結論
インサイトは、骨髄線維症・真性多血症・移植片対宿主病(GVHD)の経口 JAK 阻害薬ジャカフィで稼ぐ中堅バイオである。2025 年の総収益は 51.4 億ドルで、そのうちジャカフィが 30.9 億ドル、ノバルティスとイーライリリーからのロイヤルティが 6.4 億ドル(ジャカビ 4.6・オルミアント 1.4)、外用薬オプゼルラが 6.8 億ドル、血液・腫瘍の新薬(ニクティモ・モンジュビ・ジニズ)が 3.6 億ドル。GAAP の純利益は 12.9 億ドルだが、ノバルティスとの訴訟の和解益 2.4 億ドルを含む。2026 年は純売上 51〜53 億ドルの見通しで、4〜6 月期はオプゼルラに米国のメディケイド割戻し規則をめぐる CMS との和解の一時益 2.5 億ドルが載った。
最大の論点は、ジャカフィの米国の特許が小児延長込みで 2028 年 12 月に切れ、複数の後発薬メーカー(ハイクマ、サン、グラニュールズは和解・同意判決済み)が 2029 年初めから参入しうることである。ジャカフィの貢献利益は会社の稼ぎの大半を占めるので、2029 年に税引き後営業利益が 2028 年の水準から大きく落ちる。オプゼルラも物質特許は 2028 年 12 月に切れ、クリームの製剤特許(2031 年・2040 年)が後発薬メーカーから争われている。経営陣は穴埋めの本命として、ジャカフィを除く事業で 2030 年に 30〜40 億ドルを掲げる。
バリュー投資の観点では、この会社を「今ある利益の 6 割が 2029 年に消える会社が、9 つの新しい柱でどこまで取り戻すか」の問題として、患者数 × 価格で積み上げた。確率で重みを付けた 10 年後の本質価値は 117 億ドルで、今の時価総額 227 億ドルの約 5 割。結論は「割高」で、純現金(36 億ドル、借金なし)が悲観側の床になる。分かれ目は、ポボルシチニブ(化膿性汗腺炎・白斑)の発売、変異型カルレティクリン抗体の第 3 相、オプゼルラの特許訴訟、そしてベガ買収のような導入を高い値段でやり続けないかである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。ジャカフィは 2029 年にほぼ確実に後発薬に置き換わり、10 年後は 1 割以下(中立で 3 億ドル、30.9 億ドルの約 1 割)になる。堀は特許で、特許は切れる。ロイヤルティも、ジャカビの特許切れで欧州・日本から細る。つまり、今のインサイトの利益のほぼ全部が 3〜4 年のうちに消える会社として見るべきで、10 年後の姿は新薬が決める。
オーナー利益で見ると、2025 年の GAAP の純利益 12.9 億ドルには和解益 2.4 億ドルが含まれ、研究開発(21 億ドル)と導入費は全額が費用に入っている。これは良い点で、利益の質は高い(償却や IPR&D を足し戻す必要が無く、費用を二重に隠していない)。伸びに要る元手は少なく、現金を除いた事業の ROE は 35〜40% に収まるので、この分析は式の ROE を 35〜40% 以下に置いた。
資本配分は未知数。ジャカフィの現金を、価値のある新薬へ振り向けられるかが全て。ベガは第 3 相の途中の資産で、成功確率は高くない。自社株買いは 2024 年に実施した後は止めており、現金が積み上がる。中立の筋書きは、2035 年の純利益が 12.9 億ドル(今と同じ水準)、現金を除く事業の PER は約 21 倍で、利益ベースの正当化 PER(25 倍)の 8 割強。安全域は、純現金 36 億ドル(時価総額の約 16%)と、借金が無いことだけで、薄い。確実性は低く、予測できない部分(薬の成否・特許訴訟・導入)が大きいので、確信度は低い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は 4 層。第 1 層はジャカフィで、2025 年の売上は 30.9 億ドル(前年比 +11%、実需 +9%)。骨髄線維症(2011 年承認)、真性多血症(2014 年)、急性・慢性 GVHD(2019 年・2021 年)に広がり、真性多血症が最大の成長源になっている。2026 年 4〜6 月期から 1 日 1 回の徐放錠(ジャカフィ XR)を発売したが、売上見通しは年 0.4〜0.5 億ドルと小さく、特許切れまでの切り替えがどこまで進むかが論点。第 2 層は外用薬オプゼルラ(白斑・アトピー性皮膚炎、2025 年 6.8 億ドル、+33%)で、2025 年 9 月に 2 歳以上のアトピーへ広がり、欧州でも承認が続く。第 3 層は血液・腫瘍で、ニクティモ(慢性 GVHD、2025 年 1.5 億ドル、2026 年 4〜6 月期は 0.60 億ドル・累計 1,200 人超)、モンジュビ(びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫など、1.4 億ドル)、ジニズ(肛門管の扁平上皮がんなど)、ペマザイア、イクルシグが育っている。
第 4 層はロイヤルティで、ノバルティスが米国外で売るジャカビ(2025 年 4.6 億ドル、取り分は上位十代〜二十代半ばの段階制)、イーライリリーのオルミアント(1.4 億ドル、最大で十代半ば)、タブレクタ。費用がほぼ無く、利益率は 95% を超える。逆に、インサイトは米国のジャカフィの売上に対しノバルティスへロイヤルティを払っていたが、2025 年 5 月の和解で率を半分に下げた(2026 年 4〜6 月期の支払いは 0.2 億ドル)。
開発品は 3 本の柱。ポボルシチニブ(経口 JAK1 阻害薬)は化膿性汗腺炎で第 3 相が成功し、米国の承認は 2027 年第 1 四半期、欧州は 2026 年末の見込み。ほかに白斑・結節性痒疹(2026 年第 4 四半期に第 3 相の結果)・喘息。変異型カルレティクリン(mutCALR)を狙う抗体 INCA033989 は、2026 年 6 月の欧州血液学会で 114 人中 70% が血液学的完全奏効を示し、本態性血小板血症の第 3 相を 2026 年半ばに始めた。2026 年 7 月に 12.5 億ドルで買ったベガのラタルシバルト(フォンヴィレブランド病の抗体)は、第 3 相の結果が 2029 年初めに出る。
優良さと弱いところ
堀は特許と専門家の習慣である。ジャカフィは骨髄線維症で 15 年近く標準治療の地位を保ち、GSK のオージャーラ(2025 年に 5.5 億ポンド、+60%)・ヴォンジョ・インレビックが入っても置き換えられていない。貢献利益率は 86% 前後と、会社の他のどの事業より高い。ただし、堀は特許そのものに寄りかかっていて、2028 年 12 月で消える。徐放錠の特許は 2033〜34 年とされるが、後発薬は自動で徐放錠に置き換わらないので、徐放錠へ患者を移せた割合だけが守れる。
資本効率は見かけより高い。帳簿の ROE は 2025 年に 24.9% だが、これは自己資本 52 億ドルのうち 36 億ドルが現金だから。研究開発を費用として全部引いたうえで、現金を除いた事業の自己資本に対する税引き後営業利益は 5 割を超え、研究開発を費用化する会社は少ない元手で伸びる。逆に、導入・買収も費用(IPR&D)で落とすので、GAAP の純利益が毎年ぶれる。2024 年はエシェント買収で営業利益が 1 億ドル台に落ち、2026 年はベガの前払い 12.7 億ドルが 7〜9 月期に費用になる。
経営の弱点は 3 つ。第 1 に、ジャカフィの次を作る時間が足りない(徐放錠は FDA の差し戻しで承認が遅れ、切り替えの時間が短い)。第 2 に、新薬の打率。ポボルシチニブの化膿性汗腺炎の第 3 相は主要評価項目を達成したが、プラセボとの差は 12〜13 ポイントで、生物学的製剤を押しのける強さではない。JAK2V617F 阻害薬 INCB160058 は中止した。第 3 に、導入・買収の価格規律で、ベガは前払い 12.5 億ドル+マイルストーン最大 7.5 億ドルと、第 3 相の途中の資産に大きく払っている。強みは、借金が無く現金 45 億ドル(2026 年 6 月末)を持ち、2028 年までジャカフィの現金で開発費を賄えること。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
