結論
ソルベンタムは 2024 年 4 月に 3M のヘルスケア部門が分かれて上場した会社で、先進創傷ケア(陰圧閉鎖療法・ドレッシング)、感染予防・外科用品、歯科材料、病院向けの医療情報システム(コーディング・請求のソフト)の 4 つを持つ。2025 年の売上は 83 億ドル(ろ過・精製事業を 2025 年 9 月に売却したので、売却分を除くと 78 億ドル)。GAAP の純利益は 16 億ドルに見えるが、そのうち 14 億ドルは売却益で、本業の GAAP の純利益は 2 億ドルに満たない。理由は、3M との分離に伴う IT・契約の付け替え費用、買収で積んだ無形資産の償却(年 3.6 億ドル前後)、リストラ、訴訟費用が営業利益を食っているからである。2026 年 4〜6 月期は自然増 +9.5%(ERP 切り替え前の前倒し受注を含み、7〜9 月期は反動で減収の見通し)、通期の見通しは自然増 +2.5〜3%、調整後の営業利益率 22.2〜22.7%。
分離後の資本構成で純利益を組むと、中立では 2028 年に GAAP の純利益 10 億ドル、2035 年に 18.5 億ドル(売上 125 億ドル、GAAP の営業利益率 20%)。資本コスト 8.5%、ROE 24%(帳簿の 32% は自社株買いで自己資本が小さく見かけで膨らむので、ROIC から直した値)、長期の伸び 4%(堀は普通で新しく投じる元手の稼ぎ RONIC は 16%)の利益ベースの正当化 PER は 16.8 倍で、その 8 割の 13.4 倍を置くと、10 年後の時価総額は約 248 億ドルと今の 150 億ドルの 1.7 倍。悲観(3M の PFAS の補償が切れた後の責任、訴訟の積み上がり、病院の購買組織と競合に値と数量を奪われる)を 1 割強で厚く置いたうえで、確率で重ねた本質価値は今を 12% ほど上回る。バリュー投資の観点では、利益の質は分離費用が消える 2027〜28 年に初めて見えてくる会社で、今の値段は利益の立ち上がりを織り込んだ、やや割安な水準にある。ただし病院向けソフト部門の分離が成立すれば筋書きは変わる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ソルベンタムは「事業は良く、財務の見た目は悪い」会社である。使い捨ての医療消耗品は、病院と歯科医院が毎日使い、10 年後もなくならない。堀は広くはないが、規格・使い慣れ・病院の手順への組み込みで、価格を決める力は物価並みには届かないにせよ、保たれる。HIS は営業利益率 36% の高収益だが、AI で競争が激しくなる事業で、確信度は下がる。
オーナー利益(株主に残る利益)は、GAAP の純利益に償却を足し戻した値でなく、償却を費用のままにした値で見る。2028 年に 10 億ドル、2035 年に 18.5 億ドル(中立)。成長のための再投資が小さい事業なので、純利益の大半を還元できる。ただし 2026〜27 年は分離費用と訴訟で 2〜6 億ドルに薄く、2026 年の GAAP の利益で見た PER は 60 倍を超える。この見た目に引きずられて事業の質を誤ると、安全域を見落とす。
資本配分は評価が分かれる。ろ過・精製事業を売って借金を返し、自社株買いに入ったのは良い判断である。一方で、PFAS の責任の分担と訴訟の中身が見えにくい。分離からまだ 2 年半で、経営の実績は短い。安全域は、悲観(訴訟・補償切れ・競合の値下げ)を確率で重く置いても本質価値が今の値段を上回るかどうかで測る。今を 12% ほど上回る水準(総合 +12%)にとどまり、結論は GAAP の利益が 2027〜28 年に本当に立ち上がるかに依存する。
何で稼ぐ会社か
売上は 4 つの部門。最大は MedSurg(2025 年 48 億ドル)で、先進創傷ケア(19 億ドル)と感染予防・外科用品(29 億ドル)に分かれる。創傷ケアは、傷口に陰圧をかけて治す装置(V.A.C. の陰圧閉鎖療法。装置は貸し出し、消耗品のキャニスターとドレッシングが売れる)と、透明フィルムのテガダームなどのドレッシング、2025 年 12 月に買った組織再生品のアセラ(粗利率 80% 超と会社が説明)。感染予防・外科用品は、手術室で使う滅菌の指標・ドレープ・患者を温める装置(ベア ハガー)・IV(点滴)部位の感染を防ぐ CHG ドレッシングなどで、病院が毎日使う消耗品である。
歯科(13.5 億ドル)は、詰め物(修復材)・矯正の接着材・印象材などで、歯科医院が買う。10-K は接着材で首位級と説明し、2026 年後半に審美系の新製品を出す。病院向けの医療情報システム(HIS、13.6 億ドル)は、診療記録から診断・処置のコードを自動で作るソフト(360 エンカンパス)と請求の管理で、米国の病院の 75% 超が使うとされる。営業利益率は 36%(2025 年)と全社で最も高く、製造設備を持たない。2026 年 8 月、会社はこの部門を分離する意向を発表した(12〜18 か月、スピンオフか売却か未定)。成立していないので、この分析は HIS を含む今の姿で書く。
その他(3 億ドル)は飲料水の浄化など。ろ過・精製事業(2025 年 5 億ドル。売却益 15.5 億ドルは HIS の小さな事業の売却益を含む)は 2025 年 9 月に売った。売却で得た現金で、2024 年末に 78 億ドルあった長期借入金のうち 2025 年に 30.7 億ドルを返し、2026 年 6 月は総負債 51 億ドル、現金 4 億ドルである。
優良さと弱いところ
優良さの核は、病院と歯科医院が日々使う消耗品を、規格と使い慣れで握っている点である。ドレッシングや滅菌指標は単価が小さく、院内の手順書に組み込まれているので、安い代替品に替えるには手順の見直しが要る。陰圧閉鎖療法は装置の貸し出しと専用消耗品の組合せで、医師の習熟が切り替えを遠ざける。歯科は 2025 年の営業利益率が 25.6%(本社費・償却の前)で、同業のデンツプライ・シロナの調整後 EBITDA 率約 18%(2025 年売上 36.8 億ドル、前年比 −3.0%)を上回る。HIS は営業利益率 36% の高収益である。
