結論
ストライカーは、人工膝関節・股関節(手術ロボット Mako と組み合わせて売る)、骨折の固定具などの外傷・四肢、手術室の電動工具・内視鏡の映像機器、救急用ベッドと搬送機器、脳外科・耳鼻科の機器、そして 2025 年に約 49 億ドルで買ったイナリ・メディカルの血栓除去カテーテルを持つ医療機器会社である。2025 年の売上は 251 億ドル(自然増 +10.3%)、調整後の営業利益率は 26.3% で、整形(95 億ドル)とメドサージ・神経技術(157 億ドル)がほぼ 4 対 6 に並ぶ。
2026 年は 3 月 11 日のサイバー攻撃(ワイパー型)で受注・製造・出荷が止まり、第 1 四半期の利益が大きく傷んだ。第 2 四半期は自然増 +9.0%・調整後営業利益率 27.4% と戻したが、9 月には血管(イナリ)の供給の乱れが第 3 四半期も続くと CFO が述べ、株価は 6 営業日で約 16% 下がった。通期の見通し(自然増 8.3〜9.3%)は据え置かれている。
売上を 8 つの事業の数量 × 価格で積むと、中立の 2035 年は売上 462 億ドル・純利益 94.2 億ドル(利益ベースの正当化 PER 17.7 倍の 8 割の PER 14.2 倍、時価総額 約 1,334 億ドルで今の約 1.2 倍)。価格は病院の購買組織に抑えられ名目でほぼ横ばいと置いたため、成長の大半は数量で、整形の手術件数の増加・Mako のシェア・買収した血管の伸びが決める。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を約 31% 下回り「割高」。
結論を動かすのは、サイバー後の供給が戻る速さ、整形の価格が守られるか、買収の資本効率(のれんが 250 億ドルを超える)の 3 点である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ストライカーは「堀は厚いが、買収に払う値段で価値を壊しうる会社」である。10 年後も人は膝や股を替え、骨を折り、手術を受ける。Mako による囲い込みと、病院の購買で強い品ぞろえは、堀が広がる方向の材料で、価格を決める力は弱くても数量で伸びる事業の質は高い。
オーナー利益で見ると、2025 年の純利益(特別費用を除いた平年の姿)は 43 億ドル前後、現金の出ない償却が約 7 億ドル、設備投資が約 7 億ドルで、フリーキャッシュフロー 43 億ドルはほぼ純利益に見合う。ただし伸びの一部を買収で買っており、その分は利益から差し引く必要がある。事業そのものの収益(のれんを除く)は約 50% と高いが、伸びの一部を買収で買うので、倍率にはのれんを含む帳簿の自己資本 ROE(平年で約 19%、10 年後の中立は約 13.5%)を使う。
経営は、ロボット・インプラントの囲い込み、外傷・四肢の強化、血栓除去への参入と、成長の道筋を明確に描く点が優れる。一方、サイバー攻撃で全世界の受注が止まった運営の弱さ、買収したイナリの製造が復旧に半年かかっていること、自社株買いを長く止めていることは疑問である。
安全域は、中立の 10 年後の時価総額が今の約 1.2 倍、悲観で今の 5 割で、買い手に有利とは言えない。結論は、のれん込みの収益が低い会社に利益ベースの倍率(正当化 PER の 8 割)を置いた値で、「割高」。
何で稼ぐ会社か
2025 年の売上 251 億ドルは 2 つの事業からなる。
整形(95 億ドル)は、膝(27 億ドル)と股(19 億ドル)の人工関節が中心で、手術ロボット Mako が実質的な販売の入り口になる。Mako で計画した手術は同社のインプラントを使うので、ロボットを置くほどインプラントが売れる循環ができる。もう 1 つの柱は外傷・四肢(39 億ドル)で、骨折の固定具・肩や足首の関節(2020 年のライト・メディカル買収で強化)。脊椎のインプラントは 2025 年に売却し、売上は 7 億ドルから 2 億ドルへ縮み、2026 年上半期はほぼゼロになった。
メドサージ・神経技術(157 億ドル)は 5 つの事業の集まりである。器具(32 億ドル:手術室の電動工具)、内視鏡(38 億ドル:手術室の映像・カメラ・手術用機器)、メディカル(42 億ドル:病院のベッド・ストレッチャー・救急用除細動器など)、血管(20 億ドル:脳血管の治療機器とイナリの血栓除去)、神経頭蓋(25 億ドル:脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面)。
収入の多くは病院が買う使い捨て・植え込み型の製品と、手術室の設備である。数量は手術・手技の件数(高齢化で年 3〜4% 伸びる土台)と設備の更新、価格は病院の購買組織・保険との交渉で決まる。ロボットと設備は先に病院へ置き、後からインプラント・消耗品で回収するので、設置が増えた年の次の年に利益が伸びる形になる。決算期は 12 月。
優良さと弱いところ
優良さの源は 4 つある。第 1 に、Mako の囲い込み。膝・股の手術ロボットは世界で最も多く設置され、外科医の習熟とインプラントの選択が結びつくため、病院は他社のロボットへ乗り換えにくい。ストライカーは膝の市場シェアを過去 10 年で約 6.5 ポイント上げ、ジンマー・バイオメット(約 3 ポイント減)・ジョンソン・エンド・ジョンソン(約 4 ポイント減)・スミス・アンド・ネフュー(約 2 ポイント減)から取った。第 2 に、品ぞろえの広さ。手術室のベッドから内視鏡、血栓除去まで 1 社と契約できるので、病院の購買に対する交渉力が強い。第 3 に、数量の成長。2025 年の売上の伸び(自然増 +10.3%)は数量 +10.0% が中心で、価格は +0.7% にとどまり、値上げに頼らない。第 4 に、経営の安定。ケビン・ロビー氏は 2012 年から CEO(会長を兼ねる)を務め、買収の実行と利益率の改善(2022 年から約 3 ポイント)の実績がある。
弱みは 3 つ。1 つめは資本効率。のれんと無形資産が 253 億ドルで自己資本(240 億ドル)を上回り、伸びの一部を買収で買っているため、帳簿上の ROE は 14% 台にとどまる。2 つめは価格。病院・外来手術センターの購買が強く、整形の価格は名目横ばいが前提になる。3 つめは 2026 年に見えた運営の弱さ。サイバー攻撃で全世界の受注・製造が止まり、その後も血管の製造が戻らない。システムの復旧は終わったが、顧客に出せなかった分のシェアが戻るかは確かでない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
整形の人工関節は 4〜5 社の寡占である。膝・股の世界市場は約 200 億ドル(推定)で、ストライカー・ジンマー・バイオメット・ジョンソン・エンド・ジョンソン(デピュイ・シンセス)・スミス・アンド・ネフュー(加えてエノビス・メダクタが追う)が分け合う。数量は高齢化と手術の外来化で年 3〜4% 伸び、価格は病院の購買組織に抑えられて名目横ばいが業界の見通し(業界ノートの塊 A)である。ストライカーの直近の伸び(整形の自然増 2025 年 +9.5%、2026 年第 2 四半期 +8.6%)は業界の見通しを大きく上回るが、これは Mako の設置が増えた効果と外傷・四肢の強さで、業界ノートの数量 +4% をそのまま当てはめない。業界ノートと食い違う理由は、数量にシェアの獲得を足したこと(膝・股で年 +1〜2 ポイント分)である。
