結論
センコラは米国の処方薬卸 3 社の 2 番手で、米国の卸の流通額の約 32% を持つ。2026 年 9 月期は売上 3,370 億ドル前後(+4〜6%)、調整後の営業利益 48.5 億ドル(+13〜14%)の見通しで、内訳は米国ヘルスケア・ソリューションズ(売上の 9 割・営業利益 38 億ドル)、国際(6.4 億ドル)、MWI 動物薬などのその他(3.9 億ドル)。2026 年 2 月に腫瘍の診療網 OneOncology を取得し、2025 年 1 月に取得した網膜の RCA と合わせて、薄利の卸に診療網という高収益の層を足している。
事業の質は高く、全米の物流・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続いている。ただし粗利は契約で決まる薄利の商売で、売上の約 25% をウォルグリーン(2025 年 8 月にシカモアが買収)、約 13% をエバーノースが占め、上位 10 社で 66%。買収の借入で純負債は 2026 年 6 月末に約 89 億ドルへ増え、利払いも年約 4.9 億ドルに増えた。
純利益は GAAP で置く。減損(2025 年 9 月期のファーマレックスののれん 7.2 億ドル)や再評価益(2026 年の OneOncology で税引後 8.3 億ドル)で GAAP の実績は揺れるので、買収無形資産の償却と買収・統合費用を営業利益から引いた継続的な値で見た(2026 年 9 月期で約 27 億ドル)。数量 × 価格で 10 年を積み上げた中立は、2036 年 9 月期に売上 5,380 億ドル・調整後営業利益 85 億ドル・純利益 54 億ドルで、利益ベースの正当化 PER 21.9 倍(資本コスト 8%・g 4.0%・ROE 56%・堀は普通で、新しく投じる元手の稼ぎ RONIC は 32.2%)の 8 割の PER 17.5 倍なら時価総額は約 953 億ドルと今の約 1.4 倍。確率で加重すると今の時価総額を約 6% 下回り「適正」。ただし結論は ROE 56% が続くことへの依存が大きい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。処方薬は景気に鈍感で、全米の流通網・資金力・許認可の組み合わせは複製が難しく、3 社寡占は数十年続いている。堀は規模で価格の堀ではないので、広がるというより維持される。専門薬と診療網は、卸より切り替えにくい層を足す。
次にオーナー利益。会社が出す調整後の純利益は約 35 億ドルだが、償却と買収・統合費用を引いた継続的な値は約 27 億ドル。調整後のフリーキャッシュフロー約 30 億ドルは、設備投資が売上の 0.3% と軽いことに支えられる。ただし、診療網の買収に毎年 10 億ドル超を使い、純負債が積み上がる点は、オーナー利益の一部を買収に再投資しているとみる。時価総額 650 億ドルに対し継続的な純利益の利回りは約 4% で、国債が 5% の世界では、持つ見返りの大半を利益の伸びに頼る値段。
安全域は、楽観で今の約 2.1 倍、悲観で今の約 4.2 割。経営は資本を診療網に移す点で筋は通るが、買収の初年度の利回りが借入金利並みなので、割高に買えば価値を壊す。顧客がウォルグリーン 25%・エバーノース 13% と偏る点が最も気になる。わからない部分は、薬価規制・直販・PBM が卸の取り分をどこまで削るかで、確信度は中程度。結論は資本コスト 8% と利益ベースの倍率(正当化 PER の 8 割)による値で、年率は国債を少し上回る程度にとどまる。
何で稼ぐ会社か
米国ヘルスケア・ソリューションズは、病院・薬局チェーン・独立薬局・診療所へ処方薬を卸す事業で、2026 年 9 月期の売上は約 2,980 億ドル、営業利益率 1.3%。ブランド薬は流通手数料、後発薬は大量に安く調達して売る差益、専門薬(がん・眼科・腎臓など)は流通と診療所向けの運営支援が利益の源。顧客との契約は数年単位で、ウォルグリーンが売上の約 25%、エバーノース(旧エクスプレス・スクリプツ)が約 13%。
診療網(MSO)は、診療所を所有せず、医師グループの事務・購買・データを請け負う形で、腫瘍の OneOncology(2026 年 2 月に残りの持ち分を取得。9 か月の買収の現金支出は約 50 億ドルで、医師・提携先が少数持ち分を残す)と網膜の Retina Consultants of America(2025 年 1 月取得)がある。診療網は卸の売上をほとんど増やさず、専門薬の購買と診療網の手数料で利益を厚くする(OneOncology は取得後 12 か月で調整後 1 株利益に中立と会社が説明)。2026 年 3 月には網膜の EyeSouth を 11 億ドルで取得する契約を結んだが、時期が未定で今の見通しには入れていない。
国際は、欧州の医薬品卸(アライアンス・ヘルスケア)、専門薬・治験用の低温物流(ワールド・クーリエ)、コンサル(ファーマレックス)で、売上約 306 億ドル、営業利益率 2.1%。その他は MWI 動物薬(売上約 87 億ドル、率 4.5%)で、2026 年 2 月にコベトラスとの合併(MWI の評価 35 億ドル、新会社の 34.3% を保有)を発表したが未成立のため、今の形で置いた。
売上を数量 × 価格に分けると、米国は「卸の市場(約 9,300 億ドル)× センコラのシェア(32%)× 価格指数」。市場は件数と専門薬・高額薬の構成で伸び、価格は物価並みを基本としつつ、薬価規制で鈍る分は理由を書いて下げた。
