結論
インテュイティブ・サージカルは、手術支援ロボット「ダヴィンチ」と肺の生検ロボット「イオン」を病院に売り・貸し、その後の手術のたびに使い捨ての器具(消耗品)で稼ぐ会社である。2025 年は売上 101 億ドル(前年比 +21%)、営業利益 30 億ドル(営業利益率 29.3%)、純利益 29 億ドル。内訳は消耗品 60 億ドル、システム本体 25 億ドル、保守サービス 16 億ドル。ダヴィンチの手術は年 315 万件(+18%)、設置台数は 1.2 万台を超え、借金はなく純現金 58 億ドルを持つ。2026 年 4〜6 月期も売上 +19%、手術件数 +16%(ダヴィンチ +15%、イオン +36%)と勢いは続く。
積み上げ方は、手術件数(数量)× 1 件あたりの消耗品収入(価格)、設置台数 × 1 台あたり売上、設置済み台数 × 保守料の 3 本。中立では 2028 年に売上 144 億ドル・純利益 42 億ドル、2035 年に売上 275 億ドル・純利益 85 億ドルとなる。競合のメドトロニックのヒューゴ、ジョンソン・エンド・ジョンソンのオッタバが追うため、シェアは 80% 台へ下がり、消耗品の単価は名目で横ばいに近い、と置いた。
資本コストは 8.0%(quality 0%)。成長が年 6〜7% に落ち着いた後の利益ベースの正当化 PER は 17〜18 倍(k 8%・g 4.0%・事業の ROE 17%・堀は強く新しく投じる元手の稼ぎ RONIC は 14%)で、今の 54 倍はそこへ収れんする途中にある。バリュー投資の観点では、事業の質は第一級だが、今の値段は楽観の筋書きでも資本コストに届かない「割高」の会社と結論する。事業の優良さと、買ってよい値段は別である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、インテュイティブ・サージカルは「分かりやすい事業」「広い堀」「借金のない財務」を備えた稀な会社である。10 年後も、手術は行われ、ロボットは使われ、消耗品は売れ続ける可能性が高い。堀は広がるというより、競合の追い上げでわずかに狭まる方向にあり、独占的な高い利益率がどこまで保たれるかが焦点になる。
オーナー利益は、純利益から株式報酬(年約 9 億ドル)を引いた額が近い(2025 年は純利益 29 億ドルに対し約 20 億ドル)。株式報酬は純利益の約 3 割と大きく、見た目の利益より株主のものになる利益は小さい。再投資が少なく、フリーキャッシュフローは純利益に近い。ROE は 16% と低めに見えるが、積み上がった現金のためで、事業の資本効率は 3〜4 割。
経営は、手術ロボットという新市場を 25 年かけて育て、借金をせず、無駄な買収をしなかった点で優れる。ただし、株式報酬が大きいことと、成長に比べて高すぎる値段で自社株買いをしてきた可能性は気になる。
最後が値段である。強気の筋書き(競合に負けない・件数が年 10% 超、確率 15%)でさえ、10 年後の時価総額は今の約 1.8 倍(還元を加えて年 7% 台)で資本コスト 8% に届かない。確率で加重すると年 0.2% にとどまる。事業の質は第一級だが、安全域がない。結論は「割高」。わからない事業ではないので確信度は高いが、素晴らしい会社を高すぎる値段で買えば、よい投資にならない例とみる。
何で稼ぐ会社か
収入は 3 本の流れで成り立つ。最大は消耗品(インストルメント・アクセサリー、2025 年 60 億ドル、売上の 6 割)で、手術のたびに使い捨てる器具・ドレープ・ステープラーなどを病院へ売る。ダヴィンチとイオンを合わせた手術件数が数量で、2025 年はダヴィンチ約 315 万件・イオン約 14 万件。1 件あたり約 1,800 ドルの消耗品収入が入り、ロボットが増えるほど、そして使われるほど積み上がる。利益率が最も高い。
2 本目はシステム本体(2025 年 25 億ドル)。ダヴィンチを 1,721 台(うちマルチポート 1,614・単孔式 107)、イオンを 195 台置いた。売り切りと貸与(リース)があり、貸与が増えると 1 台あたりの売上は小さく、のちの消耗品とサービスが長く入る形になる。新型のダヴィンチ 5(力の感触を外科医に返す)は 2026 年 4〜6 月期の 468 台のうち 246 台を占め、置き換えが進む。
3 本目は保守サービス(2025 年 約 16 億ドル)。設置済みの 1.2 万台(ダヴィンチ 1.1 万台・イオン約 1,000 台)の保守契約で、台数に比例して安定して増える。
