結論
バイオテクネ(Bio-Techne)は、研究者向けのタンパク質・抗体・試薬(R&D Systems・Tocris・Novus Biologicals)、タンパク質解析装置(ProteinSimple)、空間生物学(ACD・Lunaphore)、診断用の対照・校正物質(Asuragen ほか)を持つライフサイエンス機器・試薬の会社である。2026 年 6 月期は売上 12.15 億ドル(横ばい、自然増 0%)、GAAP の営業利益 2.52 億ドル(20.7%)、純利益 1.82 億ドル。調整後の営業利益率は 31.9% だが、買収の無形資産の償却(0.61 億ドル)と株式報酬(0.43 億ドル)は実在する費用なので、費用のまま GAAP で見る。
2026 年 6 月 25 日にメルク KGaA(ドイツ・ダルムシュタット)が全額現金で買収する契約を結び、企業価値は約 113 億ドル、株主総会は 9 月 23 日に承認、完了は 2026 年末か 2027 年初とされる。成立していない買収なので、この分析は入れず単体で評価する。
市場 × シェア × 価格で 4 つの事業を積むと、中立の売上は 2036 年 6 月期に 22.0 億ドル(年 +6.1%)、GAAP の営業利益率は 20.7% から 29.0% へ上がり、純利益は 4.9 億ドル。資本コストは 8.25%(基本 8.0% に、研究費の循環 +0.5% と値決め力 −0.25%)、成熟後の PER は、利益ベースの正当化 PER 14.9 倍(g 4%・ROE 13.7%・RONIC 11.0%)の 8 割にあたる 12.4 倍に置いた。2036 年の時価総額は 61 億ドル。確率でならした本質価値は、今の時価総額(約 114 億ドル)の 3 分の 1 弱にとどまり、割高と出る。
事業の質は高い(タンパク質事業の粗利率は 75%)が、GAAP の ROE は 8.6% で資本コストを下回り、買収を重ねたのれん(9.8 億ドル)が利益を薄めてきた。今の PER 63 倍(GAAP)は、利益率の回復と成長の復活を前払いしている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後を問う。研究者が実験で使う試薬・抗体と装置は、創薬と基礎研究が続く限り要り、事業が消える心配は小さい。堀はブランドと信頼で、タンパク質事業の粗利率 75% がその強さを示すが、競合が置き換えられないほど小さいわけではない。
オーナー利益を見る。株式報酬と償却を費用にした GAAP の純利益は 1.82 億ドルで、時価総額 約 114 億ドルに対して 1.6%。フリーキャッシュフロー(営業 CF 2.92 億ドル − 設備投資 0.29 億ドル = 2.63 億ドル)でも 2.3% で、無リスク金利(5%)を大きく下回る。この差は、10 年間の利益率の回復と成長への前払いである。
資本配分は、のれん 9.8 億ドルと減損の履歴が示すとおり優れていない。ROE が 8.6% と資本コスト(8.25%)を下回る期間が長く、返すより買収に回した資金の収益性が低かった。
安全域は無い。中立の 10 年後の時価総額は 61 億ドルで、割り引くと今の約 2 割(還元を足して約 3 割)。楽観でも 103 億ドルで、割り引くと今の約 4 割(還元を足して約 5 割)。メルクの買収提案(企業価値 約 113 億ドル)は、この単体の価値の約 4 倍の値段で、売る側の株主には有利である。買う側に立てば、時価総額が 30 億ドル前後まで下がって、ようやく安全域が出る。
何で稼ぐ会社か
会社は 2 つの報告セグメントを持つ。Protein Sciences(売上の約 72%、2026 年 6 月期 8.75 億ドル、営業利益率 41.1%)は、Reagent Solutions(R&D Systems のサイトカイン・増殖因子・抗体・免疫測定キット、小分子の Tocris、抗体の Novus Biologicals)と、Analytical Solutions(ProteinSimple の自動ウェスタンなどのタンパク質解析装置とカートリッジ)から成る。研究室が日々使う消耗品が中心で、会社全体の売上の 8 割強が消耗品、装置と保守サービスはそれぞれ 1 割弱である。細胞・遺伝子治療の製造向けの GMP グレードのタンパク質は、治療薬を作る企業が培養に使う高付加価値品で、成長の柱に位置づけられている。
Diagnostics and Spatial Biology(約 28%、3.36 億ドル、営業利益率 11.2%)は、空間生物学(ACD の RNAscope に代表される組織内の遺伝子発現の可視化と、Lunaphore の COMET)と、診断用の対照・校正物質や Asuragen の分子診断から成る。前立腺がんの尿検査 ExoDx を持つ Exosome Diagnostics は、2025 年 9 月に mdxhealth へ売却済み(総額 1,500 万ドル)である。
顧客は大学・政府の研究室、製薬・バイオ、診断薬・治療薬の開発企業で、売上の 1 割を超える顧客はない。売上の 48% は米国外、米国連邦政府向けは 1% 未満。
この分析では売上を 4 つの事業に分ける:試薬・タンパク質・抗体(R&D Systems ほか、推定 7.29 億ドル)、タンパク質解析装置(ProteinSimple、推定 1.45 億ドル)、空間生物学(ACD・Lunaphore、推定 1.10 億ドル)、診断(対照・校正物質・Asuragen・ロイヤルティ、推定 2.30 億ドル)。会社が開示するのは 2 つのセグメントだけなので、この分割は担当の推定である。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 はブランドと品質への信頼で、R&D Systems のサイトカイン・増殖因子は論文で標準品として使われ、研究者は結果の再現のために同じ製品を買い続ける。新製品は 2026 年 6 月期だけで 1,900 超、特許は取得約 487 件・出願中約 230 件。第 2 は採算で、Protein Sciences の粗利率は 75%、全社は 65.8%、調整後の営業利益率は 31.9%。研究用の消耗品は 1 回の購入額が小さく、価格より品質と納期で選ばれるので値上げの余地がある。第 3 は ProteinSimple の装置とカートリッジの組み合わせで、装置を置けば消耗品を買い続ける。
