結論
マケッソンは、米国の処方薬卸で最大手(3 社の流通額の約 43%)。2026 年 3 月期は売上 4,034 億ドル(前年比 +12%)、調整後の営業利益 65 億ドル(+15%)、純利益 48 億ドル。内訳は北米医薬品(売上 3,367 億ドル・営業利益 35 億ドル)、腫瘍・多専門(484 億ドル・14 億ドル)、処方技術(58 億ドル・11 億ドル)、医療用品(115 億ドル・10 億ドル)。利益の約 5 割は、売上の 2 割に満たない腫瘍・処方技術・医療用品が稼ぐ。
事業の質は高い。薬の流通は全米の物流網・資金力・規制の許認可がそろわないと参入できず、3 社寡占が数十年続いている。足元は GLP-1(2026 年 4〜6 月期の流通売上 150 億ドル、+24%)と特殊薬が売上を押し上げ、腫瘍の診療ネットワーク(フロリダ・キャンサー・スペシャリスツを 2025 年 6 月に取得)が利益率を上げている。会社は 2027 年 3 月期の調整後 EPS を +13〜15% と見込み、約 50 億ドルの自社株買いを続ける。
ただし、粗利は契約で決まる薄利の商売で、最大顧客の CVS ヘルスが売上の約 24% を占め、メーカー直販・割引カード・薬価規制(IRA の Part B・最恵国待遇)が流通の取り分を削る可能性がある。数量と価格で 10 年を積み上げると、中立の 10 年後は売上 7,094 億ドル、営業利益 122 億ドル(今の約 2 倍)、純利益 96 億ドルで、利益ベースの正当化 PER は 23.1 倍(資本コスト 8%、長期の g 4.0%、事業の ROE は ROIC の式で 100% の上限、堀は普通で新しく投じる元手の稼ぎ RONIC は 54%)。中立はその 8 割の 18.5 倍に置く。時価総額は 1,778 億ドルで、今の約 1.5 倍になる。確率で加重すると、今の時価総額を約 2% 上回り「適正」。薄利の卸が ROE 100% と読めるのは、自己資本が小さいからだ。この数字は借りた資金の効きに頼る面が大きい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。処方薬は景気に鈍感で、全米の流通網と資金力・許認可の組み合わせは複製が難しく、3 社寡占は何十年も続いている。堀は規模で、価格の堀ではないので、広がるというより維持される。
次にオーナー利益を見る。純利益 48 億ドルに対し、フリーキャッシュフロー 54〜57 億ドル、設備投資は売上の 0.2% と軽い。株主に回るのは配当と自社株買いの合計約 52 億ドルで、時価総額 1,193 億ドルに対する還元利回りは 4% 台。国債が 5% の世界では、株を持つ見返りの大半を「利益の伸び」に頼る値段で、PER 25 倍は今後の成長を前払いしている。利益ベースの倍率(中立の 10 年後 PER 18.5 倍)で見ると、中立の筋書きで 10 年の年率は +7% 台で、国債を少し上回る程度にとどまる。
安全域は、楽観で今の約 2.4 倍、悲観(直販と PBM が卸を飛ばし、顧客を失う)では約 4.4 割に下がる。経営は資本の配分が上手く、薄利の医療用品を分離して腫瘍・技術に資本を移しているが、割高な値で自社株買いを続ける点と、診療所の買収で少数株主の取り分が増える点は、価値を削る方向。わからない部分は、IRA・最恵国待遇・直販が卸の取り分をどこまで削るかで、確信度は中程度。
何で稼ぐ会社か
北米医薬品は米国とカナダで、病院・薬局チェーン・独立薬局・診療所へ処方薬を卸す。売上の大半を占めるが営業利益率は約 1.0%。利益の源は、ブランド薬の流通手数料、ジェネリックを大量に安く調達して売る差益、そして特殊薬・GLP-1 の流通で、利ざやは薬ごとに薄い。顧客との契約は長期(CVS ヘルスとは 2032 年 6 月まで延長する基本合意)で、数量が積み上がるほど 1 件あたりの固定費が薄まる。
腫瘍・多専門は、全米の腫瘍内科医のネットワーク(ユーエス・オンコロジー・ネットワーク)に、がん薬の流通・診療の運営支援・データを提供する。2025 年 6 月に、フロリダ・キャンサー・スペシャリスツを含むコア・ベンチャーズの約 70%(約 25 億ドル)を取得し、医師 250 人超・約 100 拠点が加わった。売上 484 億ドル(+31%)、営業利益 14 億ドル(+53%)で、利益率は 2.9% と北米医薬品の 3 倍近い。
処方技術は、製薬会社が処方箋の事前承認・患者支援・データを電子化して売るサービス(カバーマイメッズなど)で、売上は 58 億ドルしかないが営業利益率は約 19%。医療用品は、診療所・在宅向けの注射器や衛生用品などの流通で、売上 115 億ドル、営業利益 10 億ドル(率 8.7%)。これは「ウェルバース」の名で独立させる計画で、2026 年 6 月にアポロが約 13% を 12.5 億ドルで取得した(全体で約 96 億ドルの評価)。マケッソンは過半を持ち連結を続け、株主が受け取る価値は分離で変わらないと置いた。
売上を数量×価格に分けると、北米医薬品は「米国の処方薬の卸の市場 × マケッソンのシェア(約 42%)× 価格」。市場は件数と高額薬の構成で伸び、価格は物価並みを基本とした。
優良さと弱いところ
