結論
CVS ヘルスは、医療保険のアエトナ(加入者約 2,600 万人)、薬剤給付管理(PBM)のケアマークとオークストリート(高齢者向け診療所)を持つヘルスサービス、全米約 9,000 店の CVS ファーマシーの 3 つを束ねる。2026 年の売上は 4,140 億ドル以上(部門間の取引を除いた連結)、調整後営業利益は 166〜169 億ドルの見通しで、2025 年の営業利益 125 億ドル(利益率 3.1%)、純利益 18 億ドル(減損 57 億ドルを含む)から大きく戻る。上半期の保険の医療費率は 86.0% と前年の 88.6% から改善し、会社は 2028 年に保険の目標利益率へ戻る道を示している。
ただし回復の中身には濃淡がある。保険の改善は個人向け ACA 取引所の撤退と料率・給付の見直しによるもので、下半期は医療費が重く、通期の保険の利益は 50〜54 億ドルと上半期(55 億ドル)より少ない見通しだ。ヘルスサービスは手数料型への移行で 1 件あたりの利益が圧縮され、2027 年の星評価では 4.5 つ星以上の加入者が大きく減る逆風もある。10 年後も存在し、保険と PBM と薬局を結ぶ堀(処方の約 3 割弱を扱う PBM の規模・全国の店舗網)は残る一方、ブレイクアップ・ビッグ・メディスン法案のように「保険・PBM と薬局の分離」を求める規制が最大の構造リスクになる。
倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜10 割に置いた(moat は weak)。10 年の中立は、正当化 PER 11.7 倍(k 9.5%、g 4%)の 8 割強の 9.6 倍。今の GAAP の PER は 66 倍(減損を含む谷の利益)で、この水準を上回る。確率で重ねた総合は、今の時価総額と同じ水準(約 1% 下)。結論は「適正」。ただし前提は保険の利益率が 5% 前後へ戻り、規制による分離が起きないことで、この 2 点が崩れれば価値は大きく削れる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後にこの事業が存在するかを問う。答えは存在する。高齢化で医療費は伸び、保険・PBM・薬局という「人が必ず使う」流れの中に位置する。ただし堀の幅は事業ごとに違い、PBM と薬局は価格を決める力が弱く、利益率は 3〜5% の薄利で、規制の的になりやすい。保険は規模の経済が効くが、料率が政府と雇用主に握られ、利益は医療費との差の数ポイントにすぎない。
オーナー利益で見ると、2026 年の GAAP 純利益は約 89 億ドルで、無形資産の償却(税引き後で約 13 億ドル)は現金の出ない費用なので実質の稼ぐ力はやや大きい。必要な再投資(店舗・IT・保険の法定資本)を引いたあとの株主に残る利益は 80〜90 億ドル程度で、時価総額 1,174 億ドルに対し約 7% の利回りになる。物価で収入も上がる事業なので、この利回りは物価に合わせて伸びる。ただし純負債が 693 億ドルあり、株主のものになる利益はそのぶん薄い。
経営の資本配分は評価が分かれる。2018 年以降の大型買収(アエトナ・シグニファイ・オークストリート)は価値を壊した面があり、2025 年の減損が示している。2024 年末以降の経営陣は買収をやめて既存事業の採算回復に集中し、この姿勢は評価できる。安全域は、悲観でも事業が残る点にあるが、規制による分離は予測できない。確信度は中に留める。安全域を測る。正当化 PER は 11.7 倍(g 4%、k 9.5%、moat は weak)。10 年の中立は正当化 PER の 8 割強の 9.6 倍に置いた。今の PER 66 倍は 10 年後の中立より高いが、10 年で利益が伸びる分を見込むと、価値は今と並ぶ。確率で重ねた総合は、今の時価総額と同じ水準(約 1% 下)。結論は「適正」。
何で稼ぐ会社か
アエトナは、商業(雇用主向け)約 1,830 万人(うち保険リスクを負うのは約 250 万人で、残りは管理手数料型)、メディケア・アドバンテージ(高齢者の民間版公的保険)約 420 万人、メディケア補足 118 万人、メディケイド(低所得者向け)約 196 万人などを引き受ける。保険リスク型の加入者は約 983 万人で、2026 年は個人向け ACA 取引所からの撤退で約 100 万人減った。保険料は商業では毎年の料率改定、メディケア・アドバンテージでは政府の支払い額(毎年春に確定)で決まる。2026 年の売上は部門間を含め約 1,490 億ドル、調整後営業利益は 50〜54 億ドルの見通しである。
ヘルスサービスの中心はケアマークで、雇用主・保険者に代わって薬局網・薬価交渉・調剤(特に郵送と専門薬)を取り仕切る PBM である。年約 19 億件(30 日換算)を処理し、エバーノース(シグナのエクスプレス・スクリプツ)、オプタム・アールエックス(ユナイテッドヘルス・グループ)と 3 社で処方の約 8 割を握る。オークストリート(高齢者向けの診療所)とシグニファイ(在宅の健康評価)も含み、オークストリートは 2025 年に 57 億ドルの減損を出して拡大をやめ、16 か所を閉じた。売上は 2026 年に約 2,060 億ドル、利益は 73 億ドル以上の見通しだが、利益率は 3% 台と薄い。
