結論
ゾエティスは、犬猫の皮膚薬(アポクエル・サイトポイント)と寄生虫薬(シンパリカ類)で稼ぐ、世界最大の動物薬会社である。2025 年は売上 94.7 億ドル、営業利益率 38%、GAAP の純利益 26.7 億ドルで、上位 5 製品で売上の約 42% を占める。ところが 2026 年は 5 月と 8 月の 2 度、通期の見通しを下げた。米国のペット向け売上は 4〜6 月期に前年比 11% 減り、皮膚薬は 16% 減った。エランコ(Elanco)のゼンレリア・ベフレナ・クレデリオ カトロの攻勢、飼い主の価格への敏感さ、診察数の減少が重なり、リブレラは安全性の疑念で細り、セレニアとコンベニアには後発品が入った。通期の GAAP 純利益は 23.3〜23.8 億ドルの見通し(年初は 28 億ドル台)。
今の時価総額は 332 億ドルで、2025 年の GAAP 純利益の 12.4 倍と、過去 13 期の期末の最低(20.9 倍)を大きく下回る。この分析は、数量(治療を受ける犬猫の頭数)× 価格を製品群ごとに積み上げ、皮膚薬のシェアが 7 割強から 10 年で 5 割強へ下がる中立を置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜9 割に置いた(moat は normal)。10 年の中立は、正当化 PER 22.5 倍(k 8.0%、g 4%)の 7 割強の 16.2 倍。今の GAAP の PER は 12.4 倍で、この水準を下回る。確率で重ねた 10 年の本質価値は今の時価総額より約 22% 上。結論は「やや割安」。ただし価値の約 5 割は楽観・やや楽観(合計 23%)が占め、皮膚薬の競争と OA 痛み薬の安全性で外れた場合の下値も深い。分かれ目は、アポクエル・サイトポイントがエランコにどこまで奪われるか、リブレラの安全性の決着、ペットの診察数の戻りである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。ペットの数と、動物にかける飼い主の支出は物価とともに長く伸びる事業で、獣医師とのつながりと動物専用の研究開発という堀は長く続く。ただし堀は「広がっている」とは言えない。皮膚薬と寄生虫薬は、ライバルが同じ作用の薬を出してくる領域で、価格を決める力は 2026 年に試されている。
オーナー利益は GAAP の純利益 26.7 億ドルで、株式報酬を費用に入れた値。会社の「調整後」(28.5 億ドル)は買収の償却などを足し戻すので使わなかった。成長に要る投資は小さく(税引き後営業利益の増加分 ÷ 28%)、利益の大半を株主に返せる。式の ROE は帳簿の値(自己資本が小さいので高く出る)を使い、倍率は RONIC で薄めて置き、g は市場の伸び(実質 +2%)× シェアの増減 × 価格で出した(ROE から出していない)。
資本配分は 2025 年の自社株買い 32 億ドルが高値圏で、借金を増やして買ったことが傷になった。安全域は、今の時価総額 332 億ドルが中立の 10 年後の時価総額(579 億ドル)の約 57% にとどまること。ただし皮膚薬の競争と OA 痛み薬の安全性は確率で重く見ており、確信度は中程度である(予測できる事業だが、足元の落ち込みの底が見えない)。安全域を測る。正当化 PER は 22.5 倍(g 4%、k 8.0%、moat は normal)。10 年の中立は正当化 PER の 7 割強の 16.2 倍に置いた。今の PER 12.4 倍はこれより低く、安全域がある。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 22% 上。結論は「やや割安」。
何で稼ぐ会社か
2025 年の売上 94.7 億ドルは、ペット 65.9 億ドル(犬猫 62.8・馬 3.0)と家畜 27.6 億ドル(牛 14.9・豚 4.7・鶏 4.3・魚 2.9)。地域別では米国 51.0 億ドル(ペット 42.2・家畜 8.8)、海外 42.5 億ドル(ペット 23.7・家畜 18.9)である。
稼ぎの中心は 4 つの柱。①皮膚薬:アポクエル(経口の JAK 阻害薬)とサイトポイント(抗 IL-31 抗体の注射)で、米国約 11 億・海外 6.1 億ドル、計約 17 億ドル。犬のアトピー性皮膚炎・かゆみの標準治療で、営業利益率は全社より高い。②寄生虫薬:シンパリカとシンパリカ・トリオで 2025 年に約 15 億ドル(前年比 +12%)。ノミ・ダニ・フィラリア・内部寄生虫を防ぐ月 1 回の錠剤で、メルクのブラベクト、ベーリンガーインゲルハイムのネクスガード、エランコのクレデリオと争う。③OA 痛み薬:リブレラ(犬)・ソレンシア(猫)の月 1 回の抗体注射で、米国の売上は 2025 年に 2.4 億ドル(前年比 −12%)まで縮んだ(世界は推定 4.5 億ドル)。④その他のペット(レボリューション・ストロングホールド・診断機器・セレニア・コンベニア・ワクチン・馬など)約 30 億ドル。
家畜は牛・鶏の薬・ワクチン、豚・魚で、2026 年上半期は牛 +18% で伸びている(新世界ラセンウジバエ用の Dectomax-CA1 が FDA の条件付き承認)。経営陣は「12 以上の大型候補(腎臓病・がん・心臓・不安・肥満など)」を掲げる。3 か月持続の OA 痛み抗体レニビア(犬)・ポルテラ(猫)はカナダ・EU で発売、英国で承認され、米国は未承認(確認できず)。
優良さと弱いところ
堀は広い。獣医師との長い関係、動物に特化した研究開発と製造・販売網、犬猫の皮膚・寄生虫・痛みの領域で複数の「ブランドが処方を決める」薬を持ち、営業利益率は 2014 年の 20% から 2025 年の 38% まで上がった。動物薬は人の薬ほど薬価の交渉・保険者の力に縛られず、飼い主の自己負担が価格を決める。2025 年の ROIC は約 28%(税引き後営業利益 ÷(自己資本+純負債))で、帳簿の ROE 80% は自社株買いで自己資本が縮んだ見かけであり、この分析は ROIC 経由で直した。