弱い所は 4 つ。①GAAP の ROE は 8.6%(2025 年 6 月期は 3.8%)。買収の累積でのれん 9.8 億ドルが総資産の 38% を占め、2025 年 6 月期には売却予定の事業で 0.8 億ドルを減損した。調整後の利益率の高さは、償却と株式報酬という実在の費用を足し戻した値である。②自然増は 2024〜2026 年 6 月期に +1%・+5%・0% と、市場より速く伸びるという会社の目標に届いていない。③診断・空間生物学は営業利益率 11% で、Lunaphore の買収(1.70 億ドル)の回収は先になる。④競合のサーモフィッシャー・ダナハー(アブカム)・メルク KGaA は規模が大きく、販売網と抱き合わせの力を持つ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は 4 つ。①研究用試薬(抗体・組換えタンパク質・免疫測定キット):調査会社の推定は、研究用抗体が 2025 年に約 40 億ドル(18.7〜41.8 億ドルと幅が大きい)、組換えタンパク質が 25〜40 億ドルで、年 7〜9% で伸びる(物価込み)。担当は周辺の免疫測定キットなどを足して市場を約 100 億ドルとおき、同社のシェアを約 7% とみる(推定)。競合はサーモフィッシャー(Invitrogen)、2023 年にダナハーが買収したアブカム、メルク KGaA(MilliporeSigma)、セル・シグナリング・テクノロジーなどで、細分化され 1 社の寡占にはならない。②タンパク質解析装置(約 40 億ドル、推定):免疫測定・自動ウェスタンなどで、装置の発注の循環に左右される。③空間生物学(推定で 2025 年に 10〜18 億ドル、2030 年に 24〜29 億ドルとの予測):10x ジェノミクス、ブルカー(ナノストリング)、イルミナなどが競い、年 10〜19% で伸びる。④診断(対照・校正物質・分子診断、約 80 億ドル、推定):伸びは緩やか。
需要を決めるのは研究費。米国の NIH は 2026 会計年度の 472 億ドルに対し、政権の 2027 年度予算案は 12% 減の 412 億ドルと間接費の 15% 上限を求めるが、議会は 2026 年度に上限を認めず、上限は訴訟と歳出法の付帯条件で止まっていると報じられる。2026 年 6 月期の同社は、大手製薬が 6 四半期連続で 2 桁の増収、新興バイオは資金調達が弱く、米国の学術は低い 1 桁の増収で安定した。サーモフィッシャーとダナハーの営業利益率(2025 年)は GAAP で 19〜21% で、同社の GAAP 20.7% は並ぶが、調整後 31.9% は高採算である。
資本政策と M&A
還元は配当(2026 年 6 月期 0.50 億ドル、純利益の約 27%)と自社株買い(2026 年 6 月期 0.42 億ドル、2025 年 6 月期は 2.76 億ドル)。株数は 2026 年 8 月 17 日時点で 1.568 億株、希薄化後の平均は 1.570 億株で、株式報酬(年 0.43 億ドル)を自社株買いが打ち消す形。純現金は 0.65 億ドル(現金 2.65 億ドル、借入 2.00 億ドル)で、借入は 2025 年 6 月期末の 3.46 億ドルから返した。
M&A は買収で伸びてきた歴史(ProteinSimple・ACD・Asuragen・Exosome・Lunaphore 1.70 億ドル・Wilson Wolf への 19.9% 出資)。Exosome は売却済み。Wilson Wolf の残りは 2027 暦年末までに取得する予定だが、成立していないので入れていない。
2026 年 6 月 25 日にメルク KGaA が全額現金で買収すると決め、企業価値は約 113 億ドル(1 か月の出来高加重平均に対し 36% の上乗せ)。株主総会は 9 月 23 日に承認、米国の独禁の待機期間は終了し、ドイツの独禁も通過と報じられる。完了は 2026 年末か 2027 年初、契約が壊れれば会社が約 2.3 億ドル、メルクが約 5.8 億ドルを払う。契約中は自社株買いが禁止され、四半期の決算説明会も中止し、業績見通しもない。メルクは年 1.4 億ユーロのコスト削減を見込む。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
バイオ医薬と細胞・遺伝子治療の製造が伸び、試薬の本業がその恩恵を受ける。2026 年 6 月期第 3 四半期は、大手製薬が 6 四半期連続で 2 桁の増収、GMP タンパク質は 2 社のファストトラック顧客を除くと約 5 割増、プロテオーム装置は中位 1 桁増、空間生物学は 10 台半ばの増収だった。学術市場は米国で低い 1 桁増に戻り、NIH の削減は議会が止めている。
採算は競合より高い。Protein Sciences の営業利益率は 41%、全社の調整後は 31.9% で、サーモフィッシャーやダナハーの GAAP の営業利益率(19〜21%)を大きく上回る。Exosome の売却と償却の減少で、GAAP の営業利益率は 8.4%(2025 年 6 月期)から 20.7% へ戻り、調整後との差(償却 0.61 億ドル)は年々縮む。償却が尽きれば GAAP の利益が伸び、ROE は 8.6% から 17% 近くへ上がりうる。
さらに、メルク KGaA が 36% の上乗せで企業価値 113 億ドルを払うと決めたこと自体が、試薬・空間生物学・細胞治療が 1 社にそろう位置の希少さを第三者が高く評価した証拠である。
慎重な見方
自然増は 2024〜2026 年 6 月期に +1%・+5%・0% で、2026 年 6 月期は Protein Sciences が自然増 -1%。学術と新興バイオの弱さを大手製薬と GMP が埋めきれていない。GAAP の ROE は 8.6% で資本コスト 8.25% を下回る。調整後の純利益 3.03 億ドルは GAAP の 1.82 億ドルの 1.7 倍で、この差は買収の無形資産の償却と株式報酬という実在の費用である。今の PER は GAAP で約 63 倍、調整後でも約 38 倍で、サーモフィッシャー(39 倍)・ダナハー(45 倍)並みの値段を、伸びの鈍い会社に払う形になっている。
競争は厳しい。研究用の抗体・タンパク質はサーモフィッシャー・アブカム(ダナハー)・メルク・セル・シグナリングが並び、組換え抗体の普及と AI で設計されたタンパク質の増加が、価格を決める力を削る。空間生物学は 10x ジェノミクス・ブルカー・イルミナが規模で先行し、Lunaphore(買収額 1.70 億ドル)の回収は見えない。NIH の 2027 年度予算案は 12% 減で、大学の資金難は続く。
資本配分も弱い。売却予定の事業の減損(2025 年 6 月期 0.8 億ドル)が示すとおり、買収で伸びた分の収益性は低く、利益ベースで測れば、中立でも 10 年後の PER は 12.4 倍にとどまる。
どちらに重みを置いたか
事業の質では強気の見方が強い。GMP タンパク質・大手製薬・空間生物学は確かに伸びている。ただ自然増の鈍さ(直近 3 年は 0〜5%)が続き、10 年も楽観とやや楽観 28%、やや悲観と悲観 36% と、悲観側を厚くした。