薬局・消費者ウェルネスは全米の CVS ファーマシー(調剤と店頭商品・ワクチン・ミニッツクリニック)で、調剤の件数は年約 18 億件、売上は約 1,330 億ドル、調整後営業利益は 64 億ドル以上の見通しである。ライト・エイドの処方ファイルを 2025 年に買い取り、約 900 店の閉鎖を進めて採算を整えた。3 部門は互いに送客し(保険の加入者がケアマークと CVS で買い、CVS の薬局がケアマークの網になる)、会社は「保険・PBM・薬局・診療を結ぶ」統合モデルを売りにする。反面、この結びつきが規制当局には「自社取引の優遇」と映る。
優良さと弱いところ
堀は 3 層ある。第 1 は規模で、ケアマークは処方の約 3 割弱(推定)を握り、薬価交渉力と製薬会社からのリベートの取りやすさで中小の PBM を引き離す。第 2 は全国の薬局網で、調剤と予防接種を担い、同時にケアマークの網の一部でもある。第 3 は保険と PBM の組み合わせで、保険加入者の薬代を一括で管理して医療費を下げられる。
しかし 2023 年以降、経営の質は試された。保険の医療費の読み違い(2025 年 4〜6 月の医療費率は 89.9%)、メディケア・アドバンテージの星評価の悪化、オークストリート買収の減損(買収価格 100 億ドル規模に対し 57 億ドルの減損)、営業利益率の 5% 台から 2〜3% 台への低下が重なった。2024 年末にジョイナーが最高経営責任者に就き、不採算の保険・診療を切り、ACA 取引所から撤退し、2026 年に利益を戻した。再建の手順は筋が通るが、まだ「利益が戻った」段階で、安定した利益の水準は 2028 年まで見ないと分からない。
弱点は 4 つ。のれん 855 億ドル・買収の無形資産 246 億ドルが自己資本 752 億ドルを上回り、有形自己資本が負であること。純負債 693 億ドルが時価総額の約 6 割と重いこと。PBM の利益が規制(手数料型への強制・リベートの切り離し・分離の立法)で削られること。薬局が償還圧力とウォルマート・アマゾン・コストコとの競争で薄利なこと。優良さは「規模と統合」にあって「価格を決める力」ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の医療費は年 5.8% で伸び、GDP 比は 2023 年の 17.6% から 2033 年に 20.3% へ上がる見通しで、需要の量は確かである。保険者の利益は「医療費の伸び」と「保険料の改定」の差で決まり、2024〜2025 年は高齢者の手術・在宅・薬の利用が想定を超えて、ユナイテッドヘルス・グループ、ヒューマナ、センティーンなど各社が一斉に利益を落とした。アエトナは 2026 年に ACA 取引所から撤退し、商業の保険料が約 2 割減る代わりに、メディケア・アドバンテージとメディケイドの保険料が 1 割近く伸びた。2027 年のメディケア・アドバンテージの支払いは最終で 2.48% の引き上げ(1 月の案は 0.09%)にリスク調整の見直し分を足し、実質約 5% の追加になる。
PBM は 3 社寡占だが、雇用主の離反(利用雇用主が 63.4% → 54.3%)、FTC のインスリン訴訟(ケアマークは 2026 年に和解し、手数料型・自己負担月 25 ドル上限へ)、2026 年の包括法による PBM 改革(リベートの切り離しは 2028 年 8 月以降)で、1 件あたりの利益は 3 割ほど下がる前提で置く。さらに州レベル(アーカンソーは PBM の薬局所有を禁止)と連邦(ブレイクアップ・ビッグ・メディスン法案)が保険・PBM と薬局の分離を迫っている。
薬局は店舗が過剰な業界で、ウォルグリーン(約 8,500 店)の閉店計画は縮小、ライト・エイドは約 1,300 店へ縮小し、CVS が処方ファイルを取って件数を伸ばした。GLP-1 の需要は薬局の売上を押し上げるが、薬価は下がる(政府との値引き交渉・メディケアの月 50 ドルの橋渡し制度)。業界ノートの前提(営業利益率が 2028 年に 4〜4.5% へ戻る)に対し、CVS は売上が大きく利益率は 4% 前後と低く出るが、利益の絶対額は保険の回復で決まる。
資本政策と M&A
還元は配当(年約 34 億ドル、据え置き)が中心で、2026 年は自社株買いをせず、営業の現金収入 115 億ドル以上を債務の返済(上半期に長期債務 33 億ドル)と事業への投資に充てている。会社は借金を減らす方針で、2027 年以降に自社株買いを再開する余地が出る。純負債 693 億ドルは時価総額の約 6 割と重く、借金の上乗せ(debt)を +0.5% とし k を 9.5% に置いた。
M&A は、2018 年のアエトナ買収(約 700 億ドル)、2023 年のシグニファイ(約 80 億ドル)とオークストリート(約 100 億ドル)で保険・診療を広げたが、診療事業は 2025 年に 57 億ドルの減損を出した。2025〜2026 年は売る・閉じる側に回り、オムニケア(長期介護の薬局)を連結から外し、ライト・エイドの処方ファイルを買った程度に絞った。大型の買収は規制と債務で現実的でなく、買われる側になる可能性も時価総額 1,200 億ドル規模では低い。