ロボット整形の競争では、ジンマー・バイオメット(ROSA)が 2 番手、スミス・アンド・ネフュー(CORI)が小さく、ジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys は Mako より約 56% 安く(2022 年の推定)、膝の全置換で追い上げている。価格で来る相手に Mako のブランドがどこまで耐えるかが分かれ目になる。
メドサージ・神経技術は事業ごとに競争が違う。手術室の器具・内視鏡はジョンソン・エンド・ジョンソン・メドトロニック・オリンパス・コンメッド・ストライカーの競争で、病院の設備投資に左右される。ベッド・搬送ではヒルロム、除細動器ではゾール(旭化成)・フィリップスが相手。血栓除去は、イナリが米国の肺塞栓の機械的除去を先行して開いた市場で、ボストン・サイエンティフィックなどが追う。脳血管ではメドトロニック・テルモ(マイクロベンション)・ジョンソン・エンド・ジョンソンと競う。
GLP-1 は、肥満に関連する膝・股の手術を長期では減らす可能性があるが、体重が減ると関節の摩耗が遅れる効果と、関節炎の痛みで動けなかった人が運動できるようになる効果が相殺し、数量への影響は今のところ小さい。関税は 2025 年に利益率を押し下げ、2026 年第 2 四半期には過去の関税の戻し入れ 1.58 億ドルが出た(一過性)。外来手術センターへの移行は Mako の小型化・費用の低さを求め、ここでは Velys と競合する。
資本政策と M&A
資本配分は、配当を毎年増やしながら、残りの現金を買収に回す形である。配当は 2025 年に約 13 億ドル(純利益の 4 割弱)で、毎年増配を続けている。自社株買いは 2020 年代前半に止まり(株数は年 +0.3% 増えた)、サイバー攻撃の後の 2026 年第 3 四半期から再開する方針が示された。
買収は事業の成長の一部を担う。2020 年のライト・メディカル(約 54 億ドル、肩・足首・外傷)、2025 年 2 月のイナリ・メディカル(約 49 億ドル、血栓除去)が大きく、毎年 10 億ドル前後の小口の買収も続ける。買った会社の利益に対する価格が高いため、のれんは 253 億ドルに膨らみ、帳簿の ROE(2025 年は特別費用を除く平年の純利益 43 億ドル ÷ 自己資本 224 億ドル ≒ 19%)は、のれんが自己資本の大半を占めるので、事業そのものの収益(のれんを除いて約 50%)よりずっと低い。伸びの一部が買収なので、倍率の式の ROE にはのれんを除かない帳簿の値を使う。
純負債は 123 億ドル(時価総額の約 11%)。借り換えで正味の利払いは 3 年で約 1 億ドル、10 年で約 2 億ドル増える(推定)。大型の M&A は今後もありうるが、成立していない案件は入れない前提で書く。次の投資家向け説明会などで示される長期の成長目標・利益率の目標は、買収の使い方とあわせて見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
Mako はまだ入口にいる。世界の膝・股の人工関節手術は年 500 万件を超え、ロボットを使うのはその 3 割に届かない。ストライカーはロボットの設置で首位を守りながら、肩・脊椎への適応拡大(Mako の肩の機能は 2025 年末に発売)で 1 台あたりの使い道を増やしている。外来手術センターが増えるほど、病院ごとに 1 台ずつ置く必要が生まれ、設置が続く。
サイバー攻撃は一過性である。システムは復旧し、第 2 四半期は自然増 +9.0%、調整後の営業利益率は 27.4%(+1.7 ポイント)と、攻撃前の水準を超えた。供給の乱れは血管の 1 事業にとどまり、通期の自然増の見通し 8.3〜9.3% は変わらない。出せなかった注文は消えずに先送りされ、2026 年後半から 2027 年にかけて戻る。
血管は新しい柱になる。イナリは肺塞栓・深部静脈血栓の機械的除去で先行し、米国で年数十万人と言われる患者のうち、手術で除去を受けるのはまだ一部。ストライカーの営業網(病院との契約)に載せれば、売上は年 +10% を超えて伸びる。
買収で素早く新しい事業を取り込み、利益率が毎年 0.5 ポイントずつ上がる実績(2022 年の 20.5% から 2025 年の 23.3% へ)が続けば、10 年後の営業利益率は 28% を超える。中立でも売上は年 +6.3%・純利益は年 8% 超で伸び、利益ベースの倍率で時価総額は今の約 1.3 倍になる。
慎重な見方
成長の質が思ったほど高くない。2025 年の自然増 +10.3% は、設備(ロボット・ベッド)の更新と手術の積み残しの解消で押し上げられた面があり、同じ速さが続くとは限らない。整形の 2026 年第 2 四半期(+8.6%)は数量のみで価格は寄与せず、欧州の股関節は財政難とストライキで弱い。業界の整形の数量は年 3〜4% なので、シェアの獲得が止まれば成長は半分になる。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys は Mako より約 56% 安く、外来手術センターの価格交渉でシェアを取る。ジンマー・バイオメットも ROSA で追う。病院の購買組織は、ロボットを値引きの材料にして、インプラントの価格を毎年下げさせる。価格が名目横ばいを割れば、利益率は 2〜3 ポイント下がる。
運営の弱さも露わになった。サイバー攻撃で受注が止まり、血管の製造は攻撃から半年経っても戻らず、救急の主要顧客にシェアを失う。第 3・第 4 四半期も成長を 0.7〜0.8 ポイント押し下げ、「道は凸凹」と CFO 自身が認めた。
資本効率が低い。のれん・無形資産が 253 億ドルで、伸びの一部は買収で買っている。買収の価格は高く、のれん込みの収益は約 13%。買収が成功しても配当・自社株買いの余力は残らず、失敗すれば減損が出る。今の PER 35 倍は、この資本効率には高い。
どちらに重みを置いたか
Mako の囲い込みと、外傷・四肢・器具・内視鏡の品ぞろえ、買収した血管の伸びは強いが、価格は名目横ばいで、成長の一部を買収で買っているため、倍率は利益ベースの正当化 PER でも高くは置けない。確率は、中立 38%・やや悲観 22%(価格圧力と買収の効率)と、悲観側をやや厚くした。悲観は 10 年 8%。確率加重の本質価値は、今の時価総額を約 31% 下回り、総合は「割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 347.07 ドル1,341 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 51.78 ドル200 億ドル)。 今の値に割り戻すと 204.46 ドル790 億ドル、今との差 −33.4%、 期待の年率 +2.6%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 571.54 ドル2,209 億ドル | 57.70 ドル223 億ドル | +104.9% | +7.4% | 62.92 ドル243 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 448.93 ドル1,735 億ドル | 55.37 ドル214 億ドル | +64.2% | +5.1% | 110.94 ドル429 億ドル |
