結論
GEヘルスケア・テクノロジーズは、CT・MRI・X 線・分子画像・超音波の画像診断装置とその保守、患者監視・麻酔の機器、病院向けの画像ソフト、造影剤と放射性医薬品を世界で売る医療機器の大手である。2023 年に GE から分離上場し、GE エアロスペースは 2024 年に持ち株を全部売った。2025 年は売上 206 億ドル(オーガニック +3.5%)、GAAP の営業利益 29 億ドル(営業利益率 14.0%)、純利益 21 億ドル。2026 年 4〜6 月期は売上 52.9 億ドル、受注はオーガニックで +11.1% と過去最高、受注残は 239 億ドル。一方で通期の営業利益率の見通しは関税とメモリー半導体・運賃の値上がり(約 2.5 億ドル)で 2 月から下げられ、患者ケア(PCS)は供給の混乱で売上 −13% の赤字になり、会社は売却を含む選択肢を検討中。中国は集中調達と地場メーカーの攻勢で 2026 年も減収を織り込む。
画像(CT・MRI)・超音波・画像ソフト・患者監視・医薬品診断の 5 つに分け、病院の設備投資(稼働する装置の台数)× GE のシェア × 価格で積むと、中立は 2035 年に売上 346 億ドル・純利益 44 億ドル。資本コスト 8.5%・ROE 20%・g 4.0%(新しく投じる元手の稼ぎ RONIC は k と ROE の中間の 14.2%)の利益ベースの正当化 PER は 15.9 倍で、その 8 割の 12.8 倍を置くと、10 年後の時価総額は約 556 億ドルと今の 319 億ドルの 1.7 倍になる。確率加重の本質価値は今の時価総額を 1 割強上回り、バリュー投資の観点では「やや割安」と出る。ただしこの結論は、シーメンス・ヘルシニアーズに利益率で 7 ポイント以上離されている現状を、受注残の消化とコスト削減で少しずつ縮められるという前提に依存する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、GEヘルスケアは事業は分かりやすいが、稼ぎの質が足りない会社である。10 年後も、病院は CT・MRI・超音波を使い続け、造影剤は検査のたびに使われるので、事業は存在し続ける。問いは「今より強いか」で、堀(設置台数・保守・造影剤の規制)は保たれるが広がる根拠は薄く、シーメンス・ヘルシニアーズに利益率で離され、中国勢に価格で攻められる。堀が狭まる恐れも見る必要がある。
オーナー利益は、GAAP の純利益 21 億ドルにほぼ近い(株式報酬は 1 億ドル余りと小さく、償却の戻しは上乗せしない)。フリーキャッシュフローは約 16 億ドルで純利益より薄く、設備と運転資本に食われる。ROE の高さは自己資本が小さいためで、事業が高収益ということではない。
経営は、分離後に借金を返しつつ自社株買いを再開し、医薬品診断のように収益性の高い部門を伸ばした点は評価できる。他方、患者ケアの失速と、関税の影響を価格で吸収できていない点は資本配分の質に疑問を残す。インテレラッドの 23 億ドルは売上の約 5 倍とみられ、ROIC が 5 年目に 1 桁後半という目標は低い。
安全域は、中立で 10 年後の時価総額が今の約 1.7 倍、悲観で今の 4 割弱と、上下は非対称に近い。確信度は中程度で、利益率の改善が起きるかどうかを見ていく。
何で稼ぐ会社か
売上は 3 つの報告区分で開示される(2026 年 4〜6 月期から画像診断と画像ソフトを統合)。最大は先進画像ソリューション(AIS、2025 年に約 145 億ドル)。CT・MRI・X 線・マンモグラフィー・核医学(SPECT・PET/CT)の装置と、その保守・サービスが柱で、装置を病院に置けば 10 年以上の保守・部品・ソフトの更新が続く収入の厚い事業である。超音波(心臓用のヴィヴィッド、産科のヴォルソン、携帯型のヴィスキャン)と、手術室の画像(術中画像)、画像の管理・遠隔診断・AI のソフトもここに入り、2026 年 3 月に現金 23 億ドルで買ったインテレラッド(クラウドの画像管理ソフト。外来・診療所に強い)が加わった。
医薬品診断(PDx、約 29 億ドル)は、CT・MRI 検査に使うヨード造影剤(オムニパーク、ビジパーク)・ガドリニウム造影剤・超音波造影剤と、核医学の放射性医薬品(アミロイド PET のビザミル、2024 年に承認された心臓 PET 剤フィルカドなど)を売る。営業利益率は約 30% で全社の利益の約 4 分の 1 を稼ぐ。2026 年上期は +18% と最も伸びている。
患者ケア(PCS、約 32 億ドル)は、病院の患者監視装置・麻酔器・心電計・新生児や分娩の機器とその消耗品。2026 年 4〜6 月期は売上 −13%・営業赤字で、供給と納品の不具合が原因と説明されている。数量 × 価格では、画像は稼働する装置の台数 × 1 台あたりの年間収入(新規売上と保守の合計)、超音波は販売台数 × 単価、ソフトは契約数 × 1 契約の収入、PCS は出荷台数(消耗品込み)× 単価、PDx は造影・放射性医薬品の投与回数 × 1 回の単価で置いた。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 は設置台数の厚みと保守である。CT・MRI は 1 台が 10 年以上動き、病院は装置メーカーの保守契約と純正ソフトに縛られる。受注残 239 億ドルの多くが今後 1〜3 年で売上に変わる。第 2 は造影剤・放射性医薬品の医薬品としての規制と製造の壁である。第 3 は超音波と画像ソフトの広い製品群と AI(画像の自動処理、撮影の自動化)による病院の業務の取り込みである。