弱点は 3 つ。第一に、分離直後で本社の費用が薄く、2025 年の GAAP の営業利益(売却益を除く)は 6.3 億ドルと、調整後(17.1 億ドル)の 4 割にとどまる。第二に、成長が遅い。2025 年の自然増は 3.3% で、MedSurg 3.5%、歯科 3.3%、HIS 4.0%。2026 年も SKU(品目)整理で約 1 ポイント自ら削る。第三に、競合が大きい。創傷はスミス・ネフュー・メンリッケ・コロプラスト・コンバテック、感染予防はベクトン・ディッキンソン・メドライン・カーディナル・ヘルス・ステリスなど、歯科はデンツプライ・シロナ・エンビスタ・ストラウマン・アラインが 10-K の主な競合で、病院の購買組織(GPO)が値を押さえる。経営は 3M 出身の経営陣が分離・構造改革(Transform for the Future)を進め、2026 年の調整後営業利益率の見通しを 21〜21.5% から 22.2〜22.7% へ上げた。ただし上げ幅のうち約 1.2 ポイントは一回限りの関税還付である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は 3 つに分かれ、どれも物価を少し上回る程度の安定成長で、荒い循環は小さい。先進創傷ケアは世界で約 120 億ドル(調査会社の 2025 年推計は 118〜124 億ドル、定義により 197 億ドルまで幅がある)、年 4.8〜5.2% で伸びる見通し。陰圧閉鎖療法は約 22 億ドル。高齢化と糖尿病で慢性創傷が増えるが、米国の公的保険(メディケア)の償還は物価に連動せず、病院の購買組織が値を詰める。歯科消耗品は約 330〜430 億ドル(推定の幅が大きい)で年 5% 前後。歯科医院は個人事業が多く、ブランドと使い慣れで買うので値は比較的通る。ただし 2025 年はデンツプライ・シロナが −3.0% と、需要は弱かった。感染予防・外科用品は市場規模の信頼できる推計が見つからなかった(推定になる)。病院の手術・処置の件数に連動し、メドライン・カーディナル・ヘルスの自社ブランド品が価格を引き下げる。
関税は 2026 年 4〜6 月期に粗利率を約 1.5 ポイント押し下げたが、IEEPA の関税の還付金(約 1 億ドル、一回限り)が 4〜6 月期に入った。会社は通期で関税の影響を「ほぼ中立」に直した。病院側は設備投資と人件費で予算が厳しく、消耗品は価格の見直し圧力にさらされる。HIS は病院の IT 予算に連動し、診療記録の自動コーディングは生成 AI で競争が激しくなる。「診療現場の生産性ソフト」は 2026 年 4〜6 月期に減収で、市場の変化が出ている。
業界ノート(塊 D:病院向け消耗品)は、価格を年 +0.5%、数量を年 +3% とし、利益率を 18% 前後とする。ソルベンタムは分離後の本社費がまだ重く GAAP の利益率が 6〜7%(2026 年)に落ちているので、ノートより足元は低いが、費用が消えた後の 2035 年は 20% と、ノートの 18% より上に置く。理由は HIS と歯科の高利益率が混ざる点である。
資本政策と M&A
2025 年は売却益で借金を返した年である。ろ過・精製事業を売って得た資金で、長期借入金を 78 億ドルから 50 億ドルへ減らし、2026 年に入ってからは 10 億ドルの自社株買い枠(2025 年 11 月承認)のうち 3.6 億ドルを実行した(株数は 1.735 億株から 1.701 億株へ)。社債は 2027〜2064 年に分かれ、利率 5.40〜6.00%、借り換えの新しい金利は約 5.75% と今とほぼ同じなので、利払いは増減しない。
配当は出さない。経営は小さな買収(アセラなど)を続け、大型買収はしないと説明し、HIS の売却や分離で得た資金は一部を借金返済、大半を株主還元に回す方針である。3M との取り決めは資本配分に効く。分離前(2024 年 4 月 1 日より前)の PFAS の責任は 3M が持つ。分離後は原則ソルベンタムが負うが、2024 年 4 月 1 日から 2025 年末までに売った製品の PFAS の製品責任は 3M が補償する。2026 年以降は、第三者が作るフッ素樹脂の部材(シール・ガスケット・体温管理機器の筐体・粘着品の剥離ライナー)を使う製品が補償の外になる。2026 年 4〜6 月期に訴訟費用 2.04 億ドル(保険の回収 0.55 億ドルを引いて 1.57 億ドルを計上)が出たが、中身は説明会で語られていない。患者加温装置(ベア ハガー)の訴訟は、二次資料によると補償されない分をソルベンタムが負担する取り決めで、一次の 10-Q で確かめる必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
分離費用と訴訟が消えれば、本来の稼ぐ力が出る。2026 年の調整後の営業利益率は 22.2〜22.7% の見通しで、関税還付の約 1.2 ポイントを除いても 21% を超え、2025 年(20.5%)から改善している。GAAP の営業利益が調整後を大きく下回るのは、3M との分離の IT・契約の付け替え(4〜6 月期に 1.45 億ドル)、リストラ、一回限りの訴訟費用で、会社は約 200 の移行契約の 7 割を済ませ、2026 年末に 9 割とする。2027 年には残った費用と分離の損が消えると説明している。
事業の質も上向いている。歯科は 4〜6 月期に自然増 +15.2%(うち約 10 ポイントは前倒し受注)、上半期でも +9.4%、陰圧閉鎖療法は 2027 年前半に大型の新製品を出す。アセラは 4〜6 月期に +48%。HIS は営業利益率 41%。約 20 の新製品を 2028 年第 1 四半期までに出し、3 つの部門とも 2027 年に成長が加速する。HIS の分離が決まれば、残る MedSurg と歯科は成長の速い医療機器専業に近づき、倍率の見直しが進む。
資本政策も整っている。売却益で借金を 30.7 億ドル返し、10 億ドルの自社株買いに入り、2026 年の自社株買いは年初来 3.6 億ドルを済ませた。配当はないが、大半を自社株買いに回せる。中立でも 10 年後の時価総額は今の 1.9 倍になる。
慎重な見方
利益の質が悪い。2026 年上半期の GAAP の純利益は 1 億ドルで、通期でも 2 億ドル台にとどまる見込みなので、時価総額 146 億ドルは GAAP の利益の 60 倍を超える。調整後の利益は分離費用・リストラ・訴訟・償却を毎年のように除いているが、これらは毎年出ている。2025 年も 2026 年も毎期出ていて、4〜6 月期だけで分離費用 1.45 億ドル、訴訟費用 1.57 億ドルである。「一回限り」が何年続くかが問題である。