優良さと弱いところ
堀は 4 つ。第 1 は規模で、3 社で米国の流通の約 9 割を握り、センコラは約 32%。物流拠点・在庫・仕入れの規模が 1 件あたりのコストを支える。第 2 は許認可と追跡の仕組み(薬の追跡法・麻薬の取扱い許可)で、新規参入に年単位の準備と巨額の投資がいる。第 3 は資金力で、薬局から数日で回収しメーカーへは遅く払う運転資本の仕組みが、規模のある 3 社にしか回らない。第 4 は専門薬と診療網(OneOncology・RCA・ワールド・クーリエ)で、医師・メーカーとのデータと関係が、卸の取引より切り替えにくい。
資本効率は、自己資本が 2026 年 6 月末で約 32 億ドルと極小のため帳簿の ROE は 100% に近く意味を持たない。税引き後の営業利益を自己資本+純負債で割った ROIC は 25% 前後。設備投資は売上の 0.3% で、運転資本もほぼ要らないので、伸びに要る元手は小さい。ただし伸びの一部は買収で買っており、初年度の利回りは借入金利並み。
弱点は、価格を決める力が弱く(粗利は契約で決まる)、調整後の営業利益率 1.3%(GAAP は 1.1%)はマケッソン 1.5% を下回ること、顧客がウォルグリーン 25%・エバーノース 13%・上位 10 社 66% と偏ること、ウォルグリーンの債権が全体の 38% を占めること。2025 年には大きな腫瘍内科の顧客(フロリダ・キャンサー・スペシャリスツ)をマケッソンに奪われた。優良さは「規模の堀」であって「価格の堀」ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の処方薬の卸は、マケッソン・センコラ・カーディナルヘルスの 3 社が約 9 割を握り、3 社の米国流通額は 2026 年に約 9,330 億ドル(Drug Channels)。二桁だった伸びは 1 桁台半ばへ減速している。センコラの 2026 年 9 月期は売上 +4〜6% の見通しで、数量は高齢化・専門薬・GLP-1 で年 1〜2%、価格は物価と高額薬の構成で名目 +3〜3.5% と見て、流通額は年 5% 前後。
競合の位置:マケッソンは売上 4,034 億ドル・営業利益率 1.5% で、腫瘍・処方技術という付加価値の高い事業を持ち、3 社で最も率が高い。カーディナルヘルスは売上 2,226 億ドル・率 1.1% で、医療製品の事業が赤字から回復中。センコラは売上 3,213 億ドル・調整後の率 1.3% で、専門薬・診療網と国際(欧州の卸・低温物流)に強みがあり、その分、米国の卸だけで見ればマケッソンに規模で劣る。マケッソンに腫瘍の大口顧客を取られたように、大口の入れ替えは 3 社間で起こる。
構造の変化は 4 つ。(1)バイオシミラー(ステラーラ・ヒュミラ・キイトルーダ後)の普及は、卸の粗利が高い後発型の流通を増やす。(2)薬価の規制(IRA の価格交渉・Part B は 2028 年 1 月から、最恵国待遇、340B の見直し案)と、メーカーの定価引き下げ(センコラは 2026 年 9 月期の売上で約 24 億ドル減)は、定価の伸びを抑える。(3)メーカー直販(イーライリリーの直販など)と割引カードが、卸と薬局の仲介の取り分を削る可能性。GLP-1 は米国売上を押し上げる(前年比 +23 億ドル)が粗利は薄い。(4)診療所の統合(MSO)で腫瘍・網膜の購買が大きな塊になり、これを抱える側が専門薬の流通を握る。循環でいえば、処方薬は景気に鈍感で、リーマン期も数量は大きく崩れず、株価は倍率で動いた。
資本政策と M&A
還元は配当と自社株買い。2026 年 9 月期の 9 か月で自社株買い約 10 億ドル(第 3 四半期に集中、平均の買値は今より 2 割ほど安い)、配当 3.6 億ドル。希薄化後の株数は前年比 −0.7%(1 億 9,400 万株)。2025 年 9 月期までは買い戻しが年 4 億ドル程度と小さく、買収を借入で賄ってきたため、足元の純負債は 89 億ドル。株式報酬は年 2 億ドル前後(推定)と小さい。
M&A は、2025 年 1 月の RCA(網膜)、2026 年 2 月の OneOncology(腫瘍。約 50 億ドルの現金、シニアノート 30 億ドル+タームローン 15 億ドルで調達)、2026 年 3 月の EyeSouth 網膜事業(11 億ドル・未成立)と、診療網の買い増しが中心。MWI のコベトラスとの合併は現金 12.5 億ドル・優先株 8 億ドル・新会社の 34.3% の持ち分で、成立すると 2027 年 9 月期に営業利益 約 1.5 億ドルの減益要因。
鍵は、診療網の買収の初年度の利回りが借入金利並みで、成長が出るまで時間がかかる点と、買収を続けると純負債が高止まりして、利払いが利益を食う点。他社に買収される可能性はほぼなく、大型の卸どうしの統合は独占規制上できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
センコラは「薄利の卸」から「専門薬と診療網を持つ医療サービスの会社」に変わりつつある。2026 年 9 月期の調整後営業利益は +13〜14% で、米国は +15% 前後、国際も +9%。OneOncology と RCA は計画を上回って推移し、診療網は卸の売上を増やさずに利益だけを積み増す。会社は長期の営業利益 年 7〜10%、1 株利益 年 10〜14% を再確認した。