弱点は 2026 年に表に出た。第 1 に、犬の皮膚薬は少数の製品に偏っており、エランコのゼンレリア(JAK 阻害薬。ワクチン併用の箱入り警告つきで当初は採用が遅れた)とベフレナ(サイトポイントの競合)が競い、エランコ自身が JAK のシェアを前年比 9 ポイント上げたと言う(会社発表・未検証)。第 2 に、リブレラは FDA の書簡とラベル更新、関節の破壊との因果の疑い(専門家委員会)で信頼が揺らいだ。第 3 に、セレニア・コンベニアの後発品、飼い主の価格への敏感さ。強みは、それでも営業利益率 36% 前後の収益力と、海外ペット(2026 年 4〜6 月期 +8%)・家畜(+12%)が伸びていることである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の動物薬の市場は約 450 億ドル(推定)で、ゾエティスが約 2 割。ペットの頭数・飼い主の支出・診察の数が需要を決め、コロナ禍の飼育ブームの後、2023 年以降は診察数が減り、飼い主が価格に敏感になった。ペット保険の普及と、高単価の治療(抗体医薬・長期持続型)への移行が長期の伸びを支える。
皮膚薬は犬のアトピー性皮膚炎が中心で、世界の市場は 23 億ドル前後(2023 年、推定)。参入が増えている:エランコのゼンレリア(JAK 阻害薬)とベフレナ(抗 IL-31 抗体)、アポクエルの化合物特許(データベースによって 2030 年前後とされるが未確認)の後の後発品。寄生虫薬は少数寡占(ゾエティス・メルク・ベーリンガー・エランコ)で、エランコのクレデリオ カトロが米国のクリニックの半数超に入った(会社発表)。OA 痛み薬は抗体(リブレラ・ソレンシア)が先行したが、安全性の疑念と社会の目で縮み、3 か月持続型(レニビア・ポルテラ)が次の勝負になる。
家畜は世界の食肉需要・牛の頭数・鶏の生産に連動し、年 +2〜3% で緩やかに伸びる。物価 3.5% の世界でも、ペット薬の価格は飼い主の自己負担で決まるため、競争が強い間は物価に追いつかない。業界ノートの動物薬の置き方(数量 年 +3%・価格 年 +3%・売上 年 +6%)に対して、この分析の中立は売上 年 +3.9%(2025〜2035 年)と低い。皮膚薬のシェア低下と価格の鈍化を、2026 年の 2 度の下方修正を受けて織り込んだため。
資本政策と M&A
資本配分は強いが、2025 年は攻めすぎた。2025 年の配当 8.9 億ドル・自社株買い 32 億ドルに対し、フリーキャッシュフロー 22.8 億ドルで、純負債は 48 億ドルから 70 億ドルに増えた(純負債 ÷ EBITDA は約 1.7 倍、自己資本比率 22%)。年次の株数は 444 百万株から直近の 418 百万株へ約 6% 減った。その直後の 2026 年に利益が崩れ、高い株価で行った自社株買いは価値を壊した。
買収は小粒(2026 年 7 月に遠隔放射線診断の VitalRADS)。経営陣は「事業開発を進める」と述べており、エランコの攻勢を受けて大型の買収に動く可能性は排除できない。この分析は、成立していない買収は織り込まず、大型の買収は置かなかった。借り換えで利払いは年 1 億ドル前後増える(推定)。株式報酬は年 1 億ドル前後(推定、GAAP の費用に入る)。この分析の還元は、純利益から成長に要る投資の自己資本負担分を引いた正味で、10 年で中立 263 億ドルと置いた。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 11.9 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(21.4 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
皮膚薬は、動物病院の処方の習慣が強く、アポクエルは 10 年以上の安全性の記録とサイトポイントの併用で守りやすい。エランコのゼンレリアはワクチン併用の箱入り警告があり、ベフレナも当初の評価は割れている。ゾエティスは次世代の皮膚薬と長期持続の製剤で入れ替える力がある。診察数と飼い主の価格への敏感さは、物価が落ち着き賃金が上がれば戻る。
寄生虫薬は犬猫でシンパリカ・トリオの伸びが続き(2025 年 +12%)、海外の飼い主が増えている。OA 痛み薬は 3 か月持続のレニビア・ポルテラが欧州・カナダ・英国で発売され、米国で承認されれば、月 1 回から 3 か月 1 回への切り替えが起き、リブレラの傷を上書きできる。猫の OA は市場が空白に近い。
家畜は牛・鶏が 2026 年上半期に +14% と伸び、新世界ラセンウジバエ用の薬は新しい需要になる。12 以上の大型候補(腎臓病・がん・心臓・肥満)が 1〜2 つ当たれば、10 年で売上は 181 億ドル(2025 年の 1.9 倍)、営業利益率は 41%。費用は規模で薄まり、ROIC は 26% 前後を保つ。
慎重な見方
2026 年の 2 度の下方修正は、一時の不況ではなく構造の変化の表れである。米国のペット向けは 4〜6 月期に 11% 減り、皮膚薬が 16% 減った。エランコのゼンレリア・ベフレナが価格で攻め、エランコ自身が JAK のシェアを 9 ポイント上げたと言う。アポクエルの特許の後には後発品が入り、サイトポイントはベフレナと同じ作用を競う。寄生虫薬ではクレデリオ カトロが 1 錠で 4 種を防ぎ、クリニックの半数超に入った。
リブレラは FDA の書簡・ラベル更新・専門家委員会の関節破壊の疑いで信頼を失い、レニビア・ポルテラも安全性を訴える団体の声にさらされる。セレニアとコンベニアの後発品は、成熟した製品の価格が一度崩れると戻らないことを示した。飼い主は価格に敏感で、診察数が減れば処方も減る。
2025 年は借金を増やして自社株買い 32 億ドルを行ったため、利益が 3 割落ちると配当・自社株買いの余地が小さくなり、純負債 ÷ EBITDA が上がる。10 年で皮膚薬のシェアが 7 割強から 4 割、あるいは 2 割台に落ち、価格を下げても戻らなければ、営業利益率は 38% から 30% 前後(悪ければ 15%)に下がる。
