結論
ユナイテッドヘルス・グループは、約 4,850 万人の医療保険(ユナイテッドヘルスケア)と、医師・クリニック、請求処理、薬剤給付管理(PBM)のオプタムを束ねる米国最大のヘルスケア企業である。2025 年は売上 4,476 億ドルでも営業利益が 190 億ドル(営業利益率 4.2%)まで落ちた。医療費率(保険料のうち医療費に払う割合)が 2023 年の 83.2% から 89.1% へ悪化し、高齢者向けの診療報酬の不正請求を巡る司法省の調査、サイバー攻撃、人員削減が重なったためである。
2026 年は回復局面にあり、4〜6 月の医療費率は 86.7%、通年の営業利益は 254 億ドル超(営業利益率 5.7%)の見通しである。ただし回復の中身は、不採算の保険・診療を切って加入者を減らす「縮んで稼ぐ」形で、メディケア・アドバンテージの加入者は前年から約 80 万人減った。
事業の質は高いが、かつて 8% 台あった営業利益率が戻りきるかは分からない。10 年後も存在し、おそらく業界首位だが、堀(規模・データ・保険と医療の一体運営)は規制と調査で狭まる面がある。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割に置いた(moat は normal)。10 年の中立は、正当化 PER 17.4 倍(k 8.5%、g 4%)の 8 割の 13.9 倍。今の GAAP の PER は 30 倍で、この水準を上回る。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 8% 下。結論は「適正」。ただし前提は保険の利益率が 4〜5% 台へ戻ることで、戻らなければ価値は大きく削れる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後も存在するかを問う。答えは、ある。人口の高齢化で医療費は伸び続け、保険と医療を束ねる規模は簡単に作れない。ただし事業の質は「防ぐ堀」であって「値段を決める堀」ではない。保険料は政府と雇用主が決め、利益は医療費との差の数ポイントにすぎない。2025 年の営業利益が 1 年で 4 割落ちたことが、この事業の予測のしにくさを示している。
オーナー利益を見ると、2026 年の純利益は約 170 億ドル、株式報酬と事業の維持に要る投資(在宅・クリニックの設備、IT)を引いても、フリーキャッシュフロー 160〜200 億ドルが見える。時価総額 3,657 億ドルに対する利回りは 4.5〜5.5% で、名目の国債 5% と同じ水準だが、保険料も医療費も物価とともに上がるので、この利回りは物価に合わせて伸びる。利益率が戻る分は、今の値段に入りきっていない。
経営については評価が割れる。ヘムズリー氏は過去(2006〜2017 年)に高い資本配分の実績を残したが、2024〜2025 年の医療費の読み違い、司法省の調査、サイバー攻撃は管理の甘さを示した。事業の質は高いが予測の確度が低い。それは資本コストに足さず、悲観の確率を厚くして評価した。安全域を測る。正当化 PER は 17.4 倍(g 4%、k 8.5%、moat は normal)。10 年の中立は正当化 PER の 8 割の 13.9 倍に置いた。今の PER 30 倍は 10 年後の中立より高いが、10 年で利益が伸びる分を見込むと、価値は今と並ぶ。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 8% 下。結論は「適正」。わかりやすい事業だが、わからない部分(法的責任・政策)が大きい。
何で稼ぐ会社か
ユナイテッドヘルスケアは、商業(雇用主向け)約 3,000 万人(うち保険リスクを負うのは約 770 万人で、残りは管理手数料型)、メディケア・アドバンテージ(高齢者の民間版公的保険)約 760 万人、メディケイド(低所得者向け)約 680 万人などの保険を引き受ける。保険料は商業では毎年の料率改定で、メディケア・アドバンテージでは政府の支払い額(毎年春に確定)で決まり、医療費がそれを上回る年に利益が消える。売上の約 4 分の 3 を占める。
オプタムは 3 つに分かれる。オプタム・ヘルスは医師グループ・クリニック・在宅診療を持ち、保険者から 1 人いくらの定額で患者を引き受ける(価値ベース診療)。オプタム・インサイトは請求処理・データ分析・ソフトで、利益率は 25% 前後と最も高い。オプタム・アールエックスは薬局網と薬価交渉を握る PBM で、年約 15 億件を処理するが、1 件あたりの利益は薄い。
特徴は、保険者・医療提供者・薬の流通・IT を 1 社で持つ垂直統合にある。保険者としての支払いデータをオプタムのサービスへ生かし、集めたデータで保険料の設定やリスク調整の請求を最適化できる。反面、この仕組みは規制当局が「自社取引で利益を移している」と疑う論点にもなり、司法省と議会の関心を集めている。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は規模である。商業の雇用主契約と全米の医療提供者網を持つため、病院・医師に対する価格交渉力が地域の競合より強い。第 2 は保険とオプタムを組み合わせた統合で、データと診療行動を一体で管理できる。第 3 はメディケア・アドバンテージでの首位(シェア約 3 割)で、制度の設計に影響力がある。