卸の寡占は崩れにくい。マケッソンとカーディナルヘルスが同じ市場にいる中で、センコラは欧州の卸と低温物流という米国の薬価規制から離れた収益源を持ち、国際が営業利益の 13% を占める。バイオシミラーが増えるほど、後発型の粗利が高い流通が増える。年約 30 億ドルの調整後フリーキャッシュフローで、買収を続けながら自社株買いも続けられる。
営業利益が長期目標の中央(年 8.5%)で伸びれば、10 年後の営業利益は今の約 2.3 倍。資本コスト 8% なら、成熟後の PER 30 倍超も式で説明できる。
慎重な見方
診療網の買収で伸ばした利益の一部は、医師の持ち分調整や統合費用という形で GAAP の費用になり、会社の調整後の数字ほど株主に残らない。2026 年 9 月期の GAAP 純利益(継続的な値で約 27 億ドル)は調整後(約 35 億ドル)の 8 割にすぎない。買収の初年度の利回りは借入金利並みで、金利 5% の世界では純負債 89 億ドルの利払いが利益を削る。
最大の顧客ウォルグリーンは売上の約 25%・債権の 38%。シカモアの下で店舗を減らし、調達を絞るか別の卸へ動かせば、一度に売上の 2 割強が飛ぶ。信用リスクも集中している。メーカーの定価引き下げ(2026 年 9 月期だけで売上 24 億ドル減)、IRA の Part B(2028 年 1 月)と最恵国待遇、直販と割引カードは、卸の取り分を削る方向に働き、GLP-1 は売上は大きいが粗利が薄い。マケッソンがすでにフロリダ・キャンサー・スペシャリスツを取ったように、腫瘍の大口は競合に動く。
今の利益に対する PER(継続的な GAAP 純利益で約 24 倍)は、成長を前払いしている。純利益が 10 年で 2 倍になっても、倍率が過去の中央の 20 倍に戻れば時価総額の伸びは 1.7 倍(年 5%)にとどまり、国債の 5% 並みにすぎない。
どちらに重みを置いたか
事業の質と足元の勢いは強気の見方が強く、診療網と専門薬の利益は会社の目標に近い。一方、値段と顧客の偏りでは慎重な見方が強い。確率は、中立 36%・楽観側 30%・悲観側 34% と、やや慎重にした。10 年の悲観を 12% と厚めにしたのは、ウォルグリーンの縮小・直販・PBM の迂回という一撃が構造的に起こりうるため。結論は利益ベースの倍率で「適正」。ただし ROE が高く続くことへの依存が大きく、確信度は中程度。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 451.36 ドル881 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 164.10 ドル320 億ドル)。 今の値に割り戻すと 320.75 ドル626 億ドル、今との差 −5.8%、 期待の年率 +6.1%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 727.92 ドル1,421 億ドル | 207.98 ドル406 億ドル | +174.9% | +10.6% | 74.87 ドル146 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 589.40 ドル1,151 億ドル | 190.56 ドル372 億ドル | +129.1% | +8.6% | 171.59 ドル335 億ドル |
| 中立 | 36% | 487.93 ドル953 億ドル | 176.73 ドル345 億ドル | +95.2% | +6.9% | 239.28 ドル467 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 321.08 ドル627 億ドル | 141.90 ドル277 億ドル | +36.0% | +3.1% | 101.86 ドル199 億ドル |
| 悲観 | 12% | 143.02 ドル279 億ドル | 89.13 ドル174 億ドル | −31.8% | −3.8% | 27.86 ドル54 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 451.36 ドル881 億ドル | 164.10 ドル320 億ドル | +80.8% | +6.1% | 615.45 ドル1,201 億ドル |
今の株価時価総額 340.43 ドル665 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:腫瘍・網膜の診療網が広がり、営業利益が今の 2.2 倍に 利益 71 億ドル · PER 20.1 倍 · 株価時価総額 727.92 ドル1,421 億ドル
2036 年 9 月期、米国の卸の実質市場は年 +2.0%(専門薬・バイオシミラー・GLP-1)で 11,337億ドル、診療網の買い増しでシェアは 34% に上がり、価格は物価並みを少し上回る(1.45 倍)。米国の売上 5,589億ドル、営業利益率 1.55% で営業利益 87億ドル。国際は 14億ドル、その他(MWI)は 8億ドル。売上 6,314億ドル、調整後営業利益 109億ドル、継続的な GAAP の営業利益 99億ドル、純利益 71億ドル。営業利益は今の 2.2 倍(年 +8.4%)で、会社の長期目標(年 7〜10%)の中。買収を年 18 億ドル続けるので純負債は 150 億ドル台まで増え、利払いが重くなる。成長は名目 +3.8% に落ち着き、PER 20.1 倍(式の 22.3 倍の 9 割)。10 年の正味還元は約 406億ドル。