どちらに重みを置いたか
数量の伸び(ペット・家畜の頭数と治療の浸透)は強気の見方が強い。シェアと価格は、2026 年の実績が慎重な見方を支持した。中立は皮膚薬のシェア低下と価格の鈍化を織り込んだ売上 年 +3.9% で置き、10 年の確率は楽観 6%・やや楽観 17%・中立 33%・やや悲観 28%・悲観 16% と悲観側を 44% に厚くした(今は上場以来の最安の倍率だが、倍率の低さは確率に入れない)。倍率は正当化 PER の 7〜9 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 22.5 倍(k 8.0%)の 7 割強の 16.2 倍。今の PER に寄せていない。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 22% 上。結論は「やや割安」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 122.06 ドル510 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 55.83 ドル233 億ドル)。 今の値に割り戻すと 94.54 ドル395 億ドル、今との差 +18.7%、 期待の年率 +8.4%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 248.28 ドル1,037 億ドル | 80.56 ドル336 億ドル | +313.0% | +15.2% | 19.73 ドル82 億ドル |
| やや楽観 | 17% | 200.02 ドル835 億ドル | 72.46 ドル303 億ドル | +242.2% | +13.1% | 46.32 ドル193 億ドル |
| 中立 | 33% | 138.67 ドル579 億ドル | 63.07 ドル263 億ドル | +153.4% | +9.7% | 66.58 ドル278 億ドル |
| やや悲観 | 28% | 85.46 ドル357 億ドル | 48.80 ドル204 億ドル | +68.6% | +5.4% | 37.59 ドル157 億ドル |
| 悲観 | 16% | 21.65 ドル90 億ドル | 26.27 ドル110 億ドル | −39.8% | −5.0% | 7.67 ドル32 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 122.06 ドル510 億ドル | 55.83 ドル233 億ドル | +123.4% | +8.4% | 177.89 ドル743 億ドル |
今の株価時価総額 79.62 ドル332 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:次世代の皮膚薬と 3 か月型で堀を保ち、新薬も当たる 利益 54 億ドル · PER 19.2 倍 · 株価時価総額 248.28 ドル1,037 億ドル
2035 年、皮膚薬は市場 810 万頭 × シェア 66%(535 万頭)、価格 537 ドルで 28.7 億ドル。次世代の皮膚薬(長期持続・新しい作用)でエランコの追撃をかわす。寄生虫薬は 2,500 万頭・121 ドルで 30.2 億ドル、OA 痛み薬は 3 か月持続のレニビア・ポルテラが米国でも承認され、犬猫の治療 220 万頭・759 ドルで 16.7 億ドルに伸びる。その他のペットは 12 以上の大型候補(腎臓病・がん・心臓・肥満)のうち 1〜2 つが当たり 58.8 億ドル、家畜は 46.1 億ドル。 売上は 180.6 億ドル(2025 年の 1.91 倍)、営業利益 74.8 億ドル(利益率 41%)、純利益 54.0 億ドル。2026〜2035 年の還元の合計 336.4 億ドル。倍率は 正当化 PER 22.6 倍の 8.5 割、19.2 倍に置く。皮膚薬を守りリブレラも当たる筋書きで g も上限近くなので上限の 8.5 割。
- 皮膚薬(アポクエル・アポクエル チュアブル・サイトポイント):数量 5.4(年間に治療を受ける犬の頭数(百万頭。ゾエティスの製品)= 治療を受ける犬の市場 600 万頭 × ゾエティスのシェア約 72%)× 価格 537(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 29 億ドル・営業利益 20 億ドル。次世代で守る
- 寄生虫薬(シンパリカ・シンパリカ トリオ):数量 25.0(年間に投与を受ける犬猫の頭数(百万頭相当))× 価格 121(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 30 億ドル・営業利益 19 億ドル。拡大
- OA 痛み薬(リブレラ・ソレンシア・レニビア・ポルテラ):数量 2.2(年間に治療を受ける犬猫の頭数(百万頭))× 価格 759(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 9 億ドル。3 か月型が普及
- その他のペット・受託製造(レボリューション・ストロングホールド・診断・セレニア・コンベニア・ワクチン・馬ほか):数量 84.0(年間の治療・検査・購入の対象頭数(百万頭相当。推定))× 価格 70(1 頭あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 59 億ドル・営業利益 32 億ドル。新薬が当たる
- 家畜(牛・豚・鶏・魚):数量 320(処置を受ける家畜の頭数(牛換算・百万頭。推定))× 価格 14(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 46 億ドル・営業利益 24 億ドル。牛・鶏の伸び
