結論
メトラー・トレド・インターナショナル(Mettler-Toledo)は、研究室の天びん・ピペット・滴定・分析機器、工場の産業計量、食品・医薬の製品検査(金属検出・X 線・重量選別)、食品小売のスケールを持つ精密機器の会社である。2025 年は売上 40.3 億ドル(+4%、現地通貨 +3%)、GAAP の営業利益 11.2 億ドル(27.8%)、純利益 8.7 億ドル。売上の約 4 分の 1 は保守・校正のサービスで、研究室 55%・産業 40%・食品小売 5%、地域は米州 4 割・欧州 3 割・アジア他 3 割。
2026 年は上向きで、第 2 四半期は有機的に +4%(中国を含むアジア他 +9%)、通期は現地通貨 +4〜5%、調整後 EPS 47.15〜47.50(+10〜11%)に引き上げた。自社株買いは年 8 億ドル規模で株数は年約 3% 減り、自己資本はほぼゼロ。借入は 14 億ドルで時価総額の 4%。
市場 × シェア × 価格で 4 つの事業を積むと、中立の売上は 2035 年に 68 億ドル(年 +5.4%)、GAAP の営業利益率は 27.8% から 30.1% へ、純利益は 2035 年に 15.5 億ドル。資本コストは 8.0%(基本の 8.0% に、設備投資の循環 +0.5% と値決め力 −0.5% で差し引き 0)、成熟後の PER は利益ベースの正当化 PER 22.5 倍(g 4%・事業の ROE 71%・RONIC 39.5%)の 8 割の 18.0 倍に置き、2035 年の時価総額は 279 億ドルで今の約 0.8 倍にとどまる。割り引くと今の約 6 割。バリュー投資の観点では、事業の質への確信は高いが、その質は今の PER 38 倍にすでに織り込まれている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。天びんと計量・検査の機器は、製薬・食品・半導体の品質管理に欠かせず、毎年の消耗品・保守・校正の収入が積み上がる。10 年後も今より強い会社である確信は高い。堀は精度と規制への結びつき、据え付け台数、サービスの網で、狭まるとしても中国と中価格帯の機器からで、サービスと高精度の領域は残る。
オーナー利益は、GAAP の純利益 2026 年 約 9 億ドル超、フリーキャッシュフロー 約 9 億ドルで、時価総額 335 億ドルに対して 2.7% 前後。無リスク金利(5%)より低く、これは今後 10 年の成長と利益率の改善への前払いである。再投資はほとんど要らず(設備投資は売上の 2% 前後、のれんは 10 億ドル)、増える利益の大半が株主に回る点は、この会社の最大の強みである。
資本配分は規律がある。大型の買収で価値を壊さず、自社株買いに集中する。ただし自社株買いを PER 38 倍で行うことは、本質価値(今の約 6 割)を上回る値で買っていることになり、残る株主の価値を薄める。自己資本がゼロで、借入で買い増す余地も限られる。
安全域は無い。楽観でも 10 年後の時価総額は 404 億ドルで今の約 1.2 倍、還元を足した年率は 5% 前後で、資本コスト 8.0% に届かない。事業を愛するが、値段は払いすぎ、という結論。時価総額が 180 億ドル前後(PER 21 倍前後)まで下がれば、安全域が出る。
何で稼ぐ会社か
4 つの事業で成り立つ。研究室(2025 年の売上の約 55%、推定 22 億ドル)は、天びん(世界首位)・ピペット(レイニン)・滴定・pH 計・熱分析・自動化学の反応装置と、バイオ医薬の工程を測るプロセス分析(ソーントン・インゴールドのセンサー、ペンドテック)。製薬・バイオ・化学・半導体・大学の研究と品質管理に使われ、機器より消耗品とサービスが利益の大半を占める。
コア産業(推定 12 億ドル)は、工場・物流の産業計量(ロードセル・計量端末・トラックスケール)と自動化ラインの計量、プロセス分析。製品検査(推定 4 億ドル)は、セーフライン(金属検出・X 線)・CI ビジョン・ハイスピード・PCE などで、食品・医薬の包装ラインに据える。食品小売(約 5%、推定 2 億ドル)は量り売りのスケールとラベル機。
どの事業も、機器を一度据えれば保守・校正・消耗品の契約が続く。サービスは売上の約 4 分の 1(年 10 億ドル超)で、第 2 四半期は +7% と機器より速く伸びた。地域は米州 4 割・欧州 3 割・アジア他 3 割(中国は 1 割台後半と推定)で、生産はスイス・ドイツ・米国・中国。営業利益率は 2021 年以降 28〜30% を保ち、第 2 四半期の調整後は 29.3%。2026 年上半期は IEEPA 関税の還付 0.52 億ドルが売上原価の利益に入り、顧客への還付 0.28 億ドルが売上を減らしたが、一回限りで筋書きには入れない。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は精度と規制への結びつき。製薬の品質管理に使う天びんは、校正の手順が FDA・GMP の文書に書かれており、機器を他社に替えるには手順の再確認が要る。第 2 は据え付け台数と保守の網。直営で約 40 か国、140 か国以上に売り、サービスの契約が毎年の収入になる。第 3 は価格を決める力で、2021 年以降の Spinnaker(営業・値決めの計画)で、物価が 2% だった時期にも 3% 前後の値上げを通した。
資本効率は非常に高い。調整後の営業利益率は 29〜30%、ROIC は 4〜5 割台、フリーキャッシュフローは営業 CF の 9 割前後で、ほぼ全額を自社株買いに回す。のれん・無形資産は約 10 億ドルと小さく、買収で価値を壊した歴史がない(買収は年 1 億ドル前後の小さなものが中心)。
弱みは 3 つ。機器そのものは競合が多く、製品検査(石田・サーモフィッシャー・アンリツ)と食品小売(ビゼルバ・ディジ)は競争的。有機的な伸びは 2023〜25 年は 0〜3% と遅く、2021〜22 年の高い伸びは感染症の特需だった。借入で自社株買いを増やしており、自己資本はゼロ近辺で、景気後退時の余力は営業 CF とサービスに頼る。経営は 2022 年からパトリック・カルテンバッハ氏で、Spinnaker と生産性計画(費用の削減)を続け、規律のある資本配分を保つ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