骨髄増殖性腫瘍の市場は、JAK 阻害薬が症状(脾臓の縮小)を抑えるが病気を変えない段階にある。ジャカフィは真性多血症で成長しており、本態性血小板血症(ET)と骨髄線維症では変異型カルレティクリン(mutCALR)を狙う抗体が「病気の元を叩く」薬として期待される。INCA033989 は競合の動きは確認できていない。後発のルキソリチニブが入る 2029 年以降の米国では、ジャカフィの数量・価格とも急落し、ジャカビの欧州・日本でも特許切れが続く。
皮膚科は、アトピー性皮膚炎(デュピクセントなど生物学的製剤と、リンヴォック・シビンコの経口 JAK、ゾリーブ・ヴタマの外用薬)、白斑(オプゼルラが唯一の承認薬)、化膿性汗腺炎(ヒュミラ・コセンティクス・ビンゼレックスの生物学的製剤が先に使われ、そこへ経口のポボルシチニブが入る)が主戦場。外用の JAK は経口 JAK の安全性の警告(箱入り警告)を避けられるので皮膚科医に使われるが、競争は激しい。
慢性 GVHD は米国で第 2 選択以降の約 6,000 人(会社の説明)が標的で、ニクティモのほか、サノフィのレズロック、ジャカフィ自身が競う。ニクティモは単独の希少疾患で、米国の薬価交渉(IRA)の対象から外れる。モンジュビが狙う 1 次びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫は患者が大きく、2027 年第 1 四半期の承認を見込む。
薬価政策では、2028 年適用の第 3 弾(15 薬)にジャカフィとオプゼルラは入っていない(後発薬が出る薬は対象外)。ただし、メディケア Part D の再設計(患者負担の上限と、メーカーが払う割引)はジャカフィの割戻し後の価格を押し下げ、オプゼルラは CMS 和解でメディケイドの割戻しが改善した。業界ノートの置き方(インサイト:2028〜2030 年に主力が 4〜5 割落ち、新製品で補う、年 +1%)より、この分析の中立は 2029 年の落ち込みが深く(売上が 3 割落ちる)、2035 年に元の水準へ戻る形になる。
資本政策と M&A
2026 年 6 月末の現金・有価証券は 45.4 億ドルで、借金は無い(金融リースのみ)。自己資本は 63 億ドル。配当は無く、自社株買いは 2024 年に約 20 億ドルを実施したが、2025 年はほぼ止まり、2026 年上半期の資金の流れに買い戻しの支出は無い。7 月にベガ・セラピューティクス(スター・セラピューティクスの子会社)を現金 12.5 億ドルで買収し、7〜9 月期に約 12.7 億ドルを IPR&D 費用として落とすので、2026 年の GAAP 純利益はほぼゼロまで落ちる。売上マイルストーンは最大 7.5 億ドルで、ラタルシバルトの成功時だけ発生する。
導入・買収の歴史は、2024 年のエシェント(約 7.5 億ドル)、2026 年のベガ、そして多数の小さな提携(モルフォシス、シンダックス、ハルモザイム、ミラムへの zilurgisertib の売却)。経営陣は導入・買収に積極的な姿勢を示している(報道)。毎年 4 億ドル前後の導入費(IPR&D)を GAAP の費用として置き、中立の筋書きの利益に入れた。
株式報酬は年 2.5 億ドル前後で、GAAP の費用に入っている。この分析の還元(payout)は配当と自社株買いから株式報酬による株の増加分を引いた正味で、2026 年は自社株買いが無いのでマイナス(株式報酬の分)、2027 年からは純利益の 6 割を自社株買いに回すと置いた(中立の 10 年で正味 33 億ドル)。特許切れの後に現金が余る年は、株主への還元か次の導入かが分かれ目になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ジャカフィの次は、すでに複数立ち上がっている。ニクティモは発売 1 年で 1.5 億ドル、2026 年 4〜6 月期は +67% の 0.60 億ドルで、1 次治療(ジャカフィとの併用)の第 2 相が 2026 年後半に出る。モンジュビは 1 次びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫で主要評価項目を達成し、米国の承認は 2027 年第 1 四半期。ジニズは肛門管がんで +460% の伸び。オプゼルラは 2026 年に 10 億ドルを超え、CMS との和解で割戻しも恒常的に改善した。
ポボルシチニブは経口で、化膿性汗腺炎・白斑・結節性痒疹・喘息と適応が広がる。mutCALR 抗体は 114 人で完全奏効 70%、分子レベルの反応が 89% と、症状を抑えるだけの JAK 阻害薬とは違う、病気の元を叩く薬になりうる。本態性血小板血症の第 3 相は 2026 年半ばに始まり、骨髄線維症のデータも 2026 年後半に出る。ラタルシバルトは 81% の出血減(第 1/2 相)。
財務は強い。借金ゼロで現金 45 億ドル、2026 年のジャカフィは 32 億ドル超、ロイヤルティが毎年 6〜7 億ドル。徐放錠への切り替えが進めば、特許切れ後もジャカフィの売上が 3 割残る。2030 年に非ジャカフィで 30〜40 億ドルの目標が達成できれば、利益は今より大きくなり、2035 年に純利益 40 億ドルを超える(楽観)。
慎重な見方
ジャカフィは 2028 年 12 月に特許が切れ、複数の後発薬メーカー(ハイクマ・サン・グラニュールズは和解済み、MSN などは係争中)が入る。経口の小分子で、薬局での後発薬への置き換えが進み、1 年目の売上は 5〜6 割、数年で 9 割近くが消える。徐放錠は切り替えの目標は報道に 3〜5% から 30% まで幅があり、特許切れの盾になるかは不確か。会社の稼ぎの大半はジャカフィとロイヤルティで、2029 年の税引き後営業利益は 2028 年の 14 億ドルから数億ドルへ落ちる。
新薬は個々に弱い。ポボルシチニブの化膿性汗腺炎はプラセボとの差が 12〜13 ポイントで、ヒュミラ・コセンティクス・ビンゼレックスの生物学的製剤の方が強い。mutCALR 抗体は早期の第 1 相で、長く続く効果は未確認(ET の効果の持続期間の追跡は中央値 23 週とまだ短い)。ベガは第 3 相の途中に 12.5 億ドルを払った。オプゼルラは 2028 年 12 月に物質特許が切れ、2031 年・2040 年のクリーム特許が後発薬から争われている。
導入に毎年 4〜5 億ドルを使い続け、成功率は低い。アナリストの見方(2025 年 10 月・オッペンハイマー)は「2029 年に約 40 億ドルの穴が空く」。経営陣が掲げた 2030 年の非ジャカフィ 30〜40 億ドルは、2026 年の同じ数字 17 億ドル(一時益を除く)から年 20% 前後の伸びが要る。外れた時は、会社は研究開発を絞って現金を返すだけの小さな会社になる。
どちらに重みを置いたか
ジャカフィの喪失は確定した事実で、慎重な見方が強い。新薬群の立ち上がりは強気の見方が部分的に強く(ニクティモ・モンジュビ・ジニズ・オプゼルラは足元で伸びている)、ただし化膿性汗腺炎の差の小ささ・特許訴訟・導入の価格規律が慎重な見方を支える。中心を中立(34%)に置き、楽観・やや楽観を合計 26%、やや悲観・悲観を 40% と、悲観側に少し厚くした。理由は、特許切れの時期が近く確かなのに対し、穴埋めの成否は 2〜3 年先まで分からないため。結論は利益ベースの倍率(k 8.5%)で、総合は「割高」(-48%)。悲観でも純現金の戻り方(0.5)を見込んだ値より下には置いていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 106.72 ドル214 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 16.78 ドル34 億ドル)。 今の値に割り戻すと 58.36 ドル117 億ドル、今との差 −50.1%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 359.09 ドル721 億ドル | 46.44 ドル93 億ドル | +246.8% | +13.2% | 32.44 ドル65 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 194.82 ドル391 億ドル | 28.20 ドル57 億ドル | +90.7% | +6.7% | 40.14 ドル81 億ドル |
