結論
ヴィアトリス(Viatris)は、ファイザーの特許切れブランド部門(アップジョン)とマイランの後発薬が 2020 年に合併してできた会社で、世界の多数の国に特許切れの先発ブランド(リピトール・ノルバスク・リリカ・バイアグラ・セレブレックス)、後発薬、エピペンなどの複合・特殊製剤を供給する。2025 年の総収益は 143.0 億ドル(前年比 −3%)、調整後 EBITDA は 41.6 億ドル。ただし GAAP の純損失は 35.1 億ドルで、2025 年 3 月末の減損テストで計上したのれんの減損 29.4 億ドルが大半を占める。購入会計の償却が毎年約 25 億ドル、インド工場(インドールの輸入警告で約 3.7 億ドル、2026 年 2 月のナシク工場の火災で下期 1〜1.5 億ドル)の供給問題も重なる。2026 年 8 月の第 2 四半期は総収益 37.6 億ドル(+5%)で通期の見通しを上方修正したが、GAAP は 1.2 億ドルの純損失(Tyrvaya の売却で 1.8 億ドルの減損)。
今の時価総額は台帳で 218 億ドル、純負債 132 億ドルを足した企業価値は約 350 億ドルで、調整後 EBITDA の約 8 倍。GAAP の純利益は赤字なので PER は使えない。会社の「調整後 EPS」は償却と株式報酬を戻した値で、この分析は GAAP のまま置いた(償却は費用)。償却は今後 10 年で段階的に減るので、同じ売上でも GAAP の純利益は 2035 年にかけて大きく増える。この増加は伸びではなく、過去に買った資産の償却が終わるだけの会計上の変化で、倍率に二重に入れていない。
バリュー投資の観点では、売上が伸びない代わりに、現金創出力(2026 年の FCF 見通し 22 億ドル。今の時価総額の約 10%)がどこまで続くかを問う会社である。確率で重ねた 10 年の本質価値は 219 億ドルで今の時価総額と並び、結論は「適正」。倍率は、この筋書き自身の g(中立 1.0%)の正当化 PER(k 9.5%)11.0 倍を置いた(上限の約 8 割、moat は weak)。分かれ目は、インドール・ナシクの再査察、米国と中国の価格の下落率、新製品(セネリモド・セラトグレル・速効メロキシカム)の成否である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。存在はする。高血圧薬・脂質薬・うつ病薬は 10 年後も処方されるし、世界の供給網は簡単に作れない。ただし「今より強い」とは言えない。後発薬は価格が毎年下がり、先発ブランドも患者数が緩やかに減る。堀はブランドの粘りと規模だけで、価格を決める力はない。つまり、構造的に成長しない事業から出る現金を、どれだけ安く買えるかという見方になる。
オーナー利益で見ると、2026 年の FCF 見通し 22 億ドル(再編費用を除く)から、株式報酬(年約 2 億ドル)を引いて約 20 億ドル。今の時価総額 218 億ドルの 9% 台で、ここから借金の返済に回る分も株主のものになる。GAAP の純利益が小さいのは、買収の無形資産の償却(年約 25 億ドル)が毎年費用になるためで、これは現金の流出ではないが、足し戻して見せることはしなかった。償却は 2032 年前後に 8 億ドル程度まで減る前提で、その結果、中立の 2035 年の純利益は 23.6 億ドルまで増える。これは売上の伸び(年 +1.5%)ではなく会計上の変化。
資本配分は評価が分かれる。合併後 5 年で、のれんの減損 29.4 億ドル(2025 年)、品質問題、火災がある一方、売却(OTC・バイオシミラー・API)と借金返済、バイオコン株の売却で損失を抑えた。安全域は、現在の 218 億ドルが企業価値で調整後 EBITDA の約 8 倍という低い水準にあること。中立の価値は今の値段と並び余裕は無く、純負債が時価総額の 6 割あり、売上が横ばいか緩やかな減少でも利払いと価格の下落で利益が削られる。予測しやすい事業(処方薬の需要)と、予測しにくい要素(FDA の再査察、中国の入札、薬価政策)が混ざる。確信度は中程度。安全域を測る。正当化 PER は 11.0 倍(g 1.0%、RONIC 16.2%、k 9.5%、moat は weak)で、中立にそのまま置いた。確率で重ねた総合は、今の時価総額とほぼ同じ。結論は「適正」。
何で稼ぐ会社か
2025 年の総収益 143.0 億ドルは、Brands(先発ブランド)91.8 億ドル(横ばい、為替・売却を除くと +3%)と Generics(後発薬)50.7 億ドル(−8%)に分かれ、地域では先進国 85.1 億、大中華圏 23.3 億(+8%)、新興国 22.1 億、日本・豪州・ニュージーランド(JANZ)11.9 億ドル(−11%)。主力ブランドは、リピトール 15.5・ノルバスク 7.1・リリカ 4.9・エピペン 4.7・バイアグラ 4.1・セレブレックス 2.7・ユペリ 2.7 億ドル。リピトールとノルバスクは中国・新興国の売上も大きく(比率は開示なし)、中国の数量重視の入札(VBP)が価格を決める。
稼ぎ方は 3 層。第 1 層は特許の切れた先発ブランドで、医師・患者の信頼と販売網が残り、後発薬が入っても数量の落ち方が緩やか(ブランドの粘り)。第 2 層は後発薬で、多数の品目・各国の製造網を持つ規模の経済で稼ぐが、米国・欧州の入札と集約で単価が毎年下がる。第 3 層は複合・特殊製剤(エピペンの自己注射、ユペリの吸入、低用量エストロゲン貼付剤、日本のネフェコン)と新製品で、2025 年の新製品は 3.2 億ドル、2026 年は 4.5〜5.5 億ドルの見込み(同社)。
2022 年のバイオシミラーをバイオコンへ売却(30 億ドル)、2024 年の OTC(クーパー)・女性の健康・API の売却で整理は終わった。2026 年の売却は Tyrvaya(ハロー社へ。前払い 0.3 億ドルと最大 0.7 億ドルのマイルストーン)と、バイオコン株(7 月、税引き前約 3.8 億ドル)のみ。2026 年のガイダンス(中央値)は売上 147.5 億・調整後 EBITDA 44.0 億・FCF 22.0 億ドル。2026 年 3 月の投資家向け説明会では、2030 年までに売上 +3〜4%・調整後 EBITDA +4〜5%(セラトグレル・セネリモドと買収を含めると 5〜6%・7〜8%)を掲げ、約 4 億ドルのコスト削減(2028 年末)と 110 億ドル超の使える現金を示した。なお、この分析の売上と利益は会社のこの目標より慎重に置いている。
優良さと弱いところ
堀は広くない。強みは 3 つ。第 1 に規模:世界の広い販売網と、後発薬・先発ブランド・特殊製剤を 1 社で出せること(調達と製造の規模)。第 2 に、リピトール・ノルバスクのように特許が切れても患者が替えにくい処方の慣性(ブランドの粘り)。第 3 に現金創出力:調整後 EBITDA 41.6 億ドルのうち設備投資は 4 億ドル前後と軽く、FCF が売上の 15% に達する。