堀は 4 つ。第 1 は規模で、3 社で米国の流通の約 9 割を握り、マケッソンは約 43%。物流拠点・在庫・取引の規模が仕入れ交渉と 1 件あたりのコストを支える。第 2 は許認可と追跡の仕組み(薬の追跡法・麻薬の取扱い許可)で、新規参入に年単位の準備と巨額の投資がいる。第 3 は資金力で、薬局から数日で回収し、メーカーへは遅く払う運転資本の仕組みが、規模のある 3 社にしか回らない。第 4 は腫瘍の診療ネットワークと処方技術で、医師・メーカーとのデータと関係が、卸の取引より切り替えにくい。
資本効率は、自己資本がマイナス(−22 億ドル。自社株買いの累積)のため ROE は意味を持たないが、営業利益率は 1.0〜1.5% で安定(過去 12 期で最低 1.0%、最高 2.0%)、設備投資は売上の 0.2%、フリーキャッシュフロー 54〜57 億ドルは純利益 48 億ドルを上回る。経営はブライアン・タイラー CEO のもと、腫瘍・処方技術の高収益事業へ資本を移し、薄利の医療用品を分離する整理が進む。
弱点は、価格を決める力が弱いこと(粗利は契約で決まる)、最大顧客の CVS ヘルスが売上の約 24%(債権の 21%)、上位 10 社で約 73% と顧客が偏ること、2021 年に合意したオピオイド和解金の支払いが長く続くこと。優良さは「規模の堀」であって「価格の堀」ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の処方薬の卸は、マケッソン・センコラ(Cencora)・カーディナルヘルス(Cardinal Health)の 3 社が約 9 割を握り、3 社の米国流通額は 2026 年に 9,330 億ドル(ドラッグ・チャンネルズ)。数年は二桁だった伸びが、1 桁台半ばに減速している。2026 年 3 月期のマケッソンの売上は +12% だったが、2027 年 3 月期の見通しは +5〜9%、北米医薬品は +4〜8%。数量は高齢化・特殊薬・GLP-1 で年 1〜2%、価格は物価と高額薬の構成で名目 +3〜3.5% で、流通額は年 5% 前後と見る。
競合の位置:センコラは売上 3,213 億ドル・営業利益率 1.1% で、がん・特殊薬の流通に強いが、2025 年に大きな腫瘍内科の顧客を失った。カーディナルは売上 2,226 億ドル・営業利益率 1.1% で、医療製品の事業が赤字から回復中。マケッソンは営業利益率 1.5% と 3 社で最も高く、腫瘍・処方技術という付加価値の高い事業を持つ点が違う。
構造の変化は 4 つ。(1)バイオシミラー(ステラーラ・ヒュミラ・キイトルーダ後)の普及は、卸の粗利が高いジェネリック型の流通を増やす。(2)薬価の規制(IRA の価格交渉・Part B は 2028 年 1 月から、最恵国待遇、340B の見直し案)は定価の伸びを抑える。(3)メーカー直販(イーライリリーの直販など)と割引カードが、卸と薬局の仲介の取り分を削る可能性。(4)AI は事前承認・請求の効率化で、処方技術に追い風。循環でいえば、処方薬は景気に鈍感で、リーマンのときも数量は −1〜−2% にとどまった(株価の山から谷は −47% と、倍率で動いた)。
資本政策と M&A
還元は自社株買いが中心。2026 年 3 月期は自社株買い 48 億ドル、配当 3.8 億ドルで、株数は年 3% 減った(過去 5 年で年 3〜7% 減)。2026 年 4 月に承認枠を 50 億ドル増やして 77 億ドルとし、2027 年 3 月期は約 50 億ドルを買う予定で、四半期の配当も 15% 増やした(10 年連続の増配)。株式報酬は年 2〜3 億ドルと小さいが、正味の還元はそのぶんを引いて置いた。
M&A は、腫瘍・眼科などの診療ネットワークを買って、卸の売上に高収益のサービスを足す方針。2025 年 6 月のコア・ベンチャーズ(約 25 億ドルで約 70%、残りは医師)が最大で、医師が 30% を持つので、利益の一部は少数株主に流れる。医療用品は 2027 年後半の IPO を目指して分離中で、アポロが 13% を 12.5 億ドルで取得し、22.5 億ドルのタームローンを組んだ。分離は非課税で、株主の価値は変わらない見込み。
鍵は、自社株買いが割高な値段(今の PER 25 倍)で進んでいる点と、診療所の買収で医師への支払いと少数株主の取り分が増える点。他社に買収される可能性はほぼなく、大型の卸どうしの統合は独占規制上できない。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 25.3 億ドル(10-Q・2026 年 4〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
マケッソンは「薄利の卸」から「腫瘍・処方技術を持つ医療サービスの会社」に変わりつつある。2026 年 3 月期の調整後営業利益は +15%、腫瘍は +53%、処方技術は +17%。2026 年 4〜6 月期も北米医薬品の利益が +19%、腫瘍 +41%(コア除きでも +15%)で、通期の EPS 見通しを引き上げた。GLP-1 は流通売上が 150 億ドル(+24%)で、メディケアの GLP-1 ブリッジ事業も 7 月に始まった。
卸の寡占は崩れにくい。センコラは大口の腫瘍顧客を失い、カーディナルは医療製品で苦しむ一方、マケッソンは CVS ヘルスと 2032 年まで契約を延ばした。バイオシミラーが増えるほど、ジェネリック型の粗利が高い流通が増える。自社株買いは年 4% の株数減で、利益が年 +8% 伸びれば EPS は年 +12〜13% の複利になる。