値段の議論は慎重な見方が勝つ。事業が優れていても、GAAP の ROE と資本コストから出る正当化 PER は 14.9 倍、中立で置いた PER は 12.4 倍で、今の 63 倍の 5 分の 1 ほどになる。楽観の筋書きですら、割り引くと今の時価総額に届かない。メルクの提案は買い手のコスト削減(年 1.4 億ユーロ)を含む値段で、単体の本質価値とは別物である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 35.05 ドル55 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 10.55 ドル17 億ドル)。 今の値に割り戻すと 22.96 ドル36 億ドル、今との差 −68.4%、 期待の年率 −4.5%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 72.48 ドル114 億ドル | 12.74 ドル20 億ドル | +17.3% | +1.6% | 6.82 ドル11 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 53.56 ドル84 億ドル | 12.23 ドル19 億ドル | −9.4% | −1.0% | 13.16 ドル21 億ドル |
| 中立 | 36% | 38.60 ドル61 億ドル | 11.46 ドル18 億ドル | −31.1% | −3.7% | 18.02 ドル28 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 14.33 ドル23 億ドル | 8.92 ドル14 億ドル | −68.0% | −10.8% | 5.58 ドル9 億ドル |
| 悲観 | 12% | 10.06 ドル16 億ドル | 6.81 ドル11 億ドル | −76.8% | −13.6% | 2.03 ドル3 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 35.05 ドル55 億ドル | 10.55 ドル17 億ドル | −37.2% | −4.5% | 45.60 ドル72 億ドル |
今の株価時価総額 72.62 ドル114 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:細胞治療向けの GMP 品と空間生物学が伸び、試薬のシェアも広がる(年 +9.8%) 利益 8 億ドル · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 72.48 ドル114 億ドル
細胞・遺伝子治療の商用化が進み、GMP タンパク質が試薬全体の成長を押し上げる。試薬の市場は実質年 +4.5%、シェア 7.3%→8.2%、価格 1.43 倍で 18.20 億ドル。解析装置は年 +4%・シェア 4.0% で 3.22 億ドル、空間生物学は市場 年 +11%・シェア 9.0%(COMET と ACD の組み合わせで臨床の研究へ)・価格 1.12 倍で 4.29 億ドル、診断は年 +3.5% で 5.32 億ドル。売上は 31.03 億ドル(年 +9.8%)、事業の営業利益は 11.66 億ドル、GAAP の営業利益は 10.21 億ドル(32.9%)、純利益は 7.86 億ドル。サーモフィッシャーやダナハーに勝ち、試薬のシェアを 1 ポイント近く広げた場合の姿である。10 年目の利益の伸びは 8〜9% で 10% を超えないので、倍率は 1 段の式で出す。
- 試薬・タンパク質・抗体(R&D Systems・Tocris・Novus):数量 12.7(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 143(価格指数(2026 年 = 100)。物価 3.5% より遅れて年 +3.3%(10 年で 1.38 倍))→ 売上 18 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 実質 年 +4.5%(今の 100 億ドルから 155 億ドル)・シェア 8.20%・価格 10 年で 1.43 倍
- タンパク質解析装置(ProteinSimple):数量 2.4(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 136(価格指数(2026 年 = 100)。装置は競争で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +4.0%(今の 40 億ドルから 59 億ドル)・シェア 4.00%・価格 10 年で 1.36 倍
- 空間生物学(ACD・Lunaphore):数量 3.8(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 112(価格指数(2026 年 = 100)。1 サンプルあたりの費用が下がり年 +0.5%(10 年で 1.05 倍))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +11.0%(今の 15 億ドルから 43 億ドル)・シェア 9.00%・価格 10 年で 1.12 倍
- 診断(対照・校正物質・Asuragen ほか):数量 3.7(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 143(価格指数(2026 年 = 100)。契約更改で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +3.5%(今の 80 億ドルから 113 億ドル)・シェア 3.30%・価格 10 年で 1.43 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 17.3%(この筋書きの純利益 7.9 ÷ 自己資本 46 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC = k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 12.8%(堀は普通:抗体・タンパク質の試薬は研究者が品質で選び替えにくいが、競合も多く ROE は k を少し超える程度。強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 年 3〜4% × シェア横ばい × 価格 3%)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.2 倍 に対し、90% の 14.5 倍に置いた(試薬と空間生物学の質は高く、研究予算の回復で伸びるが、競合が多く、研究予算の循環と中国の需要に振れる)。時価総額 = 純利益 7.9 億ドル × 14.5 倍 = 113.8 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:GMP タンパク質と空間生物学が 10 年続けて伸び、試薬のシェアが 7.3%→8.2% に広がり、償却の消滅で GAAP の営業利益率が 33% に届く展開。直近の自然増(+1%・+5%・0%)を見ると確度は低く、8%。