弱みは明確で、価格を決める力が小さい。後発薬は分散した競争で、テバ(Teva)・サンド(Sandoz)・サン・ファーマ(Sun Pharma)と、世界の入札で毎年値下がりを受け入れる側にある。競合と比べると、サンドの調整後 EBITDA 率は約 21%(同社の 2025 年見通し)、テバの調整後営業利益率は約 27%(2027 年に 30% を目標)、サン・ファーマは EBITDA 率約 30%(2026 年 3 月期)。ヴィアトリスの 29% は競合の中位だが、売上の伸びは競合より低い(サンドは 2026 年に中高 1 桁、サン・ファーマは約 12% 成長)。資本効率は帳簿で見ると低く、2025 年の ROE は −23.9%(減損)。2022〜2024 年も 10%・0%・−3%。これは合併で積んだのれん(2025 年末 67.5 億ドル)と無形資産(151.0 億ドル)が自己資本の大半を占めるため。
経営の弱点は 3 つ。第 1 に、合併後に品質問題(インドール・ナシク)と火災が続き、現場の統制が弱い。第 2 に、2025 年は調整後 EBITDA が前年比 −11% で、インドールの影響を吸収できなかった。第 3 に、2025 年にのれんを 29.4 億ドル減損し、合併時の価値評価が甘かったことを示した。強みの現金創出力は本物で、2026 年は 6 月に満期の債務 9 億ドルを返済し、保有していたバイオコン株の売却(税引き前約 3.8 億ドル)も済ませた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
後発薬は、米国(処方の約 9 割が後発薬)で価格が毎年 2〜5% 下がり、欧州は入札と集約で下がる。物価が年 3.5% なので実質では 6〜8% の値下がりで、この分析は後発薬の価格を 10 年で 0.82 倍(年 −2%、中立)に置いた。原材料と人件費は物価で上がるので、利益率を保つにはコスト削減(会社は約 4 億ドル)が要る。米国の薬剤給付管理(PBM)の大手 3 社が購買を握り、薬価の最恵国待遇と関税の議論も後発薬の価格の下押しになる。新規参入が多い品目(インドの製造会社)ほど値崩れが激しい。
先発ブランドは、特許切れ後も数量が緩やかに減る。リピトールとノルバスクは中国の入札(VBP)、新興国の為替・価格統制、欧州の参照価格制度の影響を受け、価格は物価に追いつかない。この分析は先発ブランドの価格を 10 年で 1.05 倍(年 +0.5%)、数量を 0.90 倍(年 −1%)とした。エピペンは 2025 年に前年比 +20%(4.7 億ドル)だが、競合の自己注射器の参入と薬価が下押しする。
インドの工場は、同社の最大の変数。インドール(経口固形剤)は 2024 年に FDA の警告状と輸入警告を受け、11 品目が米国へ輸入できない(供給不足の 4 品目は例外)。2025 年に約 3.7 億ドルの減収。同社は 2026 年に再査察を見込む(時期は FDA が決める)。ナシクも 2026 年 2 月の火災と 5 月の査察(Form 483)で下期 1〜1.5 億ドルの影響。再査察が通れば、止まった品目の売上が戻るが、通らなければ追加の警告と減収になる。
中国(売上 23.3 億ドル、+8%)は、入札の価格圧力と数量の拡大が併存する。日本ではネフェコンの第 3 相が良好で、ピトリサントとエフェクサー(全般不安障害)の追加を進める。業界ノートの置き方(ヴィアトリス:売上 年 −1%、数量 +2%・価格 −3%)に対し、この分析の中立は年 +1.5%(143.0 → 165 億ドル)で、ノートよりやや高い。新製品(2035 年に 21 億ドル)とエピペン・ユペリの伸びを含むため。ノートの置き方は悲観寄りの筋書き(やや悲観:年 −1%)に近い。
資本政策と M&A
2025 年末の純負債は 132 億ドル(有利子負債 147・現金 14)、名目債務は 2026 年 6 月で 129.5 億ドル。グロスのレバレッジは 2.9 倍で、目標は 2.8〜3.2 倍。2026 年 6 月に満期の 9 億ドルを返し、€6.5 億(2033 年満期、4.25%)で一部を借り換えた。借金は借り換えで約 5.75% に上がる前提(新しい金利)で、純利益に利払いの増加を入れた。
還元は、配当(年約 5.6 億ドル)と自社株買い。2026 年は 8 月 5 日までに約 5.5 億ドル(自社株買い 2.7 億ドル)を還元し、自社株買い枠は約 7.3 億ドル残る。この分析では、純負債が調整後 EBITDA の 2 倍を下回るまでは借金の返済を優先し、それを下回れば余った現金を自社株買いに回すと置いた(会社の目標は 2.8〜3.2 倍で、これより保守的)。還元(payout)は、配当と自社株買いから株式報酬(年約 2 億ドル)による希薄化を引いた正味。中立では 10 年で 237 億ドル。
買収の歴史は、2020 年の合併(アップジョン+マイラン)、2022 年のバイオコン・バイオロジクスへの売却、2024 年の OTC・女性の健康・API の売却。投資家向け説明会では「事業開発(BD)」を最大 110 億ドルの現金の使い道に挙げるので、再び大型買収に動く懸念がある。この分析の中立は買収を置かない(成立していないため)。株式報酬は年約 2 億ドル(GAAP の費用に含む)。再編費用(EWSR)は税引き前 7〜8.5 億ドル(2026〜2027 年に集中)で、約 6〜7 億ドルの削減効果を狙う。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ヴィアトリスの利益は、会計上の償却と一時費用で実力より小さく見えている。2026 年の調整後 EBITDA は 44 億ドル(中央値)、FCF は 22 億ドルで、時価総額の約 10% に当たる。償却が 2032 年前後に 8 億ドルまで減れば、GAAP の純利益も 25 億ドル超に戻る。
新製品が育つ。低用量エストロゲン貼付剤 Gwyn Lo(2026 年後半に発売)、速効メロキシカム(2026 年 12 月 27 日に FDA の審査期限)、フェリックカルボキシマルトース注射剤、日本のネフェコン・ピトリサント。2026 年の新製品売上 4.5〜5.5 億ドルが 2028 年に 10 億ドルを超える。さらに、イドルシアの不眠症薬 Quvivq の共同販促(イタリア・カナダ)、セラトグレル(急性心筋梗塞の自己注射薬)・セネリモド(SLE)の第 3 相が成功すれば、特殊製剤が 2035 年に売上の 2 割を占め、利益率が上がる。
供給問題は一過性。インドールは 2025 年の改善で 2026 年に再査察、再開すれば 11 品目の売上が戻る(2025 年は約 3.7 億ドルの減収)。ナシクの火災の影響は下期 1〜1.5 億ドルで終わる。大中華圏は +8% で、中国の入札でも数量で補える。コスト削減(約 4 億ドル)と再編(年 6〜7 億ドルの効果)で利益率が上がる。借金は返済と新しい金利で 2028 年に 2 倍を割り、自社株買いが増える。
慎重な見方