主な手術は泌尿器(前立腺)・婦人科・一般外科(ヘルニア・胆のう・大腸・減量)・胸部で、米国が件数の約 3 分の 2、海外は欧州・日本・中国・インドへ広がる。イオンは肺がんの疑いのある小さな結節を、細い管で採る診断用のロボットで、件数は +51%(2025 年)と伸びが速い。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 に外科医の習熟:ダヴィンチを使いこなす外科医は何百例もの訓練を積むため、病院は別のロボットへ乗り換えにくい。第 2 に症例データ:2000 年代から 1,500 万件を超す手術の記録が、器具の改良・訓練・AI 支援の土台になる。第 3 に設置台数:1.2 万台の設置済みの台数が、消耗品を継続して売る定期収入の元で、1 台あたり年約 50 万ドルの消耗品が付く。第 4 に規制と承認:数十の術式で承認を得て、新しい競合がまねるには各術式で臨床データが要る。
資本効率も高い。粗利率は非 GAAP で 2024 年 約 69%、2025 年は関税(約 1.7 ポイント)で 66% 前後へ下がり、2026 年は 68〜69% の見通しに戻した。営業利益率は 2010〜2012 年の 40% から、新製品の投資・関税で 25〜30% まで下がっているが、売上の伸びで再び上がる余地がある。借金がなく純現金で、投資に必要な設備は小さい。
弱点は 3 つ。第 1 に独占に近い地位が、価格と償還制度への風当たりを強めること(入札・拡張使用の器具)。第 2 に株式報酬が大きく、自社株買いは大半がその分の打ち消しになっていること。第 3 に、成長が 1 つの事業(手術ロボット)に集中し、新しい手術の方法(内視鏡・薬)の登場に備えが薄いこと。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ロボット支援手術は、世界の手術全体のごく一部(数%)にしか使われておらず、普及の余地が大きい。ヘルスケア業界ノートの塊 A「手術ロボット・整形・外科」の中立は、ロボット手術の数量が 10 年平均で年 +11%(3 年は +13%、後半は +9%)、価格は名目横ばい。インテュイティブは世界で年約 300 万件のうち大半を占め、ほぼ独占に近い。
競合は 3 つの形で来る。第 1 にメドトロニック(Medtronic)のヒューゴ:2025 年 12 月に泌尿器で FDA の承認を得た。第 2 にジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)のオッタバ:一般外科の適応で承認を得たと報じられる(時期は資料により食い違い、確認が要る)。第 3 に中国の国産ロボット(微創医療のトゥーマイなど):入札と償還価格の引き下げが重なり、中国の売上は伸びにくい。整形では、ストライカー(Stryker)のマコ・ジンマー(Zimmer Biomet)が別の市場で先行する。
逆風は 3 つ。米国の減量手術は GLP-1 薬で 1 桁後半の減少。関税で粗利率に 1〜2 ポイントの影響。そして米国の選択的手術が景気・保険に左右されること。追い風は、ダヴィンチ 5 への置き換え、海外(日本・インド・欧州)の普及、手術の適応の拡大(胸部・消化管・単孔式)である。2026 年の見通しは、ダヴィンチの件数 +13.5〜15.5%(中央付近を見込む)で、4〜6 月期の米国の伸びはやや鈍った。
資本政策と M&A
資本配分は堅実で、借金をせず現金で投資する。配当はなく、自社株買いは 2025 年に 23 億ドル、フリーキャッシュフローは 25 億ドル。ただし株式報酬で株が増えるため、自社株買いの大半はその打ち消しで、株数は 2025 年も +0.5% 増えた。正味の還元は小さく、筋書きでは 10 年で 170 億ドル(中立)と置いた。現金は積み上がり、10 年後の中立で自己資本は約 560 億ドルとなる。
買収は小さく、ロボットの周辺技術や販売権の取得が中心で、アボットのような 200 億ドル級の買収で価値を壊す心配は小さい。M&A で買収される側にはなりにくい(時価総額 1,548 億ドル)。ただし、買収資金を現金で払える体力があるため、手術の周辺領域(画像・診断・AI)で大きな買収に出る可能性は残る。
借金は 2 億ドル弱で、金利の上昇による利払いの変化はない。むしろ現金 59 億ドルが年 3.5〜4% で回り、受取利息は年 2 億ドル前後。10 年後の中立で現金が積み上がるため、受取利息を 12 億ドルと置いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
手術ロボットはまだ入口にいる。世界の手術のうちロボットで行われるのは数%で、泌尿器・婦人科・一般外科・胸部へ広がり、新興国の普及はこれからだ。2026 年 4〜6 月期の売上 +19%、件数 +16% が示すように、成長は鈍っていない。ダヴィンチ 5 は置き換えを引き起こし、1 台あたりの消耗品も増える。
イオンは肺がんの早期診断で件数 +36%、世界に 1,000 台しかなく、設置台数の増加と件数の増加が重なる。20 年にわたり積み上げた 1,500 万件の症例、数百例の訓練を積んだ外科医、1.2 万台の設置台数は、他社が数年で追いつけない堀である。ヒューゴもオッタバも承認は限られた術式で、病院の採用は慎重だ。
