結論
カーディナルヘルスは米国の処方薬卸 3 社の 3 番手で、2026 年 6 月期は売上 2,542 億ドル(+14%)、会社の調整後の営業利益 36.2 億ドル(+30%、関税還付 1 億ドル込み)。内訳は医薬品・専門薬(PSS)が売上の 92%・利益 27.8 億ドル、医療用品(GMPD)が利益 1.6 億ドル(還付を除く)、在宅・核医学・物流の「その他」が利益 7.1 億ドル(率 10%)。2024 年末からの 4 年で泌尿器・消化器・腫瘍の診療網(ION・GI Alliance・Solaris など約 65 億ドルの買収)と在宅糖尿病(ADS)を買い足し、薄利の卸に高収益の層を重ねている。
事業の質は高い。全米の物流網・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続く。ただし粗利は契約で決まる薄利の商売で、CVS が売上の 28%(上位 5 社で 43%)を占め、2024 年にはオプタム(売上の約 16%)が契約を更新せずに離れた前例がある。2026 年 6 月期の利益には、会社自身が「長期目標を上回る」と認める後発薬の好調と、需要の一時的な急増が含まれる。自己資本は自社株買いと訴訟費用の累積で −27 億ドルのマイナス、PBR は使えない。純利益は GAAP の継続的な値(減損・還付を除く)で約 21 億ドルと置いた。
数量 × 価格で 10 年を積み上げた中立は、2036 年 6 月期に売上 5,000 億ドル超・継続的な営業利益 63 億ドル・純利益 47 億ドル。式による正当化 PER の 8 割(資本コスト 8%)なら今の約 1.3 倍の時価総額になる。確率で加重すると今の値段を約 9% 下回り「適正」。結論は ROIC から直した ROE 48% が続くことへの依存が大きく、確信度は中程度。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。処方薬は景気に鈍感で、全米の流通網・資金力・許認可の組み合わせは複製が難しく、3 社寡占は数十年続いている。堀は規模であって価格ではないので、広がるというより維持される。専門薬・診療網・核医学・在宅は、卸より切り替えにくく利益率の高い層を足す。
次にオーナー利益。会社の調整後の純利益は約 26 億ドル(還付を除く)だが、償却と繰り返し出るリストラを引いた継続的な値は約 21 億ドル。設備投資が売上の 0.3% と軽く、運転資本は伸びるほど資金が出るので、FCF は純利益を上回る。ただし伸びの一部は診療網の買収(4 年で約 65 億ドル)で買っており、その初年度の利回りは借入金利を少し上回る程度とみる。時価総額 590〜600 億ドルに対する継続的な純利益の利回りは約 3.5% で、国債が 5% の世界では、利益の伸びに大きく頼る値段。
安全域は、楽観で今の約 2.2 倍、悲観で今の約 3.6 割。経営は 2022 年の混乱からの立て直しで資本配分の筋が通り、自社株買いは今より 3 割ほど安い値で進めた。気になる点は、CVS の 28% と、後発薬の好調・需要の急増という一時的な追い風が 2026 年 6 月期の利益を押し上げたこと。わからない部分は、薬価規制・直販・PBM が卸の取り分をどこまで削るかで、確信度は中程度。結論は資本コスト 8% の式による値で、確率で加重しても今の値段をやや下回り、年率は国債をわずかに上回る程度にとどまる。
何で稼ぐ会社か
医薬品・専門薬(PSS)は、病院・薬局チェーン・独立薬局・診療所へ処方薬を卸す事業で、2026 年 6 月期の売上 2,348 億ドル・利益 27.8 億ドル(率 1.19%、+23%)。ブランド薬は流通手数料、後発薬は大量調達の差益(CVS との共同の調達会社 Red Oak が中核)、専門薬は流通と診療網の運営支援が利益の源。専門薬の売上は +25% 超。大口顧客は CVS(売上の 28%、契約は 2032 年 6 月までの延長で基本合意)、クローガー(長期延長済み)など。
診療網(MSO)は、診療所を所有せず医師グループの事務・購買・データを請け負う形で、泌尿器の Solaris・Urology America、消化器の GI Alliance(73% を約 28 億ドルで取得。3 年目から残りの持ち分を買う権利)、腫瘍の ION・Navista を束ねる Specialty Alliance(持ち分約 76%)が主力。診療網は卸の売上をほとんど増やさず、専門薬の購買と運営支援で利益を厚くする。バイオファーマ・ソリューションズ(上流の 3PL・特殊医薬の物流)は細胞・遺伝子治療の市場の約 3/4 を受託し、2028 年に売上 10 億ドルを目標にする。
医療用品(GMPD)は病院向けの医療用品の流通と自社ブランド(Cardinal Health Brand)で、売上 127 億ドル・利益 2.6 億ドル。関税還付 1 億ドルを除くと 1.6 億ドル(率 1.2%)で、長く赤字だった事業が改善計画で回復途中。「その他」は、在宅糖尿病・医療用品の ADS・Strive、核医学(PET・治療用の放射性医薬品。治療用は +30%)、物流(OptiFreight)で、売上 68 億ドル・利益 7.1 億ドル(率 10.4%)。
