結論
メドトロニックは、心房細動の治療機器、ペースメーカー、人工心臓弁、脊椎・脳外科の手術機器とロボット、脊髄刺激などの神経調節、外科用の器具と手術ロボット(Hugo)、病院向けの患者モニターを持つ世界最大級の医療機器会社である。2026 年 4 月期(FY2026)の売上は 364 億ドル(自然増 +5.8%)、GAAP の営業利益は 65 億ドル、純利益は約 48 億ドル。2026 年 10 月には糖尿病事業のミニメドを株式交換で完全に切り離した(FY2026 の売上は 31 億ドル)ので、ここからは糖尿病を除いた 333 億ドルの会社として書く。
成長の主役は心房細動をパルス電場で焼灼する PFA(Affera の Sphere-9)で、2026 年 5〜7 月期は焼灼事業が +88%、米国のシェアは四半期で 9 ポイント上がった。ほかの事業は 3〜5% 台で、会社全体の自然増は FY2027 の見通しで 7.25〜7.75%(53 週目の押し上げ約 1.6 ポイントを含む)に引き上げられた。売上を数量 × 価格で積むと、中立の 2035 年は売上 562 億ドル・純利益 107 億ドル。資本コスト 7.5%・g 4%・帳簿の ROE 13.6%(買収で伸びる会社なのでのれんも除かない。堀は普通で、新しく投じる元手の稼ぎ RONIC は k と ROE の中間の 10.6%)の利益ベースの正当化 PER は 17.8 倍で、その 8 割の 14.2 倍を置くと、10 年後の時価総額は約 1,520 億ドルと今の 1,220 億ドルの約 1.2 倍。悲観を含めた確率加重の本質価値は今の 8 割ほどで、「やや割高」と結論する。
ただし結論は、PFA で競合に勝ち続けること、価格が病院の購買組織に削られず物価並みに近く保たれること、資本コストが 6% 台であることに大きく依存する。経営の実績(マーサ氏の就任後の株の総リターンは年 2% 弱)と 12 月の投資家説明会で出る事業の入れ替えの方針が、確率を動かす分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、メドトロニックは「分かりやすいが成長が遅く、資本の使い方が試される会社」である。10 年後も心臓の機器・脊椎・外科用器具は必要とされ、今より強くなる可能性は高い。PFA の逆転、Hugo と腎除神経という新しい芽、糖尿病を手放した後の集中は、堀が広がる方向の材料である。
オーナー利益は、純利益 48 億ドルに現金の出ない償却(年約 17 億ドル)を戻した額が近く、フリーキャッシュフロー 54 億ドルと一致する。ただし事業の成長に小口買収の費用が毎年かかるので、増えた利益に対する投資の収益(ROE)は事業そのもののの 40% 超ではなく 18% 前後とみる(倍率の上限は検査の測り方の帳簿の ROE 約 14% で見て、低い側で置いた)。
経営は、PFA を買収(Affera)で取り込み、勝ち組に押し上げた点と、ミニメドを上場から約 7 か月で株式交換により切り離した点は優れる。一方、2020 年からの株の総リターンが市場に大きく劣ること、自社株買いが年 10 億ドルと少ないことは疑問である。安全域は、中立の 10 年後の時価総額が今の約 1.2 倍、悲観で今の 2 割台で、買い手に有利とまでは言えない。結論は、やや割高。
何で稼ぐ会社か
2026 年 4 月期の売上 364 億ドルのうち、糖尿病(31 億ドル)を除く 333 億ドルが残る事業である。
心血管(140 億ドル)は、ペースメーカー・除細動器・心不全機器(心リズム)、人工心臓弁(Evolut の TAVR など)、冠動脈・末梢血管、高血圧の腎除神経 Symplicity、そして心房細動を治す焼灼(Affera)からなる。焼灼は 2025〜26 年に PFA で急伸し、FY2026 は約 20 億ドルと推定される(FY2025 の約 2 倍)。心房細動の手技は 1 件あたり数千ドルの使い捨て品とマッピング機器の組み合わせで、術者の習熟が積み上がるため乗り換えにくい。
神経科学(103 億ドル)は、脳・脊椎(52 億ドル:脊椎のインプラント、Mazor・Stealth AXiS のロボットとナビゲーション、脳神経外科)、神経調節(21 億ドル:脊髄刺激 Inceptiv、脳深部刺激、骨盤・膀胱の Altaviva)、特殊療法(30 億ドル:脳血管・耳鼻科・骨盤)。
内外科(88 億ドル)は、外科・内視鏡(68 億ドル:ステープラー・LigaSure などのエネルギー機器・ヘルニア用のメッシュ・消化器の内視鏡 AI、2025 年 12 月に米国で泌尿器の承認を得た手術ロボット Hugo)と、急性期・モニタリング(21 億ドル:患者モニター・パルスオキシメーター・呼吸関連)。
収入の多くは病院が買う使い捨て・植え込み型の機器で、数量は手術・手技の件数、価格は病院の購買組織や各国の保険との交渉で決まる。ミニメド(インスリンポンプ・連続血糖測定)は 2026 年 3 月に上場し、10 月 14 日の株式交換で保有分を全部手放した。
優良さと弱いところ
優良さの源は 3 つある。第 1 に、植え込み型・術者の習熟が要る機器(ペースメーカー、TAVR、脊椎のインプラント、脊髄刺激)は、医師と病院が一度採用すると変えにくく、再現性のある収入になる。第 2 に、規模。売上 333 億ドルの規模で、世界 150 か国超の販売網と、年 27 億ドル前後の研究開発費を賄える。第 3 に、配当を 49 年連続で増やしてきた実績で、キャッシュフローが景気に強い。
弱みは、成長の遅さと資本効率である。2010 年代後半から FY2025 まで売上の自然増は 3〜5% にとどまり、のれんが大きいため GAAP の ROE は 10% 前後。調整後の営業利益率は FY2026 に 24.4% と前年から 1.3 ポイント下がった(関税が約 0.5 ポイント、ミニメドの低採算、研究開発の増加)。2020 年の CEO 就任後の株の総リターンは年 2% 弱と市場に大きく劣り、2025 年 8 月にエリオット・マネジメントが大株主になって取締役 2 人を加えさせた。
