結論
ヒューマナは、高齢者向けの公的医療保険を民間が運営するメディケア・アドバンテージ(MA)に特化した保険会社で、2026 年 6 月末の加入者は個人 MA 645 万人・団体 MA 73 万人・処方薬だけの PDP 395 万人・軍人向け 463 万人など合計 1,791 万人。これに薬局・診療所・在宅ケアのセンターウェルが加わり、2026 年の売上は少なくとも 1,600 億ドルだが、保険の営業利益はほぼゼロ、GAAP の純利益は約 8 億ドル(会社の 1 株利益の見通しに株数を掛けた値)まで落ちた。2023 年の 25 億ドルから 2024 年に半減し、2025 年も 12 億ドルにとどまった。
谷の原因は、星評価の急落(4 つ星以上のプランに入る会員が 2025 年版で約 25%、2026 年版で約 20% にとどまった)でボーナス支払いが削られたこと、高齢者の医療費の伸びが政府の支払いの伸びを上回ること、2026 年に個人 MA 加入者を約 25% 増やした新規会員の採算が薄いことである。一方で 2026 年 10 月 8 日に確定した 2027 年版の星評価で会員の 95% が 4 つ星以上のプランに入り、2028 年の支払いにボーナスが戻る。会社は 2028 年に個人 MA の税引き前利益率を持続的に 3% 以上へ戻すと約束している。
バリュー投資の観点では、事業は 10 年後も存在するが、堀は規模と星評価という政府の物差しに乗った強みで、価格を決める力ではない。数量 × 価格で積むと、中立の筋書きは 2029 年に純利益 44 億ドル、2036 年に 86 億ドル(利益率の回復と診療所の成長が効く)。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割に置いた(moat は weak)。10 年の中立は、正当化 PER 12.4 倍(k 9.5%、g 4%)の 8 割の 9.9 倍。今の GAAP の PER は 42 倍で、谷の利益に対する値で、この水準を上回る。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 22% 下。結論は「やや割高」。確信度は中から低に留める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後にこの事業が存在し今より強いかを問う。高齢化で需要は確かに伸び、規模と星評価は広がる余地があるので、存在はする。ただし堀は「政府の支払い制度の中で上手に戦う力」であって、価格を決める力ではない。政府が売値(保険料)を決め、医療費は買値として上がり続け、その差の 2〜3% が利益になる事業は、本来、バリュー投資が好む種類の事業ではない。
オーナー利益で見ると、2026 年の GAAP 純利益は約 8 億ドルと、2019〜2023 年の 25〜34 億ドルを大きく下回る。会社は 2028 年に個人 MA の税引き前利益率 3% を約束しているが、過去 3 年は予測を外し続けた。安全域を測る。正当化 PER は 12.4 倍(g 4%、k 9.5%、moat は weak)。10 年の中立は正当化 PER の 8 割の 9.9 倍に置いた。今の PER 42 倍は 10 年後の中立より高く、10 年で利益が伸びる分を見込んでも、価値は今を下回る。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 22% 下。結論は「やや割高」。
経営の資本配分は、診療所とジェンティバへの投資を外部の資本(ウェルシュ・カーソン、ブラックロス)と組んで進める点は資本の節約になるが、過去の合弁のプット権で GAAP 利益が大きくぶれた。予測できない要素(政策・監査・単一支払者)が大きいので確信度は中から低に置く。
何で稼ぐ会社か
保険(インシュランス)は、加入者から(MA では実質は政府から)保険料を受け取り、医療費を払う。最大の柱は MA で、個人 MA が 645 万人、会社や組合が従業員の退職者向けに契約する団体 MA が 73 万人。1 人あたり年間の収入は約 1.7 万ドルで、政府が毎春決める支払い額(2027 年は最終で平均 2.48% の引き上げ)と、星評価によるボーナス、加入者ごとの病気の重さに応じたリスク調整で決まる。残りの保険は、処方薬だけの PDP(395 万人。2026 年に約 100 万人増える見込み)、軍人・家族向けの TRICARE 東部地域の運営(463 万人)、州のメディケイドなど(160 万人)、メディケア補完保険(55 万人)、歯科・視力で、売上はおよそ 320 億ドル。
センターウェルは、保険の医療費を下げる手段を自前で持つ部門で、(1) 通販と専門薬の薬局(売上およそ 150 億ドル。メディケア会員の通販比率は 23.8% に下がっている)、(2) 高齢者向けのプライマリケア診療所(398 拠点・患者 62 万人。1〜6 月に 13 万人増)と在宅ケア(売上およそ 100 億ドル)。2026 年の営業利益は 13〜18 億ドル(GAAP の見通し)で、保険がほぼゼロのいま、グループの利益のほぼ全部を稼いでいる。部門間の取引が大きく、連結売上(1,600 億ドル)は保険(1,550 億ドル以上)とセンターウェル(250 億ドル以上)の合計より約 200 億ドル小さい。
