結論
センティーンは、州のメディケイド(低所得者向けの公的医療保険)を民間として運営する米国最大手で、加入者は 2026 年 6 月末に 1,211 万人、全米のメディケイド運営会社の加入者の約 18% を占める。これに ACA(オバマケア)の個人保険アンベター(349 万人)、高齢者向けのメディケア・アドバンテージ(98 万人)と全米最大級の処方薬保険 PDP(880 万人)が加わり、2026 年の保険料・サービス収入は約 1,750 億ドル。
2025 年は医療費が料金を上回って伸び、2025 年 7 月に ACA 市場のリスク調整の読み違い(約 18 億ドルの収入減)で通期見通しを取り下げ、のれんの減損 67 億ドルで GAAP 純損失は 67 億ドル(調整後でも 1 株利益 2.08)。2026 年は一転して回復し、4〜6 月の GAAP 純利益は 11 億ドル、通期の GAAP 1 株利益見通しは 3.11 超(純利益で約 16 億ドル)。ただし 1 株あたり約 0.50 は 2025 年分の精算益で 2027 年は戻らず、第 3・第 4 四半期は季節で赤字になる。
バリュー投資の観点では、事業は 10 年後も存在する(メディケイドは州と連邦の制度として続く)が、堀は規模と運営ノウハウで、価格を決める力は州と連邦政府にある。数量(加入者)× 価格(1 人あたり収入)× 利益率で積むと、中立は 2029 年に純利益 24 億ドル、2036 年に 46 億ドル(純利益率 1.7%)。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割に置いた(moat は weak)。10 年の中立は、正当化 PER 12.4 倍(k 9.0%、g 4%)の 8.3 割の 10.2 倍。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 35% 下。結論は「割高」。確信度は低〜中。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後にこの事業が存在し今より強いかを問う。メディケイドは貧困層の医療を支える公的制度で、需要はなくならない。ただし堀は、価格を決める力ではなく、州との入札・料率交渉で生き残る運営力で、売値(料率)を州が決め、買値(医療費)が上がり続け、その差の 1〜2% が利益になる事業は、本来バリュー投資が好む種類ではない。
オーナー利益で見ると、2026 年の GAAP 純利益は約 16 億ドルで、2023〜2024 年の 27〜33 億ドルを下回る。2026 年の利益には 1 回限りの精算益(1 株利益に直して約 0.5 相当)が入り、会社の言う回復が本物かは 2027 年の通期まで見えない。安全域を測る。正当化 PER は 12.4 倍(g 4%、k 9.0%、moat は weak)。10 年の中立は正当化 PER の 8.3 割の 10.2 倍に置いた。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 35% 下。結論は「割高」。ただし政策(就労要件・補助金)と医療費率に利益が 6〜7 割動く薄利の事業で、確率を厚く(10 年の悲観 22%)して受けた。
借金(161 億ドル)に対して親会社の現金が薄く、減配の余地もない。予測できない要素が多く、確信度は低〜中に置く。
何で稼ぐ会社か
保険は、加入者(実質は州・連邦政府・個人)から保険料を受け取り、医療費を払う。センティーンの収入の約 5 割はメディケイドで、州が毎年、医療費の見通しに基づいて 1 人あたりの料率を決める(実際の費用に合うように設定される「アクチュアリー上の適正」が原則)。加入者は 2026 年 6 月末に 1,211 万人で、伝統的メディケイド 1,075 万人と、障害・長期ケアなどの高急性度 136 万人。収入は 4〜6 月に 227.7 億ドル。
ACA の個人保険(アンベター)は、連邦の補助金で保険料の大半が賄われる。2025 年末の 554 万人(全米最大)から、強化された補助の失効で 2026 年 6 月末に 349 万人まで減った。会社は価格を引き上げて採算を戻し、4〜6 月の商業部門の医療費率は 79.2%(前年 90.6%)。2026 年の税引き前利益率の見通しは 4.5〜5%。メディケアは、処方薬だけの PDP が約 250 億ドルの収入・880 万人で、エクスプレス・スクリプツとの提携で年 600 億ドル超の薬の購買力を使う。MA は 98 万人で、うち約 4 割が低所得の高齢者向け D-SNP。
ほかに団体保険・国際・専門サービスがある。過去の買収(2016 年ヘルスネット、2020 年ウェルケア、2022 年マゲラン)で規模を作ったが、2025 年 7〜9 月期にのれん 67 億ドルを減損し、マゲランの残りの事業は売却した。2026 年の費用には、退職金 3.6〜4.1 億ドルと最適化費用 0.9〜1.2 億ドルの事務の合理化が入る。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は規模:メディケイドの加入者 1,211 万人は 2 位のエレバンス(約 10.7%)の 1.7 倍で、州の入札・料率交渉・提供者との価格交渉・請求処理に規模が効く。第 2 は PDP と ACA の全米規模のブランド(ウェルケア・アンベター)と、PDP でエクスプレス・スクリプツの購買力を使える点。第 3 はメディケイドで 多くの州に根を張る運営の経験と、政府・州との関係。
一方で優良さは大きく割り引く。純利益率は 2024 年の 2.0% から 2025 年は調整後でも 0.6% 前後まで下がり、GAAP では赤字、ROE は 2020 年の 7% から 2024 年に 12.5%、2025 年に −33.5%(のれん減損)。利益率は他社より薄く、2025 年の営業利益率はエレバンス 4.1%・ユナイテッド 4.2% に対し、センティーンは −0.1%。医療費の読み違い(拡大対象層の急性度・ACA のリスク調整・メディケイドの高額薬と行動療法)が 3 年続いた点は、制度の問題だけでなく経営の見通しの精度の問題でもある。