ただし今は、PFA で競合を逆転した点が品質の見直しにつながる。米国の PFA 支出のシェアはメドトロニック約 48%、ボストン・サイエンティフィック約 41%、ジョンソン・エンド・ジョンソン約 11%(2026 年初)と、先行者を追い抜いた。Hugo の追い上げ、ストライカー撤退後の脊椎での優位(グロバス・メディカルと世界の脊椎インプラントの約 43%)、腎除神経の全国適用と合わせ、新製品の厚みは数年ぶりに厚い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
医療機器の市場は年 5.5〜6% で伸びる(業界ノートの中立)。米国の医療費は年 5.8% で伸び、高齢化と慢性疾患が数量を押し上げる一方、病院の購買組織と保険者の価格交渉、関税、メディケイドの縮小が価格と利益率に逆風となる。
メドトロニックの事業は 3 つの競争の場に分かれる。心房細動の焼灼は、PFA が 2026 年初に焼灼カテーテル支出の約 8 割を占めるまで急速に置き換わり、ボストン・サイエンティフィック(ファラパルス)が先行したが、2026 年は Sphere-9 の大型の電極と Affera のマッピング統合でメドトロニックが逆転した。ジョンソン・エンド・ジョンソン(Varipulse など)が約 1 割、アボットのボルトが 2025 年 12 月に米国で承認され参入する。ここは数量が年 +10% 前後で伸び、シェアの取り合いが利益を左右する。
ロボット手術は、インテュイティブ・サージカル(ダヴィンチ)が世界の 1 万 3 千台を超える設置と年 300 万件規模の手術を持つほぼ独占の市場。Hugo は泌尿器の承認を 2025 年 12 月に得て、ヘルニア・婦人科の承認を申請中で、先行者の壁は高い。脊椎ではロボットとナビゲーション(Mazor・Stealth AXiS、グロバス・メディカルの ExcelsiusGPS)の統合競争で、ストライカーが撤退した後の 2 強になる。
GLP-1 は、肥満の関連の整形・心臓手術をわずかに減らす可能性がある一方、メドトロニックには糖尿病を切り離した後は直接の影響が小さい。中国の量販調達(VBP)による値下げ、人工知能による画像・計画の進化は、機器の価格と競争の形を変える要因である。
資本政策と M&A
資本配分の中心は配当である。配当は 49 年連続で増え、FY2026 は約 36 億ドル、自社株買いは 10 億ドル、合計 47 億ドルで、フリーキャッシュフロー 54 億ドルの約 85% を還元した。残りは小口の買収(FY2026 は CathWorks、2026 年 5〜7 月期はスキエンティア・バスキュラーと SPR セラピューティクスで 12 億ドル、コーナーストーン・ロボティクスへ 7 億ドルの出資)に充てる。
大きな動きは糖尿病の切り離しである。2026 年 3 月にミニメドを上場(評価約 56 億ドル、売り出し価格は想定を下回った)し、10 月 14 日の株式交換で保有する約 90% を全部、メドトロニック株約 5,500 万株(発行済みの約 4.3%)と交換して消却した。現金は入らず株数が減る形で、調整後の営業利益の約 4%(推定)しか稼がない低採算の事業を手放した。
エリオット・マネジメントの関与で 2025 年 8 月に成長委員会と業務委員会ができ、買収・研究開発・事業の売却の判断を見直している。12 月 10〜11 日の投資家説明会で、長期の成長の目標と事業の入れ替えの方針が示される予定。純負債は 199 億ドル(時価総額の約 16%)で、約 5.75% への借り換えで正味の利払いは 3 年で約 2 億ドル、10 年で約 3 億ドル増える(推定)。大型買収は当面ない前提で書く(成立していない案件は入れない)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
PFA はまだ入口にいる。世界の心房細動の焼灼は年 200 万件ほどで、PFA への置き換えは米国で終盤、欧州・日本・中国はこれからである。Sphere-9 は 1 つのカテーテルで焼灼とマッピングを兼ね、手技を短くできるので、病院にとって採用の理由が明確で、すでに米国の PFA 支出の約半分を握る。Sphere-360(1 回の通電で広い領域を焼く次世代品)と、心室頻拍への適応(欧州で承認済み)が次の 2 つの拡大になる。
さらに、腎除神経は米国で全国適用が決まり、1% の浸透で 10 億ドルの市場になる。Hugo は泌尿器から始まり、ヘルニア・婦人科の承認が重なれば、病院が 2 台目のロボットを選ぶ理由になる。脊椎ではストライカーが撤退し、メドトロニックとグロバス・メディカルの 2 強に集約された。
糖尿病(低採算)を切り離し、エリオットの圧力で成長への投資と事業の入れ替えが進めば、調整後の営業利益率は 28% 前後まで戻る。中立でも年 5.4% の売上・純利益は年 8% 超で増え、利益ベースの倍率で 10 年後の時価総額は今の約 1.2 倍になる。
慎重な見方
成長の中身が 1 つの事業に偏る。FY2026 の自然増 5.8% は、焼灼を除くと 3% 台にとどまる。PFA は競争が激しく、ボストン・サイエンティフィックが巻き返しを図り、ジョンソン・エンド・ジョンソンとアボット(ボルト)も参入する。シェアが 48% から 30% に戻れば、焼灼は予想の 7 割になる。価格も年 −1〜−2% で下がりやすい。
Hugo は 2025 年末にようやく泌尿器の承認を得た段階で、ダヴィンチの設置 1 万 3 千台と術者の習熟を崩すのは難しく、広告費・営業人員の費用が先に出る。脊椎はグロバス・メディカルが Nevro を買って疼痛に広がり、神経調節では価格競争が強まる。関税は利益率を約 0.5 ポイント下げ、元に戻る保証はない。
経営の実績も問われる。2020 年の就任以来、株の総リターンは年 2% 弱で、事業の入れ替えの方針は 12 月の説明会まで見えない。のれんが厚く、買収が増えれば ROE は 10% に届かず、倍率は正当化 PER どおりに保たれない。
どちらに重みを置いたか