| 中立 | 38% | 345.12 ドル1,334 億ドル | 53.04 ドル205 億ドル | +29.7% | +2.6% | 151.30 ドル585 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 220.52 ドル852 億ドル | 47.09 ドル182 億ドル | −12.9% | −1.4% | 58.87 ドル228 億ドル |
| 悲観 | 8% | 143.60 ドル555 億ドル | 41.40 ドル160 億ドル | −39.8% | −4.9% | 14.80 ドル57 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 347.07 ドル1,341 億ドル | 51.78 ドル200 億ドル | +29.9% | +2.6% | 398.84 ドル1,542 億ドル |
今の株価時価総額 307.08 ドル1,187 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:Mako の優位が続き、血管と神経が第 3 の柱に育つ 利益 131 億ドル · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 571.54 ドル2,209 億ドル
2035 年 12 月期の売上は 581 億ドル(年 +8.7%)。Mako が膝・股のロボットで最大の設置を保ち、肩・脊椎に広がって膝・股は 97 億ドル、外傷・四肢は 93 億ドル。血管は 61 億ドル(イナリの肺塞栓・静脈の血栓除去が標準治療になり、年 +11%)、神経頭蓋は 61 億ドル、内視鏡は 93 億ドル。価格は購買組織との関係が良く、年 +1 ポイント前後(物価 3.5% には届かない)。営業利益は 164 億ドル(調整後で約 31%)、純利益は 131.1 億ドル。買収は毎年 20 億ドル前後を成功させ、買った事業の利益率が 3〜4 年で会社平均に追いつく。配当は年 7% 増やし、自社株買いも毎年行う。ジョンソン・エンド・ジョンソンとジンマー・バイオメットはロボットの値引きで追うが、外科医の習熟と手術計画のデータが乗り換えを阻む。
- 膝・股(Mako):数量 232(膝・股の手術件数(万件。世界の人工関節手術 約 500 万件 × シェア約 24%、推定))× 価格 4,203(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 97 億ドル・営業利益 31 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 外傷・四肢:数量 763(骨折固定・肩・足首の手術件数(万件、推定))× 価格 1,223(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 93 億ドル・営業利益 28 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 整形その他・脊椎(撤退済み):数量 240(整形その他の使用件数換算(万件、推定))× 価格 708(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 器具(電動工具・手術室機器):数量 1,545(電動工具・手術器具の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 466(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 72 億ドル・営業利益 24 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 内視鏡(手術室の映像・手術用機器):数量 1,872(映像・カメラ・手術用機器の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 496(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 93 億ドル・営業利益 29 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- メディカル(ベッド・救急・搬送):数量 70.3(ベッド・搬送・救急機器の販売台数換算(万台、推定))× 価格 12,318(1 台あたり収入(ドル))→ 売上 87 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 血管(イナリ・脳血管):数量 64.2(血栓除去・脳血管の手技件数(万件、推定))× 価格 9,497(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 18 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 神経頭蓋(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面):数量 250(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の手術件数(万件、推定))× 価格 2,427(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 18.7 倍(g 4.0%、RONIC 11.6%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 15.7% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 16.9 倍(9 割)に置いた。堀は普通:Mako による囲い込みと病院の購買で強い品ぞろえは堀だが、価格は購買組織に抑えられ名目でほぼ横ばい、世界シェアも整形で 2〜3 割台にとどまり、伸びの一部を買収で買う会社なので強い堀(2/3)とは見ない。Mako の囲い込みと外傷・四肢の品ぞろえで質は高いが、価格は名目横ばいで、サイバー攻撃の運営の弱さと買収した血管(イナリ)の供給の乱れが残る。純利益は GAAP。
確率:Mako の囲い込みが続き、血管・神経頭蓋が 10 年成長し、利益率が 28% 台後半(調整後 31% 超)に上がる展開。3 つが同時に必要なので 10%。
