結論
メルクは、免疫がん薬キイトルーダ(2025 年 317 億ドル、売上の約半分)を柱に、ワクチン(ガーダシル・キャプバキシブ)、動物薬、新製品群(肺動脈性肺高血圧症のウィンレヴェア、腎がんのウェリレグ、COPD のオーチュベア、経口 PCSK9 阻害薬の Lipfendra)を持つ大手製薬である。2025 年は売上 649 億ドル、営業利益 235 億ドル(営業利益率 36%)、純利益 182 億ドル。2026 年の売上予想は 663〜673 億ドルで、シダラ・テルンズ買収の一時費用(合計 約 147 億ドル)で GAAP の利益は大きく凹む。
事業の質は高い。キイトルーダは営業利益率が 5 割を超え、ROE は 35%、粗利率は 8 割。ただしバリュー投資の観点では、持続の形が問題になる。米国の主要特許は 2028 年に切れ、メディケアの交渉価格も 2028 年から掛かる。皮下注のキイトルーダ Qlex への切り替えで守りに入るが、会社自身が「崖ではなく丘」と言うのは、穴の大きさを認めているからでもある。
数量 × 価格で 5 つの事業を積み上げると、10 年後の中立は売上 811 億ドル・純利益 203 億ドルで、利益はほぼ横ばい(名目)に終わる。倍率は利益ベースの正当化 PER(10 年の中立で 18.4 倍。g 4.0%・k 8.0%)の 7 割、12.9 倍に置いた。特許切れの谷は、この割合と確率に入れた。確率を重ねた本質価値は今の時価総額(3,659 億ドル)を約 4 割下回り、「割高」。優れた事業だが、穴埋めの成否で上下に振れる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。メルクは 10 年後も存在し、ワクチン・動物薬・新薬群で今より広い基盤を持つ可能性は高い。しかし今より強いかは分からない。キイトルーダ(利益の約 6 割)が 2028 年以降に静かに縮み、代わりの新薬群が営業利益率 4 割で売上 330 億ドル規模まで育つ前提が中立の筋書きである。
オーナー利益は大きい。2025 年のフリーキャッシュフロー 124 億ドルは純利益 182 億ドルの 7 割で、設備投資と運転資本が重い。ただし、買収の IPR&D 費用は経営が選んだ再投資で、毎年の費用として見るべきである。株主の手元に残る利益は、配当 82 億ドルと少しの自社株買いにほぼ限られる。
資本配分は規律的だが、買収の勝敗が結果を決める。シダラ・テルンズ・ベロナへの 260 億ドルは、キイトルーダへの依存を下げる点で理にかなうが、第 3 相の結果次第で価値が 2 倍にも半分にもなる。確信度は中程度で、事業(がん・ワクチン)は分かりやすいが、薬価政策と特許の穴で 10 年後の利益は予測しにくい。
安全域は薄い。今の PER 20 倍(2025 年の GAAP、買収費用が多い年)は、除外後の約 17 倍より高く、楽観の上振れが値段に入る。楽観の筋書きでも 10 年後の時価総額は今の約 1.2 倍にとどまり、悲観では今の 1 割ほどまで落ちる。
何で稼ぐ会社か
売上 649 億ドル(2025 年)の約 49% をキイトルーダが占める。PD-1 抗体で、肺がん・黒色腫・頭頸部がん・乳がん・腎がんなど 20 以上の適応を持ち、約 45 万人が年間治療を受けていると推計される(1 人あたりの実現価格は年 7 万ドル前後)。2025 年 9 月に FDA が承認した皮下注の Qlex は、2026 年 4〜6 月で 4.6 億ドル(IV と合わせて 83.7 億ドル、前年比 +5%)まで立ち上がり、静脈注射の特許切れを見据えた乗り換えが始まった。
ワクチンは約 95 億ドル(推定)。ガーダシル(HPV)は中国の需要急減で 2024 年の 86 億ドルから半分近くに落ち、2026 年は 4〜6 月 11.7 億ドルと下げ止まった。肺炎球菌のキャプバキシブ(4〜6 月 1.8 億ドル、+42%)とバクスニューバンスが次の柱になる。動物薬(4〜6 月 17.8 億ドル、+8%)はペット・家畜向けのブラボクトなど。年 6% ほどで安定して伸びる。
新製品群は 2025 年に約 30 億ドル(推定)だが急拡大中で、ウィンレヴェア(4〜6 月 5.9 億ドル、+75%)、ウェリレグ(2.7 億ドル、+67%)、2025 年 10 月に約 100 億ドルで買ったベロナのオーチュベア(2.0 億ドル)がその中心。2026 年に承認された経口 PCSK9 阻害薬 Lipfendra(エンリシチド)は高コレステロール血症の大市場に向かう。残りはジャヌビア・リンパーザ・レンビマ(提携収入)・ブリディオンなどの既存薬で、後発薬と薬価交渉で縮む(2025 年 約 144 億ドル、推定)。
優良さと弱いところ
堀は 3 層。第 1 は臨床データで、キイトルーダは肺がんの標準併用療法として 10 年以上の実績を積み、競合の PD-1(ブリストルのオプジーボ)に対して先発の地位を保ってきた。第 2 は販路と医師の習慣で、がん治療のプロトコルに組み込まれている。第 3 は切り替えの手間で、皮下注 Qlex(独自の酵素ベラヒアルロニダーゼ アルファを使う)は静脈注射の後発薬に対する盾になるが、酵素の権利でハロザイムと係争中という弱点がある。