売上は数量 × 価格に分けた。医薬品・専門薬は「米国の流通市場(約 1 兆 400 億ドル、推定)× シェア(約 23%)× 価格指数」、医療用品とその他も市場規模 × シェアで置いた。価格は物価並みを基本に、薬価規制で鈍る分を理由を書いて下げた。
優良さと弱いところ
堀は 4 つ。第 1 は規模で、3 社で米国の流通の約 9 割を握り、物流拠点・在庫・仕入れの規模が 1 件あたりのコストを支える。第 2 は許認可と薬の追跡・麻薬の取扱い規制で、新規参入に年単位の準備と巨額の投資がいる。第 3 は資金力で、薬局から数日で回収しメーカーへは遅く払う運転資本の仕組み(買掛が売掛と在庫の合計を上回る)が、規模のある 3 社にしか回らない。第 4 は専門薬と診療網(Specialty Alliance・バイオファーマ)で、医師・メーカーとのデータと関係が、卸の取引より切り替えにくい。
資本効率は、自己資本が −27 億ドルで帳簿の ROE は意味を持たない。事業の元手(のれん・無形資産 136 億ドル+設備 30 億ドル+運転資本 −72 億ドル ≒ 95 億ドル)に対する税引き後営業利益の ROIC は約 25%。設備投資は売上の 0.3%(6.5 億ドル)で運転資本は伸びるほど資金が出る側なので、有機的な伸びに要る元手は小さい。ただし伸びの一部は買収で買っている。
弱点は、価格を決める力が弱いこと(粗利は契約で決まる)、調整後の営業利益率 1.2〜1.4% がマケッソンの 1.5% を下回ること、顧客の偏り(CVS 28%・上位 5 社 43%・CVS は売掛の 22%)、医療用品事業の収益性の低さ、そして 2026 年 6 月期の利益に含まれる一時的な追い風(後発薬・需要の急増・関税還付)。2022 年から 4 年で 1 株の利益が 2 倍強になった改善は本物だが、どこまでが持続的かを見極める必要がある。優良さは「規模の堀」であって「価格の堀」ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の処方薬の卸は、マケッソン・センコラ・カーディナルヘルスの 3 社が約 9 割を握り、3 社の流通額は 2026 年に約 9,330 億ドル(Drug Channels)。伸びは 1 桁台半ばへ減速する見通しで、メーカーの定価引き下げ・GLP-1 の伸びの鈍化・バイオシミラーの普及が要因。カーディナルは医薬品・専門薬の売上 2,348 億ドルで、3 社の中でマケッソン(売上 4,034 億ドル・率 1.5%)、センコラ(売上 3,213 億ドル・率 1.1〜1.3%)に次ぐ。率ではセンコラと近く、マケッソンの腫瘍・処方技術に比べ、カーディナルは泌尿器・消化器の診療網と核医学・在宅に重心がある。大口の顧客はこの 3 社の間を行き来する(センコラの腫瘍の顧客をマケッソンが取った例、オプタムがカーディナルを離れた例)。
構造の変化は 4 つ。(1)IRA の定価引き下げ(2026 年は売上の伸びを約 5 ポイント削ったが利益への影響は無いと会社は説明)と、2028 年 1 月からの Part B の価格交渉、最恵国待遇は、定価に連動する売上の伸びを抑える。(2)後発薬は、会社が長期目標を上回る好調と認める Red Oak の調達益で支えられているが、競争と価格の平均回帰が起きうる。(3)メーカー直販・割引カードと保険者(PBM)の迂回は卸の取り分を削る可能性。(4)診療所の統合(MSO)で泌尿器・消化器・腫瘍の購買が大きな塊になり、これを抱える側が専門薬の流通を握る。
医療用品は、メドライン・オーエンス・アンド・マイナーなどとの競争で、関税・人件費・原油が利益率を左右する。循環でいえば、処方薬は景気に鈍感で、リーマン期も数量は崩れず、株価(−56%)は倍率と利益率の低下で動いた。
資本政策と M&A
還元は配当と自社株買い。2026 年 6 月期は自社株買い 13.6 億ドル(会社の約束の基準より 6 億ドル多い)、配当 4.9 億ドルで、2027 年 6 月期は自社株買い 10 億ドル以上、新しい承認枠 50 億ドルを加えて累計 64 億ドル。現金 49 億ドル・借入 89 億ドルで、会社は財務を守る必要がない水準と説明する。調整後の FCF は 2026 年 6 月期が 50 億ドル(運転資本の戻りで膨らむ)、2027 年 6 月期は 35〜40 億ドルの見通し。
M&A は、ION(11 億ドル・2024 年 12 月)、GI Alliance(73% を約 28 億ドル・2025 年 1 月)、ADS(約 10 億ドル・2025 年 4 月)、Urology America(3.8 億ドル)、Solaris(約 19 億ドル・2025 年 11 月)と、診療網と在宅の買い増しが中心。2027 年 6 月期は AdaptHealth の糖尿病事業と Strive の買収が加わる(前者は未成立のため、この分析では入れない)。のれんの減損は 2026 年 6 月期に 1.8 億ドル(Navista・ION)と Outcomes の持ち分 1.2 億ドルがあり、買収は常に当たるわけではない。
鍵は、買収の初年度の利回りと、後発薬・需要の追い風が剥げた後の利益の水準。オピオイドの全米和解(約 64 億ドル、約 18 年で支払い)が現金を細く食い続ける。他社に買収される可能性はほぼなく、大型の卸どうしの統合は独占規制上できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