売上は 2023 年の 154 億ドルから 2025 年の 143 億ドルへ、2 年で 7% 減った。先進国の後発薬と JANZ(−11%)が減り、価格の下落を数量で補えていない。2026 年のガイダンスが上方修正されても、内訳は先進国の先発ブランド・中国・為替で、後発薬の構造は変わらない。
インドールの輸入警告は 2024 年から続き、2026 年の再査察の時期は FDA が決める。ナシクの火災と Form 483 も出て、同社の最大の供給拠点 2 つが同時に不安定。追加の警告状や輸入警告に発展すれば、売上の 5〜8 億ドルを失う。中国の入札、米国の薬価(最恵国待遇・関税)、欧州の集約で、後発薬の価格は物価に追いつかず、実質で毎年 5% 以上下がる。
利益の質も悪い。GAAP は 2023 年 0、2024 年 −6 億、2025 年 −35 億ドルで、2025 年に のれんを減損した。償却が 8 億ドルまで減ると言っても、それは過去に高く買った証拠にすぎない。純負債 132 億ドルは時価総額の 6 割で、売上が減れば調整後 EBITDA の 2.9 倍のレバレッジが重くなる。事業開発に 110 億ドルを使うとの説明は、再び価値を壊す買収の予告にも読める。ROE は帳簿で 2022〜2025 年に 10%、0%、−3%、−24% と、資本を増やすほど利益が減っている。
どちらに重みを置いたか
価格の下落と供給問題は慎重な見方が強く、現金創出力と償却の減少は強気の見方が強い。中心を中立(34%)に置き、やや悲観・悲観を合計 40% と厚くした。理由は、後発薬の価格の下落が確実で、インド工場の問題が 2 つに増え、買収で価値を壊した過去があるため。倍率はこの筋書き自身の g の正当化 PER(k 9.5%)で置いた。中立は 11.0 倍で、今の PER に寄せていない。ただし価値の大半は FCF の継続と償却の減少に依存するので、確信度は中程度。確率で重ねた総合は、今の時価総額とほぼ同じ(+0.4%)。結論は「適正」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 19.82 ドル232 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 16.91 ドル198 億ドル)。 今の値に割り戻すと 18.74 ドル219 億ドル、今との差 +1.4%、 期待の年率 +7.1%(資本コスト 9.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 44.31 ドル519 億ドル | 31.56 ドル370 億ドル | +310.5% | +15.2% | 6.07 ドル71 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 29.66 ドル347 億ドル | 24.35 ドル285 億ドル | +192.3% | +11.3% | 9.72 ドル114 億ドル |
| 中立 | 34% | 22.25 ドル261 億ドル | 20.21 ドル237 億ドル | +129.8% | +8.7% | 14.44 ドル169 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 11.24 ドル132 億ドル | 10.68 ドル125 億ドル | +18.6% | +1.7% | 5.92 ドル69 億ドル |
| 悲観 | 13% | 2.59 ドル30 億ドル | 1.92 ドル23 億ドル | −75.6% | −13.2% | 0.59 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 19.82 ドル232 億ドル | 16.91 ドル198 億ドル | +98.8% | +7.1% | 36.73 ドル430 億ドル |
今の株価時価総額 18.48 ドル216 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:セネリモド・セラトグレルが成功し、特殊製剤が柱になる 利益 40 億ドル · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 44.31 ドル519 億ドル
新製品が当たれば特殊製剤の利益率は 5 割を超え、全社の貢献利益率が 35% に上がる(競合のサン・ファーマの EBITDA 率約 30% を上回る)。当たらなければ後発薬の 27% のまま。2035 年、セネリモド(SLE)とセラトグレル(急性心筋梗塞の自己注射)が承認され、新製品・開発品が 38.4 億ドルに育つ(特殊製剤全体で売上の 3 割弱)。中国で数量が伸びて大中華圏は 36.3 億ドル、複合・特殊製剤は 23.1 億ドル、後発薬は 52.5 億ドル、先発ブランドは 68.8 億ドル。売上 219.1 億ドル(2025 年の 1.5 倍)、貢献利益 77.3 億ドル、償却が 9 億ドルまで減った営業利益 60.0 億ドル、純利益 40.4 億ドル。純負債の 2 倍を保つので、自社株買いが年 10 億ドルを超え、10 年の正味の還元は 369.5 億ドル。長期の g は 2.5%。倍率は、この筋書き自身の g(2.5%)の正当化 PER(k 9.5%)12.8 倍をそのまま置く(g 4% の上限 15.3 倍の 8 割強)。特許切れブランドと後発薬の会社で g が低い。
- 特許切れ先発ブランド(リピトール・ノルバスク・リリカ・バイアグラ・セレブレックスなど。大中華圏を除く):数量 5.1(処方・用量単位数(億単位。1 単位=患者の 1 か月分の調剤に近い。推定))× 価格 13(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 69 億ドル・営業利益 30 億ドル。信頼が残る
- 大中華圏(ブランド中心・後発薬を含む):数量 6.7(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 5.46(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 36 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量が大きく伸びる
- 複合・特殊製剤(エピペン・ユペリ・エフェクサー・Dymista(点鼻剤)・ネフェコン・貼付剤など):数量 0.3(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 68(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 23 億ドル・営業利益 9 億ドル。新しい貼付剤・日本で拡大
- 後発薬(先進国・新興国・日本。大中華圏を除く):数量 7.0(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 7.51(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 53 億ドル・営業利益 16 億ドル。再開と新規品目