2026 年 10 月 13 日にはブラックロス系の HPS と、約 150 のプライマリケア診療所の新しい合弁を発表した。ブラックロスが過半を持ち、センターウェルは少数持ち分のまま運営を続ける。2028 年から買い戻しの選択権があり、2033 年末までに買い戻さなければブラックロスが売却を進められる。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は MA での規模(個人・団体で約 720 万人、全米の MA 加入者の約 17% と推定)と、高齢者の診療への特化。第 2 は星評価で、2027 年版では会員の 95% が 4 つ星以上のプランに入り、ユナイテッドヘルス・グループ(81% から約 67% の見通し)や CVSヘルス(84% から約 70%)を上回る。ボーナスは 1 人あたりの収入を数%上げる政府の制度なので、一度失うと取り返すのに 2 年かかり(星は 2 年遅れで支払いに効く)、取り戻した側が価格競争で有利になる。第 3 は薬局・診療所・在宅の自前の医療提供で、医療費の伸びを抑える手段を持つ。
一方で優良さは割り引く。2024 年から 2026 年にかけて、医療費の伸びの読み違い、星評価の急落、2025 年の撤退で加入者を失った後の再取り込みの難しさ(撤退した会員の約 4 割しか取り戻せない)が続き、営業利益率は 2020 年の 6.5% から 2025 年の 2.3% へ、純利益は 34 億ドルから 12 億ドルへ下がった。ROE も 24.5% から 6.7% へ。同じ時期に同業のユナイテッドヘルス・グループ・エレバンス・センティーンも利益を落としたので、経営だけでなく MA の支払い制度そのものが原因だが、星評価の失点(2025 年の訴訟は棄却され控訴中)は経営の失点である。
弱点は、価格を政府が決めること、利益率が薄く(営業利益率 2〜4%)医療費率が 1 ポイント動くと利益が 4〜5 割動くこと、純負債が約 87 億ドルあること、のれんが厚いこと。強みは規模と星評価で、価格を決める力ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の高齢者は年 +3% 前後で増え、国民医療費は年 5.8%(CMS の予測)で伸びるので、MA の需要の量は確かである。MA は 2010 年代に年 +8〜10% で伸び、全メディケア加入者の半分を超えたが、2024〜2026 年は一転して利益の谷になった。理由は、高齢者の入院・外来・在宅・専門薬の利用が政府の支払いを上回って伸びたこと、2024 年から段階的に入るリスク調整の新方式(V28)で支払いが削られたこと、星評価の厳格化で 4 つ星以上のプランが減りボーナスが減ったこと。ユナイテッドヘルス・グループが最大(約 3 割)で、ヒューマナは約 17% の第 2 位。ほかに CVSヘルス(エトナ)、センティーン(ウェルケア)、エレバンス・ヘルスなど。
2027 年の支払いは最終で平均 2.48% の引き上げ(1 月の案は 0.09%)で、リスク調整の変更を足しても実質 5% 前後にとどまり、医療費の伸び(高い 1 桁台後半)を下回る。このため各社は給付を削り、採算の悪いプランから撤退する。ヒューマナも 2027 年に約 60 万人のプランから撤退し、優先順位を 2028 年の利益率目標、会員の維持、成長の順にした。薬の価格(インフレ抑制法によるメディケアの交渉価格)と PDP の制度変更(2025 年からの自己負担の上限)も、ヒューマナの PDP の採算を左右する。
制度の側のリスクは 3 つ。(1) 医療請求の監査(RADV)の拡大と、司法省による MA の請求の調査(業界全体)。(2) ボーナス制度の縮小・廃止や支払い方式の見直し。(3) 政府の直接払い(単一支払者)の議論。他方、競合の星評価が下がったことで、2028 年の支払いでヒューマナは相対的に有利になる。
資本政策と M&A
還元は配当(年 約 4.3 億ドル、2025 年 4 億ドル)が中心で、自社株買いは 2025 年 2 億ドル、2026 年 1〜6 月 1.08 億ドルと小さく、株数は 2025 年にほぼ横ばいになった。2026 年の営業の現金収入は 25〜29 億ドルの見通し、設備投資約 6.5 億ドル。負債は短期 22.7 億・長期 119.8 億ドルで、現金 69 億ドル(親会社 15.9 億ドル)を引いた純負債は時価総額の約 15〜17%(2025 年末で 87 億ドル)。負債比率は 42.7%。借り換えで利払いは 10 年で 2 億ドルほど増える。
M&A は、センターウェルへの垂直統合(診療所のマックスヘルス 5.9 万人・54 拠点、在宅ケアのジェンティバの持ち分、薬局)が中心。ジェンティバの少数持ち分(約 9 億ドル)の売却でマックスヘルスの資金を賄う。ブラックロス(HPS)との診療所の合弁は、旧合弁にあったプット(売り戻し)権を無くし、2026 年の GAAP 利益を押し下げてきたプット・コールの評価損益(2026 年の見通しで約 1.8 億ドル)を消す点で、利益の質が上がる一方、診療所の利益の過半はブラックロスのものになる。大型の保険同士の合併は規制で難しく、時価総額 500 億ドル規模で買われる可能性は低い。
価値創造施策(リストラ費、2026 年の見通しで約 1.5 億ドル)は 2026 年に終わる前提。2026 年 12 月 10 日の投資家向け更新が次の分かれ目になる。人についての事実は、社長兼 CEO がジム・レクティン、CFO がセレステ・メレであることだけで、出典は notes に残した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年は底である。2027 年版の星評価で会員の 95% が 4 つ星以上になり、2028 年の支払いに数十億ドルのボーナスが戻る(Evercore の推計では総額で約 48 億ドル、2026 年の利益は 8 億ドル)。ボーナスの半分を給付に回しても、個人 MA の税引き前利益率は会社の目標の 3% に届く。競合のユナイテッドヘルス・グループ(4 つ星以上が 81% から約 67%)と CVSヘルス(84% から約 70%)が星を落とすため、星の優位は価格競争で効き、市場の増加分を取り込める。
