結論
エクセリクスは、腎がんなどに使う分子標的薬CABOMETYXで稼ぐ米国のがん専門製薬会社である。筆者の結論は「割高」。今は高収益で現金も厚いが、10年後の稼ぐ力を決めるのは主力薬の延命ではなく、後継薬ザンザリンチニブがどこまで成功するかだからだ。
2025年の売上は23.2億ドル、営業利益8.9億ドル、純利益7.8億ドルだった。CABOMETYXは腎細胞がんの標準治療の一角を占め、2025年には米国販売数量が16%増えた。2026年4〜6月期も売上は6.29億ドルへ伸び、2026年の会社予想は25.0〜25.5億ドルである。ただし、この予想は年初の25.25〜26.25億ドルから引き下げられた。神経内分泌腫瘍への新適応の販売拡大は、当初想定より緩やかだ。
最大の転換点は2030〜2032年にある。2026年8月の控訴審では主力薬の重要な特許が守られたが、後発薬メーカーMSNの参入可能な最も早い日は2030年1月15日とされた。別の製剤特許をめぐる訴訟が続いており、参入時期はまだ確定していない。いずれにしても2035年には、現在の独占的な薬価を保つのは難しい。
後継のザンザリンチニブは大腸がんの第3相試験で生存期間を改善し、FDAの審査期限は2026年12月3日である。中立ではこの薬が腎がんや神経内分泌腫瘍にも広がる一方、CABOMETYXの米国売上は大きく縮むと見る。2035年の全社売上は約27.9億ドル、純利益は6.7億ドルと、現在の収益力を十分には上回らない。
5つの筋書きの確率加重価値は約93.8億ドルで、基準時価総額161.8億ドルを約42%下回る。成功すれば大きく伸びる製薬会社だが、いまの価格には後継薬の成功を相当程度先取りした期待がある。長く持つ株主には、特許切れ後も利益を再生産できる証拠がまだ足りない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い薬を持つ会社」と「長く良い利益を生む会社」の境目にいる。CABOMETYXは効果が実証され、専門医が使い慣れ、毎年の処方が積み上がる。製造原価は低く、利益の大きな部分を研究開発か自社株買いに使える。現時点の事業は十分に魅力的だ。
しかし最も大切なのは、その利益が誰のものとして何年続くかである。今の高い利益率は特許に支えられている。2030〜2032年に後発薬が参入すれば、同じ薬でも保険者の購買力が強まり、価格を決める立場が変わる。患者の需要が消えなくても、先発薬メーカーの利益だけが急速に消える可能性がある。永久に続く利益として扱うべきではない。
次の薬への再投資には期待が持てる。ザンザリンチニブは単なる構想ではなく、大規模な第3相試験で生存期間の改善を示した。ただし研究開発に費やした資本が高い利回りを生むには、承認だけでは足りない。患者数、保険収載、併用薬、販売費を踏まえて、安定した現金利益が残る必要がある。2025年の高いROEを、そのまま将来の新薬投資利回りに当てはめることはできない。
長く保有するなら、2026年の業績より2032年以降の利益を見たい。中立ではザンザリンチニブが成長しても、CABOMETYXの特許切れで失う利益を完全には埋められない。現金が厚いことと過去の買い戻しは下支えになるが、研究開発の失敗まで打ち消せるほどではない。成功した薬の実績には価値を認める一方、これから成功する薬には安全域を求める。現時点では事業の魅力に対して市場の要求する値段が高い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心はカボザンチニブという低分子薬である。米国ではCABOMETYXという商品名で、進行腎細胞がん、肝細胞がん、分化型甲状腺がん、進行神経内分泌腫瘍などに販売する。別製剤のCOMETRIQは甲状腺髄様がん向けだが、売上は小さい。2025年の米国製品売上21.23億ドルのうち、CABOMETYXが21.13億ドルを占めた。
主な顧客は病院、がん専門医、保険者を経由する患者である。実際の販売先にはセンコラ、マッケソン、CVSなどの専門卸・薬局が並ぶ。薬の価格は患者が自由に選べるものではなく、臨床効果、治療指針、保険収載、患者負担によって決まる。CABOMETYXはブリストル・マイヤーズ スクイブの免疫薬オプジーボとの併用で第一選択の腎がん治療に入り、長く治療を続ける患者の再処方が売上を支えている。
2025年の米国売上を治療期間に換算すると、おおむね1万人分の通年投薬に相当すると推定する。実患者数ではなく、服用期間の異なる患者を12カ月の治療量へ換算した数量である。会社は正確な患者数と販売錠数を開示していないため、公開薬価、値引き率、製品売上から逆算した。2025年の製品売上総額30.12億ドルに対し、リベートなどが8.89億ドルあった事実は、表示価格と会社の手取りが大きく違うことを示す。
米国外ではイプセンと武田薬品工業が販売を担う。2025年の世界カボザンチニブ製品売上は約29億ドルで、エクセリクスは提携先から約1.79億ドルのロイヤルティを得た。開発・販売マイルストーンなどを含む提携収入は約1.97億ドルだった。自社で世界の販売組織を維持しなくても収入を受け取れる利点があるが、海外の特許期限と提携先の販売実績に左右される。
次の事業はザンザリンチニブである。CABOMETYXと関連する標的を持つ経口キナーゼ阻害薬だが、別の化合物であり、2039〜2044年に期限を迎える特許群を持つ。転移性大腸がんに加え、腎細胞がん、神経内分泌腫瘍、髄膜腫などで試験を進める。さらにXL309、XB010、XB628、XB371といった初期開発薬を持つが、これらの売上は現時点でゼロである。
会計上は実質的に一つの事業セグメントである。ただし長期価値を測るには、既存の米国製品、海外提携、ザンザリンチニブ、初期開発薬を分ける必要がある。既存薬が2030年代に失う利益を、次の二つの開発群がどれだけ埋めるかが事業の核心になる。
優良さと弱いところ
現在の強みは、臨床試験の積み重ねによって築いた処方医からの信頼である。CABOMETYXは複数のがんに承認され、腎細胞がんではオプジーボとの併用が定着した。2025年末の米国経口キナーゼ阻害薬市場で、CABOMETYXの処方シェアは約46%だった。2026年初めには約47%へ伸び、競合のレンビマやインライタを上回っている。
値決め力も今は強い。2026年1月にはCABOMETYXとCOMETRIQの米国公示薬価を3%引き上げた。2025年にも実質純販売単価は約1%上昇している。ただし、値上げと同時にリベートも増えた。2025年の総製品売上に対する値引き率は約29.5%であり、公示薬価の上昇がそのまま株主の利益になるわけではない。