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 75.0%(この筋書きの純利益 54.0 ÷ 自己資本 72.0 億ドル。自社株買いと配当で自己資本が小さく ROE は高く出る)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 41.5%(堀は標準(1/2):動物病院との関係と製品群の幅は強いが、皮膚薬は競合(エランコ)と後発品、OA 痛み薬は安全性の問題で削られ、高い利益率が 10 年続くとは言い切れない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.6 倍 に対し、85% の 19.2 倍に置いた(楽観は式の値の 8.5 割に置く。皮膚薬の底打ちと新薬の成功を見ても、皮膚薬のシェアが 10 年で 7 割強から 5 割強に下がり、価格の伸びも鈍る置き方が残る)。時価総額 = 純利益 54.0 億ドル × 19.2 倍 = 1036.8 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:次世代の皮膚薬と 3 か月型の OA 薬が当たり、新薬も 1〜2 つ成功する、すべてが重なる展開。過去 10 年で営業利益率が 20% から 38% に上がった実績はあるが、競争の強さを踏まえ 6%。
やや楽観 17% やや楽観:競合に譲りつつ、新製品と海外で伸びる 利益 46 億ドル · PER 18.1 倍 · 株価時価総額 200.02 ドル835 億ドル
2035 年、皮膚薬は 495 万頭(シェア 61%)・価格 505 ドルで 25.0 億ドル。寄生虫薬は 2,360 万頭・117 ドルで 27.6 億ドル、OA 痛み薬は 160 万頭・735 ドルで 11.8 億ドル(レニビア・ポルテラが一部の市場で採用される)、その他のペットは 80 百万頭相当・67.5 ドルで 54.0 億ドル、家畜は 44.0 億ドル。競合に譲る部分はあるが、新製品と海外の伸びで補い、営業利益率は 39%。 売上は 162.4 億ドル(2025 年の 1.72 倍)、営業利益 64.0 億ドル(利益率 39%)、純利益 46.1 億ドル。2026〜2035 年の還元の合計 302.6 億ドル。倍率は 正当化 PER 22.6 倍の 8 割、18.1 倍に置く。g が上限に近いので上限の 8 割。
- 皮膚薬(アポクエル・アポクエル チュアブル・サイトポイント):数量 5.0(年間に治療を受ける犬の頭数(百万頭。ゾエティスの製品)= 治療を受ける犬の市場 600 万頭 × ゾエティスのシェア約 72%)× 価格 505(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 25 億ドル・営業利益 17 億ドル。緩やかな縮小
- 寄生虫薬(シンパリカ・シンパリカ トリオ):数量 23.6(年間に投与を受ける犬猫の頭数(百万頭相当))× 価格 117(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 28 億ドル・営業利益 17 億ドル。拡大
- OA 痛み薬(リブレラ・ソレンシア・レニビア・ポルテラ):数量 1.6(年間に治療を受ける犬猫の頭数(百万頭))× 価格 735(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 6 億ドル。拡大
- その他のペット・受託製造(レボリューション・ストロングホールド・診断・セレニア・コンベニア・ワクチン・馬ほか):数量 80.0(年間の治療・検査・購入の対象頭数(百万頭相当。推定))× 価格 68(1 頭あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 54 億ドル・営業利益 30 億ドル。診断・新薬
- 家畜(牛・豚・鶏・魚):数量 312(処置を受ける家畜の頭数(牛換算・百万頭。推定))× 価格 14(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 44 億ドル・営業利益 22 億ドル。伸びが続く
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 74.2%(この筋書きの純利益 46.1 ÷ 自己資本 62.1 億ドル。自社株買いと配当で自己資本が小さく ROE は高く出る)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 41.1%(堀は標準(1/2):動物病院との関係と製品群の幅は強いが、皮膚薬は競合(エランコ)と後発品、OA 痛み薬は安全性の問題で削られ、高い利益率が 10 年続くとは言い切れない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.6 倍 に対し、80% の 18.1 倍に置いた(やや楽観は式の値の 8 割に置く。皮膚薬のシェアが 10 年で 7 割強から 5 割強に下がり、価格の伸びも鈍るので上限までは取らない)。時価総額 = 純利益 46.1 億ドル × 18.1 倍 = 835.3 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:競合に譲りながら、新製品と海外・家畜で伸び続ける。17%。
中立 33% 中立:シェアは下がるが、市場の伸びで売上は年 +4% 弱 利益 36 億ドル · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 138.67 ドル579 億ドル