分かれ目は、保険の利益で稼いだお金を債務返済と還元のどちらに回すか、分離の立法が通った場合に薬局(または PBM)を売却できるか、の 2 点である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2025 年の谷は、アエトナの医療費の読み違いとオークストリートの減損が重なった一時的なものだ。2026 年はすでに結果が出ており、上半期の保険の医療費率は 86.0% と前年の 88.6% から 2.6 ポイント改善、通期の調整後営業利益は 5 月時点の 155〜159 億ドルから 166〜169 億ドルへ引き上げられた。ガイダンスは「少なくとも」と控えめに置かれ、保険の下半期は小幅の赤字を見込むなど慎重で、上振れの余地がある。
2027 年のメディケア・アドバンテージの支払いは実質約 5% の引き上げで、料率改定が医療費の伸びを取り戻す。ACA 取引所からの撤退と給付の削減で不採算を切り、会社は 2028 年に保険の目標利益率へ戻る道を維持している。ヘルスサービスはオークストリートが損益分岐に向かい、PBM は手数料型への移行を競合より早く終え、FTC の和解で規制の不確実性が減った。ウォルグリーンの閉店とライト・エイドの縮小で CVS ファーマシーは処方の件数を伸ばし続け、薬局の利益率は 4% 台後半が定着する。
会社は 2028 年まで調整後の 1 株利益を年 10% 台半ばで伸ばすと言っている。この計画を一部でも達成すれば、保険の利益率 5〜6% の営業利益と薄い PBM・薬局の利益が積み上がり、2036 年の純利益は 200 億ドルを超える。10 年の楽観は、PER 11〜12 倍でも時価総額が今の 2.5 倍になる。
慎重な見方
回復の質が低い。2026 年の改善は ACA 取引所の撤退と不採算の保険・診療を切ることで得たもので、売る量を絞って利益率を戻す「縮んで稼ぐ」形だ。通期ガイダンスは保険の下半期を赤字と置いており、医療費の伸びが想定を上回ればすぐに崩れる。2027 年の星評価では、4.5 つ星以上の加入者が 63% から約 35% へ落ちる見通しで(TD コーウェン推定)、奨励金の減少が 2028 年の利益に効く。
PBM は構造的に利益が減る。手数料型への移行で 1 件あたりの利益が下がり、雇用主の離反が続き、FTC の和解とリベートの切り離しの立法が追い打ちをかける。薬局はウォルマート・アマゾン・コストコと競合し、IRA による薬価引き下げと GLP-1 の値下がりで 1 件あたりの売上が伸びにくい。さらにブレイクアップ・ビッグ・メディスン法案やアーカンソー・テネシー・アリゾナ州の分離立法が広がれば、保険・PBM・薬局の結びつきという統合モデルの前提そのものが壊れる。
加えて、純負債は 693 億ドルあり、利益が 1 割減るだけで株主の取り分は 2 割近く減る。のれんと無形資産が自己資本を超えるため、再び減損が出れば自己資本が削られる。会社が 2028 年まで年 10% 台半ばの利益の伸びを掲げるのも、2024〜2025 年に利益の読み違いで再建を迫られた会社の計画であり、そのまま信じる根拠は弱い。
どちらに重みを置いたか
2026 年の回復は決算で確認できており、回復は定着しやすい。ただし利益率の戻りの高さ(保険 5% 前後)と規制の影響は慎重に見る。確率は、構造的な分離(分離立法・PBM の解体)の可能性を重く見て悲観を 15%(楽観 10%・やや楽観 20%・中立 32%・やや悲観 23%)とした。規制は資本コストに足さず、この確率の寄せ方で表す。倍率は正当化 PER の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 11.7 倍(k 9.5%)の 8 割強の 9.6 倍。今の PER に寄せていない。確率で重ねた総合は、今の時価総額と同じ水準(約 1% 下)。結論は「適正」。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 117.95 ドル1,499 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 69.08 ドル878 億ドル)。 今の値に割り戻すと 91.48 ドル1,163 億ドル、今との差 −3.2%、 期待の年率 +7.1%(資本コスト 9.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 230.71 ドル2,932 億ドル | 104.09 ドル1,323 億ドル | +254.4% | +13.5% | 33.48 ドル426 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 170.68 ドル2,169 億ドル | 89.46 ドル1,137 億ドル | +175.3% | +10.7% | 52.03 ドル661 億ドル |
| 中立 | 32% | 124.89 ドル1,587 億ドル | 75.92 ドル965 億ドル | +112.5% | +7.8% | 64.26 ドル817 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 58.97 ドル750 億ドル | 52.24 ドル664 億ドル | +17.7% | +1.6% | 25.58 ドル325 億ドル |
| 悲観 | 15% | 48.09 ドル611 億ドル | 29.82 ドル379 億ドル | −17.5% | −1.9% | 11.69 ドル149 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 117.95 ドル1,499 億ドル | 69.08 ドル878 億ドル | +98.0% | +7.1% | 187.03 ドル2,377 億ドル |