ただし資本効率は 2025 年に崩れた。ROE は 2023 年の 25% から 12.8% に、営業利益率は 8.7% から 4.2% へ落ちた。医療費率の見積もりを 2 年続けて誤り、経営は信頼を失った。2025 年にスティーブン・ヘムズリー氏がアンドリュー・ウィティ氏に代わって CEO に復帰し、不採算の契約・地域を切る方針に変えた(ルイジアナの保険からの撤退、南米事業の売却、価値ベース診療の患者を約 70 万人減らす)。
弱点は 3 つ。保険料が政府・雇用主に決められ、価格を決める力が弱いこと。保険の利益率が構造的に薄く、医療費の少しの読み違いが赤字に直結すること。司法省の民事・刑事の調査や PBM への規制で、堀の源泉が政治に左右されることである。最後に、2024 年のチェンジ・ヘルスケアのサイバー攻撃で見えた通り、集中が事故の影響も大きくする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の国民医療費は年 5.8% で伸び、GDP 比は 2023 年の 17.6% から 2033 年に 20.3% へ上がる見通しで、需要の量は確かである。ただし保険者の利益は「医療費の伸び」と「保険料の改定」の差で決まり、2024〜2025 年は医療の利用(特に高齢者の手術・在宅・薬)が想定を上回って保険者が一斉に利益を落とした。業界ノートの前提(営業利益率は 2028 年に 4〜4.5% へ戻る)は業界全体の姿で、ユナイテッドヘルスは 2026 年の見通しがすでに 5.7% と高く、オプタムの高利益部門(インサイト)が下支えする点が違う。
競争は、メディケア・アドバンテージでヒューマナ(シェア約 17%)、商業でエレバンス(Elevance)・シグナ・CVS ヘルス(エトナ)・各地のブルークロスと争う。PBM は 3 社(CVS のケアマーク、シグナのエクスプレス・スクリプツ、オプタム・アールエックス)で処方の約 8 割を処理するが、雇用主の離反(利用する雇用主が 63% から 54% へ)と規制で力が落ちている。
政策面では、2027 年のメディケア・アドバンテージの支払いが最終で 2.48% 引き上げ(初案は 0.09%)、リスク調整の変更を足して実質約 5% で、保険者に追い風になった。2026 年成立の包括法は PBM のリベートを切り離す改革を 2028 年 8 月以降に求める。循環で言えば、利益の底を打ち、料率が上がる 2027 年へ向かう回復の初期にいる。
資本政策と M&A
還元は配当(2026 年上半期 41 億ドル、毎年増配)と自社株買い(2026 年は 50 億ドル以上と計画、前の計画の 2 倍)で、営業の現金収入は約 240 億ドルの見通しである。純有利子負債は 586 億ドル(自己資本比率 30%)と保険としては重い。株式報酬による株数増を差し引くと、正味の還元は年 120 億ドル前後になる。
M&A は、保険とオプタムの垂直統合を軸に、医師グループ(ダヴィータの医療部門・ケアモント・ラ・ストリート・ヘルスなど)、ヘルス・ケア・ナビゲーション、請求処理を多数買ってきた。2023 年のアメディシスの買収は司法省の訴訟で数年遅れた。2025 年以降は買うより売る・切る局面で、南米事業の売却、インサイトの一部事業の売却、ルイジアナからの撤退を進めた。一方、2026 年 7 月にはデジタル決済のアレジウスをオプタム・インサイトが買収し、利益率の高い部門へは投資を続ける。
今後の鍵は、買収した医師グループの利益率が資本コストを上回るか、自社株買いを回復途上の割高な局面で急がないかである。大型 M&A は反トラストで難しく、買われる側になる可能性は時価総額 3,700 億ドルでは現実的でない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2025 年の底は、会社が自分で作った一過性の問題が重なったもので、構造的なものではない。医療費率は 2025 年の 89.1% から 2026 年 4〜6 月の 86.7% へ 2.7 ポイント改善し、通年の見通しも 88.1% まで引き上げた。不採算の契約を切り(メディケア・アドバンテージの加入者は 835 万人 → 757 万人、メディケイドの一部撤退)、オプタム・ヘルスは 70 万人の価値ベース診療の患者を手放しており、この「掃除」が済む 2027 年から料率・給付設計の改善が全部利益に出る。
2027 年のメディケア・アドバンテージの支払いは最終で 2.48% 引き上げに、リスク調整の変更を足して実質約 5%、約 130 億ドルの追加になる。保険料の定価が上がるため利益率は 1〜1.5 ポイント戻りうる。オプタム・インサイトは営業利益率 25% 超で、アレジウスの買収で追加の成長を買った。オプタム・アールエックスは手数料型への移行で顧客の信頼を取り戻し、800 の新規顧客を獲得している。
医療費は年 5〜6% で伸び続け、高齢化は止まらない。営業利益率が 2023 年の 8.7% 近くまで戻れば、純利益は 300 億ドルを超え、過去の PER 20 倍で評価されれば時価総額は今の 1.5 倍になる。
慎重な見方
利益率が戻る前提が脆い。医療費率は 2023 年 83.2% → 2025 年 89.1% と 6 ポイント悪化した後、2026 年で 88.1% までしか戻らず、過去の水準 82〜84% には遠い。コスト改善は主に「加入者を減らして不採算を切る」ことで得たもので、売上は 2026 年に 2% 減る見通し(10 年で初の減収計画)。成長を犠牲にした回復であり、規模の堀が狭まる。