やや楽観 20% やや楽観:GMP と空間生物学が牽引し、自然増 8% 台、GAAP の営業利益率 31% 利益 6 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 53.56 ドル84 億ドル
試薬の市場は実質年 +3.75%、シェア 7.3%→7.8%、価格 1.41 倍で 15.89 億ドル。解析装置は年 +3.25%・シェア 3.8% で 2.78 億ドル、空間生物学は市場 年 +9.5%・シェア 8.0%・価格 1.08 倍で 3.21 億ドル、診断は年 +3% で 4.66 億ドル。売上は 26.54 億ドル(年 +8.1%)、事業の営業利益は 9.68 億ドル、GAAP の営業利益は 8.21 億ドル(30.9%)、純利益は 6.32 億ドル。償却が 0.61 億ドルから 0.3 億ドル前後へ減り、株式報酬と本社費用は物価で増える。サーモフィッシャーやアブカムと並ぶ販売網を持たなくても、試薬の品質と納期で選ばれ続け、競合の値下げに価格では追随しなかった場合の姿である。
- 試薬・タンパク質・抗体(R&D Systems・Tocris・Novus):数量 11.3(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2026 年 = 100)。物価 3.5% より遅れて年 +3.3%(10 年で 1.38 倍))→ 売上 16 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 実質 年 +3.8%(今の 100 億ドルから 145 億ドル)・シェア 7.80%・価格 10 年で 1.41 倍
- タンパク質解析装置(ProteinSimple):数量 2.1(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 133(価格指数(2026 年 = 100)。装置は競争で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +3.2%(今の 40 億ドルから 55 億ドル)・シェア 3.80%・価格 10 年で 1.33 倍
- 空間生物学(ACD・Lunaphore):数量 3.0(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 108(価格指数(2026 年 = 100)。1 サンプルあたりの費用が下がり年 +0.5%(10 年で 1.05 倍))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +9.5%(今の 15 億ドルから 37 億ドル)・シェア 8.00%・価格 10 年で 1.08 倍
- 診断(対照・校正物質・Asuragen ほか):数量 3.3(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 140(価格指数(2026 年 = 100)。契約更改で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +3.0%(今の 80 億ドルから 108 億ドル)・シェア 3.10%・価格 10 年で 1.40 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 15.7%(この筋書きの純利益 6.3 ÷ 自己資本 40 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC = k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 12.0%(堀は普通:抗体・タンパク質の試薬は研究者が品質で選び替えにくいが、競合も多く ROE は k を少し超える程度。強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 年 2〜3% × シェア横ばい × 価格 3%)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.7 倍 に対し、85% の 13.3 倍に置いた(試薬と診断の収入は安定するが、競合が多く、研究予算の循環と中国の需要に振れる)。時価総額 = 純利益 6.3 億ドル × 13.3 倍 = 84.1 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:GMP と空間生物学の伸びが続き、償却が消えて GAAP の利益率が戻る展開。会社の目標(市場より速く伸びる)の下側で、20%。
中立 36% 中立:自然増 6%、利益率は GAAP で 29% へ。高採算の試薬会社として評価 利益 5 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 38.60 ドル61 億ドル
試薬は市場の実質年 +3.0%・シェア 7.3%・価格 1.38 倍で 13.54 億ドル、解析装置は年 +2.5%・シェア 3.6%・価格 1.30 倍で 2.39 億ドル、空間生物学は市場 年 +8%・シェアは 10x ジェノミクス・ブルカーに押されて 7.0%・価格 1.05 倍(1 サンプルあたりの費用が下がり物価に届かない)で 2.38 億ドル、診断は年 +2%・価格 1.30 倍で 3.68 億ドル。売上は 21.99 億ドル(年 +6.1%)、事業の営業利益は 7.87 億ドル(35.8%)、GAAP の営業利益は 6.37 億ドル(29.0%)、純利益は 4.90 億ドル。償却は 0.3 億ドル前後まで減り、株式報酬(0.6 億ドル)と本社費用は物価で増える。10 年で 18.0 億ドルを正味で還元し(純利益の合計の約 55%)、残りは小さな買収と設備に回る。競合に負けて試薬のシェアが 7.3%→6.5% に下がれば純利益は約 0.5 億ドル減り、勝って 8.2% になれば約 0.6 億ドル増える。