弱点は、価格を州と連邦政府が決めること、利益率が薄く(営業利益率 1〜3%)医療費率が 1 ポイント動くと利益が 6〜7 割動くこと、有利子負債が約 161 億ドルあり親会社の自由な現金が 7 億ドルしかないこと(現金等 241 億ドルの大半は規制対象の子会社が加入者の請求のために持つ)、のれん・無形資産が 150 億ドル(自己資本の約 7 割)あること。強みは規模で、価格を決める力ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
メディケイドは州と連邦が費用を分担する制度で、全米で約 7,000 万人、そのうち民間の運営会社が担う割合は約 7 割(推定)。センティーン(約 17.9%)・エレバンス(10.7%)・ユナイテッドヘルス(8%)・モリーナ(6%)の上位 4 社で約 43%。2026 年は ① 2023 年からの資格確認(アンワインド)で加入者が減り、残った人の病状が重く医療費が上がった、② 2025 年 7 月の包括法(OBBBA)で、2027 年 1 月から拡大対象層に就労要件と半年ごとの資格確認が入り、議会予算局は 10 年で約 800 万人の減少を見込む、③ 州が料率を医療費の伸びに追いつかせるのが遅れた、という谷にある。モリーナの経営陣も 2026 年が利益率の底と言い、エレバンスは 12〜18 か月でメディケイドの一部の市場から撤退すると述べた。
ACA 市場は、2025 年末で強化された補助(税額控除)が失効し、補助金付きの加入者の保険料負担が平均 +114% になった。個人市場の加入は 2025 年 6 月の 2,520 万人から 2026 年 6 月の 2,050 万人へ減り、健康な人から離れるため医療費が上がる懸念がある。他方、センティーンは価格を上げて医療費率を 79% まで下げ、競合のモリーナも 2027 年に収入約 10 億ドル縮小するため、残った保険会社の採算は当面よい。議会が補助を戻すかどうかが最大の変数。
メディケアは、PDP が 2025 年からの制度変更(自己負担の上限・保険者の負担増)で採算が難しい中、センティーンは大手として 2026 年の利益率を 3% 超に戻した。MA は支払いの伸びの鈍化とリスク調整の変更で業界全体が谷にあり、センティーンは 2027 年に損益ゼロ以上を約束している。
資本政策と M&A
還元は無配で、自社株買いは 2022 年 31 億ドル・2023 年 16 億ドル・2024 年 31 億ドル(台帳)から、2025 年は 5 億ドル、2026 年 1〜6 月は 0.33 億ドルへ急に絞り、2026 年は借金の返済を優先している(4〜6 月に 2027〜2028 年満期の社債 2.6 億ドルを買い戻し、負債資本比率は 46.5% から 41.6% へ)。株数は 2022〜2025 年に年 −1〜−5% 減ったが、2026 年の見通しの株数は 4.97〜5.00 億株で、ほぼ横ばい。
有利子負債は約 161 億ドル、親会社の自由な現金は 7.15 億ドル、4 億ドルの借入枠は未使用。借り換えで利払いは年 1 億ドル前後増える推定。現金等の 241 億ドルは保険の子会社が持つ規制資本・請求準備金で、事業の自己資金ではない。
M&A は 2016 年のヘルスネット、2020 年のウェルケアで規模を取ったが、2025 年にその買収ののれんを 67 億ドル減損した(資本配分の失敗を会社が認めた形)。マゲランは売却済み。2026 年からは新規の大型買収を想定せず、費用削減(最適化・退職金)と借金返済に集中する。大型の保険同士の合併は規制で難しい。この 3 年は買収を使わずに有機的に伸ばす前提で書いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年は底から立ち上がる年で、2027 年はさらに良くなる。4〜6 月の連結の医療費率は 89.6%(前年 93.0%)で、ACA 市場は 79.2%、メディケイドは 93.9%。メディケイドの料率は 2026 年に約 +5%(医療費の基調は 4% 台半ば)、複数の州が OBBBA の影響を料率の係数に明記し、2027 年 1 月に見直すと約束した。拡大対象層の減少で急性度は上がるが、料率に回収される。
競合が退く。エレバンスは 12〜18 か月でメディケイドの一部市場から撤退し、モリーナは ACA 市場の収入を約 10 億ドル縮小する。センティーンは入札でシェアを取り、ACA 市場では価格を上げて 4.5〜5% の利益率を確保し、PDP は 3% 超。2024 年の長期目標(売上 +7〜8%・1 株利益 +12〜15%)は 2025 年の谷で失効扱いだが、費用削減(最適化)で利益率は戻る。
10 年では、メディケイドは貧困層の医療を支える制度で、人口と医療費の伸びで売上は 2036 年に 2,700 億ドルを超え、利益率が 2023 年の水準に戻るだけで純利益は 2026 年の約 3 倍。ROE は 20% 近くに戻り、借金を返しながら自社株買いに回せる。
慎重な見方
2026 年の利益は一過性が多く、土台は弱い。調整後 1 株利益 4.80 のうち約 0.50 は 2025 年分の精算益で 2027 年は戻らず、ACA 市場の 2026 年のリスク調整は「意味のある受取債権」と置かれ、見積もりの外れ次第で戻される。第 3 四半期は損益ゼロ近く、第 4 四半期は赤字。GAAP では償却・退職金で調整後との差が 1 株あたり約 1.7。
メディケイドは構造的に悪い。2027 年 1 月から拡大対象層に就労要件と半年ごとの資格確認が入り、2027〜2029 年に拡大対象層が 1 桁台半ば減る(議会予算局は 10 年で約 800 万人減)。健康な人から抜けるので急性度が上がり、料率が追いつくまで 1〜2 年の遅れが出る。州の予算は提供者税の縮小で逼迫し、料率を絞る側にも回る。HBR は季節で第 2・第 3 四半期が高い。