司法省は、メディケア・アドバンテージの診断の水増し(リスク調整)で民事・刑事の調査を続け、オプタム・アールエックスの調査も報じられている。決着すれば数十億ドル規模の返納と、リスク調整の制度変更による恒久的な収益の減少が起こりうる。PBM は雇用主の離反と手数料型への移行で 1 件あたりの利益が 3 割ほど下がり、2028 年にリベートの切り離しが加われば収益源が消える。商業の利益率の回復は「2027 年以降」へ後ろ倒しされ(2026 年 7 月の説明)、医療費の伸びが続けば 2025 年の再来もあり得る。
今の PER 22 倍(2026 年の見通し利益比)は、これらの不確実性を割り引かず、利益率が 8% に戻ることを前提にしている。
どちらに重みを置いたか
回復は進んでいるが、利益率の戻りの高さと規制の影響は慎重な見方が強い。2026 年の見通しの引き上げは強気の根拠になるが、加入者を減らして得た面が大きく、成長の堀の弱まりは無視できない。確率は、構造的な負け(支払い凍結・単一支払者・PBM の解体)の可能性を重く見て、悲観を 14%(楽観 10%、やや楽観 21%、中立 33%、やや悲観 22%)とした。規制と調査は資本コストに足さず、この確率の寄せで表した。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 17.4 倍(k 8.5%)の 8 割の 13.9 倍。今の PER に寄せていない。ただし利益率の戻りが前提で、確信度は中。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 8% 下。結論は「適正」。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 529.44 ドル4,823 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 201.45 ドル1,835 億ドル)。 今の値に割り戻すと 368.14 ドル3,354 億ドル、今との差 −13.4%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,048 ドル9,548 億ドル | 302.96 ドル2,760 億ドル | +217.9% | +12.3% | 135.11 ドル1,231 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 782.66 ドル7,130 億ドル | 261.36 ドル2,381 億ドル | +145.7% | +9.4% | 219.24 ドル1,997 億ドル |
| 中立 | 33% | 556.92 ドル5,074 億ドル | 216.36 ドル1,971 億ドル | +82.0% | +6.2% | 255.18 ドル2,325 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 254.39 ドル2,318 億ドル | 142.15 ドル1,295 億ドル | −6.7% | −0.7% | 87.24 ドル795 億ドル |
| 悲観 | 14% | 146.61 ドル1,336 億ドル | 97.15 ドル885 億ドル | −42.6% | −5.4% | 34.13 ドル311 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 529.44 ドル4,823 億ドル | 201.45 ドル1,835 億ドル | +72.0% | +5.6% | 730.89 ドル6,658 億ドル |
今の株価時価総額 424.98 ドル3,872 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:統合モデルが機能し、保険と医療で利益が 3 倍になる 利益 561 億ドル · PER 17.0 倍 · 株価時価総額 1,048 ドル9,548 億ドル
2035 年(10 年後)、加入者は 5,200 万人、1 人あたり保険料は 2026 年の約 1.8 倍(年 +6%)、保険の営業利益率は 6%(過去の平常 7〜8% より下)。オプタム・ヘルスは 600 万人を診て利益率 5.5%、インサイトは AI を使った請求・審査の自動化で市場の 8% を握り利益率 27%。アールエックスは手数料型で件数 18 億件、利益率 3.4%。連結の営業利益は約 760 億ドル、純利益は 570 億ドル。倍率は 正当化 PER 18.8 倍の 9 割、17.0 倍に置く。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。
- ユナイテッドヘルスケア(医療保険):数量 52.0(米国の医療保険の加入者(約 3 億人・推定)× シェア = 加入者数(百万人))× 価格 12,703(1 人あたり年間保険料収入(ドル))→ 売上 6,606 億ドル・営業利益 396 億ドル。加入者増・利益率 6%
- オプタム・ヘルス(医師・クリニック):数量 6.0(担当患者数(百万人・推定))× 価格 32,000(1 人あたり年間売上(ドル・推定))→ 売上 1,920 億ドル・営業利益 106 億ドル。患者増・利益率 5.5%