資本効率は高い。ROE は 35% 前後、営業利益率は 36%(GAAP)。ただし ROE の高さは自社株買いで自己資本が小さいことの反映でもある。経営はロバート・デイビスで、規律ある買収(ベロナ、シダラ、テルンズ、2023 年のプロメテウスなど 50〜100 億ドル級)を続け、研究開発の生産性(ウィンレヴェア、Lipfendra、ウェリレグの承認)は証明されている。
弱点は 3 つ。第 1 に利益の約 6 割が 1 つの薬に集まること。第 2 に価格を決める力が弱まること(IRA・最恵国待遇・関税)。第 3 に買収の IPR&D 費用が毎年 20〜150 億ドル規模で利益を削ること。2023 年はプロメテウス買収で営業利益率が 5% まで落ちた。買収は穴埋めの代価であり、成功確率次第で価値を生むか壊すかが分かれる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
大手製薬は塊 B「特許切れに向かう既存の主力」に当たる。2025〜2030 年に米国で 2,300 億ドル超の売上が独占を失い、キイトルーダの米国主要特許は 2028 年、エリキュース・オプジーボも 2028 年。業界ノートの置き方では、低分子は特許切れ後 3 年で売上の 8〜9 割、バイオは 4〜6 割が失われる。キイトルーダはバイオ医薬だが、がんの抗体は後続品の品質要件が高く、先行する後続品の開発(サムスンバイオエピス・アムジェン・セルトリオン・インド勢)は 2028〜2029 年に出てくる見込みで、欧州の排他は 2031 年まで続く。
薬価の構造が変わる。メディケア交渉の第 3 弾(2028 年適用、パート B を初めて含む)は静脈注射のキイトルーダを含み、CMS は皮下注も同時に交渉対象とする規則案を出した。最恵国待遇の合意と関税 3 年猶予で、米国の純価格は名目で下がる前提を置く。メルクは「2030 年代半ばに新成長ドライバーの商業機会が 700 億ドル超」とするが、そのうち 2026 年末までに臨床的に確度づけできるのは約 350 億ドルとされ、残りは失敗もありうる。
競合は、がん領域ではブリストル・マイヤーズ スクイブ(オプジーボ)、ロシュ(テセントリク)、アストラゼネカ(イミフィンジ)。新薬では肺動脈性肺高血圧症でジョンソン・エンド・ジョンソンのオプスミット、心代謝で多数の PCSK9・リポ蛋白(a) 薬。ワクチンはファイザーとグラクソ・スミスクラインが同市場。分かれ目は、皮下注への乗り換え率、第 3 相の成功率、薬価交渉の実際の価格である。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、2025 年は配当 82 億ドル・自社株買い 51 億ドル(株数 −1.2%)。2026 年は 4〜6 月に四半期配当を引き上げたが、買収の支払いが先行して自社株買いは小さくなり、純負債は 2025 年末の 358 億ドルから 2026 年は 450 億ドル台へ増える見込み(純負債の時価総額比は 1 割前後)。
M&A は買い手として積極的で、2025 年 10 月にベロナ(COPD、約 100 億ドル)、11 月にシダラ(インフルエンザ予防薬 CD388、92 億ドル)、2026 年にテルンズ(BCR::ABL1 阻害薬、68 億ドル)を完了。2026 年だけで IPR&D の一時費用は約 147 億ドル。バイオ後続品事業の切り離し(提携先サムスンバイオエピス)、動物薬の買収(TARGAN)も続く。買われる側になる可能性は時価総額 3,660 億ドルで現実的でない。
今後は、キイトルーダの穴を毎年 100 億ドル級の買収で補うかが論点になる。割高で買えば価値を壊し、自社株買いを減らすぶん株主への還元の伸びが鈍る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
キイトルーダは 10 年後も消えない。米国の主要特許は 2028 年に切れても、2029 年末までの 2 つの特許を守れば、静脈注射の後続品は 2029〜2030 年まで遅れる。皮下注 Qlex は 2026 年に 4〜6 月 4.6 億ドルまで立ち上がり、後発薬に対する盾になる。CMS の規則案がどうなっても、皮下注は後続品が出るまでは別枠にもなりうる。
新製品群は本物である。ウィンレヴェアは前年比 +75%、ウェリレグは +67%、Lipfendra は高コレステロール血症の大市場に入る経口薬で、会社は心代謝の機会を約 150 億ドルとみる。トゥリソキバルト(潰瘍性大腸炎)・sac-TMT(子宮内膜がん)・イスラトラビル/レナカパビル(週 1 回の HIV)は第 3 相で成功し、シダラの CD388(インフルエンザ予防)とテルンズの MK-4208 も入る。会社が掲げる「2030 年代半ばに 700 億ドル超」の半分を実現するだけで、キイトルーダの穴は埋まる。
さらに動物薬は年 6% で伸び、ワクチンはキャプバキシブとバクスニューバンスで中国のガーダシルの落ち込みを埋め直す。営業利益率 36% の高い資本効率と配当の伸びで、10 年後の時価総額は 5,900 億ドルを超える。
慎重な見方
