4% | 452.43 ドル291 億ドル |
今の株価時価総額 251.27 ドル162 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 楽観:3つの治療薬が世界の標準となり、新たな適応も当たる 利益 40 億ドル · PER 17.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,094 ドル704 億ドル
YORVIPATHの治療患者が4万5000人まで拡大する。欧米で従来療法からの切り替えが広まり、アストラゼネカの競合薬は限定的なシェアにとどまる。実現純単価は年15.5万ドルとなり、米国での独占終了後も医師の信頼と長期データが価格の崩れを防ぐ。2035年の同薬売上は約70億ドルへ育つ。
SKYTROFAは小児の追加適応と成人への普及で通年治療2万3000人、YUVIWELは週1回製剤が国際的に広まり1万3000人へ達する。CNP薬は骨格の新しい適応にも広がり、バイオマリンと市場を分けながら約34億ドルを売る。ノボから戻った代謝領域は大きな買収をせず外部提携を選び、主力3製品に研究資金を集中する。
売上は約120億ドル、営業利益は約50億ドルに届く。製品ごとの販売費を十分に吸収しつつ、共通研究開発費25億ドル相当を使い続ける。2035年の純利益は40億ドル、10年間の累計は192億ドルとなり、正味65億ドルを株主に戻す。2035年には成長が一桁台後半へ落ち着き、その先を恒久的な二桁成長とはしない。
2026~2030年の純利益累計は約48億ドル、2031~2035年は約144億ドルと想定し、2026年の税務資産認識益も初期の会計累計に含める。買い戻し約95億ドルから株式報酬約22億ドルと社債転換に伴う資本発行相当約8億ドルを差し引いた正味還元が65億ドルとなる。
- YORVIPATH(副甲状腺機能低下症):数量 45,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 155,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 70 億ドル・営業利益 49 億ドル。2025年比で患者10倍、欧米全患者の2割弱
- SKYTROFA(成長ホルモン欠乏症):数量 23,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 65,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 7 億ドル。週1回剤と追加適応で大幅増
- YUVIWEL(軟骨無形成症):数量 13,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 260,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 34 億ドル・営業利益 19 億ドル。週1回と低年齢適応の成功、競合と共存
- 提携・ライセンス・臨床用供給:数量 7.0(主要協業先の等価収益単位(契約先換算件数))× 価格 15,000,000(1等価単位当たりの年間収益(米ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。肥満症への外部提携収入が一部乗る
倍率:米国株の利益ベースの正当化PER。k=8.5%、2035年の事業ROE=32.0%(非調整純利益40億ドル÷当該筋書きの自己資本125.1億ドル)。製薬プラットフォームの堀は通常で、将来に残る超過収益を1/2としRONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=20.2%。g=4.0%は将来の治療対象市場の実質拡大約1.0%、シェア増約1.0%、薬価・製品構成約2.0%を合わせた名目成長から求め、k−g=4.5%を確保。10年目の純利益に対する正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=18.54倍。競争・権利期間と利益の確実性を見て式の95%に当たる17.6倍を採用。時価総額は40億ドル×17.6倍=704.00億ドル。純利益はIFRSの非調整利益であり、株式報酬・製品の償却を費用として含む。現時点の市況倍率は根拠に使わない。
確率:2026年の強い処方増が続き、PTH競合が伸び悩み、YUVIWELの欧州展開と低年齢・併用療法が成功する重なった好条件。3本が同時に高シェアを取るのは高めの条件なので11%に限定する。
やや楽観 21% やや楽観:主力が成長し、YUVIWELも主要市場へ浸透 利益 27 億ドル · PER 15.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 666.11 ドル429 億ドル
YORVIPATHは専門医の処方習慣に根づき、世界の通年治療患者は3万8500人となる。アストラゼネカのeneboparatideは一定の患者を取るが、慢性患者の切り替えの難しさがアセンディスを守る。実現純単価は15.2万ドルとなり、薬価交渉の圧力を受けても売上は約59億ドルを維持する。
SKYTROFAは成人適応と海外提携で通年1万7000人へ増える。YUVIWELはバイオマリンのVOXZOGOと世界で競い、9500人が使う。欧州の承認と保険収載が広がり、知財紛争の整理が販売活動を安定させる。新しい肥満症候補は自社で巨額の臨床費用を抱え込まず、限定的な共同開発収入にとどめる。