粗利率は関税の影響を吸収して 68〜69% に戻り、営業利益率は 30% 台前半から上がる。純現金で借金がなく、不況でも 2009 年・2022 年の手術件数は伸びた。成長が年 10% 超で 10 年続けば、利益は 4〜5 倍になり、PER が 25 倍に下がっても今の時価総額を大きく超える。
慎重な見方
どんな優良な会社も、今の値段が高すぎれば投資の結果は悪い。PER 54 倍、PBR 8.7 倍は、年 10% 超の成長が 10 年以上続き、しかも利益率が下がらないことを前提にしている。資本コスト 8% で正当化できる PER は成長が落ち着けば 20 倍前後で、今の値段はそこから遠い。
独占の終わりが近い。メドトロニックのヒューゴは泌尿器で承認を得て、ジョンソン・エンド・ジョンソンのオッタバも一般外科の適応で進み、中国の国産ロボットは入札と償還価格の引き下げで売上を削る。1 件あたりの消耗品収入は 2024 年と 2025 年で同じ約 1,800 ドルで、名目でも上がっていない。拡張使用の器具は単価を下げる方向に働く。
米国の減量手術は GLP-1 薬の普及で 1 桁後半の減少に転じた。関税で粗利率は 1〜2 ポイント下がった。2026 年の件数の見通しは据え置きで、「上方修正でなく据え置き」と受け取られ株価が反応した。株式報酬は純利益の約 3 割で、自社株買いは株数を減らせていない。成長の鈍化と倍率の縮みが同時に来れば、10 年後の時価総額は今を下回る。
どちらに重みを置いたか
事業の質(堀・定期収入・純現金)は強く、件数の伸びが年 10% 超で続く見通しを支持できるので、中立を最大の確率(10 年 35%)に置いた。他方、独占的な高利益率は競合の追い上げで必ず圧縮されるため、やや悲観を 10 年で 18% と厚めにし、悲観も 10 年 7% を置いた。楽観を 10 年 15% にとどめたのは、10 年の間に競合が一般外科・泌尿器へ本格参入する前提のため。確率をこう置き、確率加重の 10 年の価値は今の時価総額の 5 割台半ば(割高の幅は約 46%)にとどまる。強気の議論が勝っても、今の値段の根拠にはならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 413.98 ドル1,502 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 56.22 ドル204 億ドル)。 今の値に割り戻すと 230.01 ドル834 億ドル、今との差 −48.2%、 期待の年率 +0.6%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 15% | 750.07 ドル2,721 億ドル | 110.28 ドル400 億ドル | +93.8% | +6.8% | 129.05 ドル468 億ドル |
| やや楽観 | 25% | 530.88 ドル1,926 億ドル | 77.20 ドル280 億ドル | +37.0% | +3.2% | 152.02 ドル551 億ドル |
| 中立 | 35% | 367.88 ドル1,334 億ドル | 46.87 ドル170 億ドル | −6.6% | −0.7% | 145.16 ドル527 億ドル |
| やや悲観 | 18% | 188.12 ドル682 億ドル | 22.06 ドル80 億ドル | −52.6% | −7.2% | 37.83 ドル137 億ドル |
| 悲観 | 7% | 87.59 ドル318 億ドル | 0.00 ドル0 億ドル | −80.3% | −15.0% | 6.13 ドル22 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 413.98 ドル1,502 億ドル | 56.22 ドル204 億ドル | +5.9% | +0.6% | 470.20 ドル1,705 億ドル |
今の株価時価総額 443.85 ドル1,610 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 15% 楽観:適応が広がり堀が太る。競合は隙間にとどまる 利益 138 億ドル · PER 19.5 倍 · 株価時価総額 750.07 ドル2,721 億ドル
2035 年の売上は 393 億ドル(2025 年から名目で年 +14%)。手術件数は 1,100 万件(世界のロボット手術 1,300 万件 × シェア 約 85%)に達し、泌尿器・婦人科・一般外科の主要術式に加え、胸部・消化管・肺(イオン)・単孔式へ広がる。消耗品の 1 件あたり収入は新しい器具と複雑な術式で名目 +2%(10 年 1.20 倍)。メドトロニック・ジョンソン・エンド・ジョンソン・中国勢は一部の術式と新興国で占有するにとどまり、堀(外科医の訓練・症例データ・設置台数 4 万台)が広がる。営業利益は 152 億ドル(38.7%)、純利益は 138 億ドル。競合に負けなければ 2025 年の約 4.7 倍の利益になる。PER は 2 段階の式で 25 倍、純現金は 1 ドルで足す。