2028 年の特許切れとメディケアの交渉価格が同時に来る。キイトルーダの純価格は 2028 年に 1 割以上落ち、後続品が出れば 10 年後の売上は今の 3 分の 1 の 100 億ドル規模になる。Qlex は皮下注の酵素をめぐるハロザイムとの係争を抱え、CMS が皮下注も交渉対象に含めれば盾にならない。2026〜2027 年の数字が高く見えるのは、崖の直前だからである。
新薬は確率の問題である。第 3 相の成功率は平均 5〜6 割で、ウィンレヴェアにはヤンセンのオプスミットなど競合があり、経口 PCSK9 は他社の薬との価格競争になる。2026 年はトゥリソキバルトが SSc-ILD で失敗して中止された。会社は買収を重ねて穴を埋めようとし、2026 年だけで IPR&D 費用が約 147 億ドル、毎年の利益を削る。買収は 100 億ドル級でも、成功しなければ価値は残らない。
ガーダシルは中国で需要が急減し、2024 年の 86 億ドルから半分に落ちた。バイオ後続品、最恵国待遇、関税、低価格競争が重なると、ワクチンと動物薬が成長しても全体の利益は名目で横ばいにとどまる。今の PER 20 倍は、買収費用が多い年の利益で測った値で、穴埋めに成功する前提が入っている。
どちらに重みを置いたか
事業の質はリリー並みに高いが、利益の過半が 1 つの薬に乗り、その特許が 3 年以内に切れる点が確実で、強気の言い分より慎重な言い分が強い。強気が当たる確率(10 年 32%)は、新薬の成功を確率で割り引いたうえで、リリーよりやや低く置いた。慎重側は、悲観を 10 年 12%(皮下注の盾が崩れ、新薬群も育たない)に置き、やや悲観を 10 年 23% に厚くした。結論は「優れた事業だが、利益ベースの正当化 PER の 7 割で測ると値段は割高。穴埋めが成功しても安全域は薄い」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 100.47 ドル2,519 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 56.62 ドル1,420 億ドル)。 今の値に割り戻すと 85.07 ドル2,133 億ドル、今との差 −42.2%、 期待の年率 +0.6%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 177.18 ドル4,442 億ドル | 67.81 ドル1,700 億ドル | +66.4% | +5.2% | 24.50 ドル614 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 134.44 ドル3,370 億ドル | 63.82 ドル1,600 億ドル | +34.7% | +3.0% | 43.62 ドル1,093 億ドル |
| 中立 | 33% | 104.21 ドル2,613 億ドル | 57.84 ドル1,450 億ドル | +10.1% | +1.0% | 53.48 ドル1,341 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 72.05 ドル1,806 億ドル | 51.85 ドル1,300 億ドル | −15.9% | −1.7% | 28.50 ドル714 億ドル |
| 悲観 | 12% | 18.45 ドル463 億ドル | 39.89 ドル1,000 億ドル | −60.4% | −8.8% | 7.00 ドル176 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 100.47 ドル2,519 億ドル | 56.62 ドル1,420 億ドル | +6.7% | +0.6% | 157.09 ドル3,938 億ドル |
今の株価時価総額 147.24 ドル3,691 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:新薬群が 400 億ドル級に育ち、皮下注と特許の守りが効く 利益 303 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 177.18 ドル4,442 億ドル
2035 年、キイトルーダは Qlex への切り替えと 2029 年末の特許防衛で 168 億ドルを保つ(患者 42 万人、純価格は 2025 年比 −43%)。新製品群は 437 億ドルまで育つ。ウィンレヴェアが 100 億ドル級、Lipfendra などの心代謝が 150 億ドル、トゥリソキバルト・sac-TMT・CD388 が加わり、会社の「700 億ドルの機会」の約 6 割に当たる。ワクチンは 191 億ドル、動物薬は 160 億ドル。売上 1,025 億ドル(2025 年比 +58%)、営業利益 385 億ドル(営業利益率 38%)、純利益 303 億ドル。10 年間の還元は 1,700 億ドル。倍率は正当化 PER 18.3 倍の 8 割の 14.7 倍に置いた。