| 中立 | 34% | 103.64 ドル208 億ドル | 16.74 ドル34 億ドル | +2.9% | +0.3% | 40.93 ドル82 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 22.52 ドル45 億ドル | 6.83 ドル14 億ドル | −74.9% | −12.9% | 7.92 ドル16 億ドル |
| 悲観 | 13% | 12.41 ドル25 億ドル | 3.49 ドル7 億ドル | −86.4% | −18.1% | 2.07 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 106.72 ドル214 億ドル | 16.78 ドル34 億ドル | +5.6% | +0.5% | 123.50 ドル248 億ドル |
今の株価時価総額 116.93 ドル235 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:ポボルシチニブと mutCALR 抗体が両方当たり、ジャカフィの穴を大きく超える 利益 43 億ドル · PER 16.8 倍 · 株価時価総額 359.09 ドル721 億ドル
2035 年、ポボルシチニブは化膿性汗腺炎・白斑・結節性痒疹で 4.8 万人×6.2 万ドルの 30 億ドル、mutCALR 抗体とラタルシバルトは ET・MF・VWD で 3.2 万人×9.5 万ドルの 30 億ドル。オプゼルラは 2040 年のクリーム特許が維持され、白斑・アトピー・化膿性汗腺炎で 26 億ドル。ニクティモは 1 次治療併用で 7,000 人・16 億ドル、血液・腫瘍は 1 次びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫・CDK2・KRAS で 30 億ドル。ジャカフィは徐放錠に移った患者が残り 9.0 億ドル、ロイヤルティ 5.5 億ドル、マイルストーン 3 億ドル。総収益は 149.5 億ドル(2025 年の 2.9 倍)、営業利益 52.3 億ドル(35%)、純利益 42.2 億ドル。研究開発は 36 億ドルに増やし、導入は年 4 億ドルを続ける。2029〜2031 年の税引き後営業利益は 9.5→7.3 億ドルの谷にとどまる。10 年目もなお年 9% で 5 年伸び、その後は g 3.5% として、正当化 PER の 9 割で倍率を置く。 10 年の純利益の累計は約 170 億ドル。2026 年はベガの前払い 12.7 億ドルを費用に含んで 6 億ドル、2028 年に 18.2 億ドルまで戻り、2029〜2031 年は谷(12・10・9 億ドル)、そのあと 2035 年の 42.9 億ドルへ立ち上がる。
- ジャカフィ(ルキソリチニブ・徐放錠を含む):数量 10,591(治療を受ける米国の患者数(人・年平均))× 価格 84,975(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 6 億ドル
- オプゼルラ(ルキソリチニブ外用):数量 1,793,103(年間の処方本数(本。推定))× 価格 1,450(1 本あたりの純売上(ドル。割戻し後。推定))→ 売上 26 億ドル・営業利益 17 億ドル
- ニクティモ(アキサチリマブ):数量 7,018(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 228,000(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 7 億ドル
- 血液・腫瘍の既存薬と新薬(モンジュビ・ジニズ・ペマザイア・イクルシグ、1 次 DLBCL・CDK2・KRAS):数量 32,094(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 93,477(1 人あたり年間の純売上(ドル。混合))→ 売上 30 億ドル・営業利益 17 億ドル
- ジャカビのロイヤルティ(ノバルティス・米国外):数量 15.0(ノバルティスのジャカビ売上(億ドル))× 価格 0.19(実効のロイヤルティ率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 3 億ドル
- オルミアント・タブレクタなどのロイヤルティ:数量 18.0(パートナー側の対象売上(億ドル))× 価格 0.15(実効のロイヤルティ率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 3 億ドル
- ポボルシチニブ(HS・白斑・PN など):数量 48,387(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 62,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 30 億ドル・営業利益 20 億ドル
- 変異型カルレティクリン抗体(INCA033989)とラタルシバルト:数量 31,579(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 95,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 30 億ドル・営業利益 20 億ドル
- マイルストーン・契約収益:数量 12.0(受取り(億ドル))× 価格 0.25(係数)→ 売上 3 億ドル・営業利益 3 億ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 50.7%(余った現金 35 億ドルを除いた事業の ROE(この筋書きの事業の純利益 42.4 ÷ 事業の自己資本 84 億ドル)。研究開発も導入費も費用で落とすので帳簿の元手が小さい)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 22.6%(堀は弱い(1/3):ジャカフィの米国特許が 2028 年末に切れ、新薬群は個別の特許と導入に頼るので、高い利益率を長く守る堀とは言えない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 18.3 倍 に対し、92% の 16.8 倍に置いた(楽観は式の値の 9 割強に置く。ジャカフィの穴を新薬群が埋める途中で、特許の山を越えた後の利益が続くかに掛かる)。時価総額 = 純利益 42.9 億ドル × 16.8 倍 = 720.7 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:ポボルシチニブが化膿性汗腺炎・白斑・結節性痒疹で広がり、mutCALR 抗体が ET・MF で標準になり、オプゼルラの 2040 年のクリーム特許が維持される展開。複数が同時に当たる必要があり、8%。
やや楽観 18% やや楽観:新薬が半分以上当たり、2035 年は今の 2 倍の純利益 利益 24 億ドル · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 194.82 ドル391 億ドル
2035 年、ポボルシチニブは化膿性汗腺炎と白斑で 3.4 万人×5.8 万ドルの 20 億ドル、mutCALR 抗体は ET で 1.9 万人×9.5 万ドルの 18 億ドル。オプゼルラは特許が大半維持されて 18 億ドル、ニクティモは 12 億、血液・腫瘍は 22 億ドル。ジャカフィは徐放錠に移った患者で 6.0 億ドル、ロイヤルティ 4.2 億ドル。総収益は 102.2 億ドル(2025 年の 2.0 倍)、営業利益 28.0 億ドル、純利益 23.1 億ドル。研究開発 27 億ドル・導入費 4 億ドル。2029〜2031 年の税引き後営業利益は 5.7→3.4 億ドルの谷で、2035 年に 22 億ドルまで戻る。10 年目もなお年 7% で 4 年伸びる 2 段階。 10 年の純利益の累計は約 99 億ドル。2026 年はベガの前払い 12.7 億ドルを費用に含んで 5 億ドル前後、2028 年に 16.2 億ドル、2029〜2031 年は谷(税引き後営業利益 5.7→3.4 億ドル)、2035 年に 23.9 億ドルまで戻る道筋の足し算。