営業利益率は2023年の9%台から2025年には38%台へ上がった。研究開発費が売上に対して落ち着き、処方量が増えたことで既存薬の固定費が薄まったためである。2025年のROEは36.2%だが、自社株買いで自己資本が減った効果も大きい。これを新薬への増分投資利回りと同一視してはいけない。研究費を使った新薬が承認され、薬価と販売数量を確保して初めて再投資の成果が決まる。
堀、つまり競合が簡単に奪えない優位性は、現在の製品には確かにある。しかし会社全体の堀を強いとは判定しない。2030年代に主力特許が切れれば、同じ成分の後発品へ保険者が誘導する。新薬の特許は後継の堀になりうるが、まだ承認と適応拡大の途中だ。現在の強い製品と、10年後も強い企業であることは別の話である。
経営の長所は、赤字時代から築いた創薬の蓄積を自社販売につなげ、利益と現金を生み出す会社へ変えたことだ。弱点は、その実績の大半が一つの化合物から生まれた点にある。AIは候補薬の探索や臨床開発を効率化しうるが、医薬品そのものをAIエージェントが代替するわけではない。本業は人月・席課金・操作画面を売る事業ではなく、AIエージェント代替の指定された型には当たらない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
がん治療は高齢化と治療法の進歩に支えられ、10年後も大きな需要がある。米国では2026年に大腸がん約15.9万人、腎臓がん約8.0万人の新規診断が見込まれる。ただし新規患者の全員が進行がんの薬物治療を受けるわけではない。エクセリクスにとっての市場は、がん全体の医療費ではなく、各承認適応で薬を使用できる患者数と治療継続期間である。
腎細胞がんでは、キイトルーダとインライタの併用、キイトルーダとレンビマの併用、ヤーボイとオプジーボの併用が競争相手になる。メルクのウェリレグも後続治療の選択肢を広げている。2026年初めの米国キナーゼ阻害薬の処方市場では、CABOMETYXが約47%、レンビマが27%、インライタが15%、スーテントが6%、ヴォトリエントが4%だった。これは対象薬剤の処方シェアであり、腎がん治療全体のシェアではない。
既存薬の販売数量は2026年も増えている。新たに承認された進行神経内分泌腫瘍では、後続治療の経口薬として新規患者シェアが45%を超えたと会社は説明する。しかし進行がんの患者数、処方期間、競合の治療成績には上限がある。市場全体の治療需要が年1〜2%増えても、後発薬参入で先発品の数量と純価格が同時に下がりうる。
ザンザリンチニブが最初に狙うのは既治療の転移性大腸がんである。第3相STELLAR-303では、テセントリクとの併用により、比較薬レゴラフェニブに対する全体集団の死亡リスクを20%減らした。ただし生存期間中央値の差は約1.5カ月で、重い治療関連有害事象も多かった。肝転移のない患者群では別の主要評価項目が統計学的有意に届かなかった。このため承認されても市場独占とはならない。
大腸がんの後続治療には、武田薬品工業のフルキンザ、バイエルのスチバーガ、ロンサーフとベバシズマブの併用などがある。後続治療の実臨床調査では多様な治療選択が確認されており、一つの薬が患者を総取りできる市場ではない。ザンザリンチニブが2035年に20億ドルを超えるには、大腸がんだけでなく腎がんや神経内分泌腫瘍への拡大が必要になる。
業界全体では薬価交渉、免疫治療の進歩、抗体薬物複合体、分子標的薬の新世代化が同時に進む。これまでの抗がん剤が10年後も同じ価格で売れると見るのは危険だ。エクセリクスの課題は市場の縮小ではなく、成長する市場の中で主力製品の独占期間が先に尽きることである。
資本政策と M&A
経営は2023年から自社株買いを本格化した。2023年の買い戻しは約5.5億ドル、2024年は6.5億ドル、2025年は9.5億ドルである。2026年6月までの累計買い戻しは29億ドル、取得株数は約9330万株、平均取得価格は約31.12ドルだった。配当はなく、自社株買いが主要な還元手段である。
2025年10月に承認された7.5億ドルの買い戻し枠は、2026年6月までに使い切った。さらに2026年5月には、2027年末までの追加7.5億ドルの枠を設定した。ただし枠は実施義務ではない。会社は研究開発への投資、株主還元、機会を選んだ事業開発を同時に進める方針だが、2030年代を通じた還元額の数字の約束はない。
資本配分の成績は、今のところ良好と評価できる。2023〜2025年の買い戻しは、現金創出力の範囲で株数を大きく減らした。ただし2025年には9.5億ドルの自社株買いに対し約1.1億ドルの株式報酬があり、株主への正味の還元は総買い戻し額より小さい。将来の筋書きでは株式報酬による希薄化を差し引く。
買収では企業丸ごとの大型買収よりも、候補薬への権利取得や共同開発を重ねてきた。XL309などの低分子薬や抗体薬物複合体を広げ、開発段階に応じた支払いを行う。2026年6月時点で、既存契約に基づく将来の開発・承認・販売マイルストーンには多額の潜在支払いがある。支払いが発生するのは成功の証拠でもあるが、利益の全額を株主へ返せるわけではない。
議決権を分ける特殊な株式構造や支配株主による利益移転は主要な問題ではない。一方、経営陣への株式報酬、研究開発の成否、承認後の営業費用には厳しい点検が要る。2026年10月29日には次の四半期決算が予定されており、その結果は本分析の基準日にはまだ公表されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CABOMETYXは単一のがんに依存する薬ではない。腎細胞がんで長期の処方実績を積み、2025年には神経内分泌腫瘍への適応も加わった。2026年も数量が伸びており、後発薬の参入までにさらに利益を稼ぐ時間が残っている。2026年8月の特許訴訟でも重要な特許が維持された。追加の特許訴訟が会社側に有利に進めば、競争開始を2032年以降へ遅らせられる可能性がある。
その間にザンザリンチニブが第二の柱となる。第3相STELLAR-303は死亡リスクを有意に改善した。転移性大腸がんで承認されれば、消化器がん向けの営業組織をCABOMETYXと共用できる。腎細胞がんではSTELLAR-304に加え、メルクとのウェリレグ併用試験が進む。神経内分泌腫瘍にも第2/3相試験があり、一つの適応に依存しない製品へ育つ道がある。