- 米国ヘルスケア・ソリューションズ(処方薬の流通・専門薬・腫瘍と網膜の診療網):数量 11,337(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 9 月期の価格で固定、推定))× 価格 49.3%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 5,589 億ドル・営業利益 87 億ドル。件数・専門薬と物価
- 国際ヘルスケア・ソリューションズ(欧州の卸・専門薬の物流・コンサル):数量 3,482(欧州ほか海外の医薬品卸・専門薬物流・コンサルの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 16.1%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 561 億ドル・営業利益 14 億ドル。欧州の卸と物流
- その他(MWI 動物薬ほか):数量 366(米国の動物病院向けの動物薬・用品の卸の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 44.8%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 164 億ドル・営業利益 8 億ドル。動物薬の卸
倍率:正当化 PER は 22.3 倍(g 4.0%、RONIC 37.0%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 66.0% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 20.1 倍(9 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で価格の堀ではなく、売上の約 25% をウォルグリーン、約 13% をエバーノースが占めて交渉力が顧客側にあり、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占と景気に鈍感な需要で質は高いが、顧客がウォルグリーン 25%・エバーノース 13% と偏り、粗利は契約で決まる薄利で、診療網の買収に毎年 10 億ドル超を使い純負債が積み上がる。純利益は GAAP。
確率:専門薬・バイオシミラーの普及で粗利の高い流通が増え、腫瘍・網膜の診療網が全米に広がって営業利益率が上がる展開。10 年この条件がそろう確率は 1 割弱。
やや楽観 22% やや楽観:寡占と大口契約を保ち、営業利益が今の約 2 倍に 利益 61 億ドル · PER 18.8 倍 · 株価時価総額 589.40 ドル1,151 億ドル
2036 年 9 月期、米国の実質市場は年 +1.7% で 11,008億ドル、シェア 33%、価格 1.42 倍で売上 5,158億ドル、営業利益率 1.47% で営業利益 76億ドル。診療網と専門薬が利益を押し上げ、国際 12億ドル、その他 7億ドル。売上 5,825億ドル、調整後営業利益 95億ドル、継続的な GAAP の営業利益 86億ドル、純利益 61億ドル。営業利益は今の約 2 倍(年 +7.0%)。ウォルグリーンとエバーノースとの契約は更新され、バイオシミラーの普及で後発型の粗利が増える一方、IRA の Part B と最恵国待遇で高額薬の定価は抑えられる。成長は名目 +3.5% に落ちて PER 18.8 倍(式の 22.1 倍の 8.5 割)。10 年の正味還元は約 372億ドル。
- 米国ヘルスケア・ソリューションズ(処方薬の流通・専門薬・腫瘍と網膜の診療網):数量 11,008(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 9 月期の価格で固定、推定))× 価格 46.9%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 5,158 億ドル・営業利益 76 億ドル。件数・専門薬と物価
- 国際ヘルスケア・ソリューションズ(欧州の卸・専門薬の物流・コンサル):数量 3,414(欧州ほか海外の医薬品卸・専門薬物流・コンサルの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 15.2%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 518 億ドル・営業利益 12 億ドル。欧州の卸と物流
- その他(MWI 動物薬ほか):数量 348(米国の動物病院向けの動物薬・用品の卸の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 42.7%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 149 億ドル・営業利益 7 億ドル。動物薬の卸