主な市場は 4 つ。研究室の計量・分析機器とバイオ製造のプロセス分析(推定 280 億ドルのうち会社の届く範囲)は、製薬・バイオの研究開発費と設備投資、半導体・電池・先端材料の品質管理に連動する。2023〜24 年はバイオ製造の在庫調整と製薬の予算の引き締めで鈍ったが、2026 年は第 2 四半期の研究室が +4%(プロセス分析・バイオ製造機器・半導体向け天びん)と戻った。産業計量とプロセス分析(推定 190 億ドル)は工場の自動化・物流・化学の稼働に連動し、製品検査(推定 55 億ドル)は食品・医薬の包装と安全規制、食品小売(推定 25 億ドル)は小売の店舗数に連動する。
構造の変化は 4 つ。製薬の国内回帰(関税・薬価の圧力で米国・欧州に工場を新設)、半導体・電池・先端材料の投資、実験室と工場の自動化・デジタル化(機器が装置とソフトにつながる)、中国の国産化。中国は第 2 四半期に有機的 +9% と戻ったが、地元メーカーの台頭と政府調達の国産優先が長期の逆風。
競争は研究室ではザルトリウス・島津製作所・A&D・オハウス、分析機器の周辺でアジレント・ウォーターズ・サーモフィッシャー、産業計量でミネベアインテック・ザルトリウス、製品検査でサーモフィッシャー・石田・アンリツ。メトラー・トレドは天びん・滴定・pH で世界首位級(二次情報)。今後の分かれ目は、製薬・半導体の投資の回復、関税と為替、中国の国産化、サービスの伸びである。
資本政策と M&A
還元は自社株買いが中心で、配当は出さない。2025 年に約 8 億ドル、2026 年上半期に 4.1 億ドルで、発行株数は年約 3% のペースで減り、2026 年第 2 四半期の加重平均は 2,017 万株(前年同期は 2,069 万株)。2025 年 9 月に追加枠 27.5 億ドルを承認し、2026 年の自社株買いは 8.25〜8.75 億ドル、フリーキャッシュフロー 約 9 億ドルの見通し(二次情報)。株式報酬は年 0.2 億ドル台と小さい。
借入は有利子負債 14.3 億ドル(短期 2.3・長期 12.0)、現金 0.5 億ドルで、純負債は EBITDA の約 1.1 倍。自己資本は 2026 年 6 月末で +0.1 億ドルとほぼゼロ(自社株買いの累積)。借入は借り換えで 5.75% 前後に切り替わる。
M&A は小さなものを年に数件で、2021 年のペンドテック(バイオ製造のセンサー)・トロエマー(分銅)、2025〜26 年の小さな買収(有機的でない成長への寄与は第 2 四半期で約 1.5%)。大型の買収は避け、自社の技術と営業で伸ばす方針で、買収される側になる可能性も低い(時価総額 330 億ドル)。分かれ目は、自社株買いを PER 38 倍で続けて価値を払いすぎないかと、借入の増加の限度である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
メトラー・トレドは、景気に左右されにくい消耗・保守の収入が売上の約 4 分の 1 あり、2021 年以降の営業利益率は 28〜30% で、損益が崩れた年がない。2026 年は第 2 四半期の有機的な伸びが +4%、中国が +9% と戻り、通期見通しを引き上げた。製薬の国内回帰(米国・欧州の新工場)、半導体・電池の品質管理、実験室と工場の自動化という 3 つの波は、それぞれ計量・分析・検査の機器とサービスの需要を押し上げる。
Spinnaker 計画の値決めは、物価が 2% の時期でも 3% 前後を通した実績があり、物価 3.5% の世界では価格は物価並みかそれ以上に上がる余地がある。会社は長期に売上 6% 前後・年 100bp の利益率改善を枠組みに置いており、達成すれば 2035 年の GAAP 営業利益率は 33% 台、純利益は 20 億ドルを超える。自社株買いで株数が年 3% 減るので、1 株あたりの価値は利益の伸びより 3 ポイント速く伸びる。サービスと高精度の領域は国産品に置き換えにくく、堀は広がる。
慎重な見方
今の PER 38 倍は、過去 20 期の中央値(28 倍)を大きく上回り、2025 年の GAAP 純利益は税の一時利益(EPS で約 0.95)を含む。ROE の高さは自社株買いで自己資本が消えた見かけで、伸びを保証しない。有機的な伸びは 2023〜25 年は 0〜3% と遅く、会社の枠組み(6%)を満たした年はほとんどなく、2026 年の +4〜5% も関税の駆け込みと一回限りの要因を含む。
製品検査は第 2 四半期に +1%、米州は上半期に横ばいで、コア産業も自動化投資の先送りで弱い。中国は国産化が進めば、天びん・産業計量の中価格帯から置き換えられる。競合はザルトリウス・ミネベアインテック・サーモフィッシャー・石田と多く、機器そのものは競争的で、研究室の予算も NIH と製薬の効率化で圧迫される。自社株買いを PER 38 倍で続ければ、価値を薄める。利益ベースの成熟後の正当化 PER は上限 22.5 倍で、中立はその 8 割の 18.0 倍、10 年後の時価総額は今の約 0.8 倍(中立 279 億ドル)にとどまり、資本コスト 8.0% で割り引けば今の 6 割。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気の言い分が勝つが、値段は慎重な言い分が勝つ。悲観側は少し薄めに置いた(2026 年の見通しの引き上げと中国の戻りは確実なため)。10 年は楽観 12%・やや楽観 24%、やや悲観 18%・悲観 10% で、堀の深さと価格を決める力を理由に楽観側へ寄せたが、PER は利益ベースの上限の内側(18〜20 倍)にとどまる。結論は「優れた事業だが、値段は高い」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,370 ドル283 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 590.37 ドル122 億ドル)。 今の値に割り戻すと 1,036 ドル214 億ドル、今との差 −38.5%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 2,026 ドル419 億ドル | 725.63 ドル150 億ドル | +63.3% | +5.0% | 330.19 ドル68 億ドル |
| やや楽観 | 24% | 1,621 ドル335 億ドル | 653.07 ドル135 億ドル | +35.0% | +3.0% | 545.79 ドル113 億ドル |
| 中立 | 36% | 1,347 ドル279 億ドル | 599.85 ドル124 億ドル | +15.6% | +1.5% | 700.96 ドル145 億ドル |