事業の質(堀・分散・49 年増配)と PFA での逆転は強く、中立を最大(10 年 38%)に置いた。ただし成長が 1 つの事業に偏り、新製品(Hugo・腎除神経)の実を結ぶ速度が読みにくいため、悲観側をやや厚くした(10 年のやや悲観 24%・悲観 10%)。楽観は 10 年 8%と控えめにした。確率加重では 10 年で今の約 0.8 倍の価値にとどまり、結論は「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 106.40 ドル1,371 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 35.07 ドル452 億ドル)。 今の値に割り戻すと 76.05 ドル980 億ドル、今との差 −21.3%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 182.28 ドル2,348 億ドル | 41.38 ドル533 億ドル | +131.6% | +8.8% | 17.89 ドル230 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 144.44 ドル1,861 億ドル | 38.82 ドル500 億ドル | +89.7% | +6.6% | 36.65 ドル472 億ドル |
| 中立 | 38% | 117.96 ドル1,519 億ドル | 36.80 ドル474 億ドル | +60.2% | +4.8% | 58.81 ドル757 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 65.92 ドル849 億ドル | 31.05 ドル400 億ドル | +0.4% | +0.0% | 23.27 ドル300 億ドル |
| 悲観 | 10% | 22.87 ドル295 億ドル | 25.62 ドル330 億ドル | −49.8% | −6.7% | 4.85 ドル62 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 106.40 ドル1,371 億ドル | 35.07 ドル452 億ドル | +46.5% | +3.9% | 141.47 ドル1,822 億ドル |
今の株価時価総額 96.59 ドル1,244 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:PFA が世界の 3 割を握り、Hugo と腎除神経も当たる 利益 138 億ドル · PER 17.0 倍 · 株価時価総額 182.28 ドル2,348 億ドル
2035 年の売上は 657 億ドル(ミニメドを除く FY2026 の 333 億ドルから名目で年 +7.1%)。焼灼は 100 億ドル(年 +17%):Sphere-9 に Sphere-360 と心室頻拍の適応が加わり、世界の手技の約 3 割を握る。ボストン・サイエンティフィックとジョンソン・エンド・ジョンソンの追い上げを抑え、価格は名目横ばいを保つ。既存の心血管は 217 億ドル(年 +6%):リードレスと伝導系のペーシング、TAVR の軽症への拡大、全国適用が決まった腎除神経が積み上がる。脳・脊椎は 89 億ドル:Stealth AXiS が脊椎・脳外科の手術室に広がり単価も少し上がる。神経調節・特殊療法は 87 億ドル、外科・内視鏡は 127 億ドル(Hugo が泌尿器からヘルニア・婦人科へ広がる)。営業利益は 178 億ドル(GAAP で 27.1%)、純利益は 138 億ドル。償却は減り、純負債は小口買収をしながら横ばいに保たれる。
- 心房細動の焼灼(Affera・PulseSelect):数量 156(メドトロニックの焼灼手技件数(万件、推定。世界の手技 約 200 万件 × シェア))× 価格 6,452(1 件あたり収入(ドル。カテーテル・マッピング機器の合算、推定))→ 売上 100 億ドル・営業利益 36 億ドル。手技件数と 1 件あたり収入
- 既存の心血管(心リズム・弁・血管・腎除神経):数量 730(手技・植え込み件数(万件、推定の合算))× 価格 2,977(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 217 億ドル・営業利益 64 億ドル。手技件数と平均単価
- 脳・脊椎:数量 196(脊椎・脳外科の手術件数(万件、推定))× 価格 4,573(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 89 億ドル・営業利益 27 億ドル。手術件数と 1 件あたり収入
- 神経調節・特殊療法:数量 154(植え込み・手技件数(万件、推定))× 価格 5,633(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 87 億ドル・営業利益 25 億ドル。件数と 1 件あたり収入
- 外科・内視鏡(Hugo 含む):数量 2,440(外科手術の使用件数(万件、推定))× 価格 520(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 127 億ドル・営業利益 33 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
- 急性期・モニタリング:数量 3,502(使用件数(万件換算、推定))× 価格 105(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 37 億ドル・営業利益 9 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 18.9 倍(g 4.0%、RONIC 11.8%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 16.1% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 17.0 倍(9 割)に置いた。堀は普通:心臓・脊椎・外科の広い事業と病院との関係は堅いが、PFA 以外は成長が 3〜5% 台で、競合(ボストン・サイエンティフィック・J&J・アボット)と病院の購買組織が価格を押し、買収で伸ばす会社でのれんも元手に含めるので強い堀(2/3)とは見ない。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。上限の 9 割に置く。PFA の逆転と 49 年増配の安定は強いが、成長が 1 つの事業に偏り、Hugo・腎除神経の立ち上がりと経営の実績(総リターンが市場に劣る)が読みにくい。g の内訳:事業ごとの数量 × 価格から積んだ中立の約 4.0%(ROE から出していない)。純利益は GAAP。