弱みははっきりしている。調整後の営業利益率は 15% 台で、同じ画像診断をやるシーメンス・ヘルシニアーズの画像事業(関税の還付を除いて約 22%)に大きく離され、フィリップスの診断・治療(還付を除いて約 9%)よりは高いものの、事業の質に比べ稼ぎが薄い。患者ケアは過去の統合の失敗の名残で赤字に転落し、中国ではユナイテッド・イメージングやマインドレイが低価格で国内の調達を取り、海外にも出てきた。経営は 2023 年の分離以降、コスト削減とサービス・医薬品の比率を上げて利益率を改善してきたが、関税とメモリー半導体の値上がりで足踏みしている。
資本の効率は帳簿の ROE で 20% と高く見えるが、これは分離時に GE へ大きな配当を払って自己資本が小さくなったためで、事業の力そのものより金融の構造による。のれんを除くとさらに上がるが、伸びに買収を使う会社なので除かない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
画像診断装置の市場は、病院の設備投資で決まる。米国は ACA の補助の縮小とメディケイド削減(2025 年の包括法)で病院の財務が圧迫され、設備投資が先送りされるリスクがあるが、高齢化・がん検診・心臓病の増加で検査の件数は年 3〜4% 増え、装置の更新周期(CT・MRI は 8〜12 年)が下支えする。世界の画像診断機器の市場は推定で年 +4〜5% の名目成長。主要なメーカーはシーメンス・ヘルシニアーズ(CT・MRI で首位級)、GE、フィリップス(Philips)、キヤノンメディカル、富士フイルム、そして中国のユナイテッド・イメージング(2025 年の売上 138 億元・+34%、海外は +51%)である。
光子計数 CT は次の大きな買い替えの波で、シーメンスが先行し、GE は 2026 年後半に欧州で承認される見込み(受注への寄与はまだ小さい)。MRI はヘリウムを使わない機器と AI による短縮撮影が競争点になる。超音波は携帯型と AI で単価が二極化し、中国勢が中価格帯に入る。
造影剤は、検査の増加に連れて数量が増え、ブラッコ・バイエル・ゲルベ(Guerbet)との 4 社の寡占で、特許が切れたオムニパークの後発品(アムニール)が出る可能性が価格の圧力になる。放射性医薬品は PET の心臓・脳の検査が伸び、GE は先行者である。
中国は集中調達(VBP)で単価が 2〜3 割下がり、国産の優遇もあって 2025 年に GE の中国売上は −4.6%、2026 年も減収を織り込む。関税は 2025 年に営業利益を約 2.45 億ドル削り、2026 年も約 2.5 億ドルの値上がり圧力(メモリー半導体・原油・運賃)が続くが、IEEPA 関税の還付が一部を埋めた。
資本政策と M&A
資本配分は、負債の水準を保ちながら保守的に自社株買いを続け、小さな買収で穴を埋める形である。配当は年 0.7 億ドル前後と小さく、2025 年は自社株買い 2 億ドル、2026 年上期は 3 億ドル(残り枠 5 億ドル)。2026 年 3 月に完了したインテレラッド(現金 23 億ドル)の買収で、純負債は 2025 年末の 59.5 億ドルから 2026 年 6 月末に約 80 億ドル(現金 21 億・総借入 101 億)に増えた。借り換えの金利は約 5.75%、純負債の利払いは年 1 億ドル前後増える(純利益に入れた)。フリーキャッシュフロー約 16 億ドルで 2028 年までに純負債を 40 億ドル台まで下げ、自社株買いを増やす想定。
年金・退職後給付の積立不足は、2024 年末で税引き前約 50 億ドル(米国年金 −39 億・海外年金 +3 億・退職後の医療 −10 億)、2026 年 6 月末の貸借対照表の「報酬・給付負債」は 52 億ドルで、年の拠出は約 3.5 億ドル。税引き後で約 40 億ドルを、純負債に含めて見る。含める理由は、これも契約で払い続ける借金に近い義務だから。ただし価値の計算(純利益 × PER)では二重に引かない。GAAP の純利益には年金の利息費用と運用収益がすでに入り、拠出は還元の計算に入っているため。含めた純負債は約 120 億ドルで時価総額の 37%。借金の重さは quality の debt で見るが、年金込みでも EBITDA の 2〜3 倍にとどまり、加算は 0 とした。
GE エアロスペースは 2024 年 9 月・11 月に残りの株を全部売ったので、売り圧力の残りは無い。患者ケアの売却が決まれば、売却の価格と使い道(借金返済・自社株買い)が論点になるが、未成立なので今の会社のまま書く。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注と受注残が利益を先取りしている。2026 年 4〜6 月期の受注はオーガニックで +11.1%、受注/売上は 1.15 倍で、受注残は 239 億ドルと売上の 1 年分を超え、先進画像の営業利益率は 13.9% と前年から 0.9 ポイント上がっている。患者ケアの赤字は供給の問題で一時的、売却か立て直しで利益率は上がる。
医薬品診断は +15% で伸びており、フィルカド(心臓 PET)は週の投与回数が 4 月から 4 割増え、2028 年に年 5 億ドル以上という目標が見える。造影剤は検査の件数が増える限り数量が増え、利益率 30% の部門が全社に占める割合は上がる。
光子計数 CT(Photonova Spectra)と AI による撮影の自動化、インテレラッドのクラウド画像ソフトで、装置とソフトの組み合わせが進み、シーメンスとの差は縮まる。関税は還付で一部戻り、メモリー半導体の値上がりも一巡する。営業利益率が 10 年で 17〜20% に上がれば、純利益は今の倍以上になり、2025 年の PER 15 倍台は過小評価である。
慎重な見方