| やや悲観 | 18% | 991.69 ドル205 億ドル | 507.94 ドル105 億ドル | −11.0% | −1.2% | 269.93 ドル56 億ドル |
| 悲観 | 10% | 745.46 ドル154 億ドル | 391.84 ドル81 億ドル | −32.5% | −3.9% | 113.73 ドル24 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 1,370 ドル283 億ドル | 590.37 ドル122 億ドル | +16.4% | +1.5% | 1,961 ドル405 億ドル |
今の株価時価総額 1,685 ドル348 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 12% 楽観:自動化・バイオ製造・半導体で広がり、価格も物価を上回って、GAAP 利益率が 33% 台へ 利益 21 億ドル · PER 20.4 倍 · 株価時価総額 2,026 ドル419 億ドル
研究室は実験の自動化(自動滴定・ロボットと連携する天びん)・バイオ製造の工程分析・半導体と先端材料の需要で実質 年 +3.5%、コア産業は工場の自動化とトレーサビリティで +3.5%、製品検査は食品・医薬の包装ラインの更新で +3%。サービスの契約が積み上がり、価格は物価に Spinnaker の値決めが上乗せされて年 +3.8%(製品検査・食品小売は +3.4%)。売上は 81 億ドル(研究室 45・コア産業 24・製品検査 8・食品小売 3 億ドル)、GAAP の営業利益は 27.0 億ドル(33.4%)、純利益は 20.5 億ドル。GAAP の営業利益率は 27.8% から 33.4% へ(会社の「年 100bp の改善」の約 55% の達成)。純負債は EBITDA の 1.1 倍で 30 億ドルまで増え、純利息は 1.7 億ドル。買収は小さなものを年 0.6 億ドルほどで、10 年の正味の還元は 150 億ドル。
- 研究室(天びん・分析・バイオ製造機器と保守):数量 31.2(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 145(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 45 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場 実質 年 +3.2%(2025 年の 280 億ドルから 384 億ドル)・シェア 8.1%(今 7.9%)・価格 年 +3.8%(指数 145)
- コア産業(産業計量・プロセス分析・自動化と保守):数量 16.5(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 145(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 24 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 実質 年 +3.2%(2025 年の 190 億ドルから 260 億ドル)・シェア 6.3%(今 6.2%)・価格 年 +3.8%(指数 145)
- 製品検査(金属検出・X 線・重量選別・外観検査):数量 5.9(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 140(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので物価よりやや低く年 +3.0%)→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 実質 年 +2.8%(2025 年の 55 億ドルから 72 億ドル)・シェア 8.2%(今 8.0%)・価格 年 +3.4%(指数 140)
- 食品小売(量り売りスケール・ラベル):数量 2.3(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 140(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので年 +3.0%)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +1.2%(2025 年の 25 億ドルから 28 億ドル)・シェア 8.2%(今 8.0%)・価格 年 +3.4%(指数 140)
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 79.0%(帳簿の自己資本が 2025 年末 -0.2 億ドル・2026 年 6 月末 +0.1 億ドルとほぼゼロで帳簿の ROE が使えないので、事業の ROE を ROIC から出した値:ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−19%))× 業界並みの純負債÷自己資本 0.4、ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債+リース・年金など借入に近いもの 8 億ドル)。100% を上限とし、のれん(約 10 億ドル)は除かない)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 43.5%(堀は普通:精密計量・分析の据え付け台数とサービス(売上の約 4 分の 1)は切り替えにくく利益率も高いが、世界シェア 7 割超の独占ではなく、中国の国産化・関税・研究室の投資の循環にさらされ、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 年 2.0% × シェアの上昇 × 価格 年 3.0%(物価 3.5% にやや届かない)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.7 倍 に対し、90% の 20.4 倍に置いた(消耗しない需要とサービスの収入で質は高いが、実験室・工場の設備投資の循環と中国の国産化に振れる、業種共通の物差しどおり)。時価総額 = 純利益 20.5 億ドル × 20.4 倍 = 418.8 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:自動化・バイオ・半導体の波に乗り、シェアを広げる。会社の枠組みの上側。12%(堀が深く価格を決める力がある会社なので、楽観を同領域の他社の 10% より少し厚く)。