倍率:正当化 PER は 22.1 倍(g 4.0%、RONIC 34.3%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 60.6% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 18.8 倍(8.5 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で価格の堀ではなく、売上の約 25% をウォルグリーン、約 13% をエバーノースが占めて交渉力が顧客側にあり、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占と景気に鈍感な需要で質は高いが、顧客がウォルグリーン 25%・エバーノース 13% と偏り、粗利は契約で決まる薄利で、診療網の買収に毎年 10 億ドル超を使い純負債が積み上がる。純利益は GAAP。
確率:卸の寡占と大口顧客の契約が保たれ、診療網と専門薬で会社の長期目標(営業利益 年 7〜10%)に近く伸びるが、薬価規制で率の上昇は小幅にとどまる展開。
中立 36% 中立:流通額は年 +4.8%、営業利益は今の 1.7 倍 利益 54 億ドル · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 487.93 ドル953 億ドル
2036 年 9 月期、米国の実質市場は年 +1.3%(10,582億ドル)、センコラのシェアは 32.0% を維持し、価格は物価並み(1.41 倍)で売上 4,775億ドル、営業利益率 1.42%(今の 1.28% から診療網と専門薬の分だけ上昇)で営業利益 68億ドル。国際は 10.6億ドル(年 +5%)、その他は 6.2億ドル。売上 5,380億ドル、調整後営業利益 85億ドル、継続的な GAAP の営業利益 76億ドル、純利益 54億ドル。営業利益は今の 1.7 倍(年 +5.7%)。成長は名目 +3.2%(市場の実質 +1.2%・シェア 変化なし・価格 +2.0%)に落ち着き、PER は式の 21.9 倍の 8 割の 17.5 倍(k 8.0%)。10 年の正味還元は約 345億ドルで、純利益の累計の約 85%。
- 米国ヘルスケア・ソリューションズ(処方薬の流通・専門薬・腫瘍と網膜の診療網):数量 10,582(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 9 月期の価格で固定、推定))× 価格 45.1%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 4,775 億ドル・営業利益 68 億ドル。件数・専門薬と物価
- 国際ヘルスケア・ソリューションズ(欧州の卸・専門薬の物流・コンサル):数量 3,314(欧州ほか海外の医薬品卸・専門薬物流・コンサルの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 14.2%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 470 億ドル・営業利益 11 億ドル。欧州の卸と物流
- その他(MWI 動物薬ほか):数量 331(米国の動物病院向けの動物薬・用品の卸の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 40.7%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 135 億ドル・営業利益 6 億ドル。動物薬の卸
倍率:正当化 PER は 21.9 倍(g 4.0%、RONIC 32.2%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 56.4% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 17.5 倍(8 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で価格の堀ではなく、売上の約 25% をウォルグリーン、約 13% をエバーノースが占めて交渉力が顧客側にあり、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占と景気に鈍感な需要で質は高いが、顧客がウォルグリーン 25%・エバーノース 13% と偏り、粗利は契約で決まる薄利で、診療網の買収に毎年 10 億ドル超を使い純負債が積み上がる。純利益は GAAP。
確率:業界ノートの中立(流通額 約 1.6 倍・利益率 横ばい)に、診療網と専門薬の伸びを足し、長期目標をやや下回る伸び(営業利益 年 5.7%)とした。
やや悲観 22% やや悲観:価格の取り分が削られ、営業利益は今の 1.3 倍にとどまる 利益 40 億ドル · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 321.08 ドル627 億ドル
2036 年 9 月期、IRA の Part B・最恵国待遇・割引カードで高額薬の定価が伸びず、価格指数は 1.34(物価並みの 1.41 を下回る)、ウォルグリーンの縮小とメーカー直販でシェアは 29.5% に下がる。米国の売上 3,981億ドル、営業利益率 1.30% で営業利益 52億ドル。国際 8億ドル、その他 5億ドル。売上 4,489億ドル、調整後営業利益 64億ドル、継続的な GAAP の営業利益 55億ドル、純利益 40億ドル。営業利益は今の 1.3 倍(年 +2.9%)。成長は名目 +2.8% に落ち、PER 15.7 倍(式の 21.0 倍の 7.5 割)。競合のマケッソンが腫瘍・処方技術で率を保つ中、センコラは同じ土俵で負ける。