- 試薬・タンパク質・抗体(R&D Systems・Tocris・Novus):数量 9.8(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 138(価格指数(2026 年 = 100)。物価 3.5% より遅れて年 +3.3%(10 年で 1.38 倍))→ 売上 14 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 実質 年 +3.0%(今の 100 億ドルから 134 億ドル)・シェア 7.30%・価格 10 年で 1.38 倍
- タンパク質解析装置(ProteinSimple):数量 1.8(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 130(価格指数(2026 年 = 100)。装置は競争で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +2.5%(今の 40 億ドルから 51 億ドル)・シェア 3.60%・価格 10 年で 1.30 倍
- 空間生物学(ACD・Lunaphore):数量 2.3(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 105(価格指数(2026 年 = 100)。1 サンプルあたりの費用が下がり年 +0.5%(10 年で 1.05 倍))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +8.0%(今の 15 億ドルから 32 億ドル)・シェア 7.00%・価格 10 年で 1.05 倍
- 診断(対照・校正物質・Asuragen ほか):数量 2.8(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 130(価格指数(2026 年 = 100)。契約更改で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +2.0%(今の 80 億ドルから 98 億ドル)・シェア 2.90%・価格 10 年で 1.30 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 13.7%(この筋書きの純利益 4.9 ÷ 自己資本 36 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC = k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 11.0%(堀は普通:抗体・タンパク質の試薬は研究者が品質で選び替えにくいが、競合も多く ROE は k を少し超える程度。強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 年 2〜3% × シェア横ばい × 価格 3%)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.9 倍 に対し、83% の 12.4 倍に置いた(試薬と診断の収入は安定するが、競合が多く、研究予算の循環と中国の需要に振れる)。時価総額 = 純利益 4.9 億ドル × 12.4 倍 = 60.6 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:市場の伸び(実質 3% 前後)・シェア横ばい・価格は物価にやや届かず、償却の減少で GAAP の利益率が戻る。最大の 36%。
やや悲観 24% やや悲観:大手に押され自然増 3%、空間生物学は伸びても利益にならない 利益 3 億ドル · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 14.33 ドル23 億ドル
試薬の市場は実質年 +1.5%、シェアは大手に押されて 7.3%→6.5%、価格は 1.32 倍で 9.95 億ドル。解析装置は年 +1%・シェア 3.2%・価格 1.22 倍で 1.72 億ドル、空間生物学は市場 年 +5% だがシェア 5.5%・価格 0.95 倍(1 サンプルあたりの値下がり)で 1.27 億ドル、診断は年 +1.5%・価格 1.30 倍で 3.26 億ドル。売上は 16.20 億ドル(年 +2.9%)、事業の営業利益は 5.22 億ドル、GAAP の営業利益は 3.67 億ドル(22.7%)、純利益は 2.81 億ドル。NIH 予算案どおり 12% 縮み、大学・政府向けが減る。競合のサーモフィッシャーとダナハー(アブカム)が抱き合わせで価格を下げ、シェアが 0.8 ポイント落ちるだけで純利益は約 0.4 億ドル減る。
- 試薬・タンパク質・抗体(R&D Systems・Tocris・Novus):数量 7.5(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 132(価格指数(2026 年 = 100)。物価 3.5% より遅れて年 +3.3%(10 年で 1.38 倍))→ 売上 10 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 実質 年 +1.5%(今の 100 億ドルから 116 億ドル)・シェア 6.50%・価格 10 年で 1.32 倍
- タンパク質解析装置(ProteinSimple):数量 1.4(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 122(価格指数(2026 年 = 100)。装置は競争で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +1.0%(今の 40 億ドルから 44 億ドル)・シェア 3.20%・価格 10 年で 1.22 倍
- 空間生物学(ACD・Lunaphore):数量 1.3(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 95(価格指数(2026 年 = 100)。1 サンプルあたりの費用が下がり年 +0.5%(10 年で 1.05 倍))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +5.0%(今の 15 億ドルから 24 億ドル)・シェア 5.50%・価格 10 年で 0.95 倍
- 診断(対照・校正物質・Asuragen ほか):数量 2.5(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 130(価格指数(2026 年 = 100)。契約更改で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +1.5%(今の 80 億ドルから 93 億ドル)・シェア 2.70%・価格 10 年で 1.30 倍