確率:PFA で世界の手技の約 3 割を握り、Hugo と腎除神経がともに当たり、調整後の営業利益率が 27% 台に戻る展開。複数の賭けが同時に当たる必要があり、経営の実績(就任後の株の総リターンが低い)も考えて 8%。
やや楽観 20% やや楽観:PFA の優位が続き、利益率が 27% 台に戻る 利益 120 億ドル · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 144.44 ドル1,861 億ドル
2035 年の売上は 599 億ドル(年 +6.1%)。焼灼は 88 億ドル(年 +16.5%の数量、価格 −0.5%)で、世界の手技の約 3 割弱を保つ。既存の心血管は 201 億ドル(年 +5.2%)、脳・脊椎は 81 億ドル、神経調節・特殊療法は 79 億ドル、外科・内視鏡は 116 億ドル(Hugo が泌尿器とヘルニアで一定の設置を積む)、急性期は 34 億ドル。PFA での優位が続き、価格は競争で年 −0.5% の小幅な低下にとどまる。営業利益は 156 億ドル(GAAP で 26.0%)、純利益は 120 億ドル。調整後の営業利益率は 27% 台まで戻り、関税の影響は吸収される。
- 心房細動の焼灼(Affera・PulseSelect):数量 143(メドトロニックの焼灼手技件数(万件、推定。世界の手技 約 200 万件 × シェア))× 価格 6,136(1 件あたり収入(ドル。カテーテル・マッピング機器の合算、推定))→ 売上 88 億ドル・営業利益 30 億ドル。手技件数と 1 件あたり収入
- 既存の心血管(心リズム・弁・血管・腎除神経):数量 690(手技・植え込み件数(万件、推定の合算))× 価格 2,918(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 201 億ドル・営業利益 58 億ドル。手技件数と平均単価
- 脳・脊椎:数量 186(脊椎・脳外科の手術件数(万件、推定))× 価格 4,350(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 81 億ドル・営業利益 24 億ドル。手術件数と 1 件あたり収入
- 神経調節・特殊療法:数量 140(植え込み・手技件数(万件、推定))× 価格 5,633(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 79 億ドル・営業利益 22 億ドル。件数と 1 件あたり収入
- 外科・内視鏡(Hugo 含む):数量 2,221(外科手術の使用件数(万件、推定))× 価格 520(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 116 億ドル・営業利益 29 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
- 急性期・モニタリング:数量 3,339(使用件数(万件換算、推定))× 価格 103(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 34 億ドル・営業利益 8 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 18.3 倍(g 4.0%、RONIC 11.1%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 14.7% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.5 倍(8.5 割)に置いた。堀は普通:心臓・脊椎・外科の広い事業と病院との関係は堅いが、PFA 以外は成長が 3〜5% 台で、競合(ボストン・サイエンティフィック・J&J・アボット)と病院の購買組織が価格を押し、買収で伸ばす会社でのれんも元手に含めるので強い堀(2/3)とは見ない。上限の 8.5 割に置く。PFA の逆転と 49 年増配の安定は強いが、成長が 1 つの事業に偏り、Hugo・腎除神経の立ち上がりと経営の実績(総リターンが市場に劣る)が読みにくい。g の内訳:事業ごとの数量 × 価格から積んだ中立の約 4.0%(ROE から出していない)。純利益は GAAP。
確率:PFA の優位が続き、既存の心血管が年 5% 前後で伸びて利益率が少し戻る展開。FY2027 の見通しの上方修正が続けば成り立つので 20%。
中立 38% 中立:PFA が牽引し年 5% 台で伸び、堀は保たれる 利益 107 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 117.96 ドル1,519 億ドル
2035 年の売上は 562 億ドル(FY2026 の 333 億ドルから名目で年 +5.4%)。焼灼は 80 億ドル(数量は世界の手技の増加(年 +8%)に加え、シェアが 15% から約 28% へ上がり年 +15.4%、価格は競争で年 −0.5%)。既存の心血管は 188 億ドル(数量 年 +5%、価格 年 −0.5%)、脳・脊椎は 79 億ドル(年 +4.2%、価格は横ばい)、神経調節・特殊療法は 75 億ドル(年 +4%)、外科・内視鏡は 108 億ドル(Hugo が泌尿器・ヘルニアで数量を足し年 +4.8%)、急性期・モニタリングは 32 億ドル。価格は病院の購買組織に押され物価(3.5%)に届かない。営業利益は 140 億ドル(調整後で約 27%、GAAP で 24.9%)、純利益は 107 億ドル(FY2026 の約 48 億ドルから年 +8.2%)。純負債は約 200 億ドルでほぼ横ばい、償却は年 12 億ドル前後まで減り、配当は 3% ずつ増え 50 年以上の連続増配が続く。