利益率は目標どおりには上がらない。2026 年の調整後の営業利益率の見通しは 2 月の 15.8〜16.1% から 15.4〜15.7% に下げられ、調整後 1 株利益の見通しも切り下げられた。関税・メモリー半導体・原油の値上がりで約 2.5 億ドルの逆風が 2026 年に出ており、価格に転嫁できていない。GAAP の純利益は 2026 年上期に前年の 10.5 億から 9.5 億ドルに減った。
中国は集中調達で単価が下がり、ユナイテッド・イメージングの海外売上が +51% で増えており、新興国・欧州の中価格帯でも GE の台数が削られる。シーメンスは画像の営業利益率が 22% 前後で、光子計数 CT でも先行する。フィリップスも値引きで受注を取りに来る。患者ケアは赤字に落ち、売却しても価格は低い。
造影剤はオムニパークの後発品の恐れがあり、利益率 30% の部門の単価が下がる。純負債は 80 億ドルに増え、年金の積立不足 40 億ドルを足すと実質の負債は時価総額の 37%。米国の病院は 2026〜27 年にメディケイド削減で設備投資を絞る。今の PER 15 倍台は、この不確実さを反映した妥当な水準である。
どちらに重みを置いたか
受注残と医薬品診断の伸びは事実で、画像事業の堀(設置台数・保守)も保たれるので、中立を最大の確率(10 年 38%)に置いた。他方、利益率の見通し引き下げ・患者ケアの赤字・中国と関税という重い逆風が既に現実になっているため、やや悲観を 2 割強に厚くし、悲観も 10 年 10% を置いた。この確率で、利益ベースの倍率(10 年の中立で 12.8 倍。正当化 PER 15.9 倍の 8 割)を置くと、確率加重の価値は今の値段を 1 割ほど上回り、やや割安となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 115.91 ドル531 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 40.21 ドル184 億ドル)。 今の値に割り戻すと 78.01 ドル357 億ドル、今との差 +9.2%、 期待の年率 +8.1%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 207.40 ドル950 億ドル | 59.83 ドル274 億ドル | +274.2% | +14.1% | 21.38 ドル98 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 159.30 ドル730 億ドル | 51.31 ドル235 億ドル | +194.9% | +11.4% | 46.33 ドル212 億ドル |
| 中立 | 38% | 121.46 ドル556 億ドル | 43.23 ドル198 億ドル | +130.6% | +8.7% | 62.58 ドル287 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 71.11 ドル326 億ドル | 29.69 ドル136 億ドル | +41.1% | +3.5% | 22.18 ドル102 億ドル |
| 悲観 | 10% | 24.74 ドル113 億ドル | 11.79 ドル54 億ドル | −48.9% | −6.5% | 3.65 ドル17 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 115.91 ドル531 億ドル | 40.21 ドル184 億ドル | +118.6% | +8.1% | 156.13 ドル715 億ドル |
今の株価時価総額 71.42 ドル327 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:光子計数 CT・AI・クラウドで装置とソフトが組み合わさり、利益率が 20% に届く 利益 62 億ドル · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 207.40 ドル950 億ドル
2035 年の売上は 400 億ドル(2025 年の 211 億ドルから名目で年 +6.6%)。画像(CT・MRI)は 144 億ドル:稼働台数が年 +2.8%、光子計数 CT(Photonova Spectra)と AI で単価が上がり、保守と合わせて 1 台あたりの収入が年 +2.7%。超音波は 55 億ドル(携帯型と AI で上位帯を守る)。画像ソフトは 87 億ドル(インテレラッドのクラウドと AI の契約が年 +6%)。医薬品診断は 70 億ドル:心臓・脳の PET 剤が柱になり、造影剤も検査の増加で伸びる。患者ケアは 44 億ドル(売却か立て直し)。営業利益は 80 億ドル(20.0%)と、会社が過去に掲げた 20% の目標に届く。純利益は 61.6 億ドル。成熟後の PER は正当化 PER 17.1 倍(g 4.0%・k 8.5%)の 9 割の 15.4 倍に置いた。
- 画像診断(CT・MRI・X線・分子画像):数量 106(世界の稼働台数(CT・MRI・X 線・分子画像の合算、推定 約 50 万台)× GE の台数シェア = GE の稼働台数(千台))× 価格 136,500(稼働 1 台あたりの年間収入(新規売上+保守・修理、ドル))→ 売上 144 億ドル・営業利益 27 億ドル。稼働台数と 1 台あたり収入
- 超音波:数量 63.0(世界の超音波の販売台数(推定 年 約 15 万台)× GE の台数シェア = 販売台数(千台))× 価格 87,503(1 台あたりの売上(ドル))→ 売上 55 億ドル・営業利益 13 億ドル。販売台数と単価