ACA 市場は補助の失効で縮み、逆選択(健康な人が先に抜けて医療費が上がる)の恐れが残る。2025 年の見通し取り下げはこの市場のリスク調整の読み違いだった。財務は、有利子負債 161 億ドルに対し親会社の現金 7 億ドルで、のれんの再減損と信用の悪化が重なれば自己資本が痩せる。薄利の会社に高い倍率を払う根拠は弱い。
どちらに重みを置いたか
2026 年の回復は事実だが、利益の質(1 回限りの精算益・季節・ACA のリスク調整の受取債権)と政策の転換(就労要件・補助金の失効)を割り引くと、2029 年の中立は会社の長期目標より低い純利益 24 億ドル(利益率 1.3%)に置く。確率は、構造リスク(州の直営・集約、補助が戻らない)が大きいので楽観 4%・やや楽観 14%・中立 32%・やや悲観 28%・悲観 22% とし、悲観側を厚くした。規制は資本コストに足さず確率で表した。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 12.4 倍(k 9.0%)の 8.3 割の 10.2 倍。今の PER に寄せていない。確信度は低〜中。確率で重ねた総合は、今の時価総額より約 35% 下。結論は「割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 70.44 ドル347 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 23.81 ドル117 億ドル)。 今の値に割り戻すと 45.23 ドル223 億ドル、今との差 −36.5%、 期待の年率 +2.8%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 4% | 192.15 ドル948 億ドル | 68.75 ドル339 億ドル | +266.2% | +13.9% | 10.44 ドル51 億ドル |
| やや楽観 | 14% | 136.74 ドル674 億ドル | 53.74 ドル265 億ドル | +167.4% | +10.3% | 26.67 ドル132 億ドル |
| 中立 | 32% | 95.96 ドル473 億ドル | 38.73 ドル191 億ドル | +89.1% | +6.6% | 43.10 ドル213 億ドル |
| やや悲観 | 28% | 38.12 ドル188 億ドル | 9.33 ドル46 億ドル | −33.4% | −4.0% | 13.29 ドル66 億ドル |
| 悲観 | 22% | 10.14 ドル50 億ドル | −6.69 ドル−33 億ドル | −95.2% | −26.1% | 0.76 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 70.44 ドル347 億ドル | 23.81 ドル117 億ドル | +32.3% | +2.8% | 94.25 ドル465 億ドル |
今の株価時価総額 71.24 ドル351 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 4% 楽観:メディケイド最大手の規模と ACA・PDP が利益を押し上げる 利益 77 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 192.15 ドル948 億ドル
2036 年、メディケイドは加入者 1,290 万人(市場のシェア 18% 台を保つ)・利益率 3.0%、ACA 市場は 440 万人・4.5%、MA は D-SNP の拡大で 160 万人・4.0%、PDP は 1,000 万人・3.2%。売上は 3,200 億ドル台、営業利益は 112 億ドル、純利益は 77 億ドル。純利益の利益率は約 2.4% で、2016〜2019 年のメディケイド大手の平常(1.5〜2.0%)を上回る。ROE(のれんを除く)は 28% 近くまで上がるが、成長は市場の伸びと物価で年 4〜5% に落ち着く。ACA 市場は議会が補助を戻すか価格改定が定着して安定し、PDP・MA も標準的な利益率に戻る。借金の返済が進んで自社株買いが増え、株主への還元は 10 年で 300 億ドルを超える。メディケイド入札でシェアを守り、競合の撤退でシェアが 18% 台を保つ点が前提。倍率は 正当化 PER 13.7 倍の 9 割、12.4 倍に置く。利益率が戻り伸びが続く筋書きでも、料率は他人の財布なので上限の 9 割に抑える。
- メディケイド(州の低所得者向け):数量 12.9(平均加入者(百万人))× 価格 11,921(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 1,538 億ドル・営業利益 46 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- マーケットプレイス(ACA 個人保険・アンベター):数量 4.4(平均加入者(百万人))× 価格 13,570(1 人あたり年間保険料(ドル))→ 売上 597 億ドル・営業利益 27 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア・アドバンテージ(ウェルケア):数量 1.6(平均加入者(百万人))× 価格 28,642(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 458 億ドル・営業利益 18 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア PDP(処方薬だけの保険):数量 10.0(平均加入者(百万人))× 価格 4,289(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 429 億ドル・営業利益 14 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他(商業団体・国際・専門サービス):数量 1.4(加入者相当(百万人))× 価格 14,574(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 197 億ドル・営業利益 10 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 20.2%(この筋書きの純利益 76.6 ÷ 自己資本 379 億ドル。