3M の PFAS の補償は 2025 年末までの販売分で終わった。2026 年以降は、シール・ガスケット・体温管理機器の筐体・剥離ライナーなど第三者のフッ素樹脂を使う製品の責任をソルベンタムが負う。患者加温装置の訴訟は、二次資料では補償されない分をソルベンタムが負担する取り決めで、連邦の係属は約 8,400 件ある。4〜6 月期の訴訟費用 2.04 億ドルの中身は説明されていない。
成長が遅い。2025 年の自然増は 3.3%、2026 年は SKU 整理で約 1 ポイント削り +2.5〜3%。4〜6 月期の +9.5% は前倒し受注で、7〜9 月期は −3〜−4% の見通し。病院の購買組織とメドライン・カーディナル・ヘルスの自社ブランドが価格を引き下げ、創傷ではスミス・ネフュー・メンリッケ・コロプラスト・コンバテックが競り、歯科ではデンツプライ・シロナ・エンビスタ・ストラウマンが競る。HIS は AI でコーディングの競争が激しい。借金は 51 億ドルで、年 2.6 億ドルの利払いが続く。
どちらに重みを置いたか
事業の質(消耗品の堀・HIS の高収益・分離費用の終わり)は慎重な見方の指摘より強いが、PFAS の補償切れと訴訟の中身が見えない点は重い。中立を最大の確率(10 年 38%)に置き、悲観を 10 年 12% と厚くした(損失は PFAS の和解 25 億ドル・訴訟費用の恒常化・数量の減少を同時に入れた)。やや悲観は 21〜23%。悲観を厚くしたうえで、確率で重ねた本質価値は今の時価総額を 1 割ほど上回る(総合 +12%、やや割安)。差は GAAP の利益が 2027〜28 年に立ち上がるという一点に依存するので、確信度は低い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 131.35 ドル230 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 57.48 ドル101 億ドル)。 今の値に割り戻すと 96.32 ドル169 億ドル、今との差 +10.1%、 期待の年率 +8.0%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 220.37 ドル386 億ドル | 82.89 ドル145 億ドル | +246.8% | +13.2% | 21.23 ドル37 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 188.59 ドル331 億ドル | 76.27 ドル134 億ドル | +202.9% | +11.7% | 52.97 ドル93 億ドル |
| 中立 | 38% | 141.64 ドル248 億ドル | 64.86 ドル114 億ドル | +136.1% | +9.0% | 78.47 ドル138 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 82.54 ドル145 億ドル | 43.75 ドル77 億ドル | +44.4% | +3.7% | 29.05 ドル51 億ドル |
| 悲観 | 12% | 44.95 ドル79 億ドル | 14.26 ドル25 億ドル | −32.3% | −3.8% | 7.11 ドル12 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 131.35 ドル230 億ドル | 57.48 ドル101 億ドル | +115.9% | +8.0% | 188.82 ドル331 億ドル |
今の株価時価総額 87.45 ドル153 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:創傷・歯科でシェアを取り、利益率が 27% に近づく 利益 24 億ドル · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 220.37 ドル386 億ドル
2035 年の売上は 143 億ドル(2025 年の 78 億ドルから年 +6.2%)。創傷ケアは 36.8 億ドル:陰圧閉鎖療法の新製品(2027 年前半)がスミス・ネフューのシェアを取り、アセラが年二桁で伸び、数量は年 +4.5%、価格は年 +2.5%。感染予防・外科用品は 49.6 億ドル:IV 部位の CHG ドレッシングの利用率が 2 割未満から 5 割へ上がり、数量は年 +3.5%。歯科は 27.7 億ドル:審美系の新製品(2026 年後半から)でデンツプライ・シロナ・エンビスタのシェアを奪い、数量は年 +4%、価格は物価並みの年 +3.5%。HIS は 24.1 億ドル:AI のコーディングで先行し、数量は年 +3%。調整後の営業利益は 36.6 億ドル(25.6%)、償却 3.0 億ドル・訴訟 0.6 億ドルなどを引いた GAAP の営業利益は 32.5 億ドル、純利益は 23.8 億ドル。PFAS の費用はない。借金は横ばいを保ち、自社株買いを増やし、10 年で正味 145 億ドル還元する。 10 年の純利益の累計は約 154 億ドル。2025 年の純利益 15.6 億ドルは売却益を含むので、2026 年は 9.5 億ドルから始め、2028 年に 11.1 億ドル、2035 年に 23.8 億ドルへ毎年同じ割合で動く道筋の足し算。
- 先進創傷ケア(陰圧閉鎖療法・ドレッシング):数量 28.7(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の先進創傷ケア市場(実質)× シェア)× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 37 億ドル・営業利益 9 億ドル
- 感染予防・外科用品:数量 40.7(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の手術・処置件数に連動する出荷(市場規模の信頼できる推計は見つからず、推定))× 価格 122(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 50 億ドル・営業利益 10 億ドル
- 歯科ソリューション:数量 19.6(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の歯科消耗品市場(実質)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 28 億ドル・営業利益 9 億ドル