- 心房細動の焼灼(Affera・PulseSelect):数量 130(メドトロニックの焼灼手技件数(万件、推定。世界の手技 約 200 万件 × シェア))× 価格 6,136(1 件あたり収入(ドル。カテーテル・マッピング機器の合算、推定))→ 売上 80 億ドル・営業利益 26 億ドル。手技件数と 1 件あたり収入
- 既存の心血管(心リズム・弁・血管・腎除神経):数量 652(手技・植え込み件数(万件、推定の合算))× 価格 2,889(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 188 億ドル・営業利益 54 億ドル。手技件数と平均単価
- 脳・脊椎:数量 181(脊椎・脳外科の手術件数(万件、推定))× 価格 4,350(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 79 億ドル・営業利益 23 億ドル。手術件数と 1 件あたり収入
- 神経調節・特殊療法:数量 133(植え込み・手技件数(万件、推定))× 価格 5,633(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 75 億ドル・営業利益 20 億ドル。件数と 1 件あたり収入
- 外科・内視鏡(Hugo 含む):数量 2,078(外科手術の使用件数(万件、推定))× 価格 520(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 108 億ドル・営業利益 26 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
- 急性期・モニタリング:数量 3,184(使用件数(万件換算、推定))× 価格 100(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 32 億ドル・営業利益 7 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 17.8 倍(g 4.0%、RONIC 10.6%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 13.6% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.2 倍(8 割)に置いた。堀は普通:心臓・脊椎・外科の広い事業と病院との関係は堅いが、PFA 以外は成長が 3〜5% 台で、競合(ボストン・サイエンティフィック・J&J・アボット)と病院の購買組織が価格を押し、買収で伸ばす会社でのれんも元手に含めるので強い堀(2/3)とは見ない。中立は上限の 8 割に置く。PFA の逆転と 49 年増配の安定は強いが、成長が 1 つの事業に偏り、Hugo・腎除神経の立ち上がりと経営の実績(総リターンが市場に劣る)が読みにくい。g の内訳:事業ごとの数量 × 価格から積んだ中立の約 4.0%(ROE から出していない)。純利益は GAAP。
確率:議論の落としどころで最大の確率。FY2027 の会社見通し(自然増 7.25〜7.75%)と業界ノートの医療機器の中立(年 5.5〜6%)に沿い、PFA の逆転を織り込んだ。事業が分散し、49 年の増配の実績もあるので最大の 38%。価格は物価 3.5% に対し、焼灼 −0.5%、心血管 −0.5%、そのほかは横ばいと、物価に届かない(業界ノートの価格の見通しに沿う)。
やや悲観 24% やや悲観:PFA の競争で価格が下がり、Hugo は小さく終わる 利益 72 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 65.92 ドル849 億ドル
2035 年の売上は 454 億ドル(年 +3.2%)。PFA は競争が激しく、メドトロニックのシェアは 3 割弱まで届かず約 20% 台前半にとどまり、焼灼は 58 億ドル(価格は年 −1.5%)。既存の心血管は 156 億ドル(年 +2.6%)、脳・脊椎は 64 億ドル、神経調節・特殊療法は 62 億ドル、外科・内視鏡は 88 億ドル(Hugo は設置が少なく損益に貢献しない)、急性期は 26 億ドル。関税と人件費で調整後の営業利益率は 24% 台のまま上がらず、営業利益は 98 億ドル(GAAP で 21.6%)、純利益は 72 億ドル。買収で成長を補うため、純負債はやや増え、配当の増加は年 1.5% にとどまる。
- 心房細動の焼灼(Affera・PulseSelect):数量 105(メドトロニックの焼灼手技件数(万件、推定。世界の手技 約 200 万件 × シェア))× 価格 5,547(1 件あたり収入(ドル。カテーテル・マッピング機器の合算、推定))→ 売上 58 億ドル・営業利益 18 億ドル。手技件数と 1 件あたり収入
- 既存の心血管(心リズム・弁・血管・腎除神経):数量 570(手技・植え込み件数(万件、推定の合算))× 価格 2,747(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 157 億ドル・営業利益 42 億ドル。手技件数と平均単価
- 脳・脊椎:数量 154(脊椎・脳外科の手術件数(万件、推定))× 価格 4,137(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 64 億ドル・営業利益 17 億ドル。手術件数と 1 件あたり収入
- 神経調節・特殊療法:数量 115(植え込み・手技件数(万件、推定))× 価格 5,358(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 62 億ドル・営業利益 15 億ドル。件数と 1 件あたり収入