- キイトルーダ(皮下注 Qlex を含む):数量 42.0(治療を受ける患者数(万人))× 価格 40,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 168 億ドル・営業利益 94 億ドル。キイトルーダ
- ワクチン(ガーダシル・キャプバキシブ・バクスニューバンスほか):数量 7,200(接種回数(万回))× 価格 265(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 191 億ドル・営業利益 80 億ドル。ワクチン
- 動物薬:数量 38,000(投与・接種回数(万回))× 価格 42(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 160 億ドル・営業利益 51 億ドル。動物薬
- 新製品群(ウィンレヴェア・ウェリレグ・オーチュベア・Lipfendra・開発中の新薬):数量 190(治療を受ける患者数(万人))× 価格 23,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 437 億ドル・営業利益 184 億ドル。新製品群
- その他の既存医薬(ジャヌビア・リンパーザ・レンビマ・ブリディオンほか):数量 700(処方を受ける患者年数(万人))× 価格 1,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 70 億ドル・営業利益 27 億ドル。既存薬
倍率:正当化 PER は 18.3 倍(g 4.0%、RONIC 15.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 22.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.7 倍(8 割)に置いた。堀は普通:キイトルーダの 2028 年の崖が深く(皮下注への切り替えと買収で埋める前提)、崖の後の利益が新製品群の成否に左右されるので強い堀(2/3)とは見ない。崖を新製品群が埋める筋書き。上限の 8 割に置く。純利益は GAAP。
確率:新薬群が会社の目標の過半を達成する必要があり、10%。成功すれば優良度はむしろ上がる。
やや楽観 22% やや楽観:新薬群が 360 億ドルに育ち、穴をほぼ埋める 利益 243 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 134.44 ドル3,370 億ドル
キイトルーダは Qlex が後続品の影響を和らげ、139 億ドル(患者 38 万人、純価格 −48%)。新製品群は 360 億ドル、ワクチン 178 億ドル、動物薬 152 億ドルで、売上は 891 億ドル(2025 年比 +37%、年 +3.2%)、営業利益 312 億ドル、純利益 243 億ドル。2029 年の特許切れの谷を新薬で埋め、2030 年代に年 +4〜5% で伸びる。内訳は、ウィンレヴェアが 80 億ドル、心代謝の Lipfendra などが 110 億ドル、がん・免疫の新薬(sac-TMT・トゥリソキバルト・MK-4208)が 120 億ドル、ベロナ・シダラが 50 億ドル。買収は続くが、IPR&D 費用は営業利益の 1 割台に収まり、資本配分への信頼も保たれる。10 年間の還元は 1,600 億ドル。倍率は正当化 PER 18.5 倍の 7.5 割の 13.9 倍に置いた。
- キイトルーダ(皮下注 Qlex を含む):数量 38.0(治療を受ける患者数(万人))× 価格 36,500(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 139 億ドル・営業利益 74 億ドル。キイトルーダ
- ワクチン(ガーダシル・キャプバキシブ・バクスニューバンスほか):数量 6,900(接種回数(万回))× 価格 258(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 178 億ドル・営業利益 73 億ドル。ワクチン
- 動物薬:数量 37,000(投与・接種回数(万回))× 価格 41(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 152 億ドル・営業利益 47 億ドル。動物薬
- 新製品群(ウィンレヴェア・ウェリレグ・オーチュベア・Lipfendra・開発中の新薬):数量 160(治療を受ける患者数(万人))× 価格 22,500(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 360 億ドル・営業利益 148 億ドル。新製品群
- その他の既存医薬(ジャヌビア・リンパーザ・レンビマ・ブリディオンほか):数量 650(処方を受ける患者年数(万人))× 価格 960(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 62 億ドル・営業利益 22 億ドル。既存薬