カーディナルは「薄利の卸」から「専門薬・診療網・在宅・核医学を持つ医療サービスの会社」に変わりつつある。2026 年 6 月期は営業利益 +30%、5 つの事業部すべてが 2 桁の利益成長(還付を除く)。2027 年 6 月期の見通しは非 GAAP の EPS +13〜15% で、長期目標(年 12〜14%)を上回る。専門薬は +25% 超、バイオファーマは 20% 超で伸び、細胞・遺伝子治療の 3PL は市場の約 3/4 を握る。診療網は泌尿器・消化器でまだ市場のごく一部しか持たず、買い増しの余地が大きい。
卸の寡占は崩れにくい。CVS は 2032 年 6 月まで延長に基本合意し、クローガーも長期延長、医療用品の最大顧客も長期更新で、大口の不安は当面薄い。IRA の定価引き下げは売上を削っても利益は削らないと会社が示した。調整後の FCF は年 35〜40 億ドル、承認枠 64 億ドルで買い戻しを続けられ、1 株の利益は純利益より速く伸びる。営業利益が長期目標で伸びれば 10 年後は今の 2.5 倍。資本コスト 8% なら、成熟後の PER 35 倍前後も式で説明できる。
慎重な見方
2026 年 6 月期の利益 +30% は、会社自身が「長期目標を上回る」と認める後発薬の好調と、周期的な需要の急増と、関税還付 1 億ドルという一時的な追い風を含む。2027 年 6 月期の見通し(営業利益 +10% 前後)も「急増の需要は織り込まない」としつつ、後発薬の好調は続ける前提。Red Oak の調達益が平常に戻れば、PSS の利益の伸びは長期目標の 5〜7% より下になる。
売上の 28% を占める CVS は、契約が 2027 年 6 月に切れる前に延長に基本合意しただけで、条件は非開示。2024 年にはオプタム(売上の約 16%)が離れ、そのときも会社は「長期目標は変えない」と説明した。IRA の Part B(2028 年 1 月)と最恵国待遇は、「利益に影響なし」という説明が試される局面。診療網の買収は 4 年で約 65 億ドルに達し、2026 年 6 月期だけでのれんの減損 1.8 億ドルと Outcomes の持ち分の減損 1.2 億ドルが出た。
今の継続的な GAAP 利益に対する PER は約 29 倍で、成長を前払いしている。純利益が 10 年で 2.2 倍になっても、倍率が過去の中央(約 24 倍)に戻れば時価総額の伸びは約 1.8 倍(年 6%)にとどまり、国債の 5% 並みにすぎない。
どちらに重みを置いたか
事業の質と足元の勢いは強気の見方が強く、診療網と専門薬の利益は会社の目標に近い。一方、値段・顧客の偏り・一時的な追い風の大きさでは慎重な見方が強い。確率は、中立 36%・楽観側 32%・悲観側 32% と、やや慎重にした。10 年の悲観を 10% と厚めにしたのは、大口顧客の離脱(オプタムの前例)と直販・PBM の迂回という一撃が構造的に起こりうるため。結論は式による倍率で「適正」で、ROE 48% が続くことへの依存が大きく、確信度は中程度。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 326.70 ドル774 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 116.16 ドル275 億ドル)。 今の値に割り戻すと 230.38 ドル546 億ドル、今との差 −9.9%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 549.62 ドル1,303 億ドル | 168.78 ドル400 億ドル | +181.0% | +10.9% | 57.47 ドル136 億ドル |
| やや楽観 | 24% | 429.03 ドル1,017 億ドル | 141.35 ドル335 億ドル | +123.1% | +8.4% | 136.89 ドル324 億ドル |
| 中立 | 36% | 339.20 ドル804 億ドル | 120.25 ドル285 億ドル | +79.7% | +6.0% | 165.40 ドル392 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 220.59 ドル523 億ドル | 90.72 ドル215 億ドル | +21.8% | +2.0% | 68.49 ドル162 億ドル |
| 悲観 | 10% | 91.22 ドル216 億ドル | 54.85 ドル130 億ドル | −42.9% | −5.4% | 14.61 ドル35 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 326.70 ドル774 億ドル | 116.16 ドル275 億ドル | +73.2% | +5.6% | 442.86 ドル1,050 億ドル |
今の株価時価総額 255.64 ドル606 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:専門薬・診療網・核医学が全米に広がり、営業利益が今の 3 倍に 利益 67 億ドル · PER 19.5 倍 · 株価時価総額 549.62 ドル1,303 億ドル