- 医療情報システム(HIS):数量 18.0(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の利用量(契約病院数 × 1 病院の利用範囲))× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 24 億ドル・営業利益 10 億ドル
- その他(飲料水の浄化など):数量 3.3(実質売上(2025 年価格・億ドル))× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル
倍率:正当化 PER は 18.0 倍(g 4.0%、RONIC 21.2%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 33.9% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 16.2 倍(9 割)に置いた。堀は普通:使い捨ての医療消耗品は規格・使い慣れ・病院の手順への組み込みで保たれるが、堀は広くなく、病院の購買組織・競合に値と数量を奪われ、HIS は AI で競争が激しくなるので強い堀(2/3)とは見ない。消耗品の継続収入と HIS の高収益は強いが、分離から 2 年半で経営の実績が短く、PFAS・訴訟の中身が見えず、GAAP の利益が薄い。
確率:創傷と歯科の新製品が当たり、HIS が AI の競争に勝ち、訴訟が小さく収まる展開。多くの賭けが同時に当たる必要があるので 7%。
やや楽観 20% やや楽観:成長が 5% 台で続き、GAAP の営業利益率が 23% に届く 利益 22 億ドル · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 188.59 ドル331 億ドル
2035 年の売上は 133 億ドル(年 +5.4%)。創傷ケアは 33.3 億ドル(数量 +3.7%、価格 +2.2%)、感染予防・外科用品は 46.9 億ドル(数量 +3.1%、価格 +1.75%)、歯科は 24.7 億ドル(数量 +3%、価格 +3.25%)、HIS は 23.2 億ドル(数量 +2.5%、価格 +3%)。アセラと陰圧閉鎖療法の新製品、歯科の審美系が会社の約 20 の新製品の中で当たり、シェアはわずかに上がる。調整後の営業利益は 34.4 億ドル(25.9%)、GAAP の営業利益は 30.2 億ドル(22.8%)、純利益は 22.1 億ドル。訴訟費用は年 0.7 億ドル。10 年で純負債を 4 億ドル減らしつつ、正味 134 億ドルを自社株買いで還元する。 10 年の純利益の累計は約 147 億ドル。2025 年の純利益 15.6 億ドルは売却益を含むので、2026 年は 9.5 億ドルから始め、2028 年に 10.8 億ドル、2035 年に 22.1 億ドルへ毎年同じ割合で動く道筋の足し算。
- 先進創傷ケア(陰圧閉鎖療法・ドレッシング):数量 26.8(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の先進創傷ケア市場(実質)× シェア)× 価格 124(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 33 億ドル・営業利益 8 億ドル
- 感染予防・外科用品:数量 39.4(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の手術・処置件数に連動する出荷(市場規模の信頼できる推計は見つからず、推定))× 価格 119(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 47 億ドル・営業利益 9 億ドル
- 歯科ソリューション:数量 18.0(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の歯科消耗品市場(実質)× シェア)× 価格 138(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 25 億ドル・営業利益 8 億ドル
- 医療情報システム(HIS):数量 17.2(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の利用量(契約病院数 × 1 病院の利用範囲))× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 23 億ドル・営業利益 9 億ドル
- その他(飲料水の浄化など):数量 3.1(実質売上(2025 年価格・億ドル))× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル
倍率:正当化 PER は 17.6 倍(g 4.0%、RONIC 19.2%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 30.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.0 倍(8.5 割)に置いた。堀は普通:使い捨ての医療消耗品は規格・使い慣れ・病院の手順への組み込みで保たれるが、堀は広くなく、病院の購買組織・競合に値と数量を奪われ、HIS は AI で競争が激しくなるので強い堀(2/3)とは見ない。消耗品の継続収入と HIS の高収益は強いが、分離から 2 年半で経営の実績が短く、PFAS・訴訟の中身が見えず、GAAP の利益が薄い。
確率:成長が 5% 台で 10 年続き、利益率が改善する。分離後の経営が実績を積めば起こりうるので 20%。
中立 38% 中立:優良な消耗品の会社として年 4〜5% で伸び、GAAP の営業利益率 20% 利益 19 億ドル · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 141.64 ドル248 億ドル