倍率:正当化 PER は 18.5 倍(g 4.0%、RONIC 15.4%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 22.7% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 13.9 倍(7.5 割)に置いた。堀は普通:キイトルーダの 2028 年の崖が深く(皮下注への切り替えと買収で埋める前提)、崖の後の利益が新製品群の成否に左右されるので強い堀(2/3)とは見ない。上限の 7.5 割に置く。純利益は GAAP。
確率:新薬の成功率が計画の 6 割程度で、穴はほぼ埋まる筋書き。22%。
中立 33% 中立:特許切れの穴を新薬群が埋め、売上は 811 億ドル・利益は横ばい 利益 203 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 104.21 ドル2,613 億ドル
2035 年、キイトルーダは Qlex に切り替わった患者を守って 119 億ドル(患者 35 万人、純価格は 2025 年比 −52%:メディケア交渉・後続品・最恵国待遇)。新製品群は 330 億ドル(患者 150 万人、平均 2.2 万ドル:ウィンレヴェア 90 億、Lipfendra などの心代謝 100 億、免疫・がんの新薬 100 億、ベロナ・シダラ 40 億)。ワクチンは 163 億ドル、動物薬は 144 億ドル(年 +5.5%)、その他の既存薬は後発薬で 55 億ドル。売上 811 億ドル(2025 年比 +25%、年 +2.3%)、営業利益 265 億ドル(営業利益率 33%)、純利益 203 億ドル。10 年間の還元は 1,450 億ドル。価格が物価を下回るのは、キイトルーダの純価格の半減、新製品群の平均価格が低単価の経口薬で薄まること、既存薬の後発薬化によるもので、数量の伸びで補う筋書き。倍率は正当化 PER 18.4 倍の 7 割の 12.9 倍に置いた。
- キイトルーダ(皮下注 Qlex を含む):数量 35.0(治療を受ける患者数(万人))× 価格 34,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 119 億ドル・営業利益 60 億ドル。キイトルーダ
- ワクチン(ガーダシル・キャプバキシブ・バクスニューバンスほか):数量 6,500(接種回数(万回))× 価格 250(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 162 億ドル・営業利益 65 億ドル。ワクチン
- 動物薬:数量 36,000(投与・接種回数(万回))× 価格 40(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 144 億ドル・営業利益 45 億ドル。動物薬
- 新製品群(ウィンレヴェア・ウェリレグ・オーチュベア・Lipfendra・開発中の新薬):数量 150(治療を受ける患者数(万人))× 価格 22,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 330 億ドル・営業利益 132 億ドル。新製品群
- その他の既存医薬(ジャヌビア・リンパーザ・レンビマ・ブリディオンほか):数量 600(処方を受ける患者年数(万人))× 価格 920(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 55 億ドル・営業利益 19 億ドル。既存薬
倍率:正当化 PER は 18.4 倍(g 4.0%、RONIC 15.1%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 22.2% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 12.9 倍(7 割)に置いた。堀は普通:キイトルーダの 2028 年の崖が深く(皮下注への切り替えと買収で埋める前提)、崖の後の利益が新製品群の成否に左右されるので強い堀(2/3)とは見ない。中立は上限の 7 割に置く。純利益は GAAP。
確率:業界ノートの中立(失う売上の 6〜7 割を補う)に沿い、会社の「700 億ドルの機会」の約 4〜5 割を見込む。33%。
やや悲観 23% やや悲観:新薬群は 270 億ドルにとどまり、価格が崩れ続ける 利益 141 億ドル · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 72.05 ドル1,806 億ドル
キイトルーダは 2029〜2031 年の後続品で患者数 30 万人・純価格 −57% となり 90 億ドルに縮む。Qlex は酵素の特許係争で盾が弱い。新製品群は 269 億ドル(会社の機会の約 3 割)、ワクチンは 135 億ドル、動物薬は 136 億ドル。売上 680 億ドル(2025 年比 +5%、実質では 3 割の縮小)、営業利益 194 億ドル、純利益 141 億ドル。ウィンレヴェアはオプスミットなど競合で伸び悩み、経口 PCSK9 は低価格競争で想定の半分、トゥリソキバルトは競合の多い炎症性腸疾患で苦戦する。買収の失敗で資本効率も落ち、IPR&D の減損が続く。10 年間の還元は 1,300 億ドル。倍率は正当化 PER 18.3 倍の 7 割の 12.8 倍に置いた。