2036 年 6 月期、診療網(泌尿器・消化器・腫瘍)と専門薬・バイオファーマ・ソリューションズ(細胞・遺伝子治療の 3PL で市場の約 3/4)が全米に広がり、医薬品・専門薬のシェアが 5% 上がる。市場は実質で年 +1.7%、価格は物価に近い 1.43 倍で売上 4,161 億ドル、営業利益率 1.62% で 67.4 億ドル。医療用品は自社ブランドの伸びで率 3.0%(今の 1.2% から)、その他は核医学(治療用の放射性医薬品)・在宅糖尿病・物流で年 +11% 近く伸び 22.4 億ドル。継続的な営業利益 87.6 億ドル(今の 3 倍)、純利益 66.8 億ドル。成長は名目 +3.9% に落ち着き、PER 19.5 倍(式の 21.7 倍の 9 割)。10 年の正味還元は約 400 億ドル。
- 医薬品・専門薬(PSS:処方薬の流通・専門薬・診療網・バイオファーマ):数量 12,272(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 6 月期の価格で固定、推定))× 価格 33.9%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 4,161 億ドル・営業利益 67 億ドル。件数・専門薬と価格
- 医療用品(GMPD:病院向けの医療用品の流通と自社ブランド):数量 1,425(米国の医療用品の流通・自社ブランド市場(億ドル、実質、推定))× 価格 15.8%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 225 億ドル・営業利益 7 億ドル。医療用品の件数と価格
- その他(在宅糖尿病・核医学・物流):数量 1,892(在宅医療用品・核医学・医薬品物流の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 9.5%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 179 億ドル・営業利益 22 億ドル。在宅・核医学・物流
倍率:正当化 PER は 21.7 倍(g 4.0%、RONIC 30.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 52.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 19.5 倍(9 割)に置いた。堀は普通:全米の物流網・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で、CVS が売上の 28% を占め、直販・薬価規制に取り分を削られ、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。専門薬・診療網が伸びて大口契約も保つ筋書き。上限の 9 割に置く。純利益は GAAP。
確率:専門薬・バイオファーマ・診療網・核医学が全米に広がり、医療用品の改善計画も完遂して利益率が大きく上がる展開。10 年この条件がそろう確率は 1 割弱。
やや楽観 24% やや楽観:寡占と大口契約を保ち、営業利益が今の約 2.5 倍に 利益 56 億ドル · PER 18.3 倍 · 株価時価総額 429.03 ドル1,017 億ドル
2036 年 6 月期、会社の長期目標(EPS 年 12〜14%、PSS 利益 5〜7%、その他 約 10%)に近く伸びる。市場は実質で年 +1.6%、シェア +2%、価格 1.40 倍で医薬品・専門薬の売上 3,873 億ドル、率 1.50% で 58.1 億ドル。医療用品は率 2.5%、その他は年 +10% 台で 19.1 億ドル。継続的な営業利益 73.7 億ドル、純利益 55.5 億ドル。CVS・クローガーなど大口の契約が更新され、買収の初年度の利回りが借入金利を上回る。成長は名目 +3.8% に落ち着き、PER 18.3 倍(式の 21.6 倍の 8.5 割)。10 年の正味還元は約 335 億ドル。
- 医薬品・専門薬(PSS:処方薬の流通・専門薬・診療網・バイオファーマ):数量 12,012(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 6 月期の価格で固定、推定))× 価格 32.2%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,873 億ドル・営業利益 58 億ドル。件数・専門薬と価格
- 医療用品(GMPD:病院向けの医療用品の流通と自社ブランド):数量 1,400(米国の医療用品の流通・自社ブランド市場(億ドル、実質、推定))× 価格 14.8%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 207 億ドル・営業利益 5 億ドル。医療用品の件数と価格
- その他(在宅糖尿病・核医学・物流):数量 1,793(在宅医療用品・核医学・医薬品物流の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 8.9%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 160 億ドル・営業利益 19 億ドル。在宅・核医学・物流