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 9.2%(この筋書きの純利益 2.8 ÷ 自己資本 30 億ドル。帳簿の値)は先で薄れ、RONIC = k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.2%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 8.7%(堀は普通:抗体・タンパク質の試薬は研究者が品質で選び替えにくいが、競合も多く ROE は k を少し超える程度。強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 1.0% × シェア横ばい × 価格 3.0%)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.8 倍 に対し、63% の 8.0 倍に置いた(試薬と診断の収入は安定するが、研究予算の循環と中国の需要に振れる)。時価総額 = 純利益 2.8 億ドル × 8.0 倍 = 22.5 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:サーモフィッシャー・ダナハー・メルクの規模に押され、NIH 予算が実質で縮み、抗体と組換えタンパク質で値下げ圧力が続く展開。直近の実績に近く、24%。
悲観 12% 悲観:構造的に負ける(研究費の縮小・抗体の値崩れ・空間生物学の敗北・買収の減損) 利益 2 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 10.06 ドル16 億ドル
構造的に負ける。NIH の削減と大学の資金難が定着し、試薬は組換え抗体の普及と値下げで価格が 1.22 倍にとどまり、シェアは 7.3%→5.8% に下がって 7.44 億ドル。解析装置は年 0%・シェア 3.0% で 1.32 億ドル、空間生物学は 10x ジェノミクスとブルカーに負けてシェア 4.8%・価格 0.90 倍で 0.87 億ドル、診断は年 +1% で 2.65 億ドル。売上は 12.28 億ドル(年 +0.1%=実質では縮小)、GAAP の営業利益は 1.98 億ドル(16.1%)、純利益は 1.50 億ドル。Lunaphore・Asuragen・Wilson Wolf の買収の収益が資本コストに届かず、のれんの一部(約 4 億ドル)を減損して自己資本は 22.8 億ドルまで縮む。優良な試薬会社ではなく、普通の試薬・装置会社として評価される。
- 試薬・タンパク質・抗体(R&D Systems・Tocris・Novus):数量 6.1(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 122(価格指数(2026 年 = 100)。物価 3.5% より遅れて年 +3.3%(10 年で 1.38 倍))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 実質 年 +0.5%(今の 100 億ドルから 105 億ドル)・シェア 5.80%・価格 10 年で 1.22 倍
- タンパク質解析装置(ProteinSimple):数量 1.2(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 110(価格指数(2026 年 = 100)。装置は競争で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +0.0%(今の 40 億ドルから 40 億ドル)・シェア 3.00%・価格 10 年で 1.10 倍
- 空間生物学(ACD・Lunaphore):数量 1.0(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 90(価格指数(2026 年 = 100)。1 サンプルあたりの費用が下がり年 +0.5%(10 年で 1.05 倍))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +3.0%(今の 15 億ドルから 20 億ドル)・シェア 4.80%・価格 10 年で 0.90 倍
- 診断(対照・校正物質・Asuragen ほか):数量 2.2(数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 120(価格指数(2026 年 = 100)。契約更改で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +1.0%(今の 80 億ドルから 88 億ドル)・シェア 2.50%・価格 10 年で 1.20 倍
倍率:式どおり:ROE 6.6%(純利益 1.50 億ドル ÷ 減損後の自己資本 22.8 億ドル=期首 21.1 億ドル+純利益の合計 16.4 億ドル−還元 10.7 億ドル−のれんの減損 4.0 億ドル)・g 3.5%(市場の実質 0.5% × シェア横ばい × 価格 3.0%)・k 8.25%。(1 − g/ROE) ÷ (k − g) = 9.9 倍は来年の利益に対する倍率なので ×(1+g) で 10.3 倍(0.5 倍刻みで 10.5 倍)。PBR は 0.7 倍。ROE が k を下回るので式の倍率は低く、0.35 倍は上回る。純利益は GAAP で、償却を戻した値に倍率を掛けてはいない。
確率:NIH と大学の資金が恒常的に縮み、組換え抗体や AI で設計したタンパク質で試薬が値崩れし、空間生物学が 10x ジェノミクスとブルカーに負け、買収の減損が出る展開。優良さを失った会社として 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
試薬・タンパク質・抗体(R&D Systems・Tocris・Novus)
サイトカイン・増殖因子・抗体・免疫測定キット・小分子、細胞・遺伝子治療向けの GMP タンパク質。研究室の消耗品で、粗利率が高い中核の事業。
| 数量数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2026 年 = 100)。物価 3.5% より遅れて年 +3.3%(10 年で 1.38 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 7.3 | 100 | 7 | 3 |