- 画像ソフト・術中画像・遠隔診断:数量 25.2(画像ソフト・術中画像の契約数(千契約、推定))× 価格 345,000(1 契約あたりの年間売上(ドル))→ 売上 87 億ドル・営業利益 18 億ドル。契約数と 1 契約の収入
- 患者監視・麻酔・救急(患者ケア):数量 352(出荷台数(消耗品込み換算、千台、推定))× 価格 12,500(1 台あたりの売上(消耗品込み、ドル))→ 売上 44 億ドル・営業利益 6 億ドル。出荷台数と単価
- 医薬品診断(造影剤・放射性医薬品):数量 185(造影・放射性医薬品の投与回数(百万回分、推定))× 価格 38(1 回分あたりの売上(ドル))→ 売上 70 億ドル・営業利益 22 億ドル。投与回数と 1 回の単価
倍率:正当化 PER は 17.1 倍(g 4.0%、RONIC 17.5%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 26.4% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.4 倍(9 割)に置いた。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。上限の 9 割に置く。受注残と医薬品診断は強いが、利益率が競合に 7 ポイント以上離れ、中国と関税の逆風が現実になっている。g の内訳:市場の台数 +2.6%・シェア −0.3 ポイント・価格 +1.7% で約 4.0%(上限の内側)。純利益は GAAP。
確率:10 年間、光子計数 CT・AI・クラウド画像ソフトで装置とソフトの組み合わせが進み、シーメンスとの利益率の差が縮まり、造影剤と放射性医薬品が全社の利益の 3 割を占めるまで育つ展開。中国と関税が収まる必要もあるので 8%。
やや楽観 22% やや楽観:画像・超音波・ソフトが年 5〜6% で伸び、シーメンスとの差が縮まる 利益 52 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 159.30 ドル730 億ドル
2035 年の売上は 373 億ドル(年 +5.9%)。画像は 137 億ドル、超音波は 52 億ドル、画像ソフトは 80 億ドル、医薬品診断は 63 億ドル、患者ケアは 41 億ドル。シーメンスとの利益率の差は 3 分の 1 ほど縮まり、営業利益率は 18.2%(68 億ドル)、純利益は 52.0 億ドル。純負債は 2030 年までにほぼ返し、支払利息は純 1.1 億ドルに下がる。競合と照らすと、画像が守られ光子計数 CT でも追いつけばシーメンスの画像事業(営業利益率 22% 前後)との差が縮まる筋書きで、フィリップスの診断・治療(還付を除いて約 9%)よりは高い水準を保つ。中国は減収が 2028 年までに底を打つとみる。成熟後の PER は正当化 PER 16.5 倍(g 4.0%・k 8.5%)の 8.5 割の 14.0 倍に置いた。
- 画像診断(CT・MRI・X線・分子画像):数量 102(世界の稼働台数(CT・MRI・X 線・分子画像の合算、推定 約 50 万台)× GE の台数シェア = GE の稼働台数(千台))× 価格 134,925(稼働 1 台あたりの年間収入(新規売上+保守・修理、ドル))→ 売上 137 億ドル・営業利益 24 億ドル。稼働台数と 1 台あたり収入
- 超音波:数量 60.3(世界の超音波の販売台数(推定 年 約 15 万台)× GE の台数シェア = 販売台数(千台))× 価格 86,814(1 台あたりの売上(ドル))→ 売上 52 億ドル・営業利益 11 億ドル。販売台数と単価
- 画像ソフト・術中画像・遠隔診断:数量 23.5(画像ソフト・術中画像の契約数(千契約、推定))× 価格 338,750(1 契約あたりの年間売上(ドル))→ 売上 80 億ドル・営業利益 15 億ドル。契約数と 1 契約の収入
- 患者監視・麻酔・救急(患者ケア):数量 336(出荷台数(消耗品込み換算、千台、推定))× 価格 12,200(1 台あたりの売上(消耗品込み、ドル))→ 売上 41 億ドル・営業利益 5 億ドル。出荷台数と単価
- 医薬品診断(造影剤・放射性医薬品):数量 172(造影・放射性医薬品の投与回数(百万回分、推定))× 価格 37(1 回分あたりの売上(ドル))→ 売上 63 億ドル・営業利益 19 億ドル。投与回数と 1 回の単価
倍率:正当化 PER は 16.5 倍(g 4.0%、RONIC 15.6%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 22.6% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.0 倍(8.5 割)に置いた。上限の 8.5 割に置く。受注残と医薬品診断は強いが、利益率が競合に 7 ポイント以上離れ、中国と関税の逆風が現実になっている。g の内訳:市場の台数 +2.6%・シェア −0.3 ポイント・価格 +1.7% で約 4.0%(上限の内側)。純利益は GAAP。
確率:画像・超音波・ソフトが名目で年 +5〜6% を保ち、利益率が営業 18% 台まで上がる。設置台数と保守の堀、造影剤・放射性医薬品の伸びを見て 22%。
中立 38% 中立:成長は年 5% で、中国と後発品の逆風を保守収入と医薬品診断が吸収する 利益 44 億ドル · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 121.46 ドル556 億ドル