- オプタム・インサイト(医療 IT・請求処理):数量 7,500(医療 IT・請求処理・分析の対象市場(億ドル・推定)× シェア)× 価格 8.0%(シェア)→ 売上 600 億ドル・営業利益 162 億ドル。市場 7,500・シェア 8%
- オプタム・アールエックス(薬剤給付管理):数量 1,800(米国の調整後処方件数(約 70 億件・推定)× シェア = 処方件数(百万件/年))× 価格 150(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 2,700 億ドル・営業利益 92 億ドル。件数増・利益率 3.4%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 44.1%(この筋書きの純利益 561 ÷ 自己資本 1272 億ドル。買収で積んだのれんで自己資本が厚く、自社株買いで抑えられている)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 26.3%(堀は標準(1/2):規模・データ・保険と医療の一体運営は強いが、規制と調査で狭まる面があり、保険の利益率は山と谷がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.8 倍 に対し、90% の 17.0 倍に置いた(楽観は式の値の 9 割に置く。利益率が 5% 台に戻り伸びが一番続く筋書き)。時価総額 = 純利益 561.0 億ドル × 17.0 倍 = 9548.2 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:統合の効果が出て、規制が緩やかにとどまり、PBM も形を変えて残る展開。10 年で 1 割の確率。
やや楽観 21% やや楽観:利益率は 5% 台で安定し、年 8% 台で伸びる 利益 460 億ドル · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 782.66 ドル7,130 億ドル
10 年後、加入者 5,100 万人、1 人あたり保険料は約 1.74 倍(年 +5.7%)、保険の営業利益率は 5.0%。オプタム・ヘルスは利益率 4.8%、インサイトは市場の 7.7%、アールエックスは件数 17.5 億件で利益率 3.2%。メディケア・アドバンテージで首位を保つが、司法省の調査の結果、リスク調整の算定が厳格化され、利益率は 6% を超えない。連結の営業利益は約 630 億ドル、純利益 470 億ドル、2026 年の 2.8 倍。自社株買いは株式報酬を打ち消す程度に収まり、正味の還元は純利益の 7 割台。オプタムの買収した医師グループも利益率が上がり、資本配分の評価は戻る。倍率は 正当化 PER 18.3 倍の 8.5 割、15.5 倍に置く。伸びと利益率はほぼ計画どおり。
- ユナイテッドヘルスケア(医療保険):数量 51.0(米国の医療保険の加入者(約 3 億人・推定)× シェア = 加入者数(百万人))× 価格 12,350(1 人あたり年間保険料収入(ドル))→ 売上 6,298 億ドル・営業利益 315 億ドル。利益率 5%
- オプタム・ヘルス(医師・クリニック):数量 5.8(担当患者数(百万人・推定))× 価格 31,000(1 人あたり年間売上(ドル・推定))→ 売上 1,798 億ドル・営業利益 86 億ドル。利益率 4.8%
- オプタム・インサイト(医療 IT・請求処理):数量 7,300(医療 IT・請求処理・分析の対象市場(億ドル・推定)× シェア)× 価格 7.7%(シェア)→ 売上 562 億ドル・営業利益 146 億ドル。シェア 7.7%
- オプタム・アールエックス(薬剤給付管理):数量 1,750(米国の調整後処方件数(約 70 億件・推定)× シェア = 処方件数(百万件/年))× 価格 148(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 2,590 億ドル・営業利益 83 億ドル。件数 17.5 億
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 36.2%(この筋書きの純利益 460 ÷ 自己資本 1269 億ドル。買収で積んだのれんで自己資本が厚く、自社株買いで抑えられている)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 22.4%(堀は標準(1/2):規模・データ・保険と医療の一体運営は強いが、規制と調査で狭まる面があり、保険の利益率は山と谷がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.2 倍 に対し、85% の 15.5 倍に置いた(やや楽観は式の値の 8.5 割に置く。伸びと利益率はほぼ計画どおり)。時価総額 = 純利益 460.0 億ドル × 15.5 倍 = 7130.0 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:保険の質は保たれ、PBM が手数料型で残る展開。メディケア・アドバンテージは政府の支払いが物価並みに上がる前提。 規制の個別リスクを k から外した分、1% を悲観へ移して 21%。