2035 年、皮膚薬は市場 800 万頭 × シェア 52.5%(420 万頭)・価格 450 ドルで 18.9 億ドル(2025 年より 10% 増)。エランコと後発品に約 2 割のシェアを譲る。寄生虫薬は 2,100 万頭・108 ドルで 22.7 億ドル(市場の伸びと同じ程度)、OA 痛み薬は 120 万頭・690 ドルで 8.3 億ドル(3 か月型が海外で定着)、その他のペットは 76 百万頭相当・63 ドルで 47.9 億ドル、家畜は 300 百万頭相当・13.8 ドルで 41.4 億ドル。営業利益率は 2025 年の 38% から 36% へ下がる。 売上は 139.1 億ドル(2025 年の 1.47 倍)、営業利益 49.7 億ドル(利益率 36%)、純利益 35.7 億ドル。2026〜2035 年の還元の合計 263.4 億ドル。倍率は 正当化 PER 22.5 倍の 7 割強、16.2 倍に置く。中立は上限の 7 割強。g は 3.0% と上限(4%)より低く、皮膚薬の競合とリブレラの安全性で伸びが鈍る。
- 皮膚薬(アポクエル・アポクエル チュアブル・サイトポイント):数量 4.2(年間に治療を受ける犬の頭数(百万頭。ゾエティスの製品)= 治療を受ける犬の市場 600 万頭 × ゾエティスのシェア約 72%)× 価格 450(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 12 億ドル。シェア低下
- 寄生虫薬(シンパリカ・シンパリカ トリオ):数量 21.0(年間に投与を受ける犬猫の頭数(百万頭相当))× 価格 108(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 23 億ドル・営業利益 13 億ドル。競合と同率で伸びる
- OA 痛み薬(リブレラ・ソレンシア・レニビア・ポルテラ):数量 1.2(年間に治療を受ける犬猫の頭数(百万頭))× 価格 690(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 4 億ドル。倍増
- その他のペット・受託製造(レボリューション・ストロングホールド・診断・セレニア・コンベニア・ワクチン・馬ほか):数量 76.0(年間の治療・検査・購入の対象頭数(百万頭相当。推定))× 価格 63(1 頭あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 48 億ドル・営業利益 26 億ドル。後発品が重い
- 家畜(牛・豚・鶏・魚):数量 300(処置を受ける家畜の頭数(牛換算・百万頭。推定))× 価格 14(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 41 億ドル・営業利益 21 億ドル。緩やかに伸びる
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 72.7%(この筋書きの純利益 35.7 ÷ 自己資本 49.1 億ドル。自社株買いと配当で自己資本が小さく ROE は高く出る)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 40.4%(堀は標準(1/2):動物病院との関係と製品群の幅は強いが、皮膚薬は競合(エランコ)と後発品、OA 痛み薬は安全性の問題で削られ、高い利益率が 10 年続くとは言い切れない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 22.5 倍 に対し、72% の 16.2 倍に置いた(中立は式の値の 7 割強に置く。皮膚薬のシェアが 10 年で 7 割強から 5 割強に下がり、価格の伸びも鈍るので、ROE が高くても式の値の上は取らない)。時価総額 = 純利益 35.7 億ドル × 16.2 倍 = 579.1 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:皮膚薬のシェアを 2 割強譲り、価格が物価より低く伸び、他は市場並みに伸びる。33%。
やや悲観 28% やや悲観:皮膚薬が半減し、営業利益率が 3 割を割る 利益 23 億ドル · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 85.46 ドル357 億ドル
2035 年、皮膚薬は 320 万頭(シェア 40%)・価格 420 ドルで 13.4 億ドル(2025 年の 78%)。エランコの JAK・抗体と、アポクエルの後発品が価格を下げる。寄生虫薬は 1,950 万頭・100 ドルで横ばい、OA 痛み薬は 85 万頭・560 ドルで縮み、その他のペットは 68 百万頭相当・56 ドル、家畜は 35.7 億ドル。売上は 2025 年より 18% 多い程度の 111.5 億ドルで、営業利益率は 29% に下がり、もう優良とは言えない。 売上は 111.5 億ドル(2025 年の 1.18 倍)、営業利益 32.1 億ドル(利益率 29%)、純利益 22.6 億ドル。2026〜2035 年の還元の合計 203.8 億ドル。倍率は 正当化 PER 20.5 倍の 7.7 割、15.8 倍に置く。g が 1.0% まで下がり利益の質が落ちるので上限の 7.7 割。 10 年の純利益の累計は約 244 億ドル。2025 年の 26.7 億ドルから 2035 年の 22.6 億ドルへゆっくり下がる道筋の足し算(年 −2% 前後)。
- 皮膚薬(アポクエル・アポクエル チュアブル・サイトポイント):数量 3.2(年間に治療を受ける犬の頭数(百万頭。ゾエティスの製品)= 治療を受ける犬の市場 600 万頭 × ゾエティスのシェア約 72%)× 価格 420(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 8 億ドル。大きく縮む
- 寄生虫薬(シンパリカ・シンパリカ トリオ):数量 19.5(年間に投与を受ける犬猫の頭数(百万頭相当))× 価格 100(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 11 億ドル。横ばい