- ジャカフィ(ルキソリチニブ・徐放錠を含む):数量 8,630(治療を受ける米国の患者数(人・年平均))× 価格 69,525(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 6 億ドル・営業利益 4 億ドル
- オプゼルラ(ルキソリチニブ外用):数量 1,285,714(年間の処方本数(本。推定))× 価格 1,400(1 本あたりの純売上(ドル。割戻し後。推定))→ 売上 18 億ドル・営業利益 11 億ドル
- ニクティモ(アキサチリマブ):数量 5,445(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 220,400(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 5 億ドル
- 血液・腫瘍の既存薬と新薬(モンジュビ・ジニズ・ペマザイア・イクルシグ、1 次 DLBCL・CDK2・KRAS):数量 24,407(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 90,138(1 人あたり年間の純売上(ドル。混合))→ 売上 22 億ドル・営業利益 11 億ドル
- ジャカビのロイヤルティ(ノバルティス・米国外):数量 11.0(ノバルティスのジャカビ売上(億ドル))× 価格 0.18(実効のロイヤルティ率)→ 売上 2 億ドル・営業利益 2 億ドル
- オルミアント・タブレクタなどのロイヤルティ:数量 15.0(パートナー側の対象売上(億ドル))× 価格 0.15(実効のロイヤルティ率)→ 売上 2 億ドル・営業利益 2 億ドル
- ポボルシチニブ(HS・白斑・PN など):数量 34,483(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 58,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 20 億ドル・営業利益 13 億ドル
- 変異型カルレティクリン抗体(INCA033989)とラタルシバルト:数量 18,947(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 95,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 18 億ドル・営業利益 12 億ドル
- マイルストーン・契約収益:数量 8.0(受取り(億ドル))× 価格 0.25(係数)→ 売上 2 億ドル・営業利益 2 億ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 39.5%(余った現金 35 億ドルを除いた事業の ROE(この筋書きの事業の純利益 23.4 ÷ 事業の自己資本 59 億ドル)。研究開発も導入費も費用で落とすので帳簿の元手が小さい)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 18.8%(堀は弱い(1/3):ジャカフィの米国特許が 2028 年末に切れ、新薬群は個別の特許と導入に頼るので、高い利益率を長く守る堀とは言えない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 17.5 倍 に対し、93% の 16.4 倍に置いた(やや楽観は式の値の 9 割強に置く。ジャカフィの穴を新薬群が埋める途中で、特許の山を越えた後の利益が続くかに掛かる)。時価総額 = 純利益 23.9 億ドル × 16.4 倍 = 391.0 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:新薬のうち半分強が成功し、オプゼルラの特許も大半が維持され、導入は小さく収まる展開。大手バイオの新薬群の標準的な打率に近く 18%。
中立 34% 中立:2029〜31 年の谷を越え、新薬群が穴をほぼ埋める。利益は今と同じ水準 利益 13 億ドル · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 103.64 ドル208 億ドル
2035 年、ジャカフィは 5,500 人×5.4 万ドルで 3.0 億ドル(徐放錠に移った患者などが残るだけ)。ポボルシチニブは化膿性汗腺炎・白斑・結節性痒疹の成功確率を掛けて 2.4 万人×5.5 万ドル=13 億ドル、mutCALR 抗体とラタルシバルトは 1.4 万人×9 万ドル=13 億ドル(成功確率を掛けた値)。オプゼルラは 2032 年ごろ後発クリームが入って 11 億ドル、ニクティモは 4,300 人×21 万ドルで 9.2 億、血液・腫瘍は 16 億ドル。ロイヤルティは 2.9 億ドル。総収益は 69.1 億ドル(2025 年の 1.3 倍)、営業利益 15.3 億ドル、純利益 12.9 億ドル(今と同じ水準)。研究開発 17.5 億・全社費用 3.6 億・導入費 3 億ドル。2029〜2031 年は税引き後営業利益が 2.5→0.4 億ドルと谷になり、2035 年に 12 億ドルまで戻る。10 年目もなお年 6% で 4 年伸びる 2 段階。 10 年の純利益の累計は約 61 億ドル。2026 年はベガの前払い 12.7 億ドルを費用に含んで 4 億ドル前後、2028 年に 14.8 億ドル、2029〜2031 年は谷(税引き後営業利益 2.5→0.4 億ドル)、2035 年に 13.4 億ドルまで戻る道筋の足し算。
- ジャカフィ(ルキソリチニブ・徐放錠を含む):数量 5,548(治療を受ける米国の患者数(人・年平均))× 価格 54,075(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 2 億ドル
- オプゼルラ(ルキソリチニブ外用):数量 1,047,619(年間の処方本数(本。推定))× 価格 1,050(1 本あたりの純売上(ドル。割戻し後。推定))→ 売上 11 億ドル・営業利益 6 億ドル
- ニクティモ(アキサチリマブ):数量 4,323(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 212,800(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 4 億ドル
- 血液・腫瘍の既存薬と新薬(モンジュビ・ジニズ・ペマザイア・イクルシグ、1 次 DLBCL・CDK2・KRAS):数量 18,433(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 86,800(1 人あたり年間の純売上(ドル。混合))→ 売上 16 億ドル・営業利益 8 億ドル
- ジャカビのロイヤルティ(ノバルティス・米国外):数量 7.0(ノバルティスのジャカビ売上(億ドル))× 価格 0.17(実効のロイヤルティ率)→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル
- オルミアント・タブレクタなどのロイヤルティ:数量 12.0(パートナー側の対象売上(億ドル))× 価格 0.14(実効のロイヤルティ率)→ 売上 2 億ドル・営業利益 2 億ドル
- ポボルシチニブ(HS・白斑・PN など):数量 23,636(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 55,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 13 億ドル・営業利益 8 億ドル