中立 33% 中立:優良な成熟企業として年 8% 台で伸び、倍率は平常化 利益 365 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 556.92 ドル5,074 億ドル
10 年後、加入者 5,000 万人(高齢化で増える分を、不採算の撤退が相殺)、1 人あたり保険料は約 1.7 倍(年 +5.5%)で保険の売上は約 6,060 億ドル、営業利益率 4.0%。オプタム・ヘルスは 550 万人・利益率 4.0%、インサイトは市場 7,100 億ドルの 7.5%・利益率 25.5%、アールエックスは 16.5 億件・利益率 2.8%。連結の営業利益は約 510 億ドル(利益率 6.7%)、純利益 370 億ドルで 2026 年の 2.2 倍。倍率は 正当化 PER 17.4 倍の 8 割、13.9 倍に置く。保険・オプタムの規模は堀だが、利益率は政府・雇用主の価格と医療費の振れで山と谷があり、新しく投じる資本の稼ぎは先で薄れる。司法省の件は和解し、PBM は手数料型で残る。
- ユナイテッドヘルスケア(医療保険):数量 50.0(米国の医療保険の加入者(約 3 億人・推定)× シェア = 加入者数(百万人))× 価格 12,115(1 人あたり年間保険料収入(ドル))→ 売上 6,058 億ドル・営業利益 242 億ドル。加入者 5,000 万・利益率 4%
- オプタム・ヘルス(医師・クリニック):数量 5.5(担当患者数(百万人・推定))× 価格 30,000(1 人あたり年間売上(ドル・推定))→ 売上 1,650 億ドル・営業利益 66 億ドル。患者 550 万・利益率 4%
- オプタム・インサイト(医療 IT・請求処理):数量 7,100(医療 IT・請求処理・分析の対象市場(億ドル・推定)× シェア)× 価格 7.5%(シェア)→ 売上 532 億ドル・営業利益 136 億ドル。市場 7,100・シェア 7.5%
- オプタム・アールエックス(薬剤給付管理):数量 1,650(米国の調整後処方件数(約 70 億件・推定)× シェア = 処方件数(百万件/年))× 価格 145(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 2,392 億ドル・営業利益 67 億ドル。件数 16.5 億・利益率 2.8%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 28.1%(この筋書きの純利益 365 ÷ 自己資本 1301 億ドル。買収で積んだのれんで自己資本が厚く、自社株買いで抑えられている)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 18.3%(堀は標準(1/2):規模・データ・保険と医療の一体運営は強いが、規制と調査で狭まる面があり、保険の利益率は山と谷がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.4 倍 に対し、80% の 13.9 倍に置いた(中立は式の値の 8 割に置く。利益率は 4.0% に戻るが、かつての 8% 台には戻らず、規制と調査で堀が狭まる)。時価総額 = 純利益 365.0 億ドル × 13.9 倍 = 5073.5 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(売上 年 +6.5%・加入者 年 +1%・保険料 年 +5.5%)に沿い、利益率は過去の平常(7〜8%)より下の 6〜7% に置く。
やや悲観 22% やや悲観:メディケア・アドバンテージの支払いが絞られ、PBM も縮む 利益 206 億ドル · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 254.39 ドル2,318 億ドル
10 年後、メディケア・アドバンテージの支払いが物価を下回って伸び、不採算を切り続けた結果、加入者は 4,700 万人に減る。1 人あたり保険料は約 1.6 倍(年 +4.8%)、保険の営業利益率は 2.9%。2028 年のリベート切り離しと雇用主の離反でアールエックスは件数 13.5 億件・利益率 2.0%。オプタム・ヘルスは利益率 2.5%。連結の営業利益は約 310 億ドル、純利益 210 億ドル(2026 年の 1.3 倍)。ユナイテッドヘルスは規模の面では首位を保つが、「優良」と呼ぶには利益率が低すぎ、資本の効率は 2023 年の水準を回復しない。倍率は 正当化 PER 15.0 倍の 7.5 割、11.3 倍に置く。競争と値下がりで、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる。
- ユナイテッドヘルスケア(医療保険):数量 47.0(米国の医療保険の加入者(約 3 億人・推定)× シェア = 加入者数(百万人))× 価格 11,350(1 人あたり年間保険料収入(ドル))→ 売上 5,334 億ドル・営業利益 155 億ドル。加入者減・利益率 2.9%
- オプタム・ヘルス(医師・クリニック):数量 5.0(担当患者数(百万人・推定))× 価格 28,500(1 人あたり年間売上(ドル・推定))→ 売上 1,425 億ドル・営業利益 36 億ドル。利益率 2.5%