- 米国ヘルスケア・ソリューションズ(処方薬の流通・専門薬・腫瘍と網膜の診療網):数量 10,071(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 9 月期の価格で固定、推定))× 価格 39.5%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 3,981 億ドル・営業利益 52 億ドル。件数・専門薬と物価
- 国際ヘルスケア・ソリューションズ(欧州の卸・専門薬の物流・コンサル):数量 3,153(欧州ほか海外の医薬品卸・専門薬物流・コンサルの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 12.5%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 396 億ドル・営業利益 8 億ドル。欧州の卸と物流
- その他(MWI 動物薬ほか):数量 315(米国の動物病院向けの動物薬・用品の卸の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 35.6%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 112 億ドル・営業利益 5 億ドル。動物薬の卸
倍率:正当化 PER は 21.0 倍(g 4.0%、RONIC 24.7%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 41.4% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.7 倍(7.5 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で価格の堀ではなく、売上の約 25% をウォルグリーン、約 13% をエバーノースが占めて交渉力が顧客側にあり、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。3 社寡占と景気に鈍感な需要で質は高いが、顧客がウォルグリーン 25%・エバーノース 13% と偏り、粗利は契約で決まる薄利で、診療網の買収に毎年 10 億ドル超を使い純負債が積み上がる。純利益は GAAP。
確率:薬価規制(IRA の Part B・最恵国待遇)で定価が物価より伸びず、ウォルグリーンが縮み、メーカー直販と割引カードが一部の流通を奪う展開。2 割強。
悲観 12% 悲観:直販・PBM が卸を飛ばし、最大顧客も失って営業利益が 2 割減る 利益 20 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 143.02 ドル279 億ドル
2036 年 9 月期、メーカー直販と保険者・PBM が卸を飛ばし、最大顧客のウォルグリーンが(シカモアの下で)調達を絞り込むか買収先に移り、センコラのシェアは 25% まで下がる。価格指数は 1.25(物価の 1.41 を大きく下回る)、米国の売上 2,995億ドル(今とほぼ同じ)、営業利益率 1.0% で営業利益 30億ドル。診療網の買収の一部は減損になる。売上 3,409億ドル、調整後営業利益 38億ドル、継続的な GAAP の営業利益 29億ドル、純利益 20億ドル。営業利益は今の約 8 割。優良ではなくなり、g 1.5%・帳簿の ROE 22% の式で PER 13.8 倍(式の値をそのまま)。時価総額は今の約 4.2 割、10 年の正味還元は約 174億ドル。
- 米国ヘルスケア・ソリューションズ(処方薬の流通・専門薬・腫瘍と網膜の診療網):数量 9,583(米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 9 月期の価格で固定、推定))× 価格 31.3%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,995 億ドル・営業利益 30 億ドル。件数・専門薬と物価
- 国際ヘルスケア・ソリューションズ(欧州の卸・専門薬の物流・コンサル):数量 3,000(欧州ほか海外の医薬品卸・専門薬物流・コンサルの市場(億ドル、実質、推定))× 価格 10.8%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 324 億ドル・営業利益 5 億ドル。欧州の卸と物流
- その他(MWI 動物薬ほか):数量 300(米国の動物病院向けの動物薬・用品の卸の市場(億ドル、実質、推定))× 価格 30.0%(センコラのシェア × 価格指数(今 = 1))→ 売上 90 億ドル・営業利益 3 億ドル。動物薬の卸