のれん・無形資産(約 150 億ドル)を含む自己資本)は先で薄れ、RONIC = k 9.00%(基本 8.0% + quality +1.0%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 12.7%(堀は弱い(1/3):規模と運営ノウハウはあるが、料率は州と連邦が決め、利益率は他社より薄く、買収で積んだのれんと無形資産が自己資本の約 7 割ある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.7 倍 に対し、90% の 12.4 倍に置いた(楽観は式の値の 9 割に置く。利益率が戻り伸びが続く筋書きでも、料率は他人の財布なので上限の 9 割に抑える)。時価総額 = 純利益 76.6 億ドル × 12.4 倍 = 947.5 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:メディケイドの料率が医療費に追いつき続け、拡大対象層の減少は一時的で、ACA 市場も補助の再拡大などで安定し、PDP・MA も標準的な利益率に戻る展開。それでも政策に左右される事業で、2024〜2026 年に医療費と料率の読み違いが続いたので、楽観が 5% 未満(4%)なのは、この事業の上振れ(利益率 3% 台)が州と連邦の財布に依存し、2024〜2026 年に読み違いが続いたため。
やや楽観 14% やや楽観:利益率が 2%台の純利益率で定着する 利益 61 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 136.74 ドル674 億ドル
2036 年、メディケイドは 1,240 万人・利益率 2.8%、ACA 市場は 390 万人・4.0%、MA は 135 万人・3.5%、PDP は 920 万人・2.8%。売上は 2,900 億ドル台、営業利益は 90 億ドル、純利益は 61 億ドル。入札の勝率が高く、料率改定も毎年追いつくが、価格を決める力は州にあるので利益率は 3% 以下にとどまる。ACA 市場は補助が部分的に戻り、加入者は 390 万人で安定する。MA は D-SNP に絞って 135 万人まで増え、利益率が 3.5% に定着する。PDP は制度変更で縮んだ市場でシェアを保つ。借金の返済と自社株買いで株主への還元は 10 年で 260 億ドル超。メディケイドの入札の勝率が高く、料率改定も毎年追いつくが、価格を決める力は州にあるので利益率は 3% 以下にとどまる。倍率は 正当化 PER 13.1 倍の 8.5 割、11.1 倍に置く。利益率の戻りが計画どおりなので上限の 8.5 割。
- メディケイド(州の低所得者向け):数量 12.4(平均加入者(百万人))× 価格 11,804(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 1,464 億ドル・営業利益 41 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- マーケットプレイス(ACA 個人保険・アンベター):数量 3.9(平均加入者(百万人))× 価格 13,437(1 人あたり年間保険料(ドル))→ 売上 524 億ドル・営業利益 21 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア・アドバンテージ(ウェルケア):数量 1.4(平均加入者(百万人))× 価格 28,361(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 383 億ドル・営業利益 13 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア PDP(処方薬だけの保険):数量 9.2(平均加入者(百万人))× 価格 4,247(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 391 億ドル・営業利益 11 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他(商業団体・国際・専門サービス):数量 1.2(加入者相当(百万人))× 価格 14,431(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 173 億ドル・営業利益 8 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 16.6%(この筋書きの純利益 60.8 ÷ 自己資本 366 億ドル。のれん・無形資産(約 150 億ドル)を含む自己資本)は先で薄れ、RONIC = k 9.00%(基本 8.0% + quality +1.0%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 11.5%(堀は弱い(1/3):規模と運営ノウハウはあるが、料率は州と連邦が決め、利益率は他社より薄く、買収で積んだのれんと無形資産が自己資本の約 7 割ある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.1 倍 に対し、85% の 11.1 倍に置いた(やや楽観は式の値の 8.5 割に置く。利益率は戻るが料率の制約が残る)。時価総額 = 純利益 60.8 億ドル × 11.1 倍 = 674.3 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:メディケイドが 2.8%、ACA が 4%、MA が 3.5% で定着する展開。確率 14%。