- 新製品・開発品(2025 年発売の新製品・Gwyn Lo・速効メロキシカム・セネリモド・セラトグレルなど):数量 1.3(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 30(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 38 億ドル・営業利益 11 億ドル。セネリモド等が成功
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)をこの筋書き自身の g で置く。事業の ROE 55.3%(のれんを除いた帳簿の自己資本が小さい(自社株買いと償却で縮んだ)ので、帳簿の値でなく ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.3%)× 純負債 ÷ 自己資本(1 倍まで)で出した値。ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本 + 純負債))は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 24.8%(堀は弱い)。g は 2.5%(市場の実質 +1.5% × シェア −1.0%(後発薬の値下がりと特許切れ)× 価格(名目)+0.5%。上限の 4% よりずっと低いこの筋書き自身の値)。正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.8 倍。g が低いので上限(g 4% の式 15.2 倍)の 84% に収まり、この式の値をそのまま置いた(楽観でも売上が伸びず、特許切れと価格の下落が続くので式の値の上は取らない)。時価総額 = 純利益 40.4 億ドル × 12.8 倍 = 518.7 億ドル。純利益は GAAP(償却・株式報酬は費用)。純負債は倍率の外で、利払いは純利益に入っている。
確率:セネリモド(SLE)とセラトグレル(急性心筋梗塞)が成功し、インド工場が復旧し、中国で数量が伸びる展開。この会社の過去の実績(合併後の目標の未達)を考えると 8%。
やや楽観 18% やや楽観:新製品が 2 本育ち、償却の減少が利益に出る 利益 30 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 29.66 ドル347 億ドル
新製品が 2 本当たると貢献利益率は 33%、競合のサン・ファーマ(約 30%)に並ぶ。入札で競合に負けた分は数量で補う。2035 年、新製品のうち 2 本(速効メロキシカム・セネリモド)が成功して 26.9 億ドル。大中華圏は 29.6 億ドル、複合・特殊製剤は 20.3 億ドル、後発薬は 46.8 億ドル(インドールの復旧と数量の増加)、先発ブランドは数量が緩やかに減り 63.6 億ドル。売上 187.2 億ドル(2025 年の 1.3 倍)、貢献利益 61.1 億ドル、営業利益 44.6 億ドル、純利益 29.5 億ドル。10 年の正味の還元は 285.1 億ドル。長期の g は 1.8%。倍率は、この筋書き自身の g(1.8%)の正当化 PER(k 9.5%)11.8 倍をそのまま置く(g 4% の上限 14.4 倍の 8 割強)。
- 特許切れ先発ブランド(リピトール・ノルバスク・リリカ・バイアグラ・セレブレックスなど。大中華圏を除く):数量 4.9(処方・用量単位数(億単位。1 単位=患者の 1 か月分の調剤に近い。推定))× 価格 13(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 64 億ドル・営業利益 27 億ドル。緩やかに減る
- 大中華圏(ブランド中心・後発薬を含む):数量 5.8(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 5.13(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 30 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量で価格を補う
- 複合・特殊製剤(エピペン・ユペリ・エフェクサー・Dymista(点鼻剤)・ネフェコン・貼付剤など):数量 0.3(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 66(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 20 億ドル・営業利益 7 億ドル。ユペリ・貼付剤
- 後発薬(先進国・新興国・日本。大中華圏を除く):数量 6.6(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 7.09(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 47 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量が戻る
- 新製品・開発品(2025 年発売の新製品・Gwyn Lo・速効メロキシカム・セネリモド・セラトグレルなど):数量 1.0(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 28(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 27 億ドル・営業利益 4 億ドル。2 本が成功
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)をこの筋書き自身の g で置く。事業の ROE 38.8%(のれんを除いた帳簿の自己資本が小さい(自社株買いと償却で縮んだ)ので、帳簿の値でなく ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.3%)× 純負債 ÷ 自己資本(1 倍まで)で出した値。ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本 + 純負債))は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 19.3%(堀は弱い)。g は 1.8%(市場の実質 +1.5% × シェア −1.0%(後発薬の値下がりと特許切れ)× 価格(名目)+0.5%。上限の 4% よりずっと低いこの筋書き自身の値)。正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.8 倍。g が低いので上限(g 4% の式 14.4 倍)の 82% に収まり、この式の値をそのまま置いた(やや楽観でも伸びは小さく、式の値の上は取らない)。時価総額 = 純利益 29.5 億ドル × 11.8 倍 = 347.2 億ドル。純利益は GAAP(償却・株式報酬は費用)。純負債は倍率の外で、利払いは純利益に入っている。