売上は約93億ドル、営業利益は35億ドルとなる。研究開発費や地域別の販売網への支出は続くが、売上の成長の方が速い。2035年の純利益は27.3億ドル、10年累計は139億ドルを見込み、正味46億ドルの還元を行う。2030年代後半は市場の普及が進むため、成長率は長期の物価に近い水準へ減速する。
期間の会計純利益は2026~2030年に約36億ドル、2031~2035年に約103億ドルで、初期に非反復の税務益を含む。買い戻し約73億ドルから株式報酬約19億ドルと転換相当約8億ドルを差し引いた正味の46億ドルを還元に計上する。
- YORVIPATH(副甲状腺機能低下症):数量 38,500(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 152,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 59 億ドル・営業利益 40 億ドル。高い継続率、競合参入は限定的
- SKYTROFA(成長ホルモン欠乏症):数量 17,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 62,500(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 5 億ドル。GHD以外の追加適応も成功
- YUVIWEL(軟骨無形成症):数量 9,500(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 240,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 12 億ドル。欧州浸透とバイオマリンとの市場分割
- 提携・ライセンス・臨床用供給:数量 6.0(主要協業先の等価収益単位(契約先換算件数))× 価格 13,000,000(1等価単位当たりの年間収益(米ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。提携収入は控えめ
倍率:米国株の利益ベースの正当化PER。k=8.5%、2035年の事業ROE=30.0%(非調整純利益27.3億ドル÷当該筋書きの自己資本91.1億ドル)。製薬プラットフォームの堀は通常で、将来に残る超過収益を1/2としRONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=19.2%。g=3.8%は治療対象市場の実質拡大約1.0%、シェア増約0.8%、薬価・製品構成約2.0%を合わせた名目成長から求め、k−g=4.7%を確保。10年目の純利益に対する正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=17.72倍。競争・権利期間と利益の確実性を見て式の89%に当たる15.7倍を採用。時価総額は27.3億ドル×15.7倍=428.61億ドル。純利益はIFRSの非調整利益であり、株式報酬・製品の償却を費用として含む。現時点の市況倍率は根拠に使わない。
確率:承認済み3製品と拡大する処方網が支えだが、PTHと骨系統疾患の競合が存在するため、全製品の成功を楽観より限定する。中立よりやや良い確率は約2割と見る。
中立 32% 中立:3製品は育つが、希少疾患の競争で薬価は抑えられる 利益 18 億ドル · PER 14.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 403.20 ドル259 億ドル
YORVIPATHは従来療法で十分に管理できない患者を着実に取り込み、2035年の通年治療患者が3万1000人になる。欧米の全患者25万人超の約1割に相当し、アストラゼネカの競合薬と市場を分け合う姿である。実現純単価は14.5万ドルと、物価ほどは上がらない。発売時から蓄積した臨床データは効くが、保険者に値引きを求められるためだ。
SKYTROFAの通年治療は1万2500人まで増える。ノボ・ノルディスクとファイザーの週1回剤が競合するため、数量は増えても単価の伸びは小さい。YUVIWELは欧州で正式承認を得て、バイオマリンのVOXZOGOから一定の患者を獲得するが、通年6500人にとどまる。2026年の迅速承認後の確認試験と保険償還が予定どおり進むことを前提とする。
売上は約67億ドル、営業利益は約24億ドルとなる。全社の研究開発と本社費は年16億ドルほど残し、営業利益率は36%となる。2035年の純利益は18.4億ドルで、10年累計は100億ドルに達する。買い戻しや株式報酬、2026年の転換社債の株式化を差し引いた正味の還元は30億ドルだ。2030年の会社目標50億ユーロの達成を当然視せず、段階的な普及を中立とする。
会計純利益の累計は2026~2030年に約30億ドル、2031~2035年に約70億ドルで、前半には非反復の税務益を含む。買い戻し約53億ドルから株式報酬約15億ドルと社債転換による持ち分発行相当約8億ドルを差し引き、正味還元を30億ドルとする。