中立 32% 中立:純利益率は 1.7% で、過去の平常並みに定着する 利益 46 億ドル · PER 10.2 倍 · 株価時価総額 95.96 ドル473 億ドル
2036 年、メディケイドは加入者 1,185 万人(2029 年から年 +0.55%)・1 人あたり収入は 2026 年の 1.55 倍・利益率 2.6%、ACA 市場は 350 万人・3.3%、MA は 115 万人・3.0%、PDP は 830 万人・2.2%。売上は 2,680 億ドル、営業利益は 71 億ドル、純利益は 46 億ドル。メディケイドの政策(OBBBA の就労要件・提供者税の縮小)の影響は 2030 年までに織り込まれ、その後は人口と医療費の伸びで安定して増える。倍率は 正当化 PER 12.4 倍の 8.3 割、10.2 倍に置く。メディケイド・ACA の利益は州の料率と補助金という他人の財布に左右され、会社の g(3.8%)は上限の 4% より低く、堀は弱い(moat=weak)。
- メディケイド(州の低所得者向け):数量 11.9(平均加入者(百万人))× 価格 11,687(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 1,385 億ドル・営業利益 36 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- マーケットプレイス(ACA 個人保険・アンベター):数量 3.5(平均加入者(百万人))× 価格 13,304(1 人あたり年間保険料(ドル))→ 売上 466 億ドル・営業利益 15 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア・アドバンテージ(ウェルケア):数量 1.2(平均加入者(百万人))× 価格 28,080(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 323 億ドル・営業利益 10 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア PDP(処方薬だけの保険):数量 8.3(平均加入者(百万人))× 価格 4,205(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 349 億ドル・営業利益 8 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他(商業団体・国際・専門サービス):数量 1.1(加入者相当(百万人))× 価格 14,288(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 157 億ドル・営業利益 6 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 13.4%(この筋書きの純利益 46.3 ÷ 自己資本 346 億ドル。のれん・無形資産(約 150 億ドル)を含む自己資本)は先で薄れ、RONIC = k 9.00%(基本 8.0% + quality +1.0%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 10.5%(堀は弱い(1/3):規模と運営ノウハウはあるが、料率は州と連邦が決め、利益率は他社より薄く、買収で積んだのれんと無形資産が自己資本の約 7 割ある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.4 倍 に対し、83% の 10.2 倍に置いた(中立は式の値の 8 割強に置く。メディケイド・ACA の利益は州の料率と補助金という他人の財布に左右される)。時価総額 = 純利益 46.3 億ドル × 10.2 倍 = 473.2 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:メディケイドは 2.6%、ACA は 3.3%、MA は 3.0%、PDP は 2.2% で定着し、純利益率は 1.7%(2023 年の 1.75% と同程度)。2029 年に回復した水準から、市場の伸びと物価で伸びる。最大の確率 32%。
やや悲観 28% やや悲観:メディケイドが 1% 台半ばで張り付き、優良さが落ちる 利益 18 億ドル · PER 10.2 倍 · 株価時価総額 38.12 ドル188 億ドル
2036 年、メディケイドは加入者 1,100 万人(2029 年と同じ)・利益率 1.6%、ACA 市場は 280 万人・1.8%、MA は 90 万人・1.2%、PDP は 700 万人・1.3%。売上は 2,290 億ドル、営業利益は 33 億ドル、純利益は 18 億ドル。2029 年の谷から完全には回復せず、ROE(のれんを除く)は 9% 前後で、倍率も低い。州の予算が逼迫して提供者税の縮小後も料率が医療費を下回る状態が続き、入札でモリーナ・エレバンス・ユナイテッドヘルスにシェアを取られる。ACA 市場は補助の失効後の縮小が戻らず、逆選択で採算が低い。借金の返済に回すので自社株買いは小さく、株主への還元は 10 年で 50 億ドル弱にとどまる。倍率は 1÷k(11.1 倍)の 9.2 割、10.2 倍に置く。料率が絞られ利益率が戻らず、新しく投じる資本の稼ぎが k に近づく。