- オプタム・インサイト(医療 IT・請求処理):数量 6,000(医療 IT・請求処理・分析の対象市場(億ドル・推定)× シェア)× 価格 6.5%(シェア)→ 売上 390 億ドル・営業利益 86 億ドル。シェア低下
- オプタム・アールエックス(薬剤給付管理):数量 1,350(米国の調整後処方件数(約 70 億件・推定)× シェア = 処方件数(百万件/年))× 価格 135(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 1,822 億ドル・営業利益 36 億ドル。PBM の縮小
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 16.0%(この筋書きの純利益 206 ÷ 自己資本 1284 億ドル。買収で積んだのれんで自己資本が厚く、自社株買いで抑えられている)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 12.3%(堀は標準(1/2):規模・データ・保険と医療の一体運営は強いが、規制と調査で狭まる面があり、保険の利益率は山と谷がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.0 倍 に対し、75% の 11.2 倍に置いた(やや悲観は式の値の 7.5 割に置く。競争と値下がりで、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる)。時価総額 = 純利益 206.0 億ドル × 11.2 倍 = 2317.5 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:支払いの抑制と PBM 規制が同時に進む展開で、起きても不思議はない。2025 年の谷が続くイメージに近い。
悲観 14% 悲観:構造的な負け(支払い凍結・単一支払者・PBM 解体)で優良企業でなくなる 利益 120 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 146.61 ドル1,336 億ドル
10 年後、政府がメディケア・アドバンテージの支払いを実質的に凍結し、州・連邦が保険者を飛ばした直接払いを広げる。加入者は 4,200 万人に減り、保険の営業利益率は 2.5% で固定される。PBM は法律で保険と分離され、オプタム・アールエックスは件数 9 億件・利益率 1.5% まで縮む。オプタム・ヘルスも利益率 2.5%。司法省の処分と返納で信用も傷み、ブランドと交渉力が落ちる。大型の買収で作った医師・クリニックの資産は減損される。連結の営業利益は約 205 億ドル、純利益 120 億ドル(ROE 7.6%)。倍率は 正当化 PER 12.4 倍(g 3%)の 9 割、11.1 倍に置く。構造的に負けた筋書きなので、長期の g を 3.0% に下げた。
- ユナイテッドヘルスケア(医療保険):数量 42.0(米国の医療保険の加入者(約 3 億人・推定)× シェア = 加入者数(百万人))× 価格 10,500(1 人あたり年間保険料収入(ドル))→ 売上 4,410 億ドル・営業利益 110 億ドル。支払い凍結で利益率 2.5%
- オプタム・ヘルス(医師・クリニック):数量 4.2(担当患者数(百万人・推定))× 価格 24,000(1 人あたり年間売上(ドル・推定))→ 売上 1,008 億ドル・営業利益 25 億ドル。規制で利益率 2.5%
- オプタム・インサイト(医療 IT・請求処理):数量 5,000(医療 IT・請求処理・分析の対象市場(億ドル・推定)× シェア)× 価格 5.5%(シェア)→ 売上 275 億ドル・営業利益 55 億ドル。市場・シェアとも縮小
- オプタム・アールエックス(薬剤給付管理):数量 900(米国の調整後処方件数(約 70 億件・推定)× シェア = 処方件数(百万件/年))× 価格 110(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 990 億ドル・営業利益 15 億ドル。PBM の解体に近い
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 9.5%(この筋書きの純利益 120 ÷ 自己資本 1259 億ドル。買収で積んだのれんで自己資本が厚く、自社株買いで抑えられている)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 9.0%(堀は標準(1/2):規模・データ・保険と医療の一体運営は強いが、規制と調査で狭まる面があり、保険の利益率は山と谷がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.4 倍 に対し、90% の 11.1 倍に置いた(悲観は構造的に負ける筋書きで、g を 3% に下げ、式の値の 9 割に置く)。時価総額 = 純利益 120.0 億ドル × 11.1 倍 = 1335.6 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:政府が民間保険の支払いを実質凍結、または直接払い(単一支払者)へ進む展開に、司法省の処分が重なる。確率 14%(規制と調査の個別リスクを k から外した分を 1% 足した)(業界ノートの前提では 1〜2 割)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