やや楽観 22% やや楽観:整形の優位と買収の成功で年 +7.5% 利益 112 億ドル · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 448.93 ドル1,735 億ドル
2035 年 12 月期の売上は 518 億ドル(年 +7.5%)。膝・股は 87 億ドル、外傷・四肢は 83 億ドル、血管は 54 億ドル、内視鏡は 83 億ドル、メディカルは 77 億ドル。Mako が優位を保ち、血管と神経頭蓋が会社平均を上回る。価格は年 +0.3 ポイントの上積みで、それでも物価に届かない。営業利益は 141 億ドル(調整後で約 30%)、純利益は 111.8 億ドル。小口の買収が成功し、毎年配当を 6〜7% 増やす。ジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys は膝の全置換で一定のシェアを取るが、Mako は外来手術センター向けの小型機で守る。買収したイナリは肺塞栓の標準治療として定着し、ボストン・サイエンティフィックの追い上げを受けても成長が年 +9% 前後を保つ。
- 膝・股(Mako):数量 213(膝・股の手術件数(万件。世界の人工関節手術 約 500 万件 × シェア約 24%、推定))× 価格 4,080(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 87 億ドル・営業利益 27 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 外傷・四肢:数量 702(骨折固定・肩・足首の手術件数(万件、推定))× 価格 1,188(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 83 億ドル・営業利益 24 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 整形その他・脊椎(撤退済み):数量 220(整形その他の使用件数換算(万件、推定))× 価格 687(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 器具(電動工具・手術室機器):数量 1,419(電動工具・手術器具の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 453(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 64 億ドル・営業利益 21 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 内視鏡(手術室の映像・手術用機器):数量 1,721(映像・カメラ・手術用機器の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 481(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 83 億ドル・営業利益 25 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- メディカル(ベッド・救急・搬送):数量 64.5(ベッド・搬送・救急機器の販売台数換算(万台、推定))× 価格 11,959(1 台あたり収入(ドル))→ 売上 77 億ドル・営業利益 17 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 血管(イナリ・脳血管):数量 59.2(血栓除去・脳血管の手技件数(万件、推定))× 価格 9,218(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 55 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 神経頭蓋(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面):数量 230(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の手術件数(万件、推定))× 価格 2,356(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 54 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 18.3 倍(g 4.0%、RONIC 11.1%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 14.7% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.5 倍(8.5 割)に置いた。堀は普通:Mako による囲い込みと病院の購買で強い品ぞろえは堀だが、価格は購買組織に抑えられ名目でほぼ横ばい、世界シェアも整形で 2〜3 割台にとどまり、伸びの一部を買収で買う会社なので強い堀(2/3)とは見ない。Mako の囲い込みと外傷・四肢の品ぞろえで質は高いが、価格は名目横ばいで、サイバー攻撃の運営の弱さと買収した血管(イナリ)の供給の乱れが残る。純利益は GAAP。
確率:整形の優位とメドサージの伸びで年 +7.5% を保ち、買収が成功する展開。過去 10 年の自然増(約 +8%)に近いので 22%。
中立 38% 中立:業界を上回る年 +6% 台、利益率は緩やかに上がる 利益 94 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 345.12 ドル1,334 億ドル
2035 年 12 月期の売上は 462 億ドル(2025 年から年 +6.3%)。業界の整形の数量(年 +3.5〜4%)にストライカーのシェア獲得(年 +1〜2 ポイント)を足し、膝・股は 77 億ドル(数量 年 +5%、価格 年 +0.5%)、外傷・四肢は 74 億ドル(数量 年 +6%)、内視鏡は 74 億ドル、メディカルは 69 億ドル、血管は 49 億ドル(数量 年 +9.5%、価格は横ばい)、神経頭蓋は 48 億ドル。価格は病院の購買組織に抑えられ、整形は年 +0.5%・メドサージは年 +1% と物価 3.5% の 3 分の 1 以下にとどまる。営業利益は 120 億ドル(償却後・特別費用後。調整後で約 29%)、純利益は 94.2 億ドル(2025 年の平年の約 43 億ドルから年 +8%)。配当は年 6% 増で 10 年に約 205 億ドルを還元し。