確率:新製品のうち 2 本が成功し、インド工場が復旧し、価格の下落が想定内(後発薬 年 −1.5%)に収まる展開。会社の 2030 年の基本目標(売上 年 +3〜4%)に近いが、やや低いので 18%。
中立 34% 中立:売上は微増、償却の減少と現金が還元に回る 利益 24 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 22.25 ドル261 億ドル
貢献利益率は 31%(2025 年は 29%)、後発薬 27.5%・先発ブランド 41.5%。サンドの約 21% より高く、テバの約 27%(目標 30%)と同じ水準で、価格の下落をコスト削減が相殺する。2035 年、新製品・開発品は 2026 年の見通しの約 4 倍の 20.8 億ドル。大中華圏は価格が年 −3.2% でも数量で 24.3 億ドル、複合・特殊製剤は 17.7 億ドル、後発薬は価格が 10 年で 0.82 倍・数量が 1.25 倍で 42.7 億ドル、先発ブランドは数量が年 −1% で 59.8 億ドル。売上 165.4 億ドル(2025 年の 1.16 倍)、貢献利益 51.9 億ドル、営業利益 36.1 億ドル(償却が 8 億ドルに減る)、純利益 23.6 億ドル。10 年の正味の還元は 236.6 億ドル。大型買収は置かない。長期の g は 1.0%。倍率は、この筋書き自身の g(1.0%)の正当化 PER(k 9.5%)11.0 倍をそのまま置く(g 4% の上限 13.7 倍の 8 割)。堀は弱い(moat=weak)。
- 特許切れ先発ブランド(リピトール・ノルバスク・リリカ・バイアグラ・セレブレックスなど。大中華圏を除く):数量 4.7(処方・用量単位数(億単位。1 単位=患者の 1 か月分の調剤に近い。推定))× 価格 13(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 60 億ドル・営業利益 25 億ドル。数量が年 1% 減
- 大中華圏(ブランド中心・後発薬を含む):数量 5.1(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 4.79(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 24 億ドル・営業利益 8 億ドル。価格が年 3% 下がる
- 複合・特殊製剤(エピペン・ユペリ・エフェクサー・Dymista(点鼻剤)・ネフェコン・貼付剤など):数量 0.3(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 63(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 18 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量が伸びる
- 後発薬(先進国・新興国・日本。大中華圏を除く):数量 6.3(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 6.84(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 43 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量増・価格減
- 新製品・開発品(2025 年発売の新製品・Gwyn Lo・速効メロキシカム・セネリモド・セラトグレルなど):数量 0.8(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 26(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 21 億ドル・営業利益 1 億ドル。発売品が積み上がる
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)をこの筋書き自身の g で置く。事業の ROE 29.7%(のれんを除いた帳簿の自己資本が小さい(自社株買いと償却で縮んだ)ので、帳簿の値でなく ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.3%)× 純負債 ÷ 自己資本(1 倍まで)で出した値。ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本 + 純負債))は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 16.2%(堀は弱い)。g は 1.0%(市場の実質 +1.5% × シェア −1.0%(後発薬の値下がりと特許切れ)× 価格(名目)+0.5%。上限の 4% よりずっと低いこの筋書き自身の値)。正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.0 倍。g が低いので上限(g 4% の式 13.7 倍)の 81% に収まり、この式の値をそのまま置いた(中立は後発薬の価格が毎年下がり、償却が減って利益が戻る程度の筋書き)。時価総額 = 純利益 23.6 億ドル × 11.0 倍 = 260.5 億ドル。純利益は GAAP(償却・株式報酬は費用)。純負債は倍率の外で、利払いは純利益に入っている。
確率:議論の落としどころ。売上は年 +1.5%(会社の目標 3〜4% より低い)、新製品が一部成功、価格の下落は後発薬で年 −2%。インド工場は復旧するが再発もある。最大の確率として 34%。
やや悲観 27% やや悲観:価格の下落が続き、売上が縮む 利益 13 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 11.24 ドル132 億ドル
競合(テバ・サンド・サン・ファーマ)との入札で値下がりが続き、後発薬の利益率が 23.5% まで落ちる(サンド並み)。新製品の貢献も小さい。2035 年、新製品は 1 本のみ成功して 14.0 億ドル。大中華圏は価格が 4 割下がり 18.1 億ドル、複合・特殊製剤は競合で 14.5 億ドル、後発薬は価格が 10 年で 0.72 倍(年 −3%)・数量はほぼ横ばいで 32.4 億ドル、先発ブランドは数量が 2 割減り 50.9 億ドル。売上 129.8 億ドル(2025 年の 0.91 倍)、貢献利益 36.3 億ドル、営業利益 20.2 億ドル、純利益 12.5 億ドル。2029 年に減損 8 億ドル。10 年の正味の還元は 125.0 億ドル。長期の g は 0%。倍率は、g が 0% なので正当化 PER は 1 ÷ k = 10.5 倍で、これをそのまま置く。