- 消耗品(インストルメント・アクセサリー):数量 1,100(世界のロボット支援手術(万件、推定 約 400 万件)× インテュイティブのシェア 約 82% = ダヴィンチとイオンの手術件数(万件))× 価格 2,190(1 件あたりの消耗品収入(ドル))→ 売上 241 億ドル・営業利益 113 億ドル。手術件数と 1 件あたり消耗品収入
- システム本体(ダヴィンチ・イオン):数量 4,300(年間の設置台数(台、ダヴィンチ 1,721 + イオン 195))× 価格 174(1 台あたり売上(万ドル、貸与の分割収入を含む))→ 売上 75 億ドル・営業利益 15 億ドル。設置台数と 1 台あたり収入
- 保守サービス:数量 40,000(設置済みの台数(台、ダヴィンチ約 1.1 万台・イオン約 1,000 台))× 価格 19(1 台あたり年間サービス収入(万ドル))→ 売上 77 億ドル・営業利益 24 億ドル。設置済み台数と 1 台あたりサービス収入
倍率:正当化 PER は 20.5 倍(g 4.0%、RONIC 22.1%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 29.1% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 19.4 倍(9.5 割)に置いた。堀は強い(2/3):手術ロボットの設置台数・外科医の習熟・消耗品の継続収入(moat_why)。事業の ROE は余った現金を除いて測る。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。上限の 9.5 割に置く。g の内訳:ロボット手術の数量(実質)と価格(名目横ばい〜微増)から出した約 4.5% だが、k − g ≥ 3.5% を守り上限の 4.0% に切る(ROE から出していない)。時価総額 =(純利益 − 余った現金の利息の税引き後)× PER + 余った現金(戻り方込み)。純利益は GAAP。
確率:ダヴィンチが泌尿器・婦人科・一般外科に加え、胸部・消化管・肺(イオン)・遠隔手術へ広がり、競合が一部の隙間しか取れない展開。10 年の間には各社が技術を追う前提なので 15%。
やや楽観 25% やや楽観:シェア 8 割台を保ち、市場の伸びで年 12〜13% 成長 利益 108 億ドル · PER 17.4 倍 · 株価時価総額 530.88 ドル1,926 億ドル
2035 年の売上は 330 億ドル(名目で年 +13%)。手術件数は 980 万件(市場 1,200 万件 × シェア 約 82%)。消耗品の 1 件あたり収入は 10 年で 1.12 倍で、価格は物価の 3 分の 1 の上がり方。競合は一般外科で 1 割弱のシェアを取るが、ダヴィンチの設置台数 3.7 万台と外科医の習熟が壁になり、シェアは 8 割台を保つ。営業利益は 120 億ドル(36.4%)、純利益は 108 億ドル(2025 年の約 3.7 倍)。成長が年 8% に落ちていく 2 段階の式で PER 23.5 倍、純現金は 1 ドルで足す。
- 消耗品(インストルメント・アクセサリー):数量 980(世界のロボット支援手術(万件、推定 約 400 万件)× インテュイティブのシェア 約 82% = ダヴィンチとイオンの手術件数(万件))× 価格 2,044(1 件あたりの消耗品収入(ドル))→ 売上 200 億ドル・営業利益 90 億ドル。手術件数と 1 件あたり消耗品収入
- システム本体(ダヴィンチ・イオン):数量 3,800(年間の設置台数(台、ダヴィンチ 1,721 + イオン 195))× 価格 165(1 台あたり売上(万ドル、貸与の分割収入を含む))→ 売上 63 億ドル・営業利益 11 億ドル。設置台数と 1 台あたり収入
- 保守サービス:数量 36,500(設置済みの台数(台、ダヴィンチ約 1.1 万台・イオン約 1,000 台))× 価格 18(1 台あたり年間サービス収入(万ドル))→ 売上 67 億ドル・営業利益 19 億ドル。設置済み台数と 1 台あたりサービス収入
倍率:正当化 PER は 19.3 倍(g 4.0%、RONIC 17.6%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 22.4% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 17.4 倍(9 割)に置いた。堀は強い(2/3):手術ロボットの設置台数・外科医の習熟・消耗品の継続収入(moat_why)。事業の ROE は余った現金を除いて測る。上限の 9 割に置く。g の内訳:ロボット手術の数量(実質)と価格(名目横ばい〜微増)から出した約 4.5% だが、k − g ≥ 3.5% を守り上限の 4.0% に切る(ROE から出していない)。時価総額 =(純利益 − 余った現金の利息の税引き後)× PER + 余った現金(戻り方込み)。純利益は GAAP。