- 膝・股(Mako):数量 195(膝・股の手術件数(万件。世界の人工関節手術 約 500 万件 × シェア約 24%、推定))× 価格 3,960(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 77 億ドル・営業利益 23 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 外傷・四肢:数量 645(骨折固定・肩・足首の手術件数(万件、推定))× 価格 1,153(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 74 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 整形その他・脊椎(撤退済み):数量 202(整形その他の使用件数換算(万件、推定))× 価格 667(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 器具(電動工具・手術室機器):数量 1,303(電動工具・手術器具の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 440(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 57 億ドル・営業利益 18 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 内視鏡(手術室の映像・手術用機器):数量 1,582(映像・カメラ・手術用機器の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 467(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 74 億ドル・営業利益 22 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- メディカル(ベッド・救急・搬送):数量 59.2(ベッド・搬送・救急機器の販売台数換算(万台、推定))× 価格 11,610(1 台あたり収入(ドル))→ 売上 69 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 血管(イナリ・脳血管):数量 54.5(血栓除去・脳血管の手技件数(万件、推定))× 価格 8,946(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 49 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 神経頭蓋(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面):数量 211(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の手術件数(万件、推定))× 価格 2,288(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 48 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 17.7 倍(g 4.0%、RONIC 10.5%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 13.5% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.2 倍(8 割)に置いた。堀は普通:Mako による囲い込みと病院の購買で強い品ぞろえは堀だが、価格は購買組織に抑えられ名目でほぼ横ばい、世界シェアも整形で 2〜3 割台にとどまり、伸びの一部を買収で買う会社なので強い堀(2/3)とは見ない。Mako の囲い込みと外傷・四肢の品ぞろえで質は高いが、価格は名目横ばいで、サイバー攻撃の運営の弱さと買収した血管(イナリ)の供給の乱れが残る。純利益は GAAP。
確率:議論の落としどころ。業界の見通し(年 +5.5〜6%)にシェアの獲得を足した年 +6.3%。堀の厚さと 10 年の実績があるので最大の 38%。
やや悲観 22% やや悲観:価格圧力と競争で成長が業界並み以下に 利益 69 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 220.52 ドル852 億ドル
2035 年 12 月期の売上は 377 億ドル(年 +4.2%)。ジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys とジンマー・バイオメットの ROSA が外来手術センターで Mako のシェアを削り、膝・股の数量は年 +3.5%、価格は年 −0.1%(63 億ドル)。外傷・四肢は 61 億ドル、血管はボストン・サイエンティフィックなどの追い上げで 40 億ドル。営業利益は 90 億ドル(調整後で約 26%)、純利益は 68.9 億ドル。買収は高い値段のまま増減益効果が薄く、のれんの減損が一部で出る。配当の伸びは年 4.5% に落ちる。ロボットの設置は続くが、1 台あたりのインプラントの売上が減り、病院との交渉で値引きが常態になる。メドサージも内視鏡・器具でオリンパス・コンメッドなどの価格攻勢を受け、利益率の改善が止まる。
- 膝・股(Mako):数量 169(膝・股の手術件数(万件。世界の人工関節手術 約 500 万件 × シェア約 24%、推定))× 価格 3,730(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 63 億ドル・営業利益 17 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 外傷・四肢:数量 559(骨折固定・肩・足首の手術件数(万件、推定))× 価格 1,086(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 整形その他・脊椎(撤退済み):数量 174(整形その他の使用件数換算(万件、推定))× 価格 628(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 器具(電動工具・手術室機器):数量 1,128(電動工具・手術器具の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 414(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 47 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 内視鏡(手術室の映像・手術用機器):数量 1,371(映像・カメラ・手術用機器の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 440(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 60 億ドル・営業利益 17 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- メディカル(ベッド・救急・搬送):数量 