今の株価時価総額 94.48 ドル1,201 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:統合モデルが機能し、保険と薬局・PBM で利益が 2.8 倍になる 利益 253 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 230.71 ドル2,932 億ドル
2036 年(10 年後)、アエトナの加入者は 1,150 万人(メディケア・アドバンテージの伸びとメディケイドの再取り込み)、1 人あたり収入は 2026 年の 1.76 倍(年 +5.8%)、保険の営業利益率は 6.5%(過去の平常 7% 台より下)。ヘルスサービスはケアマークの件数が 21.5 億件に増え、オークストリートの黒字化と手数料型の安定で利益率 3.6%。薬局は件数 19.5 億件、利益率 5.0%。連結の営業利益は約 382 億ドル、純利益は 253 億ドルで 2026 年の 2.8 倍。倍率は 正当化 PER 12.9 倍の 9 割、11.6 倍に置く。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き。
- アエトナ(医療保険):数量 11.5(保険リスク型の加入者(百万人))× 価格 26,704(1 人あたり年間収入(保険料+手数料+運用益 ÷ リスク型加入者、ドル))→ 売上 3,071 億ドル・営業利益 200 億ドル。加入者 1,150 万・利益率 6.2%
- ヘルスサービス(ケアマーク・オークストリート):数量 21.5(調整後処方件数(30 日換算、億件))× 価格 164(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 3,515 億ドル・営業利益 127 億ドル。件数 21.5 億・利益率 3.6%
- 薬局・消費者ウェルネス(CVS ファーマシー):数量 19.5(調剤件数(30 日換算、億件))× 価格 95(1 件あたり売上(ドル。店頭商品を含む))→ 売上 1,853 億ドル・営業利益 93 億ドル。件数 19.5 億・利益率 5%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 22.2%(この筋書きの純利益 253 ÷ 自己資本 1138 億ドル。アエトナ買収ののれんで自己資本が厚い)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 13.7%(堀は弱い(1/3):保険・PBM・薬局を結ぶ規模と全国の店舗網はあるが、薬局は構造的に縮み、保険の利益率は山と谷があり、分離規制の脅威がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.9 倍 に対し、90% の 11.6 倍に置いた(楽観は式の値の 9 割に置く。利益の質が高く、伸びも一番続く筋書き)。時価総額 = 純利益 253.0 億ドル × 11.6 倍 = 2932.3 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:分離立法が起きず、保険の利益率が戻り、PBM が手数料型で形を変えて残る展開。10 年で 1 割の確率。
やや楽観 20% やや楽観:利益率が 5% 台後半で定着し、優良な成熟企業になる 利益 207 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 170.68 ドル2,169 億ドル
10 年後、加入者は 1,100 万人、1 人あたり収入は 1.73 倍、保険の営業利益率は 5.8%。ケアマークは件数 20.8 億件・利益率 3.3%、薬局は件数 19.1 億件・利益率 4.6%。連結の営業利益は約 320 億ドル、純利益は 207 億ドル。倍率は 正当化 PER 12.3 倍の 8.5 割、10.5 倍に置く。伸びと利益率はほぼ計画どおり。分離立法は成立せず、PBM は手数料型で残る。加入者の増加は高齢化とメディケア・アドバンテージの星評価の維持が支え、ケアマークは大手の保険者・雇用主の契約を維持し、薬局はライト・エイドとウォルグリーンの縮小で得た件数を保つ。オークストリートは損益分岐を超えて小さな黒字に落ち着く。
- アエトナ(医療保険):数量 11.0(保険リスク型の加入者(百万人))× 価格 26,249(1 人あたり年間収入(保険料+手数料+運用益 ÷ リスク型加入者、ドル))→ 売上 2,887 億ドル・営業利益 167 億ドル。加入者 1,100 万・利益率 5.8%
- ヘルスサービス(ケアマーク・オークストリート):数量 20.8(調整後処方件数(30 日換算、億件))× 価格 159(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 3,310 億ドル・営業利益 109 億ドル。件数 20.8 億
- 薬局・消費者ウェルネス(CVS ファーマシー):数量 19.1(調剤件数(30 日換算、億件))× 価格 93(1 件あたり売上(ドル。店頭商品を含む))→ 売上 1,773 億ドル・営業利益 82 億ドル。件数 19.1 億