- キイトルーダ(皮下注 Qlex を含む):数量 30.0(治療を受ける患者数(万人))× 価格 30,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 90 億ドル・営業利益 43 億ドル。キイトルーダ
- ワクチン(ガーダシル・キャプバキシブ・バクスニューバンスほか):数量 5,800(接種回数(万回))× 価格 232(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 135 億ドル・営業利益 51 億ドル。ワクチン
- 動物薬:数量 35,000(投与・接種回数(万回))× 価格 39(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 136 億ドル・営業利益 41 億ドル。動物薬
- 新製品群(ウィンレヴェア・ウェリレグ・オーチュベア・Lipfendra・開発中の新薬):数量 125(治療を受ける患者数(万人))× 価格 21,500(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 269 億ドル・営業利益 97 億ドル。新製品群
- その他の既存医薬(ジャヌビア・リンパーザ・レンビマ・ブリディオンほか):数量 570(処方を受ける患者年数(万人))× 価格 880(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 17 億ドル。既存薬
倍率:正当化 PER は 18.3 倍(g 4.0%、RONIC 14.9%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 21.8% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 12.8 倍(7 割)に置いた。堀は普通:キイトルーダの 2028 年の崖が深く(皮下注への切り替えと買収で埋める前提)、崖の後の利益が新製品群の成否に左右されるので強い堀(2/3)とは見ない。皮下注への切り替えと新薬が埋めきれない筋書き。上限の 7 割に置く。純利益は GAAP。
確率:大手製薬の穴埋めはファイザーのようにうまくいかないことが多い。23%。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、キイトルーダの穴が埋まらない 利益 37 億ドル · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 18.45 ドル463 億ドル
後続品と薬価政策でキイトルーダは 43 億ドルまで縮み(患者 18 万人、純価格 −66%)、Qlex も後続品の皮下注に抜かれる。新薬群は第 3 相の失敗が続き 133 億ドル、ガーダシルは中国勢と単回接種で縮み、ワクチンは 92 億ドル。IPR&D の減損が続いて自己資本が削られ、売上 407 億ドル(2025 年比 −37%)、営業利益 76 億ドル、純利益 37 億ドルの低い水準になる。もう優良ではなく、普通の中堅製薬として、ROE が k に届かず、ためた利益は額面より低い価値なので、純利益 37 億ドルを k 8.0% で割った稼ぐ力の約 462 億ドル(今の約 1.3 割)で評価される。10 年間の還元は 1,000 億ドルで純利益の合計(約 1,400 億ドル)を超えるが、前半の 5 年の高い利益(年 200 億ドル超)と手元資金・借入で払い、後半は配当の維持が精いっぱい(その分、自己資本は 780 億ドル前後にとどまり、純負債 110 億ドルが残る)。
- キイトルーダ(皮下注 Qlex を含む):数量 18.0(治療を受ける患者数(万人))× 価格 24,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 43 億ドル・営業利益 16 億ドル。キイトルーダ
- ワクチン(ガーダシル・キャプバキシブ・バクスニューバンスほか):数量 4,600(接種回数(万回))× 価格 200(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 92 億ドル・営業利益 28 億ドル。ワクチン
- 動物薬:数量 31,000(投与・接種回数(万回))× 価格 34(1 回あたりの純価格(ドル))→ 売上 105 億ドル・営業利益 30 億ドル。動物薬
- 新製品群(ウィンレヴェア・ウェリレグ・オーチュベア・Lipfendra・開発中の新薬):数量 70.0(治療を受ける患者数(万人))× 価格 19,000(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 133 億ドル・営業利益 33 億ドル。新製品群
- その他の既存医薬(ジャヌビア・リンパーザ・レンビマ・ブリディオンほか):数量 450(処方を受ける患者年数(万人))× 価格 750(1 人あたりの年間の純価格(ドル))→ 売上 34 億ドル・営業利益 10 億ドル。既存薬