| 10 年後 中立 | 9.8 | 138 | 14 | 6 |
取り方:Protein Sciences の 2026 年 6 月期の売上 8.746 億ドルから、タンパク質解析装置の推定 1.45 億ドルを引いた 7.29 億ドル(会社は Reagent と Analytical の売上を開示しないので推定)。市場は研究用抗体(約 40 億ドル)+組換えタンパク質(約 30 億ドル)+免疫測定キットや GMP 品など(約 30 億ドル)の合計約 100 億ドル(調査会社の推定を担当が足した値。出典の幅が大きい)で、シェアは 7.3%。営業利益率は会社の開示(Protein Sciences 41.1%=償却・株式報酬を除く)を試薬 43.5%・装置 29.1% に分けた推定。価格は研究用試薬の値上げが物価 3.5% に届かない年 +3.3% とし、残りを実質の数量とした。競合はサーモフィッシャー(Invitrogen)、ダナハーのアブカム、メルク KGaA、セル・シグナリング。
タンパク質解析装置(ProteinSimple)
自動ウェスタンなどのタンパク質解析装置と、装置に付くカートリッジ・保守。装置の発注の循環に左右される。
| 数量数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2026 年 = 100)。装置は競争で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1.5 | 100 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 130 | 2 | 1 |
取り方:Protein Sciences のうち Analytical Solutions の推定売上 1.45 億ドル(開示なし。会社全体の装置は 2026 年 6 月期の 9 か月で 0.79 億ドル、装置は空間生物学の Lunaphore も含む)。市場は免疫測定・自動ウェスタン・関連の消耗品などで約 40 億ドル(推定)、シェア 3.6%。営業利益率は 29.1%(Protein Sciences 41.1% を試薬と分けた推定)。価格は装置の競争で物価に届かない年 +2.7%。競合はサーモフィッシャー、ダナハー(Cytiva・ベックマン・コールター)、ブルカー、バイオ・ラッドなど。
空間生物学(ACD・Lunaphore)
組織の中で遺伝子やタンパク質の位置を見る検査試薬(ACD の RNAscope)と、多重染色の装置(Lunaphore の COMET)。成長は速いが赤字に近い。
| 数量数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2026 年 = 100)。1 サンプルあたりの費用が下がり年 +0.5%(10 年で 1.05 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1.1 | 100 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.3 | 105 | 2 | 1 |
取り方:Diagnostics and Spatial Biology の 2026 年 6 月期の売上 3.364 億ドルのうち、空間生物学を推定 1.10 億ドル(開示なし。Q3 は 10 台半ばの増収、2025 年 6 月期は COMET が約 5 割増)。市場は調査会社の推定 2025 年 10〜18 億ドルの中間 15 億ドル、シェア 7.3%。営業利益率は DSB 全体 11.2% から診断を 9.4% として逆算した 14.5%(推定)。価格は競争と 1 サンプルあたりの費用の低下で物価に届かず年 +0.5%。競合は 10x ジェノミクス、ブルカー(ナノストリング)、イルミナ。
診断(対照・校正物質・Asuragen ほか)
検査機関が使う対照・校正物質、Asuragen の分子診断、同伴診断の試薬、ロイヤルティ収入。成長は緩やかで利益率が低い。
| 数量数量=実質市場規模(2026 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2026 年 = 100)。契約更改で年 +2.7%(10 年で 1.30 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 2.3 | 100 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.8 | 130 | 4 | 1 |
取り方:Diagnostics and Spatial Biology の売上 3.364 億ドルから空間生物学の推定 1.10 億ドルを引き、その他・セグメント間の差 0.04 億ドルを足した 2.30 億ドル。Exosome Diagnostics は 2025 年 9 月に売却済みで、2026 年 6 月期にはほぼ入っていない。市場は体外診断の対照・校正物質、分子診断の素材、同伴診断の試薬などで約 80 億ドル(推定)、シェア 2.9%。営業利益率は 9.4%(DSB 全体 11.2% から逆算した推定)。価格は契約更改で年 +2.7%。競合はバイオ・ラッド、ロシュ、サーモフィッシャーなど。
リスクと懸念
メルクの買収が壊れた場合の値動き(単体の本質価値より高い値段が剥がれる)
株価は買収の提案価格(企業価値 約 113 億ドル)に張り付いており、この分析の単体の本質価値(約 30 億ドル)とは大きく離れている。独禁の審査や資金の都合で契約が壊れれば、株価は単体の価値へ向かって大きく下がりうる。契約が壊れた場合の解約金は、条件により会社が約 2.3 億ドル、メルクが約 5.8 億ドルを払う。契約中は自社株買いも禁じられている。
研究費の循環と NIH・大学の資金難
売上の大半は研究用の消耗品で、学術・政府・新興バイオの予算に連動する。NIH の 2027 年度予算案は 12% 減の 412 億ドル、間接費の 15% 上限も求められている(議会は 2026 年度に認めず)。大手製薬が 2 桁で伸びても、学術と新興バイオの弱さで PS の自然増は 2026 年 6 月期に -1% だった。
競合の規模と抱き合わせ(サーモフィッシャー・ダナハーのアブカム・メルク)
研究用の抗体・タンパク質は細分化された市場で、サーモフィッシャー(Invitrogen)・アブカム・メルク・セル・シグナリングが並ぶ。大手は装置・培地・試薬をまとめて売る力があり、組換え抗体の普及と AI で設計されたタンパク質の増加は、同社の価格を決める力を削る。試薬のシェアが 1 ポイント動くと、10 年後の純利益は約 0.6 億ドル動く。
空間生物学と Lunaphore の回収