2035 年の売上は 346 億ドル(年 +5.1%)。画像は 129 億ドル:稼働台数 +2.6%×シェア −0.3 ポイント、価格は物価 3.5% を下回る年 +2.3%(保守は物価連動、新規は競争と中国の値下げ)。超音波は 49 億ドル(価格は年 +2.2%。中国勢が中価格帯に入り携帯型と AI の上位帯で相殺)、画像ソフトは 72 億ドル、患者ケアは 38 億ドル(価格は年 +1.7%。フィリップス・マインドレイとの競争で物価に届かない。売却しても売上は減るが利益率は上がる)、医薬品診断は 58 億ドル(年 +7%。造影剤は後発品の恐れで単価が年 +2.2% と物価に届かず、PET 剤が数量を押し上げる)。営業利益は 58 億ドル(16.8%。シーメンスとの差が 22% の差から縮まる)、純利益 43.6 億ドル。競合に負ければ、画像のシェアが年 −0.8 ポイントになり、純利益は 3 割少なくなる。成熟後の PER は正当化 PER 15.9 倍(g 4.0%・k 8.5%)の 8 割の 12.8 倍に置いた。
- 画像診断(CT・MRI・X線・分子画像):数量 97.6(世界の稼働台数(CT・MRI・X 線・分子画像の合算、推定 約 50 万台)× GE の台数シェア = GE の稼働台数(千台))× 価格 132,300(稼働 1 台あたりの年間収入(新規売上+保守・修理、ドル))→ 売上 129 億ドル・営業利益 21 億ドル。稼働台数と 1 台あたり収入
- 超音波:数量 57.6(世界の超音波の販売台数(推定 年 約 15 万台)× GE の台数シェア = 販売台数(千台))× 価格 85,436(1 台あたりの売上(ドル))→ 売上 49 億ドル・営業利益 10 億ドル。販売台数と単価
- 画像ソフト・術中画像・遠隔診断:数量 21.7(画像ソフト・術中画像の契約数(千契約、推定))× 価格 332,500(1 契約あたりの年間売上(ドル))→ 売上 72 億ドル・営業利益 12 億ドル。契約数と 1 契約の収入
- 患者監視・麻酔・救急(患者ケア):数量 320(出荷台数(消耗品込み換算、千台、推定))× 価格 11,800(1 台あたりの売上(消耗品込み、ドル))→ 売上 38 億ドル・営業利益 4 億ドル。出荷台数と単価
- 医薬品診断(造影剤・放射性医薬品):数量 160(造影・放射性医薬品の投与回数(百万回分、推定))× 価格 36(1 回分あたりの売上(ドル))→ 売上 58 億ドル・営業利益 17 億ドル。投与回数と 1 回の単価
倍率:正当化 PER は 15.9 倍(g 4.0%、RONIC 14.2%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 19.8% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 12.8 倍(8 割)に置いた。中立は上限の 8 割に置く。受注残と医薬品診断は強いが、利益率が競合に 7 ポイント以上離れ、中国と関税の逆風が現実になっている。g の内訳:市場の台数 +2.6%・シェア −0.3 ポイント・価格 +1.7% で約 4.0%(上限の内側)。純利益は GAAP。
確率:議論の落としどころ。台数は年 +2.6%(市場)、シェアは中国と新興国で年 −0.3 ポイント、価格は物価 3.5% に届かない年 +1.7%(中国の集中調達・競争・造影剤の後発品)。利益率は営業 14%(GAAP)から 16.8% へ緩やかに上がる。事業の構造が安定し、保守収入が厚いので最大の確率 38%。
やや悲観 22% やや悲観:中国勢が世界の中価格帯に広がり、利益率が 14% 前後で止まる 利益 30 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 71.11 ドル326 億ドル
2035 年の売上は 296 億ドル(年 +3.4%)。画像は 113 億ドルにとどまり、ユナイテッド・イメージングが欧州・新興国の中価格帯を取り、価格は年 +1.9%。超音波は 43 億ドル、画像ソフトは 63 億ドル、患者ケアは 33 億ドルで利益はわずか、医薬品診断はオムニパークの後発品で 44 億ドル。営業利益は 41.5 億ドル(14.0%)、純利益 29.8 億ドル。純負債の返済が遅れ、支払利息は純 3.0 億ドル。成熟後の PER は正当化 PER 14.6 倍(g 4.0%・k 8.5%)の 7.5 割の 10.9 倍に置いた。
- 画像診断(CT・MRI・X線・分子画像):数量 89.6(世界の稼働台数(CT・MRI・X 線・分子画像の合算、推定 約 50 万台)× GE の台数シェア = GE の稼働台数(千台))× 価格 126,000(稼働 1 台あたりの年間収入(新規売上+保守・修理、ドル))→ 売上 113 億ドル・営業利益 16 億ドル。稼働台数と 1 台あたり収入
- 超音波:数量 53.1(世界の超音波の販売台数(推定 年 約 15 万台)× GE の台数シェア = 販売台数(千台))× 価格 81,302(1 台あたりの売上(ドル))→ 売上 43 億ドル・営業利益 8 億ドル。販売台数と単価
- 画像ソフト・術中画像・遠隔診断:数量 19.6(画像ソフト・術中画像の契約数(千契約、推定))× 価格 320,000(1 契約あたりの年間売上(ドル))→ 売上 63 億ドル・営業利益 10 億ドル。契約数と 1 契約の収入
- 患者監視・麻酔・救急(患者ケア):数量 294(出荷台数(消耗品込み換算、千台、推定))× 価格 11,200(1 台あたりの売上(消耗品込み、ドル))→ 売上 33 億ドル・営業利益 3 億ドル。出荷台数と単価
- 医薬品診断(造影剤・放射性医薬品):数量 135(造影・放射性医薬品の投与回数(百万回分、推定))× 価格 32(1 回分あたりの売上(ドル))→ 売上 44 億ドル・営業利益 11 億ドル。投与回数と 1 回の単価