会社の長期目標(EPS 年 13〜16%・北米医薬品の利益 5〜8%・腫瘍 13〜16%・処方技術 10〜13%)がほぼ実現し、10 年後の営業利益は今の 2.9 倍に近づく。資本コスト 8% のもとでは成熟後 PER 23 倍も説明できる。
慎重な見方
営業利益率 1.5% は卸としては最高水準で、ここが高止まりの天井に近い。2026 年 3 月期の利益の伸びは GLP-1 という一巡しやすい要因と、コア・ベンチャーズの買収(連結の追加)が押し上げた面が大きい。2026 年 4〜6 月期の医療用品は調整後営業利益 −20% で、分離費用と投資が重い。
最大の顧客 CVS ヘルスが売上の約 24%、上位 10 社で 73%。契約更新のたびに手数料を削られ、更新を失えば一度に売上の 2 割が飛ぶ。2028 年の IRA の Part B 交渉と最恵国待遇は、高額薬の定価を抑え、メーカー直販・割引カード・保険者の PBM 統合が、卸を飛ばす経路を太らせる。腫瘍のネットワークは医師への支払いと少数株主(フロリダ・キャンサー・スペシャリスツの医師 30%)の取り分が大きい。
今の PER 25 倍・自社株買いの利回り 4% は、成長を前払いしている。利益が 10 年で 2 倍になっても、倍率が過去の中央の 20 倍に戻れば時価総額の伸びは 1.6 倍にとどまり、悲観が起きれば 4 割下がる。
どちらに重みを置いたか
事業の質と足元の勢いは強気の見方が強く、腫瘍・処方技術の利益の伸びは目標どおりに近い。一方、値段の議論では慎重な見方が強い。そこで確率は、中立 36%・楽観側 32%・悲観側 32% とやや慎重にした。10 年の悲観を 12% と厚めにしたのは、直販・PBM による卸の迂回と、CVS ヘルスの顧客離れという一撃が、構造的に起こりうるため。結論は、利益ベースの倍率で「適正」。ただし ROE が自己資本の小ささに支えられていることへの依存が大きく、確信度は中程度。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,451 ドル1,722 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 497.83 ドル591 億ドル)。 今の値に割り戻すと 1,011 ドル1,200 億ドル、今との差 −0.5%、 期待の年率 +6.7%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,404 ドル2,854 億ドル | 671.19 ドル797 億ドル | +202.8% | +11.7% | 307.53 ドル365 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 1,907 ドル2,263 億ドル | 592.84 ドル704 億ドル | +146.1% | +9.4% | 549.89 ドル653 億ドル |
| 中立 | 36% | 1,498 ドル1,778 億ドル | 522.07 ドル620 億ドル | +98.9% | +7.1% | 727.16 ドル863 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 994.52 ドル1,181 億ドル | 411.71 ドル489 億ドル | +38.5% | +3.3% | 281.25 ドル334 億ドル |
| 悲観 | 12% | 438.42 ドル520 億ドル | 249.96 ドル297 億ドル | −32.2% | −3.8% | 82.60 ドル98 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 1,451 ドル1,722 億ドル | 497.83 ドル591 億ドル | +91.9% | +6.7% | 1,948 ドル2,313 億ドル |
今の株価時価総額 1,016 ドル1,205 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:バイオシミラーと腫瘍の診療網で、営業利益が今の約 2.9 倍に 利益 137 億ドル · PER 20.8 倍 · 株価時価総額 2,404 ドル2,854 億ドル
10 年後(2036 年 3 月期)、バイオシミラーが増え、粗利の高いジェネリック型の流通が伸びる。北米医薬品は実質市場が年 +2.8% で 10,544 億ドル、シェア 44%、価格は物価並み(1.41 倍)で売上 6,541 億ドル、営業利益率 1.20% で営業利益 78 億ドル。腫瘍は実質市場が年 +6%、診療所の買収でシェア 33%、売上 1,667 億ドル・営業利益 53 億ドル。処方技術は AI で営業利益 36 億ドル、医療用品は 21 億ドル。営業利益 174 億ドル(今の 2.9 倍)、純利益 137 億ドル。ROIC は高いまま、成長は名目 +4% に落ち着き、PER 20.8 倍(式の 23.1 倍の 9 割)。10 年の正味還元は約 797 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 891 億ドル。2025 年の 47.6 億ドルから 2035 年(2036 年 3 月期)の 137 億ドルへ、年 11% 前後で伸び続ける道筋の足し算。