2027 年に不採算プランから約 60 万人を撤退させ、給付を削る。2026 年に個人 MA が 25% 増えた新規会員は 2027 年以降に採算がよくなり、団体 MA や PDP も伸びる。センターウェルは診療所の患者が 1〜6 月だけで 27% 増え、ブラックロスの資本で出店が続く。営業利益は 13〜18 億ドルで、保険が戻れば利益は 2 倍以上になる。
10 年では、高齢者の増加と医療費の伸びで売上は 2036 年に 3,400 億ドルを超え、利益率が過去の平常(営業利益率 5% 台)の半分でも純利益は今の 10 倍になる。
慎重な見方
政府が価格を決める事業で、利益の戻りを会社の約束に頼るのは危うい。2024 年から 2026 年まで、医療費・星評価・新規会員の採算を 3 年続けて読み違えた。2026 年の保険は営業利益ほぼゼロ、GAAP の利益のほとんどはセンターウェルで、その診療所の利益の過半は 2026 年のブラックロスとの合弁で外へ出る。星のボーナスが戻っても、その分は給付の改善(会員の獲得競争)に回さざるをえず、利益率は 3% に届かない。
2027 年の支払いは最終 2.48% で医療費の伸びを下回り、給付削減と 60 万人の撤退は会員の流出を招く(撤退した会員の約 4 割しか取り戻せない)。PDP は 2026 年に約 100 万人増えたが、制度変更で採算は不安定。薬の交渉価格・医療請求の監査(RADV)・司法省の調査・ボーナス制度の縮小は、業界全体を襲う制度リスクで、一度悪化すると立て直しに 2 年かかる。
10 年の構造リスクは、MA の支払いの凍結や単一支払者への移行、診療所の合弁の買い戻しに資金が要ること。純負債は大きく、営業利益率 2% で利益は 4 割動く薄利の会社に、高い倍率を払う根拠は弱い。
どちらに重みを置いたか
2026 年が底で、星評価と不採算プランの撤退で 2028 年に利益が戻る点は、会社の約束だけでなく競合の星の低下という外部の事実が支えるので、回復の筋書きは 2028 年の戻りまで厚めに置く。ただし戻りの高さは、ボーナスをどれだけ給付に回すかで決まり、過去 3 年は予測を外したので、会社の目標の 3% より低い 2.1% を中立にした。確率は、MA の支払い凍結・単一支払者・監査の拡大という構造リスクが大きいので悲観を 20%(楽観 6%・やや楽観 15%・中立 31%・やや悲観 28%)とした。規制は資本コストに足さず、この確率で表した。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 12.4 倍(k 9.5%)の 8 割の 9.9 倍。今の PER に寄せていない。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 22% 下。結論は「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 531.92 ドル643 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 170.15 ドル206 億ドル)。 今の値に割り戻すと 322.72 ドル390 億ドル、今との差 −23.3%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 9.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,276 ドル1,542 億ドル | 393.13 ドル475 億ドル | +296.5% | +14.8% | 100.15 ドル121 億ドル |
| やや楽観 | 15% | 953.60 ドル1,152 億ドル | 310.36 ドル375 億ドル | +200.3% | +11.6% | 189.59 ドル229 億ドル |
| 中立 | 31% | 706.06 ドル853 億ドル | 225.12 ドル272 億ドル | +121.2% | +8.3% | 288.66 ドル349 億ドル |
| やや悲観 | 28% | 288.18 ドル348 億ドル | 81.94 ドル99 億ドル | −12.1% | −1.3% | 103.63 ドル125 億ドル |
| 悲観 | 20% | 63.73 ドル77 億ドル | 36.42 ドル44 億ドル | −76.2% | −13.4% | 20.03 ドル24 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 531.92 ドル643 億ドル | 170.15 ドル206 億ドル | +66.8% | +5.2% | 702.07 ドル848 億ドル |
今の株価時価総額 420.97 ドル509 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:星と診療所で 2036 年に利益が 16 倍へ 利益 130 億ドル · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 1,276 ドル1,542 億ドル
2036 年、MA 加入者は 2029 年から年 +3.0% で増えて 890 万人超(星の優位でシェアを少し取る)、1 人あたり収入は年 +4.6% で 3.5 万ドル近く、MA の利益率は 3.6%。その他の保険は利益率 3.5%、薬局は 3.5% 台、診療所・在宅は患者 190 万人・利益率 10% で、診療所だけで営業利益 50 億ドル。連結の営業利益は 184 億ドル、純利益 130 億ドル。売上は 3,000 億ドルを超え、ROE は約 24%。星の優位が価格競争で効き続け、MA の支払いも物価並みに伸びる展開で、成長が落ち着いた後は ROE と g 3.9% の式どおりで評価される。倍率は 正当化 PER 13.2 倍の 9 割、11.9 倍に置く。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。