- 変異型カルレティクリン抗体(INCA033989)とラタルシバルト:数量 14,444(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 90,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 13 億ドル・営業利益 8 億ドル
- マイルストーン・契約収益:数量 4.0(受取り(億ドル))× 価格 0.25(係数)→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 29.3%(余った現金 35 億ドルを除いた事業の ROE(この筋書きの事業の純利益 12.9 ÷ 事業の自己資本 44 億ドル)。研究開発も導入費も費用で落とすので帳簿の元手が小さい)は先で薄れ、RONIC = k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 15.4%(堀は弱い(1/3):ジャカフィの米国特許が 2028 年末に切れ、新薬群は個別の特許と導入に頼るので、高い利益率を長く守る堀とは言えない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.5 倍 に対し、94% の 15.5 倍に置いた(中立は式の値の 9 割強に置く(2035 年も発売後の立ち上がりの途中で、伸びが続く分を上限の内側で見た)。ジャカフィの穴を新薬群が埋める途中で、特許の山を越えた後の利益が続くかに掛かる)。時価総額 = 純利益 13.4 億ドル × 15.5 倍 = 208.0 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:議論の落としどころ。ジャカフィは 1 割に縮み、オプゼルラは 2032 年ごろ後発クリームが入って 2035 年に 11 億ドル、ニクティモ・血液腫瘍・ポボルシチニブ・mutCALR 抗体が合わせて穴を補う。34%。
やや悲観 27% やや悲観:谷が長引き、新薬は穴の半分も埋まらない 利益 3 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 22.52 ドル45 億ドル
2035 年、ジャカフィは 3,700 人×4.3 万ドルで 1.6 億ドル、オプゼルラは 2031 年から後発クリームが入って 6.0 億ドル、ニクティモは 5.5 億、血液・腫瘍は 10.5 億ドル。ポボルシチニブは生物学的製剤に押されて 1.25 万人×4.8 万ドル=6.0 億ドル、mutCALR 抗体は第 3 相の結果が弱く 4.0 億ドル。ロイヤルティは 1.8 億ドル。総収益は 36.2 億ドル(2025 年の 0.7 倍)、営業利益 2.7 億ドル、純利益 3.3 億ドル。会社は研究開発を 10 億ドルに絞り、導入費 1.5 億ドル。2029〜2033 年の税引き後営業利益はほぼゼロで、2035 年に 2.2 億ドルまで戻る。ROE は 12% にとどまる。 10 年の純利益の累計は約 30 億ドル。2026 年はベガの前払い 12.7 億ドルを費用に含んで 3 億ドル前後、2028 年に 10.9 億ドル、2029〜2033 年は利益がほぼゼロ、2035 年に 3.4 億ドルまでしか戻らない道筋の足し算。
- ジャカフィ(ルキソリチニブ・徐放錠を含む):数量 3,699(治療を受ける米国の患者数(人・年平均))× 価格 43,260(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル
- オプゼルラ(ルキソリチニブ外用):数量 750,000(年間の処方本数(本。推定))× 価格 800(1 本あたりの純売上(ドル。割戻し後。推定))→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル
- ニクティモ(アキサチリマブ):数量 2,783(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 197,600(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル
- 血液・腫瘍の既存薬と新薬(モンジュビ・ジニズ・ペマザイア・イクルシグ、1 次 DLBCL・CDK2・KRAS):数量 13,105(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 80,123(1 人あたり年間の純売上(ドル。混合))→ 売上 11 億ドル・営業利益 4 億ドル
- ジャカビのロイヤルティ(ノバルティス・米国外):数量 4.5(ノバルティスのジャカビ売上(億ドル))× 価格 0.16(実効のロイヤルティ率)→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル
- オルミアント・タブレクタなどのロイヤルティ:数量 8.0(パートナー側の対象売上(億ドル))× 価格 0.14(実効のロイヤルティ率)→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル
- ポボルシチニブ(HS・白斑・PN など):数量 12,500(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 48,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル
- 変異型カルレティクリン抗体(INCA033989)とラタルシバルト:数量 4,706(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 85,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル
- マイルストーン・契約収益:数量 3.0(受取り(億ドル))× 価格 0.25(係数)→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル
倍率:悲観側は稼ぐ力で置く。この筋書きの ROE 7.3%(事業の純利益 3.0 ÷ 自己資本 68 億ドル)は k 8.5% 以下なので、ためた利益は元の額より小さい価値で、正当化 PER は 1 ÷ k = 11.8 倍が上限。その 9 割の 10.6 倍を事業の純利益 3.0 億ドルに掛けて 32.1 億ドル、これに余った現金 26.2 億ドル(今の 35 億ドルの 0.75 倍)× 戻り方 0.5 = 13.1 億ドルを足して 45.2 億ドル。純利益 3.4 億ドルに対する実効の PER は 13.3 倍。9 割に置いたのは、谷が長引き、ポボルシチニブと mutCALR 抗体が伸び悩み、導入に価値を壊す展開で、式の上限まで評価されないため。純利益は GAAP(株式報酬・導入費を引いた値)。
確率:谷(2029〜2033 年の純利益ほぼゼロ)が長引き、ポボルシチニブが生物学的製剤に押され、mutCALR 抗体が第 3 相で伸び悩み、導入にも価値を壊す展開。27%(悲観側を厚くした)。
悲観 13% 悲観:新薬が外れ、後発薬にも負けて、もう優良ではない 利益 1 億ドル · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 12.41 ドル25 億ドル
2035 年、ジャカフィは 1,800 人×3.9 万ドルで 0.7 億ドル、オプゼルラは 2029〜2030 年に後発クリームが入って 3.0 億、ニクティモは競合に置き換わって 2.8 億、血液・腫瘍は 6.0 億ドル。ポボルシチニブは化膿性汗腺炎の差の小ささが響いて 1.0 億、mutCALR 抗体は第 3 相の失敗で 0.5 億ドル。ロイヤルティは 1.1 億ドル。総収益は 15.6 億ドル(2025 年の 0.3 倍)、営業利益はマイナス 0.8 億ドル、純利益 0.1 億ドル。研究開発を 3 億ドルまで削り、導入は止める。2026〜2028 年に稼いだ純利益の合計 17 億ドルのうち 6 億ドルを還元し、2029 年以降は事業からの稼ぎがほぼ無いので、価値は純現金 38 億ドルが中心。 10 年の純利益の累計は約 18 億ドル。ほぼ全部が 2026〜2028 年に稼いだ 17 億ドル(2026 年はベガの前払い 12.7 億ドルを費用に含む)で、2029 年以降の利益はほぼゼロ。