- 北米医薬品(米国・カナダの処方薬の卸):数量 10,544(米国の処方薬の卸経由の流通市場(億ドル、実質:2026 年 3 月期の価格で固定、推定))× 価格 62.0%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 6,541 億ドル・営業利益 78 億ドル。件数・特殊薬と物価
- 腫瘍・多専門(診療ネットワーク・特殊薬の流通):数量 3,582(米国の特殊薬(がん・多専門)の診療所向け流通・運営支援の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 46.5%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 1,667 億ドル・営業利益 53 億ドル。診療網の拡大
- 処方技術(事前承認・患者支援・データ):数量 1,075(製薬会社向けの処方アクセス・患者支援・データの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 16.9%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 182 億ドル・営業利益 36 億ドル。高収益の技術
- 医療用品(ウェルバースとして分離予定):数量 1,280(米国の診療所・在宅向けの医療用品の流通市場(億ドル、実質、推定))× 価格 17.6%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 226 億ドル・営業利益 21 億ドル。分離・価格競争
倍率:正当化 PER は 23.1 倍(g 4.0%、RONIC 54.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 100.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 20.8 倍(9 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流網・資金力・許認可がそろわないと参入できず、3 社寡占が数十年続く。ただ粗利は契約で決まる薄利で、最大顧客の CVS ヘルスが売上の約 24% を占め、直販や薬価規制に取り分を削られる。伸びの一部は診療網の買収で買うので、強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占で景気に鈍感な需要を持つ。一方で顧客が CVS ヘルスに偏り、粗利が薄い。純利益は GAAP。
確率:バイオシミラーで粗利の高い流通が増え、腫瘍の診療網が拡大し、営業利益率が上がる展開。10 年この条件がそろう確率は 1 割。
やや楽観 22% やや楽観:卸の寡占を保ち、腫瘍・処方技術で営業利益が 2.5 倍に 利益 115 億ドル · PER 19.7 倍 · 株価時価総額 1,907 ドル2,263 億ドル
10 年後、北米医薬品の実質市場は年 +2.2% で 9,945 億ドル、シェア 43%、売上 6,030 億ドル、営業利益率 1.12% で営業利益 68 億ドル。腫瘍はシェア 31%・営業利益 45 億ドル(年 +12%)、処方技術 30 億ドル、医療用品 18 億ドル。営業利益 147 億ドル(今の 2.5 倍)、純利益 115 億ドル。成長が名目 +4% に落ちてPER 19.7 倍(式の 23.1 倍の 8.5 割)。物価が 10 年で 1.41 倍になる中、卸の売上は価格で伸び、数量は年 +2% の増加が上乗せする。CVS ヘルスとの契約は 2032 年に再延長され、バイオシミラーの普及で後発薬型の粗利が増える一方、IRA の Part B と最恵国待遇で腫瘍薬の定価は物価を下回らない範囲で抑えられる。医療用品は独立後に営業利益率 9% を保ち、処方技術は AI による事前承認の自動化で利益率 19.5% を維持する。10 年の正味還元は約 704 億ドル。
- 北米医薬品(米国・カナダの処方薬の卸):数量 9,945(米国の処方薬の卸経由の流通市場(億ドル、実質:2026 年 3 月期の価格で固定、推定))× 価格 60.6%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 6,030 億ドル・営業利益 68 億ドル。件数・特殊薬と物価
- 腫瘍・多専門(診療ネットワーク・特殊薬の流通):数量 3,352(米国の特殊薬(がん・多専門)の診療所向け流通・運営支援の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 43.7%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 1,465 億ドル・営業利益 45 億ドル。診療網の拡大
- 処方技術(事前承認・患者支援・データ):数量 977(製薬会社向けの処方アクセス・患者支援・データの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 15.5%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 152 億ドル・営業利益 30 億ドル。高収益の技術