さらに初期開発薬から一つでも大きな製品が生まれれば、2030年代後半の売上を押し上げる。低分子薬で培った創薬力と、抗体薬物複合体を扱う共同研究網がそれを支える。すでに営業黒字で研究費を自力で払えるため、赤字の開発型バイオと違って不利な時期の増資に頼る必要が小さい。特許切れで既存売上が減っても、次の新薬の伸びがそれを上回れば、2035年の純利益は現在の数倍になりうる。
慎重な見方
最大の弱点は、2025年の製品売上が事実上一つの化合物に集中していることである。CABOMETYXは今こそ強いが、後発薬への置き換えは患者数の減少と違い、保険者が一斉に進められる。2026年8月の特許勝訴は無期限の独占を保証しない。MSNの参入可能な最も早い日が2030年1月15日である以上、2035年には先発品の収益力が大きく損なわれていても不思議ではない。
ザンザリンチニブの成功にも限界がある。大腸がん試験では死亡リスクの改善が見られたが、生存期間中央値の差は約1.5カ月で、重い有害事象が増えた。肝転移のない患者群のもう一つの主要評価項目は有意差を満たしていない。承認されても競合する後続治療が多く、強い独占薬とは限らない。試験が良かったからといって大きな販売シェアを約束するものではない。
腎がんではメルク、ファイザー、エーザイ、ブリストル・マイヤーズ スクイブが治療法を進歩させている。将来の併用薬がザンザリンチニブを使う保証もない。初期開発薬のXL309や抗体薬物複合体は、承認までに失敗する可能性のほうが高い。研究費を削れば将来の製品がなくなり、研究費を維持すれば後発薬参入後に利益が消える。自社株買いの実績だけでは、この構造的な危険を防げない。
どちらに重みを置いたか
現在の事業の質は強い見方を支持する。CABOMETYXの処方シェアと利益率は確かな実績であり、ザンザリンチニブにも第3相での成功がある。しかし10年の見通しでは慎重な見方を重くする。2030年代の主力特許切れは時期の問題であり、後継薬が複数適応で成功することはまだ実証されていない。
確率は中立34%を中心に、楽観11%、やや楽観19%、やや悲観23%、悲観13%とする。下側の合計36%は、新薬の承認・販売・競合を通じた収益の落ち込みを表し、単なる景気後退ではない。割引後の加重価値は約93.8億ドルで、市場時価総額との差は約マイナス42%。結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 51.92 ドル130 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 21.69 ドル54 億ドル)。 今の値に割り戻すと 37.39 ドル94 億ドル、今との差 −46.1%、 期待の年率 +0.7%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 184.31 ドル462 億ドル | 25.92 ドル65 億ドル | +203.0% | +12.8% | 23.13 ドル58 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 84.51 ドル212 億ドル | 27.91 ドル70 億ドル | +62.0% | +5.8% | 21.36 ドル54 億ドル |
| 中立 | 34% | 37.68 ドル95 億ドル | 24.72 ドル62 億ドル | −10.1% | −1.3% | 21.22 ドル53 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 9.41 ドル24 億ドル | 15.55 ドル39 億ドル | −64.0% | −13.0% | 5.74 ドル14 億ドル |
| 悲観 | 13% | 4.74 ドル12 億ドル | 11.96 ドル30 億ドル | −75.9% | −18.4% | 2.17 ドル5 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 51.92 ドル130 億ドル | 21.69 ドル54 億ドル | +6.1% | +0.7% | 73.61 ドル185 億ドル |
今の株価時価総額 69.39 ドル174 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 楽観:ザンザリンチニブが複数のがんで主力化し、第三の新薬群も育つ 利益 31 億ドル · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 184.31 ドル462 億ドル
2035年にはCABOMETYXの後発薬が市場に入っているが、先発品は一部の治療で使われ続ける。特許訴訟の成果により競争開始が後ろ倒しとなり、米国製品の売上は11.5億ドルを保つ。海外提携からも1.0億ドルが入る。ただし主力薬の独占を永久に守れるとは考えない。
価値を生むのはザンザリンチニブだ。大腸がんで承認後に採用が進み、STELLAR-304や神経内分泌腫瘍の試験でも有効性を示す。メルクとの併用研究が進展し、複数のがんで処方される薬になる。年間の通年治療相当患者数は2万7000人となり、製品売上は52.65億ドルへ拡大する。
さらにXL309や抗体薬物複合体から複数の成功品が生まれ、第三の製品群は15.3億ドルを稼ぐ。会社全体の売上は80.45億ドル、営業利益は37.81億ドル、純利益は30.6億ドルとなる。開発費は増えるが、量産製品が増えて営業利益率は約47%に達する。
10年間の純利益累計は160億ドルとする。前半の既存薬の稼ぎと後半の新薬の急拡大を含み、正味還元65億ドルを差し引いた自己資本は116.6億ドルとなる。成長のための研究・販売投資を優先するため、利益の全額は還元しない。事業の再生産が成功する、上側の筋書きである。
- 米国カボザンチニブ製品(CABOMETYX・COMETRIQ):数量 1.2(通年治療相当患者数(万人・年))× 価格 100,000(通年治療相当患者1人当たりの年間純売上(ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 9 億ドル。ブランドの処方基盤が残り、後発薬参入後も2025年数量の約1.15倍に相当する治療量を確保する。純価格は2025年比で約53%低下。