ユナイテッドヘルスケア(医療保険)
メディケア・アドバンテージ・メディケイド・商業の保険を引き受ける保険事業。加入者から保険料を受け取り医療費を払う。
| 数量米国の医療保険の加入者(約 3 億人・推定)× シェア = 加入者数(百万人) | 価格1 人あたり年間保険料収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 48.5 | 7,093 | 3,440 | 120 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 12,115 | 6,058 | 242 |
取り方:2026 年 6 月末の加入者 4,852 万人(商業 2,992・メディケア・アドバンテージ 757・メディケイド 678 を含む)。上半期売上 1,723 億ドルの 2 倍近く(通年 約 3,440 億ドル)を割った 1 人あたりの金額。会社は 2026 年の営業利益を 120 億ドル超と見込む。部門間の取引(オプタム・アールエックスが保険事業へ売る分など)を含むため、4 部門の売上の合計は連結売上(約 4,450 億ドル)より大きい。 米国の民間保険と公的保険の運営委託(商業・メディケア・アドバンテージ・メディケイド)の加入者を約 3 億人と推定すると、シェアは約 16% で首位。競合はエレバンス・ヘルス(Elevance Health)、CVS ヘルスのアエトナ、シグナ(Cigna)、ヒューマナ(Humana)、センティーン(Centene)。1 人あたり保険料は医療費の伸び(年 6〜8%)に合わせて改定されるので、物価より速く上がる(中立で 3 年 1.17 倍・10 年 1.7 倍)。
オプタム・ヘルス(医師・クリニック)
医師グループ・クリニックを持ち、保険者から 1 人いくらの定額で患者を引き受ける医療サービス。
| 数量担当患者数(百万人・推定) | 価格1 人あたり年間売上(ドル・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 5.0 | 19,000 | 950 | 23 |
| 10 年後 中立 | 5.5 | 30,000 | 1,650 | 66 |
取り方:担当患者数は開示が無く推定(価値ベース診療の患者は前年より約 70 万人減)。上半期売上 476 億ドルから通年 約 950 億ドル(他部門向け取引を含む)。2026 年の営業利益見通し 22.75 億ドル超。部門間の取引(オプタム・アールエックスが保険事業へ売る分など)を含むため、4 部門の売上の合計は連結売上(約 4,450 億ドル)より大きい。 競合はアマゾンのワン・メディカル、CVS ヘルスのオーク・ストリート・ヘルス、病院グループの医師部門。1 人あたりの売上は診療報酬の改定で物価並み(中立で 10 年 1.58 倍)に上がる。
オプタム・インサイト(医療 IT・請求処理)
医療機関・保険者向けの請求処理・データ分析・ソフト。
| 数量医療 IT・請求処理・分析の対象市場(億ドル・推定)× シェア | 価格シェア | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 3,000 | 7.2% | 216 | 49 |
| 10 年後 中立 | 7,100 | 7.5% | 532 | 136 |
取り方:医療 IT・請求処理・分析の対象市場を 3,000 億ドルと推定(検索で公的な市場規模が得られず、推定と明記)。上半期売上 105 億ドルから通年 約 215 億ドル、シェア 7.2%。見通し 49 億ドル超。部門間の取引(オプタム・アールエックスが保険事業へ売る分など)を含むため、4 部門の売上の合計は連結売上(約 4,450 億ドル)より大きい。
オプタム・アールエックス(薬剤給付管理)
雇用主・保険者に代わって薬局網・薬価交渉・調剤を取り仕切る PBM。
| 数量米国の調整後処方件数(約 70 億件・推定)× シェア = 処方件数(百万件/年) | 価格1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1,540 | 99 | 1,520 | 63 |
| 10 年後 中立 | 1,650 | 145 | 2,392 | 67 |
取り方:2026 年 4〜6 月の調整後処方件数 3.87 億件(前年は 4.14 億件)から通年 約 15.4 億件。上半期売上 740 億ドルから通年 約 1,520 億ドル。見通し 62.5 億ドル超。部門間の取引(オプタム・アールエックスが保険事業へ売る分など)を含むため、4 部門の売上の合計は連結売上(約 4,450 億ドル)より大きい。 米国の調整後処方件数を約 70 億件と推定するとシェアは約 22%。CVS ヘルスのケアマーク、シグナのエクスプレス・スクリプツと 3 社で約 8 割を握る。1 件の単価は薬の値上がりと高額な専門薬の比率の上昇で物価並みに上がる(中立で 3 年 1.11 倍・10 年 1.47 倍)。
リスクと懸念
医療費率の再悪化