- 医療用品(ウェルバースとして分離予定):数量 1,195(米国の診療所・在宅向けの医療用品の流通市場(億ドル、実質、推定))× 価格 16.9%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 202 億ドル・営業利益 18 億ドル。分離・価格競争
倍率:正当化 PER は 23.1 倍(g 4.0%、RONIC 54.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 100.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 19.7 倍(8.5 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流網・資金力・許認可がそろわないと参入できず、3 社寡占が数十年続く。ただ粗利は契約で決まる薄利で、最大顧客の CVS ヘルスが売上の約 24% を占め、直販や薬価規制に取り分を削られる。伸びの一部は診療網の買収で買うので、強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占で景気に鈍感な需要を持つ。一方で顧客が CVS ヘルスに偏り、粗利が薄い。純利益は GAAP。
確率:卸の寡占と契約が保たれ、腫瘍・処方技術が目標に近く伸びるが、薬価規制で北米医薬品の利益率は小幅の上昇にとどまる展開。
中立 36% 中立:優良な成熟卸として名目 +5% で伸び、倍率は平常化 利益 96 億ドル · PER 18.5 倍 · 株価時価総額 1,498 ドル1,778 億ドル
10 年後、北米医薬品は実質市場が年 +1.5%(9,284 億ドル)、シェア 42.1% を維持し、価格 1.41 倍で売上 5,510 億ドル、営業利益率 1.06% で営業利益 58 億ドル。腫瘍はシェア 29%・売上 1,270 億ドル・営業利益 37 億ドル(年 +10%)、処方技術は売上 131 億ドル・営業利益 25 億ドル、医療用品は営業利益 16 億ドル。営業利益 122 億ドル(今の約 2 倍、年 +7%)、純利益 96 億ドル。成長は名目 +4% に落ち着き、PER は式の 23.1 倍の 8 割の 18.5 倍。10 年の正味還元は約 620 億ドルで、純利益の累計の約 9 割。
- 北米医薬品(米国・カナダの処方薬の卸):数量 9,284(米国の処方薬の卸経由の流通市場(億ドル、実質:2026 年 3 月期の価格で固定、推定))× 価格 59.3%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 5,510 億ドル・営業利益 58 億ドル。件数・特殊薬と物価
- 腫瘍・多専門(診療ネットワーク・特殊薬の流通):数量 3,106(米国の特殊薬(がん・多専門)の診療所向け流通・運営支援の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 40.9%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 1,270 億ドル・営業利益 37 億ドル。診療網の拡大
- 処方技術(事前承認・患者支援・データ):数量 888(製薬会社向けの処方アクセス・患者支援・データの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 14.8%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 131 億ドル・営業利益 25 億ドル。高収益の技術
- 医療用品(ウェルバースとして分離予定):数量 1,127(米国の診療所・在宅向けの医療用品の流通市場(億ドル、実質、推定))× 価格 16.2%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 183 億ドル・営業利益 16 億ドル。分離・価格競争
倍率:正当化 PER は 23.1 倍(g 4.0%、RONIC 54.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 100.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 18.5 倍(8 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流網・資金力・許認可がそろわないと参入できず、3 社寡占が数十年続く。ただ粗利は契約で決まる薄利で、最大顧客の CVS ヘルスが売上の約 24% を占め、直販や薬価規制に取り分を削られる。伸びの一部は診療網の買収で買うので、強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占で景気に鈍感な需要を持つ。一方で顧客が CVS ヘルスに偏り、粗利が薄い。純利益は GAAP。
確率:業界ノートの中立(流通額 約 1.6 倍、営業利益率 横ばい)に、腫瘍・処方技術の伸びを加えた。会社の長期目標をやや下回る。
やや悲観 20% やや悲観:薬価規制と直販が取り分を削り、営業利益は 4 割増にとどまる 利益 68 億ドル · PER 17.4 倍 · 株価時価総額 994.52 ドル1,181 億ドル