- 外科・内視鏡(Hugo 含む):数量 1,781(外科手術の使用件数(万件、推定))× 価格 495(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 88 億ドル・営業利益 19 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
- 急性期・モニタリング:数量 2,755(使用件数(万件換算、推定))× 価格 95(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 5 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 15.8 倍(g 4.0%、RONIC 8.9%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 10.3% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 11.8 倍(7.5 割)に置いた。堀は普通:心臓・脊椎・外科の広い事業と病院との関係は堅いが、PFA 以外は成長が 3〜5% 台で、競合(ボストン・サイエンティフィック・J&J・アボット)と病院の購買組織が価格を押し、買収で伸ばす会社でのれんも元手に含めるので強い堀(2/3)とは見ない。競争と値下がりで、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる。上限の 7.5 割に置く。PFA の逆転と 49 年増配の安定は強いが、成長が 1 つの事業に偏り、Hugo・腎除神経の立ち上がりと経営の実績(総リターンが市場に劣る)が読みにくい。g の内訳:事業ごとの数量 × 価格から積んだ中立の約 4.0%(ROE から出していない)。純利益は GAAP。
確率:PFA のシェアが 3 割を切る、Hugo が小さく終わる、関税で利益率が戻らない、のうち 2 つが起こる展開は十分ありうる。FY2025 までの自然増は 3〜5% で、中立の年 5.4% より低い。経営の実績と事業の入れ替えの不透明さも合わせ、やや厚い 24%。
悲観 10% 悲観:構造的に負ける(PFA の汎用品化・ロボットの失敗・減損) 利益 26 億ドル · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 22.87 ドル295 億ドル
2035 年の売上は 338 億ドル(年 +0.2%)で、10 年間ほぼ横ばい。PFA のシェアは 10% 台に落ち、カテーテルの価格は年 −3% で崩れ、焼灼は 35 億ドル。ほかの競合が既存の心血管に攻め込み、既存の心血管は 121 億ドル、脳・脊椎は 50 億ドル(グロバス・メディカルにロボットで負ける)、神経調節・特殊療法は 46 億ドル、外科・内視鏡は 67 億ドル(Hugo の投資が回収できず撤退・縮小)、急性期は 20 億ドル。中国の量販調達での値下げと関税が重なり、営業利益は 44 億ドル(GAAP で 12.9%)、純利益は 26 億ドルまで落ちる。のれん・無形資産の減損(約 80 億ドル、自己資本から引く)と、リストラ費用の増加(調整 −26 億ドル)も入る。配当は据え置きになり、増配記録は途絶える。もう優良とは言えない会社である。
- 心房細動の焼灼(Affera・PulseSelect):数量 73.4(メドトロニックの焼灼手技件数(万件、推定。世界の手技 約 200 万件 × シェア))× 価格 4,758(1 件あたり収入(ドル。カテーテル・マッピング機器の合算、推定))→ 売上 35 億ドル・営業利益 8 億ドル。手技件数と 1 件あたり収入
- 既存の心血管(心リズム・弁・血管・腎除神経):数量 488(手技・植え込み件数(万件、推定の合算))× 価格 2,482(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 121 億ドル・営業利益 27 億ドル。手技件数と平均単価
- 脳・脊椎:数量 133(脊椎・脳外科の手術件数(万件、推定))× 価格 3,740(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 11 億ドル。手術件数と 1 件あたり収入
- 神経調節・特殊療法:数量 94.6(植え込み・手技件数(万件、推定))× 価格 4,843(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 46 億ドル・営業利益 9 億ドル。件数と 1 件あたり収入
- 外科・内視鏡(Hugo 含む):数量 1,509(外科手術の使用件数(万件、推定))× 価格 447(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 67 億ドル・営業利益 12 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
- 急性期・モニタリング:数量 2,265(使用件数(万件換算、推定))× 価格 86(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 3 億ドル。使用件数と 1 件あたり収入
倍率:事業の ROE 6.0% が k 7.50% 以下なので PER は 1÷k=13.3 倍まで。これに対し 11.3 倍(8.5 割)に置いた。構造的に負けた筋書き(成長の鈍化と買収の失敗で g は 3.0%)。ROE が k に届かず、新しく投じる元手の稼ぎは ROE のまま、ためた利益は額面より低い価値なので PER は 1÷k の 8.5 割に置く。純利益は GAAP。
確率:リーマン級ではなく、PFA の汎用品化・ロボットの失敗・買収の減損・価格の崩れが重なる構造的な失敗。メドトロニックは 2010 年代に増配記録を保ち、のれんが厚くても事業が傾いたことはないので 10% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