- OA 痛み薬(リブレラ・ソレンシア・レニビア・ポルテラ):数量 0.9(年間に治療を受ける犬猫の頭数(百万頭))× 価格 560(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。縮小
- その他のペット・受託製造(レボリューション・ストロングホールド・診断・セレニア・コンベニア・ワクチン・馬ほか):数量 68.0(年間の治療・検査・購入の対象頭数(百万頭相当。推定))× 価格 56(1 頭あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 38 億ドル・営業利益 19 億ドル。単価が上がらない
- 家畜(牛・豚・鶏・魚):数量 288(処置を受ける家畜の頭数(牛換算・百万頭。推定))× 価格 12(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 36 億ドル・営業利益 16 億ドル。伸び悩む
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 36.7%(この筋書きの純利益 22.6 ÷ 自己資本 61.5 億ドル。自社株買いと配当で自己資本が小さく ROE は高く出る)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 22.4%(堀は標準(1/2):動物病院との関係と製品群の幅は強いが、皮膚薬は競合(エランコ)と後発品、OA 痛み薬は安全性の問題で削られ、高い利益率が 10 年続くとは言い切れない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 20.5 倍 に対し、77% の 15.8 倍に置いた(やや悲観は式の値の 7.7 割に置く。g が 1.0% まで下がり利益の質が落ちる)。時価総額 = 純利益 22.6 億ドル × 15.8 倍 = 356.9 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:皮膚薬が半減し、寄生虫薬が横ばいになり、営業利益率が 3 割を割る展開。28%。2026 年の実績から、これは十分ありうると見た。
悲観 16% 悲観:皮膚薬と寄生虫薬が構造的に崩れ、もう優良ではない 利益 7 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 21.65 ドル90 億ドル
2035 年、構造的に負ける:皮膚薬は 190 万頭・330 ドルで 6.3 億ドル(2025 年の 37%)まで縮み、アポクエルの後発品とエランコ・新規参入に取られる。寄生虫薬は 1,400 万頭・82 ドルで値崩れ、OA 痛み薬はリブレラの安全性の問題が長引きほぼ消え、その他のペットは 56 百万頭相当・45 ドル、家畜は 28.4 億ドル。営業利益率は 16% に下がり、穴を埋めようとした買収も価値を壊す。還元の合計が最終年の純利益 × 10 年より大きく見えるのは、前半の利益が高かったため(途中の純利益から払う)。 売上は 72.8 億ドル(2025 年の 0.77 倍)、営業利益 11.6 億ドル(利益率 16%)、純利益 6.5 億ドル。2026〜2035 年の還元の合計 109.7 億ドル。倍率は、構造的に負けた筋書きで長期の g を −0.5% に下げ、正当化 PER 16.1 倍の 8.6 割、13.9 倍に置く。 10 年の純利益の累計は約 133 億ドル。2025 年の 26.7 億ドルから 2035 年の 6.5 億ドルへ、毎年同じ割合で下がる道筋の足し算(年 −13% 前後)。前半の利益が高いぶん、累計は最終年の 10 倍を大きく上回る。
- 皮膚薬(アポクエル・アポクエル チュアブル・サイトポイント):数量 1.9(年間に治療を受ける犬の頭数(百万頭。ゾエティスの製品)= 治療を受ける犬の市場 600 万頭 × ゾエティスのシェア約 72%)× 価格 330(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 6 億ドル・営業利益 3 億ドル。主力が崩れる
- 寄生虫薬(シンパリカ・シンパリカ トリオ):数量 14.0(年間に投与を受ける犬猫の頭数(百万頭相当))× 価格 82(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 6 億ドル。値崩れ
- OA 痛み薬(リブレラ・ソレンシア・レニビア・ポルテラ):数量 0.4(年間に治療を受ける犬猫の頭数(百万頭))× 価格 440(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。ほぼ消える
- その他のペット・受託製造(レボリューション・ストロングホールド・診断・セレニア・コンベニア・ワクチン・馬ほか):数量 56.0(年間の治療・検査・購入の対象頭数(百万頭相当。推定))× 価格 45(1 頭あたり年間の純売上(ドル。推定))→ 売上 25 億ドル・営業利益 11 億ドル。需要が痩せる
- 家畜(牛・豚・鶏・魚):数量 270(処置を受ける家畜の頭数(牛換算・百万頭。推定))× 価格 11(1 頭あたり年間の純売上(ドル))→ 売上 28 億ドル・営業利益 12 億ドル。痩せる