- メディケイド(州の低所得者向け):数量 11.0(平均加入者(百万人))× 価格 11,453(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 1,260 億ドル・営業利益 20 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- マーケットプレイス(ACA 個人保険・アンベター):数量 2.8(平均加入者(百万人))× 価格 13,038(1 人あたり年間保険料(ドル))→ 売上 365 億ドル・営業利益 7 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア・アドバンテージ(ウェルケア):数量 0.9(平均加入者(百万人))× 価格 27,518(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 248 億ドル・営業利益 3 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア PDP(処方薬だけの保険):数量 7.0(平均加入者(百万人))× 価格 4,121(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 288 億ドル・営業利益 4 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他(商業団体・国際・専門サービス):数量 1.0(加入者相当(百万人))× 価格 14,002(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 133 億ドル・営業利益 4 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
倍率:悲観側の利益ベースの上限の内側に置く。この筋書きの ROE 5.8%(純利益 18.4 ÷ 自己資本 316 億ドル)は k 9.00% 以下なので、ためた利益は元の額より小さい価値で、正当化 PER は 1 ÷ k = 11.1 倍が上限。その 92% の 10.2 倍に置いた(やや悲観は 1 ÷ k の 9 割強に置く。料率が絞られ利益率が戻らず、新しく投じる資本の稼ぎが k に近づく)。時価総額 = 純利益 18.4 億ドル × 10.2 倍 = 188.0 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:州の予算の逼迫で料率が医療費を恒常的に下回り、入札で他社(モリーナ・エレバンス・ユナイテッド)に取られ、ACA 市場は縮小したまま採算が低い展開。2023〜2025 年の実績から厚く置く。確率 28%。
悲観 22% 悲観:メディケイドの民間運営が縮み、もう優良ではなくなる 利益 2 億ドル · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 10.14 ドル50 億ドル
2036 年、州の入札で勝てず、メディケイドは加入者 980 万人・利益率 1.0%、ACA 市場は 190 万人・0.5%、MA は 65 万人・−0.5%、PDP は 550 万人・0.5%。売上は 1,810 億ドル、営業利益は 10 億ドル、利払い後の純利益はほぼゼロ(約 2 億ドル)。事業は残るが、もう優良ではなく、時価総額は、のれん・無形資産を除く有形の自己資本(約 50 億ドル)まで下がる。還元が負なのは、株式報酬で増える株を自社株買いで打ち消せず、増資の払い込みは無いためである。州が民間運営の取り分を絞り、補助の失効後の ACA 市場も縮んだまま採算が低く、のれん(108 億ドル)の再減損が起きて自己資本が痩せる。
- メディケイド(州の低所得者向け):数量 9.8(平均加入者(百万人))× 価格 10,986(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 1,077 億ドル・営業利益 11 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- マーケットプレイス(ACA 個人保険・アンベター):数量 1.9(平均加入者(百万人))× 価格 12,505(1 人あたり年間保険料(ドル))→ 売上 238 億ドル・営業利益 1 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア・アドバンテージ(ウェルケア):数量 0.7(平均加入者(百万人))× 価格 26,395(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 172 億ドル・営業利益 −1 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- メディケア PDP(処方薬だけの保険):数量 5.5(平均加入者(百万人))× 価格 3,953(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 217 億ドル・営業利益 1 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
- その他(商業団体・国際・専門サービス):数量 0.8(加入者相当(百万人))× 価格 13,431(1 人あたり年間収入(ドル))→ 売上 107 億ドル・営業利益 3 億ドル。加入者・1 人あたり収入・利益率
倍率:悲観は売れる資産の床と稼ぐ力で置く(市場の PBR は使わない)。2036 年の純利益は約 2 億ドルでほぼゼロ、ROE(のれんを除く)は 1.4% と成長率を下回るため式の PER は使えず、純利益 ÷ k 9.0% = 20 億ドルでは事業の価値を表せない。のれん・無形資産(150 億ドル)は再減損で消える前提で、保険の免許と規制資本が売れる有形の自己資本 約 50 億ドル(今の自己資本 199.5 億ドル − のれん 108 − 無形資産 42)を床にし、50 億ドルに置く。今の自己資本に対する PBR は 0.25 倍。
確率:州がメディケイドの運営を直営やより少ない数の会社へ集約する、または連邦が民間運営の取り分を実質で凍結するなど、構造的に負ける筋書き。ACA 市場は補助の失効後に縮小したまま逆選択が続く。10 年の悲観として 22% と厚く置いた(規制は k に足さず確率で表す)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
メディケイド(州の低所得者向け)