心房細動の焼灼(Affera・PulseSelect)
パルス電場(PFA)で心房細動を治す焼灼カテーテルとマッピング機器。Sphere-9 が主力。
| 数量メドトロニックの焼灼手技件数(万件、推定。世界の手技 約 200 万件 × シェア) | 価格1 件あたり収入(ドル。カテーテル・マッピング機器の合算、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 31.0 | 6,452 | 20 | 5 |
| 10 年後 中立 | 130 | 6,136 | 80 | 26 |
取り方:FY2026(2026 年 4 月期)の焼灼の売上は約 20 億ドルと推定(心リズム全体の 75 億ドルと 2026 年 5〜7 月期の電気生理 22 億ドルから逆算。第 4 四半期 +78%、5〜7 月期 +88%)。世界の心房細動の焼灼は年約 200 万件(推定)で、メドトロニックは約 31 万件(約 15%)、1 件あたり約 6,450 ドル。米国の PFA 支出ではすでに約 48%(ボストン・サイエンティフィック約 41%、ジョンソン・エンド・ジョンソン約 11%、アボット 約 1%)。価格は競争と病院の購買組織で名目横ばい〜年 −1.5%(物価 3.5% に届かない理由は PFA カテーテルの競合の増加)。
既存の心血管(心リズム・弁・血管・腎除神経)
ペースメーカー・除細動器・心不全機器、TAVR などの人工心臓弁、冠動脈・末梢血管、高血圧の腎除神経 Symplicity。
| 数量手技・植え込み件数(万件、推定の合算) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 400 | 3,038 | 122 | 33 |
| 10 年後 中立 | 652 | 2,889 | 188 | 54 |
取り方:心血管 139.8 億ドルから焼灼 20 億ドルを引き、その他 1.7 億ドルを足した 121.5 億ドル(心リズム・心不全 約 55、構造的心疾患・大動脈 38.2、冠動脈・末梢 26.6、ほか)を、手技・植え込み約 400 万件(推定)で割った平均単価 約 3,040 ドル。FY2026 の自然増はペースメーカー等が約 +7% 台、弁 +4.3%、冠動脈・末梢 +2.5%。価格は病院の購買組織に押され年 −0.5%(物価に届かない)、数量は腎除神経の保険適用などで年 +5%。
脳・脊椎
脊椎のインプラント、Mazor・Stealth AXiS のロボット・ナビゲーション、脳神経外科・耳鼻科の機器。
| 数量脊椎・脳外科の手術件数(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 4,350 | 52 | 15 |
| 10 年後 中立 | 181 | 4,350 | 79 | 23 |
取り方:FY2026 の脳・脊椎 52.2 億ドル(自然増 +4.0%)を、手術約 120 万件(推定)で割った 1 件約 4,350 ドル。脊椎インプラントはメドトロニックとグロバス・メディカルで世界の約 43%。価格は病院との交渉で名目横ばい(物価に届かない理由は整形・脊椎の購買組織の力)、数量は高齢化で年 +4%。
神経調節・特殊療法
脊髄刺激(Inceptiv)・脳深部刺激(Percept)・骨盤の Altaviva、脳血管・耳鼻科・骨盤の特殊療法。
| 数量植え込み・手技件数(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 90.0 | 5,633 | 51 | 13 |
| 10 年後 中立 | 133 | 5,633 | 75 | 20 |
取り方:神経調節 20.7 億ドル(自然増 +5.2%)と特殊療法 30.0 億ドル(+0.3%)の合計 50.7 億ドルを、約 90 万件(推定)で割った 1 件約 5,630 ドル。価格は名目横ばい(物価に届かない理由は疼痛の競争と保険の抑制)、数量は Altaviva・Inceptiv が牽引し年 +4%。
外科・内視鏡(Hugo 含む)
ステープラー・エネルギー機器・ヘルニア用メッシュ、消化器の内視鏡 AI、手術ロボット Hugo。
| 数量外科手術の使用件数(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,300 | 520 | 68 | 15 |
| 10 年後 中立 | 2,078 | 520 | 108 | 26 |
取り方:FY2026 の外科・内視鏡 67.6 億ドル(自然増 +2.1%)を、使用約 1,300 万件(推定)で割った 1 件約 520 ドル。2026 年 5〜7 月期は +9.0%(53 週目を含む)。数量は Hugo と LigaSure のロボット対応で年 +4.8%、価格は競争的な消耗品で名目横ばい(物価に届かない)。
急性期・モニタリング
患者モニター・パルスオキシメーター・呼吸関連の病院向け消耗品・機器。
| 数量使用件数(万件換算、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,050 | 100 | 21 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3,184 | 100 | 32 | 7 |
取り方:FY2026 の急性期・モニタリング 20.5 億ドル(自然増 +5.6%)を、使用約 2,050 万件換算(推定)で割った 1 件約 100 ドル。数量は病院の稼働と呼吸関連で年 +4.5%、価格は購買組織との契約で名目横ばい。
リスクと懸念
PFA でのシェア争い
メドトロニックの成長の大半は焼灼(FY2026 約 20 億ドル)に依存する。ボストン・サイエンティフィックの巻き返し、ジョンソン・エンド・ジョンソンの追い上げ、2025 年 12 月に米国で承認されたアボットのボルトで、米国のシェア(約 48%)が 30% 台に戻り、カテーテルの価格が年 −3% で崩れれば、焼灼は予想の 6〜7 割にとどまる。