確率:シェアは 8 割台を保ち、市場が年 10% 前後で伸びる展開。堀(外科医の訓練・症例データ・設置台数)が 10 年残る筋書きとして 25%。
中立 35% 中立:市場は年 10% で伸びるがシェアは 8 割へ。単価は名目でほぼ横ばい 利益 85 億ドル · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 367.88 ドル1,334 億ドル
2035 年の売上は 275 億ドル(名目で年 +10%)。手術件数は 870 万件(世界のロボット手術の市場 1,090 万件 × シェア 80%)。市場は年 10.5% で伸びるが、ヒューゴ・オッタバなど競合が追い、シェアは 82% から 80% に下がる。1 件あたりの消耗品収入は 10 年で 1.05 倍(名目で年 +0.5%。物価 1.41 倍に届かない理由は、拡張使用の器具・入札・競合の値引き)。設置台数は年 3,300 台、設置済み 3.3 万台。営業利益は 94 億ドル(34.3%)、純利益は 85 億ドル(2025 年の約 2.9 倍)。成長が年 6〜7% に落ち着いた後の式の PER は 19.5 倍(事業の ROE 28%・g 4.5%・k 9%)。積み上がる純現金 約 230 億ドルは 1 ドルで足し、純利益に対して約 20.7 倍。
- 消耗品(インストルメント・アクセサリー):数量 870(世界のロボット支援手術(万件、推定 約 400 万件)× インテュイティブのシェア 約 82% = ダヴィンチとイオンの手術件数(万件))× 価格 1,916(1 件あたりの消耗品収入(ドル))→ 売上 167 億ドル・営業利益 72 億ドル。手術件数と 1 件あたり消耗品収入
- システム本体(ダヴィンチ・イオン):数量 3,300(年間の設置台数(台、ダヴィンチ 1,721 + イオン 195))× 価格 155(1 台あたり売上(万ドル、貸与の分割収入を含む))→ 売上 51 億ドル・営業利益 7 億ドル。設置台数と 1 台あたり収入
- 保守サービス:数量 33,000(設置済みの台数(台、ダヴィンチ約 1.1 万台・イオン約 1,000 台))× 価格 17(1 台あたり年間サービス収入(万ドル))→ 売上 57 億ドル・営業利益 15 億ドル。設置済み台数と 1 台あたりサービス収入
倍率:正当化 PER は 17.8 倍(g 4.0%、RONIC 14.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 16.9% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 15.2 倍(8.5 割)に置いた。堀は強い(2/3):手術ロボットの設置台数・外科医の習熟・消耗品の継続収入(moat_why)。事業の ROE は余った現金を除いて測る。継続収入の質を見て、中立は上限の 8.5 割に置く。g の内訳:ロボット手術の数量(実質)と価格(名目横ばい〜微増)から出した約 4.5% だが、k − g ≥ 3.5% を守り上限の 4.0% に切る(ROE から出していない)。時価総額 =(純利益 − 余った現金の利息の税引き後)× PER + 余った現金(戻り方込み)。純利益は GAAP。
確率:市場は年 10% 前後で伸びるが、競合が増えてシェアは 8 割に下がり、1 件あたりの消耗品収入は名目で年 +0.5%(物価 1.41 倍に届かない理由は拡張使用・入札・競合の値引き)、システム本体は 10 年 1.20 倍(貸与の比率上昇と値引き)にとどまる。最大の確率。
やや悲観 18% やや悲観:独占が終わり、価格競争でシェア 7 割・単価が下がる 利益 53 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 188.12 ドル682 億ドル
2035 年の売上は 201 億ドル(名目で年 +7%)。メドトロニック・ジョンソン・エンド・ジョンソン・中国勢が一般外科と泌尿器で 3 割近いシェアを取り、手術件数は 700 万件(市場 1,000 万件 × シェア 70%)。消耗品の 1 件あたり収入は 10 年で 0.95 倍に下がる(入札・拡張使用・公的保険の償還の圧縮)。設置台数も価格競争で年 2,700 台。営業利益率は 29%(58 億ドル)、純利益は 53 億ドル(2025 年の約 1.8 倍)。独占の終わった優良な機器会社として式の PER 17.5 倍、純現金 約 280 億ドルを 1 ドルで足して純利益の約 20 倍。競合の勝ち分は、本来の利益 85 億ドルから約 30 億ドルを減らす。