2035 年の売上は 125 億ドル(2025 年の 78 億ドルから年 +4.8%。数量で年 +2.5% 前後、価格で年 +2.3% 前後)。創傷ケアは 30.8 億ドル(数量 +3%、価格 +2%。メディケアの償還が物価に届かず、アセラと新製品がそれを補う)、感染予防・外科用品は 45.6 億ドル(数量 +3%、価格 +1.5%。購買組織とメドライン・カーディナル・ヘルスの自社ブランドが値を押さえる)、歯科は 22.0 億ドル(数量 +2%、価格 +3%)、HIS は 22.2 億ドル(数量 +2%、価格 +3%)、その他は 4.2 億ドル。調整後の営業利益は 29.8 億ドル(23.9%)で、デンツプライ・シロナ(調整後 EBITDA 率約 18%)より高く、メドトロニック級の水準。償却 3.0 億ドル・リストラ 0.3 億ドル・訴訟 1.0 億ドル(物価で増える)・本社費 1.0 億ドルを引いた GAAP の営業利益は 25.5 億ドル(20.4%)、純利益は 18.5 億ドル(利払いなどの営業外 2.4 億ドル、税 20%)。借金は FCF で 8 億ドル減り、自社株買いは 10 年で約 129 億ドル(株式報酬の分を引いた正味 114 億ドル)。 10 年の純利益の累計は約 131 億ドル。2025 年の純利益 15.6 億ドルは売却益を含むので、2026 年は 9.5 億ドルから始め、2028 年に 10.1 億ドル、2035 年に 18.5 億ドルへ毎年同じ割合で動く道筋の足し算。
- 先進創傷ケア(陰圧閉鎖療法・ドレッシング):数量 25.2(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の先進創傷ケア市場(実質)× シェア)× 価格 122(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 31 億ドル・営業利益 7 億ドル
- 感染予防・外科用品:数量 39.3(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の手術・処置件数に連動する出荷(市場規模の信頼できる推計は見つからず、推定))× 価格 116(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 46 億ドル・営業利益 8 億ドル
- 歯科ソリューション:数量 16.4(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の歯科消耗品市場(実質)× シェア)× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 22 億ドル・営業利益 6 億ドル
- 医療情報システム(HIS):数量 16.5(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の利用量(契約病院数 × 1 病院の利用範囲))× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 22 億ドル・営業利益 9 億ドル
- その他(飲料水の浄化など):数量 3.0(実質売上(2025 年価格・億ドル))× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル
倍率:正当化 PER は 16.8 倍(g 4.0%、RONIC 16.3%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 24.1% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 13.4 倍(8 割)に置いた。堀は普通:使い捨ての医療消耗品は規格・使い慣れ・病院の手順への組み込みで保たれるが、堀は広くなく、病院の購買組織・競合に値と数量を奪われ、HIS は AI で競争が激しくなるので強い堀(2/3)とは見ない。消耗品の継続収入と HIS の高収益は強いが、分離から 2 年半で経営の実績が短く、PFAS・訴訟の中身が見えず、GAAP の利益が薄い。
確率:議論の落としどころで最大の確率。市場は実質 1.5% 伸び、シェアは保ち、価格は物価に届かない年 +1.5〜3%。訴訟費用は年 0.8 億ドル(物価で増える)に収まる。
やや悲観 23% やや悲観:訴訟と値下げで成長が 3% に落ち、利益率が 17% に下がる 利益 13 億ドル · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 82.54 ドル145 億ドル
2035 年の売上は 106 億ドル(年 +3.1%)。創傷ケアは 25.7 億ドル(スミス・ネフュー・メンリッケ・コロプラスト・コンバテックの新製品でシェアを −0.5% ずつ失い、数量 +1.5%)、感染予防・外科用品は 38.2 億ドル(購買組織の値下げで価格が年 +1%)、歯科は 19.4 億ドル(数量 +1%)、HIS は 19.5 億ドル(AI のコーディングの価格競争で価格が年 +2.5%)。3M の補償が切れた後の PFAS の費用 8 億ドル(2027〜30 年)と、年 1.3 億ドル(物価で増える)の訴訟費用が続く。調整後の営業利益は 23.2 億ドル(21.8%)、GAAP の営業利益は 18.2 億ドル(17.1%)、純利益は 12.9 億ドル。PFAS を払う 2027〜30 年は自社株買いを絞って借金を返し、10 年の正味還元は 77 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 96 億ドル。2025 年の純利益 15.6 億ドルは売却益を含むので、2026 年は 9.5 億ドルから始め、2028 年に 7.1 億ドル、2035 年に 12.9 億ドルへ毎年同じ割合で動く道筋の足し算。
- 先進創傷ケア(陰圧閉鎖療法・ドレッシング):数量 22.2(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の先進創傷ケア市場(実質)× シェア)× 価格 116(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 26 億ドル・営業利益 5 億ドル
- 感染予防・外科用品:数量 34.6(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の手術・処置件数に連動する出荷(市場規模の信頼できる推計は見つからず、推定))× 価格 111(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 38 億ドル・営業利益 6 億ドル