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 14.5%(この筋書きの純利益 6.5 ÷ 自己資本 44.8 億ドル。自社株買いと配当で自己資本が小さく ROE は高く出る)は先で薄れ、RONIC = k 8.00%(基本 8.0% + quality +0.0%)+ 1/2 ×(ROE − k)= 11.3%(堀は標準(1/2):動物病院との関係と製品群の幅は強いが、皮膚薬は競合(エランコ)と後発品、OA 痛み薬は安全性の問題で削られ、高い利益率が 10 年続くとは言い切れない)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.1 倍 に対し、86% の 13.9 倍に置いた(悲観は構造的に負ける筋書きで、g を −0.5% に下げ、式の値の 8.6 割に置く)。時価総額 = 純利益 6.5 億ドル × 13.9 倍 = 90.4 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:皮膚薬・寄生虫薬が構造的に崩れ、リブレラの問題が OA 痛み薬全体に広がる。重大な悪化を 16% と厚く置いた(悲観は今の時価総額の約 3 割以下)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
皮膚薬(アポクエル・アポクエル チュアブル・サイトポイント)
犬のアトピー性皮膚炎とかゆみの標準治療。米国約 11 億・海外 6.1 億ドル(2025 年)。エランコの追い上げを受ける。
| 数量年間に治療を受ける犬の頭数(百万頭。ゾエティスの製品)= 治療を受ける犬の市場 600 万頭 × ゾエティスのシェア約 72% | 価格1 頭あたり年間の純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.3 | 398 | 17 | 12 |
| 10 年後 中立 | 4.2 | 450 | 19 | 12 |
取り方:2025 年の主要皮膚薬の売上 約 17.1 億ドル(米国 11.0+海外 6.08。算術・推定)を、治療を受ける犬 約 430 万頭(市場 600 万頭 × シェア 72%。推定)で割った 1 頭あたり 398 ドル。貢献利益率は約 70%(原価・直接の販売費を引き、研究開発と全社費用は adjust に置く)。価格は物価(10 年 1.41 倍)に追いつかない:エランコのゼンレリア・ベフレナの攻勢、飼い主の価格への敏感さ、化合物特許(2030 年前後・未確認)の後の後発品で、中立は 3 年 1.03 倍・10 年 1.13 倍とする。
寄生虫薬(シンパリカ・シンパリカ トリオ)
犬猫のノミ・ダニ・フィラリア・内部寄生虫を防ぐ月 1 回の錠剤。2025 年に約 15 億ドル(+12%)。
| 数量年間に投与を受ける犬猫の頭数(百万頭相当) | 価格1 頭あたり年間の純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 17.6 | 85 | 15 | 9 |
| 10 年後 中立 | 21.0 | 108 | 23 | 13 |
取り方:2025 年のシンパリカ類 約 15.0 億ドルを、年間投与の犬猫 約 1,760 万頭相当(推定)で割った 1 頭あたり約 85 ドル(小売約 180 ドルから流通・割引を引いた推定)。貢献利益率は約 62%。価格は 3 年 1.07 倍・10 年 1.27 倍(中立)と物価より低い:メルク(ブラベクト)・ベーリンガー(ネクスガード)・エランコ(クレデリオ カトロ)が値引き・販促で競い、飼い主の価格への敏感さが強い。数量は市場の伸び(犬猫の頭数+予防の浸透)年 +3% に対し、シェアを少し失う前提。
OA 痛み薬(リブレラ・ソレンシア・レニビア・ポルテラ)
犬猫の変形性関節症の痛みを抑える抗体注射。リブレラが安全性の疑念で縮み、3 か月持続型が次。
| 数量年間に治療を受ける犬猫の頭数(百万頭) | 価格1 頭あたり年間の純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.8 | 542 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 690 | 8 | 4 |
取り方:2025 年の OA 痛み薬は米国 2.38 億ドル(−12%)、世界は推定約 4.5 億ドル(海外は米国と同規模と置いた推定)。治療を受ける犬猫 約 83 万頭で割った 1 頭あたり約 542 ドル。貢献利益率は約 55%。価格は 3 年 0.99 倍・10 年 1.27 倍(中立)と物価より低い:安全性の懸念で処方が減り、3 か月持続型で 1 回あたりの価格が上がっても年間の治療費は競争で抑えられる。
その他のペット・受託製造(レボリューション・ストロングホールド・診断・セレニア・コンベニア・ワクチン・馬ほか)
ペット向けの上記以外の薬・診断機器・ワクチンと馬、受託製造などの寄せ集め。
| 数量年間の治療・検査・購入の対象頭数(百万頭相当。推定) | 価格1 頭あたり年間の純売上(ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 51 | 30 | 17 |
| 10 年後 中立 | 76.0 | 63 | 48 | 26 |
取り方:2025 年のペット売上 65.9 億ドルから上の 3 製品群(皮膚 17.1・寄生虫 15.0・OA 4.5)を引いた約 29.3 億ドルと、受託製造などのその他約 1.2 億ドルの合計 30.4 億ドル。開示が無いため、対象 約 6,000 万頭相当 × 1 頭 約 51 ドルと置いた推定。貢献利益率は約 55%。価格は 3 年 1.03 倍・10 年 1.24 倍(中立)と物価より低い:セレニア・コンベニアの後発品、診断機器の競合。
家畜(牛・豚・鶏・魚)
牛・鶏の薬・ワクチン・栄養剤・診断、豚・魚。2025 年は医薬品の飼料添加剤の売却で減った。
| 数量処置を受ける家畜の頭数(牛換算・百万頭。推定) | 価格1 頭あたり年間の純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 276 | 10 | 28 | 14 |
| 10 年後 中立 | 300 | 14 | 41 | 21 |