- ジャカフィ(ルキソリチニブ・徐放錠を含む):数量 1,812(治療を受ける米国の患者数(人・年平均))× 価格 38,625(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル
- オプゼルラ(ルキソリチニブ外用):数量 461,538(年間の処方本数(本。推定))× 価格 650(1 本あたりの純売上(ドル。割戻し後。推定))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル
- ニクティモ(アキサチリマブ):数量 1,602(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 174,800(1 人あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル
- 血液・腫瘍の既存薬と新薬(モンジュビ・ジニズ・ペマザイア・イクルシグ、1 次 DLBCL・CDK2・KRAS):数量 8,558(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 70,107(1 人あたり年間の純売上(ドル。混合))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル
- ジャカビのロイヤルティ(ノバルティス・米国外):数量 2.8(ノバルティスのジャカビ売上(億ドル))× 価格 0.15(実効のロイヤルティ率)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル
- オルミアント・タブレクタなどのロイヤルティ:数量 5.0(パートナー側の対象売上(億ドル))× 価格 0.13(実効のロイヤルティ率)→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル
- ポボルシチニブ(HS・白斑・PN など):数量 2,500(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 40,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル
- 変異型カルレティクリン抗体(INCA033989)とラタルシバルト:数量 714(治療を受ける患者数(人・年。推定))× 価格 70,000(1 人あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル
- マイルストーン・契約収益:数量 2.0(受取り(億ドル))× 価格 0.25(係数)→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル
倍率:悲観は稼ぐ力と純現金で置く(市場の PBR は使わない)。2035 年の純利益は 0.5 億ドルでほぼゼロ、事業価値は 純利益 ÷ k 8.5% = 5.9 億ドル。期末の純現金 38 億ドル(借金は無い。期首 35 + 10 年の純利益の合計 18 − 還元 7 − 伸びに要る投資 6 − 一時益の調整 2)は、導入・買収に使う癖があり株主に戻る確度が半分(excess_cash_return 0.5)なので 19 億ドルとみる。合計 24.9 億ドルで、今の自己資本 52 億ドルに対する PBR 0.48 倍。g は −1%(市場の実質 +1.0% × シェア −3.0% × 価格 +1.0%。構造的に負けた会社)。実効の PER は純利益 0.5 億ドルに対し意味を持たないので PBR で書く。
確率:新薬の第 3 相が相次いで外れ、オプゼルラの後発クリームが 2029〜2030 年に入り、ロイヤルティも細り、研究開発を削って現金を返すだけの小さな会社になる展開。10 年でこの水準に至る確率は 13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
ジャカフィ(ルキソリチニブ・徐放錠を含む)
骨髄線維症・真性多血症・移植片対宿主病の経口 JAK 阻害薬。米国のみインサイトが販売。
| 数量治療を受ける米国の患者数(人・年平均) | 価格1 人あたり年間の純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20,000 | 154,500 | 31 | 27 |
| 10 年後 中立 | 5,548 | 54,075 | 3 | 2 |
取り方:2025 年のジャカフィ売上 30.9 億ドル(前年比 +11%)を、治療を受ける米国の患者数約 2.0 万人(推定。会社は患者数を開示していない。2026 年 4〜6 月期の実需は +9%)で割った 1 人あたり約 15.5 万ドル(定価から割戻しなどを引いた純額の推定)。ジャカフィ XR の売上(年 0.4〜0.5 億ドル)を含む。貢献利益率は 86%:売上原価・ノバルティスへのロイヤルティ(2025 年から半分)・直接の販売費を引いた値で、研究開発・全社費用は調整に置く。価格は 3 年で 0.99 倍(物価 1.11 倍に届かない):定価を上げても、メディケア Part D の再設計(患者負担の上限・メーカーの割引)で割戻し後の純額が伸びないため。2029 年以降は後発薬で数量と価格が急落する(筋書きごとに分ける)。
オプゼルラ(ルキソリチニブ外用)
白斑・アトピー性皮膚炎の外用 JAK 阻害薬。米国と欧州。
| 数量年間の処方本数(本。推定) | 価格1 本あたりの純売上(ドル。割戻し後。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 678,000 | 1,000 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,047,619 | 1,050 | 11 | 6 |
取り方:2025 年のオプゼルラ売上 6.78 億ドルを、年間の処方本数約 68 万本(推定)× 1 本あたり約 1,000 ドル(定価は約 2,000 ドル台で、割戻し後の純額を推定。会社は開示していない)に分解した。2026 年は CMS との和解による一時益 2.46 億ドルを除いて約 8.3 億ドル(和解後の gross-to-net 改善 0.4〜0.5 億ドルが 7〜12 月に入る)。貢献利益率は 18%:売上原価約 7% と、直接の販売・マーケティング費が売上の約 74% と重いため(発売初期)。規模が出ると利益率は上がる。価格は 3 年で 1.17 倍(物価 1.11 倍より高い):和解による割戻しの恒常的な改善。10 年の中立は 1.05 倍と物価に届かない:2031 年以降に後発のクリームが入り、割戻しが増える筋書きのため。
ニクティモ(アキサチリマブ)
慢性移植片対宿主病の抗 CSF-1R 抗体。シンダックスとの提携の取り分がある。
| 数量治療を受ける患者数(人・年。推定) | 価格1 人あたり年間の純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 152,000 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4,323 | 212,800 | 9 | 4 |
取り方:2025 年のニクティモ売上 1.52 億ドルを、治療を受ける患者数約 1,000 人(年平均の推定。2026 年 4〜6 月期の時点で累計 1,200 人超・新規 300 人超)× 1 人あたり年間 15.2 万ドルに分解した(推定)。慢性 GVHD の第 2 選択以降の米国の患者約 6,000 人(会社の説明)が当面の標的。貢献利益率 25%:売上原価・シンダックスとの提携の取り分(条件の詳細は未確認)・発売費用で薄い。規模が出ると上がる。価格は 3 年で 1.07 倍・10 年で 1.40 倍(物価並み。単独の希少疾患なので薬価交渉の対象外)。
血液・腫瘍の既存薬と新薬(モンジュビ・ジニズ・ペマザイア・イクルシグ、1 次 DLBCL・CDK2・KRAS)