- メディケア・アドバンテージ(個人+団体):数量 9.4(MA 加入者(百万人、期間の平均))× 価格 28,297(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 2,645 億ドル・営業利益 95 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他の保険(PDP・軍・メディケイド・補完・歯科):数量 12.8(加入者(百万人。PDP 395 万・軍 463 万・州契約 160 万・補完 55 万の合計))× 価格 4,777(1 人あたり年間収入(ドルの平均。軍は手数料型で低く、PDP・メディケイドは高い))→ 売上 610 億ドル・営業利益 21 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- センターウェル薬局:数量 1.3(処方件数(30 日換算、億件。推定))× 価格 217(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 279 億ドル・営業利益 15 億ドル。処方件数・単価・利益率
- センターウェル診療所・在宅:数量 1.9(診療所の患者(百万人、期間の平均))× 価格 26,318(1 人あたり年間収入(ドル。在宅ケアを含む))→ 売上 500 億ドル・営業利益 50 億ドル。患者数・1 人あたり収入・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 24.3%(この筋書きの純利益 130 ÷ 自己資本 534 億ドル。診療所の買収と開設で伸びる会社なのでのれんは除かない)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 14.4%(堀は弱い(1/3):規模と星評価という政府の物差しに乗った強みはあるが、価格(支払い)は政府が決め、ボーナスは給付の改善に消えやすい)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.1 倍 に対し、90% の 11.9 倍に置いた(楽観は式の値の 9 割に置く。星評価と利益率の戻りが一番強く出る筋書き)。時価総額 = 純利益 130.0 億ドル × 11.9 倍 = 1541.8 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:星の優位が価格競争で効き続け、MA の利益率が 3% 台後半、診療所が 190 万人に伸び、制度の大きな変更も起きない展開。10 年で 6%。
やや楽観 15% やや楽観:MA の利益率が 3% 台で定着し診療所が伸びる 利益 106 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 953.60 ドル1,152 億ドル
2036 年、MA 加入者は年 +2.5% で 880 万人超、1 人あたり収入は年 +4.4%、MA の利益率は 3.1%(会社の目標 3% を少し上回る)。その他の保険は 3.2%、薬局は 5.0%、診療所は患者 180 万人・利益率 9%。連結の営業利益は 151 億ドル、純利益 106 億ドル。診療所の成長が MA の収益の薄さを補い、g 3.75% の式どおりに評価される。ボーナス制度は残り、大型の制度変更は起きない。純利益は 2029 年の約 2 倍で、売上は 2029 年の約 1.6 倍(加入者の増加と 1 人あたり収入の上昇)にとどまるため、残りの伸びは利益率の回復から来る。ブラックロスとの合弁の買い戻しは一部だけ進む。倍率は 正当化 PER 12.8 倍の 8.5 割、10.9 倍に置く。伸びと利益率はほぼ計画どおり。
- メディケア・アドバンテージ(個人+団体):数量 8.9(MA 加入者(百万人、期間の平均))× 価格 27,461(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 2,432 億ドル・営業利益 75 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他の保険(PDP・軍・メディケイド・補完・歯科):数量 12.2(加入者(百万人。PDP 395 万・軍 463 万・州契約 160 万・補完 55 万の合計))× 価格 4,673(1 人あたり年間収入(ドルの平均。軍は手数料型で低く、PDP・メディケイドは高い))→ 売上 569 億ドル・営業利益 18 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- センターウェル薬局:数量 1.2(処方件数(30 日換算、億件。推定))× 価格 212(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 256 億ドル・営業利益 13 億ドル。処方件数・単価・利益率