取り方:2025 年の家畜売上 27.64 億ドル(牛 14.92・豚 4.66・鶏 4.32・魚 2.86)を、処置頭数 約 2.76 億頭相当(牛換算の推定)で割った 1 頭あたり約 10 ドル。貢献利益率は約 50%。価格は 3 年 1.10 倍・10 年 1.38 倍(中立)で、ほぼ物価並み。数量は世界の食肉需要・牛の頭数の伸び年 +1%(牛・鶏中心)で、2026 年は上半期 +14%(牛 +18%)と強いが、中立では緩やかに置く。
リスクと懸念
皮膚薬のシェアと価格
皮膚薬は売上の約 18% で、営業利益率も高い。エランコのゼンレリア(JAK)・ベフレナ(抗体)が攻め、4〜6 月期は米国で 16% 減。アポクエルの化合物特許の後(2030 年前後・未確認)は後発品も入る。中立では 10 年でシェア 72% → 52.5%、悲観では 190 万頭(2025 年の 4 割以下)まで縮む。
OA 痛み薬(リブレラ)の安全性
リブレラは FDA の書簡とラベル更新、専門家委員会が関節破壊との因果を強く疑う判断を出した。安全性を訴える団体はレニビア・ポルテラの承認の停止も求める。米国の売上は 2025 年に 12% 減。訴訟・規制の強化が起きれば、抗体の OA 痛み薬全体の採用が止まる。
ペット支出の弱さと価格の敏感さ
コロナ禍の飼育ブームの後、診察数が減り、飼い主が価格に敏感になった(米国のペットは 4〜6 月期に 11% 減)。景気が悪くなれば先送りされる処置が増える。価格が物価に追いつかない前提を置いたが、さらに値下げが必要になれば、営業利益率 38% は守れない。
成熟製品の後発品
セレニア・コンベニアは後発品で 2026 年に押し下げられた。アポクエルの特許、サイトポイント・シンパリカのような主力も、時間をかけて同じ道をたどる。価格が一度下がると戻らず、その他のペット(30 億ドル)の利益率が下がる。
借金で自社株買いをした資本配分
2025 年は配当 8.9 億・自社株買い 32 億ドルに対しフリーキャッシュフロー 22.8 億ドルで、純負債が 48 → 70 億ドルに増えた。利益が崩れると還元の余地が減り、借り換え(約 5.75%)で利払いも増える。買収で穴を埋めようとして価値を壊す危険もある。
家畜の景気と疾病・規制
家畜は売上の 29%。2026 年上半期は牛・鶏で +14% だが、新世界ラセンウジバエ関連は一時的な需要の可能性があり、豚・魚は伸び悩む。家畜の疾病・貿易の制限・関税が数量を動かす。家畜は利益率が相対的に低く(貢献利益率 50% 前後)、伸びても全社の利益率を押し下げる。
今後の分かれ目
- 2026 年 10〜12 月期・2027 年 1〜3 月期に米国の皮膚薬の減少が 1 桁台に収まる
- 中立の皮膚薬のシェア低下が緩い方向に傾き、楽観・やや楽観の確率を上げる。2028 年の皮膚薬を 15.6 億ドルから 16.7 億ドル前後へ上げて見る。
- エランコの JAK・ベフレナのシェアの上昇が続き、アポクエルの割引の拡大が決算で確認される
- やや悲観・悲観の確率を上げる。皮膚薬の治療頭数を 2035 年に 420 万頭から 320 万頭へ下げて見る。
- レニビア・ポルテラが米国で承認され、リブレラの安全性の訴訟・規制が収まる
- OA 痛み薬を 2035 年に 8.3 億ドルから 11.8 億ドル(やや楽観の水準)へ上げて見る。
- FDA がリブレラのラベルに箱入り警告や、使用の制限を加える
- OA 痛み薬はほぼ消える前提(悲観)に近づき、リブレラの傷が皮膚薬や他の抗体の評判にも波及するので、悲観の確率を上げる。
- 経営陣が大型の買収(100 億ドル超)を発表する
- 成立後の自己資本が増え ROIC が下がる。倍率の式の ROE を 48% から下げて見直し、純負債 ÷ EBITDA が 3 倍を超えれば確率を悲観側へ寄せる。
- アポクエルの米国の後発品が 2030 年より前に承認される
- 皮膚薬の価格を 10 年で 1.13 倍から 1.0 倍以下へ下げて見る。皮膚薬の利益率を 62% から 55% 前後へ。
見ておくもの
- 米国ペット向けの皮膚薬・寄生虫薬の四半期の前年比と、エランコの JAK・抗体のシェア(エランコの決算と業界調査)
- リブレラ・ソレンシアの米国の売上と FDA のラベル、レニビア・ポルテラの米国承認の時期
- 米国の診察数(動物病院の来院数)と飼い主の価格への敏感さ、ペット保険の普及率
- アポクエル・サイトポイントの特許と後発品の承認時期(FDA の動物薬の承認)
- 純負債 ÷ EBITDA、自社株買いの金額、大型買収の発表
- 家畜(牛・鶏)の成長率と新世界ラセンウジバエ関連の需要
倍率と資本コストの決め方
今の PER 12.4 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC は k に、事業の ROE が k を超える分の残る割合を足した値。moat は normal)の 7〜9 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 22.5 倍(g 4%、k 8.0%)の 7 割強の 16.2 倍。今の値段には寄せていない。総合は今の時価総額より約 22% 上。結論は「やや割安」。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β 0.79 × 5%。基本 8.0% に quality 0 を足して 8.0%。前は β 0.79 で k 6.95% としていたが、v2 では β を使わず 4 つの目安で見る。ペット・家畜の薬の需要は景気に鈍いが、皮膚薬のシェアと価格が競合で崩れ始め、上位製品に依存する点を寿命と値決めで相殺した。純負債は時価総額の 2 割で借金の上乗せは無い。個別のリスク(皮膚薬の競争・リブレラの安全性・買収・ペット支出の弱さ)は k に足さず、確率と悲観の深さで表した。事業は黒字で存続の疑いも無いので、上乗せ(extra)は使わない。k 8.0% なので g は 4% 以下(k − g ≥ 3.5%)。