- 歯科ソリューション:数量 15.1(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の歯科消耗品市場(実質)× シェア)× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 19 億ドル・営業利益 5 億ドル
- 医療情報システム(HIS):数量 15.3(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の利用量(契約病院数 × 1 病院の利用範囲))× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 20 億ドル・営業利益 7 億ドル
- その他(飲料水の浄化など):数量 2.8(実質売上(2025 年価格・億ドル))× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル
倍率:正当化 PER は 15.0 倍(g 4.0%、RONIC 12.2%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 16.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 11.2 倍(7.5 割)に置いた。堀は普通:使い捨ての医療消耗品は規格・使い慣れ・病院の手順への組み込みで保たれるが、堀は広くなく、病院の購買組織・競合に値と数量を奪われ、HIS は AI で競争が激しくなるので強い堀(2/3)とは見ない。消耗品の継続収入と HIS の高収益は強いが、分離から 2 年半で経営の実績が短く、PFAS・訴訟の中身が見えず、GAAP の利益が薄い。
確率:訴訟と値下げで成長が 3% に落ちる展開。PFAS の補償が切れた後の責任が 8 億ドル出て、患者加温装置などの訴訟も続く。補償の内容が不透明で、23%。
悲観 12% 悲観:PFAS の補償切れと値下げで、もう優良ではなくなる 利益 7 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 44.95 ドル79 億ドル
2035 年の売上は 89 億ドル(2026 年見通しの 82 億ドルから年 +1%。数量はほぼ横ばい、価格は物価に届かない)。3M の PFAS の補償は 2025 年末に切れ、第三者のフッ素樹脂の部材を使う製品(シール・ガスケット・体温管理機器の筐体・剥離ライナー)の責任でソルベンタムが 2027〜30 年に 25 億ドルを和解で払い、訴訟費用は年 2.2 億ドル(物価で増える)に膨らむ。純負債は 2027 年に 47 億ドルへ戻る。病院の購買組織とメドライン・カーディナル・ヘルスが感染予防・外科用品の価格を押し下げ(価格は年 +0.5%)、創傷ではスミス・ネフューやコンバテックにシェアを失い(数量 0%)、歯科は医院の設備と消耗品が絞られ、HIS は AI で価格を落とす。調整後の営業利益は 16.3 億ドル(18.4%)、GAAP の営業利益は 10.2 億ドル(11.5%)、純利益は 6.7 億ドル。自社株買いは 2028〜31 年に止まり、10 年の正味還元は 25 億ドル。事業は存続するが、もう優良とは言えない会社になる。 10 年の純利益の累計は約 49 億ドル。2025 年の純利益 15.6 億ドルは売却益を含むので、2026 年は 9.5 億ドルから始め、2028 年に 4.9 億ドル、2035 年に 6.7 億ドルへ毎年同じ割合で動く道筋の足し算。 PFAS の和解 25 億ドルのうち 3 年の道筋に入れた 8 億ドルを超える 17 億ドル(税引き後 13.6 億ドル)を、2027〜30 年の純利益から引いた値。
- 先進創傷ケア(陰圧閉鎖療法・ドレッシング):数量 19.5(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の先進創傷ケア市場(実質)× シェア)× 価格 111(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 22 億ドル・営業利益 4 億ドル
- 感染予防・外科用品:数量 30.4(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の手術・処置件数に連動する出荷(市場規模の信頼できる推計は見つからず、推定))× 価格 105(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 32 億ドル・営業利益 5 億ドル
- 歯科ソリューション:数量 14.0(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の歯科消耗品市場(実質)× シェア)× 価格 116(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 16 億ドル・営業利益 4 億ドル
- 医療情報システム(HIS):数量 13.4(実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の利用量(契約病院数 × 1 病院の利用範囲))× 価格 122(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 16 億ドル・営業利益 5 億ドル
- その他(飲料水の浄化など):数量 2.3(実質売上(2025 年価格・億ドル))× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100。名目))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル
倍率:事業の ROE 8.0% が k 8.50% 以下なので PER は 1÷k=11.8 倍まで。これに対し 11.8 倍(10 割)に置いた。構造的に負けた筋書き(訴訟・補償切れ・競合の値下げで数量と価格が弱い筋書き(市場 +1.0%・シェア −0.5%・価格 +2.5%))。この筋書きの g での正当化 PER の値をそのまま使う(上限の割合は掛けない)。純利益は GAAP。