倍率:正当化 PER は 21.6 倍(g 4.0%、RONIC 29.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 50.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 18.3 倍(8.5 割)に置いた。堀は普通:全米の物流網・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で、CVS が売上の 28% を占め、直販・薬価規制に取り分を削られ、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。会社の長期目標に近い伸び。上限の 8.5 割に置く。純利益は GAAP。
確率:卸の寡占と大口契約が保たれ、専門薬・診療網・その他の事業が長期目標に近く伸びるが、薬価規制で率の上昇は小幅にとどまる展開。
中立 36% 中立:営業利益は今の約 2.1 倍、価格は物価より鈍い 利益 47 億ドル · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 339.20 ドル804 億ドル
2036 年 6 月期、市場は実質で年 +1.3%(処方件数・専門薬)、シェアは維持、価格は物価より鈍い 1.36 倍(IRA・最恵国待遇・後発薬の値下がり)で医薬品・専門薬の売上 3,634 億ドル(年 +4.5%)、営業利益率 1.40%(専門薬と診療網の構成で今の 1.19% から上昇)で 50.9 億ドル(年 +6.2%、長期目標 5〜7% の中)。医療用品は率 2.1% で 4.1 億ドル、その他は売上 145 億ドル・率 11.5% で 16.7 億ドル(年 +9%)。継続的な営業利益 63.2 億ドル(今の約 2.1 倍)、純利益 46.9 億ドル。買収は年 12〜18 億ドルで続け、10 年の累計約 150 億ドル。10 年の正味還元は約 285 億ドルで純利益の累計(約 334 億ドル)の約 85%。成長は名目 +3.6% に落ち着き、PER は式の 21.4 倍の 8 割の 17.1 倍。
- 医薬品・専門薬(PSS:処方薬の流通・専門薬・診療網・バイオファーマ):数量 11,835(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 6 月期の価格で固定、推定))× 価格 30.7%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,634 億ドル・営業利益 51 億ドル。件数・専門薬と価格
- 医療用品(GMPD:病院向けの医療用品の流通と自社ブランド):数量 1,375(米国の医療用品の流通・自社ブランド市場(億ドル、実質、推定))× 価格 14.0%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 193 億ドル・営業利益 4 億ドル。医療用品の件数と価格
- その他(在宅糖尿病・核医学・物流):数量 1,705(在宅医療用品・核医学・医薬品物流の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 8.5%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 145 億ドル・営業利益 17 億ドル。在宅・核医学・物流
倍率:正当化 PER は 21.4 倍(g 4.0%、RONIC 28.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 48.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 17.1 倍(8 割)に置いた。堀は普通:全米の物流網・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で、CVS が売上の 28% を占め、直販・薬価規制に取り分を削られ、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。中立は上限の 8 割に置く。質は高いが顧客の偏りと後発薬の一時的な追い風がある。純利益は GAAP。
確率:業界ノートの中立(流通額 年 +5% 前後)より価格を鈍く置き、専門薬・診療網・その他の事業の高い伸びと医療用品の回復を足した結果、営業利益は年 +7% 台。会社の長期目標(PSS 5〜7%、その他 約 10%)の中。
やや悲観 22% やや悲観:定価の伸びが削られ、営業利益は今の 1.6 倍にとどまる 利益 34 億ドル · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 220.59 ドル523 億ドル