倍率:正当化 PER は 14.6 倍(g 4.0%、RONIC 11.6%。RONIC は k 8.50% に、事業の ROE 14.8% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 10.9 倍(7.5 割)に置いた。上限の 7.5 割に置く。受注残と医薬品診断は強いが、利益率が競合に 7 ポイント以上離れ、中国と関税の逆風が現実になっている。g の内訳:市場の台数 +2.6%・シェア −0.3 ポイント・価格 +1.7% で約 4.0%(上限の内側)。純利益は GAAP。
確率:中国勢が欧州・新興国に広がり、シーメンスとの差が縮まらず、利益率が営業 14% 前後で止まる展開。関税・メモリー半導体の値上がりと患者ケアの停滞が長引く。すでに 2026 年に 3 つの逆風が現実になっているので 22%。
悲観 10% 悲観:国産メーカーとシーメンスに挟まれ、造影剤の後発品と患者ケアの減損が重なる 利益 11 億ドル · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 24.74 ドル113 億ドル
2035 年の売上は 226 億ドル(年 +0.7%)。画像は 89 億ドルにとどまり、中国国産が世界の中価格帯を取り、シーメンスが高価格帯を押さえて GE の台数と単価が下がる。患者ケアは 26 億ドルに縮み、のれんの減損(約 20 億ドル)が出る。医薬品診断は後発品と PET 剤の遅れで 31 億ドル。営業利益は 19 億ドル(8.4%)、純利益 10.7 億ドルまで落ちる。純負債は 80 億ドルのまま、自社株買いは止まる。成熟後の PER は ROE 7.8% が k 8.5% に届かないので 1÷k の 9 割の 10.6 倍に置いた(g 2.0%)。 10 年の純利益の累計は約 90 億ドル。2026 年 17・2027 年 13・2028 年 9.3 億ドルと落ち、2035 年に 10.7 億ドルへ戻る足し算が 110 億ドル。のれんの減損 約 20 億ドルは 2035 年の純利益 10.7 億ドルに入れていないので、累計には引いて入れる。
- 画像診断(CT・MRI・X線・分子画像):数量 78.4(世界の稼働台数(CT・MRI・X 線・分子画像の合算、推定 約 50 万台)× GE の台数シェア = GE の稼働台数(千台))× 価格 113,400(稼働 1 台あたりの年間収入(新規売上+保守・修理、ドル))→ 売上 89 億ドル・営業利益 8 億ドル。稼働台数と 1 台あたり収入
- 超音波:数量 45.0(世界の超音波の販売台数(推定 年 約 15 万台)× GE の台数シェア = 販売台数(千台))× 価格 74,412(1 台あたりの売上(ドル))→ 売上 33 億ドル・営業利益 5 億ドル。販売台数と単価
- 画像ソフト・術中画像・遠隔診断:数量 16.1(画像ソフト・術中画像の契約数(千契約、推定))× 価格 295,000(1 契約あたりの年間売上(ドル))→ 売上 47 億ドル・営業利益 6 億ドル。契約数と 1 契約の収入
- 患者監視・麻酔・救急(患者ケア):数量 256(出荷台数(消耗品込み換算、千台、推定))× 価格 10,200(1 台あたりの売上(消耗品込み、ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 0 億ドル。出荷台数と単価
- 医薬品診断(造影剤・放射性医薬品):数量 110(造影・放射性医薬品の投与回数(百万回分、推定))× 価格 28(1 回分あたりの売上(ドル))→ 売上 31 億ドル・営業利益 6 億ドル。投与回数と 1 回の単価
倍率:事業の ROE 7.8% が k 8.50% 以下なので PER は 1÷k=11.8 倍まで。これに対し 10.6 倍(9 割)に置いた。構造的に負けた筋書き(のれんの減損後で、市場の伸びが鈍く価格が物価に届かない。g は 2.0%)。ROE が k に届かず、新しく投じる元手の稼ぎは ROE のまま。PER は 1÷k の 9 割に置く。純利益は GAAP。
確率:構造的に負ける展開:中国国産メーカー(ユナイテッド・イメージング・マインドレイ)が世界の中価格帯を取り、シーメンスが高価格帯を守って GE が挟まれ、造影剤の後発品で医薬品診断の利益が崩れ、患者ケアの減損が出る。優良とはいえなくなる展開で 10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
画像診断(CT・MRI・X線・分子画像)
CT・MRI・X 線・マンモグラフィー・核医学(SPECT・PET/CT)の装置と、その保守・サービス。病院の設備投資で新規が決まり、保守が収入の土台になる。
| 数量世界の稼働台数(CT・MRI・X 線・分子画像の合算、推定 約 50 万台)× GE の台数シェア = GE の稼働台数(千台) | 価格稼働 1 台あたりの年間収入(新規売上+保守・修理、ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 80.0 | 105,000 | 84 | 12 |
| 10 年後 中立 | 97.6 | 132,300 | 129 | 21 |