- 消耗品(インストルメント・アクセサリー):数量 700(世界のロボット支援手術(万件、推定 約 400 万件)× インテュイティブのシェア 約 82% = ダヴィンチとイオンの手術件数(万件))× 価格 1,734(1 件あたりの消耗品収入(ドル))→ 売上 121 億ドル・営業利益 46 億ドル。手術件数と 1 件あたり消耗品収入
- システム本体(ダヴィンチ・イオン):数量 2,700(年間の設置台数(台、ダヴィンチ 1,721 + イオン 195))× 価格 135(1 台あたり売上(万ドル、貸与の分割収入を含む))→ 売上 37 億ドル・営業利益 3 億ドル。設置台数と 1 台あたり収入
- 保守サービス:数量 28,000(設置済みの台数(台、ダヴィンチ約 1.1 万台・イオン約 1,000 台))× 価格 15(1 台あたり年間サービス収入(万ドル))→ 売上 43 億ドル・営業利益 9 億ドル。設置済み台数と 1 台あたりサービス収入
倍率:正当化 PER は 15.2 倍(g 4.0%、RONIC 10.2%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 11.3% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 12.2 倍(8 割)に置いた。堀は強い(2/3):手術ロボットの設置台数・外科医の習熟・消耗品の継続収入(moat_why)。事業の ROE は余った現金を除いて測る。競合の追い上げで件数と価格が鈍る。上限の 8 割に置く。g の内訳:ロボット手術の数量(実質)と価格(名目横ばい〜微増)から出した約 4.5% だが、k − g ≥ 3.5% を守り上限の 4.0% に切る(ROE から出していない)。時価総額 =(純利益 − 余った現金の利息の税引き後)× PER + 余った現金(戻り方込み)。純利益は GAAP。
確率:ヒューゴ・オッタバ・中国勢が一般外科・泌尿器で本格的に価格競争を仕掛け、シェアが 7 割に下がり、消耗品の単価が下がる展開。独占の終わりとして 18% と厚く置く。
悲観 7% 悲観:構造的に負ける(GLP-1・価格崩れ・シェア 5 割台) 利益 24 億ドル · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 87.59 ドル318 億ドル
2035 年の売上は 125 億ドル(名目で年 +2%)。GLP-1 と非手術の治療(内視鏡・薬)で手術の対象が減り、ヒューゴ・オッタバ・中国勢の値下げで、ダヴィンチのシェアは 5 割台(手術件数 520 万件)に下がる。消耗品の 1 件あたり収入は 10 年で 0.8 倍に崩れ、設置台数と価格も下がる。公的保険の償還の圧縮が利益率を直撃し、営業利益は 25 億ドル(20.3%)、純利益は 24 億ドルまで下がる。独占の崩れた普通の機器会社として式の PER 13 倍(事業の ROE 12%・g 3%)に、貯まった純現金 約 310 億ドルを 1 ドルで足して測る(純利益の約 21 倍)。競合に負ければ、本来の利益 85 億ドルの 3 割弱にとどまる。
- 消耗品(インストルメント・アクセサリー):数量 520(世界のロボット支援手術(万件、推定 約 400 万件)× インテュイティブのシェア 約 82% = ダヴィンチとイオンの手術件数(万件))× 価格 1,460(1 件あたりの消耗品収入(ドル))→ 売上 76 億ドル・営業利益 21 億ドル。手術件数と 1 件あたり消耗品収入
- システム本体(ダヴィンチ・イオン):数量 1,900(年間の設置台数(台、ダヴィンチ 1,721 + イオン 195))× 価格 116(1 台あたり売上(万ドル、貸与の分割収入を含む))→ 売上 22 億ドル・営業利益 0 億ドル。設置台数と 1 台あたり収入
- 保守サービス:数量 21,500(設置済みの台数(台、ダヴィンチ約 1.1 万台・イオン約 1,000 台))× 価格 13(1 台あたり年間サービス収入(万ドル))→ 売上 27 億ドル・営業利益 4 億ドル。設置済み台数と 1 台あたりサービス収入
倍率:事業の ROE 5.7% が k 8.00% 以下なので PER は 1÷k=12.5 倍まで。これに対し 12.5 倍(10 割)に置いた。堀は強い(2/3):手術ロボットの設置台数・外科医の習熟・消耗品の継続収入(moat_why)。事業の ROE は余った現金を除いて測る。構造的に負けた筋書き。ROE が k に届かず、ためた利益は額面より低い価値なので、PER は 1÷k に置く。余った現金は今の額の半分(谷で食う)を戻り方込みで足す。時価総額 =(純利益 − 余った現金の利息の税引き後)× PER + 余った現金(戻り方込み)。純利益は GAAP。