モンジュビ(タファシタマブ)、ジニズ(レチファンリマブ)、ペマザイア、イクルシグと、開発中のがん薬。
| 数量治療を受ける患者数(人・年。推定) | 価格1 人あたり年間の純売上(ドル。混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6,500 | 66,769 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18,433 | 86,800 | 16 | 8 |
取り方:モンジュビ(1.45 億ドル)・ジニズ(0.66 億ドル)・ペマザイア・イクルシグの 2025 年売上の合計 4.34 億ドルを、治療を受ける患者約 6,500 人(年換算の推定)× 1 人あたり約 6.7 万ドル(混合)に分解した。2026 年の会社見通し(血液・腫瘍の合計 8.6〜8.9 億ドル)から、ニクティモを引いた約 6.0 億ドルが 2026 年の置き方。貢献利益率 25%(モンジュビ・ジニズは発売の途中で販売費が重く、ノバルティス等へのロイヤルティがある)。2027 年の 1 次びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫への拡大と、後ろに控える CDK2 阻害薬(卵巣がんの第 3 相は 2026 年後半に開始)・KRAS G12D 阻害薬(第 3 相が進行中)が数量の伸びを決める。価格は筋書きで 1.0〜1.4 倍:中立は 10 年 1.30 倍(物価 1.41 倍より低い。2031 年以降にモンジュビなど生物学的製剤が薬価交渉の対象になる可能性)。
ジャカビのロイヤルティ(ノバルティス・米国外)
ノバルティスが米国外で売るジャカビの売上への取り分。
| 数量ノバルティスのジャカビ売上(億ドル) | 価格実効のロイヤルティ率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 22.0 | 0.21 | 5 | 4 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 0.17 | 1 | 1 |
取り方:2025 年のジャカビのロイヤルティ 4.58 億ドルを、ノバルティスの米国外売上 約 22 億ドル(推定)× 実効率 20.8%(段階制で上位十代〜二十代半ば。会社の説明)に分解した。ロイヤルティは費用がほぼ無く貢献利益率 98%。欧州・日本の特許切れの時期と、ロイヤルティの期限は確認できていない(推定)。筋書きでは、2028〜2030 年ごろから後発薬が入り、売上が落ちるにつれて段階制の率も下がると置いた。
オルミアント・タブレクタなどのロイヤルティ
イーライリリーのオルミアント、ノバルティスのタブレクタの売上への取り分。
| 数量パートナー側の対象売上(億ドル) | 価格実効のロイヤルティ率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.5 | 0.14 | 2 | 2 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 0.14 | 2 | 2 |
取り方:2025 年のオルミアント(1.45 億ドル)・タブレクタ(0.27 億ドル)・その他(0.08 億ドル)のロイヤルティ 1.80 億ドルを、パートナー側の対象売上約 12.5 億ドル(推定)× 実効率 14.4%(オルミアントは最大で十代半ば)に分解した。貢献利益率 98%。オルミアントの特許切れの時期と、ロイヤルティの期限は確認できていない(推定)。
ポボルシチニブ(HS・白斑・PN など)
経口 JAK1 阻害薬。化膿性汗腺炎は米国で 2027 年第 1 四半期に承認見込み。
| 数量治療を受ける患者数(人・年。推定) | 価格1 人あたり年間の純売上(ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 40,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 23,636 | 55,000 | 13 | 8 |
取り方:2025 年はまだ売上が無いので、数量 0 に仮の単価 4 万ドルを置く(比べる『今』の価格ではない仮の値)。化膿性汗腺炎は FDA の審査が通れば 2027 年第 1 四半期、欧州は 2026 年末。結節性痒疹は 2026 年第 4 四半期、喘息の第 2 相は 2026 年後半に結果。白斑は第 3 相が進行中。数量は治療を受ける患者数、価格は 1 人あたり年間の純売上(経口の小分子・皮膚科。同種の経口 JAK の定価は年 8 万ドル台、割戻し後は 5 万ドル台の推定)。中立の 2028 年は 3,900 人×4.6 万ドルで 1.8 億ドル、2035 年は 2.4 万人×5.5 万ドルで 13 億ドル(成功確率を掛けた値)。
変異型カルレティクリン抗体(INCA033989)とラタルシバルト
ET・MF の根治を狙う抗体と、ベガ社から買った VWD の抗体。
| 数量治療を受ける患者数(人・年。推定) | 価格1 人あたり年間の純売上(ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 65,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14,444 | 90,000 | 13 | 8 |
取り方:2025 年はまだ売上が無いので、数量 0 に仮の単価 6.5 万ドルを置く。mutCALR 抗体 INCA033989 は本態性血小板血症の第 3 相を 2026 年半ばに開始、骨髄線維症の単剤・併用のデータが 2026 年後半に出る。ラタルシバルト(フォンヴィレブランド病)は第 3 相の結果が 2029 年初め。数量は治療を受ける患者数、価格は 1 人あたり年間の純売上(抗体の血液薬)。中立は 2035 年に約 1.4 万人×9 万ドルで 13 億ドル(開発成功の確率を掛けた値)、2028 年は発売前で 0。
マイルストーン・契約収益
パートナーからの開発・販売の節目の受取り。
| 数量受取り(億ドル) | 価格係数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.0 | 0.25 | 2 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 0.25 | 1 | 1 |
取り方:2025 年のマイルストーン・契約収益 1.50 億ドルを、受取りの件数 6 件(推定)× 1 件あたり平均 0.25 億ドルに分解した(開示は合計のみで、件数は推定)。提携先の開発・売上の節目の受取りで、貢献利益率 100%。年によってぶれるので、筋書きでは件数を増減させる。
リスクと懸念
ジャカフィの特許切れ(2028 年 12 月)
2025 年の総収益の約 6 割(30.9 億ドル)と貢献利益の大半がジャカフィにある。物質特許は小児延長込みで 2028 年 6 月、リン酸塩の特許は 2028 年 12 月。ハイクマ(同意判決)・サン・グラニュールズは和解済みだが、MSN と Apotex は係争中で、前倒しの参入や米国外・米国の別経路の参入が起きれば 2029 年の穴は更に深い。中立の 2029 年は税引き後営業利益が 2.5 億ドルまで落ちる。
オプゼルラの特許訴訟
物質特許は 2028 年 12 月に切れ、クリームの製剤特許(2031 年・2040 年)が Padagis・Taro・Zydus に争われている。裁判所が特許を無効・非侵害とすれば、2029〜2031 年に後発クリームが入る。中立は 2032 年ごろの参入(2035 年 11 億ドル)、悲観は 2029〜2030 年(同 3 億ドル)。
新薬の打率・価格
ポボルシチニブの化膿性汗腺炎の第 3 相は主要評価項目を達成したが、プラセボとの差は 12〜13 ポイント。生物学的製剤(ヒュミラ・コセンティクス・ビンゼレックス)に対して選ばれる位置づけは未確定。mutCALR 抗体は早期のデータで、第 3 相は始まったばかり。ニクティモ・モンジュビの拡大も 2027 年の承認が条件。中立の 10 年で 4 本の柱の合計は 60 億ドル超だが、成功確率を掛けた値で、外れた時の落ち幅が大きい。