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 18.4%(この筋書きの純利益 207 ÷ 自己資本 1128 億ドル。アエトナ買収ののれんで自己資本が厚い)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 12.5%(堀は弱い(1/3):保険・PBM・薬局を結ぶ規模と全国の店舗網はあるが、薬局は構造的に縮み、保険の利益率は山と谷があり、分離規制の脅威がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 12.3 倍 に対し、85% の 10.5 倍に置いた(やや楽観は式の値の 8.5 割に置く。伸びと利益率はほぼ計画どおり)。時価総額 = 純利益 207.0 億ドル × 10.5 倍 = 2169.4 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:統合モデルが機能しつつ、PBM の薄利が定着する展開。確率 20%。
中立 32% 中立:保険の利益率は 5% で定着し、倍率は式の値に収れんする 利益 165 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 124.89 ドル1,587 億ドル
10 年後、加入者は 1,040 万人(高齢化の伸びを、不採算の撤退が一部相殺)、1 人あたり収入は 1.71 倍(年 +5.5%)で保険の売上は約 2,700 億ドル、営業利益率 5.0%。ヘルスサービスはケアマークの件数 20.1 億件・価格は物価並みの 1.41 倍で利益率 3.0%、薬局は件数 18.8 億件・価格は物価未満の 1.25 倍・利益率 4.3%(薬価引き下げと償還圧力)。連結の営業利益は約 264 億ドル、純利益 165 億ドルで 2026 年の約 1.9 倍。分離立法は成立せず、PBM は手数料型で残る。倍率は 正当化 PER 11.7 倍の 8 割強、9.6 倍に置く。保険・薬剤給付管理・薬局の複合で、薬局は構造的に縮み保険の利益率は山と谷があり、堀は弱い(moat=weak)。
- アエトナ(医療保険):数量 10.4(保険リスク型の加入者(百万人))× 価格 25,946(1 人あたり年間収入(保険料+手数料+運用益 ÷ リスク型加入者、ドル))→ 売上 2,698 億ドル・営業利益 135 億ドル。加入者 1,040 万・利益率 5%
- ヘルスサービス(ケアマーク・オークストリート):数量 20.1(調整後処方件数(30 日換算、億件))× 価格 154(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 3,089 億ドル・営業利益 93 億ドル。件数 20.1 億・利益率 3%
- 薬局・消費者ウェルネス(CVS ファーマシー):数量 18.8(調剤件数(30 日換算、億件))× 価格 91(1 件あたり売上(ドル。店頭商品を含む))→ 売上 1,718 億ドル・営業利益 74 億ドル。件数 18.8 億・利益率 4.3%
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 14.8%(この筋書きの純利益 165 ÷ 自己資本 1112 億ドル。アエトナ買収ののれんで自己資本が厚い)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 11.3%(堀は弱い(1/3):保険・PBM・薬局を結ぶ規模と全国の店舗網はあるが、薬局は構造的に縮み、保険の利益率は山と谷があり、分離規制の脅威がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 11.7 倍 に対し、82% の 9.6 倍に置いた(中立は式の値の 8 割強に置く(ROE が k を超える会社の中立は 1 ÷ k の 9 割を下回らせない)。保険・薬剤給付管理・薬局の複合で、薬局は構造的に縮み保険の利益率は山と谷がある)。時価総額 = 純利益 165.0 億ドル × 9.6 倍 = 1587.3 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(売上 年 +6.5%・加入者 年 +1%・保険料 年 +5.5%)に沿い、保険の利益率は過去の平常より下の 5%、PBM・薬局は薄利のまま置く。最大の確率。
やや悲観 23% やや悲観:PBM の利益が縮み、保険は薄利のまま 利益 95 億ドル · PER 7.9 倍 · 株価時価総額 58.97 ドル750 億ドル
10 年後、保険の加入者は 980 万人で横ばい、1 人あたり収入は 1.62 倍、営業利益率は 3.8%。ケアマークは件数 18.5 億件・利益率 2.4%(雇用主の離反と手数料型)、薬局は件数 17.5 億件・価格は 1.15 倍・利益率 3.4%。連結の営業利益は約 169 億ドル、純利益 95 億ドルで 2026 年とほぼ同じ。倍率は 正当化 PER 10.5 倍(1 ÷ k)の 7.5 割、7.9 倍に置く。競争と値下がりで、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる。保険は星評価の逆風で加入者が増えず、ケアマークは顧客の離反と手数料型で利益が削られ、オークストリートも利益に貢献しない。売る量を絞って守る「縮んで稼ぐ」会社で、優良さは落ちるが事業そのものは残る。