確率:GLP-1 で手術の対象が減り、価格競争とシェア低下(5 割台)、公的保険の償還の圧縮が重なり、高い利益率が失われる構造的な負け。強い堀を考えると起こりにくいが、独占の崩れた例(過去の寡占企業)はあるので 7%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
消耗品(インストルメント・アクセサリー)
手術のたびに使い捨てる器具・ドレープ・ステープラーなど。ダヴィンチとイオンの手術件数に比例して入る定期収入。
| 数量世界のロボット支援手術(万件、推定 約 400 万件)× インテュイティブのシェア 約 82% = ダヴィンチとイオンの手術件数(万件) | 価格1 件あたりの消耗品収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 330 | 1,825 | 60 | 24 |
| 10 年後 中立 | 870 | 1,916 | 167 | 72 |
取り方:2025 年の消耗品売上 60.2 億ドルを、ダヴィンチ約 315 万件とイオン約 14 万件の合計約 330 万件で割った 1 件あたり約 1,825 ドル(2024 年は 50.8 億ドル ÷ 約 278 万件 = 約 1,827 ドルで、名目で横ばい)。件数は開示、世界のロボット手術の市場(約 400 万件)とシェア(約 82%)は推定(ロボット手術は他社の整形・婦人科の機器も含む)。10 年の価格は物価 3.5% の中立(1.41 倍)に届かず 1.05 倍と置く。理由は、実績が名目で横ばいなこと、拡張使用の器具(使用回数を増やして単価を下げる)、病院の入札、ヒューゴ・オッタバの値引き圧力で、ダヴィンチ 5 の高単価の器具と新しい術式の器具が一部を取り戻す。営業利益 24 億ドルは、全社の営業利益 30 億ドルを粗利率の高さに応じて配分した推定。競合はメドトロニック(ヒューゴ)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(オッタバ)、中国の国産ロボット。
システム本体(ダヴィンチ・イオン)
手術ロボット本体の販売と貸与。新型ダヴィンチ 5 への置き換えとイオンの新規設置が柱。
| 数量年間の設置台数(台、ダヴィンチ 1,721 + イオン 195) | 価格1 台あたり売上(万ドル、貸与の分割収入を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,916 | 129 | 25 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3,300 | 155 | 51 | 7 |
取り方:2025 年のシステム売上 24.7 億ドルを、設置台数 1,916 台(ダヴィンチ 1,721 台・イオン 195 台)で割った 1 台あたり約 129 万ドル。貸与の増加で売上の一部は後ろへずれ、売り切りより小さい。台数は開示、価格は推定の平均。10 年の価格は物価に届かず 1.20 倍と置く:ダヴィンチ 5 の高単価と、貸与比率の上昇・競合の値引き・イオンの小さい単価が相殺する。営業利益は粗利率が低く、2 億ドルと推定(関税の影響を含む)。競合はメドトロニック、ジョンソン・エンド・ジョンソン、中国勢で、整形ロボットはストライカー(マコ)。
保守サービス
設置済みのダヴィンチ・イオンの保守契約。設置済み台数に比例して安定して積み上がる。
| 数量設置済みの台数(台、ダヴィンチ約 1.1 万台・イオン約 1,000 台) | 価格1 台あたり年間サービス収入(万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12,100 | 13 | 16 | 4 |
| 10 年後 中立 | 33,000 | 17 | 57 | 15 |
取り方:サービス売上 約 16.1 億ドル(総売上 101 億ドル ー 消耗品 60.2 億 ー システム 24.7 億)を、設置済み 12,100 台で割った 1 台あたり約 13.3 万ドル。台数は開示、売上はその差し引きの推定。10 年の価格は 1.30 倍(物価 1.41 倍に届かず):保守契約の改定は物価に連動するが、新型機は保証期間があり、新興国や貸与の機器は単価が低い。営業利益は 4 億ドルと推定。競合する独立系の保守業者は小さい。
リスクと懸念
競合の本格参入(ヒューゴ・オッタバ・中国勢)
メドトロニックのヒューゴは泌尿器、ジョンソン・エンド・ジョンソンのオッタバは一般外科の適応で承認が進む。承認は限られた術式だが、病院の入札で消耗品の値引きを迫る材料になる。中国では国産ロボットと償還価格の引き下げで、売上が伸びにくい。シェアが 10 年で 7 割へ下がると、利益は中立から 3 割近く減る。
消耗品の単価の下落(拡張使用・入札)