51.2(ベッド・搬送・救急機器の販売台数換算(万台、推定))× 価格 10,938(1 台あたり収入(ドル))→ 売上 56 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 血管(イナリ・脳血管):数量 47.5(血栓除去・脳血管の手技件数(万件、推定))× 価格 8,423(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 40 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 神経頭蓋(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面):数量 183(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の手術件数(万件、推定))× 価格 2,155(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 39 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 16.5 倍(g 4.0%、RONIC 9.5%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 11.4% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 12.4 倍(7.5 割)に置いた。堀は普通:Mako による囲い込みと病院の購買で強い品ぞろえは堀だが、価格は購買組織に抑えられ名目でほぼ横ばい、世界シェアも整形で 2〜3 割台にとどまり、伸びの一部を買収で買う会社なので強い堀(2/3)とは見ない。Mako の囲い込みと外傷・四肢の品ぞろえで質は高いが、価格は名目横ばいで、サイバー攻撃の運営の弱さと買収した血管(イナリ)の供給の乱れが残る。純利益は GAAP。
確率:ジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys・ジンマー・バイオメットとの価格競争が続き、病院の購買組織が価格を年 −0.6 ポイントずつ削り、買収の効率も落ちる展開。資本効率の低さと運営の弱さ(2026 年)を重く見て 22%。
悲観 8% 悲観:構造的に負ける(ロボットの優位が崩れ、価格が下がり、買収が失敗) 利益 40 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 143.60 ドル555 億ドル
2035 年 12 月期の売上は 301 億ドル(年 +1.8%)で、10 年間ほぼ横ばい(物価を引くと実質で 3 割減)。リーマン級の急落ではなく、Mako の優位が崩れ、ロボットを値引きの材料にされて膝・股の価格が年 −0.9% で下がり(50 億ドル)、外傷・四肢も 48 億ドルにとどまる。血管はイナリの償還が見直されて 32 億ドル、メディカルは設備投資の抑制で 45 億ドル。営業利益は 57 億ドル(調整後で約 21%)、純利益は 39.7 億ドル。のれんの減損(約 80 億ドル)と再編の費用が出る。配当は増額が止まり、増配が止まる。もう優良とは言えない会社になっている。サイバー攻撃のような運営の失敗が再び起き、病院の信頼を失う展開も重なる。
- 膝・股(Mako):数量 146(膝・股の手術件数(万件。世界の人工関節手術 約 500 万件 × シェア約 24%、推定))× 価格 3,442(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 外傷・四肢:数量 484(骨折固定・肩・足首の手術件数(万件、推定))× 価格 1,002(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 49 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 整形その他・脊椎(撤退済み):数量 150(整形その他の使用件数換算(万件、推定))× 価格 579(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 器具(電動工具・手術室機器):数量 975(電動工具・手術器具の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 382(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 37 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 内視鏡(手術室の映像・手術用機器):数量 1,186(映像・カメラ・手術用機器の販売・使用件数換算(万件、推定))× 価格 406(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 48 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- メディカル(ベッド・救急・搬送):数量 44.2(ベッド・搬送・救急機器の販売台数換算(万台、推定))× 価格 10,097(1 台あたり収入(ドル))→ 売上 45 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 血管(イナリ・脳血管):数量 41.3(血栓除去・脳血管の手技件数(万件、推定))× 価格 7,769(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 32 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量と 1 件あたり収入
- 神経頭蓋(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面):数量 158(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の手術件数(万件、推定))× 価格 1,990(1 件あたり収入(ドル))→ 売上 32 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量と 1 件あたり収入
倍率:正当化 PER は 14.0 倍(g 3.5%、RONIC 7.9%。RONIC は k 7.50% に、事業の ROE 8.4% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.0 倍(10 割)に置いた。堀は普通:Mako による囲い込みと病院の購買で強い品ぞろえは堀だが、価格は購買組織に抑えられ名目でほぼ横ばい、世界シェアも整形で 2〜3 割台にとどまり、伸びの一部を買収で買う会社なので強い堀(2/3)とは見ない。構造的に負けた筋書き(Mako の優位が崩れ、買収ののれんの収益が悪化)で実質ゼロの伸び。この筋書きの g での正当化 PER の値をそのまま使う(上限の割合は掛けない)。純利益は GAAP。