- YORVIPATH(副甲状腺機能低下症):数量 31,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 145,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 45 億ドル・営業利益 30 億ドル。欧米潜在患者の一部へ普及、実現価格は物価以下
- SKYTROFA(成長ホルモン欠乏症):数量 12,500(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 58,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。週1回剤が競合、患者数は増加
- YUVIWEL(軟骨無形成症):数量 6,500(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 220,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 14 億ドル・営業利益 7 億ドル。VOXZOGOとシェアを分け合い単価に圧力
- 提携・ライセンス・臨床用供給:数量 4.0(主要協業先の等価収益単位(契約先換算件数))× 価格 15,000,000(1等価単位当たりの年間収益(米ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。既存提携の継続収入程度
倍率:米国株の利益ベースの正当化PER。k=8.5%、2035年の事業ROE=27.0%(非調整純利益18.4億ドル÷当該筋書きの自己資本68.1億ドル)。製薬プラットフォームの堀は通常で、将来に残る超過収益を1/2としRONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=17.8%。g=3.5%は治療対象市場の実質拡大約0.8%、シェア増約0.2%、薬価・製品構成約2.5%を合わせた名目成長から求め、k−g=5.0%を確保。10年目の純利益に対する正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=16.62倍。競争・権利期間と利益の確実性を見て式の85%に当たる14.1倍を採用。時価総額は18.4億ドル×14.1倍=259.44億ドル。純利益はIFRSの非調整利益であり、株式報酬・製品の償却を費用として含む。現時点の市況倍率は根拠に使わない。
確率:2026年時点で3製品が米国承認済みという事実を重視し、販売網は拡大する。ただしPTHの潜在患者全員が高額薬へ切り替えるわけではなく、長時間作用型競争と欧州薬価も考えて32%とする。
やや悲観 23% やや悲観:PTH競争で薬価が下がり、YUVIWELの普及も鈍る 利益 5 億ドル · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 79.26 ドル51 億ドル
YORVIPATHは発売から数年は伸びるが、アストラゼネカの薬が承認されて処方医と保険者の交渉力が変わる。新規登録の増加は止まり、一部患者が競合へ移る。2035年の通年治療患者は1万8000人まで減り、純単価は11.7万ドルに下がる。全患者数が減るのでなく、アセンディスのシェアと薬価が下がる筋書きだ。
SKYTROFAは週1回の製剤同士で値引き競争となり、患者7000人、YUVIWELはVOXZOGOの長期データや新しい長時間作用型に後れを取り2700人にとどまる。YUVIWELの欧州展開が遅れると、初期に負担するロイヤルティの回収も遅れる。ノボから戻る肥満症技術は提携先が見つからず、追加の売上をほとんど生まない。
売上は約29億ドル、営業利益は約7.3億ドルへ縮み、研究費は削っても世界各地の販促費が重い。2035年の純利益は5.1億ドルにとどまる。一度成長した後に縮むため、期間の純利益累計は約67億ドルあるが、減速後の追加投資の利回りは資本コストに近づく。株主への正味の還元は10億ドルに抑えられる。
2026~2030年は一時的な税務益を含む約40億ドルの累計利益を稼ぐが、2031~2035年は競争による減速で約27億ドルに落ちる。買い戻し約35億ドルから株式報酬約17億ドルと転換分約8億ドルを控除し、正味の10億ドルだけを還元に含む。
- YORVIPATH(副甲状腺機能低下症):数量 18,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 117,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 21 億ドル・営業利益 12 億ドル。競合eneboparatideに患者流出、実現価格低下
- SKYTROFA(成長ホルモン欠乏症):数量 7,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 49,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。競合週1回薬の採用拡大
- YUVIWEL(軟骨無形成症):数量 2,700(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 170,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。VOXZOGO優位、EU展開は遅い