- アエトナ(医療保険):数量 9.8(保険リスク型の加入者(百万人))× 価格 24,580(1 人あたり年間収入(保険料+手数料+運用益 ÷ リスク型加入者、ドル))→ 売上 2,409 億ドル・営業利益 92 億ドル。加入者横ばい・利益率 3.8%
- ヘルスサービス(ケアマーク・オークストリート):数量 18.5(調整後処方件数(30 日換算、億件))× 価格 145(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 2,682 億ドル・営業利益 64 億ドル。件数 18.5 億・利益率 2.4%
- 薬局・消費者ウェルネス(CVS ファーマシー):数量 17.5(調剤件数(30 日換算、億件))× 価格 84(1 件あたり売上(ドル。店頭商品を含む))→ 売上 1,471 億ドル・営業利益 50 億ドル。件数 17.5 億・利益率 3.4%
倍率:悲観側の利益ベースの上限の内側に置く。この筋書きの ROE 8.9%(純利益 95.0 ÷ 自己資本 1065 億ドル)は k 9.50% 以下なので、ためた利益は元の額より小さい価値で、正当化 PER は 1 ÷ k = 10.5 倍が上限。その 75% の 7.9 倍に置いた(やや悲観は式の値の 7.5 割に置く。競争と値下がりで、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる)。時価総額 = 純利益 95.0 億ドル × 7.9 倍 = 749.5 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:PBM の顧客離反と手数料型の圧力、薬局の償還圧力が続き、保険の利益率が 4% に届かない展開。確率 23%。
悲観 15% 悲観:構造的な負け(分離立法・PBM 規制・薬局の縮小)で優良企業でなくなる 利益 64 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 48.09 ドル611 億ドル
10 年後、連邦または多くの州が保険・PBM と薬局の分離を義務づけ、CVS は薬局(または PBM)を割安で手放す。保険の加入者は 880 万人に減り、営業利益率は 3.5% で固定される。ケアマークは件数 15.5 億件・利益率 2.5%、薬局は店舗縮小で件数 14.5 億件・利益率 3.2%。売却の混乱と減損(約 250 億ドル)で信用も傷み、交渉力が落ちる。連結の営業利益は約 127 億ドル、純利益 64 億ドル。倍率は 正当化 PER 10.6 倍(g 3%)の 9 割、9.6 倍に置く。構造的に負けた筋書きなので、長期の g を 3.0% に下げた。
- アエトナ(医療保険):数量 8.8(保険リスク型の加入者(百万人))× 価格 22,760(1 人あたり年間収入(保険料+手数料+運用益 ÷ リスク型加入者、ドル))→ 売上 2,003 億ドル・営業利益 70 億ドル。支払い凍結で利益率 3.5%
- ヘルスサービス(ケアマーク・オークストリート):数量 15.5(調整後処方件数(30 日換算、億件))× 価格 136(1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む))→ 売上 2,112 億ドル・営業利益 53 億ドル。PBM 分離で件数 15.5 億
- 薬局・消費者ウェルネス(CVS ファーマシー):数量 14.5(調剤件数(30 日換算、億件))× 価格 77(1 件あたり売上(ドル。店頭商品を含む))→ 売上 1,113 億ドル・営業利益 36 億ドル。店舗縮小で件数 14.5 億
倍率:利益ベースの正当化 PER(SCHEMA §1-1)。事業の ROE 9.8%(この筋書きの純利益 64 ÷ 自己資本 652 億ドル。アエトナ買収ののれんで自己資本が厚い)は先で薄れ、RONIC = k 9.50%(基本 8.0% + quality +1.5%)+ 1/3 ×(ROE − k)= 9.6%(堀は弱い(1/3):保険・PBM・薬局を結ぶ規模と全国の店舗網はあるが、薬局は構造的に縮み、保険の利益率は山と谷があり、分離規制の脅威がある)。g は 4.0%。 正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 10.6 倍 に対し、90% の 9.6 倍に置いた(悲観は構造的に負ける筋書きで、g を 3% に下げ、式の値(上限)の 9 割に置く)。時価総額 = 純利益 64.0 億ドル × 9.6 倍 = 611.2 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:連邦の分離立法が成立し、PBM か薬局の売却を強いられ、保険も支払い凍結で薄利になる展開。10 年で 15% の確率(規制と調査の個別リスクを k から外した分を厚く置いた)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
アエトナ(医療保険)