確率:リーマン級の急落ではなく、Mako の優位が崩れ、価格が名目で下がり続け、大型の買収が失敗する構造的な負け。ストライカーの売上が前年を下回ったのは 2020 年(コロナ)程度で、衰える兆しは今のところないので 8% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
膝・股(Mako)
人工膝関節・股関節と、手術ロボット Mako(インプラントの販売の入り口)。
| 数量膝・股の手術件数(万件。世界の人工関節手術 約 500 万件 × シェア約 24%、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 3,768 | 45 | 12 |
| 10 年後 中立 | 195 | 3,960 | 77 | 23 |
取り方:2025 年の膝 26.6 億ドル+股 18.7 億ドルの合計 45.2 億ドルを、ストライカーが関わる膝・股の手術件数 約 120 万件(推定。世界の膝・股の人工関節手術 約 500 万件×シェア約 24%)で割った 1 件約 3,770 ドル(膝は約 4,100、股は約 3,000)。2025 年の成長は膝 +8.2%・股 +8.9%(為替除き)で、2026 年は股が欧州で弱い。数量は高齢化と手術の外来化で市場が年 +3.5%、Mako によるシェア獲得が年 +1.5〜2 ポイントで、10 年平均 +5%(3 年は +6.8%)。価格は病院の購買組織・外来手術センター・Velys の安売りで物価 3.5% に届かず年 +0.5% とした(実際の価格寄与は 2025 年のメドサージで +0.7%、整形は小さい)。
外傷・四肢
骨折の固定具、肩・足首などの四肢の関節(ライト・メディカル由来を含む)。
| 数量骨折固定・肩・足首の手術件数(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 360 | 1,097 | 40 | 10 |
| 10 年後 中立 | 645 | 1,153 | 74 | 20 |
取り方:2025 年の外傷・四肢 39.5 億ドルを、骨折固定・肩・足首の手術 約 360 万件(推定)で割った 1 件約 1,100 ドル。2025 年は為替除きで +11.8%(ライト・メディカル由来の肩・足首が強い)。数量は高齢化・転倒骨折・肩の手術の増加で年 +8%(3 年)→ 10 年平均 +6%、価格は購買組織の交渉で物価に届かず年 +0.5%。
整形その他・脊椎(撤退済み)
スポーツ医学などの補助品と、売却済みの脊椎インプラント。
| 数量整形その他の使用件数換算(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 150 | 667 | 10 | 1 |
| 10 年後 中立 | 202 | 667 | 13 | 3 |
取り方:整形その他(スポーツ医学・補助品ほか 8.2 億ドル)と、売却済みの脊椎インプラント(1.9 億ドル。2026 年上半期はほぼ 0)の合計 10.0 億ドルを 150 万件換算で割った 1 件約 670 ドル。脊椎の売却で報告ベースの売上は縮むため、数量は年 +3% にとどめ、価格は競争的な補助品で名目横ばい。利益率は脊椎の撤退後の整理で低い。
器具(電動工具・手術室機器)
手術室の電動工具・手術器具。
| 数量電動工具・手術器具の販売・使用件数換算(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 800 | 398 | 32 | 9 |
| 10 年後 中立 | 1,303 | 440 | 57 | 18 |
取り方:2025 年の器具 31.8 億ドル(為替除き +11.9%)を、電動工具・手術器具の販売・使用の件数換算 800 万件(推定)で割った 1 件約 400 ドル。数量は手術件数の伸びと設備の更新で年 +5.8%(3 年)→ 5% 前後、価格は年 +1%(消耗品に近く病院の購買組織が抑えるので物価に届かない)。
内視鏡(手術室の映像・手術用機器)
手術室の映像・カメラ・内視鏡・手術用機器。
| 数量映像・カメラ・手術用機器の販売・使用件数換算(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 900 | 423 | 38 | 10 |
| 10 年後 中立 | 1,582 | 467 | 74 | 22 |
取り方:2025 年の内視鏡 38.1 億ドル(+12.3%)を、手術室の映像・カメラ・手術用機器の販売・使用の件数換算 900 万件(推定)で割った 1 件約 420 ドル。数量は低侵襲手術の増加と設備の更新で年 +6.8%(3 年)→ 5.8%、価格は年 +1%(病院の購買組織との契約で物価に届かない)。
メディカル(ベッド・救急・搬送)
病院のベッド・ストレッチャー・救急用除細動器・搬送機器。
| 数量ベッド・搬送・救急機器の販売台数換算(万台、推定) | 価格1 台あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 10,510 | 42 | 8 |
| 10 年後 中立 | 59.2 | 11,610 | 69 | 14 |
取り方:2025 年のメディカル 42.0 億ドル(+8.8%)を、ベッド・ストレッチャー・救急用除細動器などの機器 約 40 万台換算(推定)で割った 1 台約 1.05 万ドル。数量は病院の設備投資と救急の需要で年 +5.3%(3 年)→ 4%、価格は年 +1%(病院の購買組織の競争入札があり物価に届かない)。景気に左右される設備が中心で、悲観の年に最も落ちる。
血管(イナリ・脳血管)
イナリの血栓除去(肺塞栓・静脈)と脳血管の治療機器。
| 数量血栓除去・脳血管の手技件数(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 22.0 | 8,946 | 20 | 4 |
| 10 年後 中立 | 54.5 | 8,946 | 49 | 14 |
取り方:2025 年の血管 19.7 億ドル(+50.6%:イナリは 2025 年 2 月から含む)を、血栓除去と脳血管の手技 約 22 万件(推定)で割った 1 件約 9,000 ドル。数量は血栓除去の普及で年 +12%(3 年。供給の乱れが戻れば)→ 9.5%、価格は新製品の入れ替えが主で物価に届かず年 0%(イナリは価格が高く、償還の見直しリスクがある)。
神経頭蓋(脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面)
脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の機器。