- 米国外カボザンチニブ・ロイヤルティと提携収入:数量 5.0(提携先のカボザンチニブ販売規模(2025年価格換算・億ドル))× 価格 0.20(提携先販売額1ドル当たりの実効帰属収入(ドル、薬価指数とロイヤルティ・一時金の合成))→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル。海外で後発薬の浸透が比較的遅く、既存提携収入の一部が継続する。
- ザンザリンチニブ(大腸がん・腎がん・神経内分泌腫瘍など):数量 27,000(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 195,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純製品売上(ドル))→ 売上 53 億ドル・営業利益 39 億ドル。大腸がん、腎がん、NETなど多数の承認適応で採用される。処方期間を通年換算した数量であり、実患者数はさらに多い。
- その他開発品(XL309・XB010・XB628・XB371など):数量 8,500(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 180,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純売上(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 9 億ドル。低分子薬と抗体薬物複合体から複数の成功品が生まれる。
倍率:資本コストk=8.5%。2035年の帳簿ROEは30.6÷116.6=26.2%。単一製品の特許期限と複数の新薬の不確実性が残るため、会社全体のmoatは普通とし、超過利益の残存割合を1/2とする。RONIC=8.5%+1/2×(26.2%-8.5%)=約17.4%。2035年以降のgは市場の実質患者需要+1%、シェア・適応構成+0%、純価格+2.5%から名目3.5%。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)×(1+g)=約16.5倍。研究開発の成功が続いても2039〜2044年には新薬の特許期限が来るため、その約90%の14.9倍とする。2035年の成長は高い立ち上がり局面を脱して10%未満に鈍化する想定である。GAAP純利益を使用し株式報酬は費用として差し引く。時価総額=(30.6-8×0.014)×14.9+8=462.27億ドル。
確率:2030年代に主力特許の防衛が一定期間続き、ザンザリンチニブが大腸がん、腎がん、神経内分泌腫瘍などで連続して成功する。初期開発品からも複数の承認が得られる場合である。第3相での実績はあるが複数の適応と初期開発薬が同時に成功するには高い壁があるため11%とする。
やや楽観 19% やや楽観:第二の主力薬が成功し、特許切れの穴を埋める 利益 15 億ドル · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 84.51 ドル212 億ドル
CABOMETYXは2032年前後に後発薬との本格競争に入り、米国の収入は7.2億ドルへ減る。腎がんの既存治療には一定の信頼が残り、後発薬への切り替えが一斉には進まない。海外からの提携収入も0.68億ドルに縮むが、事業の現金創出力は残る。
ザンザリンチニブは転移性大腸がんで商業的に成功し、腎細胞がんなどでも一部適応を獲得する。全ての試験が成功するわけではないが、年間の通年治療相当患者数が1万8000人となり、32.4億ドルを売る。レンビマやインライタなど既存薬の競争は続くため、単価と患者シェアには上限がある。
初期開発品からも一つか二つの製品が育ち、6.6億ドルの新しい売上が加わる。全社売上は46.88億ドル、営業利益は18.42億ドル、純利益は15.1億ドルとなる。新薬の営業体制と研究開発費を維持しつつ、約39%の営業利益率を確保する。
10年間に得る純利益の累計は110億ドルと想定する。株式報酬を差し引いた正味の還元70億ドルを行い、期末自己資本は61.6億ドルになる。会社は一つの薬に頼る体質から脱し始めるが、新薬の独占が永続する前提には立たない。
- 米国カボザンチニブ製品(CABOMETYX・COMETRIQ):数量 0.9(通年治療相当患者数(万人・年))× 価格 80,000(通年治療相当患者1人当たりの年間純売上(ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 5 億ドル。後発薬に価格を奪われるが、ブランド処方の一部が残る。
- 米国外カボザンチニブ・ロイヤルティと提携収入:数量 3.8(提携先のカボザンチニブ販売規模(2025年価格換算・億ドル))× 価格 0.18(提携先販売額1ドル当たりの実効帰属収入(ドル、薬価指数とロイヤルティ・一時金の合成))→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル。海外の後発薬浸透と契約マイルストーンの減少を織り込む。
- ザンザリンチニブ(大腸がん・腎がん・神経内分泌腫瘍など):数量 18,000(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 180,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純製品売上(ドル))→ 売上 32 億ドル・営業利益 23 億ドル。大腸がんで成功し、腎がんまたはNETの追加適応も立ち上がる。
- その他開発品(XL309・XB010・XB628・XB371など):数量 4,000(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 165,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純売上(ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 4 億ドル。初期開発薬の一部が承認される。
倍率:k=8.5%。2035年ROEは15.1÷61.6=24.5%。moatは普通で残存割合1/2、RONIC=約16.5%。gはがん治療患者数の実質増加+1%、既存・新規適応間のシェア変化0%、純価格・製品構成+2%から3.0%。正当化PER=(1-0.03/0.165)/(0.085-0.03)×1.03=約15.3倍。その約88%の13.5倍とする。追加適応の競争と長期特許切れを割り引き、GAAP利益と余剰現金を別に評価する。時価総額=(15.1-10×0.014)×13.5+10=211.96億ドル。