確率:10 年の悲観は「構造的に負ける」展開。PFAS の補償切れで 25 億ドルの和解と年 2 億ドル超の訴訟費用が重なり、病院の購買組織・競合に値と数量を奪われ、もう優良ではなくなる。確率は 12%(分離が浅く PFAS の責任が決まっていないので、普通の会社の 10% より厚くした)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
先進創傷ケア(陰圧閉鎖療法・ドレッシング)
陰圧閉鎖療法の装置(貸し出し)と消耗品、ドレッシング、2025 年 12 月に買ったアセラの組織再生品。MedSurg の一部。
| 数量実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の先進創傷ケア市場(実質)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18.8 | 100 | 19 | 3 |
| 10 年後 中立 | 25.2 | 122 | 31 | 7 |
取り方:2025 年の先進創傷ケアの売上 18.83 億ドル(開示)。世界の先進創傷ケア市場を 120 億ドル(調査会社 3 社の 2025 年推計 118〜124 億ドルの中心。定義で幅が大きい)とすると、シェアは約 15.7%(推定)。営業利益は MedSurg 全体の 8.10 億ドル(利益率 16.8%)を創傷 18%・感染予防 16.1% に分けた推定で、開示ではない。価格は物価(3.5%)より低く置く:メディケアなど公的保険の償還が物価に連動せず、病院の購買組織が値を詰めるので、中立で年 +2%(10 年 1.22 倍、3 年 1.06 倍)。競合:スミス・ネフュー・メンリッケ・コロプラスト・コンバテック。
感染予防・外科用品
手術室の滅菌指標・ドレープ・患者加温装置・CHG ドレッシングなど、病院が毎日使う消耗品。MedSurg の一部。
| 数量実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の手術・処置件数に連動する出荷(市場規模の信頼できる推計は見つからず、推定) | 価格価格指数(2025 年 = 100。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 29.3 | 100 | 29 | 5 |
| 10 年後 中立 | 39.3 | 116 | 46 | 8 |
取り方:2025 年の感染予防・外科用品の売上 29.34 億ドル(開示、自然増 +4.5%)。市場規模と各社のシェアは調べても出ず、数量は実質売上そのもの(病院の処置件数と品目の組合せ)で置く推定。価格は中立で年 +1.5%(10 年 1.16 倍、3 年 1.05 倍)と物価より低い:病院の購買組織が値を詰め、メドライン・カーディナル・ヘルスの自社ブランドが安い代替品を出す。業界ノート(塊 D)の価格 年 +0.5% よりは高いが、ソルベンタムは規格品の比率が高い。競合:ベクトン・ディッキンソン・メドライン・カーディナル・ヘルス・ステリス・ハルトマン。
歯科ソリューション
歯科医院向けの詰め物(修復材)・矯正の接着材・印象材など。
| 数量実質売上(2025 年価格・億ドル)= 世界の歯科消耗品市場(実質)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 13.5 | 100 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 16.4 | 134 | 22 | 6 |
取り方:2025 年の歯科の売上 13.49 億ドル(開示、前年比 +4.2%、自然増 +3.3%)、セグメントの営業利益 3.46 億ドル(利益率 25.6%)。世界の歯科消耗品市場を 380 億ドル(調査会社の 2025 年推計 330〜430 億ドルの中心。幅が大きい)とすると、シェアは約 3.6%(推定)。価格は物価並みの年 +3%(10 年 1.34 倍、3 年 1.09 倍):歯科医院は個人事業でブランドと使い慣れで買うので、病院向けより値が通る。物価(3.5%)より少し低く置くのは、デンツプライ・シロナの 2025 年の売上が −3.0% と需要が弱いため。競合:デンツプライ・シロナ(売上 36.8 億ドル)・エンビスタ・ストラウマン・アライン・イボクラー。
医療情報システム(HIS)
診療記録から診断・処置のコードを作るソフト(360 エンカンパス)と請求管理。2026 年 8 月に分離の意向を発表(未成立)。
| 数量実質売上(2025 年価格・億ドル)= 病院の利用量(契約病院数 × 1 病院の利用範囲) | 価格価格指数(2025 年 = 100。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 13.6 | 100 | 14 | 5 |
| 10 年後 中立 | 16.5 | 134 | 22 | 9 |
取り方:2025 年の HIS の売上 13.60 億ドル(開示、自然増 +4.0%)、営業利益 4.96 億ドル(利益率 36.5%)。米国の病院の 75% 超が使うとされ、数量は契約病院と利用範囲の推定で、実質売上そのもので置く。価格は年 +3%(10 年 1.34 倍、3 年 1.09 倍):契約の自動更新に物価の上昇が連動するが、病院の IT 予算が厳しく、AI による競合で物価(3.5%)には届かない。分離(スピンオフか売却)は未成立なので入れず、含んだ今の姿で書く。
その他(飲料水の浄化など)
飲料水の浄化など、4 つの主要部門に入らない事業。
| 数量実質売上(2025 年価格・億ドル) | 価格価格指数(2025 年 = 100。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.0 | 100 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 141 | 4 | 1 |
取り方:2025 年のその他の売上 3.02 億ドル(開示、自然増 −6.1%)、営業利益 0.42 億ドル(13.9%)。ろ過・精製事業は 2025 年 9 月に売却済みなので入れない(売上 4.97 億ドル・営業利益 0.96 億ドルを除いた形で書く)。数量は中立で横ばい、価格は物価並みの年 +3.5%(10 年 1.41 倍)。