10 年後、IRA の Part B・最恵国待遇・割引カードで高額薬の定価が伸びず、価格指数は 1.34(物価並みの 1.41 を下回る)、メーカー直販が一部の流通を奪ってシェアは 40% に下がる。北米医薬品の売上は 4,737 億ドル、営業利益率 0.98% で営業利益 46 億ドル。腫瘍はシェア 27%・営業利益 26 億ドル。医療用品は独立後に価格競争で営業利益率 7.5%。営業利益 86 億ドル(今の 1.4 倍)、純利益 68 億ドル。成長が名目 +3.5% に落ち、PER 17.4 倍(式の 23.1 倍の 7.5 割)。
- 北米医薬品(米国・カナダの処方薬の卸):数量 8,837(米国の処方薬の卸経由の流通市場(億ドル、実質:2026 年 3 月期の価格で固定、推定))× 価格 53.6%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 4,737 億ドル・営業利益 46 億ドル。件数・特殊薬と物価
- 腫瘍・多専門(診療ネットワーク・特殊薬の流通):数量 2,688(米国の特殊薬(がん・多専門)の診療所向け流通・運営支援の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 36.2%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 973 億ドル・営業利益 26 億ドル。診療網の拡大
- 処方技術(事前承認・患者支援・データ):数量 768(製薬会社向けの処方アクセス・患者支援・データの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 12.7%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 98 億ドル・営業利益 17 億ドル。高収益の技術
- 医療用品(ウェルバースとして分離予定):数量 1,051(米国の診療所・在宅向けの医療用品の流通市場(億ドル、実質、推定))× 価格 14.1%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 148 億ドル・営業利益 11 億ドル。分離・価格競争
倍率:正当化 PER は 23.1 倍(g 4.0%、RONIC 54.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 100.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 17.4 倍(7.5 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流網・資金力・許認可がそろわないと参入できず、3 社寡占が数十年続く。ただ粗利は契約で決まる薄利で、最大顧客の CVS ヘルスが売上の約 24% を占め、直販や薬価規制に取り分を削られる。伸びの一部は診療網の買収で買うので、強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占で景気に鈍感な需要を持つ。一方で顧客が CVS ヘルスに偏り、粗利が薄い。純利益は GAAP。
確率:薬価規制(IRA の Part B・最恵国待遇)で定価が物価より伸びず、CVS ヘルスなどの更新で手数料が下がり、直販が一部の流通を奪う展開。2 割。
悲観 12% 悲観:直販・PBM が卸を飛ばし、大口顧客を失って優良でなくなる 利益 33 億ドル · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 438.42 ドル520 億ドル
10 年後、メーカー直販と保険者・PBM が卸を飛ばし、CVS ヘルス級の大口顧客が自前の調達を拡大し、マケッソンのシェアは 37% まで下がる。価格指数は 1.25(物価の 1.41 を大きく下回る)、北米医薬品の売上は 3,346 億ドル(今とほぼ同じ)、営業利益率 0.85% で営業利益 28 億ドル。腫瘍のネットワークも医師が離れてシェア 22%。営業利益 42 億ドル(今の約 7 割)、純利益 33 億ドル。優良ではなくなり、PER 15.8 倍(g 2% の式の値をそのまま)。自己資本はマイナスから 49 億ドルに戻るが、床は低く、時価総額は今の 4 割台に落ちる。
- 北米医薬品(米国・カナダの処方薬の卸):数量 7,235(米国の処方薬の卸経由の流通市場(億ドル、実質:2026 年 3 月期の価格で固定、推定))× 価格 46.3%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,346 億ドル・営業利益 28 億ドル。件数・特殊薬と物価
- 腫瘍・多専門(診療ネットワーク・特殊薬の流通):数量 2,209(米国の特殊薬(がん・多専門)の診療所向け流通・運営支援の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 26.4%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 583 億ドル・営業利益 13 億ドル。診療網の拡大
- 処方技術(事前承認・患者支援・データ):数量 600(製薬会社向けの処方アクセス・患者支援・データの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 9.6%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 58 億ドル・営業利益 8 億ドル。高収益の技術