- 提携・ライセンス・臨床用供給:数量 2.0(主要協業先の等価収益単位(契約先換算件数))× 価格 10,000,000(1等価単位当たりの年間収益(米ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。新規ライセンス一時金はほぼなくなる
倍率:米国株の利益ベースの正当化PER。k=8.5%、2035年の事業ROE=9.3%(非調整純利益5.1億ドル÷当該筋書きの自己資本55.1億ドル)。製薬プラットフォームの堀は通常で、将来に残る超過収益を1/2としRONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=8.9%。g=1.5%は治療対象市場の実質拡大約0.5%、シェア低下約1.0%の減少、薬価・製品構成約2.0%の増加を合わせた名目成長から求め、k−g=7.0%を確保。10年目の純利益に対する正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=12.05倍。競争・権利期間と利益の確実性を見て式の83%に当たる10.0倍を採用。時価総額は5.1億ドル×10.0倍=51.00億ドル。純利益はIFRSの非調整利益であり、株式報酬・製品の償却を費用として含む。現時点の市況倍率は根拠に使わない。
確率:アストラゼネカの第3相結果と、バイオマリンが構築した既存治療網を重く見る。承認済み3製品が全部消えるほどの事態ではないが、1社の期待を同時に押し下げる現実的な確率として23%を配分する。
悲観 13% 悲観:薬効の差が消え、価格競争と費用削減に追われる 利益 1 億ドル · PER 6.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5.59 ドル4 億ドル
YORVIPATHは一時的に高い売上を記録するが、2030年代に競合製剤と特許訴訟が重なり、有料患者数は9000人へ減る。純単価も8.5万ドルとなる。SKYTROFAはノボ・ノルディスクなどの週1回剤に市場を奪われ、通年2800人しか残らない。YUVIWELはバイオマリンの競合品と低価格製剤に押され、1300人の治療にとどまる。主力3製品ともピーク時の販売力を失い、もはや優良な成長企業ではない。
高額な研究開発の多くを止め、海外販売網を縮小し、保有する開発資産に減損を計上する。売上は約11億ドル、営業利益は約1.9億ドル、税・金融費用を引くと純利益は0.6億ドルしか残らない。2026年の繰延税金資産認識益と数年の黒字は、2030年代の減損・損失に相殺され、期間累計純利益は10億ドルにとどまる。
初期の自社株買いに対し転換株と株式報酬が上回り、正味還元はマイナス2億ドルとなる。継続企業として最低限の製造・販売能力を残すが、時価総額の支えは小さな利益と換金できる特許・現金に限られる。繰延税金資産や将来の希望を床に含めない。
2026~2030年に一時的な税務益と初期販売利益で約27億ドルを計上した後、2031~2035年の減損・損失合計が約17億ドルに達する。初期の買い戻し約22億ドルより、株式報酬約16億ドルと転換に伴う発行相当約8億ドルが大きく、正味還元はマイナス2億ドルとなる。
- YORVIPATH(副甲状腺機能低下症):数量 9,000(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 85,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 3 億ドル。競合・特許係争でピークから縮小
- SKYTROFA(成長ホルモン欠乏症):数量 2,800(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 39,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。後発と週1回競合に敗れる
- YUVIWEL(軟骨無形成症):数量 1,300(年間治療患者換算数(人・年))× 価格 150,000(患者1人・年当たり実現純売上(米ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。対象年齢と競争で小規模へ
- 提携・ライセンス・臨床用供給:数量 1.0(主要協業先の等価収益単位(契約先換算件数))× 価格 5,000,000(1等価単位当たりの年間収益(米ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。提携はほぼ消失
倍率:米国株の利益ベースの正当化PER。k=8.5%、2035年の事業ROE=5.9%(非調整純利益0.6億ドル÷当該筋書きの自己資本10.1億ドル)。製薬プラットフォームの堀は通常で、将来に残る超過収益を1/2としRONIC=8.5%+0.5×(ROE−8.5%)=7.2%。g=0.0%は対象治療市場の実質成長約0%、シェア喪失約1%、残存製品の名目価格約1%増が相殺するゼロ成長から求め、k−g=8.5%を確保。10年目の純利益に対する正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)=11.76倍。競争・権利期間と利益の確実性を見て式の51%に当たる6.0倍を採用。時価総額は0.6億ドル×6.0倍=3.60億ドル。純利益はIFRSの非調整利益であり、株式報酬・製品の償却を費用として含む。現時点の市況倍率は根拠に使わない。