- 特許切れ先発ブランド(リピトール・ノルバスク・リリカ・バイアグラ・セレブレックスなど。大中華圏を除く):数量 4.3(処方・用量単位数(億単位。1 単位=患者の 1 か月分の調剤に近い。推定))× 価格 12(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 51 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量が 2 割減る
- 大中華圏(ブランド中心・後発薬を含む):数量 4.4(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 4.13(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。価格が 4 割下がる
- 複合・特殊製剤(エピペン・ユペリ・エフェクサー・Dymista(点鼻剤)・ネフェコン・貼付剤など):数量 0.2(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 60(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 15 億ドル・営業利益 5 億ドル。競合で伸び鈍化
- 後発薬(先進国・新興国・日本。大中華圏を除く):数量 5.4(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 6.00(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 32 億ドル・営業利益 8 億ドル。価格が 3 割下がる
- 新製品・開発品(2025 年発売の新製品・Gwyn Lo・速効メロキシカム・セネリモド・セラトグレルなど):数量 0.6(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 25(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 14 億ドル・営業利益 −2 億ドル。1 本のみ成功
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)をこの筋書き自身の g で置く。事業の ROE 14.1%(のれんを除いた帳簿の自己資本が小さい(自社株買いと償却で縮んだ)ので、帳簿の値でなく ROIC +(ROIC − 借入金利の税引き後 4.3%)× 純負債 ÷ 自己資本(1 倍まで)で出した値。ROIC = 税引き後営業利益 ÷(自己資本 + 純負債))は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 11.0%(堀は弱い)。g は 0.0%(市場の実質 +1.5% × シェア −1.0%(後発薬の値下がりと特許切れ)× 価格(名目)+0.5%。上限の 4% よりずっと低いこの筋書き自身の値)。正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 10.5 倍。g が低いので上限(g 4% の式 11.6 倍)の 91% に収まり、この式の値をそのまま置いた(やや悲観は g が 0%(売上が横ばい)で、ROE が高くても 1 ÷ k が式の値)。時価総額 = 純利益 12.5 億ドル × 10.5 倍 = 131.6 億ドル。純利益は GAAP(償却・株式報酬は費用)。純負債は倍率の外で、利払いは純利益に入っている。
確率:価格の下落が後発薬で年 −3% に達し、新製品が 1 本のみ成功、インド工場の問題が部分的に残る展開。合併後の実績(売上が 2 年で 7% 減)の延長で置けるので 27%(中立より厚い)。
悲観 13% 悲観:供給拠点の問題が長引き、価格の下落で構造的に縮む 利益 3 億ドル · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 2.59 ドル30 億ドル
競合に数量を取られ、後発薬の利益率が 15%(赤字に近い)まで下がる。先発ブランドも患者が離れて 38% に低下する。2035 年、インド工場の問題が長引き、後発薬は 23.8 億ドル、先発ブランドは数量が 2 割強減って 46.9 億ドル、大中華圏は価格が半減して 14.1 億ドル、複合・特殊製剤は 10.3 億ドル、新製品はほぼ失敗で 7.7 億ドル。売上 102.8 億ドル(2025 年の 0.72 倍)、貢献利益 24.5 億ドル。2028 年と 2031 年に計 45 億ドルを減損し、純利益は 3.2 億ドル。配当を 2030 年から半減し自社株買いは止め、10 年の正味の還元は 22.5 億ドル。長期の g は −1.5%。
- 特許切れ先発ブランド(リピトール・ノルバスク・リリカ・バイアグラ・セレブレックスなど。大中華圏を除く):数量 4.1(処方・用量単位数(億単位。1 単位=患者の 1 か月分の調剤に近い。推定))× 価格 11(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 47 億ドル・営業利益 18 億ドル。数量が 2 割強減る
- 大中華圏(ブランド中心・後発薬を含む):数量 3.9(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 3.66(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 14 億ドル・営業利益 4 億ドル。価格が半減
- 複合・特殊製剤(エピペン・ユペリ・エフェクサー・Dymista(点鼻剤)・ネフェコン・貼付剤など):数量 0.2(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 52(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。競合・薬価で下落
- 後発薬(先進国・新興国・日本。大中華圏を除く):数量 4.8(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 5.00(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 24 億ドル・営業利益 4 億ドル。価格が 4 割下がる
- 新製品・開発品(2025 年発売の新製品・Gwyn Lo・速効メロキシカム・セネリモド・セラトグレルなど):数量 0.3(処方・用量単位数(億単位。推定))× 価格 24(1 単位あたり純売上(米ドル。推定))→ 売上 8 億ドル・営業利益 −4 億ドル。ほぼ失敗