- センターウェル診療所・在宅:数量 1.8(診療所の患者(百万人、期間の平均))× 価格 25,738(1 人あたり年間収入(ドル。在宅ケアを含む))→ 売上 463 億ドル・営業利益 42 億ドル。患者数・1 人あたり収入・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 21.6%(この筋書きの純利益 106 ÷ 自己資本 490 億ドル。診療所の買収と開設で伸びる会社なのでのれんは除かない)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 13.5%(堀は弱い(1/3):規模と星評価という政府の物差しに乗った強みはあるが、価格(支払い)は政府が決め、ボーナスは給付の改善に消えやすい)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.8 倍 に対し、85% の 10.9 倍に置いた(やや楽観は式の値の 8.5 割に置く。戻りは強いがボーナスの一部は給付に回る)。時価総額 = 純利益 106.0 億ドル × 10.9 倍 = 1152.2 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:MA の利益率が 3% 前後で定着し、診療所と在宅が伸びる展開。確率 15%。
中立 31% 中立:MA の利益率は 2% 台後半で定着し、診療所が利益を押し上げる 利益 86 億ドル · PER 9.9 倍 · 株価時価総額 706.06 ドル853 億ドル
2036 年、MA 加入者は 2029 年から年 +2.0%(高齢者の増加は 2030 年代に鈍る)で 830 万人、1 人あたり収入は年 +4.2%(物価 3.5% より速い)で約 2.7 万ドル、MA の売上は約 2,200 億ドルで利益率 2.6%(会社の目標 3% よりやや低く、ボーナスは半分が給付の改善に消える)。その他の保険は利益率 3.0%、薬局は 4.5%(PBM 改革・交渉価格・通販の減少)、診療所・在宅は患者 170 万人・利益率 8.5%。連結の営業利益は 124 億ドル、純利益 86 億ドル。ブラックロスとの合弁の診療所の利益の過半は外に出るが、買い戻しで一部を取り戻す。倍率は 正当化 PER 12.4 倍の 8 割、9.9 倍に置く。メディケア・アドバンテージの利益は星評価と政府の支払い率で決まる山の利益になりやすく、堀は弱い(moat=weak)。
- メディケア・アドバンテージ(個人+団体):数量 8.3(MA 加入者(百万人、期間の平均))× 価格 26,755(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 2,213 億ドル・営業利益 58 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他の保険(PDP・軍・メディケイド・補完・歯科):数量 11.8(加入者(百万人。PDP 395 万・軍 463 万・州契約 160 万・補完 55 万の合計))× 価格 4,540(1 人あたり年間収入(ドルの平均。軍は手数料型で低く、PDP・メディケイドは高い))→ 売上 535 億ドル・営業利益 16 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- センターウェル薬局:数量 1.2(処方件数(30 日換算、億件。推定))× 価格 209(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 242 億ドル・営業利益 11 億ドル。処方件数・単価・利益率
- センターウェル診療所・在宅:数量 1.7(診療所の患者(百万人、期間の平均))× 価格 25,168(1 人あたり年間収入(ドル。在宅ケアを含む))→ 売上 428 億ドル・営業利益 36 億ドル。患者数・1 人あたり収入・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 18.6%(この筋書きの純利益 86 ÷ 自己資本 463 億ドル。診療所の買収と開設で伸びる会社なのでのれんは除かない)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 12.5%(堀は弱い(1/3):規模と星評価という政府の物差しに乗った強みはあるが、価格(支払い)は政府が決め、ボーナスは給付の改善に消えやすい)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.4 倍 に対し、80% の 9.9 倍に置いた(中立は式の値の 8 割に置く。政府の支払いが物価に遅れ、ボーナスの半分は給付の改善に消える)。時価総額 = 純利益 86.0 億ドル × 9.9 倍 = 853.1 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:個人 MA の利益率が会社の目標 3% よりやや低い 2% 台後半で定着し、診療所の成長(1 人あたり 8.5% の利益率)が全体を押し上げる。最大の確率 31%。
やや悲観 28% やや悲観:政府の支払いの抑制が続き、利益率は 1% 台 利益 42 億ドル · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 288.18 ドル348 億ドル
2036 年、政府の支払いの抑制が続き、MA 加入者は 2029 年から年 +0.5% で 700 万人、1 人あたり収入は年 +3.6%(物価並み)、MA の利益率は 1.6%。その他の保険は 2.3%、薬局は件数が減って 3.6%、診療所は患者 125 万人・利益率 6.5%。連結の営業利益は 66 億ドル、純利益 42 億ドルで、2029 年の約 1.8 倍。ROE は約 12% に下がり、g 3% の式どおりで評価される。事業は残るが、規模と星の優位は医療費の上昇に食われ、優良さは落ちる。倍率は 正当化 PER 11.1 倍の 7.5 割、8.3 倍に置く。政府の支払いが絞られ、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる。