空間生物学は 10x ジェノミクス・ブルカー・イルミナが規模で先行し、1 サンプルあたりの費用が下がり続ける。Lunaphore の買収(1.70 億ドル)は 2025 年 6 月期に COMET が約 5 割増えたが、同年第 4 四半期は学術の弱さで減速した。診断・空間生物学の営業利益率は 11% にとどまる。
買収の累積と資本配分(のれん 9.8 億ドル)
買収で伸びてきた会社で、GAAP の ROE は 8.6%、2025 年 6 月期は売却予定の事業で 0.8 億ドルを減損した。Wilson Wolf の残り(2027 暦年末までに取得予定)の対価は成立していないので入れていないが、取得すれば償却と資金の負担が加わる。
GAAP と調整後の差(償却・株式報酬)
調整後の純利益 3.03 億ドルは GAAP の 1.82 億ドルの 1.7 倍。差は買収の無形資産の償却 0.61 億ドルと株式報酬 0.43 億ドルなど実在の費用で、この分析は GAAP で測る。償却は年々減るが、調整後の数字を見て割安と感じると、費用の重さを見落とす。
米国外の売上(48%)と為替・関税・中国
売上の 48% が米国外で、2026 年 6 月期は為替が +2% の追い風だった。ドル円・ユーロは動かさない前提なので、為替の効果は入れていない。中国・アジアの需要の鈍化や関税は、試薬の輸出入と装置の価格に影響する。
今後の分かれ目
- メルクの買収が 2027 年初までに完了したら
- 上場は終わり、株主は提案価格を受け取る。この分析の単体の本質価値は、その時点の提案価格の約 3 割で、売る側の株主には有利な条件である。
- 独禁の審査が長引く、または契約が解約されたら
- 株価は提案価格から単体の価値へ向かう。単体の筋書きでは、10 年の本質価値は今の時価総額の約 3 分の 1 弱。
- 大手製薬の 2 桁増と GMP の需要が 2027〜28 年に新興バイオと学術にも広がり、自然増が 8% を超えたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。やや楽観の筋書き(10 年後の売上 26.5 億ドル、純利益 6.3 億ドル)に近づく。それでも割り引けば今の時価総額には届かない。
- NIH の 2027 年度予算が案どおり 12% 減り、間接費の 15% 上限が通ったら
- 大学・政府向けが減り、やや悲観の確率を上げる。学術・政府向けの比率は開示が限られるが、米国連邦政府向けの直接の売上は 1% 未満で、影響は大学の購買を通じて出る。
- 空間生物学が 10x ジェノミクスやブルカーに負け、COMET の導入が止まったら
- Lunaphore のれんの減損と空間生物学の赤字化を考える。10 年の悲観の確率を上げ、シェア 7.0% が 4.8% へ下がる筋書きに近づく。
- 試薬の自然増が連続して 2 桁に乗り、GAAP の営業利益率が 25% を超えたら
- 償却が尽きる前に利益が伸びているので、ROE の見方を上げる。中立の筋書きの純利益が早い時期に 3 億ドルを超える方向。
見ておくもの
- Protein Sciences と Diagnostics and Spatial Biology の自然増(会社は四半期の説明会を停止しているので、報告書の数字で見る)
- 大手製薬・新興バイオ・学術・中国別の伸び、GMP タンパク質(細胞・遺伝子治療)と空間生物学の増収
- メルク KGaA の買収の独禁審査・完了の時期・解約金の条項
- NIH の予算(2027 年度)と間接費の 15% 上限、大学・政府向けの受注
- GAAP の営業利益率(償却 0.61 億ドルの減り方)、調整後との差、株式報酬
- 純現金(現金 2.65 億ドル・借入 2.00 億ドル)、Wilson Wolf の取得、のれん 9.8 億ドルの減損
- 試薬の価格(値上げの幅)とサーモフィッシャー・アブカム・メルクのシェア
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(約 114 億ドル)やメルクの提案価格(企業価値 約 113 億ドル)を見る前に、試薬・解析装置・空間生物学・診断の 4 つを市場(実質の伸び)× シェア × 価格指数で積み、営業利益・償却・税率 23% を引いてから倍率を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)、g は 4% で止める、ROE は帳簿の値でのれんを除かない、k は基本 8.0% に quality +0.25% で 8.25%)の 7.5〜9 割。中立は 1 ÷ k の 12.1 倍を下回らせない。業界ノートの倍率やメルクの提案価格には寄せていない。悲観は ROE が k 以下で、式の値(g 3.5%)で置いた。結果は今の PER 63 倍(GAAP)の 5 分の 1 ほどで、本質価値は今の時価総額の約 3 分の 1 弱。最後に今の値段と比べた。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 1.20 × 5%。基本 8.0% に quality +0.25% を足して 8.25%。研究費の循環と NIH の予算にさらされるが、売上の 8 割強が消耗品で値決めも効く。純現金で借入の上乗せは無い。個別のリスク(買収の取り込み・メルクの買収が壊れる場合の株価の下落・中国)は k に足さず、悲観の確率とひどさで表した。上乗せは 0。
同じ業種(ヘルスケア)の AI 分析
読んだ資料
- Bio-Techne 2026 年 6 月期 第 4 四半期・通期決算(8-K 別紙 99.1。セグメント・GAAP・貸借・メルク契約)
- Bio-Techne 2026 年 6 月期 10-K(事業・セグメント・粗利率・償却・株式報酬・解約金・株数)
- Bio-Techne 2026 年 3 月期 10-Q(消耗品・装置・サービスの売上、Exosome の売却)
- Bio-Techne 第 3 四半期 2026 年決算(大手製薬・学術・GMP・空間生物学の伸び)
- mdxhealth による Exosome Diagnostics の買収完了(2025-09-15)
- メルク KGaA によるバイオテクネ買収(GEN。条件・狙い・コスト削減)
- メルク KGaA によるバイオテクネ買収(CNBC、2026-06-25)
- バイオテクネの株主が買収を承認(2026-09-23)
- NIH 間接費の上限と議会(AIP)
- HHS 2027 年度予算案(NIH -12%)
- 研究用抗体の市場規模(Fortune Business Insights)
- 組換えタンパク質の市場規模(Grand View Research)
- 空間生物学の市場規模と予測(DeciBio の予測を引いた DDW)