リスクと懸念
3M の PFAS の補償が切れた後の責任
3M が補償するのは 2024 年 4 月 1 日から 2025 年末までに売った製品の PFAS の製品責任で、2026 年以降の販売分は対象外。シール・ガスケット・体温管理機器の筐体・剥離ライナーなど第三者のフッ素樹脂を使う製品が残る。悲観では 2027〜30 年に 25 億ドルの和解を置いた。分離前の責任は 3M が持つ。
訴訟費用の中身が見えない
2026 年 4〜6 月期に訴訟費用 2.04 億ドルを見積もり、保険の回収 0.55 億ドルを引いた 1.57 億ドルを計上したが、中身は説明会で語られていない。二次資料では患者加温装置(ベア ハガー)の補償されない分をソルベンタムが 3M に補償する取り決めで、連邦の係属は約 8,400 件。一次の 10-Q で確かめる必要がある。
GAAP の利益が立ち上がらない
中立は GAAP の純利益が 2026 年の約 2 億ドルから 2028 年に 10 億ドルへ 5 倍になる前提。分離費用(2026 年に約 5.5 億ドル)は移行契約の 9 割を 2026 年末までに終える計画だが、リストラや訴訟が「一回限り」のまま続けば立ち上がらない。償却 3.6 億ドルは減りにくい。
病院の購買組織と競合の値下げ
感染予防・外科用品は病院の購買組織が値を押さえ、メドライン・カーディナル・ヘルスの自社ブランドが代替品を出す。創傷はスミス・ネフュー・メンリッケ・コロプラスト・コンバテックが競り、陰圧閉鎖療法はメディケアの償還に縛られる。価格が物価(3.5%)に届かない分は中立に織り込んだが、年 −1% の追加で 10 年の売上が約 1 割減る。
病院向けソフト(HIS)の分離の結果
2026 年 8 月に分離の意向を発表(12〜18 か月、スピンオフか売却)。HIS は売上の 17%、営業利益の 3 割弱を占める高収益の部門で、この分析は含んだ姿で書いた。売却額が低い、または本社費・借金が残る(取り残された費用)と、残る MedSurg と歯科の利益率は薄まる。会社は 2027 年に取り残された費用が消えると説明する。
関税と一回限りの利益
2026 年の調整後の営業利益率の見通し(22.2〜22.7%)には、関税の還付約 1 億ドル(約 1.2 ポイント)と ERP の前倒し受注が入っている。7〜9 月期は前年比 −3〜−4% の見通しで、通期の数字は前半に偏る。関税が戻れば粗利率は 1.5 ポイント下がる。
借金と金利
総負債 51 億ドル(社債は 2027〜2064 年、利率 5.40〜6.00%)、純負債 47 億ドル。借り換えは約 5.75% で今とほぼ同じなので利払い(年 2.6 億ドル)は増えない。2027 年満期の社債 3.5 億ドルを含む短期の借入が 5 億ドルある。自社株買いを優先すると純負債が下がらず、格付けの余裕が減る。
今後の分かれ目
- 2026 年 7〜9 月期に ERP の前倒し受注が戻り、減収が −3% より小さく、10〜12 月期が +3〜4% に戻ったら
- 費用が本当に一回限りだった証拠で、やや楽観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。
- 訴訟費用の内訳が開示され、PFAS や患者加温装置でなく別の一回限りの案件だと分かったら
- 悲観・やや悲観の確率を 5 ポイント下げる(中立へ移す)。PFAS の和解が出たら、悲観の水準(25 億ドル)に近づく。
- 2027 年の陰圧閉鎖療法の新製品が、スミス・ネフューのシェアを取り、創傷ケアが +7% を超えたら
- 創傷の数量 +4.5% の楽観の筋書きに近づき、10 年の楽観の確率が上がる。
- HIS が高値で売れる、または課税のないスピンオフで分かれ、取り残された費用が小さければ
- 売却益は借金返済と自社株買いに回り、残る会社の倍率は医療機器専業として見直される。低い値で売れる・取り残しが大きければ、利益率が下がる。
- 2026 年末までに 3M との移行契約の 9 割が終わり、2027 年の GAAP の営業利益率が 12% を超えたら
- 3 年の中立の 2028 年の GAAP の営業利益 15 億ドルが現実味を帯びる。超えなければ 3 年の確率を悲観側へ寄せる。
- 病院の購買組織が価格の見直しを迫り、感染予防・外科用品の価格が年 +1% を割ったら
- 感染予防の売上が 10 年で約 2 億ドル減る。やや悲観の筋書きに近づく。
見ておくもの
- 訴訟費用(2026 年 4〜6 月期 2.04 億ドル)の内訳と、PFAS・患者加温装置の係属件数
- 3M との移行契約(約 200 件)の終了率(2026 年末 9 割の目標)と GAAP の営業利益率
- 陰圧閉鎖療法の新製品(2027 年前半)と歯科の審美系製品(2026 年後半)の売上、SKU 整理後の自然増
- HIS の分離の方法(スピンオフか売却か)・時期・取り残された費用
- 純負債(約 47 億ドル)・利払い・10 億ドルの自社株買いの進み方と格付け
- 関税の影響と IEEPA の還付の再発の有無、調整後の粗利率(60.1%)の持続
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(150 億ドル)や GAAP の PER(2026 年の純利益で 60 倍超)を見る前に、セグメントごとの数量(実質の市場 × シェア)と価格(物価に届かない年 +1.5〜3%)で 2028・2035 年の売上を積み、償却・訴訟・分離費用を差し引いた GAAP の純利益を出し、式で倍率を決めた。中立の PER は 2035 年に 13.4 倍(利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) の 16.8 倍の 8 割。ROIC から直した ROE 24%・g 4%・堀は普通で RONIC 16%・k 8.5%)で、業界ノートの倍率や同業の倍率には寄せていない。今の値段との比較は最後にした。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。PFAS の補償・分離費用・訴訟の積み上がりは k に足さず、やや悲観・悲観の確率で表した。存続は危うくないので上乗せ 0。