- 医療用品(ウェルバースとして分離予定):数量 904(米国の診療所・在宅向けの医療用品の流通市場(億ドル、実質、推定))× 価格 10.8%(マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 98 億ドル・営業利益 5 億ドル。分離・価格競争
倍率:正当化 PER は 15.8 倍(g 2.0%、RONIC 37.1%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 66.2% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.8 倍(10 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流網・資金力・許認可がそろわないと参入できず、3 社寡占が数十年続く。ただ粗利は契約で決まる薄利で、最大顧客の CVS ヘルスが売上の約 24% を占め、直販や薬価規制に取り分を削られる。伸びの一部は診療網の買収で買うので、強い堀(2/3)とは見ない。構造的に負けた筋書き(直販で卸が飛ばされ、成長が 2% に落ちる筋書き)。この筋書きの g での正当化 PER の値をそのまま使う(上限の割合は掛けない)。純利益は GAAP。
確率:メーカー直販と保険者・PBM の統合で卸が飛ばされ、CVS ヘルス級の大口顧客を失い、価格指数が物価を大きく下回る構造的な負け。確率 12%(ただし 3 社の寡占は数十年続いた実績がある)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米医薬品(米国・カナダの処方薬の卸)
病院・薬局チェーン・独立薬局へ処方薬を流通する。薄利で規模が堀。GLP-1 と特殊薬が売上を押し上げる。
| 数量米国の処方薬の卸経由の流通市場(億ドル、実質:2026 年 3 月期の価格で固定、推定) | 価格マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 8,000 | 42.1% | 3,367 | 35 |
| 10 年後 中立 | 9,284 | 59.3% | 5,510 | 58 |
取り方:3 社の米国流通額は 2026 年に 9,330 億ドル(ドラッグ・チャンネルズ。カナダ・海外・医療製品を含む)。米国の処方薬の卸市場を約 8,000 億ドルと置き、売上 3,367 億ドルからシェア 42.1%。調整後の営業利益 35 億ドル(率 1.04%)。
腫瘍・多専門(診療ネットワーク・特殊薬の流通)
がん・眼科・多専門の診療所への特殊薬の流通と運営支援。コア・ベンチャーズ(FCS)を 2025 年 6 月に連結。
| 数量米国の特殊薬(がん・多専門)の診療所向け流通・運営支援の市場(億ドル、実質、推定) | 価格マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,000 | 24.2% | 484 | 14 |
| 10 年後 中立 | 3,106 | 40.9% | 1,270 | 37 |
取り方:米国の特殊薬の診療所向け市場を約 2,000 億ドルと推定。売上 484 億ドルからシェア 24.2%。調整後の営業利益 14 億ドル(率 2.9%)。コアを含む伸び(2026 年 4〜6 月期の売上 +33%、除くと +24%)は一部が買収。
処方技術(事前承認・患者支援・データ)
製薬会社向けの処方アクセスの電子化・患者支援・データ。営業利益率が高い。
| 数量製薬会社向けの処方アクセス・患者支援・データの市場(億ドル、実質、推定) | 価格マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 9.7% | 58 | 11 |
| 10 年後 中立 | 888 | 14.8% | 131 | 25 |
取り方:市場を約 600 億ドルと推定。売上 58 億ドルからシェア 9.7%。調整後の営業利益 11 億ドル(率 19%)。会社の長期目標は営業利益 年 10〜13%。
医療用品(ウェルバースとして分離予定)
診療所・在宅向けの医療用品の流通。2027 年後半の IPO を目指し分離中(アポロが約 13% を取得、マケッソンは過半を持つ)。
| 数量米国の診療所・在宅向けの医療用品の流通市場(億ドル、実質、推定) | 価格マケッソンのシェア × 価格指数(今 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 11.5% | 115 | 10 |
| 10 年後 中立 | 1,127 | 16.2% | 183 | 16 |
取り方:市場を約 1,000 億ドルと推定。売上 115 億ドルからシェア 11.5%。調整後の営業利益 10 億ドル(率 8.7%)。分離後も株主の持つ価値は同じとして、全社の筋書きに含めた(アポロの 13% は純利益の少数株主の取り分に入れた)。
リスクと懸念
CVS ヘルスへの依存
CVS ヘルスが売上の約 24%(債権の 21%)、上位 10 社で約 73%。契約は 2032 年 6 月までの延長で基本合意しているが、更新のたびに手数料を削られる可能性があり、離れれば一度に売上の 2 割強と利益の相当部分が飛ぶ。大口顧客の自前調達の拡大も同じ打撃になる。