- メディケア・アドバンテージ(個人+団体):数量 7.0(MA 加入者(百万人、期間の平均))× 価格 25,042(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 1,763 億ドル・営業利益 28 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他の保険(PDP・軍・メディケイド・補完・歯科):数量 10.6(加入者(百万人。PDP 395 万・軍 463 万・州契約 160 万・補完 55 万の合計))× 価格 4,313(1 人あたり年間収入(ドルの平均。軍は手数料型で低く、PDP・メディケイドは高い))→ 売上 457 億ドル・営業利益 11 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- センターウェル薬局:数量 1.0(処方件数(30 日換算、億件。推定))× 価格 201(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 204 億ドル・営業利益 7 億ドル。処方件数・単価・利益率
- センターウェル診療所・在宅:数量 1.3(診療所の患者(百万人、期間の平均))× 価格 23,735(1 人あたり年間収入(ドル。在宅ケアを含む))→ 売上 297 億ドル・営業利益 19 億ドル。患者数・1 人あたり収入・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 11.6%(この筋書きの純利益 42 ÷ 自己資本 362 億ドル。診療所の買収と開設で伸びる会社なのでのれんは除かない)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 10.2%(堀は弱い(1/3):規模と星評価という政府の物差しに乗った強みはあるが、価格(支払い)は政府が決め、ボーナスは給付の改善に消えやすい)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.1 倍 に対し、75% の 8.3 倍に置いた(やや悲観は式の値の 7.5 割に置く。政府の支払いが絞られ、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる)。時価総額 = 純利益 42.0 億ドル × 8.3 倍 = 348.2 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:政府の支払いの抑制が続き、監査・給付の見直しで MA の利益率が 1% 台に張り付く展開。2024〜2026 年の実績から厚く置く。確率 28%。
悲観 20% 悲観:MA の支払い凍結・単一支払者で、もう優良ではなくなる 利益 12 億ドル · PER 6.4 倍 · 株価時価総額 63.73 ドル77 億ドル
2036 年、政府が MA の支払いを実質的に凍結する(またはメディケアの直接払いが広がる)。MA 加入者は 2029 年から年 −1.5% で 590 万人、1 人あたり収入は年 +3.0%(物価を下回る)、MA の利益率は 0.7%。その他の保険は 1.3%、薬局は 2.5%、診療所は合弁の買い戻しの負担で患者 90 万人・利益率 4%。連結の営業利益は 30 億ドル、純利益 12 億ドル。ROE は 5% 台・g 3% の式 (1 − g ÷ ROE) ÷ (k − g) で 6.4 倍に評価される。事業は存続するが、もう優良ではなく、時価総額は 77 億ドル(自己資本 232 億ドルの 0.3 倍)まで下がる。
- メディケア・アドバンテージ(個人+団体):数量 5.9(MA 加入者(百万人、期間の平均))× 価格 23,417(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 1,369 億ドル・営業利益 10 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他の保険(PDP・軍・メディケイド・補完・歯科):数量 9.7(加入者(百万人。PDP 395 万・軍 463 万・州契約 160 万・補完 55 万の合計))× 価格 4,059(1 人あたり年間収入(ドルの平均。軍は手数料型で低く、PDP・メディケイドは高い))→ 売上 393 億ドル・営業利益 5 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- センターウェル薬局:数量 0.9(処方件数(30 日換算、億件。推定))× 価格 191(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 172 億ドル・営業利益 4 億ドル。処方件数・単価・利益率
- センターウェル診療所・在宅:数量 0.9(診療所の患者(百万人、期間の平均))× 価格 22,371(1 人あたり年間収入(ドル。在宅ケアを含む))→ 売上 201 億ドル・営業利益 8 億ドル。患者数・1 人あたり収入・利益率
倍率:悲観側の利益ベースの上限の内側に置く。この筋書きの ROE 5.2%(純利益 12.0 ÷ 自己資本 232 億ドル)は k 9.50% 以下なので、ためた利益は元の額より小さい価値で、正当化 PER は 1 ÷ k = 10.5 倍が上限。その 61% の 6.4 倍に置いた(悲観は ROE が k に届かず、g 3% の式 (1 − g ÷ ROE) ÷ (k − g) = 6.5 倍で置く(政府が MA の支払いを凍結する構造的な負け))。時価総額 = 純利益 12.0 億ドル × 6.4 倍 = 77.0 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:連邦が MA の支払いを実質凍結するか、直接払い(単一支払者)へ進み、診療所も合弁の買い戻しの負担で伸びない構造的な負け。規制を k に足さず確率で表した分を厚く置いた。10 年で 20%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