Hugo の立ち上がりと費用
手術ロボットはインテュイティブ・サージカルが独占に近く、設置 1 万 3 千台超と術者の習熟で先行する。Hugo は 2025 年 12 月に泌尿器の承認を得たばかりで、ヘルニア・婦人科は申請中。営業人員と研究開発の費用が先に出て、数年は利益に寄与しない。コーナーストーン・ロボティクスへの 7 億ドルの出資も、費用に見合うかは不確か。
成長の鈍さと経営の実績
FY2025 までの売上の自然増は 3〜5% で、2020 年の就任以来の株の総リターンは年 2% 弱。2025 年 8 月にエリオット・マネジメントが取締役 2 人を加えさせた。12 月の投資家説明会で示される長期目標と事業の入れ替えが期待を下回れば、確率を悲観側に動かす。
関税と価格の圧力
関税は FY2026 に営業利益率を約 0.5 ポイント(第 4 四半期は 0.8 ポイント)下げた。病院の購買組織・保険者の値下げ圧力、メディケイドの縮小、中国の量販調達(VBP)の価格抑制が重なる。物価 3.5% に価格が届かないという前提が崩れれば、利益率が元に戻らない。
資本配分と買収の失敗
メドトロニックの成長は小口買収に支えられる(FY2026 から 2026 年 5〜7 月期で約 12 億ドル)。買収額が嵩めば、のれんの減損と ROE の低下(今の GAAP で約 10%)を招く。ミニメドの切り離しは、上場から約 7 か月で株式交換により完了した。成立していない大型の買収は入れていない。
GLP-1 と手術件数
肥満・糖尿病の薬が広がると、体重に関連する整形・脊椎・心臓の一部の手術が減る可能性がある。糖尿病の機器を手放した後は直接の影響は小さいが、脊椎の手術件数(約 120 万件と推定)の伸びが年 4% を割る要因になる。逆に、肥満の改善で心房細動が減れば、焼灼の数量の伸びも鈍る。いずれも数年単位でゆっくり効くので、数量の年 −0.5〜−1 ポイントの下振れとして悲観側の筋書きに織り込んだ。
品質問題・回収
植え込み型の機器は、不具合や回収で医師と病院の信頼が傷つくと、数量が落ちるうえ、訴訟の費用も出る。ペースメーカー・除細動器のリードや、新しい PFA カテーテルのように、使用者が増えるほど問題が表に出やすい。頻度は低いが起きた時の影響が大きく、競合への乗り換えも起きやすいので、悲観側の確率に織り込んだ。
今後の分かれ目
- 5〜7 月期以降も焼灼が +50% 以上を保ち、米国の PFA 支出のシェアが 5 割を超えたら
- 焼灼の 3 年の売上が 55 億ドルに近づき、楽観・やや楽観の確率を 10 年で 5 ポイント上げる。
- ボストン・サイエンティフィックが PFA の新型で米国のシェアを取り戻し、メドトロニックが 35% 台に落ちたら
- 焼灼の 10 年が 60 億ドル台に下がり、やや悲観の確率を 5 ポイント上げる。価格が年 −3% に落ちれば悲観の確率も上げる。
- Hugo がヘルニア・婦人科の承認を得て、米国で 2 年に 300 台以上を設置したら
- 外科・内視鏡の成長が年 6% に乗り、10 年の楽観の確率が上がる。逆に設置が 100 台を割れば Hugo の費用を回収できず、やや悲観の確率を上げる。
- 2026 年 12 月の投資家説明会で、長期の自然増 6〜7% と営業利益率 28% への道筋、不採算事業の売却が示されたら
- 中立の確率を 3〜5 ポイント上げ、利益率の戻りを織り込む。目標が 4〜5% 止まりなら、やや悲観を厚くする。
- 腎除神経(Symplicity)が全国適用の下で年 2 億ドル規模に立ち上がったら
- 既存の心血管の数量が年 +6% に乗り、10 年の売上が約 10 億ドル上振れする(約 2%)。立ち上がりが 1 億ドルを下回れば、中立の見通しを下げる。
- 関税が撤廃・縮小され、調整後の営業利益率が 26% 台に戻ったら
- 10 年の中立の営業利益が 約 5〜8 億ドル上振れする。関税が拡大すれば同じ幅で下振れする。
見ておくもの
- 焼灼(PFA)の四半期の成長率と、米国のシェア(Sphere-9・ボルト・ファラパルス・Varipulse の比較)
- Hugo の設置台数・適応(ヘルニア・婦人科)の承認とロボットの手術件数
- 調整後の営業利益率(FY2026 は 24.4%)と関税の影響
- 2026 年 12 月 10〜11 日の投資家説明会の長期目標・事業の入れ替え
- 腎除神経(Symplicity)・Altaviva・Inceptiv の売上と、脊椎のロボット(Stealth AXiS)の採用
- 小口買収の額・純負債・自社株買い、連続増配の記録
倍率と資本コストの決め方
今の PER 25 倍・時価総額 1,220 億ドルを見る前に、6 つの事業の数量 × 価格で 10 年後の売上と利益を積み、償却・正味の利払い・税を置いてから倍率を決めた。中立の PER は 10 年後 14.2 倍で、利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)(g 4%・帳簿の ROE 13.6%・堀は普通で RONIC 10.6%・k 7.5%)= 17.8 倍の 8 割。買収で伸びる会社なので ROE にのれんも含めて帳簿の自己資本で測った(のれんを除いた約 24% や ROIC ベースの 18% は使わず、検査の測り方に揃えて低い側で置いた)。過去の PER の中央値(25.8 倍)や今の値に寄せていない。台帳の今の時価総額(1,220 億ドル)は交換前の株数なので、交換後の実際(約 1,170 億ドル)より約 4% 高い。つまり計算上の差は約 4 ポイント厳しめに出ている。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality −0.5% = 7.5%。PFA のシェア争い・ロボットの立ち上がり・経営の実績・ミニメドの切り離しなどの個別のリスクは k に足さず、確率(やや悲観・悲観の合計 34%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。