確率:ザンザリンチニブの大腸がん承認と主要な追加適応が成功し、初期開発薬も一部が商品化する。CABOMETYXの後発薬参入は避けられないが、販売基盤が一定程度維持される。既存の第3相試験の成功は根拠となる一方、追加適応には未確認の部分が多いため19%とする。
中立 34% 中立:後継薬は育つが、CABOMETYXの独占利益を完全には補えない 利益 7 億ドル · PER 12.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 37.68 ドル95 億ドル
2035年にはCABOMETYXの米国製品売上が4.55億ドルへ減る。後発薬は2030〜2032年の間に参入し、先発薬の単価は2025年より大幅に低くなる。腎がんの患者数そのものは増えても、先発メーカーがその成長を取り込める割合は小さい。海外提携収入も0.38億ドルに縮む。
ザンザリンチニブは最初の大腸がん承認を得て、その後に腎がんや神経内分泌腫瘍の一部へ広がる。ただし適応ごとに競合があり、使用患者数は青天井ではない。年間1万2500人分の通年投薬量を確保し、21.25億ドルを売る。新しい売上の多くはこの薬に依存するため、会社の一本足構造は形を変えて残る。
XL309や抗体薬物複合体からは小さな成功が生まれ、1.74億ドルの売上が加わる。全社売上は27.92億ドル、営業利益は8.03億ドル、純利益は6.7億ドルになる。研究開発費を削りすぎないため、営業利益率は約29%に落ち着く。製薬会社として事業は続くが、2025年の利益水準を明確に超えるほどには成長しない。
利益累計は10年間で74億ドル、正味還元は62億ドルと見込み、自己資本は33.6億ドルになる。初期数年の高収益と自社株買いが後年の特許切れを支える。会社の存続は確かでも、現在の高い利益を永続利益として買うことはできない。
- 米国カボザンチニブ製品(CABOMETYX・COMETRIQ):数量 0.7(通年治療相当患者数(万人・年))× 価格 70,000(通年治療相当患者1人当たりの年間純売上(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 3 億ドル。治療需要は残るが後発薬へ処方が移る。先発の通年治療相当数量は2025年比0.65倍、純価格は約0.33倍。
- 米国外カボザンチニブ・ロイヤルティと提携収入:数量 2.5(提携先のカボザンチニブ販売規模(2025年価格換算・億ドル))× 価格 0.15(提携先販売額1ドル当たりの実効帰属収入(ドル、薬価指数とロイヤルティ・一時金の合成))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。海外の独占期限到来で実効提携収入が大幅に縮む。
- ザンザリンチニブ(大腸がん・腎がん・神経内分泌腫瘍など):数量 12,500(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 170,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純製品売上(ドル))→ 売上 21 億ドル・営業利益 15 億ドル。大腸がんの後続治療を入口にRCC・NETの一部へ広がる。通年相当患者数であり、実患者数を示さない。
- その他開発品(XL309・XB010・XB628・XB371など):数量 1,200(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 145,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。初期開発群から一つ程度の小規模な商業的成果が生まれる。
倍率:k=8.5%。2035年のROEは6.7÷33.6=19.9%。このROEには自社株買いによる分母の縮小を含み、超過利益がそのまま永続するとは見ない。moatは普通の残存割合1/2で、RONIC=8.5%+1/2×(19.9%-8.5%)=約14.2%。gは治療患者需要の実質成長+1%、採用シェアの長期変化-0.5%、純価格・製品構成+2%から名目2.5%。2039年以降の新薬特許期限に備え、インフレ3.5%をそのまま長期gには使わない。正当化PERは約14.1倍で、その87%の12.25倍とする。利益がkを上回るため1/kの11.76倍より高く、式の上限を下回る。純利益はGAAPで株式報酬を差し引いたもの。時価総額=(6.7-15×0.014)×12.25+15=94.50億ドル。
確率:既存薬の2030〜2032年の後発薬参入と、ザンザリンチニブの承認・一部適応拡大を同時に見込む。初期開発薬は小さな成果にとどまる。現時点の臨床結果から第二の製品が育つ可能性は比較的高いが、複数適応での大成功までを中央の前提にはしないため34%とする。
やや悲観 23% やや悲観:後発薬の侵食が速く、ザンザリンチニブは小規模薬にとどまる 利益 2 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9.41 ドル24 億ドル
CABOMETYXの後発薬は2030年に比較的早く参入する。保険者は価格の安い製品への切り替えを進め、米国の先発薬売上は2.1億ドルに縮む。既存のがん患者は治療を続けるが、薬を提供する会社が同じとは限らない。海外提携収入もほぼ消える。
ザンザリンチニブは大腸がんで小規模に販売されるが、腎細胞がんや神経内分泌腫瘍への広がりが期待を下回る。競合するフルキンザ、スチバーガ、レンビマなどが市場を押さえ、会社は値引きと販売費を増やさざるをえない。通年治療相当6000人分の販売量で売上は8.7億ドルにとどまる。
初期開発薬は承認まで到達せず、研究組織を縮小する。全社売上は10.92億ドル、営業利益2.36億ドル、純利益2.0億ドルとなる。2025年に比べて利益は大きく減り、株式報酬を含む固定費と研究費の削減が必要になる。会社は生き残るが、以前のように利益を使って次の主力薬を育てる余力は小さい。
10年間の利益累計は42億ドルとする。2030年代前半に利益が大きく落ちるため、単純な初年度と最終年度の平均より累計は小さい。初期数年の利益を中心に正味還元39億ドルを行い、自己資本は24.6億ドルとなる。もはや高収益の製薬会社とはいえない。