メディケア・アドバンテージ(個人+団体)
高齢者向けの公的医療保険を民間が運営する保険。個人 MA と団体 MA(退職者向けの団体契約)。政府からの定額の支払い(星のボーナス・リスク調整を含む)が収入。
| 数量MA 加入者(百万人、期間の平均) | 価格1 人あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 7.2 | 17,000 | 1,224 | −10 |
| 10 年後 中立 | 8.3 | 26,755 | 2,213 | 58 |
取り方:2026 年 6 月末の個人 MA 645.4 万人・団体 MA 72.7 万人(合計 718 万人、年末は個人 +25% の約 656 万人・団体約 72 万人)。期間の平均で 720 万人と置いた。1 人あたり収入は MA の 1 人 1 か月あたり約 1,400 ドル(推定)で年約 1.7 万ドル、売上は約 1,224 億ドル(保険の売上 1,550 億ドル以上のうち)。営業利益は保険全体がほぼゼロという見通しから、MA は約 −10 億ドル(−0.8%)、その他の保険が約 +10 億ドルと配分した(推定)。競合はユナイテッドヘルス・グループ(約 3 割)・CVSヘルス・センティーン・エレバンス・ヘルス。中立の 1 人あたり収入は 3 年 1.18 倍(政府の支払いの伸び 年 4.7%+星ボーナスの復活 3%)、10 年 1.57 倍で、物価の 3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍より速い(医療費の伸びに政府の支払いが 2 年遅れでついていく)。
その他の保険(PDP・軍・メディケイド・補完・歯科)
処方薬だけの PDP、軍人・家族向け TRICARE 東部の運営、州のメディケイド、メディケア補完保険、歯科・視力。
| 数量加入者(百万人。PDP 395 万・軍 463 万・州契約 160 万・補完 55 万の合計) | 価格1 人あたり年間収入(ドルの平均。軍は手数料型で低く、PDP・メディケイドは高い) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 10.7 | 3,000 | 321 | 10 |
| 10 年後 中立 | 11.8 | 4,540 | 535 | 16 |
取り方:2026 年 6 月末の PDP 394.6 万人(2025 年末より約 148 万人増)、軍 463.0 万人、州契約 160.3 万人、補完 55.2 万人の合計 1,073 万人(歯科・視力の 490 万人は除く)。売上は保険の売上 1,550 億ドル以上から MA の約 1,224 億ドルを引いた約 321 億ドル(推定)で、1 人あたり平均 3,000 ドル。営業利益は約 +10 億ドル(3.1%、推定)。競合は PDP ではシグナ(エバーノース)・CVSヘルス(エトナ)、州のメディケイドではセンティーン・エレバンス・ヘルス。1 人あたりの収入は医療費の伸びに合わせて 3 年 1.15 倍・10 年 1.55 倍とした。
センターウェル薬局
通販と専門薬の薬局、会員向けの調剤。保険の会員の処方の一部を自前で調剤する。
| 数量処方件数(30 日換算、億件。推定) | 価格1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1.0 | 150 | 150 | 8 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 209 | 242 | 11 |
取り方:開示は薬局の売上(部門間を含む)1〜6 月 69.5 億ドルのみ(2026 年 4〜6 月は 37.9 億ドル、前年同期比 +21%)。通年で約 150 億ドルとし、処方件数は開示がないため 30 日換算で 1.0 億件・1 件 150 ドルと推定した。営業利益はセンターウェル全体の見通し 13〜18 億ドル(GAAP)の約半分を診療所に配分した残りで約 8 億ドル(5.3%)。競合はエバーノース(エクスプレス・スクリプツ)・CVSヘルス(ケアマーク)・オプタム Rx。メディケア会員の通販比率は 23.8%(前年 26.0%)に下がっている。単価は薬の値上がりと専門薬の比率の増加を、インフレ抑制法の交渉価格が抑える差で 3 年 1.11 倍・10 年 1.38 倍(物価並みを下回る)とした。
センターウェル診療所・在宅
高齢者向けのプライマリケア診療所(398 拠点)と在宅ケア。保険の医療費を下げる医療提供部門。
| 数量診療所の患者(百万人、期間の平均) | 価格1 人あたり年間収入(ドル。在宅ケアを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 0.6 | 17,000 | 100 | 8 |
| 10 年後 中立 | 1.7 | 25,168 | 428 | 36 |
取り方:2026 年 6 月末の診療所は 398 拠点・患者 62.2 万人(前年末 49.1 万人、+27%)。年末は約 72 万人と見て、期間の平均で 59 万人と置いた。売上は診療所と在宅で約 100 億ドル、1 人あたり約 1.7 万ドル(在宅を含む推定)。営業利益は約 8 億ドル(8%)で、新設(デノボ)146 拠点の立ち上がりの赤字を含む。競合はユナイテッドヘルス・グループのオプタム、CVSヘルスのオークストリート・ヘルス。価格は 3 年 1.11 倍・10 年 1.50 倍(リスク型契約の比率の上昇)。
リスクと懸念
MA の支払いが医療費に追いつかない