やや楽観 24% やや楽観:自動化と中国・新興国の工業化で数量が伸び、利益率は 31% 台 利益 18 億ドル · PER 19.2 倍 · 株価時価総額 1,621 ドル335 億ドル
数量は研究室 +2.7%・コア産業 +2.7%・製品検査 +2.5%・食品小売 +1%、価格は +3.6%(製品検査・小売は +3.2%)。中国・新興国の工業化とサービスの積み上げが主な源泉で、買収は年 0.5 億ドル規模。売上は 74 億ドル(研究室 41・コア産業 22・製品検査 8・食品小売 3 億ドル)、GAAP の営業利益は 23.2 億ドル(31.4%)、純利益は 17.5 億ドル。GAAP の営業利益率は 31.4% へ。純利息は 1.6 億ドル、10 年の正味の還元は 135 億ドル。
- 研究室(天びん・分析・バイオ製造機器と保守):数量 28.9(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 142(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 41 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 実質 年 +2.6%(2025 年の 280 億ドルから 362 億ドル)・シェア 8.0%(今 7.9%)・価格 年 +3.6%(指数 142)
- コア産業(産業計量・プロセス分析・自動化と保守):数量 15.3(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 142(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 22 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 実質 年 +2.6%(2025 年の 190 億ドルから 246 億ドル)・シェア 6.2%(今 6.2%)・価格 年 +3.6%(指数 142)
- 製品検査(金属検出・X 線・重量選別・外観検査):数量 5.6(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 137(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので物価よりやや低く年 +3.0%)→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 実質 年 +2.4%(2025 年の 55 億ドルから 70 億ドル)・シェア 8.1%(今 8.0%)・価格 年 +3.2%(指数 137)
- 食品小売(量り売りスケール・ラベル):数量 2.2(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 137(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので年 +3.0%)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +1.0%(2025 年の 25 億ドルから 28 億ドル)・シェア 8.0%(今 8.0%)・価格 年 +3.2%(指数 137)
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 73.0%(帳簿の自己資本が 2025 年末 -0.2 億ドル・2026 年 6 月末 +0.1 億ドルとほぼゼロで帳簿の ROE が使えないので、事業の ROE を ROIC から出した値:ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−19%))× 業界並みの純負債÷自己資本 0.4、ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債+リース・年金など借入に近いもの 8 億ドル)。100% を上限とし、のれん(約 10 億ドル)は除かない)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 40.5%(堀は普通:精密計量・分析の据え付け台数とサービス(売上の約 4 分の 1)は切り替えにくく利益率も高いが、世界シェア 7 割超の独占ではなく、中国の国産化・関税・研究室の投資の循環にさらされ、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 年 1.75% × シェア横ばい × 価格 年 3.0%)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.5 倍 に対し、85% の 19.1 倍に置いた(消耗しない需要とサービスの収入で質は高いが、実験室・工場の設備投資の循環と中国の国産化に振れる、業種共通の物差しどおり)。時価総額 = 純利益 17.5 億ドル × 19.1 倍 = 335.1 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:市場並みを少し上回る。24%。
中立 36% 中立:数量は市場並みの年 2%、価格は物価並み、GAAP 利益率は 30% 台 利益 16 億ドル · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 1,347 ドル279 億ドル
市場の実質 年 2%(バイオ・半導体は +3% 台、食品・化学・一般産業は +1% 台の平均)でシェアは横ばい、価格は物価並みの +3.5%(製品検査・食品小売は競争があり +3.0%)。会社の長期の枠組み(売上 6% 前後・年 100bp の利益率改善)より控えめで、売上は年 5.4%。売上は 68 億ドル(研究室 38・コア産業 20・製品検査 7・食品小売 3 億ドル)、GAAP の営業利益は 20.6 億ドル(30.1%)、純利益は 15.5 億ドル。GAAP の営業利益率は 27.8% から 30.1% へ(年 0.23 ポイント。償却とリストラを費用に残す)。純利息は借り換え後の 5.75% で 1.4 億ドル、税率 19%。10 年の正味の還元は 124 億ドル(純利益の合計 約 121 億ドル、純負債の増加 10 億ドル、小さな買収 4 億ドル、株式報酬の分を差し引き)。