1 件あたりの消耗品収入は 2024〜2025 年に名目横ばい(約 1,800 ドル)。使用回数を増やして単価を下げる拡張使用の器具や、病院の購買組織の入札が広がると、数量が伸びても売上の伸びが鈍る。消耗品は売上の 6 割・利益の大半で、1 件あたりが 10% 下がると利益は約 15% 減る。
GLP-1 と手術の対象の縮み
肥満薬の普及で米国の減量手術は 1 桁後半の減少。糖尿病・肥満に関連する手術(ヘルニア・胆のう・婦人科の一部)が減れば件数の伸びが年 14% から 8% に落ちうる。他方で、手術全体の高齢化による増加が打ち消す面もある。
関税と粗利率
2025 年は米中の関税で粗利率が約 1.7 ポイント下がり、2026 年は 68〜69% の見通しに戻した。部品の調達・工場(米国・メキシコ・ブルガリア)の移転が続き、関税が上がれば数ポイントの影響が出る。
株式報酬と株主価値
株式報酬は年約 9 億ドルで純利益の約 3 割。自社株買いは大半がその打ち消しで、株数は 2025 年も +0.5%。見かけの利益より株主のものになる利益は小さく、時価総額で書く本分析では正味の還元を小さく置いた。
高い倍率の縮み
今の PER 54 倍・PBR 8.7 倍は、成長が長く続く前提を織り込む。増益が年 10% を下回れば、倍率は 20 倍台へ縮み、事業が順調でも株価は横ばいか下がる。過去 20 期の PER の最小は 23 倍、中央値は 51 倍。
今後の分かれ目
- 2026〜2027 年もダヴィンチの手術件数が年 +14% 以上を保ち、粗利率が 69% 近くに戻ったら
- やや楽観・楽観の確率を 10 年で 5 ポイントほど上げる。それでも楽観の 10 年後の時価総額は今の約 1.8 倍(年率 7% 台)にとどまり、割高の結論は変わらない。
- ヒューゴ・オッタバが主要な術式で承認され、米国の大手病院で採用が広がったら
- 10 年のやや悲観・悲観の確率を 5〜10 ポイント上げる。消耗品の 1 件あたり収入の見通しを 1.05 倍から 0.95 倍へ下げ、中立の純利益が約 2 割減る。
- 拡張使用の器具が標準になり、1 件あたりの消耗品収入が前年比でマイナスに転じたら
- 数量の伸びが売上の伸びに結びつかなくなる。中立の消耗品の単価を下げ、10 年の純利益が約 1 割減る。
- 米国の減量手術が 2 桁の減少に転じ、ほかの肥満関連の手術も減り始めたら
- 件数の伸びが 8〜9% に落ち、中立の 10 年の件数を 870 万件から 700 万件前後へ下げる。悲観の確率を上げる。
- 中国の入札・国産ロボットで、中国の設置台数が前年から減ったら
- 海外の成長が鈍り、システム本体と消耗品の伸びを数ポイント下げる。シェアの下がり方を中立の想定より速く置く。
- 株価が下がり、PER が 30 倍前後になったら
- 事業の見通しは変えず、筋書きの確率も動かさない。ただし今の値段との差(割高)が縮み、5 段階が「やや割高」へ変わる可能性がある。値段は最後に比べる。
見ておくもの
- ダヴィンチ・イオンの世界の手術件数の伸び(四半期、米国と海外)
- 1 件あたりの消耗品収入(前年比)と拡張使用の器具の採用
- ダヴィンチ 5 の設置台数と貸与の比率
- ヒューゴ・オッタバの承認の術式の数と病院の採用
- 非 GAAP の粗利率(68〜69% の見通し)と営業利益率
- 中国の設置台数・入札と償還価格
- 米国の減量手術の件数と GLP-1 の普及
- 株式報酬と自社株買いの正味の還元
倍率と資本コストの決め方
今の PER 54 倍・時価総額 1,548 億ドルを見る前に、消耗品・システム・サービスの 3 本を数量 × 価格で 10 年後まで積み、利益率・受取利息・税を置いてから倍率を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)(k 8%・g 4.0%・RONIC = k + 2/3 ×(事業の ROE − k)、堀は強い(moat_why))の上限の 8.5 割を中立に置き(楽観 9.5 割・やや楽観 9 割・やや悲観 8 割。純現金は倍率に混ぜず 1 ドルで足した(期末の純現金)。今の高い倍率には寄せていない。この計算のため、確率で加重した価値が今の時価総額の 5 割台半ばにとどまり、割高が出た。結論が割高に寄ったことは、倍率を下げて合わせた結果ではなく、成長が落ちた後の PER が 17〜18 倍になる式の帰結で、今の値段との比較は最後に行った。事業の ROE は検査の測り方で、現金を全部除いた測り方(中立の 10 年で約 24%)なら 10 年の中立の時価総額は約 1 割増えるが、結論は変わらない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0% = 8.0%。競合の追い上げ・株式報酬・独占の圧縮は個別のリスクなので k に足さず、確率(やや悲観・悲観の合計 25%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。