倍率:正当化 PER は 13.8 倍(g 1.5%、RONIC 14.8%。RONIC は k 8.00% に、事業の ROE 21.6% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 13.8 倍(10 割)に置いた。堀は普通:処方薬の卸は全米の物流・許認可・資金力という規模の堀で 3 社寡占が数十年続くが、粗利は契約で決まる薄利で価格の堀ではなく、売上の約 25% をウォルグリーン、約 13% をエバーノースが占めて交渉力が顧客側にあり、伸びの一部を診療網の買収で買うので強い堀(2/3)とは見ない。構造的に負けた筋書き(ウォルグリーンの縮小・直販・PBM の迂回で構造的に負けた筋書き(市場 +0.5%・シェア −1.0%・価格 +2.0%))。この筋書きの g での正当化 PER の値をそのまま使う(上限の割合は掛けない)。純利益は GAAP。
確率:メーカー直販と保険者・PBM が卸を飛ばし、ウォルグリーンかエバーノース級の大口顧客を失い、価格の取り分が物価を大きく下回る構造的な負け。確率 12%(ただし 3 社の寡占は数十年続いた実績がある)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国ヘルスケア・ソリューションズ(処方薬の流通・専門薬・腫瘍と網膜の診療網)
病院・薬局チェーン・独立薬局・診療所へ処方薬を流通し、専門薬の流通と診療網(OneOncology・Retina Consultants of America)の運営支援を持つ。売上の 9 割。薄利で規模が堀。
| 数量米国の処方薬・専門薬の卸の流通市場(億ドル、実質:2026 年 9 月期の価格で固定、推定) | 価格センコラのシェア × 価格指数(今 = 1。物価並みなら 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 9,300 | 32.0% | 2,978 | 38 |
| 10 年後 中立 | 10,582 | 45.1% | 4,775 | 68 |
取り方:3 社(マケッソン・センコラ・カーディナルヘルス)の米国の流通額は 2026 年に約 9,330 億ドル(Drug Channels)で、市場の約 9 割とみて米国の卸の市場を約 9,300 億ドルと置いた(推定)。2026 年 9 月期の米国の売上は 2025 年 9 月期の 2,850 億ドルに +4〜5%(会社見通しの下半分)を掛けた約 2,980 億ドルでシェア 32.0%(マケッソン約 36%、カーディナルヘルス約 21%)。調整後の営業利益は前年の約 33 億ドルに +15%(会社見通し +14.5〜15.5%)で 38.2 億ドル(率 1.28%)。診療網の利益はこの率に含む。
国際ヘルスケア・ソリューションズ(欧州の卸・専門薬の物流・コンサル)
欧州の医薬品卸(アライアンス・ヘルスケア)、専門薬・臨床試験の物流(ワールド・クーリエ)、ファーマレックス(コンサル)。売上の約 1 割、営業利益率は 2% 前後。
| 数量欧州ほか海外の医薬品卸・専門薬物流・コンサルの市場(億ドル、実質、推定) | 価格センコラのシェア × 価格指数(今 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 3,000 | 10.2% | 306 | 6 |
| 10 年後 中立 | 3,314 | 14.2% | 470 | 11 |
取り方:市場を約 3,000 億ドルと推定。2026 年 9 月期の売上は 2025 年 9 月期の 283 億ドルに約 +8%(会社見通し。ドル建て・為替要因を含む)で約 306 億ドル、シェア 10.2%。営業利益は 5.9 億ドルに約 +9%(会社見通し)で 6.4 億ドル(率 2.1%)。為替は動かさない。
その他(MWI 動物薬ほか)
米国の動物病院向けの動物薬・用品の卸(MWI アニマル・ヘルス)が中心。コベトラスとの合併を発表済みだが未成立のため、今の形で書く。
| 数量米国の動物病院向けの動物薬・用品の卸の市場(億ドル、実質、推定) | 価格センコラのシェア × 価格指数(今 = 1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 300 | 29.0% | 87 | 4 |
| 10 年後 中立 | 331 | 40.7% | 135 | 6 |
取り方:市場を約 300 億ドルと推定。2026 年 9 月期の売上は 2025 年 9 月期の約 82 億ドルに約 +6%(会社見通し)で約 87 億ドル、シェア約 29%。営業利益は約 3.5 億ドルに約 +10%(会社見通し)で 3.9 億ドル。コベトラスとの合併(MWI の評価 35 億ドル、センコラは新会社の 34.3% を持つ)は未成立なので入れない。
リスクと懸念
ウォルグリーンへの依存と信用
ウォルグリーン(2025 年 8 月にシカモアが買収)が売上の約 25%・債権の 38%、エバーノースが約 13%、上位 10 社で 66%。店舗の削減・調達の絞り込み・卸の入れ替えが起きれば一度に売上の 2 割強が動き、債権の回収にも響く。契約の更新のたびに手数料を削られる可能性もある。
薬価規制と直販(IRA・最恵国待遇・割引カード)
IRA の Part B の価格交渉は 2028 年 1 月から、最恵国待遇の合意、メーカー直販と割引カードの広がりは、定価に連動する卸の手数料を削り、仲介を飛ばす経路を太らせる。メーカーの定価引き下げは 2026 年 9 月期だけで売上を約 24 億ドル減らした。売上が伸びても利益が伸びない形になりうる。