2036 年 6 月期、IRA の Part B・最恵国待遇・割引カードで定価が伸びず価格は 1.30 倍、メーカー直販と大口顧客(CVS)の値引き交渉でシェアが 4% 縮み、後発薬の調達益も平常に戻る。医薬品・専門薬の売上 3,282 億ドル、率 1.22% で 40.0 億ドル。医療用品は率 1.4%、その他は年 +7% で 13.0 億ドル。継続的な営業利益 47.0 億ドル(年 +4.8%)、純利益 33.6 億ドル。成長は名目 +3.0% に落ち、ROE も下がり PER 15.6 倍(式の 20.7 倍の 7.5 割)。競合のマケッソンが腫瘍・処方技術で率を保つ中、カーディナルは同じ土俵で一歩負ける。10 年の正味還元は約 215 億ドル。
- 医薬品・専門薬(PSS:処方薬の流通・専門薬・診療網・バイオファーマ):数量 11,648(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 6 月期の価格で固定、推定))× 価格 28.2%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,282 億ドル・営業利益 40 億ドル。件数・専門薬と価格
- 医療用品(GMPD:病院向けの医療用品の流通と自社ブランド):数量 1,350(米国の医療用品の流通・自社ブランド市場(億ドル、実質、推定))× 価格 13.1%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 177 億ドル・営業利益 2 億ドル。医療用品の件数と価格
- その他(在宅糖尿病・核医学・物流):数量 1,562(在宅医療用品・核医学・医薬品物流の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 7.9%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 124 億ドル・営業利益 13 億ドル。在宅・核医学・物流
倍率:正当化 PER は 20.7 倍(g 4.0%、RONIC 23.5%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 39.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.6 倍(7.5 割)に置いた。堀は普通:全米の物流網・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で、CVS が売上の 28% を占め、直販・薬価規制に取り分を削られ、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。価格が削られ直販でシェアが縮む筋書き。上限の 7.5 割に置く。純利益は GAAP。
確率:薬価規制で定価が伸びず、大口顧客の値引き要求とメーカー直販で一部の流通が奪われ、後発薬の調達益が平常に戻る展開。2 割強。
悲観 10% 悲観:大口顧客と直販に削られ、営業利益が 2 割減る 利益 15 億ドル · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 91.22 ドル216 億ドル
2036 年 6 月期、大口顧客(CVS は売上の 28%)が自前の調達や別の卸へ移るか、メーカー直販・保険者(PBM)が卸を飛ばす構造的な負けで、医薬品・専門薬のシェアが 22% 縮み、価格は 1.25 倍にとどまる。医薬品・専門薬の売上 2,473 億ドル(今を割る)、率 1.02% で 25.2 億ドル。医療用品は 0.5% まで下がり、診療網ののれんの一部は減損になる。継続的な営業利益 24.4 億ドル(今の約 8 割)、純利益 15.3 億ドル。優良ではなくなり、g 1.8%・ROE 21% の式で PER 14.1 倍(式の値をそのまま)。時価総額は今の約 3.6 割、10 年の正味還元は約 130 億ドル。
- 医薬品・専門薬(PSS:処方薬の流通・専門薬・診療網・バイオファーマ):数量 11,232(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 6 月期の価格で固定、推定))× 価格 22.0%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,473 億ドル・営業利益 25 億ドル。件数・専門薬と価格
- 医療用品(GMPD:病院向けの医療用品の流通と自社ブランド):数量 1,300(米国の医療用品の流通・自社ブランド市場(億ドル、実質、推定))× 価格 11.2%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 146 億ドル・営業利益 1 億ドル。医療用品の件数と価格
- その他(在宅糖尿病・核医学・物流):数量 1,375(在宅医療用品・核医学・医薬品物流の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 6.8%(カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 94 億ドル・営業利益 8 億ドル。在宅・核医学・物流