州政府と契約し、低所得者・障害者・児童の医療保険を民間として運営する。伝統的メディケイドと高急性度(障害・長期ケア)を含む。収入は州が毎年決める 1 人あたりの定額の料率。
| 数量平均加入者(百万人) | 価格1 人あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 12.0 | 7,540 | 905 | 11 |
| 10 年後 中立 | 11.9 | 11,687 | 1,385 | 36 |
取り方:2026 年 6 月末は 1,211 万人(2025 年末 1,252 万人から減り、通年で −8〜9% の見通し)。年末は約 1,140 万人で、期間の平均を 1,200 万人と置いた。収入は 4〜6 月が 227.7 億ドル(年換算約 910 億ドル)で、1 人あたり年約 0.75 万ドル。営業利益率は HBR 93.5% 前後・SG&A を引いて投資収益を足し約 1.2%(推定)。市場は全米のメディケイド運営会社の加入者で、HMA によるとセンティーンのシェアは 17.9%(2026 年 6 月)、エレバンス 10.7%・ユナイテッドヘルス 8%・モリーナ 6%。料率は 2026 年に約 +5%(医療費の基調は 4% 台半ば)。
マーケットプレイス(ACA 個人保険・アンベター)
オバマケア(ACA)の取引所で個人向けに売るアンベターなど。政府の補助金(税額控除)が保険料の大半を支える。
| 数量平均加入者(百万人) | 価格1 人あたり年間保険料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 3.8 | 8,420 | 320 | 15 |
| 10 年後 中立 | 3.5 | 13,304 | 466 | 15 |
取り方:2025 年末 554 万人から 2026 年 6 月末 349 万人へ、強化された補助の失効で減った。年末は約 330 万人と見て、期間の平均を 380 万人と置いた。収入は商業(ACA が大半)の 4〜6 月 93.6 億ドルから、年間約 330〜375 億ドルのうち団体を除いた約 320 億ドル(推定)で、1 人あたり年約 0.84 万ドル。税引き前利益率は会社の見通し 4.5〜5%(2025 年のリスク調整の精算益 1.8 億ドルを含む)の中央 4.75%。競合はオスカー・CVSヘルス(エトナ)・ユナイテッドヘルス・モリーナ(2027 年に収入約 10 億ドル縮小)など。
メディケア・アドバンテージ(ウェルケア)
高齢者向けの公的医療保険を民間が運営する。D-SNP(低所得でメディケイドも持つ高齢者向け)が会員の約 4 割で、センティーンはここに重点を置く。
| 数量平均加入者(百万人) | 価格1 人あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1.0 | 18,000 | 176 | −1 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 28,080 | 323 | 10 |
取り方:2026 年 6 月末の MA 加入者は 98 万人(2025 年末 100 万人)。メディケア部門の収入の約 4 割が MA(4〜6 月の部門収入 110.6 億ドルから約 44 億ドル)で、年約 176 億ドル、1 人あたり年約 1.8 万ドル。利益率は会社の見通し「2026 年はほぼ損益ゼロ、2027 年に損益ゼロ以上」から −0.5%(推定)。競合はユナイテッドヘルス・ヒューマナ・CVSヘルスなどで、センティーンの MA 全体のシェアは約 3% にすぎない。
メディケア PDP(処方薬だけの保険)
高齢者向けの処方薬だけの公的保険(パート D)。センティーンのウェルケアは全米最大級で、エクスプレス・スクリプツと組む。
| 数量平均加入者(百万人) | 価格1 人あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 8.8 | 2,900 | 255 | 8 |
| 10 年後 中立 | 8.3 | 4,205 | 349 | 8 |
取り方:2026 年 6 月末の PDP は 880 万人(2025 年末 812 万人)。収入は会社が約 250 億ドルと発言、1 人あたり年約 0.29 万ドル。税引き前利益率は会社の見通し 3% 超(2026 年は特に高く、2025 年分の精算益を含む)から 3.3%。第 3・第 4 四半期は季節で赤字になる。競合はシグナのエバーノース・CVSヘルス(エトナ)・ヒューマナなど。
その他(商業団体・国際・専門サービス)
従業員向けの団体保険、国際事業、専門サービスなど。
| 数量加入者相当(百万人) | 価格1 人あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 1.0 | 9,400 | 94 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 14,288 | 157 | 6 |
取り方:4〜6 月の「その他」部門収入 12.0 億ドル(年換算約 48 億ドル)と、団体の約 50 万人の保険収入約 46 億ドル(推定)の合計約 94 億ドルを、1 人あたり約 0.94 万ドル・100 万人相当と置いた(開示が粗いため推定)。利益率 4%(推定)。
リスクと懸念
メディケイドの料率が医療費の伸びに追いつかない
料率は州が毎年決め、2023〜2025 年は医療費(行動療法・在宅・高額薬)が料率を上回った。2026 年は料率 +5% で医療費の基調は 4% 台半ばだが、拡大対象層の減少で急性度が上がり、州の予算が提供者税の縮小で逼迫すると、料率の見直しが 1 年遅れる。利益率が 1 ポイント動くと純利益が 7 割動く。
就労要件・資格確認による加入者の減少
2027 年 1 月から拡大対象層に就労要件と半年ごとの資格確認が入り、議会予算局は 10 年で約 800 万人の減少を見込む。センティーンの 2026 年の通期の減少見通しは −8〜9%(当初は −6%)と下振れ続き。減るのは健康な人が多く、残る人の急性度が上がる。