- 米国カボザンチニブ製品(CABOMETYX・COMETRIQ):数量 0.4(通年治療相当患者数(万人・年))× 価格 60,000(通年治療相当患者1人当たりの年間純売上(ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。後発薬への移行が速く、ブランド数量と手取り価格が同時に縮む。
- 米国外カボザンチニブ・ロイヤルティと提携収入:数量 1.2(提携先のカボザンチニブ販売規模(2025年価格換算・億ドル))× 価格 0.10(提携先販売額1ドル当たりの実効帰属収入(ドル、薬価指数とロイヤルティ・一時金の合成))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。海外の特許・提携収入がほぼ終了する。
- ザンザリンチニブ(大腸がん・腎がん・神経内分泌腫瘍など):数量 6,000(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 145,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純製品売上(ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 5 億ドル。大腸がん中心の小規模製品となり、追加適応では競合に劣る。
- その他開発品(XL309・XB010・XB628・XB371など):数量 0.0(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 120,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純売上(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。研究資産の大半が商業化できない。
倍率:k=8.5%。2035年のROEは2.0÷24.6=8.1%で資本コストに達しない。RONICは普通の堀の残存割合1/2で約8.3%まで低下する。長期gは新薬の治療患者数実質+0.5%、シェア変化-1%、純価格+1.5%から名目1%程度。ただしROEがk以下のため正当化PERの上限は1/k=11.76倍。成熟した薬の競争と低い増分投資収益を反映し8.5倍とする。中立12.25倍より低い。時価総額=(2.0-7.5×0.014)×8.5+7.5=23.61億ドル。
確率:2030年近辺の後発薬参入と厳しい保険交渉に加え、ザンザリンチニブの適応拡大が一部失敗する展開。臨床試験に成功しても商業化が難しいがん市場の特性を反映する。既存薬の特許切れと新製品の販売不振が重なる可能性を23%とする。
悲観 13% 悲観:既存薬の収益が消え、後継薬も主力にならず、研究会社に逆戻りする 利益 −2 億ドル · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4.74 ドル12 億ドル
2030年に後発薬が入り、CABOMETYXの市場は急速に切り替わる。ブランドとして残る治療数量は2025年の15%相当まで減り、純価格も大幅に低下する。米国製品売上は0.6億ドル、海外提携収入は0.03億ドルになる。以前の主力薬は、病院や医師には必要とされても、エクセリクスの高い利益を生まなくなる。
ザンザリンチニブは承認が限定されるか、有効性・副作用・価格の競争で採用が進まない。年間600人分の通年治療相当売上にとどまり、売上は0.66億ドルである。初期開発群も商業化に失敗し、追加の製品を補充できない。売上が1.29億ドルへ縮んでも研究施設と専門人材の費用が残る。
経営は開発案件と販売組織を整理するが、2035年の営業損失は約2.41億ドル、純損失は約1.7億ドルとなる。研究資産の価値は大きく低下し、企業としての優良さは失われる。ここで過去の高い利益率へ自然に戻ることを前提にしない。
2026〜2029年にはCABOMETYXがなお利益を生むため、10年間の累計純利益は減損や後半の赤字を含め約26億ドルとする。前半に実施した正味還元は30億ドル、期末自己資本は17.6億ドルとなる。末期の事業利益は赤字なので利益倍率ではなく、今の資産のうち処分・回収可能な価値を中心に測る。時価総額はゼロにはならないが、かつての高収益企業としての価値は残らない。
- 米国カボザンチニブ製品(CABOMETYX・COMETRIQ):数量 0.2(通年治療相当患者数(万人・年))× 価格 40,000(通年治療相当患者1人当たりの年間純売上(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。後発薬にほとんどの市場を奪われる。
- 米国外カボザンチニブ・ロイヤルティと提携収入:数量 0.5(提携先のカボザンチニブ販売規模(2025年価格換算・億ドル))× 価格 0.06(提携先販売額1ドル当たりの実効帰属収入(ドル、薬価指数とロイヤルティ・一時金の合成))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。海外提携の実効収入がほぼ消える。
- ザンザリンチニブ(大腸がん・腎がん・神経内分泌腫瘍など):数量 600(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 110,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純製品売上(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。限定的な適応で細々と販売されるにとどまる。
- その他開発品(XL309・XB010・XB628・XB371など):数量 0.0(年間の通年投薬相当患者数(人・年))× 価格 100,000(通年投薬相当患者1人当たり年間純売上(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。初期開発品は商業化できない。
倍率:2035年の事業は営業赤字であり、利益ベースのPERは使用できない。市場でかつて付いたPBRではなく、現在の自己資本21.6億ドルのうち換金できる資産と、損失を生む研究事業の低い収益力から評価する。現在の自己資本の55%に相当する11.88億ドルは、売却可能資産の推定床9億ドルを上回る。2035年の自己資本17.6億ドルを新たな床として倍率を掛け直すことはしない。余剰現金2億ドルは資産価値の内数であり、PBR価値に重複加算しない。時価総額=現在の自己資本21.6×0.55=11.88億ドル。