倍率:正当化 PER は 14.1 倍(g 1.8%、RONIC 14.5%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 21.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.1 倍(10 割)に置いた。堀は普通:全米の物流網・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で、CVS が売上の 28% を占め、直販・薬価規制に取り分を削られ、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。大口顧客の離脱や直販・PBM の迂回で構造的に負けた筋書き(シェア −22%・価格 1.25 倍)。この筋書きの g での正当化 PER の値をそのまま使う(上限の割合は掛けない)。純利益は GAAP。
確率:大口顧客の離脱(オプタムが 2024 年に実際に離れた前例)、メーカー直販と保険者・PBM の迂回、診療網の減損が重なる構造的な負け。確率 10%(ただし 3 社の寡占は数十年続いた実績がある)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
医薬品・専門薬(PSS:処方薬の流通・専門薬・診療網・バイオファーマ)
病院・薬局チェーン・独立薬局・診療所へ処方薬を流通し、専門薬の流通と診療網(Specialty Alliance・Navista)、バイオファーマ・ソリューションズを持つ。売上の 92%。薄利で規模が堀。
| 数量米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 6 月期の価格で固定、推定) | 価格カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 10,400 | 22.6% | 2,348 | 28 |
| 10 年後 中立 | 11,835 | 30.7% | 3,634 | 51 |
取り方:卸 3 社の米国の流通額は 2026 年に約 9,330 億ドル(Drug Channels)で、3 社で約 9 割とみて市場を約 1 兆 400 億ドルと置いた(推定。センコラの担当は 9,300 億ドルを市場とし、定義が違うため単純比較しない)。2026 年 6 月期の PSS の売上は 2,348 億ドルでシェア約 22.6%。セグメント利益は 27.83 億ドル(率 1.185%、+23%)。診療網・専門薬の利益はこの率に含む。
医療用品(GMPD:病院向けの医療用品の流通と自社ブランド)
病院・診療所向けの医療用品の流通と Cardinal Health Brand(手袋・ガウン・注射器など)。関税と人件費に利益率が左右され、改善計画で赤字から回復途中。売上の 5%。
| 数量米国の医療用品の流通・自社ブランド市場(億ドル、実質、推定) | 価格カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1,250 | 10.2% | 127 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,375 | 14.0% | 193 | 4 |
取り方:米国の医療用品の流通・自社ブランドの市場を約 1,250 億ドルと推定(開示は無い)。2026 年 6 月期の売上は 127.2 億ドルでシェア約 10.2%。セグメント利益 2.58 億ドルのうち、関税還付 1.0 億ドル(一時的)を除いた 1.58 億ドル(率 1.24%)を今の値とした。2027 年 6 月期は 2.0〜2.2 億ドルの見通し。
その他(在宅糖尿病・核医学・物流)
在宅の糖尿病用品・医療用品(ADS・Strive)、核医学(PET・治療用の放射性医薬品)、物流(OptiFreight)。高成長・高利益率で売上の 3%、利益の約 2 割。
| 数量在宅医療用品・核医学・医薬品物流の市場(億ドル、実質、推定) | 価格カーディナルのシェア × 価格指数(今 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1,100 | 6.2% | 68 | 7 |
| 10 年後 中立 | 1,705 | 8.5% | 145 | 17 |
取り方:3 つの事業の市場の合計を約 1,100 億ドルと推定(在宅の糖尿病用品・医療用品・放射性医薬品・医薬品の宅配物流)。2026 年 6 月期の売上は 67.9 億ドルでシェア約 6.2%、セグメント利益 7.07 億ドル(率 10.4%、+37%)。AdaptHealth の糖尿病事業の買収は未成立のため入れない。
リスクと懸念
CVS への依存と大口顧客の入れ替え
CVS が売上の 28%(FY2025 は 30%)・売掛の 22%、上位 5 社で 43%。契約は 2027 年 6 月までで、2032 年 6 月までの延長に基本合意したが条件は非開示。2024 年にオプタム(売上の約 16%)が離れた前例があり、更新のたびに手数料を削られる恐れがある。
後発薬の好調と需要の急増の剥落
2026 年 6 月期の利益の伸びは、会社自身が長期目標を上回ると認める後発薬の好調(Red Oak)と、周期的な需要の急増を含む。平常に戻れば PSS の利益の伸びは長期目標(5〜7%)を下回りうる。関税還付 1 億ドルも一回限り。
薬価規制と直販(IRA・最恵国待遇・割引カード)