取り方:2025 年の画像診断(旧 Imaging 区分。CT・MRI・X 線・分子画像と保守)の売上 約 84 億ドル(上期 2026 の AIS 74.1 億ドル・+7.8% から 2025 年の AIS を約 145 億ドルと逆算し、超音波・ソフトを除いた推定)を、稼働台数 約 8 万台(世界の稼働 約 50 万台 × 台数シェア 16%、推定)で割った 1 台あたり 約 10.5 万ドル。世界の画像診断機器の市場は新規と保守で推定 約 520 億ドル、GE は金額で約 16%。競合はシーメンス・ヘルシニアーズ(CT・MRI で首位級、画像事業の営業利益率は還付を除き約 22%)、フィリップス、キヤノンメディカル、富士フイルム、ユナイテッド・イメージング(中国、2025 年の売上 +34%)。価格は物価 3.5% に届かない(中立で 10 年 1.26 倍)。保守は物価に連動するが、新規は競争と中国の集中調達で上がらない。
超音波
心臓用(ヴィヴィッド)・産科(ヴォルソン)・携帯型(ヴィスキャン)の超音波診断装置と AI の機能。
| 数量世界の超音波の販売台数(推定 年 約 15 万台)× GE の台数シェア = 販売台数(千台) | 価格1 台あたりの売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 45.0 | 68,900 | 31 | 6 |
| 10 年後 中立 | 57.6 | 85,436 | 49 | 10 |
取り方:超音波の売上 約 31 億ドル(推定。旧 AVS 区分の中の超音波)を、年約 4.5 万台(携帯型を含む推定)で割った 1 台あたり 約 6.9 万ドル。世界の超音波の市場は推定 約 100 億ドルで、GE は約 3 割。競合はフィリップス(心臓・産科で強い)、キヤノンメディカル、シーメンス・ヘルシニアーズ、富士フイルム、中国のマインドレイ。携帯型と AI で上位と下位に二極化し、中価格帯は中国勢が入る。価格は中立で 10 年 1.24 倍。
画像ソフト・術中画像・遠隔診断
画像の管理・クラウド・遠隔診断・AI の契約と、手術室の画像。2026 年 3 月にインテレラッド(クラウド画像管理)を買収。
| 数量画像ソフト・術中画像の契約数(千契約、推定) | 価格1 契約あたりの年間売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14.0 | 250,000 | 35 | 5 |
| 10 年後 中立 | 21.7 | 332,500 | 72 | 12 |
取り方:旧 AVS 区分の超音波以外(ソフト・デジタル・術中画像)約 30 億ドルと、インテレラッド 約 5 億ドル(推定。買収額 23 億ドルで売上の約 5 倍とみて)を合算した 約 35 億ドル(インテレラッドは成立済みなので 2025 年に足した擬似的な合算)を、契約 約 1.4 万件で割った 1 契約 約 25 万ドル。競合はシーメンス・ヘルシニアーズ、フィリップス、フジフイルム(画像管理)、クラウドの新興勢。価格は契約の物価連動で中立で 10 年 1.33 倍。
患者監視・麻酔・救急(患者ケア)
病院の患者監視装置・麻酔器・心電計・新生児や分娩の機器とその消耗品。2026 年は売上が大きく落ち、戦略的な選択肢を検討中。
| 数量出荷台数(消耗品込み換算、千台、推定) | 価格1 台あたりの売上(消耗品込み、ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 320 | 10,000 | 32 | 3 |
| 10 年後 中立 | 320 | 11,800 | 38 | 4 |
取り方:患者ケアの売上 約 32 億ドル(2025 年。2026 年上期は 13.8 億ドルで −10%)を、出荷台数(消耗品を台数換算した推定)32 万台で割った 1 台あたり 約 1 万ドル。競合はフィリップス(患者監視で首位)、マシモ、ドレーゲル、中国のマインドレイ。価格は競争が厳しく中立で 10 年 1.18 倍。2026 年は供給の混乱で数量が 1 割減り、その後の戻りを置いた。売却が決まっても未成立なので今のまま書く。
医薬品診断(造影剤・放射性医薬品)
CT・MRI・超音波の造影剤と、核医学(PET・SPECT)の放射性医薬品。心臓 PET 剤フィルカドが成長の柱。
| 数量造影・放射性医薬品の投与回数(百万回分、推定) | 価格1 回分あたりの売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 29 | 29 | 8 |
| 10 年後 中立 | 160 | 36 | 58 | 17 |
取り方:医薬品診断の売上 約 29 億ドル(2025 年。2026 年上期 +18%)を、投与 約 1 億回分(造影剤が大半、放射性医薬品は少数で高単価の推定)で割った 1 回あたり 約 29 ドル。世界の造影剤市場は推定 約 65 億ドルで、GE の造影剤は約 3 割。競合はブラッコ・バイエル・ゲルベ(造影剤)、放射性医薬品はルミナス(Lantheus)・ノバルティスなど。価格は後発品(オムニパーク)が出る恐れで物価に届かず、中立で 10 年 1.24 倍。
リスクと懸念
中国の集中調達と国産化
中国は集中調達(VBP)で画像診断装置の単価が下がり、国産優遇でユナイテッド・イメージングやマインドレイが国内の調達を取っている。GE の中国売上は 2025 年に −4.6% で、2026 年も減収を織り込む。国産メーカーは海外にも出ており(ユナイテッド・イメージングの海外売上は 2025 年に +51%)、新興国・欧州の中価格帯の単価と台数を同時に削る恐れがある。
関税とメモリー半導体などの値上がり
関税は 2025 年に営業利益を約 2.45 億ドル削り、2026 年もメモリー半導体・原油・運賃で約 2.5 億ドルの逆風がある。IEEPA 関税の還付(2026 年 4〜6 月期に純利益で 1.29 億ドル)は一度きりの上振れで、司法の判断や代わりの関税の導入次第で反転しうる。価格転嫁が病院との複数年契約で遅れるため、利益率の改善が遅れる。