保険の利益は保険料と医療費の差の数ポイントしかない。高齢者の手術・在宅・薬の利用が想定を上回ると、2025 年のように医療費率が 3 ポイント動き、営業利益が半分になる。2026 年の 88.1% は過去より約 5 ポイント高く、余地は薄い。料率は 1 年遅れで改定されるため、読み違いの影響は 2 年続く。
司法省の調査(メディケア・アドバンテージの請求)
診断の水増しで民事・刑事の調査が続く。決着すれば返納金(数十億ドル規模)に加え、リスク調整の制度変更による恒久的な収益減、経営陣の責任、メディケア契約の制限が起こりうる。時期と金額は読めない。会社の公表資料でも、リスク要因として司法省の法的措置が名指しされている。
メディケア・アドバンテージの政策
政府の支払いが保険の収益の大半を決める。2027 年は実質約 5% の引き上げだが、将来の支払いの凍結、給付の規制、単一支払者への動きがあれば、利益率は 2% 台に固定されうる。加入者の減少も続いている(前年から約 80 万人減)。政治の方針転換は、保険者の利益率の天井を直接決める。
PBM の規制と雇用主の離反
手数料型への移行で 1 件あたりの利益が下がる。2026 年包括法のリベート切り離し(2028 年 8 月以降)、連邦取引委員会の調査、雇用主の離反が重なれば、オプタム・アールエックスは営業利益率 3% 台から 1〜2% へ落ち、利益の約 4 分の 1 を失う。
価値ベース診療の採算
オプタム・ヘルスは患者の定額の対価を受けて医療費を負う。患者の病状が重いと赤字になり、2026 年にも損失契約の引当金 4.05 億ドルを計上した。縮小で改善するが、医師・クリニックの買収額に見合う利益が出ない可能性があり、その場合は減損が出る。
サイバー攻撃・個人情報
2024 年のチェンジ・ヘルスケアの攻撃は全米の請求処理を止め、費用は数十億ドル規模になった。保険と請求・データが一体だから、事故の影響も全社に及ぶ。再発すれば信用・規制・訴訟のリスクが重なり、政府・病院との契約の更新にも響く。
今後の分かれ目
- 2027 年に医療費率が 86% を下回り、メディケア・アドバンテージの加入者の減少が止まったら
- 営業利益率は 7% 台へ戻る道が見え、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。回復が加入者の減少に頼らない証拠になる。
- 司法省が民事で和解し、返納金が 50 億ドル以内で刑事訴追がなければ
- 最大の不確実性が消え、悲観の確率を数 % 楽観側へ戻してよい(価値は数 % 上がる)。倍率を 1 倍ほど上げて見る。
- メディケア・アドバンテージの 2028 年の支払いが実質凍結に近い(1% 未満)なら
- 保険の利益率は 3% 台に固定され、やや悲観・悲観の確率を大きく上げる。10 年の ROE は 14% を割る。
- オプタム・アールエックスが雇用主の離反で処方件数を年 5% 以上失ったら
- PBM の営業利益が 3 割落ち、全社の営業利益は約 10% 減る。オプタム全体の再編(売却・分離)の可能性も出る。
- 商業の保険料の改定が 2027 年に医療費の伸び(6〜7%)を下回ったら
- 利益率の戻りが 2028 年以降へ延び、中立の筋書きを下げて見る。
- オプタム・ヘルスの営業利益率が 4% を超えて安定したら
- 買収した医師・クリニックの投資が報われたことになる。資本配分の評価を上げ、10 年の中立の PER を 1 倍上げてよい。
見ておくもの
- 四半期の医療費率(保険)と、通期の見通しの上下
- メディケア・アドバンテージ・メディケイド・商業の加入者数の増減
- 2027 年のメディケア・アドバンテージの支払い・リスク調整の実施と給付設計
- 司法省の調査の進展(和解・返納金・訴追の有無)
- オプタム・アールエックスの処方件数と 1 件あたりの利益、雇用主の離反
- オプタム・ヘルスの損失契約の引当金と価値ベース診療の患者数
- 営業の現金収入と自社株買いの額(株式報酬を除く正味)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 30 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC は k に、事業の ROE が k を超える分の残る割合を足した値。moat は normal)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 17.4 倍(g 4%、k 8.5%)の 8 割の 13.9 倍。今の値段には寄せていない。総合は今の時価総額より約 8% 下。結論は「適正」。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β 0.69 × 5%。基本 8.0% に quality +0.5% を足して 8.5%。前は β 0.69 で k 6.45% としていたが、v2 では β を使わず 4 つの目安で見る。保険料と政府の支払いが規制と交渉で決まる値決めの弱さを +0.5% で見た。同じ領域のシグナ・エレバンス・センティーン・CVS ヘルス・ヒューマナと物差しをそろえた。司法省の調査・PBM 規制・医療費率の読み違いの履歴は分散できる個別のリスクなので k には足さず、確率と悲観の深さで表した。存続が危ない会社ではないので上乗せ(extra)は置かない。k 8.5% なので g は 4% 以下(k − g ≥ 3.5%)。