保険リスク型の加入者から保険料を受け取り医療費を支払う保険事業(管理手数料型の加入者の手数料と運用益を含む)。
| 数量保険リスク型の加入者(百万人) | 価格1 人あたり年間収入(保険料+手数料+運用益 ÷ リスク型加入者、ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 9.8 | 15,173 | 1,490 | 52 |
| 10 年後 中立 | 10.4 | 25,946 | 2,698 | 135 |
取り方:2026 年 6 月末のリスク型加入者 982.9 万人(商業 249 万・メディケア・アドバンテージ 420 万・メディケイド 196 万・補足 118 万)。上半期の売上 735 億ドルから通年約 1,490 億ドル(個人向け ACA 取引所の撤退後)。調整後営業利益は会社見通しの 50.3〜53.7 億ドルの中心 52 億。管理手数料型の加入者(約 1,620 万人)の手数料と運用益も売上に入るため、1 人あたり収入はリスク型の保険料だけより大きい。部門間の取引を含むため、3 部門の売上の合計は連結(4,140 億ドル以上)より大きい。競合はユナイテッドヘルス・グループ・エレバンス・ヒューマナ・センティーン・シグナ。医療費の伸び(年 6〜7%)に合わせて 1 人あたり収入は上がる(中立で 3 年 1.17 倍・10 年 1.71 倍、物価の 1.11・1.41 倍より速い)。
ヘルスサービス(ケアマーク・オークストリート)
雇用主・保険者に代わって薬局網・薬価交渉・調剤を取り仕切る PBM のケアマークと、高齢者向け診療所のオークストリート。
| 数量調整後処方件数(30 日換算、億件) | 価格1 件あたり売上(ドル。薬の代金を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 18.9 | 109 | 2,060 | 73 |
| 10 年後 中立 | 20.1 | 154 | 3,089 | 93 |
取り方:2026 年 4〜6 月の調整後処方件数 4.73 億件(前年比 +0.9%)から通年約 18.9 億件。上半期売上 1,000 億ドルから通年約 2,060 億ドル、調整後営業利益は見通し 72.5 億ドル以上のうち 73 億。シェアは米国全体(約 70 億件と推定)の約 27% で、エバーノース(約 3 割)・オプタム・アールエックス(約 2 割)と 3 社で約 8 割。1 件の単価は薬の値上がりと専門薬・GLP-1 の比率で上がるが、手数料型への移行で顧客への価格改善が続く(中立で物価並みの 3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍)。
薬局・消費者ウェルネス(CVS ファーマシー)
全米の CVS ファーマシーで調剤・予防接種・店頭商品・ミニッツクリニックを営む。
| 数量調剤件数(30 日換算、億件) | 価格1 件あたり売上(ドル。店頭商品を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 18.2 | 73 | 1,330 | 64 |
| 10 年後 中立 | 18.8 | 91 | 1,718 | 74 |
取り方:2026 年 4〜6 月の調剤件数 4.57 億件(前年比 +4.3%。ライト・エイドの処方ファイルの買収が寄与、オムニケアは連結から外れた)から通年約 18.2 億件。上半期売上 658 億ドルから通年約 1,330 億ドル(店頭商品を含む)、調整後営業利益は見通し 64 億ドル以上のうち 64 億。競合はウォルグリーン(約 8,500 店)・ウォルマート・アマゾン・コストコ。1 件の売上は IRA の薬価引き下げ・ジェネリック・GLP-1 の値引き・償還圧力で物価を下回る(中立で 3 年 1.07 倍・10 年 1.25 倍。物価の 1.11・1.41 倍より低い)。
リスクと懸念
保険の医療費の再悪化
保険の利益は保険料と医療費の差の数ポイントで、高齢者の手術・在宅・薬の利用が想定を上回ると 2025 年のように利益が消える。2026 年の通期ガイダンスは下半期の保険を小幅の赤字としており、慎重だが、医療費率が 1 ポイント動くだけで保険の利益は 15 億ドル動く。料率は 1 年遅れで改定されるため、読み違いの影響は 2 年残る。
分離立法と州の PBM 規制
上院のブレイクアップ・ビッグ・メディスン法案は、保険者・PBM に薬局の売却を 3 年以内に求める。成立前だが、アーカンソーは PBM の薬局所有を 2026 年 1 月から禁止し、テネシー・アリゾナも追随している。連邦で成立すれば薬局か PBM を手放すことになり、統合モデルの前提が崩れる。成立の確率と時期は読めない。
PBM の利益の圧縮
手数料型への移行(FTC の和解)、2026 年の包括法によるリベートの切り離し(2028 年 8 月以降)、雇用主の離反(利用雇用主が 63.4% から 54.3% へ)が重なると、ケアマークの 1 件あたりの利益が下がる。ヘルスサービスの営業利益率は 3% 台と薄く、1 ポイントの下落で約 20 億ドルの利益が消える。
メディケア・アドバンテージの星評価と支払い
2027 年の星評価で 4.5 つ星以上の加入者が 63% から約 35% に落ちる見通しで、奨励金が減る(TD コーウェン推定で 2028 年の調整後利益を約 5 億ドル押し下げ)。政府の支払いが医療費の伸びに追いつかない年が続けば、利益率は戻らない。