ACA 市場の逆選択と補助金の行方
強化された補助の失効で加入者が 554 万人から 349 万人へ減り、さらに年後半に資格確認で減る。健康な人が先に抜けると医療費が上がり、2025 年の見通し取り下げの原因となったリスク調整の読み違いが再び起きる恐れがある。2026 年の利益率 4.5〜5% は 2025 年分の精算益 1.8 億ドルを含む。
利益の質:1 回限りの精算益と季節
2026 年の調整後 1 株利益 4.80 超のうち約 0.50 は 2025 年分(ACA のリスク調整・PDP の精算)で、2027 年は戻らない。第 3 四半期は損益ゼロ近く、第 4 四半期は赤字になる季節性があり、通期の見通しの上振れが翌年の基準にならない。
財務の薄さとのれん
有利子負債は約 161 億ドル、親会社の自由な現金は 7.15 億ドル。負債資本比率は 46.5% から 41.6% へ下がったが、のれん 108 億ドルと無形資産 42 億ドルが自己資本の約 7 割あり、再度の減損や格下げで資金調達が高くなる恐れがある。
メディケア部門の採算(PDP の制度・MA の星評価)
PDP は 2025 年からの制度変更で保険者の負担が増え、2026 年の 3% 超の利益率は特に高い年。MA は 2027 年に損益ゼロ以上を約束しているが、星評価の基準の引き上げとリスク調整の変更が逆風。シェアの小さい MA(約 3%)は規模の不利が残る。
州による直営・集約と入札の失注
州がメディケイドの運営を直営やより少ない数の会社へ集約する、または入札で失注する場合、加入者と利益が一度に動く(1 つの州の入札で数十万人単位が動く)。センティーンは州ごとの収入への依存度が高く、10 年の悲観 22% に織り込んだ。
今後の分かれ目
- 2027 年 1 月に複数の州が OBBBA の影響を料率に織り込み、2027 年第 1〜2 四半期のメディケイドの医療費率が 93% を下回ったら
- メディケイドの回復が確かになる。楽観・やや楽観の確率を数ポイント上げてよい。
- 拡大対象層の加入者の減少が 2027 年に年 10% を超え、急性度が想定以上に上がったら
- メディケイドの利益率が 2% を割る。悲観・やや悲観の確率を 10 ポイント上げる。
- 議会が強化された ACA の補助を戻す、または 2027 年の価格改定が通って加入者の離脱が止まったら
- ACA 市場の加入者が 350 万人を上回って安定し、中立の加入者数を 330 万人から 360 万人(やや楽観)へ寄せてよい。
- ACA 市場の 2026 年のリスク調整の受取債権が下方修正され、2027 年の見通しに織り込まれたら
- 2026 年の利益の質が下がる。中立の ACA 利益率 3.3% を 2% 前後(やや悲観)へ寄せる。
- 2027 年の MA が損益ゼロ以上を達成し、PDP の利益率が 2.5% を保ったら
- メディケア部門の利益の質が上がる。10 年の ROE と倍率を上げてよい。
- 州が入札でメディケイドの運営を直営・少数会社へ集約し始めたら
- 10 年の悲観を 22% から 30% 前後へ上げる。規模の価値が下がり、中立以下を厚くする。
見ておくもの
- メディケイドの医療費率(四半期)と州ごとの 2027 年 1 月の料率改定、2026 年 10 月 27 日の第 3 四半期決算
- メディケイド加入者数(通期 −8〜9% の達成度)と、就労要件の実施時期(2027 年 1 月)・州ごとの資格確認
- ACA 市場の 2027 年の価格改定・加入者数と、議会の補助の議論、リスク調整の精算
- PDP・MA の 2027 年の入札・星評価と、MA の損益ゼロ以上の達成
- 親会社の現金・負債資本比率・社債の買い戻し、のれんの減損の有無
- エレバンス・モリーナの撤退・縮小に伴うシェアの変化
倍率と資本コストの決め方
今の株価と PERを見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC は k に、事業の ROE が k を超える分の残る割合を足した値。moat は weak)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 12.4 倍(g 4%、k 9.0%)の 8.3 割の 10.2 倍。今の値段には寄せていない。総合は今の時価総額より約 35% 下。結論は「割高」。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β 1.05 × 5%。基本 8.0% に quality +1.0% を足して 9.0%。前は β 1.05 で k 8.25% としていたが、v2 では β を使わず 4 つの目安で見る。メディケイド・ACA の料率は州と連邦という他人の財布で決まる値決めの弱さと、有利子負債 161 億ドルに対し親会社の自由な現金が 7 億ドルと薄い財務を値決めと借金で見た。現金等の大半は保険子会社の規制資本・請求準備金で自己資金ではない。政策・医療費の読み違いは分散できる個別のリスクなので k には足さず、悲観の確率(10 年 22%)と深さ(のれんの再減損・自己資本の痩せ)で表した。存続が危ない会社ではないので上乗せ(extra)は置かない。k 9.0% なので g は 4% 以下(k − g ≥ 3.5%)。
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- センティーン 2025 年通期の決算と 2026 年の見通し
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- KFF:個人市場の加入は 2026 年半ばまで減少
- モリーナ 2026 年 4〜6 月期の決算説明会の要点
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- StockAnalysis:センティーンの時価総額