- 研究室(天びん・分析・バイオ製造機器と保守):数量 27.0(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 38 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 実質 年 +2.0%(2025 年の 280 億ドルから 341 億ドル)・シェア 7.9%(今 7.9%)・価格 年 +3.5%(指数 141)
- コア産業(産業計量・プロセス分析・自動化と保守):数量 14.3(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 20 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 実質 年 +2.0%(2025 年の 190 億ドルから 232 億ドル)・シェア 6.2%(今 6.2%)・価格 年 +3.5%(指数 141)
- 製品検査(金属検出・X 線・重量選別・外観検査):数量 5.4(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので物価よりやや低く年 +3.0%)→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 実質 年 +2.0%(2025 年の 55 億ドルから 67 億ドル)・シェア 8.0%(今 8.0%)・価格 年 +3.0%(指数 134)
- 食品小売(量り売りスケール・ラベル):数量 2.1(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので年 +3.0%)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +0.5%(2025 年の 25 億ドルから 26 億ドル)・シェア 8.0%(今 8.0%)・価格 年 +3.0%(指数 134)
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 71.0%(帳簿の自己資本が 2025 年末 -0.2 億ドル・2026 年 6 月末 +0.1 億ドルとほぼゼロで帳簿の ROE が使えないので、事業の ROE を ROIC から出した値:ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−19%))× 業界並みの純負債÷自己資本 0.4、ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債+リース・年金など借入に近いもの 8 億ドル)。100% を上限とし、のれん(約 10 億ドル)は除かない)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 39.5%(堀は普通:精密計量・分析の据え付け台数とサービス(売上の約 4 分の 1)は切り替えにくく利益率も高いが、世界シェア 7 割超の独占ではなく、中国の国産化・関税・研究室の投資の循環にさらされ、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 年 1.5% × シェア横ばい × 価格 年 3.0%)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.5 倍 に対し、80% の 18.0 倍に置いた(消耗しない需要とサービスの収入で質は高いが、実験室・工場の設備投資の循環と中国の国産化に振れる、業種共通の物差しどおり)。時価総額 = 純利益 15.5 億ドル × 18.0 倍 = 278.5 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:市場の実質 年 2%、価格は物価並みで、利益率は年 0.2 ポイントずつ改善。36%。
やや悲観 18% やや悲観:中国の国産化と製品検査の競争でシェアを落とし、価格も物価に届かない 利益 12 億ドル · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 991.69 ドル205 億ドル
中国の現地メーカーが中価格帯の天びん・産業計量・製品検査に広がり、ザルトリウス・ミネベアインテック・サーモフィッシャーとの競争も強まって、数量はシェアの低下で実質 +1%、価格は +3.0%(製品検査・小売は +2.5%)。売上は 59 億ドル(研究室 33・コア産業 17・製品検査 6・食品小売 2 億ドル)、GAAP の営業利益は 16.3 億ドル(27.6%)、純利益は 12.3 億ドル。GAAP の営業利益率は 27.6% で横ばいに近い。純利息は 1.2 億ドル、10 年の正味の還元は 105 億ドル。
- 研究室(天びん・分析・バイオ製造機器と保守):数量 24.5(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 33 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 実質 年 +1.8%(2025 年の 280 億ドルから 335 億ドル)・シェア 7.3%(今 7.9%)・価格 年 +3.0%(指数 134)
- コア産業(産業計量・プロセス分析・自動化と保守):数量 12.9(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 134(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 17 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 実質 年 +1.8%(2025 年の 190 億ドルから 227 億ドル)・シェア 5.7%(今 6.2%)・価格 年 +3.0%(指数 134)