倍率:悲観は稼ぐ力で置く(市場の PER・PBR は使わない)。2035 年は純利益 3.2 億ドル(GAAP。償却 8.0 億ドル・株式報酬 2.0 億ドルを費用に含み、純負債 58 億ドルの利払いを含む。税率 24%)。この筋書きの ROE(帳簿 6.9%、のれん減損後)は k 9.5% 以下なので、正当化 PER は 1 ÷ k = 10.5 倍が上限で、その 9 割の 9.5 倍に置いた。g は −1.5%(市場の実質 +1.0% × シェア −2.0% × 価格(名目)−0.5%)で、ためた利益は元の額より小さい価値になる。時価総額 = 純利益 3.2 億ドル × 9.5 倍 = 30.3 億ドル(純負債は倍率の外で、利払いは純利益に入っている)。EV(時価総額 + 純負債 58 億ドル)で見ても営業利益 8.0 億ドルの約 11 倍で、借金が価値の大半を食う筋書き。
確率:インド工場の問題が長引き(追加の警告)、中国と米国の価格が崩れ、買収の失敗とのれんの再減損で、事業が構造的に縮む展開。調整後 EBITDA が 2025 年の 6 割。13%(10 年の悲観は構造的な負け)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
特許切れ先発ブランド(リピトール・ノルバスク・リリカ・バイアグラ・セレブレックスなど。大中華圏を除く)
特許が切れても処方の慣性で残る先発ブランド群。先進国・新興国・日本で売る。
| 数量処方・用量単位数(億単位。1 単位=患者の 1 か月分の調剤に近い。推定) | 価格1 単位あたり純売上(米ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5.3 | 12 | 63 | 26 |
| 10 年後 中立 | 4.7 | 13 | 60 | 25 |
取り方:2025 年の Brands 91.8 億ドルから、大中華圏のブランド(約 17 億ドル)と複合・特殊製剤(約 11.5 億ドル)を除いた約 63.3 億ドル。主力はリピトール 15.5 億(中国を含む)・ノルバスク 7.1 億・リリカ 4.9 億・バイアグラ 4.1 億・セレブレックス 2.7 億ドル。開示が無いので数量は、5.3 億単位(推定)× 1 単位約 12 米ドル(推定)で分解した。営業利益は売上原価・販売費・研究開発の配賦を引き、償却・株式報酬・再編を引く前の貢献利益(約 41%、推定)。価格は物価(10 年 1.41 倍)に追いつかず中立で 10 年 1.05 倍:米国の割戻しと薬価の下押し、欧州の参照価格、新興国の価格統制で名目の値上げが年 0.5% にとどまる。数量は市場(高齢化で +1.5%)に対し、後発薬への切り替えでシェアを年 2.5% 失い、差し引き年 −1%。
大中華圏(ブランド中心・後発薬を含む)
中国の入札(VBP)で売るリピトール・ノルバスクなどのブランドと後発薬。
| 数量処方・用量単位数(億単位。推定) | 価格1 単位あたり純売上(米ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.5 | 6.66 | 23 | 7 |
| 10 年後 中立 | 5.1 | 4.79 | 24 | 8 |
取り方:2025 年の大中華圏の純売上 23.3 億ドル(前年比 +8%、2026 年第 2 四半期は +21%)。ブランド約 17 億、後発薬約 6.3 億ドル(推定)。開示が無いので、3.5 億単位(推定)× 1 単位約 6.7 米ドル(推定)と置いた。貢献利益率は約 32%(推定)。価格は中国の数量重視の入札(VBP)で毎年下がり、10 年 0.72 倍(年 −3.2%、中立)。数量は医療アクセスの拡大で市場が年 +4%、ヴィアトリスのシェアは入札で落ちるブランドと残るブランドの差し引きで年 +0%、年 +3.8% としたので、10 年 1.45 倍。物価(1.41 倍)より価格が低い理由は入札の構造で、中国の物価は日米より低い。
複合・特殊製剤(エピペン・ユペリ・エフェクサー・Dymista(点鼻剤)・ネフェコン・貼付剤など)
自己注射器・吸入薬・貼付剤などの複合製剤と、日本・欧州の希少薬。
| 数量処方・用量単位数(億単位。推定) | 価格1 単位あたり純売上(米ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.2 | 58 | 12 | 4 |
| 10 年後 中立 | 0.3 | 63 | 18 | 6 |
取り方:2025 年は約 11.5 億ドル(推定。エピペン 4.7 億・ユペリ 2.7 億ドルを含み、残りは貼付剤・日本の製品・点鼻剤など)。数量は 0.2 億単位(2,000 万単位、推定)× 1 単位約 57.5 米ドル(推定)。貢献利益率は約 34%(推定)。後発薬と違い後発品の参入に時間がかかる(複合製剤の製造の難しさ)ので、価格は 10 年 1.10 倍(年 +1%)と物価(1.41 倍)を下回りつつ上がる:自己注射器の競合の参入と薬価の下押しがあるため。数量は市場(年 +2.5%)に対しユペリの伸びと新しい貼付剤でシェアが維持され年 +3.4%、10 年 1.40 倍。
後発薬(先進国・新興国・日本。大中華圏を除く)
世界の多数の品目の後発薬。米国・欧州の入札と集約で単価が毎年下がる。
| 数量処方・用量単位数(億単位。推定) | 価格1 単位あたり純売上(米ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5.0 | 8.34 | 42 | 10 |
| 10 年後 中立 | 6.3 | 6.84 | 43 | 12 |
取り方:2025 年の Generics 50.7 億ドルから、大中華圏の後発薬(約 6.3 億ドル)と新製品(約 3.2 億ドル)を除いた約 41.7 億ドル。開示が無いので、5.0 億単位(推定)× 1 単位約 8.3 米ドル(推定)と置いた。貢献利益率は約 25%(推定。サンドの EBITDA 率約 21%、テバ約 27% の間)。価格は物価(10 年 1.41 倍)を大きく下回る中立で 10 年 0.82 倍(年 −2%):米国・欧州の入札と集約、新規参入(インドの製造会社)、薬価政策による。数量は市場(高齢化で年 +1.5%)に対し、インドールの 11 品目の再開で一部が戻り、シェアは年 +0.5%、年 +2.2%、10 年 1.25 倍とした。
新製品・開発品(2025 年発売の新製品・Gwyn Lo・速効メロキシカム・セネリモド・セラトグレルなど)
2025 年以降に発売する新製品と、後期開発品(セネリモド・セラトグレル)。研究開発費はここに置く。
| 数量処方・用量単位数(億単位。推定) | 価格1 単位あたり純売上(米ドル。推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.2 | 20 | 3 | −6 |
| 10 年後 中立 | 0.8 | 26 | 21 | 1 |