倍率:事業の ROE 4.8% が k 8.00% 以下なので PER は 1÷k=12.5 倍まで。これに対し 12.5 倍(10 割)に置いた。堀は普通:キイトルーダの 2028 年の崖が深く(皮下注への切り替えと買収で埋める前提)、崖の後の利益が新製品群の成否に左右されるので強い堀(2/3)とは見ない。構造的に負けた筋書き。ROE が k に届かず、ためた利益は額面より低い価値なので、稼ぐ力(純利益 ÷ k)を床にとる。自己資本に PBR を掛けない。純利益は GAAP。
確率:穴埋めの買収が価値を壊し、新薬も育たない。リーマン級の景気後退ではなく、特許・競争・政策の構造的な負け。1 割強(12%)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
キイトルーダ(皮下注 Qlex を含む)
免疫がん薬。売上の約半分、営業利益の約 6 割。2028 年に米国の主要特許が切れる。
| 数量治療を受ける患者数(万人) | 価格1 人あたりの年間の純価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 45.0 | 70,400 | 317 | 174 |
| 10 年後 中立 | 35.0 | 34,000 | 119 | 60 |
取り方:2025 年 317 億ドル(会社開示)を、年間の治療患者 約 45 万人(推定)で割った 1 人あたり約 7 万ドル。1 回約 1 万ドルの定価を 3 週ごと、平均治療期間は一部の年で割り、リベート後で約 7 万ドル。価格は物価 3.5% の中でも、メディケア交渉(2028 年)・最恵国待遇・後続品で、10 年で名目 3 割減から 5 割減まで下げる前提(物価並みなら 1.41 倍)。数量は適応拡大・早期がんで増えるが、特許切れ後の後続品にシェアを取られる。
ワクチン(ガーダシル・キャプバキシブ・バクスニューバンスほか)
HPV・肺炎球菌・はしか等のワクチン。中国のガーダシルが急減した後。
| 数量接種回数(万回) | 価格1 回あたりの純価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,750 | 200 | 95 | 33 |
| 10 年後 中立 | 6,500 | 250 | 162 | 65 |
取り方:2025 年約 95 億ドル(推定。ガーダシル 約 47 億・キャプバキシブ 約 12 億・他)。接種 約 4,750 万回 × 約 200 ドル。HPV は入札・各国価格・単回接種で価格が上がりにくく、物価 3.5% より低い上昇(10 年で約 1.25 倍)に置く。数量はキャプバキシブの普及で伸びる。
動物薬
ペットと家畜向けの寄生虫薬・ワクチン・抗生物質。年 6% で安定して伸びる。
| 数量投与・接種回数(万回) | 価格1 回あたりの純価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 21,000 | 30 | 63 | 18 |
| 10 年後 中立 | 36,000 | 40 | 144 | 45 |
取り方:2025 年約 63 億ドル(推定。2026 年 4〜6 月 17.8 億ドル +8%)を、約 2.1 億回の投与 × 約 30 ドルとして置く。ペットの数と治療の高度化で数量が伸び、価格は物価並みに近く上がる(10 年で約 1.33 倍)。
新製品群(ウィンレヴェア・ウェリレグ・オーチュベア・Lipfendra・開発中の新薬)
2023 年以降に出た薬と、開発中の薬。急拡大中。
| 数量治療を受ける患者数(万人) | 価格1 人あたりの年間の純価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.0 | 25,000 | 30 | −3 |
| 10 年後 中立 | 150 | 22,000 | 330 | 132 |
取り方:2025 年約 30 億ドル(推定。ウィンレヴェア 約 14・ウェリレグ・オーチュベア 約 3 を含む)を、治療患者 約 12 万人 × 約 2.5 万ドルで置く。高単価のウィンレヴェアから、低単価の経口 PCSK9 阻害薬 Lipfendra のような大衆薬が増えるので、平均価格は物価並みに上がらず(10 年で名目 0.88 倍)、数量が 12 倍前後に増える筋書きの中立。営業利益は立ち上げ費用で当初は赤字。
その他の既存医薬(ジャヌビア・リンパーザ・レンビマ・ブリディオンほか)
2026 年以降に後発薬・薬価交渉で縮む既存薬。
| 数量処方を受ける患者年数(万人) | 価格1 人あたりの年間の純価格(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,800 | 800 | 144 | 65 |
| 10 年後 中立 | 600 | 920 | 55 | 19 |