- 製品検査(金属検出・X 線・重量選別・外観検査):数量 4.9(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので物価よりやや低く年 +3.0%)→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 実質 年 +1.8%(2025 年の 55 億ドルから 66 億ドル)・シェア 7.4%(今 8.0%)・価格 年 +2.5%(指数 128)
- 食品小売(量り売りスケール・ラベル):数量 1.9(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので年 +3.0%)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +0.5%(2025 年の 25 億ドルから 26 億ドル)・シェア 7.2%(今 8.0%)・価格 年 +2.5%(指数 128)
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 64.0%(帳簿の自己資本が 2025 年末 -0.2 億ドル・2026 年 6 月末 +0.1 億ドルとほぼゼロで帳簿の ROE が使えないので、事業の ROE を ROIC から出した値:ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−19%))× 業界並みの純負債÷自己資本 0.4、ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債+リース・年金など借入に近いもの 8 億ドル)。100% を上限とし、のれん(約 10 億ドル)は除かない)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 36.0%(堀は普通:精密計量・分析の据え付け台数とサービス(売上の約 4 分の 1)は切り替えにくく利益率も高いが、世界シェア 7 割超の独占ではなく、中国の国産化・関税・研究室の投資の循環にさらされ、強い堀(2/3)とは見ない)。g は 4.0%(上限の 4% で止める。内訳の目安:市場の実質 年 1.0% × シェアの低下 × 価格 年 3.0%)。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.2 倍 に対し、75% の 16.7 倍に置いた(消耗しない需要とサービスの収入で質は高いが、実験室・工場の設備投資の循環と中国の国産化に振れる、業種共通の物差しどおり)。時価総額 = 純利益 12.3 億ドル × 16.7 倍 = 205.0 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:競合と中国の国産化でシェアと価格をじわじわ削られる。18%。
悲観 10% 悲観:構造的に負ける(中国・新興国の国産化、競合の価格攻勢、自動化の波に乗れない) 利益 8 億ドル · PER 19.5 倍 · 株価時価総額 745.46 ドル154 億ドル
構造的に負ける。中国・新興国の現地メーカーが低価格で攻め、産業計量とサービスも置き換えられる。製品検査は石田・サーモフィッシャー・アンリツに価格で押され、食品小売は量り売りの縮小で減る。研究室は製薬の効率化で消耗の少ない装置が主流になる。数量は研究室 横ばい・コア産業 -0.5%・製品検査 -1%・食品小売 -2%、価格は +2.0〜2.5%。売上は 49 億ドル(研究室 28・コア産業 14・製品検査 5・食品小売 2 億ドル)、GAAP の営業利益は 10.6 億ドル(21.5%)、純利益は 7.9 億ドル。GAAP の営業利益率は 21.5% まで下がる。のれんの減損は純利益に入れていない。純利息は 0.9 億ドル、10 年の正味の還元は 81 億ドル。 10 年の純利益の累計は約 82 億ドル。2025 年の 8.7 億ドルから 2035 年の 7.9 億ドルへゆっくり下がる道筋の足し算(年 −1% 前後)。
- 研究室(天びん・分析・バイオ製造機器と保守):数量 22.2(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 28 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 実質 年 +1.0%(2025 年の 280 億ドルから 309 億ドル)・シェア 7.2%(今 7.9%)・価格 年 +2.5%(指数 128)
- コア産業(産業計量・プロセス分析・自動化と保守):数量 11.1(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 128(価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5%)→ 売上 14 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 実質 年 +1.0%(2025 年の 190 億ドルから 210 億ドル)・シェア 5.3%(今 6.2%)・価格 年 +2.5%(指数 128)
- 製品検査(金属検出・X 線・重量選別・外観検査):数量 4.0(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 122(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので物価よりやや低く年 +3.0%)→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 年 +1.0%(2025 年の 55 億ドルから 61 億ドル)・シェア 6.6%(今 8.0%)・価格 年 +2.0%(指数 122)
- 食品小売(量り売りスケール・ラベル):数量 1.6(実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア)× 価格 122(価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので年 +3.0%)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 実質 年 +0.0%(2025 年の 25 億ドルから 25 億ドル)・シェア 6.5%(今 8.0%)・価格 年 +2.0%(指数 122)