薬価規制と直販(IRA・最恵国待遇・割引カード)
IRA の Part B の価格交渉は 2028 年 1 月から、最恵国待遇の価格合意と割引カード・メーカー直販が広がると、定価に連動する卸の手数料が削られ、仲介を飛ばす経路が太る。340B の見直し案も腫瘍の診療網の利益に影響しうる。数量でなく価格の取り分の問題なので、売上が伸びても利益が伸びない形になる。
利益率の天井と GLP-1 の一巡
調整後の営業利益率 1.5% は卸 3 社で最高水準で、売上が伸びても粗利の薄い GLP-1 が増えるほど率は下がる。GLP-1 の流通売上は 150 億ドル(+24%)で押し上げの大きな柱だが、メーカーの直販(イーライリリーの直販など)が増えると、その流通額が卸を通らなくなる。
腫瘍の診療網の買収と少数株主
コア・ベンチャーズは約 70% の取得で、残り 30% は医師が持つ。診療所を買うほど、医師への支払いと少数株主の取り分が増え、純利益への換算が下がる。医師の離脱や診療報酬の変更(メディケア Part B)で診療網の価値が揺れる。
医療用品の分離(ウェルバース)
2026 年 4〜6 月期の医療用品の調整後営業利益は −20%(195 百万ドル)で、分離の費用と新しい資本構造(タームローン 22.5 億ドル)が重い。IPO は 2027 年後半の見込みで、市場次第。スタンドアロンの費用が本体に残る可能性がある。
オピオイド和解金の支払いと訴訟
2021 年に合意した全米の和解金(約 74 億ドル)を、18 年にわたり払い続ける(金額・期間は 10-K で確認が要る)。薬の追跡法・麻薬の取扱い規制の違反は、許認可と営業に影響する。大きな追加の訴訟が出れば、純利益に響く。
自社株買いが割高な値で進む
年 50 億ドルの自社株買いは、PER 25 倍の今は還元利回り 4% 程度。値段が下がれば価値は増えるが、割高なまま続けると、株主の価値を減らす面がある。借り入れで資金を足すと、金利が高い世界では利益が圧迫される。
今後の分かれ目
- CVS ヘルスが契約の更新で手数料の引き下げを求めるか、自前の調達を拡大したら
- 売上の約 24% が影響を受け、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。卸の利ざやが薄くなるので、倍率を 2〜3 倍下げて見る。
- 2028 年の IRA の Part B 交渉で、腫瘍薬の価格が大きく下がったら
- 卸の手数料の伸びが物価を下回り、腫瘍・北米医薬品の営業利益の伸びを下げる。腫瘍の利益 年 +13% の筋書きを 10% に落として見る。
- メーカー直販・割引カード(TrumpRx など)が GLP-1 の流通の 1 割を超えて卸を通らなくなったら
- GLP-1 の流通売上(150 億ドル)が減り、北米医薬品の数量が下がる。3 年のやや悲観に確率を寄せる。
- 腫瘍の営業利益が年 +15% を 3 年続け、処方技術の利益率が 20% に乗ったら
- 営業利益の伸びが目標を上回り、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし倍率は成長の減速を先に映す。
- ウェルバースの IPO が順調で、分離後のマケッソンが腫瘍・技術・卸に絞られたら
- 利益率が上がり、資本が高収益事業に向かう。倍率を 1〜2 倍上げて見る余地。ただし分離費用が残るかも見る。
- 景気後退でジェネリックの価格が下がり、卸の運転資本と信用リスクが膨らんだら
- 営業利益が 1 割ほど落ちるが、数量は崩れない。2008 年末の谷の PER 13 倍が下値の目安。3 年の悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 北米医薬品の営業利益の伸び(年 5〜8% の目標)と GLP-1 の流通売上
- 腫瘍・多専門の営業利益の伸び(年 13〜16%)とコア・ベンチャーズの寄与
- 処方技術の営業利益率(約 19%)と成長
- CVS ヘルス・ウォルグリーンなど大口顧客の契約更新
- IRA の Part B(2028 年 1 月)・最恵国待遇・340B の見直し案
- メーカー直販・割引カードの利用の広がり
- ウェルバースの IPO の進み方と分離費用
- 自社株買いの規模と株数の減り方
倍率と資本コストの決め方
今の PER 25 倍・時価総額 1,193 億ドルを見る前に、北米医薬品・腫瘍・処方技術・医療用品の 4 つに分け、市場(実質)× シェア × 価格指数で売上を、営業利益率で利益を積み上げた。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k 8.0%・g 4.0%・ROE 100%(ROIC の式の値を上限で止めた)・堀は普通で RONIC 54% から 23.1 倍。中立は 8 割の 18.5 倍に置いた。今の倍率にも過去の幅にも寄せていない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0% = 8.0%。CVS ヘルスへの依存・直販・薬価規制・オピオイド和解の支払いなどの個別のリスクは k に足さず、やや悲観・悲観の確率(合計 32%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。