薬局の薄利と償還圧力
薬局の営業利益率は 4% 台で、IRA による薬価引き下げ・ジェネリックの値下がり・GLP-1 の値引き・償還の引き下げで 1 件あたりの売上が伸びにくい。ウォルマート・アマゾン・コストコとの競争もあり、店舗網の維持費(賃借料)が固定費として残る。
負債とのれん
純負債 693 億ドル(時価総額の約 6 割)に対し、のれん 855 億ドルと無形資産 246 億ドルが自己資本 752 億ドルを上回る。利益が下がると株主の取り分が大きく減り、さらに減損が出れば自己資本が削られ、格付けにも響く。借り換えは約 5.75% で、利払いは年 31 億ドルから増える。
今後の分かれ目
- 2027 年の保険の医療費率が 2026 年の水準(86% 前後)を保ち、メディケア・アドバンテージの加入者が下げ止まったら
- 保険の営業利益率が 5% 前後へ戻る道が確かになる。楽観・やや楽観の確率を 数ポイント上げてよい。
- ブレイクアップ・ビッグ・メディスン法案が委員会を通過し、薬局の売却が現実の日程になったら
- 統合モデルの前提が崩れるため、10 年の悲観の確率を 15% から 25% 前後へ上げる。売却の対価と税が読めるまで、中立以下の筋書きを厚くする。
- ケアマークの 2027〜2028 年の契約更新で大きな雇用主・保険者が離反したら
- ヘルスサービスの件数が 5% 以上減り、PBM の利益が 1 割以上減る。やや悲観の確率を上げ、10 年の ROE を下げて倍率も下げる。
- オークストリートが損益分岐を超えて黒字になり、診療事業が会社の利益を押し上げたら
- ヘルスサービスの利益率が 3.5% を超え、自己資本 ROE が上がる。10 年の ROE と g を上げ、倍率を 1 倍ほど上げてよい。
- 2027 年の星評価の悪化で、メディケア・アドバンテージの利益率が 2028 年も 4% 未満にとどまったら
- 保険の利益率の戻りが遅れ、2028 年の利益が 1 割以上減る。中立の保険の利益率を 5% から 4% 台へ下げる。
- 債務の返済が進み、2027 年に自社株買いを年 50 億ドル以上で再開したら
- 正味の還元(配当+自社株買い−株式報酬)が増え、株主の取り分が厚くなる。payout を上げ、資本配分の評価を上げてよい。
見ておくもの
- 保険の医療費率(四半期)と通期ガイダンス(保険の下半期の見通し)
- メディケア・アドバンテージの加入者数と 2027 年の星評価・支払いの確定
- ケアマークの契約更新(顧客離反の有無)と 1 件あたりの利益
- ブレイクアップ・ビッグ・メディスン法案と州の PBM・薬局分離法の進み方
- オークストリートの損益(黒字化の時期)とヘルスサービスの利益率
- 純負債の水準と自社株買いの再開の時期
- 薬局の処方件数と店頭商品の売上(ウォルグリーン閉店の取り込み)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 66 倍を見る前に、数量と価格でセグメントを積み、純利益と自己資本を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC は k に、事業の ROE が k を超える分の残る割合を足した値。moat は weak)の 7〜10 割に置いた。10 年の中立は、正当化 PER 11.7 倍(g 4%、k 9.5%)の 8 割強の 9.6 倍。今の値段には寄せていない。総合は今の時価総額と同じ水準(約 1% 下)。結論は「適正」。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 0.89 × 5%。基本 8.0% に quality +1.5% を足して 9.5%。前は β 0.72 を負債で 0.89 に補正して k 7.45% としていたが、v2 では β を使わず 4 つの目安で見る。値段を自分で決められない値決めの弱さ、純負債が時価総額の約 6 割と重い借金、薬局が縮み分離規制の脅威がある構造を値決め・借金・寿命で見た。規制(分離立法・PBM 改革)・医療費の読み違い・買収の失敗は分散できる個別のリスクなので k には足さず、筋書きの利益率と確率(悲観を 10 年で 15%)で表した。存続が危ない会社ではないので上乗せ(extra)は置かない。k 9.5% なので g は 4% 以下(k − g ≥ 3.5%)。
同じ業種(ヘルスケア)の AI 分析
読んだ資料
- CVS ヘルス 2026 年 4〜6 月期 決算リリース(8-K)
- CVS ヘルス 2026 年 4〜6 月期 決算説明資料
- CVS ヘルス 2025 年投資家説明会 プレスリリース(8-K)
- Fierce Healthcare:CVS 幹部は 2028 年にメディケア・アドバンテージの目標利益率へ戻ると説明
- TIKR:CVS の星評価と TD コーウェンの試算
- Fierce Healthcare:CVS の減損 57 億ドルとオークストリート
- Managed Healthcare Executive:ブレイクアップ・ビッグ・メディスン法案
- White & Case:アーカンソー州の PBM の薬局所有禁止
- Law360:ケアマークの FTC 和解(インスリン)