倍率:式どおり:式の ROE 47%(帳簿の自己資本は 2025 年末 -0.2 億ドル・2026 年 6 月末 +0.1 億ドルとほぼゼロで帳簿の ROE が使えないので ROIC から直した。ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債+リース・年金など借入に近いもの 8 億ドル)= 35%、ROE = ROIC +(ROIC − 借入金利 5.75%×(1−19%))× 業界並みの純負債÷自己資本 0.4 = 47%。ROIC が帳簿の ROE より高く出る場合は帳簿の ROE を使う決まりだが、ここでは帳簿の ROE が意味のある値にならない。のれん 約 10 億ドルは除かず、買収で伸びる分の資本として残している)・g 3.00%(市場の実質 年 0% × 価格 年 3.0%(シェア低下で数量は増えない))・k 8.0%。(1 − g/ROE) ÷ (k − g) = 18.72 倍は来年の利益に対する倍率なので、その年の利益には ×(1+g) で 19.28 倍(0.5 倍刻みで 19.5 倍)。純利益は GAAP(株式報酬・買収の償却・リストラは費用)で、償却は戻していない。純負債は利息として純利益に入っているので、時価総額は純利益 × 倍率。10 年目の伸びは年 10% 以下なので 2 段階は不要。
確率:構造的に優良でなくなる展開。事業が一本足でなく(地域も業種も分散)、確率は 10% に抑えた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
研究室(天びん・分析・バイオ製造機器と保守)
製薬・バイオ・化学・半導体・大学の研究と品質管理に使う天びん・ピペット・滴定・pH 計・熱分析・自動化学・プロセス分析と、その保守・校正。
| 数量実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5% | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 22.2 | 100 | 22 | 7 |
| 10 年後 中立 | 27.0 | 141 | 38 | 13 |
取り方:2025 年の売上の約 55%(9 か月の製品別の構成。残りの月も同じとみた)で 22.15 億ドル。事業別の営業利益は開示が無いので、全社の調整後営業利益 11.9 億ドル(29.6%)を、研究室 32%・コア産業 29%・製品検査 26%・食品小売 18% に配った推定。市場は天びん・ピペット・滴定・pH・熱分析・自動化学・バイオ製造機器・保守の届く範囲で約 280 億ドル(担当の推定、出典なし)、シェア 7.9%。価格は 2026 年の実績が +2〜3% 台、物価 3.5% 並みを中立とした。競合は ザルトリウス・島津製作所・A&D・オハウス・サーモフィッシャー・アジレント・ウォーターズ。
コア産業(産業計量・プロセス分析・自動化と保守)
工場・物流のロードセル・計量端末・トラックスケール・自動化ラインの計量と、プロセス分析、その保守。
| 数量実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100)。物価 3.5% 並みで年 +3.5% | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 11.7 | 100 | 12 | 3 |
| 10 年後 中立 | 14.3 | 141 | 20 | 6 |
取り方:産業 40%(推定 16.1 億ドル)から製品検査を引いた 11.7 億ドル(担当の推定。コア産業と製品検査の内訳は開示が無い)。営業利益率 29%(推定)。市場は産業計量・プロセス分析・自動化端末・保守で約 190 億ドル(推定)、シェア 6.2%。第 2 四半期はコア産業の自動化が +4% で、価格は +3.5%(物価並み)。競合はミネベアインテック・ザルトリウス・中国の地元メーカー。
製品検査(金属検出・X 線・重量選別・外観検査)
食品・医薬・日用品の包装ラインに据える金属検出・X 線・チェックウェイガー・外観検査と、その保守。
| 数量実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので物価よりやや低く年 +3.0% | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.4 | 100 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5.4 | 134 | 7 | 2 |
取り方:産業の中の製品検査で 4.4 億ドル(担当の推定。売上の約 11%)、営業利益率 26%(推定。コア産業より低い)。市場は金属検出・X 線・重量選別・外観検査で約 55 億ドル(推定)、シェア 8.0%。第 2 四半期は +1% と弱い。競合はサーモフィッシャー・石田・アンリツ。価格は競争があり、物価より 0.5 ポイント低い年 +3.0% とした。
食品小売(量り売りスケール・ラベル)
スーパー・食品小売の量り売りスケールとラベル機、その保守。
| 数量実質の市場規模(2025 年価格の億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100)。競争があるので年 +3.0% | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.0 | 100 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.1 | 134 | 3 | 1 |
取り方:2025 年の売上の約 5%(9 か月で 1.52 億ドル)で 2.0 億ドル、営業利益率 18%(推定)。市場は約 25 億ドル(推定)、シェア 8%。店舗数の伸びが弱く、2025 年の 9 か月は現地通貨で -2%。競合はビゼルバ・ディジ・CAS。価格は +3.0%。
リスクと懸念
自社株買いを高い倍率で続ける
年 8 億ドル(時価総額の 2.4%)の自社株買いを PER 38 倍で行っている。本質価値より高い値で買えば、残る株主の価値を薄める。借入を増やして買い増せば、景気後退時の余力が減る。自己資本は既にゼロ近辺。倍率が下がる局面では、買い付けの価格が下がるぶん還元の効果は大きくなる。
製薬・半導体の設備投資の循環