確率:MSNなどの後発薬が早期に参入して既存薬を侵食し、ザンザリンチニブが承認上または商業上の限界に直面する。さらに初期開発薬も失敗し、事業が構造的に負ける筋書き。高い利益と厚い現金があるため倒産を基本にはしないが、製薬会社の集中リスクとして13%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国カボザンチニブ製品(CABOMETYX・COMETRIQ)
進行腎細胞がん、肝細胞がん、甲状腺がん、神経内分泌腫瘍に使う経口分子標的薬の米国販売。現時点の利益の大半を稼ぐ。
| 数量通年治療相当患者数(万人・年) | 価格通年治療相当患者1人当たりの年間純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 212,280 | 21 | 16 |
| 10 年後 中立 | 0.7 | 70,000 | 5 | 3 |
取り方:2025年10-Kに米国のCABOMETYX売上21.1337億ドル、COMETRIQ売上0.0944億ドルと開示。年間の正確な患者数・販売錠数は非開示のため、通年治療相当約1万人を推定し、売上から年間手取り約21.23万ドルを計算した。2026年の公的償還価格資料では1錠約850ドル、30日約2.55万ドル、12カ月約30.6万ドルの価格水準が確認できる。2025年の値引き率約29.5%を考慮すると年間手取り約21.5万ドルで推定と整合する。実患者数ではなく投薬期間を通年換算した数量である。2025年の販売数量前年比+16%、平均純単価+1%は会社開示。2025年末の対象TKI処方シェア約46%も会社の投資家資料に基づく。営業利益は製造原価・販売に直接対応する費用を配賦した事業貢献利益であり、共通研究開発・本社費は別途調整する。2030年代は物価上昇よりも後発薬による純価格下落が圧倒的に大きい。
米国外カボザンチニブ・ロイヤルティと提携収入
イプセンと武田薬品工業による米国外の製品販売に対するロイヤルティ、契約上のマイルストーンなど。
| 数量提携先のカボザンチニブ販売規模(2025年価格換算・億ドル) | 価格提携先販売額1ドル当たりの実効帰属収入(ドル、薬価指数とロイヤルティ・一時金の合成) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7.8 | 0.25 | 2 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2.5 | 0.15 | 0 | 0 |
取り方:会社の2025年発表では世界のカボザンチニブ製品売上が約29億ドル、米国製品売上が21.228億ドルなので、海外提携先の販売額は約7.78億ドルと推定される。会社受取ロイヤルティは1.792億ドルで、提携先売上に対する実効率は約23%。さらに契約一時金などを含めた提携収入1.973億ドルを割ると実効帰属額は0.2536ドルとなる。これは純粋な恒久ロイヤルティ率ではなく、一時金や共同開発の収益認識を含む。将来のpriceの低下には海外薬価、特許切れ、販売構成、一時金の消滅を含める。営業利益はロイヤルティ収入の高い限界利益を反映し、共通費はadjustに含める。
ザンザリンチニブ(大腸がん・腎がん・神経内分泌腫瘍など)
承認審査中の次世代経口キナーゼ阻害薬。転移性大腸がんを入口に、複数の固形がんへの適応拡大を狙う。
| 数量年間の通年投薬相当患者数(人・年) | 価格通年投薬相当患者1人当たり年間純製品売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 180,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 12,500 | 170,000 | 21 | 15 |
取り方:2025年末時点で未承認のため売上と販売数量は0。180000ドルは実績価格ではなく、2030年代の米国高額経口抗がん剤の年間純価格を想定した仮の基準単価である。会社は販売価格を公表していない。将来の数量は実患者数ではなく処方期間を通年換算した投薬患者年数とし、例えば4カ月治療する患者3人を1人・年に換算する。対象市場の出発点は米国の年間大腸がん新規診断約15.9万人、腎臓がん約8万人だが、そのうち進行病期・前治療歴・適応に合う一部のみを対象とする。STELLAR-303の全体集団で死亡リスク20%減少、FDA審査目標日2026年12月3日を根拠とし、腎がん・NETなどの適応は未確定として筋書きに確率を持たせる。
その他開発品(XL309・XB010・XB628・XB371など)
初期開発段階の低分子薬、抗体薬物複合体、二重特異性抗体。将来の第三の製品群となりうるが現時点の販売実績はない。
| 数量年間の通年投薬相当患者数(人・年) | 価格通年投薬相当患者1人当たり年間純売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 170,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,200 | 145,000 | 2 | 1 |
取り方:会社の開発パイプラインでXL309、XB010、XB628、XB371などが第1相中心の開発段階にあることを確認した。現在の売上は0。170000ドルは既存製品の実績ではなく、2030年代に発売された場合の年間純売上の仮定である。患者規模は製品ごとの適応・臨床試験・将来の承認によるため未確定。中立では一部の製品が小規模に成功する確率加重の数量を想定し、楽観では複数製品の成功を想定する。承認のない研究資産を現時点の売上と混同しない。
リスクと懸念
CABOMETYXの特許切れと後発薬参入
2026年8月の控訴審は重要な結晶塩関連特許の有効性を支持した。ただしMSNの参入可能な最も早い日は2030年1月15日で、2032年期限の別の製剤特許をめぐる訴訟が残る。2030〜2032年の結果次第で、2035年の先発薬販売数量と純価格が大きく変わる。現在の利益の大半が一つの薬に集中するため、ここが企業価値を最も大きく左右する。
ザンザリンチニブの承認と臨床効果の限界