GLP-1 と利益率の天井
GLP-1 は米国売上を前年比 +23 億ドル押し上げるが粗利が薄く、増えるほど率を下げる。メーカー直販(イーライリリーの直販など)が増えると卸を通らなくなる。調整後の営業利益率 1.44% は直近で最も高い水準で、ここから先は診療網と専門薬の構成で上げるしかない。
診療網の買収と借入
OneOncology は約 50 億ドルの現金(シニアノート 30 億ドル、タームローン 15 億ドル)で取得し、純負債は 2026 年 6 月末で約 89 億ドル。さらに EyeSouth(11 億ドル)を控える。買収の初年度の利回りは借入金利並みで、医師の持ち分調整や統合費用が GAAP の費用になる。医師の離脱や診療報酬(メディケアの Part B)の変更で診療網の価値が揺れる。
のれんの減損と国際
2025 年 9 月期にファーマレックス(コンサル)で 7.2 億ドルののれんを減損し、2026 年 9 月期の 9 か月でも資産の減損が 2.5 億ドルあった。国際は営業利益率 2% 前後と薄く、欧州の薬価と為替の影響を受ける。買収を重ねるほどのれんの減損のリスクが残る。
オピオイド訴訟と規制
オピオイド関連の和解金(全米)の支払いが長く続くほか、薬の追跡法・麻薬の取扱い規制の違反は許認可と営業に影響する。会社は 2026 年 9 月期の 9 か月で訴訟・オピオイド関連に純益を計上したが、大きな追加の訴訟が出れば純利益に響く。
MWI とコベトラスの合併の不確実性
MWI(動物薬の卸)のコベトラスとの合併は、現金 12.5 億ドル・優先株 8 億ドル・新会社の 34.3% の持ち分で、2027 年 9 月期に営業利益約 1.5 億ドルの減益要因と会社が説明する。規制の承認が下りない・時期がずれると、見通しが動く。この分析は未成立として今の形で置いたので、成立時の得失は含まない。
今後の分かれ目
- ウォルグリーンが契約の更新で手数料の引き下げを求めるか、一部を別の卸へ移したら
- 売上の約 25% に影響が出て、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。卸の取り分が薄くなるので倍率を 3〜4 倍下げて見る。
- 2028 年の IRA の Part B 交渉で、専門薬・がん薬の価格が大きく下がったら
- 卸の手数料の伸びが物価を下回り、営業利益の伸びを下げる。中立の営業利益 年 +5.7% を 4.5% に落として見る。
- メーカー直販・割引カード(TrumpRx など)が GLP-1 の流通の 1 割を超えて卸を通らなくなったら
- GLP-1 の売上が減り、米国の数量が下がる。3 年のやや悲観に確率を寄せる。
- OneOncology と RCA の営業利益が計画を上回り続け、診療網の買収の利回りが借入金利を超えたら
- 営業利益の伸びが目標を上回り、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし倍率は成長の減速を先に映す。
- EyeSouth の買収が成立し、さらに腫瘍・網膜の診療網の買い増しが年 20 億ドルを超えたら
- 営業利益は上振れるが純負債が 150 億ドル台に近づき、利払いが利益を削る。楽観の中の借入の重さを先に見る。
- 景気後退で後発薬の価格が下がり、卸の運転資本と信用リスクが膨らんだら
- 営業利益が 1 割ほど落ちるが、数量は崩れない。谷の PER 12 倍が下値の目安。3 年の悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 調整後営業利益の伸び(年 7〜10% の長期目標)と米国・国際・その他の内訳
- OneOncology・RCA の営業利益と、EyeSouth の成立時期
- ウォルグリーン・エバーノースなど大口顧客の契約更新と、債権の回収
- メーカーの定価引き下げ・IRA の Part B(2028 年 1 月)・最恵国待遇・340B の見直し案
- GLP-1 の売上と、メーカー直販・割引カードの利用の広がり
- 純負債と純利息費用(2026 年 9 月期で約 4.9 億ドル)、自社株買いの規模
- MWI とコベトラスの合併の承認と、ファーマレックスなど国際の減損
倍率と資本コストの決め方
今の PER・時価総額 650 億ドルを見る前に、米国・国際・その他の 3 つに分け、市場(実質)× シェア × 価格指数で売上を、営業利益率で利益を積み上げた。純利益は GAAP の継続的な値(償却と買収費用を引いた約 27 億ドルが出発点)で、調整後の約 35 億ドルを使っていない。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)(k 8.0%・g 4.0%・ROE 56%(ROIC から直した値と帳簿の低いほう)・堀は普通で RONIC 32.2%)= 21.9 倍の 8 割の 17.5 倍。今の倍率にも過去の幅にも寄せていない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0% = 8.0%。ウォルグリーンへの依存・直販・薬価の制度変更・オピオイド和解・診療網の買収の資本効率などの個別のリスクは k に足さず、やや悲観・悲観の確率(合計 34%)と悲観の深さで表した。存続は危うくないので上乗せ 0。