研究室とコア産業の需要は、製薬・バイオの研究開発費と半導体・電池の工場投資に連動する。2023〜24 年のように在庫調整・予算の凍結が起きれば、機器の発注は先送りされる。サービスが売上の約 4 分の 1 あるので、落ち込みは機器にとどまる。
中国の国産化と米中の分断
中国はアジア他の中核で、第 2 四半期は有機的に +9% と戻った。政府調達の国産優先と、地元の天びん・産業計量メーカーの台頭、関税・輸出規制が重なれば、中価格帯の機器とサービスから置き換えられる。中国の売上は 1 割台後半と推定され、置き換えが進めば全社の利益に 1 割前後の影響が出る。
関税と一回限りの還付
2026 年上半期は IEEPA 関税の還付 0.52 億ドルが利益に入り、顧客への還付 0.28 億ドルが売上を減らした。関税の枠組みが戻れば、製造・調達の費用が上がる。筋書きには一回限りの還付を入れていない。一回限りの利益を、会社の稼ぐ力と取り違えないことが大切である。
製品検査・食品小売の競争
製品検査(第 2 四半期 +1%)は石田・サーモフィッシャー・アンリツと競り、食品小売は店舗数の頭打ちで縮んでいる。価格が物価に届かない、シェアを落とす、といった展開が続けば、産業の伸びが全体を引き下げる。製品検査と食品小売を合わせた売上は全体の約 16% で、利益率も低めである。
有機的な伸びが会社の枠組みに届かない
会社の長期の枠組みは売上 6% 前後・年 100bp の利益率改善だが、2023〜25 年の有機的な伸びは 0〜3%。第 2 四半期に有機的 +4%、通期 +3〜4% で、枠組みの達成は毎年は難しい。達成できない年は EPS の伸びが自社株買いに頼る。
実験の自動化・AI による製品の置き換え
実験室の自動化・クラウド化で、人が使う天びんやピペットの台数が減る、または機器が安価な標準品になる可能性がある。逆に自動化の部品として使われれば追い風だが、ロボット・ソフトの会社に価格決定力が移れば、利益率が下がる。
今後の分かれ目
- 研究室の有機的な伸びが 2 年続けて 5% を超え、製薬の国内回帰の注文が積み上がったら
- 楽観とやや楽観の確率を 5〜10 ポイント上げる。10 年の中立の自然増が 2% から 3% へ、純利益は約 1 割増える。それでも PER は利益ベースの上限の内側(18〜20 倍)で、今の値段には届かない。
- 製薬・半導体の設備投資が止まり、機器の受注が 2 四半期続けて減ったら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。サービスが支えるので純利益の減少は 1〜2 割にとどまるが、倍率も縮むので時価総額は 3〜4 割下がる。
- 中国の国産化が政府調達で加速し、アジア他の売上が 2 期続けて前年を下回ったら
- 10 年のやや悲観・悲観の確率を 5 ポイント上げる。中国は売上の 1 割台後半で、サービスの契約が残るので、利益の減少は 1 割前後。
- 自社株買いの価格が今より 3 割以上下がり、同じ金額で買える株数が増えたら
- 1 株あたりの価値の伸びが大きく上がる。会社全体の価値は変わらないが、残る株主への還元の質が良くなる。
- 関税が大幅に引き上げられ、製造・調達の費用が上がったら
- 営業利益率が 1〜2 ポイント下がる。価格に転嫁できればほぼ中立だが、2026 年の還付のような一回限りの利益は消える。
- 会社が大型の買収(年間売上 10 億ドル超)に動いたら
- のれんが増えて ROE の式が変わる。買収額と、買収した事業の利益率・成長が既存の事業を上回るかを見て、確率を動かす。
見ておくもの
- 研究室・コア産業・製品検査・食品小売の有機的な伸び(四半期ごと)と、サービスの伸び
- 中国・アジア他の有機的な伸びと、地元メーカーのシェア
- 製薬・半導体・電池の設備投資と、研究室の機器の注文
- GAAP の営業利益率(年 100bp の改善の達成度)と価格の上げ幅
- 自社株買いの額と買い付け価格、純負債÷EBITDA
- 関税の枠組み(IEEPA の還付後)と為替
- ザルトリウス・ミネベアインテック・サーモフィッシャーの競争動向
倍率と資本コストの決め方
今の PER 38 倍・時価総額 335 億ドルを見る前に、4 つの事業の市場(実質の伸び)× シェア × 価格で 10 年後の売上と利益率を積み、税率 19%・借り換え金利 5.75% を入れて純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k)、g は市場の実質 年 1.5% + 価格 3.0% の 4.5% を上限の 4% で止める)の 7.5〜9 割。自己資本がほぼゼロで帳簿の ROE が使えないので、事業の ROE は ROIC から出した値(100% 以下、中立 71%)で、10 年の中立は上限 22.5 倍の 8 割の 18.0 倍。k は基本 8.0% に quality 0 で 8.0%。業界ノートの倍率には寄せていない。結果は今の PER 38 倍の約 4 割で、10 年後の時価総額は中立で今の約 0.8 倍、割り引くと今の約 6 割。最後に今の値段と比べた。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β 1.12 × 5%。基本 8.0% に quality 0 を足して 8.0%。研究室・工場の設備投資にはやや敏感だが、売上の約 4 分の 1 がサービスで、値段を自分で決める力が強い。純負債は時価総額の 4% で借金の上乗せは無い。個別のリスク(関税・中国の国産化・自社株買いの価格)は k に足さず、筋書きと確率で表した。事業は傾いていないので上乗せ 0。
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読んだ資料
- Mettler-Toledo 2026 年第 2 四半期決算(売上・GAAP・貸借対照表・自社株買い・見通し)
- Mettler-Toledo 2025 年第 4 四半期・通期決算
- Mettler-Toledo 2025 年第 3 四半期 決算説明資料(製品別・地域別の構成)
- Mettler-Toledo 2026 年第 2 四半期 決算(二次情報:製品別の伸び・サービス・中国)
- Mettler-Toledo 第 4 四半期決算と 2026 年のフリーキャッシュフロー・自社株買いの見通し(二次情報)
- 研究室天びんの市場と競合(二次情報)
- Mettler-Toledo 発行株数・時価総額(TipRanks・ROIC.ai)