確率:2026年の承認・発売の成果を認めつつ、10年間では後発品、競争薬、確認試験、製造問題が連鎖しうる。医薬品特有の不連続な損失と2025年までの赤字体質を踏まえ13%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
YORVIPATH(副甲状腺機能低下症)
副甲状腺ホルモンを生理的に補う慢性治療薬。主に患者が毎年継続して受ける治療費が売上となる。
| 数量年間治療患者換算数(人・年) | 価格患者1人・年当たり実現純売上(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,500 | 119,333 | 5 | 3 |
| 10 年後 中立 | 31,000 | 145,000 | 45 | 30 |
取り方:会社2025年開示のYORVIPATH売上4.774億ユーロを、factsの全社8.1億ドルに対する売上構成比で換算して5.37億ドルとする。会社は2025年末の米国累計登録5300人超を公表するが、登録は患者年数ではない。欧州の治療も含め通年稼働約4500人年を分析者が推定し、逆算した世界混合純単価約11.9万ドル。ドイツ発売時の定価年10.5万ユーロは純価格ではない。営業利益は製品直接原価と専属販売費後の推計で、共通R&Dは調整額に残す。
SKYTROFA(成長ホルモン欠乏症)
成長ホルモンを週1回投与する製剤。毎日投与する従来剤と同じく患者・年の継続治療で売上を得る。
| 数量年間治療患者換算数(人・年) | 価格患者1人・年当たり実現純売上(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,200 | 44,615 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 12,500 | 58,000 | 7 | 3 |
取り方:2025年製品売上2.062億ユーロをfactsの全社8.1億ドルへ構成比換算し2.32億ドル。2026年8月時点で累計患者登録2万人超は過去の登録総数であり、稼働中の患者数ではない。通年治療患者年数5200は独自推計、純単価約4.46万ドルは米国自社販売と低単価の海外提携収入を合わせた加重平均。製品直接費の後の寄与営業利益を推計。参考市場規模:https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/human-growth-hormone-drugs-market
YUVIWEL(軟骨無形成症)
骨端線が閉じる前の小児に週1回投与するCNP製剤。2026年から米国で販売を開始した。
| 数量年間治療患者換算数(人・年) | 価格患者1人・年当たり実現純売上(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 240,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6,500 | 220,000 | 14 | 7 |
取り方:2025年は未承認・未発売で売上0、患者0。単価24万ドルは2026年以降の米国と欧州の純売上を混合するための仮の基準で、会社開示の確定単価ではない。2026年4~6月期売上は758万ユーロ、7月末の米国登録は220人超。先行VOXZOGOの2025年売上9.27億ドルと治療5000人超を競合の規模の物差しとした。研究開発初期負担を製品寄与利益のマイナスに含む。比較資料:https://www.biomarin.com/news/press-releases/biomarin-reports-fourth-quarter-and-full-year-2025-financial-and-operating-results/
提携・ライセンス・臨床用供給
提携先への臨床用製造供給、技術許諾、マイルストーンなどの変動する非製品売上。
| 数量主要協業先の等価収益単位(契約先換算件数) | 価格1等価単位当たりの年間収益(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.0 | 10,250,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 15,000,000 | 1 | 0 |
取り方:2025年に製品以外の売上3,656万ユーロがあり、facts全社8.1億ドルの構成比で0.41億ドル。Novo Nordisk、Eyconis、Teijin、VISENの4協業先で等価配賦して1件約1,025万ドルとした。開示された実際の契約件数や毎年の単価ではなく、マイルストーンが単年に偏るため将来は件数と価格を保守的に置く。
リスクと懸念
副甲状腺ホルモン薬の競争と独占期限
YORVIPATHは全社収入の中心に育ちつつあるが、米国の希少疾病薬独占は2031年に終了する。アストラゼネカのeneboparatideが第3相で成果を出しており、上市後に患者が分散する可能性がある。特許の終期は一律ではないため、2035年の値付け力を現在のまま延ばすと利益を過大評価する。
YUVIWELのバイオマリンとの競争
VOXZOGOは2025年売上9.27億ドルで、世界で5000人超の患者に使われている。週1回投与のYUVIWELは後発の立場で、保険償還の手続きと患者獲得に時間がかかる。和解に基づく2026~2030年の売上ロイヤルティも初期の株主利益を削る。迅速承認後の確認試験で十分な結果が得られなければ適応が狭まる可能性もある。