2027 年の支払いは最終で平均 2.48% の引き上げ(リスク調整の変更を足しても実質 5% 前後)で、医療費の伸び(高い 1 桁台後半)を下回る。政治の判断で毎春決まるため、給付削減で埋められない年が続けば、利益率の回復が遅れる。
星評価の維持とボーナス制度の変更
2027 年版の星評価は 95% が 4 つ星以上と好結果だが、星は毎年測られ、基準も毎年変わる。ボーナスの縮小・廃止が立法や CMS の規則で決まれば、2028 年の利益の見込みの主要部分が消える。2025 年の訴訟は棄却され控訴中。
新規会員の採算と撤退後の再取り込み
2026 年に個人 MA を約 25% 増やした会員の医療費が想定を上回れば、2027 年も利益が出ない。2027 年は約 60 万人のプランから撤退し、2025 年の実績では撤退した会員の約 4 割しか取り戻せなかったため、売上が先に減る可能性が高い。
リスク調整の監査(RADV)と司法省の調査
会社は CMS の最終 RADV 規則に反対している。過去分に遡る返還請求が広がれば、数億〜数十億ドルの一時費用と、将来の支払いの低下が重なる。業界全体の制度リスクで、会社が防げる範囲は小さく、結果が出るまで数年かかるため、見通しが長く不透明になる。
PDP とセンターウェル薬局の採算
PDP は 2026 年に約 100 万人増える見込みだが、インフレ抑制法の自己負担上限と薬の交渉価格で保険者の負担が増える制度に変わった。通販比率も 26.0% から 23.8% へ下がっており、薬局の利益が圧迫される可能性がある。
診療所の合弁と資金
ブラックロスとの新しい合弁(約 150 拠点)は、プット権を無くして負債を減らす一方、診療所の利益の過半を外へ出す。2028 年からの買い戻しの選択権は、2033 年末までに行使しなければブラックロスの売却の対象になり、買い戻しに数十億ドルが要る。
単一支払者・公的保険の直接払い
政府が民間保険者を飛ばして直接払う仕組みや、MA の支払いの凍結が議論されれば、保険の取り分が構造的に縮む。起きる確率と時期は読めないため、10 年の悲観を 20% と厚く置いた。保険者の取り分は大半が政府の資金に結びつくので、政策の方向が変わる影響は個別の経営努力では防げない。
今後の分かれ目
- 2026 年第 3・第 4 四半期の医療費率が会社の見通し(通期 92.75%)に収まり、2027 年の見通しが利益 2 倍以上になったら
- 回復が確かになる。楽観・やや楽観の確率を 数ポイント上げてよい。
- 2028 年のボーナス支払い(総額で数十億ドル)の半分以上が利益に残ると、投資家向け更新(2026-12-10)で示されたら
- 個人 MA の税引き前利益率 3% の約束が確かになる。中立の MA 利益率を 2.1% から 2.7% 前後(やや楽観)に寄せてよい。
- ボーナス制度の縮小・廃止や RADV の過去分への返還請求が決まったら
- 2028 年以降の利益の見込みが 3〜5 割落ちる。悲観・やや悲観の確率を 10 ポイント上げる。
- 2027 年の撤退後に再取り込みできる会員が 4 割を大きく下回ったら
- 売上が先に減る。中立の加入者数を 720 万人から 680 万人(やや悲観)へ寄せる。
- 連邦が MA の支払い凍結や単一支払者を法案として進めたら
- 10 年の悲観を 20% から 30% 前後へ上げる。規模と星の価値が下がり、中立以下を厚くする。
- センターウェルの診療所の患者が年 12 万人以上増え続け、利益率が 8% を超えたら
- 保険の外の稼ぎが増えて連結の利益の質が上がる。10 年の ROE と倍率を上げてよい。
見ておくもの
- 保険の医療費率(四半期)と通期見通し(92.75% ±0.25 ポイント)、2026 年 11 月 6 日の第 3 四半期決算
- 2026 年 12 月 10 日の投資家向け更新(2028 年の個人 MA の税引き前利益率 3% の更新)
- 2027 年の MA の会員数(撤退後の再取り込み率)と給付の設計
- 星評価のボーナス支払い(2028 年)と CMS の星の基準・RADV の規則
- PDP の加入者と採算、薬の交渉価格の影響
- センターウェルの患者数・利益率、ブラックロスとの合弁の完了(2026 年第 4 四半期)
- 純負債・配当・自社株買い
倍率と資本コストの決め方
今の PER 42 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC は k に、事業の ROE が k を超える分の残る割合を足した値。moat は weak)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 12.4 倍(g 4%、k 9.5%)の 8 割の 9.9 倍。今の値段には寄せていない。総合は今の時価総額より約 22% 下。結論は「やや割高」。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 0.77 × 5%。基本 8.0% に quality +1.5% を足して 9.5%。前は β 0.77 で k 6.85% としていたが、v2 では β を使わず 4 つの目安で見る。支払いを政府が握る値決めの弱さ、2026 年の谷で重く見える借金、収入が MA と単一の顧客に偏る構造を値決め・借金・寿命で見た。同じ領域のユナイテッドヘルス・エレバンス・シグナ・センティーンより高いのは、MA に特化して政策の影響が一点に集まるため。政策(MA の支払い・星・監査・単一支払者)・医療費の読み違いは分散できる個別のリスクなので k には足さず、確率と悲観の深さで表した。存続が危ない会社ではないので上乗せ(extra)は置かない。k 9.5% なので g は 4% 以下(k − g ≥ 3.5%)。