IRA の定価引き下げは 2026 年の売上の伸びを約 5 ポイント削り、2028 年 1 月からは Part B の価格交渉も加わる。会社は利益に影響しないと説明するが、最恵国待遇・メーカー直販・割引カード・PBM の迂回が広がると、卸を通る流通が減る。
診療網の買収の統合とのれんの減損
4 年で約 65 億ドルを診療網と在宅に投じ、2026 年 6 月期だけで Navista・ION ののれんの減損 1.8 億ドルと Outcomes の持ち分の減損 1.2 億ドルが出た。医師の離脱や診療報酬(Part B)の変更で価値が揺れる。GI Alliance は 3 年目から残りの持ち分を買う権利があり、追加の現金が要る。
医療用品の収益性と関税
医療用品は率 1.2%(還付を除く)と低く、関税・人件費・原油の変動で利益が振れる。会社は 2027 年 6 月期に 2.0〜2.2 億ドルを見込むが、イランの紛争が長引けば下限になると説明している。
オピオイド訴訟と規制
オピオイドの全米和解(約 64 億ドルを約 18 年で支払い)が現金を食い続けるほか、薬の追跡法・麻薬の取扱い規制の違反は許認可と営業に影響する。追加の大きな訴訟や州ごとの請求が出れば、継続的な純利益と自社株買いの余力に直接響く。
自己資本のマイナスと自社株買いの規模
自己資本は −27 億ドルで、買い戻しを続けるほどマイナスが深まり、PBR では測れない。借入と買収の資金は問題ない水準(会社は返済の必要なしと説明、新しい 40 億ドルの借入枠も確保)だが、景気後退と大型買収が重なれば財務の柔軟性が下がる。
今後の分かれ目
- CVS が契約の更新で手数料の引き下げを求めるか、一部を別の卸へ移したら
- 売上の 28% に影響が出て、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。卸の取り分が薄くなるので倍率を 4〜5 倍下げて見る。
- 2028 年の IRA の Part B 交渉で、専門薬の価格が大きく下がり、会社の「利益に影響なし」という説明が崩れたら
- 卸の手数料の伸びが物価を下回り、PSS の営業利益の伸びを下げる。中立の年 +6% を 4.5% に落として見る。
- Red Oak の後発薬の調達益が平常に戻り、PSS の利益の伸びが長期目標の下限(5%)を下回ったら
- 10 年の中立をやや悲観に寄せ、確率を悲観側に移す。2026 年 6 月期の勢いは一時的だったと読む。
- 診療網の買収の利回りが借入金利を超え、泌尿器・消化器・腫瘍の購買が全米で広がり続けたら
- 営業利益の伸びが目標を上回り、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし倍率は成長の減速を先に映す。
- メーカー直販・割引カードが GLP-1 などの流通の 1 割を超えて卸を通らなくなったら
- GLP-1 の売上が減り、米国の数量が下がる。3 年のやや悲観に確率を寄せる。
- 景気後退で後発薬の価格が下がり、卸の運転資本と信用リスクが膨らんだら
- 営業利益が 1 割ほど落ちるが、数量は崩れない。谷の PER 12 倍が下値の目安。3 年の悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- PSS 利益の伸び(2027 年 6 月期の見通しは +8〜11%)と、後発薬・専門薬・診療網の内訳
- CVS との契約延長の正式な条件と、売上に占める割合(28%)の変化
- 医療用品の利益(2027 年 6 月期は 2.0〜2.2 億ドルの見通し)と関税の影響
- IRA の Part B(2028 年 1 月)・最恵国待遇・340B の見直しと、メーカー直販・割引カードの広がり
- 診療網(Specialty Alliance・Navista)の買収の件数・のれんの減損と、GI Alliance の追加の持ち分の買い取り
- 調整後 FCF(2027 年 6 月期は 35〜40 億ドル)、自社株買い(10 億ドル以上)と純利息(2.4〜2.9 億ドル)
- AdaptHealth の糖尿病事業の買収の成立と、バイオファーマ・ソリューションズの売上(2028 年に 10 億ドルの目標)
倍率と資本コストの決め方
今の PER・時価総額 590〜600 億ドルを見る前に、医薬品・専門薬・医療用品・その他の 3 つに分け、市場(実質)× シェア × 価格指数で売上を、営業利益率で利益を積み上げた。純利益は GAAP の継続的な値(償却・繰り返すリストラ・減損を引いた約 21 億ドルが出発点)で、会社の調整後(約 26 億ドル)を使っていない。倍率は式 (1 − g/ROE) ÷ (k − g) どおりで、k 8.0%・g 4.0%・ROE 48%(事業の元手に対する ROIC から)・堀は普通で RONIC 28.0% の 10 年中立は式の 21.4 倍の 8 割の 17.1 倍(純現金の加算は無い)。今の倍率にも過去の幅にも寄せていない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0% = 8.0%。CVS への依存・直販・薬価の制度変更・オピオイド和解の支払いなどの個別のリスクは k に足さず、やや悲観・悲観の確率(合計 32%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。