成長ホルモンの差別化が薄れる
SKYTROFAは毎日投与より便利だが、週1回の競合製剤SOGROYAやNGENLAが既に販売されている。2026年にはSOGROYAが小児の追加適応を得た。成長ホルモン欠乏症以外への適応拡大が遅れたり、米国の保険者が安い既存薬を優先したりすれば、患者数を増やしても純単価が下がる。
会計上の黒字と現金創出力の違い
2026年上期の純利益には繰延税金資産の認識益、4~6月期には優先審査券の売却益が含まれる。ともに主力薬の継続販売で得る利益ではない。医薬品開発の臨床費、販売網の固定費、株式報酬を控除すると、見かけの高い利益率より株主の現金利益は低くなる危険がある。税務資産は清算時の現金の床に使えない。
特許・製造・規制と薬価の一変
TransConの薬物放出技術は価値の源だが、関連特許は2029~2042年に順次期限を迎える。製造を外部委託する部分もあり、品質事故や供給停止で医師の信頼を失うと復旧に時間がかかる。米国の価格政策や欧州の医療技術評価も、高額な希少疾病薬の純売価を抑える。供給が順調でも数量と薬価が同時に伸びる保証はない。
資本配分と株式希薄化
長年の開発費を株式発行と転換社債で賄い、2026年には転換により約364万株が新たに発行された。自己株買い4億ドル枠は好材料だが、株式報酬の発行を差し引くと既存株主への正味の還元は小さくなりうる。ノボから戻る肥満症関連権利の開発に大きく再投資した場合も、主力3製品の余剰現金が減る。
今後の分かれ目
- YORVIPATHの年間有料患者換算数が2028年までに2万人を超え、競合上市後も継続率が高ければ
- 中立の2035年患者3.1万人という筋書きを上方に見直す。米国外の純価格を別に追い、楽観寄りの確率を増やす。
- アストラゼネカのeneboparatideが承認され、YORVIPATHの新規患者登録と米国純価格がともに減り始めたら
- 副甲状腺治療の数量と価格を同時に下方修正する。やや悲観の比率を高め、2035年の製品寄与利益率も下げる。
- YUVIWELが欧州で正式承認・保険収載され、2028年に通年治療患者が2000人を超えれば
- バイオマリンとの市場分割が実証される。中立の2035年患者6500人を上方へ見直し、長期の製品利益率の確信を高める。
- YUVIWELの確認試験が不調、または競合VOXZOGOの長時間作用型が優位なデータを示したら
- 2035年YUVIWEL患者数と単価を削り、悲観確率を増やす。ロイヤルティ支払いが終了しても市場シェアが戻るとは見込まない。
- SKYTROFAの成長ホルモン欠乏症以外への適応拡大と中国での販売が順調なら
- 成長ホルモン事業の数量を上方修正する。ただしノボ・ノルディスクやファイザーとの競争を踏まえ、値上げまで同時には織り込まない。
- 自社株買いの実行額が株式報酬・将来の増資を継続して上回り、営業キャッシュフローも伸びれば
- 正味の株主還元と資本配分への評価を引き上げる。反対に研究開発へ過剰投資する場合はpayoutを引き下げる。
- 2030年の商品売上50億ユーロ目標が達成に届かず、2028~2030年に成長が急減すれば
- 主力の患者数と実現薬価の前提を作り直す。株価の低下だけで割安とせず、稼ぐ力が先に傷んだかを確かめる。
見ておくもの
- YORVIPATHの米国有料患者換算数、累計登録数、継続率、欧州の薬価と保険収載
- eneboparatideの申請・承認・上市時期とPTH治療におけるシェア
- SKYTROFAの四半期売上、成人・非GHD適応、海外パートナーからの収入
- YUVIWELの通年治療患者数、欧州正式承認、確認試験、VOXZOGOとの競争
- 2026年の優先審査券売却益と繰延税金資産計上を除いた営業利益・営業現金
- ロイヤルティ・ファーマおよびバイオマリンへの支払いと期限
- 最大4億ドルの自社株買い実行額、株式報酬、転換後の普通株数
- ノボとの提携解消後のTransConセマグルチド再開費用と外部提携
倍率と資本コストの決め方
2025年のドル換算売上と会社開示の製品構成を出発点に、各薬の患者年数×実現純売価、競争後のシェア、共同研究費を組み立てた。上場価格・現在のPER・同業の市場倍率は将来の倍率の根拠にしていない。将来の式はk8.5%に対し、各筋書きの事業ROEから通常の堀によるRONICを求め、数量・薬価に整合するgを使って翌期利益倍率を計算し、(1+g)を掛けた後で利益の質に応じ割り引く。IFRS非調整利益を使い、株式報酬と恒常的な研究費を戻さない。株数は評価対象を会社全体に統一し、2026年のADSの1対1転換は価値創出ではなく単なる証券形式の変更として扱った。5筋書きの割引後価値約135.1億ドルを時価総額156.6億ドルと最後に比較し、差は-13.7%である。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本8.0%に事業の質による+0.5%を加え8.5%。βや規模の割増しは使わない。競合の承認や薬価交渉、YUVIWELの確認試験の失敗は割引率に上乗せせず、個別シナリオの数量、価格、確率で扱う。2025年の赤字と債務超過は重いが、2026年の営業収入拡大と社債転換で直ちに存続が危ぶまれる状態ではないためextraは0とする。