STELLAR-303は全体集団の生存期間で有意な改善を示したが、肝転移のない患者群の主要評価項目は有意差を満たさなかった。重い治療関連有害事象も比較薬より多い。FDA審査期限の2026年12月3日に承認されても、添付文書の範囲、患者選択、併用薬の負担によって市場の大きさが変わる。承認と高収益化は分けて考える必要がある。
腎細胞がん・大腸がんの治療競争
腎細胞がんではメルク、ファイザー、エーザイ、ブリストル・マイヤーズ スクイブの併用療法が競争し、後続治療にはウェリレグもある。大腸がんではフルキンザ、スチバーガ、ロンサーフ併用などが選択肢となる。新しい免疫治療や標的薬がより長い生存期間を示すと、ザンザリンチニブが承認されても患者シェアを獲得できない可能性がある。
薬価交渉と公示価格・手取り価格の乖離
2025年の製品総売上30.12億ドルに対し、値引き・リベートなどは8.89億ドルに達した。2026年に公示薬価を3%引き上げても、その全額が純販売価格には残らない。米国の公的保険の薬価交渉、民間保険のリベート、患者自己負担の上限が強まれば、先発薬の販売数量が伸びても純単価が下がりうる。後発薬参入後はさらに厳しい。
初期開発薬の失敗と研究開発費の固定性
XL309やXB010、XB628、XB371などは初期臨床段階にあり、いずれも商業的成功が確認されていない。第1相から承認までには長い時間と多額の費用がかかる。2025年の研究開発費は8.25億ドルで、次の主力を育てるには費用を継続する必要がある。既存薬の特許切れと開発失敗が重なれば、費用を削るほど将来の事業基盤も細る。
自社株買いと株式報酬の資本配分
会社は2023年から2026年上半期までに約29億ドルを自社株買いへ使った。利益と現金に裏付けられた還元は評価できるが、株式報酬による希薄化があるため総買い戻し額の全てが既存株主の利益ではない。2030年以降の製品売上が縮むのに過去と同じ規模の買い戻しを続ければ、将来の研究開発と資金余力を損なうおそれがある。
供給・提携先・規制上の不確実性
医薬品の製造は品質管理、原料供給、規制当局の査察に左右される。米国外の販売はイプセンと武田薬品工業に依存し、提携先の商業方針や各国の保険償還がロイヤルティを左右する。ザンザリンチニブでは複数の免疫薬との併用開発を進めるため、治験結果だけでなく併用薬の供給、契約条件、承認範囲にも影響を受ける。
今後の分かれ目
- 2026年12月3日のFDA審査でザンザリンチニブとテセントリクの併用が広い対象患者に承認されたら
- 大腸がんの商業化について不確実性が一段下がる。発売後の処方患者数と純価格を確認し、中立とやや楽観の数量を上方に動かす余地が生まれる。ただし承認だけで最上位の販売数量を認めない。
- STELLAR-304の第3相が主要評価項目を達成し、腎細胞がんで明確な有効性を示したら
- ザンザリンチニブが大腸がん以外にも広がる根拠となる。中立の通年治療相当数量1万2500人を維持しやすくなり、楽観側の適応拡大確率を上げる。
- MSNとの2032年期限特許の訴訟が会社に不利となり、2030年の後発薬参入が現実になったら
- CABOMETYXの独占利益が想定より早く失われる。やや悲観・悲観の確率を引き上げ、先発薬の通年治療相当数量と純価格を下方修正する。
- ザンザリンチニブが2028年までに年間5億ドル以上の純製品売上を達成し、処方数量が継続的に増えたら
- 第二の主力薬としての商業的成功を確認できる。承認の有無よりも販売継続期間、競争薬に対する採用率、営業費用を重視し、2035年の利益予想を見直す。
- CABOMETYXの対象TKI処方シェアが後発薬参入前に30%未満へ低下したら
- 特許の期限とは別に既存治療の競争力が失われている可能性が高い。2030年までの累積利益と株主還元を下げ、悲観側の重みを増やす。
- XL309または抗体薬物複合体の第2相以降で、競合を明確に上回る臨床効果が示されたら
- ザンザリンチニブだけに頼らない第三の製品群が現実味を帯びる。初期開発品の中立数量と長期の事業継続性を引き上げる。ただし第1相の小規模な有効性だけでは判断を変えない。
- 研究開発への投資が続く一方、現金が急減し、年間自社株買いが継続的にフリーキャッシュフローを超えたら
- 株主還元の持続性を見直す。余剰現金と将来の正味還元を減らし、必要な研究開発費を維持できるかを評価し直す。
見ておくもの
- 2026年10月29日の四半期決算と2026年通期売上ガイダンスの改定
- 2026年12月3日のザンザリンチニブFDA審査期限、承認範囲、添付文書、発売時期
- STELLAR-304の無増悪生存期間・奏効率、STELLAR-311とメルク共同試験の進捗
- CABOMETYXの米国処方シェア、患者治療期間、販売数量と純販売単価の前年比
- MSN特許訴訟の2032年期限特許に関する判決と後発薬の参入可能時期
- ザンザリンチニブの発売後の処方量、純製品売上、競争薬との採用率
- 研究開発費、株式報酬、正味自社株買い、純現金、フリーキャッシュフローの推移
- XL309と抗体薬物複合体の第2相移行、臨床上の差別化、承認確率の変化
倍率と資本コストの決め方
2026年10月23日の市場時価総額161.8億ドルや市場PERを、2035年の利益・倍率の出発点には使用していない。まず米国カボザンチニブ、海外提携、ザンザリンチニブ、初期開発薬を数量×純価格で評価した。主力薬には2030年代の後発薬参入による数量・価格の両方の低下を適用し、新薬は承認適応と治療患者年数から積み上げた。
資本コスト8.5%は米国基本8.0%と事業の質から決め、倍率はROE・RONIC・moat・長期gによる正当化PERの範囲で決めた。中立のPER12.25倍は利益の質を反映して式の上限より低い。純現金は事業利益から利息を除いた後に別加算し、株式報酬はGAAP費用と正味還元に反映した。悲観では現在の自己資本と売却可能な資産を参照し、将来積み上がった自己資本を無条件の床にしなかった。最後に市場時価総額と比較した結果が約42%の割高であり、価格に合わせるための調整は行っていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%にquality+0.5%を加えて資本コストは8.5%。株価のβと同業の市場倍率は使用しない。現在の事業は黒字で純現金があり、継続企業の存続に切迫した疑義はないためdistress上乗せは0。新薬の承認可否や特許訴訟の個別結果は、数量・価格と5つの筋書きの確率で評価する。倍率の長期gは各筋書きの承認適応、市場患者数、シェア、純価格から決め、kとの差を最低3.5ポイント以上確保する。