患者ケアの赤字と売却の不確実性
患者ケア(PCS)は 2026 年 4〜6 月期に売上 −13.3%・営業赤字(−0.26 億ドル)。供給と納品の不具合が原因と説明されるが、競合のフィリップス・マシモ・ドレーゲルや中国のマインドレイに押されている面もある。会社は売却を含む選択肢を検討中で、買い手が付かなければ赤字が続き、減損も出うる。
画像診断での競合(シーメンスとフィリップス)
シーメンス・ヘルシニアーズは画像事業の営業利益率が約 22%(関税還付を除く)で、光子計数 CT で先行する。GE は欧州の承認が 2026 年後半で、受注への寄与は小さい。フィリップスは利益率を犠牲に値引きで受注を取る。利益率で 7 ポイント以上離されたまま縮まらなければ、中立の利益率の置き方(10 年で営業利益率 16.8%)が重い。
造影剤の後発品と価格
オムニパークはアムニールの後発品の可能性があり、造影剤の単価が下がれば、全社の利益の約 4 分の 1 を稼ぐ医薬品診断の利益率(約 30%)が下がる。ブラッコ・バイエル・ゲルベも価格で競る。フィルカドの目標(2028 年に年 5 億ドル以上)が遅れた場合の影響も大きい。
米国の病院の設備投資と医療政策
2025 年の包括法(OBBBA)によるメディケイドの縮小と ACA の補助の失効で、米国の病院の財務が圧迫され、CT・MRI の更新が先送りされる恐れがある。受注残(239 億ドル)の消化が遅れれば、売上の認識も遅れる。景気後退では設備投資が真っ先に止まる。
負債・年金と資本配分
インテレラッドの買収(23 億ドル)で純負債は約 80 億ドルに増え、年金・退職後給付の積立不足(税引き後約 40 億ドル)を足すと実質の負債は時価総額の約 37%。買収の ROIC の目標が 5 年目に 1 桁後半と低く、価値を壊す可能性がある。返済を優先する間は自社株買いが細る。
今後の分かれ目
- 2026 年後半に先進画像の営業利益率が 14〜15% に乗り、受注残の売上への転換が加速したら
- 中立の営業利益率(10 年 16.8%)の確度が上がり、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。
- 患者ケアの売却が決まり、買い手の価格が簿価に近い水準で成立したら
- 全社の利益率が約 1 ポイント上がり、借金の返済か自社株買いに回る。中立の 10 年後の純利益が 3〜5% 上振れする。売却が叶わず赤字が続けば、やや悲観の確率を上げる。
- 中国の売上が 2027 年に前年割れを脱し、集中調達の単価の下げ止まりが見えたら
- 画像の台数の伸びが +2.6% から +3% に近づき、10 年のやや楽観の確率を上げる。国産の海外進出で欧州・新興国の価格が崩れたら、10 年のやや悲観を厚くする。
- オムニパークの後発品が米国で出て、造影剤の単価が 2 桁下がったら
- 医薬品診断の価格が 10 年で +24% から +10% 台に落ち、全社の純利益が約 4% 下がる。フィルカドの 5 億ドル目標が前倒しで達成されれば、逆に上振れする。
- 光子計数 CT(Photonova Spectra)の欧州での承認と米国の申請が進み、受注が拡大したら
- CT の単価と台数が上がり、画像事業の利益率がシーメンスとの差を縮める。10 年の楽観の確率を 3 ポイント上げる。遅れれば CT のシェアが −0.3 ポイントより大きく落ちる。
- 関税が再び引き上げられ、IEEPA の還付が反転したら
- 営業利益率が 1 ポイント近く下がり、10 年後の純利益が約 8% 下がる。やや悲観・悲観の確率を 5 ポイント上げる。
見ておくもの
- 先進画像(AIS)の受注(オーガニック)と受注/売上、受注残(239 億ドル)の消化
- 先進画像と全社の営業利益率(GAAP と調整後の差)、関税・メモリー半導体の影響額
- 患者ケア(PCS)の戦略的な選択肢の結論と、売上・営業利益の回復
- 中国の売上と受注(集中調達の単価)、ユナイテッド・イメージング・マインドレイの海外売上
- フィルカドの週の投与回数と医薬品診断の成長・利益率、オムニパークの後発品
- 純負債(約 80 億ドル)の返済の進み方と自社株買いの金額、年金の積立状況
- 光子計数 CT の承認と受注、シーメンスの画像事業の利益率との差
倍率と資本コストの決め方
今の PER 15 倍台(GAAP)・時価総額 319 億ドルを見る前に、5 つの事業の数量(稼働台数・販売台数・契約数・投与回数)× 価格で 10 年後の売上と利益を積み、償却・利払い・税を置いてから倍率を決めた。中立の 10 年後 PER 12.8 倍は、利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)(k 8.5%・g 4.0%=市場の台数 +2.6%・シェア −0.3 ポイント・価格 +1.7%・事業の ROE 19.8%・堀は普通で RONIC 14.2%)= 15.9 倍の 8 割。純利益は GAAP のままで、調整後の数字は使わない。今の PER や過去の期末 PER(18 倍・3 期のみ)には寄せていない。結論の「やや割安」は計算の結果で、ROE が自己資本の小ささで高めに出る点、利益率の改善が前提である点で、確信度は中程度と見る。今の値段との比較は最後にした。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。関税・中国・患者ケアの不調は個別のリスクなので k に足さず、確率(やや悲観・悲観の合計 32%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。