取り方:2025 年の新製品売上 3.2 億ドル(会社開示 3.24 億)。数量は 0.16 億単位(推定)× 1 単位約 20 米ドル(推定)と置いた。営業利益は、新製品の貢献利益(約 32%)から会社全体の研究開発費(約 7 億ドル、推定)を引いた赤字(−5.98 億ドル)。2026 年の会社見通しは 4.5〜5.5 億ドル、2026 年 7 月に Gwyn Lo、12 月に速効メロキシカムの審査期限、2026 年末からセネリモド・セラトグレルの第 3 相の読み出しが続く。価格は新製品なので、中立で 10 年 1.30 倍(物価 1.41 倍よりやや低い:特殊製剤と後発薬の混合)。数量は発売で 2035 年に 5 倍(中立)。
リスクと懸念
インド工場(インドール・ナシク)の供給停止
インドールは 2024 年から FDA の警告状と輸入警告で 11 品目が米国へ輸入できず、2025 年に約 3.7 億ドルの減収。ナシクは 2026 年 2 月の火災と 5 月の査察(Form 483)で下期 1〜1.5 億ドルの影響。再査察が通らず追加の警告に発展すれば、売上の 5〜8 億ドルを失い、他の市場(新興国の ARV・欧州の後発薬)にも波及する。
価格の下落(後発薬・中国の入札・米国の薬価)
後発薬は米国・欧州の入札と集約で毎年 2〜5% 下がり、物価 3.5% を考えると実質で 5〜8% の値下がり。中国の入札(VBP)、米国の薬価の最恵国待遇・関税の議論、PBM 大手 3 社の購買力が重なる。この分析の中立は後発薬の価格を 10 年 0.82 倍(年 −2%)に置くが、悲観では 0.60 倍(年 −5%)まで下がる。
借金の重さと金利
純負債 132 億ドルは時価総額の 60.6% で、調整後 EBITDA の 2.9 倍(グロス)。借り換えで平均 4% 台の金利が 5.75% に上がり、10 年で純利益を約 2 億ドル減らす。売上が減ると、レバレッジが重くなり、配当・自社株買いが縮む。
のれん・無形資産の減損
のれん 67.5 億ドル・無形資産 151.0 億ドルが自己資本 147 億ドルの 1.5 倍で、2025 年に 29.4 億ドルを減損した。さらなる減損は現金の流出ではないが、GAAP の純利益と自己資本を削り、悲観では 2028 年と 2031 年に計 45 億ドルを置いた。
買収・事業開発(BD)で価値を壊す
説明会は 2030 年までの使える現金 110 億ドル超の使い道に BD を挙げ、セラトグレル・セネリモドの承認後の買収・導入も示唆する。合併後の実績(のれんの減損 2 回)を考えると、割高な買収は価値の破壊になりうる。この分析の中立は買収を置いていない。
訴訟・薬価政策・関税
後発薬の価格をめぐる訴訟などが残り、2026 年第 2 四半期も訴訟・偶発債務の調整項目 1.5 億ドル(うち費用 0.7 億ドル)が出た。米国の薬価交渉(IRA)、最恵国待遇、関税は、後発薬の価格と数量に影響する。
今後の分かれ目
- インドールの輸入警告が 2027 年までに解除される
- 止まっていた 11 品目の売上(約 3.7 億ドル)が戻る。後発薬の数量が +3% 上がり、中立の確率が 10 年のやや楽観へ移る(楽観・やや楽観の確率を合計 2〜3 ポイント上げて見る)。
- インドールの再査察で追加の警告が出る、またはナシクが重い指摘(警告状)を受ける
- 売上の 5〜8 億ドルを失い、後発薬の利益率が下がる。やや悲観・悲観の確率を 10 年で合計 5 ポイント上げて見る。
- セネリモド(SLE)の第 3 相が成功する
- 特殊製剤が 2035 年に売上の 2 割を占める楽観の筋書きに近づく。楽観の確率を 8% から 12% 程度へ、新製品の売上を 2035 年に 20 億ドルから 30 億ドルへ上げて見る。
- 中国の入札で主力品の価格が 3 割以上下がる
- 大中華圏の売上が 23 億ドルから 17 億ドルへ縮み、年 −3% の価格の想定が年 −5% になる。10 年の中立の純利益が約 1 億ドル減る。
- 説明会に沿って 50 億ドル超の買収を発表する
- のれんと無形資産が増えて ROE が下がり、新しい償却が純利益を削る。買収が成立した時点で、償却と借金の増加を入れて見直す(成立するまでは入れない)。
- 調整後 EBITDA が 2026 年のガイダンス 44 億ドルを下回る
- 2026 年下期のインド工場の影響が想定より大きいという信号。10 年のやや悲観の確率を上げ、中立の売上を 2035 年に 165 億ドルから 155 億ドル程度へ下げて見る。
見ておくもの
- インドール(FDA の再査察の時期と結果、輸入警告の解除)、ナシク(火災後の再開と Form 483 への対応)
- 2026 年 11 月 5 日の第 3 四半期決算:総収益と調整後 EBITDA のガイダンス、新製品の売上(年 4.5〜5.5 億ドルに届くか)、純負債とレバレッジ(2.8〜3.2 倍)
- 速効メロキシカム(2026 年 12 月 27 日の審査期限)、Gwyn Lo の発売、セネリモド・セラトグレルの第 3 相の読み出し
- 中国の入札(VBP)の結果と大中華圏の売上の伸び(2026 年第 2 四半期は +21%)、米国の後発薬の価格の下落率
- 事業開発(買収)の発表、配当・自社株買いの方針(残りの枠約 7.3 億ドル)
- GAAP の純利益の黒字化(償却 25 億ドルと再編費用 6〜8 億ドルの減り方)
倍率と資本コストの決め方
今の株価と PERを見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC は k に、事業の ROE が k を超える分の残る割合を足した値。moat は weak)を、この会社の低い g(楽観 2.5%〜やや悲観 0%)で置いた。10 年の中立は、g 1.0%・RONIC 16.2%・k 9.5% の 11.0 倍(g を 4% とした上限の 13.7 倍の約 8 割)。今の値段には寄せていない。総合は今の時価総額とほぼ同じ(+0.4%)。結論は「適正」。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 1.16 × 5%。基本 8.0% に quality +1.5% を足して 9.5%。前は β 1.16(純負債が時価総額の 3 割を超える分を補正)で k 8.8% としていたが、v2 では β を使わず 4 つの目安で見る。需要は景気に鈍いが、価格が毎年下がる値決めの弱さ、借金の重さ(純負債 132 億ドル)、特許切れブランドが縮む構造を値決め・借金・寿命で見て、前より 0.7 ポイント高い。個別のリスク(インド工場・価格の下落・買収・中国の入札)は k に足さず、確率と悲観の深さで表した。存続が危ない会社ではない(調整後 EBITDA の 2.9 倍、FCF 22 億ドル、満期の分散)ので上乗せ(extra)は使わない。k 9.5% なので g は 4% 以下(k − g ≥ 3.5%)で、この会社は市場の伸び・シェア・価格から楽観 2.5%・やや楽観 1.8%・中立 1.0%・やや悲観 0.0%・悲観 −1.5% に置いた。
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