| 数量脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の手術件数(万件、推定) | 価格1 件あたり収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 2,071 | 25 | 5 |
| 10 年後 中立 | 211 | 2,288 | 48 | 12 |
取り方:2025 年の神経頭蓋 24.9 億ドル(+15.9%)を、脳外科・耳鼻科・頭蓋顎顔面の手術 約 120 万件(推定)で割った 1 件約 2,070 ドル。数量は年 +7%(3 年)→ 5.8%、価格は年 +1%(病院の購買組織・競争で物価に届かない)。
リスクと懸念
サイバー攻撃の後遺症と供給の乱れ
2026 年 3 月のワイパー型の攻撃で受注・製造・出荷が止まり、第 1 四半期の利益に重大な影響が出た。システムは復旧したが、血管(イナリ)の製造は第 3 四半期末まで戻らず、成長を 0.7〜0.8 ポイント押し下げ、救急の主要顧客にシェアを失う。同じ攻撃が再発すれば、全世界の病院との信頼が損なわれる。
整形の価格圧力とジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys
病院の購買組織・外来手術センターは、ロボットとインプラントの価格を毎年下げさせる。Velys は Mako より約 56% 安く(2022 年の推定)、膝の全置換で追い上げる。整形の価格が名目で下がれば、利益率が 2〜3 ポイント下がり、倍率も縮む。
買収の資本効率と減損
のれんと無形資産が 253 億ドルで自己資本を上回る。ライト・メディカル(約 54 億ドル)、イナリ(約 49 億ドル)を高い値段で買い、帳簿の ROE は 14% 台にとどまる。買収が思惑どおりの利益を生まなければ、減損と配当・自社株買いの余力の低下が出る。
欧州・新興国の整形需要と為替
2026 年第 2・3 四半期は欧州の股関節が、財政難・ストライキ・景気の悪化で弱かった。公的保険の償還の見直し、中国の量販調達(VBP)の拡大があれば、整形の数量と価格が同時に落ちる。為替は動かさない前提だが、ドル高なら海外の売上が減る。欧州の償還の引き下げは、輸入品を使う病院の購買を絞る。
関税と調達のコスト
2025 年は関税が利益率を押し下げ、2026 年第 2 四半期に過去分の戻し入れ 1.58 億ドルが出たが、これは一過性。関税が復活・拡大すれば、利益率は 0.5〜1 ポイント下がる。製造の移転には時間がかかり、その間は価格転嫁も病院の購買組織に阻まれる。
GLP-1 と手術の減少
肥満・糖尿病の薬が広がると、関節に負担がかかる体重が減り、長期では人工関節の手術が減る可能性がある。一方、動けるようになった人が手術を受ける効果もあり、今のところ数量への影響は小さい。膝・股の数量の伸びが年 1 ポイント落ちれば、中立の筋書きの利益が 1 割下がる。
経営の継承と運営の弱さ
ケビン・ロビー氏は 2012 年から会長兼 CEO を務める。後継の方針は公表されていない(確認できず)。サイバー攻撃で見えた、全社の情報システムと製造の結びつきの脆さは、経営の質の問いとして残る。ストライカーは買収の統合を経営者個人の判断に負う面が大きい。
今後の分かれ目
- 2026 年第 4 四半期までに血管(イナリ)の供給が戻り、2027 年の自然増が 7〜8% を保つ
- 10 年で、やや楽観の確率を 3〜5 ポイント上げ、やや悲観を下げる。供給が 2027 年に持ち越されれば逆に動かす。
- Mako の設置が過去最高を更新し続け、肩・脊椎への適応が広がる
- 膝・股・外傷・四肢の数量の伸びが年 +1 ポイント上がり、10 年の楽観・やや楽観の確率を上げる。
- ジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys が外来手術センターで Mako のシェアを大きく奪う
- 膝・股の価格を年 −1% に落とし、利益率を 2 ポイント下げる。10 年のやや悲観・悲観の確率を 5 ポイント上げる。
- 調整後の営業利益率が 2027 年に 28% を超える
- 10 年のやや楽観・楽観の確率を上げ、中立の 2035 年の利益率を +1 ポイントにする。27% に届かなければ下げる。
- 数十億ドル級の大型買収を発表する
- 買う側の価格(利益に対する倍率)と、のれん込みの資本効率を確かめる。10 年の筋書きは、成立後に買った事業を足して作り直す(今は入れていない)。
- 景気が急に悪化し、選択的な手術と病院の設備投資が減る
- メディカル・器具の設備が最も落ち、整形の数量は 5〜8% 減る。3 年の悲観の筋書きに近づくが、医療機器は景気に強いので、下がっても今の約 8 割の価値で止まると見る。
見ておくもの
- 血管(イナリ)の供給の回復と、第 4 四半期の自然増(見通しの 8.3〜9.3% に対する実績)
- Mako の設置台数と膝・股の自然増(ジンマー・バイオメット・ジョンソン・エンド・ジョンソンの Velys との比較)
- 調整後の営業利益率(2025 年 26.3%、2026 年第 2 四半期 27.4%)と関税・償却の影響
- 自社株買いの再開の額と、買収(のれん・無形資産 253 億ドル)の減損の有無
- 整形の価格の寄与(小幅プラスが続くか)と欧州の股関節の需要
- 次の投資家向け説明会で示される長期の成長目標・利益率の目標
倍率と資本コストの決め方
今の PER 35 倍・時価総額 1,139 億ドル・直近の株価の下落(6 営業日で約 16%)を見る前に、8 つの事業の数量 × 価格で 2028 年・2035 年の売上と利益を積み、償却後・特別費用前の営業利益から純利益を出して倍率を決めた。10 年後の中立の PER 14.2 倍は、利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)(g 4.0%・ROE 13.5%・堀は普通で RONIC 10.5%・k 7.5%)= 17.7 倍の 8 割。ROE は伸びに要る自己資本の元手に対する利益率として、その筋書きの 2035 年の純利益 ÷ 自己資本(借金の比率を保って伸びる前提の帳簿の値)で取った。伸びの一部が買収なのでのれんは除かない(自己資本の繰り越しは配当・自社株買いを引いて積み、買収費用はのれんとして残る)。帳簿の ROE が 40% を超える会社ではないので ROIC への直しは使わない。過去の PER の中央値 31 倍や今の値に寄せていない。台帳の今の時価総額は 1,139 億ドルで、検索で確かめた株数の値(約 1,130 億ドル)と差は 1% で、計算上の差は小さい。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality −0.5% = 7.5%。サイバー攻撃・供給の乱れ・買収の資本効率・整形の価格圧力などの個別のリスクは k に足さず、やや悲観・悲観の確率(合計 30%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。