導入・買収の価格規律
エシェント(2024 年)、ベガ(2026 年)と、第 3 相の途中の資産に前払いで大きく払うのが続く。GAAP では IPR&D として費用になるので、毎年の純利益がぶれる。ベガの前払い 12.5 億ドルとマイルストーン 7.5 億ドルが成功確率に見合うかは 2029 年初めの第 3 相の結果まで分からない。
薬価政策(IRA・Part D・最恵国待遇)
ジャカフィとオプゼルラは 2028 年適用の薬価交渉の対象に入っていない(後発薬が出る薬は対象外)。ただし Part D の再設計(患者負担の上限・メーカーの割引)で割戻し後の純価格が伸びにくい。モンジュビ・ジニズなどの生物学的製剤は、発売から 11 年後に交渉の対象になりうる(2031 年以降の筋書きで価格を物価より低くした)。最恵国待遇の価格の影響は、売上の大半が米国なので無視できない。
ロイヤルティの期限・減少
ジャカビ(ノバルティス)の欧州・日本の特許切れの時期と、ロイヤルティの期限は確認できていない。中立では 2035 年に 2025 年の約 4 分の 1 まで細ると置いた。オルミアントの特許切れも同様に未確認。
株式報酬と希薄化
株式報酬は年 2.5 億ドル前後で、GAAP の費用に入っている。2026 年は自社株買いが無いので株数が増える。この分析の還元は株式報酬の増加分を引いた正味で置いたので、買い戻しが再開しない年は 1 株あたりの価値が目減りする。株式報酬は費用として利益から引いており、足し戻していない。
今後の分かれ目
- 2026 年第 4 四半期の結節性痒疹・オプゼルラの化膿性汗腺炎の第 3 相が成功したら
- ポボルシチニブとオプゼルラの適応が広がり、10 年の中立の 2035 年のポボルシチニブを 13 億から 18 億ドルへ上げて見る(楽観・やや楽観の確率を上げる)。
- 2027 年第 1 四半期にポボルシチニブの化膿性汗腺炎が承認されなければ(追加試験が要る)
- 中立の 2028 年のポボルシチニブ 1.8 億ドルがほぼ消え、10 年の中立の 13 億ドルを 6 億ドルへ下げて見る。10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。
- mutCALR 抗体の骨髄線維症・ET のデータが 2026 年後半〜2027 年に長期の効果を示したら
- 病気の元を叩く薬として位置づけが固まり、中立の 2035 年を 13 億ドルから 25 億ドルへ上げて見る。逆に効果が短ければ 4 億ドルへ下げる。
- オプゼルラの特許訴訟でクリームの 2031 年・2040 年の特許が無効と判断されたら
- 後発クリームが 2029〜2031 年に入る。中立の 2035 年のオプゼルラを 11 億ドルから 5 億ドルへ下げて見る(悲観の筋書きに近づく)。
- ジャカフィ XR への切り替えが特許切れ前に 3 割を超えたら
- 後発薬は徐放錠に自動で置き換わらないので、2035 年のジャカフィを 3 億ドルから 6 億ドル以上へ上げて見る(やや楽観に近づく)。
- 2027 年に 20 億ドルを超える導入・買収を発表したら
- 純現金が減り、導入の成功確率次第で価値が変わる。買収で得る売上を足す前に、中立の ROE を 35% から 25% へ下げて倍率を置き直して見る。
- ノバルティスがジャカビの欧州の特許切れ後も段階制の率を維持すると分かったら
- ロイヤルティの中立の 2035 年を 2.9 億から 4.5 億ドルへ上げて見る。
見ておくもの
- 2026 年 10 月下旬の 7〜9 月期決算:ベガの IPR&D 費用(約 12.7 億ドル)、ジャカフィ XR の初期の切り替え、オプゼルラの割戻しの改善の定着、血液・腫瘍の伸び
- 2026 年第 4 四半期:povorcitinib の結節性痒疹の第 3 相、オプゼルラの化膿性汗腺炎の第 3 相(TRuE-HS1/HS2)。2027 年第 1 四半期:化膿性汗腺炎の FDA 承認、モンジュビの 1 次びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の承認
- 2026 年後半:INCA033989 の骨髄線維症(単剤・ジャカフィ併用)のデータ、ET の第 3 相(EXCALIBUR-ET2)の進捗、皮下注の第 1 相。ニクティモ+ジャカフィの新規 cGVHD の第 2 相
- ジャカフィの特許訴訟(MSN・Apotex の 505(b)(2))の進み具合と、後発薬の参入日の確定。2028 年 12 月までの徐放錠への切り替え率
- オプゼルラのクリーム特許(2031 年・2040 年)の訴訟結果(Padagis・Taro・Zydus)
- 導入・買収の発表と、純現金(2026 年 6 月末 45 億ドル)の使い方、自社株買いの再開
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 227 億ドルと GAAP の PER 17.6 倍を見る前に、9 つの事業を患者数 × 価格で 2028 年と 2035 年に積み上げ、2029〜2035 年の毎年の利益を同じ筋書きで置き、利益ベースの正当化 PER(k 8.5%、g は市場 × シェア × 価格から、RONIC = k + 1/3 ×(ROE − k)、堀は弱い。ROE は現金を除いた事業の元手に対する税引き後営業利益)を上限にして倍率を置いた。楽観・やや楽観・中立は上限の 9 割強に置き、やや悲観は ROE が k 以下なので 1 ÷ k の 9 割、悲観は事業価値(純利益 ÷ k)と純現金の戻り方 0.5 で置いた。会社の調整後の利益や IPR&D の足し戻しは使わず、導入費は毎年費用として置いた。中立の 2035 年は純利益 13.4 億ドル(今と同じ水準)、PER 15.5 倍(上限 16.5 倍の約 94%)で時価総額 208 億ドル、結果は今の値段を大きく下回る(総合 −48%)。ジャカフィの穴を新薬群が丸ごと埋める置き方なので、中立は慎重すぎる置き方ではないと考えるが(k を 8.5% にしたことで前の置き方より低い)、今の値段(実質は新薬が穴を超えて成功する筋書き)に寄せるために楽観の数字を動かしてはいない。逆に、今の値段が高いからといって悲観の数字も動かしていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β 0.85 × 5%。基本 8.0% に quality +0.5% を足して 8.5%。医薬品は景気に動きにくいが、ジャカフィの特許切れで今の利益の大半が 2029 年から消える構造を寿命で見た。純現金 36 億ドルで借金は無く、借金の上乗せも財務の堅さによる引き下げも無い。個別のリスク(特許訴訟・開発の成否・導入の価値)は k に足さず、確率と悲観の深さで表した。事業は黒字で存続の疑いも無いので、上乗せ(extra)は使わない。k 8.5% なので g は 4% 以下(k − g ≥ 3.5%)で、楽観 3.5%・やや楽観 3.0%・中立 2.5%・やや悲観 1.5%・悲観 −1.0% に置いた。
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読んだ資料
- Incyte 2025 年 10-K(SEC)
- Incyte 2026 年第 2 四半期決算(SEC 8-K)
- Incyte 2026 年第 2 四半期 10-Q(SEC)
- Incyte 2025 年 ARS(特許・独占期間の一覧)
- Incyte がベガ・セラピューティクスを買収(Signals)
- Incyte の INCA033989 の EHA 2026 データ(BioSpace)
- Incyte のジャカフィの特許訴訟の同意判決(Patsnap)
- CMS の 2028 年適用の薬価交渉の対象 15 薬
- Incyte の時価総額(Capital.com 2026-07-16)
- Oppenheimer:Incyte の後発薬による長期の売上の減少(2025 年 10 月)