取り方:2025 年約 144 億ドル(推定。全体 649 億ドルから上の 4 つを引いた残り)を、患者年 約 1,800 万 × 約 800 ドルで置く。ブリディオンは 2026 年 1 月、ジャヌビアは 2026 年に米国で後発薬が出ており、数量は 3 年で 3 割、10 年で 6〜7 割減る。価格は後発薬と IRA の交渉価格で物価並みに上がらない。
リスクと懸念
キイトルーダの特許切れと薬価交渉
米国の主要特許は 2028 年。メディケアの交渉価格が 2028 年から掛かり、皮下注も同じ枠に入る規則案がある。2029 年末までの 2 特許を守れなければ後続品が早く出て、売上の約半分、利益の約 6 割を占める薬の純価格と数量が同時に下がる。会社は「崖ではなく丘」と言うが、穴の深さは新薬の成功次第。
買収の失敗
2026 年だけで IPR&D の一時費用は約 147 億ドル(シダラ 90・テルンズ 57)。買収した薬が第 3 相で失敗すれば、費用だけが残る。2023 年のプロメテウス買収では営業利益率が 5% まで落ちた。毎年 100 億ドル級の買収を続けると、還元の伸びも鈍る。
中国とワクチンの需要
ガーダシルは中国で急減し 2024 年の 86 億ドルから半分に落ちた。単回接種の導入や中国の国産ワクチンが入り、回復の確度は低い。キャプバキシブが穴を埋められるか、ファイザーのプレベナーとの競争に勝てるかが分かれ目。
Qlex の知財係争と乗り換え率
皮下注の酵素をめぐるハロザイムとの係争で、欧州などの上市が遅れる可能性がある。患者が皮下注に移らなければ、静脈注射の後続品に売上を奪われる。CMS が皮下注も交渉対象にすれば、乗り換えで守れる価格の上積みも消える。
最恵国待遇・関税・IRA の拡大
最恵国待遇の価格合意と関税の猶予は 3 年で、その先の純価格は読みにくい。IRA の対象が広がれば、ウィンレヴェア・ウェリレグも将来交渉の対象になる。純価格が名目で下がる前提は筋書きに入れたが、下がり幅は政策次第で、全社に効く。
新薬群の競合
ウィンレヴェア(ヤンセンのオプスミットなど)、経口 PCSK9(アムジェンやアストラゼネカ等)、トゥリソキバルト(炎症性腸疾患の抗 TL1A で競合多数)で価格と数量が計画どおりに行かないと、穴を埋める速度が落ちる。
今後の分かれ目
- キイトルーダの 2029 年末までの特許が裁判で守られ、後続品の上市が 2030 年以降に遅れる
- キイトルーダの売上が 3〜5 年ゆっくり減り、楽観・やや楽観の確率を 10 ポイント上げる。
- 皮下注 Qlex の乗り換え率が 2027 年に 5 割を超える
- 静脈注射の後続品の影響が和らぎ、10 年のキイトルーダを 150 億ドル以上に置ける。
- Lipfendra・ウィンレヴェアの売上が 2028 年に合計 150 億ドルを超える
- 新製品群が中立を上回る。10 年の確率を楽観側へ寄せる。
- CMS が皮下注のキイトルーダを交渉対象に確定し、後続品が出ても外れない
- キイトルーダの純価格が名目で 5 割以上下がる。やや悲観の確率を厚くする。
- 買収を毎年 100 億ドル級で続け、自社株買いが止まる
- IPR&D 費用が利益を削り、還元が配当だけになる。買収の成功率が低ければ悲観に寄せる。
- ガーダシルの中国向けが回復せず、世界の売上が 40 億ドルを割る
- ワクチンの前提を下げ、10 年で中立の売上を数%下げる。
見ておくもの
- キイトルーダと Qlex の合計売上、Qlex の切り替え率(4〜6 月 4.6 億ドル)
- キイトルーダの特許裁判(2029 年末までの 2 特許)と CMS の皮下注の扱い
- ウィンレヴェア・Lipfendra・ウェリレグ・オーチュベアの四半期売上
- 第 3 相の結果(sac-TMT・トゥリソキバルト・CD388・MK-4208・イスラトラビル/レナカパビル)
- IPR&D の費用と買収の規模、自社株買いの再開
- ガーダシルの中国向け売上とキャプバキシブの伸び
- 最恵国待遇・関税・IRA 交渉価格の実際の純価格への影響
倍率と資本コストの決め方
今の PER 20 倍・時価総額 3,659 億ドルを見る前に、5 つの事業を患者数・接種回数・投与回数 × 純価格で積み上げ、利益率と還元を置いてから倍率を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7 割に置いた。10 年の中立は上限 18.4 倍(g 4.0%・k 8.0%)の 7 割で 12.9 倍。7 割にとどめたのは、キイトルーダの崖が深く、崖の後の利益が新製品群の成否に左右されるからだ。今の PER にも寄せていない。結論は、本質価値が今の値段を約 4 割下回る「割高」。確率は 10 年の楽観側を 32% にとどめた。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0% = 8.0%。キイトルーダの崖・薬価政策・買収・ガーダシルの中国需要などの個別のリスクは k に足さず、やや悲観・悲観の確率(合計 35%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。
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